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THE KING OF FIGHTERS XI - (2016/12/16 (金) 19:38:30) の編集履歴(バックアップ)


THE KING OF FIGHTERS XI

【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず いれぶん】

ジャンル 対戦格闘アクション
対応機種 アーケード(ATOMISWAVE)
販売元・開発元 SNKプレイモア
稼動開始日 2005年10月26日
ポイント 悪夢のKOF2003から劇的な持ち直し
今までに無かったキャラ選出
スピーディーなマルチシフトバトルの完成型
新世界サウンド完全復活の良質BGM
史上最強のバッタゲーではある
判定 良作
KOFシリーズ関連作品リンク


概要

SNKのキャラクターが勢揃いするドリームマッチ対戦格闘ゲーム『KOF』シリーズの通産11作目。
前作『KOF2003』から始まった「アッシュ編」第二章。これまでKOFは毎年リリースされていたが、開発期間が開いたことで本作から年号制のナンバリングが廃止された。

KOF NEOWAVE』に引き続いてATOMISWAVE基板に移行したことで、既に旧式ハードと化していたMVSで様々な制約を受けながら作られた前作に比べ、あらゆる面において完成度が上昇。
リアルタイムでチームメンバーの交代を行う「マルチシフトシステム」の問題点は軒並み解消され、スピーディーで爽快感のある格闘ゲームへと進化を遂げた。

珍しくインターフェースがシンプルなデザインに統一され、明るくオシャレにまとめられた雰囲気に。さらに驚きのキャラクター選出もあり、演出面でも久々にドリームマッチらしい賑やかさが戻ってきた。

ストーリー

オロチの封印の解除に成功した、謎の組織の一員、『無界』。その混乱に乗じ、『八咫の鏡』の力を奪ったアッシュ・クリムゾン。
それらは大会主催者でもあった神楽ちづるの負傷という結果をもたらし、前回のキング・オブ・ファイターズ'03は混乱の中でその幕を下ろした……。

季節が巡り、時が流れ、今年もまたKOFの開催が宣言された。新たな顔触れを加えつつ、次々に明らかになってゆく参加者たち。
如月影二の復帰を筆頭に、初参加者ではB.ジェニー、ダック・キング、オズワルド、桃子、そしてエリザベート・ブラントルシュ。
鍛えぬかれた戦士たちは、かつてない秘密と脅威が渦巻く世界最高の格闘大会に何を求めて集うのか。
彼らを加えて、大会は例年以上に熱く盛り上がろうとしていた。

華やかな格闘大会という、KOFの表向きの顔。それとは別に、裏側では数々の思惑が交差する。

『遥けし彼の地より出る者』と名乗る謎の組織は、これからどう動くのか?封印を解かれたオロチの力の行末は?
一角を欠いた三種の神器は攻勢に転じることができるのか?そしてアッシュ・クリムゾンの真の目的とは……。

キング・オブ・ファイターズXI、いよいよ開催。今、闘いの扉が再び開く。

キャラクター

  • 11チーム+乱入キャラクター5名、ボスキャラ2名で計40キャラ。
  • 完全新キャラは太字及び + マーク、KOF初出場キャラは * マーク、再登場キャラには * をつけている。
    • 主人公チーム:アッシュ・クリムゾン シェン・ウー オズワルド +
    • ライバルチーム: エリザベート・ブラントルシュ + 二階堂紅丸 デュオロン
    • 餓狼伝説チーム:テリー・ボガード ダック・キング * キム・カッファン
    • 龍虎の拳チーム:リョウ・サカザキ ユリ・サカザキ キング
    • 怒チーム:ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル ウィップ
    • サイコソルジャーチーム:麻宮アテナ 椎拳崇 * 桃子 +
    • アンチ極限流チーム:まりん 如月影二 * 藤堂香澄 *
    • 餓狼MOWチーム: B・ジェニー * グリフォンマスク 牙刀
    • K'チーム:K' マキシマ クーラ・ダイアモンド *
    • エージェントチーム:ヴァネッサ * ラモン * ブルー・マリー
    • 京&庵チーム:草薙京 八神庵 矢吹真吾 *
    • 乱入キャラ:アーデルハイド 天童凱 * 邪頭 * ズィルバー * ショー・疾風 *
    • ボス:紫苑 + 禍忌 +

