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グランツーリスモ2 - (2018/05/27 (日) 21:37:40) の編集履歴(バックアップ)
GRAN TURISMO 2
【ぐらんつーりすも つー】
ジャンル
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カーライフシミュレーター
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 2枚
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント ポリフォニー・デジタル
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発売日
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1999年12月11日
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定価
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7,140円
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廉価版
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PS one Books:2002年12月5日/2,205円
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判定
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良作
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グランツーリスモシリーズリンク
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概要
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「レースゲーム」ではなく、「ドライビングシミュレーター」として新たなジャンルを築いた大ヒット作『グランツーリスモ』の続編。
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前作と同じく「アーケードモード」と「グランツーリスモモード」の二種類のモードから遊べる。
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ゲーム自体の大容量化に伴い、それぞれのモードは別々のディスクを入れて遊ぶようになった。
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ちなみに、シリーズ恒例のかっこいいオープニングが収録されているのはアーケードディスクのみ。
特徴・評価点
大幅に増えた収録車種
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前作の100車種から、本作ではその5倍である500車種600グレードの車両が登場。登場メーカーも総勢40社以上となった。
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国内では軽自動車メーカーとして有名なスズキやダイハツの車両が登場。
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アルトワークス、ワゴンR、ミラ、ムーヴといった現在もモデルチェンジを続けている大衆車が多数登場。
激しいレースに堪える性能ではないが、馴染み深い車をゲーム中でもそのまま運転できるのはこのシリーズならではの特徴となっていく。
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また、カプチーノやミゼットIIのような特徴的な車も登場。これらの車両によるワンメイクレースのイベントもある。
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チューニングメーカーによるチューンドカーが初登場。
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「トミーカイラ ZZII」や「トムス ANGEL T01」など、製品化には至らなかったチューニングメーカーオリジナル車両も登場している。
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海外メーカーが本格的に登場。ロータス・ミニ・アルファロメオ・ルノー・プジョー・フォードなど、名立たる有名メーカーが数多く登場している。
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メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン等ドイツの有名メーカーは一通り登場。高級スポーツカーの代名詞の一つ「ポルシェ」の車両も、ポルシェ専門のチューナー「RUF」の車両が登場している。
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なお、本作に登場した全てのメーカーが本作以降にも出ているわけではなく、「ベクター M12」や「ヴェンチュリー アトランティーク」等のマイナーな海外製スーパーカーは本作限りの登場となっている。
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既存メーカーの最新モデル・往年の名車
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パッケージを飾る「ホンダ S2000」などの当時最新のスポーツカーや、エコカーとして有名な「トヨタ プリウス」の初代モデルが登場した。
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往年の旧車は、国内では「トヨタ 2000GT」や「日産 スカイライン C110」、国外では「シェルビー コブラ」や「フィアット 500」など。
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なお、2000GTやハコスカはディーラーの中古車ディーラーで購入できるが、たまにしか売り出されない上に値段も高いという高嶺の花。
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ちなみに外車勢の旧車は中古ではなく新車として購入する事になる。
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レーシング仕様の車両
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また、前作に登場するレーシングカーは、あくまで「実車っぽいGTオリジナルのレーシングカー」だったのに対し、本作は多数の実在レーシングカーが収録された。
「フォード エスコート」等WRCのラリーカー、「ホンダ 無限 NSX」等全日本GT選手権(JGTC)の参戦車、「トヨタ GT-ONE」等ル・マン24時間耐久レースLMPクラスのマシンが登場した。
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更に、本作のみの特徴としてシルエットフォーミュラの車両が収録されている。
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実在車両をル・マン仕様に改造した架空のレース仕様車「LMエディション」や、レーシングモディファイによりピュアレーシングカー仕様に変更可能な市販車も順当に増加。
車両によってはエアロ装着やワイドボディ化したり、カラーリングが数種用意されていたり、前作からデザイン変更で更に元ネタに近づいたりと、非常に芸が細かい。
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その元ネタに至っては、JGTC・JTCC・BTCC・FIA-GT・スーパー耐久・ワンメイクレース・WRC・国内ラリー、旧車もSCCA・日本GP・Gr.4仕様等、見ていて飽きない。
その多種多彩なレーシングカーを取材する徹底振りは前作から更に進化しており、関心と感動を与えてくれるだろう。そしてその元ネタを探したコアなファンもいるとか…
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なお本作を最後にGT5までレーシングモディファイが削除されたため、様々なデザインのレーシングカーが見れるのも本作の長所の1つである。
コースの追加
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シリーズで初めて実在するサーキットである「ラグナ・セカ」が登場。「ツインリンクもてぎ」のオーバルコースも、コース形態が酷似している「スーパースピードウェイ」という架空の名前で登場。
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この他に純粋なサーキット施設ではない、ローマやシアトル等の実在する公道を本格的なサーキットとした市街地コースも本作から登場、本作以降はシリーズのお約束となった。
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未舗装道路で走るダートコースが追加。ダートタイヤを装着可能な車両でのみ走ることができる。
