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スター・ウォーズ 帝国の影 - (2015/10/26 (月) 08:21:20) の編集履歴(バックアップ)


スター・ウォーズ 帝国の影 (STAR WARS SHADOWS OF THE EMPIRE)

【すたーうぉーず ていこくのかげ】

ジャンル アクションシューティング
(TPS+FPS+フライトSTG)
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対応機種 ニンテンドウ64
メディア 96MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 ルーカス・アーツ
発売日 1997年6月14日
定価 7,800円(税別)
プレイ人数 1人
周辺機器 振動パック対応
分類 良作
スター・ウォーズゲームリンク

※パソコン版の情報記載を求む!!



遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・

STAR WARS
シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア

惑星ホスの反乱同盟軍基地は銀河帝国軍の猛攻によって陥落する。
基地を訪れていた密輸商人、ダッシュ・レンダーは反乱軍に協力して脱出に成功した。

数か月後、ハン・ソロはカーボナイト凍結され、犯罪王ジャバの元へ移送される。
王女レイアは傷付いたルーク・スカイウォーカーと自らの代わりとして、ダッシュにハンの捜索を依頼した。

銀河を奔走するダッシュの前に、犯罪組織ブラック・サンが不吉な影を落とす。
敵はヴェイダー卿の失脚を目論むプリンス・シゾール。帝国の支配が及ばぬ、「帝国の影」の世界の住人である・・・・




概要

娯楽SF映画の傑作たる『スター・ウォーズ』シリーズは多くのスピンオフ作品が生み出されている。
『SHADOWS OF THE EMPIRE』と呼ばれる作品群もその一つで、ゲーム・小説・コミック等で複数の視点から描いたルーカスフィルム主催のマルチメディア企画として世に出たものだ。
映画『帝国の逆襲』と『ジェダイの帰還』の間の1年間を補完し、ルークの成長やダース・ヴェイダーの心境の変化、何故ボバ・フェットはソロをすぐにジャバの元へ連れて行かなかったのかという謎など、映画で触れられなかった点が語られている。

本作はハン・ソロ船長の旧友であるコレリア人の密輸船長「ダッシュ・レンダー」をプレイヤーキャラクターとしたアクションシューティングゲームとして制作された。
広大な3Dステージでの銃撃戦や、戦闘機やバイクといった乗り物を駆使する多彩なゲーム内容とストイックな高難易度、そして独特の重苦しい雰囲気によって、プレイした人間からは概してよい評価を受けている作品である。

ゲームの流れと基本システム

ステージ

  • 全10ステージだが、ステージごとに操作形式が大きく変わるのが特徴。どんなステージが待ち受けているかは説明書の時点でネタバらしされているため、以下にまとめて記載してしまうことにする。
    • 第一章・ホスの戦い
      • 1st「ホスの戦い」…反乱軍のスノースピーダーを操縦するフライトSTG。帝国軍地上部隊を迎撃する。
      • 2nd「エコー基地からの脱出」…ダッシュを操作するTPS。エコー基地地下の非常電源を作動させ、第三ベイの扉を開けて脱出する。
      • 3rd「小惑星帯」…ダッシュの乗艦アウトライダーの銃座を操作するSTG。帝国軍のTiE戦闘機隊を振り切る。
    • 第二章・ボバ・フェットを探して
      • 4th「オード・マンテルの廃品置き場」…ダッシュを操作。惑星オード・マンテルに潜む賞金稼ぎIG-88を捜索する。
      • 5th「ガルの宇宙港」…ダッシュを操作。IG-88から得られた情報をもとにガルの帝国軍衛星基地に潜入し、ハン・ソロを確保している賞金稼ぎボバ・フェットを捜索する。
    • 第三章・暗殺者を撃退せよ
      • 6th「モス・アイズリーとベガーズ峡谷」…エアバイク「スゥープ」を使うレース形式のバイクゲーム。ルーク暗殺を阻止すべく、ダッシュは惑星タトゥーインを駆ける。
      • 7th「帝国軍貨物船スプローサ」…ダッシュを操作。ブラック・サンから入手した情報を確かめるべく、ダッシュとルークは帝国軍貨物船に強行着艦する。
    • 第四章・暗黒のプリンスの隠れ家
      • 8th「インペリアル・シティーの下水道」…ダッシュを操作。インペリアル・シティー(旧コルサント)にあるシゾールの宮殿を破壊するべく、下水道から侵入を試みるダッシュ。
      • 9th「シゾールの宮殿」…ダッシュを操作。ルーク達が囚われたレイアを救出する一方、ダッシュは宮殿の中枢に爆弾を仕掛ける。
      • 10th「スカイフックの戦い」…前半は3rdと、後半は1stと同じ要領でアウトライダーを操作する。軌道上へ逃れたシゾールを追い、反乱軍とダース・ヴェイダーは期せずして共同戦線を展開する。
  • と、このようにバラエティーに富んだアクションが出来るのも魅力の一つに挙げられる。唐突に始まるレースゲームには誰もが驚愕しただろうが…。

