プラネット・ゆース 11KB
観察 パロディ 捕食種 自然界 創作亜種 うーぱっく すぃー 愛で寄り
日頃の御愛顧、ありがとうございます。二行です。
この時間は、『YHKスペシャル プラネット・ゆース』をお送りします。
ゆっくりの知られざる生態を、独自の設定に基づき、ご紹介致します。
脳内デジタル放送による鮮明な映像を、どうぞお楽しみ下さい。
なお、当局は、虐待専門チャンネルではありません。
とにかく、ゆ虐を楽しみたい方は、ゆナッフTV等の専門チャンネルをご利用下さい。
『YHKスペシャル プラネット・ゆース
~うーぱっく&すぃー 誕生の瞬間をカメラがとらえた~』
ここはある森の中。
初めに登場するのは、れみりゃの親子です。
胴付きの成体がうつ伏せに横たわり、顔だけの子供達がそれに群がっています。
「うー、おがあざーん。しっかりするんだどー」
母親は、動きません。
既に顔が潰れ、絶命しているのです。
しかし、頭のお飾りと、胴体部分は無傷。
ここから、新たなる物語が始まります。
子供達が諦めて、どこかへ立ち去っていきます。
時間を、少し進めましょう。
変化が始まりました。
帽子のようなお飾りがひとりでに外れ、地面に転がります。
その姿はまるで、台所に置いてあるボウルのよう。
ゆらゆら揺れながら形を変え、やがて長方形の箱型になっていきます。
そして、片面に、れみりゃの顔のようなものが浮かんできます。
全体の色が、薄いピンクから、茶色に変わっていきます。
メラニン色素が生成され、表皮が丈夫なものに変化しているのです。
サイド部分から、耳のようなものが生えてきました
段々と伸びて、やがてパタパタと動くようになります。
これは、翼です。
ゆっくり、ゆっくりと、お飾りだったものが浮上します。
まるで蓋の開いた段ボールのような外観。
そして、生前を思わせる、ユーモラスな顔。
「うー☆!」
鳴きました。
うーぱっくの誕生です。
うーぱっく誕生のメカニズムは、どうなっているのでしょうか。
その前に、ゆっくりの生態について、興味深い新説をご紹介したいと思います。
ゆっくりのお飾りは、本体と成長を共にすることは、よく知られています。
これは、人間でいうところの神経が、本体からの成長信号を伝達しているためです。
この神経は、餡子を包む皮の中にも、不可視の状態で張り巡らされています。
お飾り部分は、この外皮と同じ構造を持つと考えられています。
違うのは、着脱が可能である、ということです。
取り外した状態の時は、一時的に信号伝達が閉ざされると考えられています。
ゆっくりが死滅する時、お飾りだけが残る場合と、そうでない場合があります。
たとえば、突然の豪雨に遭った時。
あるまりさは、お帽子ごと溶けてしまったのに、隣りにいた同種は、お飾りだけが残る。
この不可解な現象も、信号伝達の阻害、という言葉で説明が付きます。
前者は死滅信号がお飾りまで行き届き、生成組織が崩壊。
後者は、何らかの原因で信号が届かず、お飾り部の崩壊を免れているのです。
『ゆっくりは、思い込みの生物』といわれる所以です。
冒頭に出てきたれみりゃも、死滅信号が、正しく伝達されませんでした。
状況から考えて、死因は、高所からの落下。
恐らく、中枢部に強い衝撃を受け、即死だったのでしょう。
激突時の衝撃により、神経結合は容易に外れます。
だからこそ、お飾りと胴体部分は、崩壊を免れて得るのです。
それでは何故、れみりゃ種のお飾りが、うーぱっくになるのでしょうか。
ゆっくりには元々、『誰かをゆっくりさせたい』という本能があります。
それは、時代の経過と共に、大きな変化を見せていきました。
誰か、という不特定多数から、幼体や、自分自身へと対象が移り変わっていったのです。
この性質の変化が、いわゆるゲス行為などの原因ともなっています。
種の存続を無意識に求めた結果が、これだ、と言われています。
「ゆっくりしていってね!!!」
しかし、この鳴き声にも現れている通り、根底には他者への思いも残されています。
死の間際で、驚く程の改心を見せるゲスゆ。
一方で、簡単に増長する善良ゆ。
自己愛と奉仕の狭間で揺れ動きながら、短いゆん生は過ぎていくのです。
そしてうーぱっくは、基本的に、他者のためにだけ行動します。
脆弱かつ不自由なゆっくりのために、運搬に似た活動を行います。
代償はほとんど求めず、自らは僅かな餌で生命を繋ぎます。
あまりにも、他のゆっくりとはかけ離れた生態です。
ある研究者は、これは無意識の解放によるものだと、考えました。
生前、生き延びるために抑制されていた奉仕の本能。
それが、意識の消滅により解き放たれ、一人歩きしているのだ、と。
しかしそれだけでは、れみりゃ種だけ、という説明が付きません。
研究者は、こう説明しています。
うーぱっくに必要なのは、空を飛ぶ能力。
それを持っているのは、れみりゃやふらん、きめぇ丸等、限られた個体です。
