ふたば系ゆっくりいじめ 511 れいむと幸せを呼ぶ金バッジ

れいむと幸せを呼ぶ金バッジ 23KB


虐待 親子喧嘩 現代 餡子ンペ09出展作品パート2

※餡子ンペ09出展作品第2弾です。
※駄文、稚拙な表現注意。
※俺設定注意
※テーマは1.親子「 仲直り」です。

家に帰るとゆっくりれいむがいた。
ソフトボールサイズでまだ子供なのだろう。うっかり開けていた裏戸から入ってきたようだ。
俺の姿を見て、逃げようとする子れいむをガシッと鷲づかみにする。
このれいむがやったのであろう、ちゃぶ台の上の花瓶などが目茶苦茶になっていた。
まったくただで済むと思うなよ。このクソ饅頭が。
俺は手でジタバタもがいている子れいむをにらみつけた・・・がそこでおかしなことに気づいた。
ちゃぶ台のうえにあったお茶請けのクッキーが手付かずのままで残っていたからだ。
普通人間の家に不法侵入するようなゲスゆっくりが一番に手をつけるのはあまあま、つまりは甘い菓子類でありそれが食われず残っているのはあまりに不自然である。
「おい、れいむ。」
「ごめんなさい、ごめんなさい。ゆるしてくださぃいいいいい。」
俺に鷲づかみされながら必死に謝るれいむ。怖いのか涙を流しながらガタガタふるえ続けている。
「いやそうじゃない。お前への罰は後だ。それより聞きたいことがある。」
「ゆ?」
「お前なにか目的があってここに来たんじゃないのか?例えば・・・なにかを探しにきたとか?」
「!!・・・」
れいむの目が驚いて点になる。どうやら図星のようだ。
「当たったみたいだな。何を探しにここまできたんだ?」
有無を言わせぬ口調で俺はれいむを尋問する。少しためらった後れいむは口を開いた。
「れいむは・・・れいむは・・・きんばっじさんがほしかったんだよ・・・」
「はあ?金バッジって・・・あの飼いゆっくりが着ける・・・?」
あまりに予想外な答えに今度は俺の目が点になった。

なぜこのようなことになったのか。話は数時間前までさかのぼる。


「餡子ンペ09」れいむと幸せを呼ぶ金バッジ
                                    作、長月


「おかあさんのうそつき!!きょうはいっしょにあそんでくれるっていってくれたじゃない!!」
「ごめんねおちびちゃん。ごはんさんがなくなっちゃったからかりにいかないといけないんだよ。ゆっくりわかってね。」
「このまえもそうだったじゃない!!そういっていつもあそんでくれないじゃない。」
「おちびちゃん・・・」
「もういいよ!!おかあさんのばか!!」
困惑する母れいむをおいて巣であるダンボールハウスを飛び出す子れいむ。
「ゆう・・・」
心配そうに子れいむの背中を見てため息をつく母れいむ。母れいむとてつらいのだ。
つがいのまりさが死んでしまっている為、家族は胎生にんっしんっで産んだ子れいむひとり。
当然子れいむを食べさせていくには自分が狩りに出なければならなず、その間れいむはひとりぼっち。
れいむが寂しがるのも無理はない。
今日は狩りを休んでれいむと遊んであげる約束だったが、思った以上に餌がとれず、保存していた食料が昨日尽きてしまった。
育ち盛りの子ゆっくりを絶食させるわけにも行かず、今日も狩りに出ることにした母れいむ。
その結果さっきの親子ゲンカとなったのだ。
母れいむはしばらく娘のいったほうを見続けていたが、意を決したように狩りへ出かけた。
愛する子供のために少しでもおいしくて栄養のある食べ物を手に入れなければならない。
そう決意しポイン、ポインと路地裏へ跳ねていった。


