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シムシティ - (2017/01/10 (火) 00:46:52) の1つ前との変更点

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*SimCity 【しむしてぃ】 |ジャンル|シミュレーション|~| |対応機種|Macintosh、Amiga、IBM PC、Commodore 64、Atari ST、&br;PC-9801VM/UV以降、FM TOWNS、X68000、Windows 3.1|~| |開発元|MAXIS|~| |発売元【北米PC版】|MAXIS、Broderbund他|~| |日本発売元|【PC98/X68】イマジニア&br;【TOWNS】富士通|~| |発売日|【北米PC版】1989年|~| |定価|【PC98】9,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[シムシティシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1156.html]]''| **概要 -所謂、箱庭ゲームを確立した作品。箱庭要素のあるゲームはすでに「A列車でいこう」シリーズなどがあったが、一つのSLG形態として認識されるようになったのは本作から。 -プレイヤーは市長となり、様々な問題を解決しながら都市の発展を目指す。実際の行政よりも簡略化されているため、システムは非常にシンプル。 **特徴 -トップビューのSLG。税収で得られる予算内で様々な建築物を建造しながら都市を発展させる。建築できる建造物は11種類で、これらを都市問題がなるべく発生しないように配置していく。一部経費を設定する部分もあるが、もっぱらこの都市造りが本作の中心。 --ゲームは一年を単位に区切りがつき、町の収支(設定した税率による税収と特別収入、警察署や消防署、交通網の維持費など)が提示され、税率や各機関への経費を決定し次の年を迎える。ただし、無計画な都市計画により、資金が尽きてしまった場合はゲームオーバーになる。 --プレイ形態は二種類。何もない荒野に町を作り上げるモードと、既に完成している街に発生した問題を解決するシナリオモードの二つがある。 ---シナリオは実在の都市を題材とした全8種類で、開始時から都市問題が起きていたり、開始直後に災害が発生したりする。東京も存在し、内容は「%%ゴジラ%%怪獣上陸(からの復興)」。 -建造物一覧 #region(クリックで開閉) -''発電所'' --町のインフラの基本。他の施設の稼動に欠かせない「電力」を発生・供給できる施設。 ---ちなみに電気以外のライフラインは存在しない(上下水道やガスなどは無い)。電力という要素にライフライン全般を集約させていると見ることができる。 --火力発電所と原子力発電所を選べる。前者はコストが安い代わりに出力が低く、公害も発生させる。後者は公害を全く発生させず出力も高いが、極々まれにメルトダウンする事がある。 ---メルトダウンを起こすと広範囲に放射性物質((しばしば「放射能」と呼ばれるが、厳密には「放射能」とは「放射線を出す能力」を意味する。))をまき散らし、汚染された地域には建物を建てられない。しかもその影響はまず消えない。 --電力は発電所から建物に電線を引くことで供給できる(隣接する建物には自動的に供給される)。発電所の種類によって、電力の供給可能な限界が違う。 -''住宅地、商業地、工場地'' --市民が住む場所や働く場所、そして生活に必要な様々な物資を生産する場所である。ただし直接建造物を作るのではなく、''区画整理の終わった分譲地を用意するだけ''である。電力と交通網を整備しておけば、やがて勝手に人が集まり、建物が建って発達していく。 --この発達具合に影響を与えるのが地価であり、地価が高いほど発達が早く、また人口あたりの税収も高くなる。 --地価は周辺の環境と連動している。自然が多く、犯罪が少ないほど上がりやすい。 --工場は発生させる公害によって周辺地域の地価を低下させるが、生産と雇用を担うので人口にあわせて増やす必要がある((本作に農林水産業は存在せず、外部との交易の概念もない。))。なお工場自体は地価の影響を受けない。 ---特に住宅地は公害の影響が大きい。商業地は比較的影響が少なく設定されている。 -''道路と鉄道'' --住民の移動手段。