ダッシュの操作

  • 3Dシューティング。道中に落ちている回復アイテムや、武器の弾薬を拾っていきながら多種多様な仕掛けにあふれたステージを進んでいく。
    • 基本武装のブラスター(レーザーガン)は弾数無限。武器切り替えで選べるサブウェポンはストックされた分だけ使用可能。
  • 背後視点、主観視点を切り替えることで、TPSとFPSの好きな方で遊ぶことが出来る。
  • ステージによってはジェットパックが使用可能となり、自在に空中を飛ぶことが出来る。燃料は着陸すると回復するので実質無限大。

スピーダーとアウトライダーの操作

  • フライトシューティング部分はなかなかによく出来ている。対地攻撃が主なので爽快感を感じることが少ないのが難点か。
    • コクピット視点への変更も可能。スノースピーダーは映画で行われたケーブル巻き付け作戦も出来る。
  • シューティングステージは単純な射撃の腕が問われる。

スゥープの操作

  • ゴールまでにバイクギャングどもを壁面に叩きつけて始末していく。
    • スゥープは作品の設定を反映してとにかく早く、癖のある操作性と伴ってコントロールは難しい。慣れればタイムアタックに熱中できるだろう。

その他

  • どのモードでも「体力+残機」制を採用。体力がゼロになると死亡し、チェックポイントからリスタートする。
  • 最終ステージ以外の各ステージには共通して「チャレンジ・ポイント」というアチーブメントアイテムが配置されており、半数以上を集めることで次回以降のステージ開始時の初期ライフにボーナスが付く。全ステージでコンプリートすることで「ゲームの秘密」という隠しモードが解禁される。
  • 難易度はノーマル・ハード・エキスパートの三つから選択可能。条件を満たせば最高難易度のジェダイが解禁される。ノーマルでは真のエンディングを見ることはできない。
  • ステージクリア時には「チャレンジ・ポイントの数」「クリアタイム」「残機数」が表示され、記録される。

評価点

スター・ウォーズの世界観を再現するゲームデザイン

  • ほとんどのルーカスアーツ制作作品に共通することだが、このゲームも全く原作のイメージを壊しておらず、プレイヤーは完全にスター・ウォーズ・ワールドに没入できる。
    • ストーリーは基本的に『帝国の影』小説・コミックをなぞらえた形で進行し、必要な時は無視している。
    • 各所に原作映画を感じさせる演出が施されているのが細かい。「廃品置き場」では帝国軍兵器のスクラップが沈んでいたり、「下水道」では『新たなる希望』にも登場した怪獣ダイアノーガが出現する。
    • 敵もスノートルーパー、ストームトルーパー、ウォーカー搭乗員、レイバー・ドロイドなどの原作キャストが多数登場。細かい所では惑星ホスの幻獣生物わんぱくワンパ君ワンパや、プローブ・ドロイド、『帝国の逆襲』で1カットだけ登場したIG-88も登場する。
  • 「ホスの戦い」では映画ばりのケーブルアクションや股潜り、「小惑星帯」では『新たなる希望』さながらのレーザー射撃が楽しめる。中ボスとして登場するAT-STとの一騎打ちは緊張することこの上なし。