一方その頃子れいむは後悔していた。
なんであんなこと言っちゃったんだろう。
お母さんが自分のために苦労していることは誰よりも知っているのに。
お母さんが大好きなのに。
後悔したところでもう出てしまった言葉はもう戻らない。
どうしようか考えていたところに人間らしき足音が近づいてきた。
とっさに電柱に隠れ息を殺すれいむ。人間はお菓子をくれるような愛好家も居るが、同時に虐待を好むような輩も多い。
れいむもまたできるだけ人間に関わってはいけないと母れいむに言われている。賢い野良なら当然のことだ。
現れたのはゆっくりれいむをつれた男だった。
飼いゆっくりの散歩中なのだろう。れいむはリードでつながれ頭にバッジを着けている。
なんてゆっくりしたれいむだろう。思わず隠れていたのを忘れて身を乗り出してしまう子れいむ。
しわひとつなく鮮やかな紅白のリボン。さらさらで艶やかな髪。もちもちとした素肌。
しわしわですすけたリボンにボサボサの髪、薄汚れた体の自分とはまるで違う。
とても同種の、いやそれどころか同じゆっくりだとすら思えないくらいだ。
そのなかでもれいむの目を一番ひきつけたのはリボンに着けていた金色のバッジだった。
おそらく取得したてなのだろう。ピカピカの金バッジが日の光を受けきらびやかに光っている。
れいむは息をするのも忘れて見入ってしまった。


男達が立ち去った後もれいむはしばらく動けなかった。それ程までにインパクトがあったのだ。
無論れいむも今まで飼いゆっくりを見たことがないわけではない。
しかしれいむが見たのはバッジなしや銅バッジの野良同然のゆっくりで、精々銀どまりだった。
セレブの飼う金バッジなど一度も見たことない。
そういえば赤ゆっくりのころよく遊んでくれたありすお姉ちゃんは元飼いゆっくりで金バッジだったって言ってたな。
れいむは思い出す。一人っ子で母親も狩りで不在がちなれいむにいろんなことを教えてくれたゆっくりだ。
上品で優しくて何でも知っている尊敬するゆっくりだった・・・だけど・・・
れいむは一度もありす姉ちゃんがゆっくりしているのを見たことがない。 顔では笑っていても本心からの笑顔は一度もなかったのをれいむは知っていた。
そんなありすお姉ちゃんだけどれいむは一度だけ泣いているのを見たことがある。
何かいやなことがあったのだろう。路地裏で一人、声を出して泣いていたありすお姉ちゃん。
あの時のありすお姉ちゃんの言葉がれいむは忘れられない。
「きんバッジ・・・きんバッジさえあればなまゴミなんてあさらなくてすむのに・・・かちかちのゆかじゃなくてふかふかのくっしょんさんでねれるのに・・・・あんなぎんやどうばっじしかとれないようないなかものたちにバカにされずにすむのに・・・どうして・・・どうして・・・うわぁあああああ!!!」
れいむは何も言えずただそこで立ち尽くすしかなかった。
その日かられいむはありすお姉ちゃんを見ていない。
風の噂によると飼ってくれる人間を探しに町へ行ったが見つからず、そのまま加工所で駆除されたらしい。
あの時はありすおねいちゃんの言葉の意味が解らずにいたれいむだが、今なら解る気がする。
きっと金バッジはゆっくりをゆっくりさせてくれる物なんだ。
だからそれを無くしたありすおねいちゃんはゆっくりできなかったんだ。
そしてあのれいむは金バッジを持っているからあんなにゆっくりできているんだ。
よし。なられいむも。
そう思い道行く人間に片っ端から「金バッジください。」と懇願するれいむ。野良ゆっくりが人間に関わるのは危険だということも忘れてである。
しかし当然そんな要求受け入れられるはずもない。完全に無視か「じゃまだ、どけっ!!」と怒鳴られる始末。
途方にくれ道端で立ち尽くしてしまった。


