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ポップンミュージック (Wii) - (2016/08/24 (水) 18:03:36) の編集履歴(バックアップ)


ポップンミュージック

【ぽっぷんみゅーじっく】

ジャンル 音楽シミュレーション
対応機種 Wii
発売・開発元 コナミデジタルエンタテインメント
発売日 2009年8月6日
定価 5,800円(税5%込)
判定 クソゲー
黒歴史
ポイント ポップンミュージックのような何か
キャラデザ大幅変更
操作性が悪すぎ&超誰得
ヌルすぎる難易度
収録曲数が40曲と明らかにボリューム不足
楽曲有料追加(それもなんと10曲までしか追加できない
ヘタしたらKOTY入選レベル
従来のファンからは完全黒歴史認定
こんなものよりCS15出せ
ポップンミュージックシリーズリンク


概要

1998年、アーケードから始まった定番の音楽ゲーム『pop'n music?』シリーズ。
その歴史は10年を越え、アーケード以外にも様々な家庭用機種に登場、多くのファンを生み出す事に成功した。
そのほとんどはソニー据え置き機であるプレイステーションシリーズでのリリースであり、意外と任天堂ハードで登場する機会は少なかったが、遂に任天堂の据え置き機ソフト初としてWii版が発売される事になった。

しかし、Wiiのリモコン操作でAC/PS版と同様の操作をする事は不可能であり、基本的なゲームルールはそのままに、「Wiiリモコンとヌンチャクを振って画面の中のキャラクターがボタンを押す」というWii向けのチューニングがされ、5ボタン形式になっている。
シリーズ異色のアレンジ作としての登場であり、従来の9ボタン仕様のポップンシリーズ(以下本家)に馴れたプレイヤーにとっては、あまりの変貌ぶりに困惑を隠せないのは否めないところか。
Wiiで出た同ブランドの別シリーズ『Dance Dance Revolution』(以下DDR)ではWii用コントローラーが作られたのに*1、何故ポップンは作られなかったのか、疑問がぬぐえないのが正直なところだろう。

もちろん、操作性や外観が変わった事自体はこの作品における主な批判要素ではない。問題なのは、音楽ゲームとしてのクオリティとボリュームが、あまりにもお粗末だったところにある。

問題点

ゲームとして、そしてポップンとしての問題点

  • キャラクターのデザインが豹変している。
    • 棒状の胴体に腕のない手と、楕円形の大きな頭部がくっついているデザインで、まるでコケシのような造詣。*2イラストのタッチも本家と大きく異なっており、なじみ難い。
    • また、キャラクターの数も14人と本家に比べるとあまりに少ない。
  • まず本家プレイヤーにとって目につくのは、収録曲の少なさであろうか。デフォルトで全40曲しかなく、隠し曲も存在しない。
    • 音ゲー未経験者からしてみれば「40曲ってそんなに少ないのか? それなりに多そうだが?」という疑問が沸くかもしれない。が、過去のPS2シリーズはほぼ必要最低限の曲しか入っていないにもかかわらず平均101曲という圧倒的な曲数を誇っていた。*3メディア容量の制約が大きく、かつ楽曲自体が少なかったPSシリーズを含めての比較でも、40曲という数字は歴代ワースト2位に相当する。
      • 他の音楽ゲームと比較すると、beatmania IIDXシリーズが平均85曲、DDRはPS2シリーズが平均80曲*4、同じWiiの『太鼓の達人』でも70曲、1年前に発売された『めっちゃ! 太鼓の達人DS 7つの島の大冒険』でも50曲。現環境では据置機はおろか携帯機ですら40曲は少ないのである。
    • さらに、その内訳は版権曲(J-POPやアニソン等の有名曲)が30曲、ポップンオリジナル曲は10曲
      • 版権曲はほとんどが新規収録であるが、オリジナル曲は全て過去の作品からの再収録であり、スタッフロールなどのシステムBGMを除いて本作オリジナルの楽曲は無い
    • その新規収録された版権曲も、ラインナップの大半が『太鼓の達人』と重複してしまっている。
      • 同社に同じく版権曲が多い音ゲーにアーケードの『jubeat』があるが、こちらは収録する版権曲の傾向をある程度ずらしており、『太鼓の達人シリーズ』との差別化を図っている。
  • そして1曲あたりの譜面(ステージ内容)が、2つ(スタンダード、チャレンジ)しか存在せず、恐ろしく中身が薄くなっている。本家は原則として1曲あたり6譜面(5ボタン/EASY、NORMAL、HYPER、EX+BATTLE譜面2種類)が用意されており、同じ曲でも様々なステージが楽しめた。
    • チャレンジ譜面はスタンダード譜面を100点クリアすると出現する隠し譜面…なのだが、「100点クリア=ゲージ満タンでクリア」なので簡単に出現する。
  • これでまだやりがいのある難易度なら救いがあるのだが、全体的に初見でも余裕でクリアできるヌルい難易度で、ほぼすべての楽曲の尺を3分の2以上すっぽかしてもクリアできるという、やりがいも何も無い超ゆとり仕様。難易度「むずかしい」の曲ですら子供にとってもあくびが出そうな低レベルぶりで、「お手軽」を通り越して「虚しい」だけである。
  • Wiiに合わせ、Wiiリモコンとヌンチャクを使った操作形式に変化している。
    • これはポップンのボタン配置に見立ててリモコン/ヌンチャクを振るという操作方法である。ボタン配置は「緑青赤青緑」となっているが、落ちてくるポップ君に合わせて、両端の緑はそれぞれ左右の外側、青は対応する側の下側、中央の赤は内側(左右どちらを使ってもOK)へ振るというもの。成功すれば画面の中のキャラクターが対応するボタンを押す。
    • ……のだが、操作性が劣悪で、まともに操作させてくれない。リモコン/ヌンチャクを大きく振っても反応しない(=BAD判定)、振っても誤反応が起こる(例:右に振ったのに、上や左に振ったことになる)など、リモコンの感度の悪さが大きなストレスとなり、プレイヤーを苛立たせること必至。
    • もうリモコン操作は期待できないからとクラシックコントローラで操作したい気分になってくるが、なんとクラコン未対応である。そのためリモコンとヌンチャクで反応するかどうかもわからない振り操作を強要される事になる。
    • ちなみに無理にリモコン操作限定にこだわったポップンWiiに対し、『太鼓の達人Wii』は従来のような専用コントローラをきちんと用意した上でヒットしている。果たして、リモコン操作にこだわる必要はあったのだろうか…。

