波形メモリ音源

波形メモリ音源

矩形波とノイズしか発音できなかったPSGを基に機能を拡張した音源。
任意に作成した短い波形をループして発音することで、矩形波以外の音色を発音できる。
PSGの尖った音に比べ、柔らかい音や丸みのある音を表現できるようになった。
短い波形を高速で更新していくことができればPCM(サンプリング)相当に使用することも出来る。

代表的なサウンドチップ

  • ナムコ
    • 任意波形発生回路
      • 最大同時発音数:3チャンネル (『ポールポジション』シリーズでは実質6チャンネルステレオ *1 )
      • 量子化ビット数:4bit (16段階)
      • ループあたりのサンプル数:32
      • 石村繁一氏による回路設計
      • パックマン』から『ゼビウス』まで使用
      • 他社作品ではあるが『ペンゴ』(コアランド/セガ)、『ポンポコ』(セイブ電子/シグマ)でも採用
    • カスタム15 (C15)
      • 任意波形発生回路を1チップに集約したもの
      • 最大同時発音数:8チャンネル
      • 小川徹氏による開発設計
      • 『スーパーパックマン』から使用
      • 『グロブダー』では音声合成の再生も実現している
    • カスタム30 (C30)
      • C15まではメインプログラム側でしか制御できなかったノイズがサウンドプログラム側で設定可能に
      • 16チャンネルモードもあったが、時分割処理で音質が悪くなるためにほとんど使用されなかったという *2
      • パックランド』や『ドラゴンバスター』などから使用
      • バラデューク』では音声合成の再生も実現している
      • システム86(『ホッピングマッピー』など)でも使用
      • システムI(『プロ野球ワールドスタジアム』など)に使用されたものはステレオ出力に対応
      • ナムコ開発内では「カスタムサンマル」と呼ばれていた *3
    • カスタム140 (C140)
      • 最大同時発音数:24チャンネル (それぞれPCMと選択可能)
      • 量子化ビット数:12bit (4096段階)
      • 小川徹氏による設計
      • C30の思想を発展させたカスタム音源
      • デジタル処理による音量の掛け算、ステレオデータ加算を実現
      • 大容量のメモリに対応しており、リズム音色などのサンプリング音源とのハイブリット音源となっている
      • システムIIより採用。初登場はそれをベースにしたカスタム基板の『ファイナルラップ
      • NA-1, NA-2基板で採用されたC219では、最大同時発音数が16に削減されている
    • 163
      • 通称N106 (そのような名称のチップが実際にあるわけではない)
      • ファミコンタイトルに搭載されたメモリコントローラチップ
        • ファミコンのアドレス空間を広げるためのものだが、スペースが余りサウンド機能を付けたもの *4
      • 最大同時発音数:1~8チャンネル (可変だが、音質を担保するため4チャンネルまでの使用としている作品が多い)
      • 量子化ビット数:4bit (16段階)
      • ループあたりのサンプル数:64 (8チャンネルの場合)~120 (1チャンネルの場合)
      • 石村繁一氏による設計
      • ファミコンソフトの『えりかとさとるの夢冒険』、『マッピーキッズ』、『女神転生II』などで音源部を使用
      • 搭載していても音源部を使用されていない作品もある
      • 厳密には『スターウォーズ』にのみ搭載された129が先で、音源の仕様も163とは若干異なるようだが、未使用
      • 後継チップにあたる340 (『ワギャンランド2』など)や175 (『ファミスタ'91』など)では、音源回路は削除されている
  • 新日本企画
    • 名称不明 ("SNK Wave"と呼ばれることがある)
      • 最大同時発音数:1チャンネル
      • 量子化ビット数:3bit (符号なし8段階)
        • ループごとの波形が点対称の形となるため、実質的には符号あり16段階といえる
      • ループあたりのサンプル数:16
      • 『マービンズメイズ』では足音などの効果音に使用
      • 『ヴァンガードII』では対空ショットなどの効果音やエクステンドジングルに使用
  • テーカン
    • SENJYO』基板の低音回路
      • ヒューズROMに書き込んだ波形をタイマーICで読み出している
      • ラーダー抵抗を使用したDACでアナログ化している
      • のちに『スターフォース』でも使用
  • コナミ
    • 005289
    • 051649
      • 正式名称はSound Creative Chip (SCC)
      • コナミが東芝と共同開発した波形メモリ音源兼メモリーバンク制御チップ
      • コナミ開発二部の上原和彦氏、春木豊氏らにより開発 *5
      • ディスクシステムに搭載されたような音源をMSXにも欲しいという話が開発のきっかけ *4