「そして裏戸の開いていたうちへ侵入して金バッジがないか探してた、ってわけか。」
「ゆう・・・そのとうりだよ。」
「おい、れいむ。人間のうちへ入るのはいけないことで、まして盗みなんてもってのほかだと知っているよな?」
「ご・・ごめんなさい!!」
そう言ってペコペコと頭を下げるれいむ。どうやら自分がしたことが悪いことだというのは知っているらしい。
普通の家に金バッジは転がってないとか、野良が金バッジなんて手に入れてもどうしようもないだろ、とか色々突っ込みたいが今はやめておく。
「そうまでして金バッジを手に入れてゆっくりしたかったのか!?人のものを盗んででもゆっくりしたいなんてゲスの考え方そのものだろうが!!」
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
「大体金バッジは持っていればゆっくりできるものじゃなくて、頑張ってゆっくりできるようになったゆっくりに与えられるものなんだよ!!楽してゆっくりしようなんて性根が腐ってる証拠だ。」
「ゆう・・・でも・・・でも・・・」
「なんだ。なにかいいたい事でもあるのか?」
「れいむは・・・れいむはおかあさんにゆっくりしてほしいよ。」
「えっ?お前自分のために金バッジが欲しかったんじゃなかったのか!?」
思わず聞き返してしまう俺。普通人間のうちに入ってくるようなゆっくりはゲスだと相場が決まっている。家族のことを思いやるどころか土壇場になれば家族を生贄にしてでも自分だけは助けてとぬかすような奴が大半だ。
しかしまさか母親のために人間に捕まるリスクを犯すような奴がいたとは・・・
始めは事情を聞いたら痛めつけた後、叩き潰すつもりだったが・・・どうする?
俺は迷っていた。


れいむはガチガチと震えていた。
お兄さんはれいむから話を聞くとしばらく何か考えていたようだが、不意に立ち上がり「ちょっと待ってろ。」と言い立ち去ってしまった。
きっとお仕置き道具を取りに行ったに違いない。お母さんが言っていた。人間さんのおうちに入るような悪い子はとっても痛いお仕置きをされた後、永遠にゆっくりさせられちゃうんだって。
人間さんのおうちに入るのがいけないことなのはれいむも良く知っている。
      • でも・・・それでもお母さんに金バッジをつけて貰いたかった。
もしお兄さんの言うように頑張っているゆっくりに与えれるのならなおさらだ。
この辺りは餌場が少なく捕食種やゲスも多い為ゆっくりにとってけして住みよい場所ではない。
片親で子供を育てるのは並大抵の苦労ではないだろう。事実、母れいむの体は生傷が絶えなかった。
そんな母にいつも助けられていたれいむ。
ゲスまりさにおうちを取られようとしたときも颯爽と現れゲスを退治してくれた。
ゲスまりさに噛み付かれて自分が一番痛いはずなのにそんなのおくびにも出さず、逃げるときにできたれいむの擦り傷をぺーろぺろしてくれた。
遊んでる途中れいぱーありすに囲まれ、もうだめだと思ったときに、れいぱーの天敵であるドMてんこをけしかけるという機転でれいむを救ってくれたもある。
「んほぉおおおおおお!!!れいぱーさんたちぃいいい!!!てんこをめちゃくちゃにおかしてねぇええええ!!」
「ぎゃああああ!!!きもちわるぃいいいいい!!!!」
「ばけものがぁ、ばけものがいるわぁあああああ!!!!」
「こんなのとかいはじゃないぃいいいいいい!!!」
そう叫びながらくもの巣を散らすように逃げるれいぱー。そしてそれを追うれいぱーよりキモイ顔のドMてんこ。
ぽかーんとするれいむにお母さんは「もうだいじょうぶだよ。」と優しく微笑んでくれた。
強くて優しくて賢くて・・・れいむの自慢のお母さん。
そんなお母さんに金バッジ・・・あげたかったな・・・
でももうその望みはかなわない。れいむはここで死んじゃうんだから。
最後に一言伝えたい。
おかあさんひどいこと言ってごめんなさい。
お母さんのこと大好きだったよ、と。
なんで・・・なんであの時お母さんにひどいこと言っちゃったんだろ。
お母さんのこと大好きなのに。
れいむはいつの間にか泣いていた。涙がとめどなくあふれてくる。
その涙は恐怖からではなく後悔の念から湧き出たものだった。