前作以上に既存シリーズキャラのラインナップが強化され、『餓狼伝説』シリーズからダック・キングとB・ジェニー、タイムリリースとして『風雲黙示録』からショー・疾風と邪頭、『武力~BURIKI ONE~』から天童凱とズィルバーが参戦した。

特徴・システム

  • 前作で削除されていた「吹っ飛ばし攻撃」が復活。専用のボタン(Eボタン)が割り振られ、1レバー+5ボタン制に。
  • システムは前作に引き続き、1ラウンド制の試合中にリアルタイムで交代が行われ、チーム3人全員がKOされるまでシームレスに続く「マルチシフトシステム」がベース。
    • 控えメンバーがいる時はACまたはBD同時押しで、攻撃を行わず任意にプレイヤーキャラの交代を行う。チームメンバーがKOされた場合も、その場で次のメンバーに交代する。
    • 3人のメンバーのうち、「リーダー」に設定した1人のみ、超必殺技よりも強力なパワーゲージ2本消費の「リーダー超必殺技」を使用できる。

本作では主に以下のような変更が行われた。

  • スキルゲージの新設
    • 何らかの動作をキャンセルした行動のために必要となるゲージ。最大2本までストック可能。
      パワーゲージとは異なり、時間経過で少しずつ自動的に溜まっていき、能動的に溜める手段は無い。なお、2本目のゲージは1本目よりも溜まる速度が遅くなる。
    • クイック緊急回避(スキルゲージ1本消費)''
      • こちらの地上技をヒットorガードさせた時に、スキルゲージ消費で硬直をキャンセルして自分が緊急回避できる。
    • クイックシフト(スキルゲージ1本消費)
      • 超必殺技を含む地上技をヒットorガードさせている間にACかBDを同時押しした場合、次のメンバーに攻撃をさせつつそのまま素早く交代が出来る。
        前作の「交代攻撃」に2002までのクイックMAXの性質を組み合わせたようなアクション。発動できる機会は変わったが大幅に自由度が上がり、マルチシフトの主なアクションとなっている。
    • セービングシフト・ガードキャンセルシフト(スキルゲージ2本消費)
      • 地上で相手の攻撃がヒットまたはガードしているときに、ACまたはBD同時押しで発動(当然、控えメンバーがいないときは使用できない)。
        仰け反りやガード硬直をキャンセルし、素早くメンバー交代を行う。セービングシフトのみ次のメンバーが同時に反撃を行い、GCシフトは反撃を行わない。
        かつての「援護攻撃」を最近の「バースト」などと組み合わせたような、相手の地上連続技から脱出できる非常に強力なアクションである。その分コストは重い。
    • スーパーキャンセル・ドリームキャンセル(パワーゲージと同時にスキルゲージ1本消費)
      • 従来の必殺技をキャンセルして超必殺技を出す「スーパーキャンセル」は、今回はスキルゲージ1本を追加消費で可能。
      • リーダー限定・パワー2本消費のリーダー超必殺技も、同様にスキルゲージ1本を追加消費すると、対応する超必殺技から「ドリームキャンセル」が可能。非常に強力なコンボを成立させられる。
      • 投げ系や反撃専用の「当て身系」といったリーダー超必殺技などは、ドリームキャンセルで出した時にのみ始動モーションの攻撃判定が打撃属性になり、普通の超必殺技と同じ要領で連続技にすることができる。
    • ガードキャンセル吹っ飛ばし攻撃・ガードキャンセル緊急回避(それぞれパワーゲージ1本消費)
      • 相手の技をガード中にEorABで、硬直をキャンセルして繰り出す共通アクションも健在だが、これらは従来通りパワーゲージを使う。
  • ジャッジメントインジケーター
    • 画面中央上のタイムカウントの部分に表示されているメーター。どちらのチームが優勢に試合を進めているかを示すもので、今作におけるタイムアップ時の判定はこれによって決される。
      攻撃を当てる度に少しずつ、メンバーがダウンした瞬間に一気に回転する。イーブン時は黄色で、1P優勢時は赤、2P優勢時は青に表示が変わる。
    • 一見すると体力総量の差を示すメーターだがそういうわけでもない。リーダーによる攻撃は他メンバーの攻撃よりも傾きがわずかに大きい他、メーターは上限を越えて傾くことはない(≒一方的に押されたとしても挽回の余地が常に残る)。