大半の施設は交通網がないと機能しないので、引き方を考える必要がある。 --道路の方が建設及び維持にかかるコストが安いが、公害や渋滞を発生させる。鉄道はコストが道路の数倍にも膨れ上がる代わりに悪影響を与えない。 -''警察署、消防署'' --警察署は周囲の治安の悪化を防ぎ、消防署は火災を早く鎮火する。 --但しどちらも維持コストがかかるため、考えなしに建てまくると維持費で首が回らなくなってしまう。 -''公園'' --周囲の地価を上昇させる。また、公害を緩和する効果もある。 --開発前の土地に存在する「緑地」にも同様の効果がある。なお一旦破壊してしまった緑地を復活させることは出来ない。自然保護運動は存在しないので公園で十分だが。 -''スタジアム、港、空港'' --これらの施設は都市の発展に伴い住民から建設要望が出てくる。これを作らないと商業や工業の発展に制限がかかってしまうため、いずれは作らなければならない建造物。ただし建設にかかるコストは非常に高い。 -''整地'' --すでにある施設を取り壊し更地に戻す。都市計画の変更以外にも、災害の被害を受けて瓦礫と化した施設は一旦撤去しなければならない。 //部分損壊については、その部分だけ整地すれば自己修復したはず(そもそも欠けたままでも機能は維持できたような) --水辺に対して行うと護岸工事となり、洪水のリスクを減らせる。 #endregion -都市には都市問題がつきもの。町の発展を阻害するこれらを解決するのも、市長の役目である。 --''公害'':本作に存在するのは大気汚染のみ。道路や工場地周辺で発生する。住宅地や商業区に悪影響をあたえにくいように配置したり、公園を作って緩和することで対応する。 --''渋滞'':公害も誘発する、道路特有の都市問題。渋滞が起きにくい様に道路の経路を変更したり、鉄道へと交通手段を切り替えることで対応する。 --''犯罪'':地価が低いと多くなる。このため、もっぱら工場地に多い。警察署を建てて取り締まることで対応する。 -時には予想だにしない災害が起こる。それは大きな被害を生む事もある。 --''火災'':早めに鎮火しないとどんどん広がっていく。消防署があると鎮火が早い。他の災害で建物が破壊された場合も二次災害としても発生する。 --''洪水'':水際で起こる。過ぎ去るのを待つしかない。 --''飛行機事故'':飛行機が墜落、落ちた場所に火災を起こす。 --''竜巻'':通った場所を破壊していく。火災を誘発する場合もある。これまた過ぎるのを待つしかない。 --''地震'':M7クラスの大地震で、広範囲に火災を起こし町に甚大な被害を及ぼす災害。 --''怪獣'':%%ゴジラ%%巨大生物が現れ、辺りを破壊しつくす。撃退は不可能(そもそも軍隊が存在しない)なので去ってくれるのを待つしかない。公害汚染が進むと発生しやすく、汚染源を優先して破壊しようとする。 --''メルトダウン'':原子力発電所で事故が起こると発生。広範囲に除去不可能な「放射能」をまき散らす。 --''座礁'':船が橋や送電線に激突してその部分を破壊する。陸地に隣接していれば火災が起こる。 **評価点 -箱庭ゲームのパイオニア。 --いわゆる箱庭ゲーム形態を作り上げた。それまでにないゲーム性は、まさしく斬新。 ---効率的に発展を促すため、各種施設や道路、鉄道を敷設していく。町を育て大きくしていく試行錯誤はなかなかに面白い。 ---災害は悩ましい問題ではあるが、町を立て直し問題が次々と解決していく有様は悪くない。 --ある程度しっかりとした街づくりができると、都市は勝手に発達していく。小さな一戸建てばかりの住宅地や平屋の郊外店だけだった商業地が、やがて見栄えのするビル街へと変貌していく。その様子を眺めるのも本作の醍醐味の一つ。 **難点 -PC日本版は操作系が今一歩。ウインドウタイプのプレイ画面なのだが、画面スクロールがないなどややプレイしづらい面がある。 --マウスかキーボードの操作かどちらかしか選べないのも、この点を助長している。 -消防署の存在意義が今一つ。 --消防署には「鎮火を早める効果」しかなく「防災効果」がない。 ---一度でも延焼した建造物は整地して再開発するしかなく、整地自体も一瞬で終わるシステムから、延焼した施設(及び近隣の施設)を整地してしまう所謂破壊消火が有効で、消防署の出番は無い((整地もタダではないが、消防署の維持費を考えると…。))。 --停電すると効果がなくなるというシステムは消防署にも適用される。