その時ドアが開いた。お兄さんが帰ってきたのである。
れいむはビクッとした。ついにお仕置きが始まるのだ。
そう思ったれいむだった・・・が。
次の瞬間れいむは目を疑った。お兄さんの手に持っていた物にだ。
お兄さんが持っていたもの。それは金バッジだった。今朝見たれいむがつけていたものと同じくキラキラとまばゆく輝いている。
驚きで声も出せないれいむ。
そんなれいむに向かってポイッと無造作に金バッジを投げるお兄さん。金バッジはれいむの前にカシャンと落ちた。
そして開口一番こう言った。
「やるよ。」
あまりのことに思考がフリーズしっぱなしのれいむ。頭の中は?マークで一杯だ。
「どうした?いらないのか?」
そう言い放つお兄さんに全力で首を振る。夢にまで見た金バッジをくれるというのだ。いらないと言うバカなどいるはずも無い。
すぐさま金バッジに駆け寄るれいむ。磨きぬかれた金貨のように輝くバッジに我を忘れうっとりする。
金バッジにすーりすりするとれいむはなんだかとても幸せな気がした。

「おにいさんすごいよ!!なんだかこのバッジとてもゆっくりできるよ。」
「そんなモンで喜ぶな!!満足したんならとっとと帰れ。」
「ゆう・・・でも・・・」
「なんだ?何かまだあるのか?」
「どうしてきんばっじさんをくれるの?れいむかってにおうちにはいったわるいこなのに。」
れいむはそれが解せなかった。おうちに勝手に入って物を盗むのはゆっくりできない悪いこと。
それはゆっくりでも人間さんでも変わらないはずだ。
それをお仕置きなしで開放してくれたうえに金バッジさんまでくれるなんて。
さすがの餡子脳でもおかしいとわかる。
「・・・・似てるからかな。あいつらに。」
数瞬のためらいの後お兄さんは話してくれた。
お兄さんは子供の頃ゆっくりれいむの親子を飼っていたこと。
内気で友達も少なく両親も不在がちだったお兄さんにとってれいむ親子は家族であり親友であったこと。
ある日親れいむが金バッジの試験を受けたいと言ってきたこと。
「金バッジになれば俺をもっとゆっくりさせられると思ったんだろうな。俺はそんなもの要らなかったのに・・」
話してる途中お兄さんはそういって苦笑いをした。
かくして猛勉強の末親れいむは見事金バッジ試験に合格した。
親れいむ以上に喜んだのは子れいむだった。もともと親思いのいい子ゆっくりだった。試験に合格したのが自分のようにうれしかったのだろう。
しかしあまりにはしゃぎすぎた。はしゃぎすぎて散歩中子れいむは車道に飛び出てしまう。
子れいむに気づかずせまる車。子供を助けようとする親れいむ。しかし間に合わず結局二匹とも・・・・
「・・・しんじゃったの?」
「ああ。結局俺の手元に残ったのは一度もつけることのなかったその金バッジだけだった。」
「ゆう・・・・でもだとしたらそんなだいじなものれいむもらっていいの?」
その話が本当だとしたらこの金バッジはそのれいむ親子の形見同然。お兄さんにとっても大切なものなはず。
「ああ、かまわないさ。どうせ俺には必要ないものだ。それに・・・」
「それに?」
「案外このバッジはお前みたいなゆっくりにふさわしい物なのかもな。」
そう言うとお兄さんは照れたように顔を背けてしまった。
「ありがとう。おにいさん。おにいさん・・・とってもいいひとだね。」
「よせよバカ野郎。もう必要のないガラクタだからくれてやっただけだ。」
その後れいむはお兄さんに何度もお礼を言い家路に着いた。


家に帰ったれいむは母れいむをびっくりさせた。
飼いゆっくりでもエリートしかつけることの許されない金バッジを野良の娘が持ってきたのだから当たり前である。
当然事情を聞かれ、危ないことをするなとこっぴどく叱られるれいむ。
しかしそれもれいむにとっては心地よかった。二度と会えないと思っていたお母さんの声だから。
ひとしきり叱られた後れいむはこの金バッジをもらって欲しいと切り出した。
最初母れいむは固辞したが、れいむがどうしてもと言うので結局バッジは母れいむがつけることになった。
母れいむの頭でさんさんと誇らしげに輝く金バッジ。
良かった。大好きなお母さんに金バッジをあげられて。
れいむはその母の雄姿をいつまでも見ていた。


