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*ハーメルンのバイオリン弾き 【はーめるんのばいおりんひき】 |ジャンル|アクション|&image(http://www.suruga-ya.jp/database/pics/game/167001142.jpg,height=160)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|12MbitROMカートリッジ|~| |発売元|エニックス|~| |開発元|ダフト|~| |発売日|1995年9月29日|~| |定価|9,600円(税別)|~| |判定|なし|~| |ポイント|&bold(){フルート虐待ゲー}&br()ゲームバランスに難ありの典型的なキャラゲー|~| |>|>|CENTER:''[[少年ガンガン関連作品リンク>少年ガンガンシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -少年ガンガンに連載されていた人気漫画のゲーム化。 --音楽で魔族を打ち倒す勇者ハーメルとその一行による、魔王打倒の旅を描いている。 --ガンガン創刊時から連載されており、『[[南国少年パプワくん>南国少年パプワくん (SFC)]]』『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』『[[突撃!パッパラ隊]]』等と並ぶ長寿漫画であった。 --原作は10年近い連載が終わった後も高い人気を誇り、外伝や続編も出ている。 **システム -本作は『パプワくん』同様に、主人公ハーメルを動かすだけでなくヒロインのフルートを様々な手段で動かし、途中の敵を倒したり仕掛けを解いたりするのだが…… --&bold(){はっきりいってフルートの扱いが酷い}。投げられて画面一面の敵を倒すなどザラ、様々な着ぐるみを着せられて危ない所に突撃する様はリアルの芸人よりも体を張っているのではないだろうか。 ---更に隠しコマンドではマリオネット状態にもなる。詳しい意味は原作を参照。 --Wikipediaによると、このシステムは当時「ギャル投ゲー」と呼ばれていたそうだ。~ 最も、ヒロインが投げられるゲームなどそうそう無い為、この名称が定着する事は無かったのだが…… ---追い討ちをかけるように1面をクリアしてフルートが仲間になると、紐でくくりつけられたフルートがハーメルに雑に引きずられている一枚絵が映し出される。 ---念のために書いておくが、フルートが酷い目に合うのも着ぐるみを着るのもれっきとした&bold(){原作準拠である}((原作ではフルートを敵に投げつける行為は「フルートミサイル」と名付けられている。フルートが一番多いが他のキャラも「〇〇ミサイル」の名で投げられる事がある。))。 -フルートは主人公のハーメルとは別にHPが設定されており、満タンの場合は可愛らしい表情になるもののHPが減っていくと涙目になっていく。~ 最もギャグ漫画調のイラストのため可哀想にならないのが救いか。 --フルートのHPが0になってもゲームオーバーにはならないが、ダメージを受けるとお金が減っていく他フルートが動けなくなる。逆にHPが満タンだとフルートで敵を倒すと多くお金が手に入る。 --ちなみに、ゴール地点にフルートが居ないとクリアにはならないため彼女を置いて行く事は出来ない。 **評価点 -原作がクラシック音楽をモチーフにしているだけのことはあり、流れるBGMは有名な作曲家の音楽ばかり。~ 『パプワくん』と同じスタッフが手がけていることもあり、音源はかなり良い。 --とりわけゲームをスタートさせた後に聞こえてくる鳥の鳴き声は本物と見間違う程。 -グラフィックも丁寧に作りこまれている。前述の描写だけ見ているとフルートが酷い目に合ってばかりだが、~ 初めてハーメルを見たときや放っておくと退屈そうにしている様子、そしてOPで心地良さそうにハーメルの音楽を聴いている様子はとても可愛い。 -敵キャラやサブキャラも、原作の絵柄を忠実に再現している。 **問題点 -&bold(){セーブもパスワードもない}。 --ストーリーは全4章だが、各章に幾つものステージが含まれており((隠しステージ等を除けば計32))、クリアするまでに大体4~5時間以上かかる。ゲームに慣れていないプレイヤーだと更にかかってしまうため、「息抜きにちょっと」というわけには行かない。 --元々難易度が低くない上に長時間プレイしていると疲れてしまうため、最終ステージに行くまでに投げたプレイヤーが殆ど。 -肝となっている着ぐるみは全部で16種類あるが、中には性能がかぶっていたり、効果が無いものもある。 --例えば「トリ」は「マンボウ」の強化版と見なしても問題はない。 --「オランウータン」「怪獣」はイベントでしか使用しない。つまり&bold(){プレイ中に使っても何の役にも立たない}。 -中途半端な所でゲームが終わってしまう。原作コミックスで言えば4巻頃。本作が出た頃には既に12巻まで出ていたのだが…… --そのためラスボスは魔王ケストラーではなくサイザー((後に仲間になるが、この時点ではまだ敵。))。~ ライエル、オーボウは出てくるが、トロンやクラーリィ、コルネットは全く出てこない。~ まあこのゲームの時間軸ではケストラーもまだ箱の中で封印されていたのだが。 --そのライエルも最終面ぐらいしか出てこないため、ゲームの登場キャラは実質ハーメルとフルートのみ。オーボウはステージの合間で会話に登場するが、プレイ中はハーメルの周りを飛び回っていて、フルートを呼ぶ時頭上に「CALL」のサインが出るのみ。 **総評 「原作の再現度は高いがゲームとしてのバランスがおかしい」という典型的なパターンどおりのキャラゲー。~ この時期ガンガンは『パプワくん』や『[[魔法陣グルグル>魔法陣グルグル (SFC)]]』など様々なコミックをゲーム化しておりその流れで製作された物だが、フルートの着ぐるみシステムや音楽の美しさなど光る物こそあるものの全体的に見て作りこみが甘く、他の二本ほどの名作とは言えない。~ 中でもこの時期のソフトであれば搭載が普通だった「セーブ・パスワードの廃止」は評価を大きく下げていると言っても過言ではない。~ また、一つ一つの再現度は高いもののあまりにも中途半端な場所で終わっているのも残念。せめてファン人気の高いスフォルツェンド編~サイザー加入、オル・ゴール登場編ぐらいまでをゲーム化できればよかったのだが…… **余談 -TVアニメ版同様、ファンの間では微妙な扱いを受けている。 --もっとも、一部原作ファンから黒歴史に認定されたTV版((原作にあったギャグ描写を一切廃しており、また止め絵ばかりを多用して「紙芝居」と揶揄された。結末などを評価する者もそれなりにいるのは確かだが。))と違い「難しかったけど懐かしい」という評価を受けているだけこちらの方が救いがあるかもしれない。