つまり、飛行機事故や地震のような送電設備に甚大な被害を出す災害(いずれも火災を伴う)だと、消防署はあっても何の役にも立たなくなる((当然、現実の消防署には自家発電設備が存在する。と言うか消防車は電動ではないが…。))。最悪延焼を防ぐために消防署を整地するという事態まで起こりうる。 -パイオニア的存在のゲームなので詰めが甘いのは仕方ない事ではあるが、常識的に考えて疑問を感じる点は多い。 --交通手段は道路か鉄道のどちらかがあれば問題が起こらない。つまり、道路が皆無な街でも何の問題もないという、現実的にあり得ない状況が起きる。 ---鉄道は高価だが無公害、道路は安価だが渋滞と公害のデメリットがある。後者のデメリットは建設・維持費を差し引いてもかなり大きいことから、このゲームにおいては道路を作らないのが半ば常識化している。 ---さらに交通機関は施設に接していればよく、地点と地点を結ぶ必要は無い((そもそも当時の技術ではそこまでの判定は不可能だったのだろう。))。効率を突き詰めると、直線状に分断された交通網のみというあり得ない都市になる。 --港や空港を停電させたら船や飛行機が来なくなる。それだけなら普通だが、市政(財政)には影響が無いので座礁や墜落を起こさないメリットの方が大きい。 ---これらは特徴の項でも述べたとおり、市民からの要望で建設する施設である。だが欠航していても不満は起きない。 --現実では港は勿論のこと、稼動に大量の水を必要とする火力発電所や原子力発電所も水際にしか作れない施設である。だが当ゲームではそんなことお構いなしにどこにでも建設できてしまう。~ さらに大規模な工場も、現実では原料や生産物の輸送などの都合で海岸に建設されるケースが多いが、本作では敢えて海岸に作るメリットは薄い。 ---水際は地価が上がりやすい土地なので、むしろこれらの施設や工場は内陸に立てた方が得なぐらいである。 --住宅地はランダムで病院や教会に変化するが、これらには何のメリットもない上、住人も0で無意味に土地を占有するだけ。かといって破壊すると災害が発生するという純粋なマイナス要素となっている。 --完全な箱庭ゲームであるため、マップの「外側」の概念は無い。外に通じる道を造る必要は無いし((演出に過ぎないが、船や飛行機は画面外へと行き来している。))、公害を発生させる施設はなるべくマップの外縁に配置するという現実では顰蹙物の都市計画が有効となる。 ---画面外の存在を気にする必要の無い「島状のマップ」も存在するが、開発可能な土地(陸地)の狭さから人気が無い。 --原子力発電所はメルトダウンによる損害が非常に大きいが、確率は非常に低い上にリロードで無かったことにできる。~ 火力発電所はデメリットが多く(送電能力に劣り、継続的に公害を撒き散らす)、積極的に使うメリットは資金不足の序盤くらいである。 -ただし以上についてはシステムを把握した上で、リアリティ度外視で効率を重視する場合の攻略法に過ぎない。~ シミュレーションとしての限界を理解し、どこまで現実を意識するのかはプレイヤーの判断に委ねられている。 **総評  閉じた空間の中で、建造物を配置しながら町の成長を楽しむ。どこか動物飼育でもしてるかのような楽しみは、それまでに見られなかったもの。手塩にかけた町には愛着も沸き、いつまでも行く末を見たくなる中毒性がある。~  システムもシンプルで取っ付きやすい。さらにシナリオモードは、少しばかり変わった遊びができる良いアクセントになっている。~  その斬新なゲーム性は、今でも続く長くシリーズ礎となった。 **余談 -本作の生みの親は、『バンゲリングベイ』の開発者であるウィル・ライト氏。この発想は『バンゲリングベイ』の開発中に思いついたという。 -本作は様々なハードに移植され、現在でも続編が作られている息の長いゲームとなった。 --[[SFC版>シムシティー]]は任天堂によるアレンジが光る良移植として高い評価を受けている。 --FM TOWNS版は建物が年代(シナリオ)によって変わるなど、独特な雰囲気がある。 -後年に登場した美少女育成ゲーム『プリンセスメーカー』は本作にちなんで「シムねえちゃん」とも呼ばれた。そもそもプリメは本作から着想を得たと言われている。 -本作は現在、オープンソースソフトウェアとして公開されている。一部のLinuxディストリビューションでは、パッケージ管理ソフトから手軽にインストールできるものもある。 --ただ、ゲーム名は「Micropolis」に変えられている。「シムシティ」の名は現在もブランド名として使われ続けており、EAが商標を有しているためだ。
