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ダライアスバースト - (2016/08/12 (金) 04:15:18) の編集履歴(バックアップ)


ダライアスバースト

【だらいあすばーすと】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 タイトー/スクウェア・エニックス
開発元 ピラミッド
発売日 2009年12月24日
価格 パッケージ:5,040円
ダウンロード:4,000円
分類 良作
ダライアスシリーズリンク


WARNING!!
A BRAND NEW GAME
DARIUSBURST
IS APPROACHING FAST

幾多の英雄の戦いによって紡がれ、広がっていったダライアスの文明と歴史は、ベルサーのネットワーク攻撃により再び壊滅の危機に瀕していた。
唯一残ったのはバースト機関により難を逃れた新兵器・シルバーホークバーストの二機、そしてそのパイロットとなるTi2とリーガ・プラティカの二名だけだった。
死中に活を求め、2人は敵母星に向けて反撃を開始する。それはさながら伝説を蘇らせんとするように。


概要

1985年に第1作がリリースされ、美しい背景と独創的なサウンドが組み合った演出がシューターを魅了した、タイトーの人気STG『ダライアス』シリーズ。
本作は1997年の『Gダライアス』以来、12年ぶりの完全新作となったシリーズ第5作*1の作品である。

当時のタイトーの混乱や長い間隔を経たうえでの新作・2009TGSではデモ映像のみの出典・「魔物が潜む(クソゲー率が高い)」と言われる年末の発売・シリーズの顔であったメインコンポーザー変更に対する古参ファンの反発・直近に発売された経緯の似た他社STGと絡めてのネガティブな意見…などといった不安要素が積み重なっており、発売前の期待度はお世辞にも高いとは言えなかった(端的に言えば、"死亡フラグ"が立っていた)。
しかし、発売後は予想以上の丁寧な作り込みによって往年の作品には及ばずとも徐々に評価を伸ばしていくことになる。

メカデザインに『機動戦士ガンダム00』の海老川兼武氏と柳瀬敬之氏を、主人公「Ti2」と「リーガ・プラティカ」のキャラクターデザインに『スカイガールズ』『ストライクウィッチーズ』の島田フミカネ氏を起用している。


ゲームシステム

基本システム

  • 横スクロールSTGとしてシンプルなシステムと、自機シルバーホークのメインショット・対地ボム・全方向バリアを、それぞれ赤・緑・青アイテムを取得して強化していくパワーアップ体系、その基礎は歴代作と変わりない。
  • 操作は8方向キーと2ボタン。ボタンの一つはメインショットとボムを同時発射(オート連射式)、もう一つはバーストユニット(後述)の起動に用いる。ボタンはコンフィグ設定可。
    • メインショットは赤球を取得することでパワーアップ(攻撃範囲が強化)していき、一定数を取得することで連射性能に優れた「ミサイル」→敵を貫通する「レーザー」→地形を貫通する「ウェーブ」と、お馴染みの三段階変化を行う。今作ではウェーブは敵を貫通しなくなってしまったが、その分連射力や発射数がこれまで以上に上がるようになり安定した火力を得ている。
      • 新要素として敵弾の相殺が導入。ミサイルの間は赤粒弾、レーザーの間は黄針弾を消せるようになっている。このため「このボスはレーザー主体だからあえてウェーブにパワーアップしないで挑む」という戦略も生まれ、バーストモードではその特性を活用できる「ショットの切り替え」も登場。
      • ミサイル止め自体は過去作でも存在していたが、外伝まではレーザーの使いにくさ・敵が持つウェーブ耐性などのゲームバランスの不備から来る消極策だった。
        今作はミサイルとレーザーの性能が無難なものになっていることに加え、弾消し能力が追加されたことでウェーブの性能と釣り合う場面も現れ、遊び方の自由度を殺がないようになっている。
    • 全方位バリア「アーム」は初代~II以来となる耐久力制限の撤廃。青玉をとればとるほど耐久力が増加し、今作では最大68発分の耐久力を獲得することが出来る。
      ただし自機の当たり判定は最近のSTGとしては結構大きめなので簡単過ぎる程にはなっていない。最終面クリア時の残機ボーナスだけでなく、ZONEクリア毎に残存アーム一枚につき3000点のスコアボーナスも出るようになった。