評価点

  • 格闘ゲームの原点に立ち返れる攻めの楽しさ
    • 弱体化による調整が目立った前作に比べ、本作は全体的に技の性能が高く設定されており、格段に攻めやすくなった。
      ガードされて反撃を受けるような技が本作では少ないため、積極的に攻め込んだ側が有利になりやすく、めまぐるしく攻撃の主導権を奪い合うスピーディーなゲームとなっている。
    • また、ヒットストップやキャンセルポイントが長めに取られていることに加え、先行入力も効きやすくなっており、連続技の難度がシリーズの中でも低め。
      • 従来はシビアだった目押し連続技も概ね安定して繋がるため、KOFシリーズに不慣れだったプレイヤーでもとっつきやすい。
    • クイックシフトを活用した連続技は非常に強力かつ爽快。
      長い連続技になりがちなためさすがに手元は忙しくなるが、これも基本的には「それぞれのキャラのコンボをクイックシフトで繋げるだけ」なので、慣れてれば見た目よりも簡単。
      キャラクターが多いため組み合わせも膨大で、定番の基本コンボからその場の閃きによるアドリブコンボまで、様々な連続技を模索する面白さがある。
      • シフトコンボは最大3キャラを次々に切り替えて操作するという特性上、通常の格闘ゲームのループコンボのようなパターン感が無く、KOF特有のチームバトルというコンセプトもさらに上手く活かされている。
        リスキーだが、スーパーキャンセルやドリームキャンセルを交えれば威力も見栄えも抜群。
    • なにより操作していて純粋に楽しい。当たり前のようで、昨今の複雑化した格闘ゲームではしばしば置き去りになってしまう、格ゲー本来の面白さである。
  • シフトシステムの全面的な改善
    • 特にセービングシフトの導入が大きい。クイックシフトによって生み出された即死級の連続技こそ多数存在するものの、これにより実際の対戦中で即死コンボが決まる機会はかなり抑制されており、攻めが強いなりにバランスを保った。もしこれがなければ、本作のバランスもまた不安定なものになっていた可能性は大きい。
    • これに加え、スキルゲージの溜まり方を両者公平にしたという点も地味ながら妙策だったといえる。
      パワーゲージがシフト動作にも共有され、かつ初期値3本でスタートしていた(=開始早々に大技込のフルコンボをブチ込まれることさえあった)前作のような一方的な展開は起こりにくくなり、理不尽感は大きく解消された。
      • スキルゲージとシフト動作、どちらも攻撃と防御の両方に不可欠となるため、どのタイミングでスキルゲージを放出するか、時にはいかにダメージを肩代わりさせるかの配分を考える戦略性が生まれた。
    • 仕様上、残りメンバーが一人になるとクイックシフトもセービングシフトも使えなくなるため、判定とともにかなり不利な状況に追い込まれてしまうが、
      通例としてメンバーがダウンした瞬間にパワーゲージが残量・最大ストック量ともに一本ずつ上昇する(最大値は3本から5本まで増える)ため、超必殺技を惜しみなく撃ちやすくなる。
      加えて、シフト動作がなくなることからスキルゲージは1本溜まった段階でスーパーキャンセルやドリームキャンセル、クイック回避に集中的に使えることにもなるため、ワンチャンスからの大逆転も起こりやすくなっていく。
  • 質の高いサウンド
    • 極上のBGM群。個々の曲の出来の良さもさることながら、いずれもチームコンセプトやステージ背景とのマッチングが絶妙。
      曲数も多く、地味な各種デモ画面用の曲もしっかり数種類用意されている。にもかかわらずショー・疾風のテーマ曲「チャーチャーチャー」を除いて全て新曲であり既存曲のリミックスなどは基本的に皆無、なおかつシリーズの雰囲気を全く損ねていない。
      鋭いロックチューンから渋いアコースティック曲、洒落たジャズナンバー、ポップで可愛く楽しい曲、ドライなエレクトロサウンドなどなど、バラエティの豊富さにかけても文句の付け所が見当たらない。
      • 特に評価が高いのは主人公チームの「JOKER」、ライバルチームの「Queen」、K'チームの「KDD-0075」など。
      • 前作『2003』の楽曲は『2001』『2002』よりも評価は悪くなかったが、それでもMVS(ネオジオ)の古い音源と容量という限界はどうしても無視できるものではなくなっていた。
        しかしATOMISWAVE基板に移行しその軛から解き放たれた本作では音質も劇的に上昇。旧SNKの「新世界楽曲雑技団」の中心的メンバーだったSHA-V氏が復帰したことで、KOFを彩る音楽が完全復活した。