*SimCity 【しむしてぃ】 |ジャンル|シミュレーション|~| |対応機種|Macintosh、Amiga、IBM PC、Commodore 64、Atari ST、&br;PC-9801VM/UV以降、FM TOWNS、X68000、Windows 3.1|~| |開発元|MAXIS|~| |発売元【北米PC版】|MAXIS、Broderbund他|~| |日本発売元|【PC98/X68】イマジニア&br;【TOWNS】富士通|~| |発売日|【北米PC版】1989年|~| |定価|【PC98】9,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[シムシティシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1156.html]]''| **概要 -所謂、箱庭ゲームを確立した作品。箱庭要素のあるゲームはすでに「A列車でいこう」シリーズなどがあったが、一つのSLG形態として認識されるようになったのは本作から。 -プレイヤーは市長となり、様々な問題を解決しながら都市の発展を目指す。実際の行政よりも簡略化されているため、システムは非常にシンプル。 **特徴 -トップビューのSLG。税収で得られる予算内で様々な建築物を建造しながら都市を発展させる。建築できる建造物は11種類で、これらを都市問題がなるべく発生しないように配置していく。一部経費を設定する部分もあるが、もっぱらこの都市造りが本作の中心。 --ゲームは一年を単位に区切りがつき、町の収支(設定した税率による税収と特別収入、警察署や消防署、交通網の維持費など)が提示され、税率や各機関への経費を決定し次の年を迎える。ただし、無計画な都市計画により、資金が尽きてしまった場合はゲームオーバーになる。 --プレイ形態は二種類。何もない荒野に町を作り上げるモードと、既に完成している街に発生した問題を解決するシナリオモードの二つがある。 ---シナリオは実在の都市を題材とした全8種類で、開始時から都市問題が起きていたり、開始直後に災害が発生したりする。東京も存在し、内容は「%%ゴジラ%%怪獣上陸(からの復興)」。 -建造物一覧 #region(クリックで開閉) -''発電所'' --町のインフラの基本。他の施設の稼動に欠かせない「電力」を発生・供給できる施設。 ---ちなみに電気以外のライフラインは存在しない(上下水道やガスなどは無い)。電力という要素にライフライン全般を集約させていると見ることができる。 ---なお、日本人の感覚では「何で市長が発電所の建設やるの?電力会社でしょ。」と思いがちだが、1989年当時の米国では地方公営の電力公社が多かった。 --火力発電所と原子力発電所を選べる。前者はコストが安い代わりに出力が低く、公害も発生させる。後者は公害を全く発生させず出力も高いが、極々まれにメルトダウンする事がある。 ---メルトダウンを起こすと広範囲に放射性物質((しばしば「放射能」と呼ばれるが、厳密には「放射能」とは「放射線を出す能力」を意味する。))をまき散らし、汚染された地域には建物を建てられない。しかもその影響はまず消えない。 --電力は発電所から建物に電線を引くことで供給できる(隣接する建物には自動的に供給される)。発電所の種類によって、電力の供給可能な限界が違う。 -''住宅地、商業地、工場地'' --市民が住む場所や働く場所、そして生活に必要な様々な物資を生産する場所である。ただし直接建造物を作るのではなく、''区画整理の終わった分譲地を用意するだけ''である。電力と交通網を整備しておけば、やがて勝手に人が集まり、建物が建って発達していく。 --この発達具合に影響を与えるのが地価であり、地価が高いほど発達が早く、また人口あたりの税収も高くなる。 --地価は周辺の環境と連動している。自然が多く、犯罪が少ないほど上がりやすい。 --工場は発生させる公害によって周辺地域の地価を低下させるが、生産と雇用を担うので人口にあわせて増やす必要がある((本作に農林水産業は存在せず、外部との交易の概念もない。))。なお工場自体は地価の影響を受けない。 ---特に住宅地は公害の影響が大きい。商業地は比較的影響が少なく設定されている。 -''道路と鉄道'' --住民の移動手段。大半の施設は交通網がないと機能しないので、引き方を考える必要がある。 --道路の方が建設及び維持にかかるコストが安いが、公害や渋滞を発生させる。