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セブンスドラゴン - (2014/01/26 (日) 00:36:32) の編集履歴(バックアップ)


セブンスドラゴン

【せぶんすどらごん】

ジャンル RPG
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 セガ
開発元 イメージエポック
発売日 2009年3月5日
価格 4,800円
ポイント 寄せられ過ぎた期待
ゲームバランスやや悪し
昔の不親切さまで再現

概要

  • オーソドックスな2DRPG
  • 開発はイメージエポック。
    • ディレクターに『超執刀カドゥケウス』『世界樹の迷宮』で知られる新納一哉氏、音楽に同じく『世界中の迷宮』シリーズや『イース』シリーズで名高い古代祐三氏を起用。

ストーリー

この世界は「竜」と呼ばれる人間を越えた存在に滅ぼされようとしている……。
「竜」に支配された地では、生物を蝕む花「フロワロ」が咲き乱れ人々は絶望に押しつぶされようとしていた。
そんな中「ハントマン」と呼ばれる戦いを生業とする人間たちが立ち上がった。
正義でも信念でもなく、ただシンプルに生存のみを掛けた戦いがここに幕を開ける。

  • が、そんなシリアスな展開もパッケージからゲーム本編までモタ氏のイラストによって感じなくなる人もいる……。

評価点

  • クリアまでに30時間を超えるボリューム
    • サブイベントをこなしたり、666匹のドラゴンを倒すとなると更に時間がかかる。
    • シナリオの合間合間には、サブキャラからのちょっとした依頼をこなすことで褒美がもらえる「クエスト」という本編とは関係のない寄り道要素が多く存在し、プレイの自由度が高い。
  • 開始時にメーカーのロゴがなく、ソフトを起動したらすぐにスタート画面が出る。
    • ロードもほぼ皆無。
  • パーティ編成の自由度が高い。
    • キャラクターの職業は7種類から選べ、更にその職業ごとに男女2名ずつのデザインがある。計28名のデザインがあり、名前、パーティ名も自由に決められる。
    • 職業ごとに固定スキルがあり、自由にスキルポイントとして振り分けられる。
  • スピーディな戦闘システム。
    • 雑魚戦は一つのボタンを押し続けるだけで5秒ほどで終わる。
      • これに関しては既存の戦闘システムの問題点の解決策である、と高く評価されている。
      • もっとも元々の戦闘速度が遅いという意見もある。
      • 戦闘中のコマンドが使いにくい、という声もある。表示がリング方式のうえ、アイコンの色分けなどがされておらず、目的のコマンドが探しづらい。見栄えは良いのだが、プレイアビリティが犠牲となっている側面がある。
  • 細かく描き込まれたドット絵、モタ氏による可愛いキャラデザイン。
  • 古代祐三氏が務めるサウンド面についても一定の評価を得ている。
    • 終盤には、BGMを8bitモードで再生できるようになるアイテムが手に入る。

問題点

  • ゲーム開始当初は歩く速度が遅い。
    • 初期の簡単なクエストをクリアすれば、移動速度を上げるスキルを得られるが、移動速度が上がるのはBボタンを押し続けている間のみである。
    • ちなみに、ゲームを進めると船や飛空挺といった乗り物が使えるようになるが、これらも入手直後は遅い。パーティスキルの取得により速度が2倍になる
  • クエストの受領が面倒。
    • 「モブキャラと会話してクエストを発生させる→ギルドへ行き受注」という二度手間を取らされる。クエストクリア後に報酬を受け取るときも同様である。
    • 例えば「ダンジョンヘ行って○○の実を集めてきて」などというような依頼内容が、街のギルドでしか確認できない。そのため依頼内容を忘れたら、そのたびにギルドに戻って確認しなければならない。
  • アイテム保有数が少ない。
    • 保有できるアイテムは100個のみで、倉庫など保存場所はない。
      • サブイベントで家が手に入るが、泊まれるだけである。
    • ゲームバランスと取ることもできるが、ゲーム内で一つだけしか入手できないアイテムも場合によっては捨てなければならず、収集の楽しみがない。