      • 総じて、サウンド面においてシリーズ最高傑作とされていた『KOF'96』に匹敵する出来。サウンドトラックもプレミアが付いて高値で取引されている模様。
    • SEも酷評されていた2003やSVCから差し替えられ、正常に戻ったと言えばそれまでだが初期作のようにズガーン!と気持ちよく鳴ってくれるSEが用意。
  • キャラクター選出
    • ドリームマッチと言いつつ、1年ごとに新作をリリースし続けてきた結果、完全新キャラを除いて半ばメンバーが固定化されつつ新鮮味が無くなっていたKOFシリーズ。
      しかし本作ではまさかの『風雲黙示録』からのハヤテと邪頭に、『武力~BURIKI ONE~』からの凱、ズィルバーなど、あまりスポットが当たっていなかったSNK過去作品からキャラクターが選出され目新しいキャラが多数参戦。
      久々にSNKオールスターらしさと祭典感のある賑やかなメンツが出揃った。風雲黙示録や武力のキャラ参戦は想定外だっただけにそこを評価する向きもあろう。
    • 今作完全新規キャラのオズワルドとエリザベートも概ね好評。
      • 特にオズワルドは渋い外見に独特のクネクネした動き、なのになぜか格好良いという新鮮な印象を与え、老人キャラであるにもかかわらずかなりの人気を集めた。
      • エリザベートは正統派に近い格ゲーヒロイン的なキャラだが、ストーリーの核心に関わっていることもあり、こちらもまずまずの人気。
      • テコ入れと思しきロリキャラの桃子は正直キャラ人気的には微妙。性能面でも微妙ではあるが、操作感はまずまず好評*1な為、弱キャラと言われながらもそれなりに対戦で使われる程度の人気は出た。
    • チームの構成なども中々面白い。
      • 名物キャラの多くがリストラされているが、故に長らく問題となっていたメンバーの固定化から脱却している。
        これにともなって女性格闘家チームや韓国チームは実質的に廃止されているが、代わりに新たなチームがいくつか生まれた。
        改めて再編成を経た餓狼チームはMOW版テリー/ダック・キング/キムと言う、懐かしくも全く新しい面子に。
      • ダック・キングとB・ジェニーの参戦や、影二と香澄などの復活も餓狼・龍虎ファンには嬉しい所。
    • エディット専用ながら風雲や武力のキャラに関してはそれぞれ上手く個性が出ており、順次解禁されるごとに各種ゲーセンを賑わせた。
      • 特に原作の操作感再現を目指した凱は初見お断りとも言えるコマンドだらけだが*2、その独特な操作感もあり、使っていて楽しいキャラの一人として評価されている。
  • 全体的にお洒落で大人っぽくまとめられた雰囲気、カード(トランプ)をモチーフにした演出も評判が良い。
    • デモ画面やステージのCGも劇的に美麗になった。新基板による容量増加のおかげなので当たり前と言えば当たり前だが、CGの質そのものも良好。
    • 爽やかな印象でまとめられたキャラクターイラストも高評価。
      • 本作のイラストを手掛けたヒロアキ氏は旧SNK時代を代表するイラストレーターだった森気楼氏の弟子だけあって安定感ある画風で、キャラの特徴の描写も的確。
        『2001』『2002』のノナ氏、『2003』のFALCOON氏は画力こそ高いがいずれもクセの強すぎる独特の画風のためにかなりの物議を醸したが、本作では久々に諸手を挙げてファンに歓迎された。
  • キャラクターバランスは割と良好
    • 弱キャラでも十分戦える性能は持っており、このあたりは格ゲーらしくプレイヤースキル次第でどうとでもなるバランスに収まっている。
    • とはいえキャラ数が多いうえ、かなり攻め重視のゲームデザインになっている影響もあってか、どうしても強キャラ弱キャラは存在する。
      • 強キャラ筆頭格は小ジャンプ攻撃の暴力級の強さとそこからの連続技の安定感を誇る牙刀とクーラ・ダイアモンドの二人。
        ここに優秀なリーダー超必殺技による爆発力が凄まじいオズワルドを加えた「ガトクラオズ」が最強チームとされ、各地のゲームセンターで非常に良く見かける組み合わせであった。
    • 逆に弱キャラとされるのは桃子の他に麻宮アテナ、ウィップ、ショー・疾風など。
    • なお、これらの評価は稼動後しばらく経った時点のもので、やり込み勢による研究・対策が進んだ現在は各キャラの評価が大きく見直され、上下の差が詰まっているとも言われている。