鉄道はコストが道路の数倍にも膨れ上がる代わりに悪影響を与えない。 -''警察署、消防署'' --警察署は周囲の治安の悪化を防ぎ、消防署は火災を早く鎮火する。 --但しどちらも維持コストがかかるため、考えなしに建てまくると維持費で首が回らなくなってしまう。 -''公園'' --周囲の地価を上昇させる。また、公害を緩和する効果もある。 --開発前の土地に存在する「緑地」にも同様の効果がある。なお一旦破壊してしまった緑地を復活させることは出来ない。自然保護運動は存在しないので公園で十分だが。 -''スタジアム、港、空港'' --これらの施設は都市の発展に伴い住民から建設要望が出てくる。これを作らないと商業や工業の発展に制限がかかってしまうため、いずれは作らなければならない建造物。ただし建設にかかるコストは非常に高い。 -''整地'' --すでにある施設を取り壊し更地に戻す。都市計画の変更以外にも、災害の被害を受けて瓦礫と化した施設は一旦撤去しなければならない。 //部分損壊については、その部分だけ整地すれば自己修復したはず(そもそも欠けたままでも機能は維持できたような) --水辺に対して行うと護岸工事となり、洪水のリスクを減らせる。 #endregion -都市には都市問題がつきもの。町の発展を阻害するこれらを解決するのも、市長の役目である。 --''公害'':本作に存在するのは大気汚染のみ。道路や工場地周辺で発生する。住宅地や商業区に悪影響をあたえにくいように配置したり、公園を作って緩和することで対応する。 --''渋滞'':公害も誘発する、道路特有の都市問題。渋滞が起きにくい様に道路の経路を変更したり、鉄道へと交通手段を切り替えることで対応する。 --''犯罪'':地価が低いと多くなる。このため、もっぱら工場地に多い。警察署を建てて取り締まることで対応する。 -時には予想だにしない災害が起こる。それは大きな被害を生む事もある。 --''火災'':早めに鎮火しないとどんどん広がっていく。消防署があると鎮火が早い。他の災害で建物が破壊された場合も二次災害としても発生する。 --''洪水'':水際で起こる。過ぎ去るのを待つしかない。 --''飛行機事故'':飛行機が墜落、落ちた場所に火災を起こす。 --''竜巻'':通った場所を破壊していく。火災を誘発する場合もある。これまた過ぎるのを待つしかない。 --''地震'':M7クラスの大地震で、広範囲に火災を起こし町に甚大な被害を及ぼす災害。 --''怪獣'':%%ゴジラ%%巨大生物が現れ、辺りを破壊しつくす。撃退は不可能(そもそも軍隊が存在しない)なので去ってくれるのを待つしかない。公害汚染が進むと発生しやすく、汚染源を優先して破壊しようとする。 --''メルトダウン'':原子力発電所で事故が起こると発生。広範囲に除去不可能な「放射能」をまき散らす。 --''座礁'':船が橋や送電線に激突してその部分を破壊する。陸地に隣接していれば火災が起こる。 **評価点 -箱庭ゲームのパイオニア。 --いわゆる箱庭ゲーム形態を作り上げた。それまでにないゲーム性は、まさしく斬新。 ---効率的に発展を促すため、各種施設や道路、鉄道を敷設していく。町を育て大きくしていく試行錯誤はなかなかに面白い。 ---災害は悩ましい問題ではあるが、町を立て直し問題が次々と解決していく有様は悪くない。 --ある程度しっかりとした街づくりができると、都市は勝手に発達していく。小さな一戸建てばかりの住宅地や平屋の郊外店だけだった商業地が、やがて見栄えのするビル街へと変貌していく。その様子を眺めるのも本作の醍醐味の一つ。 **難点 -PC日本版は操作系が今一歩。ウインドウタイプのプレイ画面なのだが、画面スクロールがないなどややプレイしづらい面がある。 --マウスかキーボードの操作かどちらかしか選べないのも、この点を助長している。 -消防署の存在意義が今一つ。 --消防署には「鎮火を早める効果」しかなく「防災効果」がない。 ---一度でも延焼した建造物は整地して再開発するしかなく、整地自体も一瞬で終わるシステムから、延焼した施設(及び近隣の施設)を整地してしまう所謂破壊消火が有効で、消防署の出番は無い((整地もタダではないが、消防署の維持費を考えると…。))。 --停電すると効果がなくなるというシステムは消防署にも適用される。つまり、飛行機事故や地震のような送電設備に甚大な被害を出す災害(いずれも火災を伴う)だと、消防署はあっても何の役にも立たなくなる((当然、現実の消防署には自家発電設備が存在する。