得点システム

  • 敵を連続で倒していくとレート(スコア倍率)が上昇していき、最大16倍となる。これはシリーズお馴染みの編隊ボーナス(×10)にも適用される。
    • つまり「素点1000点の敵編隊をレート16倍の状態で全滅させると+160,000点」となる。
    • 撃破間隔が短いほどレート上昇速度も速くなるので、道中は如何に手際良く纏めて倒すかが鍵。
  • ただし被弾するごとに(アーム一枚ごとに)レートは一段階ずつ下がり、ミスすると即1倍に戻る。
    • レートが打ち止めになるボス戦では必然的に回避力が求められることになり、アームボーナスも含め、稼ぎを意識せずとも腕前がスコアにはっきりと現れる。

バーストビームと設置バースト

  • 本作の自機シルバーホークバーストは、バーストユニットという本作独自の装備を備えている(オリジンシルバーホークを除く)。
  • バーストビーム:対応するボタンを長押しすることで、自機直前にリング状のバーストユニットが出現し、高威力で殆どの敵弾を相殺できるバーストビームを照射する。
    • 高威力・高貫通力ではあるが燃費がかなり悪いので、基本的には後述の設置バーストを使用することになる。
  • 設置バースト:対応ボタンを2回短く押す事で、その場にバーストビームを撃ち続けるユニットを設置する事が出来る。ショットボタンを離すと自機の位置に対応して発射角度が変化し、ショットボタンを押し続けることで照射方向が固定される。
    • 貫通力は通常発射時より若干下回るが、威力そのものはほとんど変わらない。バーストゲージ消耗量は通常の半分。
  • バーストはバーストゲージの続く限り照射可能。ゲージは「敵を倒す」「敵弾を相殺する」「敵ボスの放つ特定のビームに相殺される」ことで回復する。
    基本的にはバーストに敵群や弾幕を食わせる=設置バーストを盾にするように配置すれば照射時間を稼げるため、グレートシングなどの弾幕を展開してくるボスや大量のザコ編隊を相手にするときは、この点を意識することで格段に楽になる。
  • また、敵にも同様にバースト砲を装備している機体が存在する。これらの敵の放つ赤色のバーストビーム*2に対してはバーストカウンターを発動させることが出来る。
    • 敵のバーストビームを受ける直前にバーストボタンを押すと発動。相手の発射に合わせずとも、自分からビームに割り込んで「サイドカウンター」も可能。
      • 『G』のαビームカウンターの流れを汲む要素。連打は無くなったが、成立させるためのタイミングは比較にならないほどシビア(約0.1秒ほど)。常人では「認識してから撃つ」ことは不可能であり、あらかじめ一連の操作タイミングを身体に覚えこませることになる。
    • 成功時に放たれる黄色いバーストビームはゲージ消耗量が設置バースト並に軽減され、さらに敵のバーストビームを吸収してゲージを全快できるようになるため、設置バーストよりも長くビームを撃ち続けられる。
      タイミングが早すぎた場合は両者のバーストビームが中央で相殺しあう状態になるが、その場合バーストゲージが切れると同時に押し切られてダメージを受けるので、即座に逃げよう。
    • 基本的には初心者が無理をしてまで狙う必要はない要素。しかしある程度コツを掴んでくると、敵の攻撃を必死に避けるよりもバーストカウンターで一気に勝負を決める方がむしろ安全度が高く、ただタイミングを図るよりもサイドカウンターを狙った方が容易に決めやすいという境地に至る。
      更にこれで敵を倒すと獲得スコアが4倍になるため、スコアアタックを極めるとなると確実に成功させる事が前提となってくる(レート16倍中に素点1万点の敵をカウンターで倒す場合、16万×4=64万点を獲得できる)。