      • 最大同時発音数:5チャンネル
      • 量子化ビット数:4bit (16段階)
      • ループあたりのサンプル数:64
      • チャンネル4,5で使用する波形を共有
      • 音程データはPSGとコンパチで、データの相互共有を容易にしている
      • シティボンバー』、『にゃんにゃんパニック』、MSX用ゲーム、キッズメダル機などで使用
    • 052539
      • SCC-I 2312P001, SCC+などの呼称がある *6
      • チャンネル4,5で個別の波形を設定可能になったSCC
      • MSX2版『スナッチャー』、『SDスナッチャー』に付属したSCCカートリッジに使用
  • 任天堂
    • RP2C33
    • ゲームボーイ / ゲームボーイアドバンス
      • 波形メモリ音源を搭載している
      • 最大同時発音数:1チャンネル
      • 量子化ビット数:4bit (16段階)
      • ループあたりのサンプル数:32
    • バーチャルボーイ
      • VSU (Virtual Sound Unit) と呼ばれる内蔵音源に波形メモリ音源を搭載している
      • 最大同時発音数:6チャンネル (ノイズ専用のチャンネル6を含む)
        • チャンネル1,2,3,4:波形メモリ
        • チャンネル5:波形メモリ (スイープまたはモジュレーションを適用可)
        • チャンネル6:ノイズ
      • 量子化ビット数:6bit (64段階)
      • ループあたりのサンプル数:32
      • チャンネルごとで左右のそれぞれのスピーカに16段階の音量を設定可
      • エンベロープを適用可能
  • ハドソン
    • HuC6280
      • PCエンジンに搭載
      • 65C02をカスタムし拡張したもの
      • 最大同時発音数:6チャンネル
        • チャンネル1,2:波形メモリ2チャンネルまたはFM1チャンネル
        • チャンネル3,4:波形メモリ2チャンネル
        • チャンネル5,6:波形メモリ(メロディまたはノイズ)2チャンネル
      • 量子化ビット数:5bit (32段階)(対数変換方式)
      • ループあたりのサンプル数:32
      • LFOを内蔵
      • 各チャンネルはCPUが書き込んだ値をそのまま出力するダイレクトD/A(DDA)モードにも設定可能
      • アーケード版『ならず者戦闘部隊 ブラッディウルフ』でも音源として使用 *7
      • 『スーパーメダルファイターズ』、『フィッシングマスター』といった業務用メダルゲームでも採用
    • HuC6230
      • PC-FXに搭載
      • HuC6280に2chのADPCMが追加されたもの
  • セタ&アルュメ
    • X1-010
      • 最大同時発音数:16チャンネル (それぞれPCMと選択可能)
      • 量子化ビット数:8bit (256段階)
      • ループあたりのサンプル数:128
      • 初期はドライバのバグで波形メモリ音源機能が使えず、PCMのストリーミング再生をするしかない作品もあった
      • 後期の作品では改善され、波形メモリとPCMのハイブリッド音源として使用された
        • 目撃』、『ウォーオブエアロ』、『大王』、『仮面ライダー倶楽部 バトルレーサー』など
        • アタックをPCM、ディケイを波形メモリで鳴らすという手法をブラス、ギターなどの音色に採用している作品もある
  • バンダイ
    • ワンダースワン
      • 最大同時発音数:4チャンネル
        • チャンネル2はPCMと選択
        • チャンネル3はスイープ効果を適用可能
        • チャンネル4はノイズと選択
      • 量子化ビット数:4bit (16段階)
      • ループあたりのサンプル数:32


参考作品



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最終更新:2024年04月17日 06:14

*1 全8チャンネルあるが、チャンネル1,2はカスタム52/54の音声合成モードとして使用されている

*2 [OBSLive] ゲームセンター遺跡探訪・ゲストは細江慎治(スーパースィープ)さん - YouTubeより

*3 川田宏行氏の投稿より

*4 『シューティングゲームサイド Vol.8』p. 96より

*5 MSXマガジン 1990年9月号 P.66

*6 チップには「052539 SCC-I 2312P001」の印字があるが、FC版悪魔城伝説のキャラクターROMにも「SCC-I」の記載がある

*7 データイーストは『ロボコップ』などで HuC6280 のCPU部をオーディオCPUとして採用したが、波形メモリ音源部は使用しなかった

*8 楽曲中では、「デュポンへの挑戦」(未使用楽曲)と、「邪獣デュポン」の一部音色、「大団円」のティンパニとしてしか使用していない