と言うか消防車は電動ではないが…。))。最悪延焼を防ぐために消防署を整地するという事態まで起こりうる。 -パイオニア的存在のゲームなので詰めが甘いのは仕方ない事ではあるが、常識的に考えて疑問を感じる点は多い。 --交通手段は道路か鉄道のどちらかがあれば問題が起こらない。つまり、道路が皆無な街でも何の問題もないという、現実的にあり得ない状況が起きる。 ---鉄道は高価だが無公害、道路は安価だが渋滞と公害のデメリットがある。後者のデメリットは建設・維持費を差し引いてもかなり大きいことから、このゲームにおいては道路を作らないのが半ば常識化している。 ---さらに交通機関は施設に接していればよく、地点と地点を結ぶ必要は無い((そもそも当時の技術ではそこまでの判定は不可能だったのだろう。))。効率を突き詰めると、直線状に分断された交通網のみというあり得ない都市になる。 --港や空港を停電させたら船や飛行機が来なくなる。それだけなら普通だが、市政(財政)には影響が無いので座礁や墜落を起こさないメリットの方が大きい。 ---これらは特徴の項でも述べたとおり、市民からの要望で建設する施設である。だが欠航していても不満は起きない。 --現実では港は勿論のこと、稼動に大量の水を必要とする火力発電所や原子力発電所も水際にしか作れない施設である。だが当ゲームではそんなことお構いなしにどこにでも建設できてしまう。~ さらに大規模な工場も、現実では原料や生産物の輸送などの都合で海岸に建設されるケースが多いが、本作では敢えて海岸に作るメリットは薄い。 ---水際は地価が上がりやすい土地なので、むしろこれらの施設や工場は内陸に立てた方が得なぐらいである。 --住宅地はランダムで病院や教会に変化するが、これらには何のメリットもない上、住人も0で無意味に土地を占有するだけ。かといって破壊すると災害が発生するという純粋なマイナス要素となっている。 --完全な箱庭ゲームであるため、マップの「外側」の概念は無い。外に通じる道を造る必要は無いし((演出に過ぎないが、船や飛行機は画面外へと行き来している。))、公害を発生させる施設はなるべくマップの外縁に配置するという現実では顰蹙物の都市計画が有効となる。 ---画面外の存在を気にする必要の無い「島状のマップ」も存在するが、開発可能な土地(陸地)の狭さから人気が無い。 --原子力発電所はメルトダウンによる損害が非常に大きいが、確率は非常に低い上にリロードで無かったことにできる。~ 火力発電所はデメリットが多く(送電能力に劣り、継続的に公害を撒き散らす)、積極的に使うメリットは資金不足の序盤くらいである。 -ただし以上についてはシステムを把握した上で、リアリティ度外視で効率を重視する場合の攻略法に過ぎない。~ シミュレーションとしての限界を理解し、どこまで現実を意識するのかはプレイヤーの判断に委ねられている。 **総評  閉じた空間の中で、建造物を配置しながら町の成長を楽しむ。どこか動物飼育でもしてるかのような楽しみは、それまでに見られなかったもの。手塩にかけた町には愛着も沸き、いつまでも行く末を見たくなる中毒性がある。~  システムもシンプルで取っ付きやすい。さらにシナリオモードは、少しばかり変わった遊びができる良いアクセントになっている。~  その斬新なゲーム性は、今でも続く長くシリーズ礎となった。 **余談 -本作の生みの親は、『バンゲリングベイ』の開発者であるウィル・ライト氏。この発想は『バンゲリングベイ』の開発中に思いついたという。 -本作は様々なハードに移植され、現在でも続編が作られている息の長いゲームとなった。 --[[SFC版>シムシティー]]は任天堂によるアレンジが光る良移植として高い評価を受けている。 --FM TOWNS版は建物が年代(シナリオ)によって変わるなど、独特な雰囲気がある。 -後年に登場した美少女育成ゲーム『プリンセスメーカー』は本作にちなんで「シムねえちゃん」とも呼ばれた。そもそもプリメは本作から着想を得たと言われている。 -本作は現在、オープンソースソフトウェアとして公開されている。一部のLinuxディストリビューションでは、パッケージ管理ソフトから手軽にインストールできるものもある。 --ただ、ゲーム名は「Micropolis」に変えられている。「シムシティ」の名は現在もブランド名として使われ続けており、EAが商標を有しているためだ。

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