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ドラゴンスレイヤー英雄伝説」を以下のとおり復元します。
*ドラゴンスレイヤー英雄伝説
【どらごんすれいやーえいゆうでんせつ】

※ここでは、初出となる88版を基準に説明します。
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B000BARWY6)|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降他|~|
|メディア|5インチフロッピーディスク 5枚組|~|
|発売・開発元|日本ファルコム|~|
|発売日|1989年12月10日|~|
|定価|8,700円(税別)|~|
|プレイ人数|1人|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|配信|[[プロジェクトEGG>https://www.amusement-center.com/project/egg/]]:【PC88】2009年2月24日/500円(税別)&br;【PC98】2016年12月27日/500円(税別)&br;【MSX2】2018年5月29日/500円(税別)|~|
|>|>|CENTER:''[[ドラゴンスレイヤー&英雄伝説シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**発売リスト

(国内のみ、()内は日本ファルコム以外の発売元)~
・PC:PC-8801 mkIISR以降、PC-9801 VM/UV以降、FM TOWNS、MSX2/2+、X68000(SPS)、Windows95((『新 英雄伝説』に改題。))~
・家庭用:PCエンジン スーパーCD-ROM2(ハドソン)、スーパーファミコン(エポック社)、メガドライブ(セガ・ファルコム)、プレイステーション(GMF、I・IIカップリング)、セガサターン(同左)~
・他、PC88・PC98・MSX2版はレトロゲーム総合配信サイト「プロジェクトEGG」で、PCE-SCD版及びMD版はバーチャルコンソールにて配信されている。

**ストーリー
>美しい自然に囲まれた世界、イセルハーサ。その中央に位置するファーレーン王国の首都ルディアが突如モンスターに襲われた。兵士たちはそれをどうにか退けたものの、混乱の最中国王アスエルが殺害されてしまっていた。~
残された王子はわずか6歳。そしてアクダムという男がアスエルの遺言により、幼き王子が16歳の誕生日を迎えるまで摂政として政治を取り仕切ることとなった。~
それから10年後…世継ぎのセリオス王子は、王位継承をあと2ヵ月後に迎えていた。そんなある日、彼が養育されているエルアスタの町にモンスターが攻めて来た。セリオスはルディアまで助けを求めに行くが、そこで摂政アクダムになぜか捕らえられてしまう。そしてアクダムは語り始めた。モンスターを放ったのも父を殺害したのも全てアクダムの仕業だということを。アクダムは父の遺言だと偽って摂政になったのだ。~
セリオスは牢屋に入れられるが、すぐに助け出される。そして彼を助けた男、リュナンと共に父の仇アクダムを追いかけることになった。

**概要
ドラゴンスレイヤーシリーズの6作目。これまでの作品はARPGだが(※ジャンル・ストーリー無関係にファルコム在籍時に木屋善夫が製作した一連のものは『ドラゴンスレイヤーシリーズ』と冠される)、本作品はコマンドタイプ(ドラクエ式)のRPGで全6章から成るストーリー重視のゲームである。

**特徴
-ドラゴンクエストに代表されるような、典型的な正統派スタイル。舞台はフィールドとダンジョンに分かれている。主人公は仲間達と共に、人々から情報を集め、あるいは戦い、冒険を進める。

-戦闘システムも正統派のコマンドタイプ。攻撃方法は武器を用いた攻撃と呪文、呪文の種類も回復、攻撃、味方強化、敵弱体化とオーソドックス。但しターン制ではなく開始から終了まで各キャラ毎に入力順が回って来る。当時の感覚からするとリアルタイム性の無い[[FFIV>ファイナルファンタジーIV]]といったところ。

-シンボルエンカウントを採用している。ただし、フィールド上ではモンスターは「あらわしの鈴(笛)」を使うことで、一定時間だけ見えるようになる。使わないとエンカウントした瞬間に見えるのみ((戦闘から逃げると、戦った分だけは倒し切るまで見えるようになる。))。ダンジョン内では、最初から見えている。戦闘を避けたい場合は「かわすテクニック」が要求される。

