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ビューティフルジョー - (2016/12/31 (土) 17:48:28) の編集履歴(バックアップ)


ビューティフル ジョー

【びゅーてぃふる じょー】

ジャンル VFXアクション

対応機種 ニンテンドーゲームキューブ
プレイステーション2
発売元 カプコン
開発元 クローバースタジオ
発売日 【GC】2003年6月26日
【PS2】2004年9月9日
定価 【GC】7,140円
【PS2】4,980円(税込)
廉価版 2003年12月18日/3,980円(税込)
分類 良作


概要

  • 「日本の特撮ヒーローをアメコミタッチで表現する」という特徴的なコンセプトの世界観と、ゲーム性に映画の要素をミックスしたVIEWTIFULなアクションゲーム。
    • タイトルの「VIEWTIFUL」は「VIEW」と「BEAUTIFUL」を組み合わせた造語で、「人の目を奪って離さず、その心を忽ち悩乱の境地へと誘う程、揺るぎ無き、果てし無き、偽り無き"美々しさ"が備わっている様を表す」(説明書より抜粋)。

ストーリー

ある日、恋人のシルヴィアと大好きなキャプテンブルーの映画を見に来ていたジョー。
ところが、主役であるはずのキャプテンブルーは敗北してしまい、映画の中から出てきた謎の影がシルヴィアをさらってしまった!
ジョーはキャプテンブルーから貰ったV-ウォッチでヒーローとなり、シルヴィア救出のため映画の世界へ乗り込む!

Henshin-a-go-go-baby!

特徴

  • 横スクロールタイプのオーソドックスなライフ制2Dアクション。映画を題材としているため、ところどころ映画を意識した演出が行われる。
  • 操作はスティックで移動、Yでパンチ、Xでキック、Aでジャンプ(2段まで)の他は後述のVFXパワーを使うのに用いる。
  • 映画の中が舞台である本作は「観客を湧かせるために華麗に戦う」ことが求められるというオリジナル要素を持つ。あえて敵に攻撃をさせ、それをいなすことも一つの攻略要素となっている。
    • 具体的に言うと、多くの敵の攻撃は上下どちらかに行われ*1、直前に出てくるドクロマークで判別できる。ドクロマークが出たのとは逆の方向にスティックを倒すことで回避することが出来、攻撃をはずした敵は隙だらけになって大ダメージのチャンスとなる。華麗に避けて攻撃するのが本作の基本であり醍醐味となっている。
      • なお、全ての攻撃が上下段のどちらかに行われるわけではなく、中には大きなドクロマークが表示されたり、ドクロマークの出ない飛び道具などが撃たれることもあるため、その場合は他のアクションゲームと同様ジャンプなどを使って回避する必要がある。
  • 映画の演出を昇華したVFXパワーも本作の魅力のひとつである。
    • 画面上の動きを遅くする「スロー」。敵のモーションが遅くなるため回避がしやすくなる他、本来見えない速さの銃弾などもパンチ一発で弾けるようになり、仮に攻撃に当たってもVFXゲージを消費していわゆる「マトリックス避け」によって完全回避できる*2。攻撃力もアップし、発動中に無防備にした敵に攻撃すると派手に吹っ飛ばすことができる。ズームと組み合わせることでより強力になる。
    • ジョーの速度を上昇させる「マックスピード」。全身に炎を纏うようになる上、分身攻撃も可能となる。逆に体に火が回った際に使うと火を消すことができる。
    • ジョーをアップにする「ズーム」。連続パンチや360度回転キックなど、あらゆるアクションが強化される。また、ビアンキーやビアンコ・ビリーなど一部の敵が見とれて無防備になる。
    • このように非常に強力な能力であるが、使用にはVFXゲージを消費し、0になると人間に戻ってしまい、防御力が下がりVFXパワーや2段ジャンプが使えなくなる危険な状態になる。ゲージは時間と共に回復する他、ステージ中に配置されているV-フィルムを一定量集めるとそのステージ中のゲージの最大量が増加する(次のステージでリセットされる)。
  • ステージはいくつかのエリアで構成され、先へ進むための条件「タスク」が提示される。ある意味ベルトスクロールに近い。また、謎解きも用意されている。
  • エリア毎のインターバルではステージで集めたV-ポイントでジョーを強化できる。V-ポイントはコインを集めたり、コンボを叩き込んでV-マークを増やすことで獲得できる。

評価点

  • 映画を意識した演出とアクションが非常に気持ちいい。
    • 特にVFXパワーを使い「映画を演出する」という他のゲームとは一風変わった点が最大の魅力と言える。
      • 強制戦闘やボス戦では必ず「タスク」があり、クリア時に毎回「稼いだV-ポイント」「被弾した回数」「クリアタイム」と総合評価が表示される。従って高評価を得るには「魅せる」プレイを要求され、上手くいった時爽快感の演出に一役買っている。観客の歓声も評価毎に変化する。
    • ステージ中の謎解きの殆どがVFXパワーを利用するもののため、必然的に使わない能力があまりない。
  • ストーリーが短めだが、その分複数の難易度や追加キャラクターが用意されているため決してボリュームが少ないわけではない。
  • ストーリー部分は英語に日本語字幕だが、映画的な演出と相まってむしろよく合っている。B級映画的なノリやテンポのいい会話も良い。
  • BGMも雰囲気によく合っている。
  • 「日本の特撮ヒーローをアメコミタッチで表現する」という独特なコンセプトにマッチしたキャラデザイン。
    • 主人公のジョーの風貌は、アメコミタッチながらどこか日本の特撮ヒーローを髣髴とさせる。
    • 他にも個性的なキャラクターが登場する。特に敵の幹部達はキャラが濃く、本人は大抵一度きりの出番にも関わらず印象に残る。