夕焼けに染まる町にたたずむれいむ親子。れいむたちの影を夕日が長く伸ばしている。
「おかあさんごめんなさい・・・」
おずおずと母へ謝るれいむ。思えばまだれいむは今朝のことを謝罪していなかった。
「ゆっ?なにが?」
「あさにれいむおかあさんにひどいこといっちゃったよ・・・おかあさん、れいむのためにいつもがんばってくれてるのに・・・」
「いいんだよ。ぜんぜんおかあさんおこってないよ。おかあさんこそやくそくまもれなくてごめんね。そのかわりね・・・」
「ゆっ?」
「きょうはたくさんごはんさんがとれたんだよ。だからあすはやまさんにぴくにっくにいこうとおもうんだけど。」
「ゆっ!!ほんと!?」
思わぬ幸運にもみあげをピコピコさせて喜ぶれいむ。
きっとこの金バッジがこの幸せを呼んでくれたに違いない。この金バッジは幸せを呼ぶ金バッジなのだ。
本気でそう思うれいむ。実際はただの偶然なのだが。
木枯らしがれいむ親子に吹き付ける もうすぐ冬が来る。野良にとっても冬はつらい季節だ。
でも大丈夫だろう。れいむには自慢のお母さんとこの金バッジがあるのだから。
明日もいい日でありますように。そうれいむは金バッジに願う。
母れいむの金バッジが夕日を反射し宝石のようにきらめいていた。






その日れいむはなかなか寝付けなかった。
横でねている母を見る。その頭には金バッジがダンボールハウスの隙間からもれる月の光で輝いている。
金バッジには金色の地金に何か文字が書いてある。最初れいむは模様かと思っていたが母れいむにこれは文字さんといって何かを伝える為に人間さんが作ったものだと教えられた。
なんて書いてあるんだろう?母れいむも生粋の野良である為何と書いてあるかまでは解らなかった。
まあいいや。きっとゆっくりできる事が書いてあるに違いない。だってこれは幸せを呼ぶ金バッジなのだから。
そう思いうっとりしていたれいむだったが不意に入り口のほうからガタゴトと音が聞こえた。
こんな時間に誰だろう。不審に思い様子を見に行くれいむ。そこいたのは・・・
「ぎゃああああああああ!!れみりゃだぁあ!!!!」
「うー。やっぱりここにあまあまがいたどー。」
そこにいたのはれみりゃだった。入り口のバリケードを破壊して今にも入ってきそうである。
「ゆっ!?れみりゃ!!」
物音を聞きつけ飛び起きる母れいむ。そして次の瞬間バリケードが破壊され、れみりゃが巣に入ってきた。
「うーあまあま・・だどっ!?」
ダンボールハウスの外まで吹っ飛ばされるれみりゃ。一瞬の隙を突いた母れいむの体当たり攻撃が見事ヒットしたのだ。
「さあおちびちゃん。ゆっくりしないでついてきてね!!」
急いで逃げ出すれいむ親子。命がけの追跡劇の始まりである。
子ゆっくりを連れ捕食種相手のあまりに不利な鬼ごっこ。しかし勝算がある。母れいむはこの町の地理を知り尽くしておりどこへ逃げれば逃げ切れるか知っているのだ。
れいむ親子は雑木林に入った。ここなら確実にれみりゃは自分達を見失うはずだ。はずだったが。
「うー。あまあま・・・みつけた・・・。」
「うー、まま、こっちのちいさいのもつかまえた。」
ガシッと鷲づかみされるれいむ親子。胴つきふらん親子に捕まったのだ。
「あまあまみつけ・・・げっ、ふらんがいるどー」
更にまいたはずのれみりゃまでなぜかこっちに来ている。
なぜ?なぜだ?これじゃまるでこちらの位置がわかるみたいじゃないか。
そもそもなぜれみりゃはれいむたちのおうちを見つけられたのか。カモフラージュして今まで一度もばれたことがないのに。
わからない。わからない。
絶望感と困惑で母れいむは視界がグニャリと歪むのを感じた。