-HPが0になると気絶状態となる。戦闘終了後にHP1で復活する。戦闘中に復帰させたいなら呪文「リーフ」((アイテム「気付けぐすり」も同じ効果。))またはアイテム「ラム酒」「エリクサー」((前者はHPのみ、後者はHP・MP共MAXで復活する。))で復活可能。全員のHPが0で全滅なのは普通のRPGと一緒。全滅しても戦闘の直前や最後に訪れた町からやり直しが可能。

-レベルアップすると、HPもMPも全回復する。更に能力値を割り振れる(後述)。

-全キャラAIによるオート戦闘を設定できる。しかもその内容は、攻撃だけでなく呪文・アイテムの使用等細かく行動を設定できる。

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**評価点
-システム回りは快適で、RPG初心者でも安心して遊べる要素が多い。さらに本作ならではのものもある。
--開発スタッフが「RPGのお約束」について見直した結果いろいろな独自の要素が見られる。後述するオートバトルやレベルアップ回復がそれである。また、登場人物の台詞にギャグの要素が見られる。「降伏しろ!」と脅す海賊に「いいえ」を繰り返すとだんだん海賊が弱気になっていったり、悪役が「人質は卑怯だと?いつも4人で来る方が卑怯ではないか!」と逆ギレを見せるなどである。これらの要素は現代では定番となっているが、当時は画期的であった。ほとんどの村に神父がいるが、ドラゴンクエストでできるような治療や経験値確認は全部店やメニューで、またセーブも戦闘中以外常時可能なので、大半に「悩みなら遠慮なくおっしゃってください」と言われるだけ。
--呪文名の後ろに数字がついている。数字が高いほど強力だがMP消費が高めとわかりやすい。
---呪文は各地の賢者に教えてもらう。一人が所持可能な呪文は最大7種類(呪文名の後の数字が違えば別の種類とみなされる)で、別の人が同じ呪文を所持してもよい。進行に応じた書き換え、誰にどの呪文を覚えさせるかなどの戦略性が求められる。
--レベルアップ時に上昇する能力値を自由に振り分けることができる。極端に振るプレイも可能。自動で振り分けることも可能。自動だとバランスよく振られるが、キャラごとに振り分け方に違いがあり自動振り分けを長く続けると個性が出る。
---もらえるポイントは5~7の間でランダム。手間はかかるが、ロードを駆使すれば全て7にすることも出来る。

-オート戦闘には意外な使い方も。
--このシステムの便利な使い方が資金集め。モンスターがシンボルエンカウントなため、オートにしておくと勝手に戦闘が行われる。やや弱い敵がいる場所で、放っておくといつのまにかお金が溜まっている。もし全滅してもやり直しの仕様により安心。ただしレベルアップ時の能力値をマニュアルで振るなら、レベルアップ時に入力待ちになるので長時間の自動放置は無意味。

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#region(ストーリーも王子の仇討ちと王道だが、それだけでは終わらない。)
-又、この作品は王道的ファンタジーでありながらSF的要素も散見される。水晶の塔(5章のダンジョン)や光のつるぎ(最強武器)作成イベント等がそうで、もっともOP ナレの冒頭の「遙か昔、いやもしかしたら遠い未来のことかもしれない。」の一文に伏線があったりするのだが、これらは続編(II)でより深く掘り下げられる事になる。~
ストーリーもまさに王道的。大筋は父の仇を追い、討ち、新たな敵をも倒し、最後は許婚と結婚…といった勧善懲悪物語である。&br()でありながら、ラスボスの破壊神アグニージャとの戦闘直前、そして倒した直後のエンディングで語られる、彼が世界を滅ぼした真意とは……イセルハーサの自然を守るのが使命であり、自然の恩恵を忘れて文明に溺れ、環境を破壊した為に人間を滅ぼした、という。このIは魔法やモンスターのある中世風の世界であり、文明により毒を撒き散らし…とボスに言われたあたりがピンとこないかもしれないが、IIではよくわかるようになっている。
-物語の大半は父の仇を追うことになるが、その父の仇も欲望まるだしで同情の余地もない極悪人ではあるものの、ラスボス勢力の目的が人類滅亡であるため協調しながらも対抗手段となるラスボスを倒せるアイテムを確保していて、ラスボス勢力から見張り役としての意味もある部下を付けられていたり、常に退路を確保しているためラスボス勢力に決別して命を狙う隙を慎重にうかがわれていたりと、単純な立ち位置ではない。
#endregion()