賛否両論点

  • このゲームはとにかく賛否両論点が多い。
  • 全体的に『世界樹の迷宮』と雰囲気が似ている。
    • ディレクターの新納一哉氏を含めて開発スタッフが被っているため。
    • 雰囲気が似ていることを好意的に捉える人もいれば、劣化の烙印を押す人もいる。
  • ゲームの終盤で、タイトル通り7体の強大な竜の存在が明かされるが、ゲーム中には2体(+隠しダンジョンに1体)しか出てこない。
    • 一応、中盤までに戦う「帝竜」も7体登場する。ただし、そいつらさえ全員倒さなくてもエンディングを迎えることは出来る。
  • フリーシナリオを謳っているが、ゲーム中盤にイベントやダンジョンの攻略順を選べる時期があるというだけである。選択によって展開や結末が変わるわけではない。
    • しかも、ロマサガシリーズなどと異なり敵の強さが固定のため、先に高レベル向けダンジョンに行ってしまうとその後がヌルゲーと化す。
  • 世界中を覆うダメージ床「フロワロ」
    • 崩壊しつつある世界が舞台のためダンジョンもフィールドも、踏み潰すとダメージを受ける花「フロワロ」に覆われている。
    • フロワロを潰すと「近隣国の物価が下がる」「莫大なEXPを持ったフロワロシードと遭遇することがある」「ラスボスの即死級攻撃のダメージを低下させる」といったメリットもある。
      • ところがダンジョンのフロワロはボスを倒す、またはダンジョン内のドラゴンを全滅させるまでフロア移動で復活し、潰すメリットがほぼゼロとなっているため、ただのダメージ床と化している。
      • さらに悪いことに、迂回すれば踏まずに済むということはほとんどなく、狭い通路に敷き詰められているので踏まないようにはできない。
    • また職業・ナイトは、フロワロを踏んでもダメージを受けないスキルを持っているが、スキル効果が切れても特にメッセージなどは出ないため(効果中かどうかはメニューで確認可能)、持続時間(歩数)を体で覚えるしかない。
    • ゲームの世界観と合っているとして評価する人もいるが、上の理由でフロワロを苦痛と感じる人もいる。
  • エンカウント率が高い。
    • 序盤の低速移動時のエンカウント率を基準にしているのか、高速移動時は単純にエンカウント率が倍になる。高速移動時で3~5秒でエンカウントする。
    • フロワロを潰しながらのエンカウントなので、プレイヤーを無駄にイラつかせる。
    • 一応、職業・サムライおよびヒーラーがエンカウントを抑えるスキル(各職業で多少性能は異なる)を持っているが、これらも効果切れのメッセージなどは出ない。
    • フロワロにナイト、高エンカウントにサムライorヒーラーという対処法は、「世界樹同様のパーティ編成の自由度」を謳いながら、ほぼパーティ固定じゃないかという新たな不満にも繋がった。
      • ちなみに本作のパーティーは、世界樹よりも一人少ない4人編成*1。つまりこの基礎対策だけで半分が埋まる。
    • 一応、フロワロ対策もエンカウント対策もアイテムで代用はできるが、総じてスキルの下位互換な性能である上、RPGではよくあることながら、序盤の金銭の工面はかなり厳しい。
    • こちらのレベルにより経験値に補正が入る仕様のため、ある程度成長してしまうとザコを倒しても経験値は雀の涙になり、ドラゴンかフロワロシードと戦うくらいしかまともに経験値は稼げない。
      • ただし、そこまでこだわった経験値稼ぎをしなくてもクリアは出来るバランスになっている。というよりもエンカウント率が高いせいで、出てくる敵を倒しているだけで補正が入るレベルになる。
    • これもやり応えがあるとして評価する人と、ストレスがたまるとして不満に挙げる人に分かれる。
  • これらのゲームバランスは「前半はシビアだが、後半は途端に難易度が下がる」というものである
    • 「ちょうど良い」という人も「バランスが悪い」という人もいる。
  • セーブファイルが一つだけ。
    • ゲーム開始時のセーブファイルの選択がないため、このゲームをサクサクプレイできる要因の一つとなっている。
    • しかし、一応シナリオに沿って進行するゲームであるが、そのシナリオをもう一度楽しむには元のデータを消さなければならない。
    • さらに、クエストの中にはシナリオの進行次第で自然消滅してしまうものもあり、アイテム保有数の制限のために収集もしにくい。

総評

オーソドックスな2DRPGなのに評価がまっぷたつに分かれてしまった怪作。レビューサイト大手のmk2では最低点は20点、最高点は90点)と『コノミワカレル』タグに恥じない賛否両論っぷりで、レビュー本文も「かなりオススメです!」から「クソゲー」まで様々な感想が寄せられている。

この評価には、『世界樹の迷宮』を世に送り出した本作のディレクター・新納一哉氏の存在が大きく影響しており、ゲーム単体として見た場合は「舞台設定がそこそこ凝ってるちょっと不親切な普通のRPG」程度の評価である。

決してクソゲーではなく、クリアまで30時間超+サブクエスト多数の大ボリューム、666匹の竜を駆逐するやりこみ要素、ニコニコ動画などのWEBコンテンツを利用した広報戦術、古代祐三氏の起用と早すぎるサントラ発売など相当に力の入った作品であり、ある種祭り上げられすぎた「世界樹の迷宮」と「新納一哉」に寄せる期待との落差こそが、本作が賛否両論となった原因であると思われる。

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