賛否両論点

  • 基本高難易度な点は賛否両論。
    • ブラックリーダー、ゲルビーなどの攻撃は一撃でライフを3も奪われる。基準となるADULTモードの初期ライフは5個である。また、ボスが全体的に初見殺しな攻撃を何回も繰り返す。特に6面ボスのファイアーレオは炎を纏っておかなければまず避けられない攻撃をこれでもかというほど繰り出してくる。
    • EASY相当のKIDSモードでも初プレイでは他のゲームで言うNORMAL相当と言うべき歯ごたえになる。「廉価版でさらに下の難易度のSWEETモードが追加された」という点で推して知るべし。
      • 隠し難易度の「V-RATED」「超V-RATED」は一つ下の難易度をクリアしてから選択できるのを考慮してもさらに難しい。「V-RATED」の時点で「序盤から最強クラスの雑魚敵が登場」「新しい雑魚敵の追加」「被ダメージ及びボスの体力の増加」と全力で殺しにくる。「超V-RATED」は敵の配置こそ同じだが「ライフがどれだけあっても雑魚ですら2回、時には1回の被弾でライフが全てなくなる」「敵の攻撃の上下を示すドクロマークが表示されない」とまさにやり込んだプレイヤーへの挑戦状となっている。*3
    • 上述のように、ただ単に戦うだけではダメなゲーム性も関係しているかもしれない。
      • タスククリア後は評価によって得られるV-ポイントが決まるため「難しくてプレイが上手くいかない→主人公を満足に強化できない→そのまま先に進んでますます難しくなる」の悪循環に陥る。初プレイで選択可能かつ初期ライフの少ないADULTモードでは特に辛いので一週目はKIDSもしくはSWEET推奨。
  • アメコミ調のグラフィックやノリは人を選ぶ
    • 好きな人は好きだが、合わない人には合わない。

問題点

  • 上記の通り、ステージ数が少ないことに難色を示す人も。
  • とある隠しキャラクターを出すための条件が非常に厳しい。
    • 最高難易度でゲームをクリアする必要がある。それが恐ろしく難しかったので、のちに発売された廉価版では隠しコマンドで全隠しキャラを解禁する救済措置が追加された。
    • ちなみにそのキャラクターは「難易度に関わらず敵の攻撃の上下を示すドクロマークが表示されない」「ジャンプが1段のみだが高いうえに空中浮遊が可能」と高性能ながら扱いの難しい性能になっているが前者は普通に解禁する段階で嫌でも経験する必要があるので出せたプレイヤーには特に問題はないだろう。後者もそこまで大きな弱点にならない。

総評

映画の演出とアクションゲームの融合に成功した良作。
今買うのなら難易度の下がった「SWEETモード」が追加された『リバイバル』もしくはさらにキャラが追加されたPS2版がオススメ。


その後の展開

  • 後にシリーズ化され、主人公のジョーは『タツノコ VS. CAPCOM』や『MARVEL VS. CAPCOM 3』のプレイヤーキャラに選抜された(マヴカプ3での声優はアニメ版でジョーを演じた関智一氏)。
  • PS2版はタイトルを『ビューティフル ジョー 新たなる希望』に変更し、プレイヤーキャラに『デビルメイクライ』の主人公ダンテが追加された。
    • ダンテを選んだ際のストーリーは独自に『デビルメイクライ』のラスボスとの本当の最終決戦が主題となった構成である。
  • 2004年にアニメ版が放送された。内容は1と2のストーリーにアニメオリジナルキャラを加えた内容。
    アニメオリジナルキャラのキャプテンブルージュニアは『バトルカーニバル』でプレイヤーキャラとなっている。
    • 原作通りのアメコミ調の絵柄に合わせた作画やOP/EDなどからファンも多い…のだが、3クール目以降のDVDが発売されていない。
      • 続編や派生作品の不振が原因とも言われている。
  • 元々は三部作構成のストーリー*4の予定だったようだが、続編の「2」が微妙な出来で売上が振るわず、同時期に放送していたアニメもさほど人気が出ず、その後GCとPSPの「バトルカーニバル」、DSの「スクラッチ」を発売したが人気を回復できずに開発会社が解散してしまい、ストーリーが完結しないままシリーズが終焉を迎えてしまった。

余談

  • 本作は、かの有名な『マイク・タイソン パンチアウト』に着想を得て製作されている。
  • エンディングの黒幕の過去が語られるデモシーンで使われている音楽は『逆転裁判』第四話の成歩堂と御剣の少年時代が語られるシーンの曲であったりする。
  • 海外でも人気があり、ハンバーガーショップのマスコットに採用されたこともある*5