賛否両論点

  • ジャンプ攻撃が強すぎる
    • ゲームスピード自体は2003よりも若干遅くなっているはずなのだが、小・中ジャンプが異常に低く速い
      これに対しジャンプ攻撃がヒットしたときの仰け反りがやたら長いため、キャラによっては小ジャンプ直後に出した技が当たると、着地後の地上技があっさり繋がる
      • その速さは人間が反応できるスピードを普通に超えているため、まず見えない。気付いたら食らっているというレベルである。
      • 特に強力なのはクーラ・ダイアモンドの小ジャンプC。発生が早い、判定が強い、仰け反りが長い、威力も高いという完璧な性能で、そこから始まる連続技でゴッソリと減る。
    • 元々KOFはジャンプ攻撃が強い傾向にあるシリーズであることからピョンピョン跳ねて攻撃するのが強い「バッタゲー」などと揶揄されていたが、本作はその中でも最強のバッタゲーであった。
    • ただしジャンプ攻撃が強いということは、それだけ意表をついた攻めを演出しやすく、強力な連続技の布石にもなることでもあり、本作特有の爽快感あるスピーディーな展開を後押ししている一面もある。
      これを本作の醍醐味と見るか、厄介なところと見るかは人によって異なってくるだろう。
  • レギュラーキャラの欠場
    • 滅多に外部出演の無いレアなキャラや復活キャラが登場している反面、お馴染みのキャラが出場していないことに対する不満も見られる。
      続投キャラが多いシリーズだけに人気キャラや新シリーズキャラの欠場が度々行われてきたシリーズではあるが…。
    • ジョー、ロバート、チャン、大門などの高い出場率を持つ面々が出場していないが、その中でも特に高い人気を持つ女性キャラの舞とレオナの欠場の不満は大きかった。
      • チームストーリーで説明はされている。舞は今作で出場していないアンディと共にバカンス、レオナは「前作で暴走してしまったため」。
      • なお、家庭用では舞とロバートが遅れて参戦を果たした。
  • スタンコンボ
    • シェン・ウーやまりんなど気絶値上昇の高い技を持っているキャラをあらかじめ入れておき、そこからクイックシフトで交替しながら気絶値が高い連続技を打ち込み続けられる。
      本作は気絶値がスタンゲージとして見えるようになっているので、上手くやるとスタンゲージ半分ぐらいを確認してスキルゲージ1本で成立する。気絶後の攻撃を含めると即死連続技になってしまうのも多々。
      • ただしスタンコンボがあるキャラ=強キャラという訳ではなく、決める機会自体がそう多くなく、何よりセービングシフトで脱出できるのもあり、あくまで状況限定のコンボとして割り切れる範疇。
  • ドリームキャンセルによるダメージ補正
    • ラルフのように極端に下方補正がかかるキャラもいれば、牙刀のように逆の上方補正がかかりダメージアップするキャラというようにその差は激しい。
      とはいえ、リーダー限定なのでキャラの強さ自体にはそこまで影響はなかったりする。
  • ジャッジメントインジケーター
    • いわゆる「待ち」「逃げ」を防止するためのアイデアだと思われるが、ただでさえ攻めがそれらをぶっ潰すレベルで強いゲームなので大して意味が無い。
      タイムアップ直前になると判定勝ちしている方は非リーダーで逃げればいいので、逃げ切りを防止する役にも立っていない。
      • 意欲的な試みではあったが、これなら普通に「合計残りライフの多い方が勝ち」という形の方が良かったという意見が多い。ただし、一方でタイムアップ直前のちょっとした独特の駆け引きと緊張感を評価する声もある。

