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*カルネージハート 【かるねーじはーと】 |ジャンル|シミュレーション|&amazon(B00005OV8Y)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|アートディンク|~| |発売日|1995年12月8日|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **ストーリー -宇宙での鉱産資源採掘が進められていた2032年、月面での採掘権を巡ってフランス・ブラジル間での紛争が勃発。この紛争で無人機動兵器オーバー・キル・エンジン(OKE)が初めて導入された。以後、OKEを駆使した各国間の紛争が激化。事態を収拾すべく2035年に世界連合は”SMRPA”(Space Mining Resource Association)宇宙資源探査協会を設立。SMRPAの尽力により、かろうじて世界は秩序を取り戻せた。 -そして28年後、木星の3つの衛星での鉱物資源がきっかけとなって再び各国間による採掘権争いが勃発。SMRPAはその監視を開始。だが、キャッチしたのは世界的な超巨大企業連合「ドラッケン」グループの怪しい動き。そして世界連合とドラッケンの対立は、木星の衛星を舞台とした世界的に例を見ない国家連合対企業連合という戦争へと発展するのであった・・・・ **概要 -『A列車で行こう』シリーズや『The ATLAS』シリーズでSLG製作に定評のあるアートディンクによるウォーSLG。前述のシリーズがパソコンからの移植であるのに対し、本作はプレイステーションオリジナルのタイトルである。 -木星の衛星を舞台にした無人機動兵器「オーバー・キル・エンジン(OKE)」による陣地戦。OKEを開発・設計・生産して敵OKEを排除しつつマップ上の基地を占領し、全ての基地を占領すればステージクリア。資金と兵器開発状況が繰り越しになるキャンペーン形式でステージを攻略していく。 -ゲームのメインはキャンペーン形式のシナリオモードであるが、シナリオモードで作成したOKEのデータを持ち寄って戦わせることのできる対戦モードもある。 **無人機動兵器-オーバー・キル・エンジン -このゲームの最大の特徴は、SLGで言うところのユニットを構成するOKEについて、「OKEの機体設計はもちろん、戦闘プログラムの設計もしなければならない」点にある。ユニットの種類や装備品のカスタマイズはSLGとしては珍しくもない要素であるが、OKEはなんと戦闘時には手動で動かせず、OKEに搭載されたプログラムの通りにしか動かない。そして戦闘プログラムの設計はプレイヤーの仕事である。 --機体設計・プログラム設計はコンピュータ任せにすることはできるが、強いプログラムや思い通りの動きが欲しかったら自分で頑張るしかない。 --プログラムの設計は攻撃・移動・索敵などの行動要素となるチップを貼り付け、処理の流れを作ることで行われる。分岐やカウンタもあり、ROMが許す限りではあるが複雑かつ柔軟な行動パターンの構築も可能である。 ---「敵に向かって移動」といった都合のいいことはできず、「前方45度・範囲200m以内に敵がいれば前進、いなければ左旋回」のように索敵・旋回を駆使して細かく指示しなければならない。回避についても、「前方90度・範囲100m以内に飛来物があれば、1/2の確率で右・左にジャンプ」のようにまず飛来物の探索から行わねばならない。 ---このプログラムの設計は機体設計以上に重要であり、うまく組めば驚異的に強くなる反面、組み方がまずいと障害物めがけて延々とレーザーを撃ったり、敵を目の前にしながらクルクル回るだけという事も起きる。 --登場するOKEは二足歩行型(伏せ・ジャンプができて回避能力に優れる)・多脚型(二足歩行型より燃費が良く搭載武器が多いが回避能力が落ちる)・車両型(燃費・耐久力はバツグンだが回避が不得手)・飛行型(相当ターンが経過しないと登場しない上に燃費が悪いが、常に飛行していることがアドバンテージとなる)の4種類。タイプによっては一長一短どころか長所・短所のいずれかが極端すぎるということもある。タイプが変わればプログラムはほとんど流用できないため、タイプ別・目的別にプログラムを組むのもポイントである。 -兵器や新型OKEの開発は各国兵器企業に依頼するのだが、ここでもドラッケンとの開発競争があり、ドラッケンより多く研究投資を行うことで開発を早めたり敵側への新型兵器提供を遅れさせることができる。