歯ごたえのあるアクションと開放感あふれる一本道

  • ゲームの難易度は高い。だが少なくとも難易度ノーマルからハードまでは、試行錯誤を繰り返すうちに誰でも必ずクリアできるようになるレベルでバランス調整が行われている。
    • アクション要素自体はシンプルでひねりもなく、ステージは長大でほぼ一本道と「覚えゲー」の面が強い。が、それは「特殊な操作に習熟しないとクリアできない」ということもなく、「変に迷うこともない」長所であると言い換えることもできる。「基本を突き詰めたが故の実力勝負」が求められている、誰でも挑戦できるストイックなゲーム性になっていると言えよう。
    • コントロール方法は64コントローラをよく生かしており、少し練習すればすぐに慣れることが出来る。
  • ステージはどれも広大で、先に進むにつれて徐々にムードが変わっていく、探索欲を掻き立てる構成が光る。此処まで開放感を持ったステージは同時代のゲームではかなり少ない。
    • 特に「オード・マンテルの廃品置き場」での空中回廊から最終レーンへ流れるシーケンス、「ガルの宇宙港」でのジェットパック・アクション、「スカイフックの戦い」でのスペース・バトルの高揚感は言葉に表せない。
    • ステージ構成もよく練られており、1つとして似たようなステージは存在しない。敵配置がなかなかにシビアなのもさることながら、隠し銃座やスイッチなどステージ内の仕掛けも凝ったものがあり、常に緊張感を保ってプレイできる。
  • 視点変更機能を使うことで操作難易度を軽減することもできる。サブウェポンは要所要所で使えば非常に役立つが、大体は初期装備のレーザー*1でも何とかなるので「これがないと詰む」という心配はない。
    • 高威力で追尾能力を持つ「シーカー・ミサイル」は弾頭カメラを使用することが可能(オプションで常時切り替え可能)で、偵察にも使える。
    • 近距離専用の火炎放射器「フレイム・ウェポン」は弾速が遅い&水中では使用不能だが、アイテムボックスを壊す手間が省ける。
    • そこそこの射程と素晴らしい連射速度の「パルス・ウェポン」は閉所で役立つ。連射時の快感がたまらない。
    • 生物の敵を硬直させる*2「スタナー」は壁を貫通して使用できるため、高難易度クリアの頼れる味方となる。
    • すさまじい威力の「ディスラプター」のエフェクトは必見。うまく使えば雑魚敵の大群を一撃で殲滅できるが、初使用時には間違いなく自分も爆風に巻き込まれるほどに巨大なエネルギー爆発が発生する。

美麗なグラフィック

  • デモシーン中の一枚絵のクオリティが高く、まさに映画のワンシーンをうまくイラストにしたような体裁を保っている。
  • グラフィックは当時のゲームの中ではかなり美麗な部類に入る。前述の通りマップの情報量はかなりのもの。
    • 霧や砂塵で遠方を見えにくくするなど、描写限界を分かりにくくさせる配慮がなされている。他にもフライトSTGステージでは随所に手を抜いているところがあるのだが(動かないAT-AT、早すぎてよくわからない戦闘機)、それを悟らせないようにしてゲームバランスを維持し、より楽しく見せる工夫は流石といったところ。

ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団による豪華音楽

  • 本作のBGMはなんと、全てが英国・グラスゴーのオーケストラ楽団によって演奏されているフルオーケストラ。音源も専用のものを使っている。ニンテンドウ64でここまでオーケストラを使用したソフトは後にも先にも本作しか存在しない。
    • 「メイン・テーマ」や「小惑星の荒野」、「クラウド・シティからの脱出」などのお馴染みの名曲と、本作だけのために書き下ろされた10曲ものオリジナル・スコアの重厚な響きが物語に花を添える。本作だけのために新曲を収録したサントラも出ている。
    • 本作のメインテーマである「Main Theme and Leia's Nightmare」は、その不気味さも相まって独特の恐怖演出を盛り上げている。
  • ブラスターの発砲音、TiE戦闘機の咆哮、ウォーカーの歩行音と、ほとんどの効果音も原作に準拠している。
    • 転落した敵兵の「アァァーーゥッ!!」に吹き出したり、IG-88の歩行音とパルス・ウェポンのラッシュに震え上がったという人も多いのではなかろうか。

その他

  • 難易度ごとに分かれた「ゲームの秘密」を入手することで様々な隠し要素が解禁される。
    • 最終ステージでの宇宙戦をX-WingやTiEファイターで戦うファン歓喜のモードが! 他にはワンパを手なずけることも出来る。
  • デバッグモードが残されており、様々な裏技を楽しむことが出来る。ただし起動するためのコマンド入力はかなり難しいのが残念。