問題点

  • 地上仰け反り中でなければ発動できない」というセービングシフトの仕様
    • 浮かされて空中連続技に入られると脱出手段がなくなるため、必然的に強力な空中コンボが可能なキャラが強い傾向にある。
      素直に空中でも発動できるようにした方が良かったのではないかと思われる部分。
    • ガードキャンセルシフトはスキルゲージ2本という大きな消費を強いられる割に交代時の反撃がないため、かえって劣勢に立たされることも多い。
      同じガードキャンセルでもパワーゲージ1本で使える吹っ飛ばし攻撃or緊急回避の方が信頼性が高いため、はっきり言ってGCシフトは死に技同然である。
  • ドット絵の粗さ
    • KOFのキャラのドット絵そのものが『'96』をベースに新規モーションの追加、既存キャラに合わせた新キャラの追加、という形で行われ続けてきたが、流石にキャラクターグラフィックそのものがもはや時代遅れに等しい物に。
      • 一応、前作で異様にカクカクな動きだったシェン等は中割のドット絵がある程度書き込まれて非常に良く動くようにはなったが、解像度の低さは如何ともし難い。
      • 背景は毎作一新される為にこういった問題は起きていないのだが、背景とUIだけが進化しているだけになおさらキャラのドットの粗さが目立ってしまっている。
    • ベースの問題はあるものの、1作間を空けて新規ドットで帰ってきたケンスウやKOF初登場のダック等、新たに書き下ろされたドットの評価は比較的高い。
    • ただ、キャラの動き、特に超必殺技の演出はレベルが高いとは言えず、全体的に技が軽く感じられやすい。
      • これについては、ドット絵を含むグラフィック演出の評価が非常に高かった『餓狼 MARK OF THE WOLVES』準拠のテリー・ボガードなどが特に顕著で、彼らのグラフィックはKOFに落とし込んだ結果MOWより劣化したと評されることも。
  • 対戦前のロード時間が長い
    • ATOMISWAVEの仕様なので仕方ないが、ロムカセットなのにディスクメディア並の読み込み時間が入る。
    • 対戦はもちろんCPU戦でも対戦前に待たされるので少々テンポが悪い。

総評

マルチシフトシステムがしっかりと練り込まれ、KOFの新たなチームバトルの形を完成させた良作。
比較対象が悪夢のような出来だった『KOF2003』だったことを考慮せずとも、単体のゲームとして評価できる点は随所にある。

対戦バランスに関してはかなり尖った面もあり、バッタゲーであることには違いないが、格ゲーの原点と言える純粋にキャラを動かしていて面白いという感覚が、確かに味わえるゲームである。
BGMを始めとする演出の出来も、概ね相変わらず素晴らしい。

なお後続作のチームシステムが従来通りのものに回帰した関係もあり、KOFシリーズ、ひいては流行り廃りの激しい格ゲーでも本作の息はかなり長い。
未だに「XI勢」と呼ばれる根強いプレイヤーも散見されることがその証左であろう。