本作はこのバースト、とりわけ設置バーストの使用を前提としたゲームバランスが組まれており、
如何に設置バーストの自由度を生かした攻略パターンを編み出すかという楽しみが生まれている。

自機選択制

シリーズおなじみの機体「シルバーホーク」は3種類が用意されており、クリア状況によって解放されていく。

  • レジェンドのみが初期開放。ネクストはアーケードモードを条件問わず1ルートクリア、オリジンはバーストモードをクリアすることで、ミッションモード以外でも使用可能となる。
  • レジェンドシルバーホークバースト:従来のシルバーホークを外見・性能共に踏襲した赤い機体で、ネクストと比べると攻撃的な性能。今作の段階では人間の手に負える代物ではないらしく、戦闘用AI端末であるTi2専用という設定。
    • ボムは誘導性能なし・画面左右に軌道調節可能の対地投下+打ち上げ型。最高パワーアップ時には4方向に発射され、比較的高威力で斜めや後方の敵を攻撃できる貴重な装備になる。接近して打ち込んだ時の攻撃力も馬鹿にできない。
    • 設置バーストは「自機と逆方向へ照射する」ように動く。テクニカルだが自機とバーストの二方面で敵を倒しやすく、またビームを盾や壁にして戦う形を取りやすい。
  • ネクストシルバーホークバースト:外見が一新された新たなるシルバーホークで、防御を重視した性能。人間の搭乗を前提に調整されたという設定で、リーガの搭乗機として活躍する。
    • ショットこそほぼ同じだがボムは誘導性のあるミサイルになっている。誘導性能はかなり心強いが、最大火力自体はやや低い。またボム発射方向は前方固定であるため、後方への対応力もレジェンドに劣る。
    • 設置バーストは「自機の方向へ照射する」ように動く。自機が前方に出てバーストビームで援護射撃するパターンを使いやすいが、ビームを盾や壁にして使うと前に出にくくなる。
  • オリジンシルバーホーク:レジェンドとはデザインが微妙に異なり、初代の機体をモチーフにしている機体。基本性能はレジェンドとほぼ同じだが、バーストユニットが使用不能の上級者向け機体。
    • 代替としてショットの威力が少し上がっている。
      また使用時のおまけ要素として、ショット音等一部の効果音が初代ダライアスのものに変更される・ミッションモードでは初代のBGMが流れたり、アイアンフォスルの見た目が初代のキングフォスル準拠に換装されるなどのファンサービスもある。

レジェンドとネクスト。どちらが向くかは個人差があるが、扱いやすいほうを選択することで相対的に難易度を低下させられるのがポイント。
上記の機体では難易度が物足りなくなった人には「ノーバースト縛り」のオリジンという選択肢も存在する。


ゲームモード

  • ゲームの難易度は三段階から選択可能。ミス時のパワーダウンは殆どなくなり、難度ハードでのみ1アイテム分づつ下がっていくのみになった。
    イージーではアームが三つの状態で復活、ノーマルではパワーそのままアームなしで復活。
    • 全体的なゲームバランスも良好。『外伝』のクラスティハンマーや『G』のアブソリュートディフェンダー程の強力なボスがいるというわけではないし、バーストビームを撃つタイミング・設置ユニットの扱い方次第でそのような敵の猛攻にも十分対抗することができる。これまでの他アイテムと違い、ゲージを回復する機会も無制限なのが大きい。
    • ショットのオート連射が標準装備になったこと、『G』のビーム干渉のような連打が必要が場面がなくなったこともあり、シリーズが進む度に加速していった「外部連射装置の有無がゲームバランスに大きく影響する」欠点が完全に解消されたのも嬉しい点。
      • 参考までに外部連射装置を使用した場合、ソフト連射と比べて自機の火力が大幅に増すようだが、連射設定したボタンで設置バーストの固定はできなくなる。ハードの面からもバランスの面からも外部連射の使用は完全に切り捨てられて設計されている。
  • なんと全モード対応でリプレイを観賞できるリプレイモードも搭載されている。後作に引き継がれていないのが惜しい。