難点

  • 本作はダッシュ・レンダーの視点から描かれており、その他のキャラクターの描写は他のメディアで行われている。……のだが、それを差っ引いてもストーリーがかなり端折られており、細かい理由が説明されない点が多々ある。
    • ダッシュ「IG-88はボバ・フェットがザー星系にいると言っていたが、俺の勘だと帝国軍衛星のガルにいるに違いない。」この台詞を「勘なら廃品置き場行った意味ないじゃん!!」と誤解するプレイヤーが多発した。正確には「ザー星系にいると言っていたが、俺の勘だと(ザー星系内の)帝国軍衛星の~」が正しい。
    • ガルでの帝国軍とローグ中隊の空戦、ヴェイダーとシゾールの駆け引き、ルークとグリの決闘など、本格的に楽しみたいならば小説とコミックを読む必要がある。
  • ダッシュの操作性は、さながら低重力環境のようにふわふわした独特の感覚で少々癖がある。
  • 3Dゲームの宿命であり、また技術的に仕方がないが(当時はこれだけの広さをこれだけのクオリティで描写できること自体が凄かったが)、ポリゴンが粗い部分もあるため酔う人はとことん酔う。
    • FPS視点でプレイすると視点のブレが少なくなるので試してみるとよい。
  • ステージは基本的に長い。すべてのチャレンジ・ポイントを集めるとするとかなり長くなる。チェックポイントはこまめに設けられているが、所によってはリスタートが辛くなるかもしれない。
    • 特に「ガルの宇宙港」は安定してクリアできるようになっても25分はかかる。エンディング後にはスタッフからの挑戦として制作陣の最高タイムアタック記録が提示されるのだが、2番目に長い「オード・マンテル」が8分37秒なのに「ガル」は12分56秒と頭抜けている。もっともこのスタッフ記録自体が並のプレイヤーからすれば「人外」としか言いようのないものだが……。
  • 敵の耐久力が上昇するエキスパート、敵耐久力が減る代わりに攻撃力が激増するジェダイになると、チャレンジ・ポイント収集で貯まった残機を資本にごり押す必要がある場面がでてくる。
  • チャレンジ・ポイントや一部のエクストラライフ(1UP)の隠し場所が最早「意地悪」を通り越して「凶悪」の域に達している。一体誰が溶鉱炉や、底が見えない奈落の底へ飛び降りようと思うだろうか?
    • ちなみにそのほとんどが「ガルの宇宙港」のもの。ジェットパックを初入手したステージでかなりシビアなコントロールを要求してくる鬼畜仕様。
    • ただし前述の通り、チャレンジ・ポイントは全くクリアに必要ではない自己満足のアイテムである。その点が救い。
  • 前述の通り、説明書でかなりの内容がネタバレされているのもある意味ではマイナス要素と言えるだろう。但しその分内容は多く、軽い読み物としても楽しめるレベルになっているのがまた面白い。

総評

単なるファンゲームとしても、一本のアクションゲームとしても優秀なロクヨン屈指の「隠れた名作」。
洋ゲーライクな高難易度やダークな雰囲気が、このゲームに関してはむしろ良い方向へ働いている。
元々がスピンオフで本編との関わりがそこまで強くないため、スター・ウォーズを全く知らなくてもそれなりに楽しむことが出来る点も嬉しい。

『特別編』の劇場公開と時期が近かったこともあり、製造数がそれなりに多かったのか、現在は中古販売店に行けばかなりの安価で入手することが出来る。
2012年春からの『スター・ウォーズ3D』の公開と合わせてプレイしてみるのも一興だろう。


余談:ロクヨン屈指のトラウマゲー・・・・?

ニンテンドウ64が低年齢層に人気のあったハードだけあってか、必然的に本作をプレイする層も中学生以下の少年(恐らくは少女も)たちが多かった。
だが、本作の作風――重厚ゆえに威圧感のある音楽・無機質なステージ・暗い雰囲気――は多感な子供たちを過剰に不安がらせるには十分であり、そこに(子供にとっては)リトライ必至の高難易度ステージが合わさることで多くの子供が何かしらの恐怖を植え付けられることになった。
実際、動画サイトや本作関連のインターネットコミュニティでは

  • ケーブルがうまく巻けずに煙を吹きながら地面を跳ね回った
  • 不気味な白っぽい基地で毛むくじゃらの白い怪物に3体がかりで撲殺された
  • 仰々しい音楽と共に出てきた二足歩行戦車にハチの巣にされた、もしくはうかつに接近して踏み殺された
  • どっちのルートに行けばいいのか迷っていたら障害物に吹き飛ばされ、気づけばダッシュの死体が線路上に転がっていた
  • ホバートレインが脱線して沼に突っ込む音がぞっとする
  • ゴニョムニョゴニョゴニョ→ウィーキシカッシャンキッシカッシャン→グォーン→ゴニョムニョウィーキッシカッシャンピュピュピュピュ(オゥッ!アッ!オゥッ!アゥッ!)ピュピュデッ・・・・デェーン
  • 落ちた
  • ファンや水車やよくわからない回転ドアにゴリゴリ削られた
  • ちょっと周辺警戒を怠って進んだら背後からハチの巣にされた
  • やっと先に進んだのに気づかないうちに足場を全部壊して詰んだ
  • 水に飛び込んだら触手の化け物と鉢合わせした
  • 何度倒してもばらけて復活するドロイドのミサイル弾幕に絶望した ……などなど、多数の「トラウマ報告」が寄せられている。

現在の目から見てもどこか恐ろしくなる雰囲気が随所に漂う作風は、全体的にダークな展開だった『帝国の逆襲』を踏襲しているのかもしれない。
最後に、こうしたトラウマを植え付けられて投げ出し、難易度ノーマル止まりの少年たちへ再び本作をハードでプレイしたくなるような一言を。ダッシュは死にません!!