飛行能力を持つゆっくりの中で、最も奉仕に似た感情を保つもの。
それが、れみりゃである、というのです。
確かにれみりゃ種は、他の飛行ゆっくりと比べて、子育てに熱心です。
加えて、さくや種などには、種を越えた愛着を示します。
ともあれ、まだうーぱっくの大部分は謎に包まれている、というのが現状です。
カメラを戻します。
高く飛び立つ、うーぱっく。
どこへ行くのというのでしょう。
その行方を追う前に、れみりゃの胴体部分を観察します。
ここからは、世界初の映像となります。
頭と首から下が、ぷちりと外れました。
映像の速度を速めると、頭部が激しく腐敗していく様子が、見て取れます。
しかし、胴体部は、全く違った変化を見せます。
まず手足がピーンと張り、「土」の字を書くように平行に広がります。
死後硬直のようですが、それだけではありません。
40時間が経過しました。
伸びた四肢が、今度は徐々に根元へとめり込んでいきます。
圧縮された四肢は、密度の高まりと共に、黒く変色していきます。
それと対照的に、胴体部は鮮やかなピンク色へと姿を変えます。
これは、表皮の融解と再構築による変化だとされています。
色だけではなく、造形も、完成に近付いてきました。
縮んだ四肢は円形に収まり、胴体部は、ゆっくりと平べったくなっていきます。
それはまるで、ハンドルの付いてない台車のようです。
れみりゃの死から、3日が経過しました。
頭部はくすんだ土塊と化し、代わりに、色鮮やかなものが生まれました。
ゆっくりの乗り物、すぃーです。
しかしこのままでは、すぃーは一歩も動くこともできません。
乗り物である以上、運転手が必要なのです。
「ゆ? あれは、すぃーなんだぜ?」
早速、野生のまりさが見つけたようです。
「まりさがみつけたのぜ! ゆっくりしないで、いただくのぜ!」
ピョンと、まりさが乗ります。
途端に、すぃーは動き出します。
「すごいのぜ! すぃーは、ゆっくりできるのぜ!」
ゆっくりにあるまじき速度で、森を駆け抜けるまりさ。
まさかあの乗り物が、れみりゃだったなんて、知る由もありません。
すぃーに関して、私たちが最も抱く疑問。
それは、すぃーはどうやって動いているのか、ということです。
すぃーは、れみりゃの胴体から生まれました。
いわゆる胴付きゆっくりの胴体部は、表皮と全く同じ構造になっています。
いわば、胴体とは、ゆっくりにとってたんこぶのようなものです。
こぶとはいえ、神経が通っている以上、自在に動かすことができます。
実は、胴付きゆっくりのの手足とは、手足のように使えるこぶに他ならないのです。
その手足的なものを動かそうとするのは、本体の働きであり、意識です。
ここで思い出して頂きたいのは、先ほどのうーぱっくに関する研究。
中でも、『無意識の解放』についてです。
うーぱっくは、抑制された奉仕の本能が解き放たれた姿です。
そして胴付きの胴体とは、ある意味では頭部に仕える奴隷、奉仕そのものです。
自我を本体に依存し、命じられるままに、運動を行います。
元々の主人から解放された胴体。
しかしその後も、新たなる主・意識を求め、変態を行うものがいます。
それが、すぃーです。
すぃーの上にゆっくりが乗ると、神経がリンクされるといわれています。
あたかも、その時だけ、胴付きゆっくりになるように。
だからこそ、発進、加速、減速、停止などが思いのままになるのです。
ここで再び沸き上がる疑問。
何故、れみりゃ種なのか。
現在確認されているすぃーは、全てれみりゃ種から生まれたものです。
研究者の中では、様々な憶測が飛び交っています。
巨大種であるティガれみりゃからは、ドス種が乗る、どすぃーが発生する。
他の胴付きからも、すぃーは生まれるはずだ、等々。
ある人は、胴付きまりさの胴体から、箒型のすぃーが生まれたと主張します。
しかも別のまりさが、その箒すぃーに乗って、はしゃいでいたと。
「びゅーん、びゅびゅーん」(CGによる想像図で喜ぶまりさ)
うーぱっく同様、すぃーの解明も、まだ端緒に着いたばかり。
そもそも何故、車のような形になるのか。
説明できる者は、まだ、いません。
ここからは、追跡型カメラに切り替えます。
うーぱっく・すぃーと共に生きるゆっくり達を、躍動感溢れる映像と共にご覧下さい。
「れ、れみりゃだぁぁぁ!」
先程、すぃーを手に入れたまりさです。
どうやら、捕食種に襲われてるようです。
「うー☆」
「あまあま、まつんだどー」
こちらも、冒頭に登場した子れみりゃのようです。
この付近では、木々が鬱蒼と生い茂っていて、日光が遮られています。
夜行性であるれみりゃも、存分に活動できる空間なのです。
「は、は、はしるのぜ! ゆっくりしたら、えいえんにゆっくりしちゃうのぜ!」
「れみりゃさまからは、にげられないんだどー」
「ばん、ごはん、うー☆」