アーケードモード

  • 歴代と同じく、樹形図状に枝分かれするステージを攻略していくモード。難易度設定やコンティニューに制限が全くない*3ため、初心者でもエンディングに行き着くこと自体は不可能ではない。
    • 歴作とは違いルート別の難易度が明確に設定されている点も嬉しい。表記こそ無いが、今作ははっきりと「ルート分岐で上に行くほうが難易度が低い」法則が徹底されている。
  • ただし、全5ステージで2面クリアから分岐が始まるようになっているため、ゾーン数はA~Kまで計11・ボス数は9体。容量の都合上、残念ながらゾーン総数・ボス数ともに『ダライアス』としては結構少ない方である。
    以下、ダライアスを語る上では外せない海洋生物型巨大戦艦と、特徴的な演出を紹介する。
+ おさかな天国
  • 1st : A ZONE 惑星ダライアス海底 : アイアンフォスル…久々に第一ステージのボスとして登場したシーラカンス。
    難易度ハードでも控えめの強さで、初心者の練習相手に最適。スコアアタックに関してはウロコの一枚一枚が壊せるのでバーストの使い方次第。
    • 道中曲の「Good-bye my earth」は本作を代表する曲として扱われており、外部での使用機会も多い。また、アイアンフォスル自体も割と外部出演が多く、シリーズ初のfigmaに抜擢されるなどすっかり顔役になっている。
    • ミッションモードではオリジンで挑むと頭部の見た目がキングフォスル仕様に換装される。
  • 2nd : B ZONE 惑星ダライアス上空 : マッドホイール…外殻部分に多数の可動式砲台をとりつけたオウムガイ。
    いかに速く殻を壊して高速弾を減らせるかが勝負の分かれ目だが、意外に本体は脆いので、むやみに撃っているだけでは全部破壊しつすのは難しい。
  • 3rd : C ZONE 敵前線基地 / D ZONE アステロイドベルト : ライトニングフランベルジュ…巨体とレーザー弾幕で圧殺しようとしてくる、初心者の壁となるノコギリエイ。
    こちらのショットをウェーブまでパワーアップさせずに、敢えてレーザーにとどめておくと若干ラクに戦える。頻繁に回転するため部位破壊はしにくいが、中央2つの砲台を潰せば真正面に放たれるノコギリビームを黙らせることができる。
  • 4th : E・G ZONE ワープゲート / F ZONE 宇宙墓地 : ミラージュキャッスル…本作一の萌ボスと評判のハリセンボン。最初は本体が見えないほどの外装をまとって登場し、NORMAL以上ではそれらが多彩な砲撃を仕掛け弾幕を張ってくる。
    • 外装がある程度剥がれるか本体を攻撃していると全てパージして本体の登場となるため、こいつでスコアアタックなんぞしようものならかなりの経験が必要になる。本体もばらまき弾に加え癖のあるタイトー伝統のディレイドレーザーを放つ難敵。
  • Final : H ZONE 敵母星海底基地 : ハングリーグラトンズ…ラスボスに昇格して帰ってきたピラニア。「グラトン」の名の通り、今作では無数の子ピラニアと共に複合攻撃を仕掛けてくる。
    画面奥で子ピラニアに指示を出す姿と、同社STGの祖『スペースインベーダー』の様な動きを見せる子ピラニアが見どころ。
    • H・Iゾーンは『外伝』の最終面と同じく、ゾーン序盤は無音、BGM「The world of spirit」がサビに入るところでボスが出現、そのままBGMが盛り上がって流れ続けるシンクロ演出を継承している。