計略上の問題点

  • Wi-Fi機能により、曲・譜面を追加できるサービスが存在するが、信じられない事に有料である(2曲セットで100円)。元の曲数が少なく、ゲームとしての基本もなっていない状態で金をせびり、さらにWii本体の容量をも圧迫させるという、メーカーの企業態度を疑う姿勢には首をかしげずにはいられない。
    • しかも本体には最大10曲(5セット)までしか保存できない(購入済み楽曲の再ダウンロードは無料で可能)。
    • DLC曲は全てポップンオリジナル曲だが、こちらも過去のポップンシリーズからの再録のみである。しかも一部の曲は曲名を誤植されてたりする(「ポップミュージック論」→「ポップミュージック論」など。最もこの楽曲の名前はファンの間でも間違われやすくはあるが、公式でやらかすのはいかがなものか)。
    • ちなみにCMは低年代層向けテレビ番組『おはスタ』内で展開していた。子役を配置するなど明らかに幼稚園~小学生低学年をアピールしていたのだが、有料コンテンツとはこれいかに。
    • PSP版『太鼓の達人ポータブル』『~2』にもDLCでの楽曲配信があるが、こちらは初めから無料サービスである。また、PC用『ポップンミュージックBe-Mouse』の配信は、初めは有料だったが後に無料サービスとなっている。(現在はサービス終了)
    • 参考までに、PS2シリーズの最終作である『ポップンミュージック14 FEVER!』、同じWiiの『太鼓の達人Wii』、そして本作の曲と譜面数を比較してみると…。
      • [PS2 ポプ14] 112曲(5KEY 112/NORMAL 112/HYPER 112/EX 88 計424譜面 + BATTLEモード、ENJOYモード専用譜面)
      • [Wii 太鼓] 70曲(かんたん、ふつう、むずかしい、おに/各70 計280譜面 + 極僅かだが2人プレイ専用譜面)
      • [Wii ポプ] デフォルトで40曲(スタンダード、チャレンジ/計80譜面)+ 追加曲購入(有料)
      • 単純計算で本作の譜面数はCS14の五分の一以下、『太鼓Wii』の七分の二しかなく、いかに本作のボリュームが少ないかおわかりいただけるだろう。(追加配信すれば多少譜面が増えるが、それでもボリュームアップには程遠いレベル)。

評価点

  • 版権曲が多いため本家と比べると有名曲の割合が多く、万人向けをアピールしている。
    • 当時、本家は若干古めの版権曲を多く入れており、有名曲をあまり入れてくれなかった。だが、AC16以降は収録傾向が変わり、有名な版権曲を多く入れるようになった。
  • 難易度が易しい分、本家よりも入り込みやすい。飽きやすくもあるが。
  • 対戦モードがそれなりに豊富で、一応はパーティゲームとしての機能を果たしている。
    • といっても、これをパーティゲームにする位なら、同じ価格でよりクオリティの高いソフトがWiiにはいくらでもあるのだが。
  • ロード時間は皆無。本作はウェイトに待たされる気配が全くなく、テンポの面だけでいえば本家以上の快適さである。
  • 登場キャラクターはシリーズの有名キャラが中心*5で、本家よりも滑らかに動く。
    • ただし、Deuilトリオのうち何故かスマイルだけが未登場、マイナーキャラ・コービー*6の起用など、選考基準に関しては疑問が残る。