軽快にすぃーが走り、まりさの逃走を助けます。
もし乗り物がなければ、あっというまに捕食されていたでしょう。
草むらを抜け、石ころを避け、土肌を車輪が切り裂きます。
れみりゃも負けじと、高度を上げ下げし、追いすがります。
迫力のチェイス。
勝つのは、どちらでしょうか。
「うー。つばさが、いたいんだどー」
「しっかりするんだど! あまあま、たべそこなうんだどー!」
「にげるのぜ! まりさは、いきのびるんだぜ!」
距離が、離れていきます。
すぃーには、意識はありません。
つまり、疲労という概念そのものが、存在しないのです。
れみりゃは生き物です。しかも、まだ幼体に近い。
当然、息切れを起こします。
「もう、だめなんだどー・・・」
「うー★・・・」
落葉のように、れみりゃがヒラヒラと落下します。
「ややや、やったのぜー! まりさは、ゆっくりするのぜぇぇぇぇ」
遠ざかるまりさと、すぃー。
2匹のれみりゃは、歯を食いしばって悔しそうです。
「うんんんぎいいい、だどー」
「とびすぎて、おなかぺこぺこだどー」
「このままだど、えいえんに、ゆっくりするんだどぉ」
「ざくやぁ・・・」
遠くから、激しい羽音が聞こえます。
別のれみりゃ。
または、ふらんでしょうか。
だとすれば、子れみりゃの生命はありません。
「うっうー☆」
うーぱっくです。
上空より、舞い降りてきました。
体が少し膨れ上がっています。
何かを、中に詰め込んでいるようです。
「なんなんだど?」
「もしかして、うーぱっく、なんだど?」
「うー☆」
うーぱっくが、地面スレスレにまで高度を下げます。
そして、底を、パカッと開きます。
ドサドサッと、中身が落ちます。
「のいちご、なんだどー!」
「まっかな、あまあまだどー!」
「うっうう、うー☆」
「たべて、いいんだど?」
「うーうー☆」
「あ、あ、ありがとだどー!」
「うーぱっくは、さくやなんだど!」
「うー☆」
2匹のれみりゃは、木の実に貪り付きます。
口の周りを真赤にして、まるで、吸血鬼のようです。
それを見て、満足そうに、うーぱっくは飛び立っていきます。
餌を取り逃がす原因となった、すぃー。
餌を与えてくれた心優しき、うーぱっく。
そのどちらも、子れみりゃの母の、成れの果てなのです。
なんという、皮肉なことなのでしょうか。
そういえば、あのすぃーに乗ったまりさは、どうなったのでしょうか。
別のカメラが、追いかけていました。
大きな木の根元。
そこに、顔面をめり込ませて沈黙しているゆっくりがいます。
あの、まりさです。
傍らには、惰性で動く、すぃー。
どうやらまりさは、暴走した挙句、木に激突してゆん生を終えてしまったようです。
緩やかな傾斜で、すぃーが動きます。
そこに通りかかったのは、これまた、まりさ。
「ゆっ! これはゆっくりした、すぃーなのぜ!」
そういって飛び乗ると、そのまま森の奥へと消えていきました。
同種の死骸には、気付くこともなく。
うーぱっくと、すぃー。
れみりゃから生まれたそれは、ゆっくりとはかけ離れた姿になってしまいました。
それでも2匹は、誰かをゆっくりさせるために、日夜、生きています。
或いは彼らこそ、最もゆっくりの名に相応しい生き物なのかもしれません。
『YHKスペシャル プラネット・ゆース
~うーぱっく&すぃー 誕生の瞬間をカメラがとらえた~』
製作:
YHK(ゆっくり放送協会)
カメラ:
脳内
音楽:
脳内
脚本・語り:
二行
収録:
餡小話
Wiki
今回の『プラネット・ゆース 第一夜』、いかがでしたでしょうか。
次回は、『ヒマラヤを飛び越える、きめぇ丸の群れ』をお送りします。
お楽しみに。
(終)
【過去作】
nue009 「ブラックペーパー・チャイルド」
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- これまでほとんど考察されることがなかったすぃーとうーぱっく、そしてゆっくりが溶けても飾りだけが残ることの理由。
これらについての独自の設定を見事なまでに完成させている。
極めて意欲的で、発展的だ。素晴らしい作品だ。 -- 2012-08-04 15:30:14
- すぃまりさは食物連鎖の理に逆らったのが原因だと言う仮説を立てるww -- 2012-01-11 18:15:29
- Ω ΩΩ<な、なんだってー!? -- 2011-09-18 11:01:02
- な、なんだってー!?
確かにうーぱっくのみょんな形状は不思議だったしな。面白いアイディアだww -- 2010-10-17 22:50:47
- 面白いwww -- 2010-06-22 13:00:27
- すぃーまりさザマァwww -- 2010-06-17 17:03:03
- な、なんだってー! -- 2010-06-17 06:36:04
最終更新:2009年12月18日 21:10