その時雑木林がガサガサ揺れる音がした。
誰か来たのだ。ふらん達はきっと身構える。
「おーい。ちょっと待ってくれないか。」
現れたのは一人の男だった。なぜかビデオカメラを手に持っている。
男の顔を見てぱあっとれいむの顔が輝いた。昼間れいむに金バッジをくれたお兄さんだったからだ。
「おにいさぁああああああん!!れいむたちをたすけてぇ!!」
もう大丈夫だ。あの優しいお兄さんが助けてくれる。そう思いれいむは安堵した。
事実、人間の強さを知っているふらん親子はすでに逃げ腰であり、れみりゃに至っては胴つきふらんや人間相手では適わない一目散に逃げている。
「あー、いーいーそのままで。俺は別にお前らの狩りの邪魔をするつもりはない。ただそいつらと5分ほど話をさせてくれ。そしたらそのれいむたち煮るなり焼くなり好きにしていいから。」
エッ!?ナニヲイッテルノ、オニイサン?
予想外の一言にきょとんとするれいむ。
対してふらん達は相手に敵意がないことを感じると大人しくその場でれいむ達を持ったまま待機した。
「お、おにいさんれいむだよ!!きんばっじさんをもらったれいむだよ!!おねがいだからたすけてぇええええ!!!」
必死に懇願するれいむ。子ふらんに捕まったままジタバタともがいている。
「ああ知ってるよ。お前が帰る途中ずっと後をつけていたからな。それからずっと捕食種たちが襲ってくるまでずっと刑事ドラマよろしく巣の近くで張り込んでたんだぞ。もう冬も近いのに大変だったぜ。」
ナニヲ、ナニヲイッテルノ、オニイサン?
お兄さんの話を聞きながられいむはがくがく震えていた。寒いからではない。なんだかすごく悪い予感がするからだ。
「なんで捕食種が襲ってくるのが解るかって?簡単さ。そこの母クソ袋がしてるバッジにれみりゃやふらんしか解らない匂いがする香料をたっぷり塗りつけておいたからさ。れみりゃ達が好むゆっくりの匂いがする香料をな。
こいつは強力だから半径50メートル以内のれみりゃ達が匂いにつられて群がってくる。後はれみりゃ達が行動する夜になればバッジをつけたお前らが襲われるって寸法さ。」
「どうして!?どうしてそんなことしたのぉおおおおお!!おにいさんはいいひとだったでしょおおおおお!!!?」
絶叫するれいむをお兄さんはニヤニヤしながらカメラで取り続ける。裏動画サイト「ニヤニヤ動画」に動画をアップするためだ。
「バァァァァァァァァカ!!そんなはずないだろ。おれは虐待おにいさんなんだだ。お前らクソ饅頭どもに絶望、苦悩、苦痛、そして無惨で無意味な死を与える為に存在してるんだよ。」
「じゃああのむかしかっていたれいむたちのおはなしは・・・」
「そうさ、全部作り話だよ。俺はガキの頃からゆっくりを虐待以外したことがねえ。その金バッジも普通のバッジに金の折り紙はっつけてマジックで適当な言葉を書き込んだだけだ。
にもかかわらずころっと騙されやがって。一度吹き出して笑いそうになっちまったぜ。」
「そんな・・・どうして・・・」
もはや消え入りそうな声のれいむ。虐待おにいさんはそんなれいむを見て悪魔のようにニヤリと笑う。
「どうしてだと?お前が盗人の真似をするからだろーが。なに被害者面してんだよ。
それともなにか。お母さんのためっていう大義名分のためなら人のうちへ勝手に入ろうが、盗みをしようが、人殺そうがしょうがないってか。
だったら家族のために畑あらしをするゲスは無罪か!?群れの為にドススパークで脅迫して食料を強奪するドゲスに罪はないのか!?
俺はてめぇみたいな善良ぶったゲスゆっくりが大嫌いなんだよ!!」
「せめておかあさんだけでもたすけて・・・」
「ダメェエエエエエエエ!!!断固拒否ッ!!!ゲスを育てた親も連帯責任とするッ!!!そもそもクソ饅頭ごときが幸せだのゆっくりだの欲しいと思ってるのが間違いなんだよっ!!!
いいですか、お前らには絶望しかありまシェーーーーン!!!死んだ魚のような目で生ゴミをむさぼり、加工所や他の動物におびえ続けながら、仲間同士でも罵倒し、騙しあい、奪い合い、傷つけあう。
夏は暑さで干からびて死に、冬は飢えて凍えて死に、春も秋もなんとなく無惨に死んでいく。
それがゆっくりなんだよ!!そこに希望も幸せも、もちろんゆっくりも一切ないッ!!!!」
「ゆう・・・そんな・・・」
「ははっいいぞ、その表情。その絶望に満ちた顔。全くあの場で潰さなくてホンと良かった!!」
「ゆゆっ、おちびちゃんをいじめないでねっ!!れいむおこるよっ!!」
子供が罵倒されるのに我慢できなくなったのか母れいむが口を出してきた。
もっともふらんに捕まっているこの状態ではぷくーっぐらいしかできなかったが。
「はっはっはっ。いい母親をもったなれいむ。これからお前のせいで死んじゃうのにまだお前の味方をしてくれるなんて。まあ精々ふらんに中身吸いつくされて死ぬまで仲良くやってくれ。俺はもう帰るから。それじゃあそのお似合いの金バッジと一緒にゆっくり死んでってね!!!」
虐待おにいさんはそう言い残すと意気揚々と立ち去っていった。
ふらん達に囚われたれいむ親子を置き去りにして。