総評

以上の通り、従来のファンを奈落のどん底に突き落とすのには十分な内容であり、まさに「どうしてこうなった」状態でファンを敵に回す結果となってしまった。
本作の出来の悪さもあるが、あまりにもハイボリューム・ハイクオリティだったPS2版ポップンとの落差に、家庭用を経験したプレイヤーの落胆が大きかったこと、
またAC15以降、家庭用移植が途絶えてしまったことから来る幾ばくかの期待感という要因が、本作をよりガッカリさせる結果に向かわせたのかもしれない。

その他

結果、販売数は初日約900本・累計約2700本と散々な結果に。古くからのファンにも全国のちびっ子にも見切られた結果であった。PS2シリーズがいずれも万単位の売り上げだった事を考えると、いかに不評だったのかが伺える。
ファンからは「こんなものを作るならアーケードの移植版を作れ」という怒りの声が多くあった。それを差し置いてなぜこんな無謀なものを発売しようと思ったのか理解に苦しむ所である。*7

もしもWiiで音ゲーをやりたいだけなら、『太鼓の達人』や『ダンスダンスレボリューション』を買ったほうが良い。ポップンにこだわるのであれば、PS2で7~14のいずれかを買うことをおすすめする。どれを選んでもボリュームはある程度あるのですぐ飽きることはないだろう。

ちなみに、本作の次に発売された家庭用BEMANI新作であるPS2版『beatmania IIDX 16 EMPRESS + PREMIUM BEST』はディスク2枚組で収録曲数180曲オーバーという、超弩級ボリュームである。PS関係のBEMANIシリーズはやりすぎな位作り込まれているのだが、他社ハードになると一気にパワーダウンするのは何故なのか?
同じ事例として、Wiiに展開している『DDR』もパワーダウンしているが、そちらはまだ許容できる範囲(楽曲の大半がWii版専用楽曲*8・曲数が50~60)である。が、こちらは明らかに手抜きと言わざるを得ない。

余談・その後のシリーズ展開

  • 本作は2009年11月にアメリカでは初の『pop'n music』としても発売された(これ以前にXBLAでポップン風のゲーム『Beat'n Groovy』も出ていたが、pop'n musicというタイトルとしては初)。
    • こちらは日本版と収録曲が大きく異なり、洋楽版権や、日本版では未配信のポップンオリジナル曲、さらにはオリジナル新曲1曲(先述のスタッフロールBGMをプレイアブル楽曲化したもの)も収録されている。
      • ただしデフォルトの曲数は日本と同様に40曲しかなく、ゲームにおける問題点は日本版と同様。
    • ちなみにアメリカでの販売本数は累計約19000本。散々な結果に終わった日本版よりはマシかもしれない。
    • しかし、向こうのBEMANIファンからは「なぜ従来のポップンを移植しなかったのか」という不満の声も。
      • 余談だが、アメリカ版ではポエットの天使の輪が何故か消えている。恐らくは宗教的配慮による修正だろう。
  • さらに、2010年にはヨーロッパのWiiでも『pop'n rhythm』として発売。
    • こちらはDLCそのものが廃止されている。
  • ポップンミュージック18 せんごく列伝』のサウンドトラックCDにこのゲームの曲が収録されている。ただし、前述の通り本作オリジナルのプレイ楽曲などは存在しないため、収録はスタッフロールBGM1曲のみ(アーティストは村井聖夜)。
    • 同CDには下記PSP版と番外編である『うたっち』の楽曲も収録されており、そのついでで入れたように見えなくもない。
  • 本作リリース後、CSナンバリングシリーズの実質的な続編となる『ポップンミュージック ポータブル』『ポップンミュージック ポータブル2』がPSPにて発売された。『ポータブル』がCS15を、『2』がCS16を兼ねていると言えるか。
    • 収録曲数はPS2シリーズほど多くはなく、複雑な操作を要求される為にハードルが高くPSP本体にも負担をかけやすいという問題点はあるが、丁寧に作られた内容でボリュームもあり、概ね評価は良好な模様である。
  • 後に欧米初のアーケードとして『POP'N MUSIC』が進出したが、その絵柄、操作が4ボタン、譜面もヌルいものが多かったりとWii版に似ている点が多く、海外からも「見えている地雷」と危ぶまれていた。
    • さらに2011年3月、この欧米で稼働していたバージョンをベースに収録曲などを変えて逆輸入した『ハロー!ポップンミュージック』が稼働。
      だが、ヌルい譜面、曲とキャラの少なさ、システム変更などで散々な評価を受けることになった。詳しくは記事を参照。
  • 長らく黒歴史とされていた…と思われていたが、2013年4月24日に『クイズマジックアカデミー 賢者の扉』内のゲーム、「検定」に追加された「BEMANI検定」内の選択肢に本作があることが発覚。存在がなかったことにされている訳ではないらしい。