**問題点
-良くも悪くもオーソドックスである。それぞれに特徴を持ったドラゴンスレイヤーシリーズの中ではどうしてもインパクトが薄い。
--上記と矛盾するがオーソドックスなシステムに見えて独特部分があり、パラメーターの扱い方に気が付かないと苦戦を強いられるかもしれない。一般的に重要視されない「すばやさ」「運の良さ」がキャラクタ強化の重要なウエイトを占めており、逆に攻撃力の重要な要素と思われている「強さ」「かしこさ」はダメージ面においてはさほど重要ではない。とはいえ最大HP/MPの上昇値に直接関わるので低レベルのうちに上げておくといい。逆に上げないと上昇に大きな差が出る((最大HPは「ハイパー660」「ハイパー2000」といったアイテムで、レベルを上げずにアイテム名通りの値にすることもできるが、そもそも入手困難(ちなみに最大MPを変えるアイテムはない)。またこれらに頼るプレイは特殊である。通常の進行ではこの値は低く、慣れないと辛い。))。

//-序盤のある町で、ボスを倒すまで宿屋が使えない町が存在する(回復するにはもうひとつ前の町に戻る必要がある)。←むしろボスがのさばった状況で使える方が不自然。問題というほどでもない。
-シンボルエンカウントなのに、専用アイテムを使わない限りフィールド上のモンスターが見えないこと。特にゲームとしてのメリットもなかったようで次回作では初めから見えるようになった。

-通常は負けるボス戦があるが((ボスが頻繁に回復を行う上に即死呪文でどんどんこちらを気絶に追い込む。))、方法によっては勝つことができる。そうするとしばらくの間進行が変になる(移植版は勝てないようになっている)。

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#region(ネタバレ含む問題点)
-上記は2章のアクダム戦。勝つとローが二人になったりする。
-主人公の許婚はOPムービーにイラストがあって主人公と伝書鳩で手紙のやりとりをする仲だったり、ストーリー中敵にさらわれたりとヒロインらしきところを見せるが、ゲーム中では台詞がほとんどない。仲間にもならない。
--しかもPC88版などの場合、主人公ではなく主人公の仲間の男リュナン((ヒゲの彼も実は別の国の王子、姫救出時の章ではだらしない実兄達に説教して回って活躍する。))に感謝の言葉を述べてしまう。EDでは主人公と結婚するがこの行動はヒロインとしてどうだろう。移植ではちゃんと主人公に言うようになったが。
-バジールが言い残した「アグニージャ様のあの武器が完成すれば」。ただの妄言なのか、王家に伝わる通り石が3つ揃えば世界を滅ぼす使い方でもあったのか、虹で何か作ろうとしてたのか、なんらかの言及は欲しかったところ。
#endregion()

-2章の雑魚敵「アジン」は、こちらを毒・眠り状態にする呪文を使い、更に回復呪文も持つ為、レベルの低いうちはかなりの難敵である。
--本作ではバッドステータスの仕様が特殊で、毒状態は受けてから数ターン後に気絶する(戦闘中に治療するか、戦闘終了又は逃げれば回復する)。また眠り状態の時に攻撃を受けると必ず会心/痛恨の一撃になる。逆の立場になればチャンスといえるが。