結局れいむたちはふらん親子によって巣まで連れて行かれた。
れいむたちはいまふらん達の巣の中にいる。ふらんたちの冬の間の食料。それが今のれいむ達だ。
捕食種の食生活には2パターンある。ゆっくりが主食であり草や虫はあまり食べないタイプと草や虫を普段食べてゆっくりは冬などの非常食にしておくタイプ。れいむ達のつかまったふらんは後者に近い。
ただ違うのはこのふらん一家はかなり知能が高く捕まえたゆっくりを非常食でなく家畜として見ている点だろう。
一回で全て餡子をすすろうとせず、ある程度吸った後、枯葉や木の皮などを与え生かし続ける。
こうすれば半永久的に食料に困らないというわけだ。もっとも食料にされるゆっくりにはたまったものではないが。
ドガ、バキッ、グシャッ!!!
「うーしねしね。」
「やべっ、やべて、やべてね。」
母れいむはあんよを齧られ動けなくされた後、親ふらんのサンドバッグになった。こうして痛めつけることより餡子が甘く美味しくなるのだ。
「やめてぇええええ!!!おかあさんをいじめないでぇええええええ!!!」
母と同じくあんよを齧られ動けなくされているれいむには泣き叫ぶことしかできない。
自分のせいで・・・自分が金バッジなんかあげたせいでお母さんがあんなめに・・・・
ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい。
れいむは心のなかであやまり続けた。


今日は初雪が降った。巣の中からでも白い雪が舞い降りるのが見て取れる。
でも自分には関係がない。どうせここからは出られないのだし、自分はここで死ぬのだから。
れいむは母を見る。 強くて優しくて賢くて自分の自慢のお母さん・・・だったものを。
毎日のようにふらん親子に殴られ続けた結果、歯はほとんどへし折られ目玉も飛び出し、顔もアザだらけ。
中枢餡にも深刻な損傷があるらしく精神的にも完全に壊れてしまった。
れいむの言葉にも反応せず、ときおり訳のわからない奇声を上げながらうんうんやしーしーを撒き散らす狂ゆっくり。
そんなものに母はなってしまったのだ。
れいむは早く死にたかった。死だけが救いなのだ。
そんなれいむの光なき目が金バッジをとらえる。子ふらんはえらく金バッジが気に入ったようで、母れいむからむしりとったバッジは子ふらんの宝物として巣の中に大切に飾られている。
その金バッジには一言こう書かれていた。



「バーカ」


あとがき
いつもご愛読ありがとうございます。長月です。
餡子ンペ09出展第2弾である本作は、虐待と見せかけた愛でだった第1弾「ゆっくりを愛でてみた」とは対照的に、愛でに見せかけた虐待をコンセプトにしています。
ご意見、ご感想等コメント欄に書いてくれると励みになります。
追伸
何気にてんこが5連続出演。もうてんこが止まらない。