      • とりわけHゾーンのシンクロ率は高く評価され、AC版への継承から同曲は「ピラニアの曲」としても親しまれている。「The world of spirit」のフレーズが使われる曲もいくつかある(「Good-bye my earth」や後のAC版以降など)ため、いわば今作の真のテーマ曲*4ともいうべき位置づけか。
  • FINAL : I ZONE 敵母星資源小惑星 : サウザンドナイブス…背びれをまるでフィン・ファンネルの様に切り離し、多方面から攻撃を仕掛けてくるミノカサゴ。青紫の本体色が映える。背びれからの集中砲火は設置バーストであしらいやすいが、調子に乗って壊しまくると派手な緑の極太ビームにぶち抜かれかねないので注意。
  • FINAL : J ZONE 敵母星大気層 : ダークヘリオス…深海魚・リュウグウノツカイがモチーフのボス。長身のいたるところからレーザー弾掃射を行うため、設置バーストがまさに生命線となる。ある程度のダメージを与えて外装を破壊すると第二形態に移行する。
    • J ZONEでは道中・ボス戦ともに、タイトーのアクションシューティング『サイバリオン』で使用されたBGMのアレンジが流れる。この選曲通りダークヘリオスの第二形態は金色のドラゴンであり、この意味で言えばシリーズでは珍しい非海洋生物のボスであるともいえる*5
    • ちなみにこの第二形態のみダメージが通る部位が限られており、頭と尻尾への攻撃以外はカウントされない。本作中のボスで唯一外伝までお馴染みだった仕様。
  • FINAL : K ZONE 敵母星最終防衛要塞 : グレートシング…恒例のクジラ。PSPがワイド画面であるとはいえ、今作では『G』の「G.T.」を上回る比率の巨体で登場。ドリルミサイルは反物質爆裂弾仕様に換装、イルカ型子機にはバースト砲がそれぞれ搭載されるなど、進化も怠りない。
    多数のビーム砲台、多重弾と擬似歪曲レーザー・ディレイドレーザーの複合攻撃はただただ脅威。設置バーストを最大限効率的に使いこなし、伝説的な勝利をつかみとれ。
  • 歴代ダライアスの伝統を引き継ぎ、一組の男女*6を主人公とするバックストーリーでは、少女型戦闘用AIのTi2と、パイロットの機械化に反対しかつてTi2に助けられながらも彼女を忌避するリーガの二人の関係が簡単に触れられている。これまでとは一味違ったこの関係を知っているとエンディングの印象も異なってくるだろう。
    • 島田フミカネ氏の起用によって古参プレイヤーの間では「ダライアスのキャラゲー路線化」を危惧する声もあったが、結局ストーリーはエンディングで簡潔に触れられる程度の、これまでと大して変わらないものであった。
      • ダライアス自体が年月の経ったシリーズであるため忘れられているが、シルバーホークのパイロットは「濃いアメコミ調の男女」から「美男美女」になり、そしてGダライアスの時点で「美少年美少女」になっていた。バーストで突然キャラクターの路線が変わったということでは決してない(その点ではむしろ『G』のほうが顕著だったともいえる)。
  • 全4種類のエンディングのうち、簡単なルートでは音楽も合わさってほのかに哀しい雰囲気を出している内容になる。『G』との繋がりを意識させる要素として「惑星アムネリア」「ジ・エンブリオン」が登場するエンディングもある。