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**総評
日本ファルコムの転換点。ARPGを重視していた作風を大幅に変えた。一方でイースなどの初心者にも入り込みやすいARPGも作っていただけの事はあり、正統派RPGは初めてでありながら、細かな点までの気遣いが見られる。~
さらにストーリーも練られており、初心者だけではなく中級者にも楽しめるものになっている。~
本作はその遊びやすさから定番となり、本作の主人公・セリオスの息子アトラスが主人公となる『[[ドラゴンスレイヤー英雄伝説II]]』、その後『新・英雄伝説III「白き魔女」』が発売される。また、カリスマ・プログラマーだった木屋善夫の退社もあって、白き魔女を境に『ドラゴンスレイヤー』の冠が外され、『英雄伝説シリーズ』として作数を重ねていくことになる。 

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**余談
1991年10月25日にはPCエンジン版(発売元:ハドソン)、更にPC版では続編発売間近の1992年2月14日にSFC版(発売元:エポック社)が発売。

PCエンジン版はほぼそのままだがスーパーファミコン版はいくらか改変がなされている。~


-「岩男」が「ガンロック」になり見た目も「岩」と言うより緑色した金属製のボールのようになった。但しジェストンやセリオスらが「岩男」「岩のモンスター」と呼ぶため設定上は岩のままと思われる。
-「眼力魔」が呪文だけのモンスターになり同章のキーとなる呪文「サイレス1」で呪文さえ封じればまったく無力化。
-2章で「アクダム」を倒した後の展開が用意されていないようで、レベルアップと呪文によるとどめでゴリ押して倒そうとするとフリーズする。
-スエルの村にいる「情報屋トミー」が「情報屋おさむん」になっている。
-1990年発売の同社製RPG『[[ドラえもん ギガゾンビの逆襲]]』とちょっとしたコラボがされており同作で強力な攻撃アイテムとして猛威を振るった「まじんのマイク」も登場。
--上記作ではジャイアンが使うと強力な攻撃アイテムだったが、本作では残念ながらパペピア2という地味な効果((天性の音痴ジャイアンだからこそ強力な超音波攻撃になるのでそれがないなら当然と言えば当然。ただ入手したタイミングでは呪文としてパペピア2は使えないので一応存在意義はある。また売れば結構な高値で売れるので金策に役立つ。))。
---因みにこのマイクは捕まった闇商人がくれるが、マイクを貰ってから話すと「マイクの使い方?ジャイアンにでも聞いてみるんだな」と的確なアドバイスをくれる。もちろんジャイアンのいないイセルハーサの世界では役に立たないアドバイス。
--ファエトの村で宿を取らせてくれる老人が「鍛冶屋のマサ」や「銀を埋める犬」の話をする。

-最終章の「ニルギドの城」に登場する敵「暗黒の戦士」は後に発売される『[[ファイナルファンタジーIV]]』の主人公「暗黒騎士セシル」とそっくり。
--本作のSFC版は上記作品の後に出ているので、オリジナル版を知らない人は「セシルをパクってる?」と思った人もいたようだが、本作の方が先口。
--因みに上記作品は講談社の月刊漫画誌「コミックボンボン」で新作情報で初めて取り上げられた折には「暗黒戦士セシル」と誤表記されていた。もしかして担当者が本作の敵と混同した?

-1992年には本作のOVAが発売された。ストーリーは本作の第一章をベース(エルアスタ襲撃、壊滅からルディア奪還まで)にしており、全体的に本作の世界観に準じているが、ソニアが竜と融合したりとオリジナルな展開が多い。
--セリオス王子が血気盛んな若者になっており「木っ端微塵切り」という荒っぽい技を使い、一人称が殆ど「俺」だったり、声もそんなキャラクターにマッチした山口勝平が起用されており、王子は王子でもまるで「蛮族の王子」のような風貌をしていたりとゲームとは殆ど別人になっている。
--またロー(CV:飛田展男)も魔法を得意とする特徴は同じながら、一人称が常に「私」であり普通に真面目な魔導士系のキャラになっており、ゲームで見せるような「いい加減な遊び人」とは全く違うキャラになっている。

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