逆にドラッケンより少ない研究投資の場合は開発が遅れることもある。 --兵器やOKEの調達については、「各国兵器企業から開発完了した設計図を購入」→「設計図を元に基地で生産」という流れになる。一旦開発が完了した設計図を購入した後は自分の基地で資金が許す限り生産できるようになっている。 **長所 -計り知れないOKE設計の奥の深さ。最初から使える二足歩行型の「月影」ですら、プログラム設計次第では最強クラスのOKEになれる可能性を秘めている。 -横山宏氏デザインのOKEが活躍し、ストイックな雰囲気を醸し出している。 **短所 -とにかくハードルが高い。プログラムは言語でコーディングするわけではないのだが、それでも慣れるまでは難しく、ROMの容量に悩まされがちである。 --効率よく組むことで容量を節約できるのだが、かなり難しい。 --組めたとしても、なかなか思い通りには動かないことが多かったりする。 -シナリオモードの難易度も癖があり、戦略SLGとしてはバランスは悪い。 --焦点となるプログラミングは確かに重要だが、機体構築と並ぶほど資金の重要度が高い。このため資金繰りの厳しい序盤戦は敵の物量もあってかなり辛い戦況を強いられる。中級であるガニメデが上級のカリストに匹敵する難易度になっているのもこれが原因。 --プレイヤー側は基地の生産ラインや設備を整え、改めて機体生産に入らなければならないのだが、敵陣営はなんと''全編のマップを通して開始時点から所有設計図による機体を各基地に初期配置''している。 ---一応プレイヤー側の各基地も量産型カードが初期配備されているのだが、これが戦力と数えるのも怪しい代物で、しかも改造も改変もできない上にこれまた全編通して一緒。理不尽。 --ミサイルに対抗する為の誘導妨害装置の登場がかなり遅いにも関わらず、ミサイル兵器は最序盤戦から登場するため、シナリオはミサイルゲーになりがち。敵陣営も大型ミサイルを多用する傾向がある。大型ミサイル自体が装弾数の関係から生産工数を抑えられる利点も大きい。 -ローディングが比較的長い。 -メモリーの使用ブロック数が多い。 -シナリオ毎にプログラムの流用やコピーができず、新シナリオを開始する時は全て一から作り直さなければならない。 -メイン武装の一つ、ショットガンによるキャラクター数オーバーが発生しやすい。攻撃モーションを取っているのに弾が出ない等の事態が頻繁に起こる。 -マウス操作を前提としたような操作性・レイアウトになっているため、コントローラーでの操作性が今ひとつ。 -機体ごとの強さのバランスが取れておらず、対戦ツールとしては不向きな側面が大きい。 --一部の機体の不自然なまでの優遇ぶりと、不遇ぶり。 --大抵の機体には一長一短があり、個性を生かす事である程度までは優劣を覆す事は可能だが、特にカテゴリの一つである「多脚型」は存在自体がネタと言っても過言では無いほど酷い。どんなに画期的な戦法を練っても、その全てが多機種で代用可能な戦法しか取れない有り様。 --メイン武装のアサルトがあまりに使えない。 **総評 ウォーSLGであるということに加え、プログラム設計が非常に難しいことから、プレイヤーを極端に選ぶゲームとなっている。だが当時のパソコン通信に本作のフォーラムがあったり数回対戦大会が開かれたりするほどコアなファンも付いており、ハマれば強力なOKE設計の虜になることうけあいである。 **その他 -入手可能であれば、マイナーチェンジ版である『カルネージハート EZ-Zapping』からプレイした方がいい。内容はほぼ一緒だが、バランスが若干再調整されたことに加え、複数の命令を1まとめにしたマクロ機能の導入でプログラム作成がかなりしやすくなっており、シリーズ未経験者に対するハードルがかなり下がっているためである。 -現在はゲームアーカイブスで600円と安価な値段で配信されている。『カルネージハート EZ』の方なので未経験の方にも是非プレイしてみて欲しい。尚、EZではない無印カルネージハートは配信されていない。 --余談だが続編の2作目、3作目も同じ値段で配信されている。どうせなら全作を遊び倒すのも悪くないだろう。 --PSPにも発売されており、こちらはチュートリアルが充実している分EZにあったサンプルマクロやサンプルプログラムがない。 ---こちらもDL版があるが値段は高い ---最新のEXAでは体験版もプレイできるためこちらからやってみてもいいだろう。