ミッションモード

  • アーケードモードを2ルート分クリアすると選べるようになる、用意されたミッションを選択して攻略するモード。
    • 全8レベル×10ミッション=計80ステージが用意されている。いずれも機体・装備に一定の制限が課されているのが特徴で、一種の縛りプレイのもとで攻略していくことになる。
    • ミッションをクリアしていく事で設定資料が閲覧できるようになる。序盤はアームの仕様と合わせて「苦手なボスを重点的に練習する」「ミッションをこなす事で腕を上達させる」等の初心者~中級者向けの練習モードとしても用いる事が出来るが、レベルが進むとバーストモードをクリアできる上級者でも手を焼く難関ミッションも出てくる。
    • クリアに要する時間そのものはステージにもよるが、他モードよりは短め。携帯機にふさわしい「ちょっとした空き時間(3~10分)で遊べるSTG」というコンセプトに基づくモードである。

バーストモード

  • アーケードモードを3ルート分クリアすると出現する、中~上級者向けのサバイバルモード。
    • 最初からメインショットとボムがフルパワー、アーム34枚の状態からスタート。メインショット3種はいつでも切り替えが可能であり、更にバーストゲージが自動回復するようになっている。
    • ただし難易度はハード固定でそこから敵配置も大幅に変更。パワーアップアイテムは全て銀色(得点アイテム)に差し替えられるのでアーム回復ができず&更に残機0でコンティニューも不可。回避力はもちろん、敵弾の相殺とバーストユニットもフルに生かした綿密な攻略が求められる。

音楽

  • 今作のBGMは歴代シリーズの音楽を担当していた「OGR」こと小倉久佳に代わり、タイトーのサウンドチーム・ZUNTATAの現役メンバーの土屋昇平*7小塩広和*8がメインコンポーザーを担当した。また、小倉氏も1曲だけ新曲を提供している。
    • 「作品ごとにコンセプトを明確に定めており、BGMの作風が大きく異なる」のがダライアスシリーズの音楽の傾向だが、メインコンポーザーが変わってしまった*9ことで、従来のOGRサウンドに慣れ親しんでいた古参ファンからは当初厳しい声も聞かれた。
      しかし発売から時間が経ち、評価が落ち着いてきた現在では、抒情的&民族音楽的(オリエンタル)な響きで構成された今作のBGMにも好意的な評価を寄せる声が多くなっている。
    • II』以降お馴染みの練られたBGM設計は健在。「道中曲がちょうど終わるタイミングで警告が出現しボス曲に切り替わる」ステージ、「道中→ボス戦をまたいでBGMが連続する」最終面、どちらも存続している。
      • 特に評価が高いのは一面BGM「Good-bye my earth」と、最終面BGMの一つでステージとのシンクロ演出が光る「The world of spirit」。特に後者はSTGのBGM内で評価、人気が極めて高いという実績を残している*10
    • タイトーを退社し、フリーとなった小倉氏も「小倉久佳音画制作所」名義でグレートシング戦のBGM「Hello 31337」を作曲している。近年ゲーム制作の表舞台に出ていなかったものの、全く色褪せない独創性を知らしめたこの曲もまた高い評価を受けている。
      • ミッションモードでは、過去作の楽曲をメドレーアレンジした「I LED NU-RED-GAS」*11が使用されている。
  • ちなみに本作のサウンドトラックは2010年1月19日付けのオリコンデイリーチャートで17位を記録している。また、本作を代表する上述の前者3曲は、後のGROOVE COASTERにも登場している。
  • 効果音製作とサウンドディレクターは石川勝久*12が担当した。

難点、賛否両論点

  • 全体的に地味になった視覚演出
    • ボス演出が簡素になり、特に背景のバリエーションが大幅に減少している。『外伝』と『G』までの過去作が際立ち過ぎていたともいえるが、せめてボスに関してはあと一歩頑張ってほしかったところ。
    • 各エフェクトなども簡略化され、やはり上記二作品と比べると見劣りしてしまう。もっともこの変更は、『外伝』以降問題となっていた敵弾の見難さが大幅に緩和されるという改善点にもつながっているが。
  • ステージ数の減少とボスバリエーションの少なさ
    • 一般的なSTGと比べるとステージ数もボス数も充分多い部類に入る…が、『ダライアス』シリーズの中では少ない部類。
  • その他
    • 項目決定は○ボタンと×ボタン、キャンセルは□ボタンと△ボタン。慣れるまで戸惑うことになる。
    • 前述したとおり、主人公二人の登場機会はタイトル画面後のインサートと一部エンディングのみ*13と非常に少ない。「ダライアスのキャラゲー路線化」を危惧していた古参ファンに配慮した結果と取れるが、このために影の薄さが際立つ形となった。
    • 今作のグレートシングのバーストビームはオリジンでは下記の手段以外で回避する事が出来ない。このため、オリジンではノーダメージクリアが非常に困難であり、ノーミスクリアもアーム持ち越しが前提となっている。
      • その手段はバーストビームにボムを当てることでバーストビームを遮断することが出来るので、それを利用して抜けるというもの。ただしタイミングは一瞬であり、狙って行うのは極めて難しい。
  • バグ
    • ボスのバースト発射と同時にボスを撃破すると、そのプレイ中バースト音が鳴り続ける(余程タイミングが合わないと起こらないが)。
    • サウザンドナイブスの特定パーツを破壊しすぎるとフリーズが発生する。