その後の展開

いい加減グラフィック全体を新たに作り直して欲しいという声に応え、次回作『THE KING OF FIGHTERS XII』で早くもTaito Type X2基盤に移行しグラフィックが全面的にリニューアルされた。
・・・のはいいのだが、グラフィックに力を入れ過ぎた結果「それ以外の部分が極めてお粗末」という本末転倒な事態となり、低評価を受けてしまった。
時代に合わせた描き直し自体は好評を持って受け入れられており、『KOF XIII』にも引き継がれた。


余談

  • 稼働最盛期だった2006年には闘劇種目に選出、アルカディア大賞読者人気部門でも6位に入っており、ジャンル内でも上位に食い込む人気を得た。
  • 武力2人目のキャラのズィルバーは「ジョーカー」「カズウ」「ゲーマント」と言ったかなりアレな候補の中から選出されたが、通常技構成すらままならない程の技の少なさで製作者を悩ませていた模様。
+ 参考動画

移植版

対応機種 プレイステーション2

発売元・開発元 SNKプレイモア
発売日 2006年6月22日
価格 7,140円
備考 SNKベストセレクション:2007年6月28日/2,940円
配信 ゲームアーカイブス:2014年12月17日/1,000円(税5%込)
判定 良作

移植版の主な特徴

  • 移植度が極めて高い。またバランス再調整を施したアレンジシステムや、従来作準拠でマルチシフトなしの3on3も搭載。
    • アレンジシステム最大の変更点はジャンプ攻撃の弱体化
      アーケード版のように昇り小ジャンプ攻撃から地上技が繋がるようなことはなくなり、バッタの恐怖が大幅に緩和されている。
      また、キャラ一人一人の技の性能まで細かな調整が行われていた。
      • しかし家庭用格闘ゲームの主戦場であるオンライン対戦は、当時の同ジャンル他社の状況を考えてもラグが凄まじく*3、オフラインの感覚ではコンボを決めることすら困難。相手への対応もまず不可能で、立ち回りを無視して暴れるほうが遥かに勝率が良い為、すぐに過疎化した。その為に研究は殆どされておらず、変更点はプレイヤーに殆ど周知されていない。
      • ゲーム性への影響も大きい。ジャンプ攻撃からのコンボが繋がりにくくなってしまった事はそのまま爽快感の減少に繋がっており、オンライン対戦にはアレンジモード用ロビーも存在したが、そちらをメインに遊んでいたプレイヤーは殆ど居なかった。
    • アーケードで家庭用準拠のバージョンアップなどが行われていれば、また違った受け取られ方をしていたのだろうが…折角のバランス調整だったのに結果として蛇足となってしまったモードである。
    • 追加キャラとして、『ネオジオバトルコロシアム』から、7人のキャラが使用可能になっている。
      • その面子は本作未出場だった舞、ロバート、性能違いのEX京(99~2002のネスツ服)、再参戦のMr.BIG、ギース、初登場の双葉ほたる、タン・フー・ルーら。
        単なるコピペだと思いきやネオコロのシステムにはない緊急回避や、特定の技の喰らいモーションなどが新規に作られており、そしてアレンジシステム対応も抜かりなし。手間と時間がかけられている。
    • チャレンジモードがある他、ネットワーク対戦機能付き(現在はサービス終了)。さらにイラストやアレンジBGM、カラーエディットモードも収録。
  • これだけ盛り沢山でありながらロード時間がアーケード版より短い。これといったバグも無く、旧SNKを含むSNK歴代作品の中でも最高の良移植と言われている。
    • 強いて言えば、アレンジBGMよりも概ね原曲の方が評価が高い傾向にある。
    • 「シフト外し」と呼ばれるバグ技が発見されてしまったが、普通の対戦ではまず起こらないため影響はほぼ無し。
      しかしこのバグを極めると、ネスツ編3作で採用されていた悪名高い「ストライカー」を彷彿とさせるカオスな連続技が出来上がるため、ネタコンボ研究勢には好評(?)だった。