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感想

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  • なんかお兄さんに良い印象持たない奴がいるけど、
    お兄さんの家に物盗みに行った事は事実なのに
    悲劇のヒロインぶってお兄さんに制裁されても
    まだ自分や自分の親の保身の事考えてるんだから、
    善良なんかじゃなくて、むしろ普通のゲスと違って
    一見良いことをしているように見えるから特に質の悪いゲスだよ。
    しかも、最後のふらんに捕まってからの描写を見るに
    まだ金バッジあげたからとか見当違いな事言ってる。
    自分が何をしたかを最後まで
    理解してないどうしようもないゲスだ -- 2016-01-25 04:15:08
  • ニヤニヤ(^ ω ^) -- 2016-01-22 23:50:19
  • ↓ごめん、「この」が一つ多かった -- 2015-10-10 21:40:30
  • まぁこのこのれいむは善良の仮面をかぶったゲスってことだな。おにーさんマジ正論
    -- 2015-10-10 21:39:49
  • 「バーガ」ww -- 2015-07-05 15:06:23
  • 消防乙↓ -- 2014-06-15 18:18:47
  • 管理人死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね消えろランランルーバイバーイあとこんなコメ書いてる奴も、死ね死ね死ね死ね死ね(^ω^) -- 2013-06-21 20:59:41
  • あげておとすのはやめてね!ゆっくりできないよ!! -- 2012-10-03 05:45:44
  • 感動もののいい話かと思ったら虐待もののいい話だった -- 2012-09-18 02:35:11
  • 自分は愛で寄りだけど、この鬼威山は間違ってないと思う。
    人間の領域を侵して物を奪おうとした時点で間違いなく悪だし、ましてやこの子れいむの場合は完全に自分の都合で、生死がかかった切羽詰まった状況で仕方なく…っていう訳でもないし。
    逆にこの鬼威山がいい人でれいむ親子はしあわせーに暮らしました、なんてことになってたら、人間の家を荒らすゆっくりが増えるだろうな。 -- 2012-07-05 09:10:05
  • うーむこの虐待鬼威山は人間として好きになれん -- 2012-06-25 11:52:29
  • ダメェエエエエエエエ!!!とありまシェーーーーン!!!で思わずむせた -- 2012-03-15 00:14:19
  • 一種のパフォーマンスですな。 -- 2011-05-07 19:13:06
  • なんとなく無残に死んでゆくそれがゆっくり     
    名言だと思った。 -- 2011-01-27 02:10:33
  • ヒャッホオオオォォォー!!鬼威惨の絶対的な演技と策によってゴミカス饅頭親子死亡確定!!!ッシャアアアァァァッ!!!ハッピーエンドオオオオォォォォォ!!! -- 2011-01-26 01:57:48
  • ゆ虐好きだけど、リアルなゲス人間が出てくるのは結構引く~
    人間の暗黒面だか韓国面だかの具現としてゲスゆっくりを制裁するのが一番ときめくな
    虐待おにいさんは能天気なテンプレタイプのが好き。
    -- 2010-12-12 14:23:29
  • とても面白かったです!
    途中までは子れいむを愛でるんじゃないかとハラハラしましたが
    その反動で虐待鬼威山が正体を現した時はスカッとしました!
    欲を言えば子れいむのサンドバックも見たかったですねw -- 2010-11-27 18:57:37
  • >善良ゆっくり消したらゲスゆっくりが増えるじゃん・・・
    え、人様の家に侵入して荒らすゴミ饅頭が善良…?
    日本語が読めないか、頭が終わってるのかどっちだろう -- 2010-09-24 08:56:48
  • ゆっくりはかわいい。ゆっくりを愛してる。通常だとか希少だとか関係ない。ゆっくりはかわいい。
    そんな愛らしいゆっくりが理不尽に痛めつけられ殺される様に酷く興奮する。つまりドS。 -- 2010-08-21 21:27:27
  • どっちが屑でもゲスでもいいの!ゆっくり共が絶望にまみれて死にくされば!!ざまぁゆっくり!お前らにはそんな死に様がお似合いだ! -- 2010-07-30 22:30:15
最終更新:2009年11月21日 09:55
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