総評

歴代のダライアスと比べると、演出面の地味さや、ボリュームの少なさが目立ってしまうのは否めない。
しかしそれ以外の面はどれも水準以上の質であり、単体のSTGとしてみれば十分な良作である、というのが大方の見解である。
モードを含めた難易度調整の幅は広めであり、さらにバーストシステムやアームの仕様を含めた防弾性能が大幅に強化されたことによって、ダライアスシリーズ内外問わず初心者に最もお勧めできるSTGの一つといえる。

スクウェア・エニックスに吸収されたばかりのタイトーの状況を鑑みると、この完成度の作品をよくリリースしてくれたと言うべきなのかもしれない。
「STG冬の時代」と評される時代の中、実に13年ぶり…専用筐体としては21年ぶりとなるアーケード作品『アナザークロニクル』リリースへの足がかりを築いたという面でも本作には相応の評価が与えられてしかるべきだろう。


余談

  • グレートシング戦BGM「Hello 31337」の数字は現実の捕鯨数から取ったもの、と一部で言われているがこれはデマ。単に素数から思いついたと作曲者自ら語っている。ちなみに素数はSFで未知の存在とのファーストコンタクトによく用いられる手段でもある。
    • 他に海外の一部ハッカー間で使われるリートスピーク表記により「31337」を「ELEET」=「エリート」と表記するスラングから、最高難易度を誇るグレートシング専用BGMとして、「ようこそ、エリートパイロット」というジョークを交えたという意味合いもある。
  • 2010/6/30にリミックスアルバム「WONDER WORLD」が発売された。「リーガ(人)とTi2(アンドロイド)それぞれの視点から戦いを振り返り再構築する」というコンセプトの下で、同じ原曲より2パターンのアレンジ(リミックス)曲が2枚組ディスクにそれぞれ収録されている豪華仕様。「Good-bye my earth」のロングアレンジバージョンや、もともとA ZONEで使用される予定だった「The world of spirit」のプロトタイプもボーナストラックとして収録されている。
    • 本アルバムのディレクターも兼任した土屋昇平氏以下総勢18人の豪華アレンジャー*14が集結している。
      • ストーリー性を強く意識した題目と各作曲者の個性が組み合わさり、2通りのアレンジは大きく傾向が異なる癖の強い内容となっている。ここで試聴できる。
  • なおこのCDの収録曲の一部(土屋氏と小塩氏が担当したアレンジ)は『アナザークロニクル』のゲーム中にも採用されている。
  • 2012年2月10日にはiOS用移植として「ダライアスバーストセカンドプロローグ」が配信されている。
    • これはPSP版をベースに新ステージや新曲、『アナザークロニクル』の機体「アサルト」や派生ボスを逆輸入し、スマートフォン向けに様々な仕様を調整した移植版。
      PSP版のステージも「オリジナルモード」としてゾーン表記が変更された以外はそのまま収録されている。
    • 「カウンターバーストが非常に簡単になっている」「『アサルト』機にオートボムならぬオートバーストが搭載」など、『AC』とは一転して安価かつ難易度も抑えられており、派生作ではもっともPSP版に近くライトプレイヤーでも遊びやすい。
    • レジェンドとネクストはデザインが若干変わっているほか、全体的にグラフィックが綺麗になっている。
  • 2016年1月(海外では2015年12月)『アナザークロニクル』をPS4、PSVita、Windowsなどのコンシューマ系ハードに移植し、追加要素を加えた『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』も発売された。
  • 本作の派生/移植作のタイトルはAC(アーケード)、SP(スマートフォン)、CS(コンシューマ)…のように、各メディアのイニシャル略称と掛けたものとなっている。