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ダートは滑りやすくドリフト走行しやすい特徴があるため、通常の舗装道路とは異なる感覚で走ることができる。
セッティング・挙動
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挙動プログラムの進化により、前作にはなかった「リミテッド・スリップ・デフ(LSD)」などのアシスト機能を作動させるセッティングが追加された。
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うまくセッティングするとコーナリング時などで加速力や安定性を高めるといった役割を持つため、セットアップの幅が広がった。
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「コントロールタイヤ」が登場。
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通常のタイヤは遊びやすくするためか実際のタイヤよりグリップ力が高く設定されている。一方でこちらは「現実のタイヤを再現した」という名目でグリップ力が低くなっている。
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攻略する分には全く必要なく、現実の車の挙動をより体感したい人向けのチューニングと言える。
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挙動と関係ない所ではホイールの交換が行えるようになった。多数のホイールメーカーによりデザインされたホイールが付け替えられる。
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タイヤも前作の前後セット販売ではなく、種類やコンパウンド別に購入可能となった。
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「前R(レーシング)ソフト・後Rハード」は勿論の事、極端な話「前RS(スーパー)ソフト・後コントロール」と言った前後のコンパウンド別のセットアップも可能となった。
グランツーリスモモードの新要素
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レースイベントの量が単純に増加。様々なコース、様々な車両とレースを行うことができる。
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特定の車種でしか参戦できないワンメイクレースが登場。
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日本人にはあまり馴染みのないクルマのワンメイクもあり、また中古車でしか入手できない車種によるワンメイクもあるなどやりこみ要素もあり。
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ライセンスに「国際C級」「国際B級」が追加され、全5段階に。さらに細かくテクニックを勉強することが可能に。
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さらに「国際A級」をクリアすると「スーパーライセンス」が追加される。
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こちらは決められたコースとマシンで1周タイムアタックを行うという内容。通常のレースに参加する分にはスーパーライセンスが必要なレースはなく、腕試し的な要素が強い。
問題点
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UI・パフォーマンスの問題
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セーブ・ロード時間がやや長い。
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グラフィックや挙動が進化した一方で、画質や音質が前作よりやや劣化。挙動再現のための計算量の増加にハードパワーを割いたのが原因と言われている。
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ガレージは1つのセーブデータにつき100台までという非常に辛い制限がある。本作の収録車種は500車種、レーシングモディファイした車両を含めるとそれ以上なので、明らかに少なすぎ。
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ダートの挙動再現性は疑問。明らかに滑りすぎで、その挙動はラリーカーというよりむしろ競艇やスケートに近く、完走するだけで苦行という酷いレベル。
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MR車に至ってはジャンピングスポットでいとも簡単に姿勢を崩してしまいコースによってはロクに走れなくなる。
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ついでにダートとターマック(舗装路)の混走ステージでは、「摩擦係数が低くて滑るダート」と「やたらとアンダーステアが出て全く曲がらないターマック」の二重苦。
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デジタルコントローラによるパッド操作が基本で、路面グリップに比して細かいハンドリングやアクセル操作が困難なことが一因。
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加えてダートイベントは1対1のレースとなり、複数台とのレースは不可能。
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ハイパワーFR車やMR車の操作も非常に困難で、普通にプレイするとコースの中に留まっているのが精一杯という状態に。
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これも上記のダートと同じくパッドでの細かい操作が難しいことによる。よほどの上級者でない限り、高馬力レースは4WD車を使いたくなるだろう。
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おまけにCPU車両の挙動も前作とあまり大差がない。常に纏まって走り、直線後のコーナーでは減速しきれずに壁に激突する点も相変わらず。
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なお本作からホイールスピンを制御できる「トラクションコントロール(TCS)」が搭載されているが、本当に作動しているかどうか分からないくらいTCSの利きが弱い。
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さすがにゲーム性を損ねていたためか、3以降はダート車とハイパワーFR車・MR車の挙動、およびトラクションコントロールの利き具合が大幅に見直された。
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一部重大なバグがある。
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代表的なのが、「ガレージの一番上の車両がいつの間にかバグる」という不具合。このバグが起こるとバグ車両はスペックが変な数値になり、コース内で垂直飛びするなどレースに出してもまともに走れなくなる。
発生条件は完全には解明されておらず、対策は「ガレージの一番上に大事なマシンを置かない」という程度しかない。このバグに関してはここに詳細な記述がある。
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後期ロットや廉価版では修正されているのだが、現在中古に前期ロットが出回っているので、バグのあるバージョンを買ってもおかしくない状況にある。
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一部の車両に数値ミスが存在する。
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その最たる例が「ランチア デルタS4」。WRCの歴史の中でも“狂気”と言われたグループBにおいて最強クラスの速さと性能を誇ったモンスターマシンなのだが、明らかにモンスターには程遠い性能になってしまっている。
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ランチア デルタS4はこのゲームでは400馬力以下であるが、実際には500馬力や600馬力以上である。
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全日本GT選手権の車両も本来なら約480ps程度なのだが、本作では600~700psを誇る大出力レーシングカーになっている。この他にはモータースポーツ・エリーゼ等が該当。
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チューンアップ内容も効果が落ちた項目がある。
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前作の軽量化&レーシングモディファイは大幅(特にNA車)な軽量化が可能であったが、今作ではかなり抑えられている。
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一例として車重が1500Kgの車両をレーシングモディファイを施しても1300Kg前後と約220Kgしかそぎ落としてくれない。(前作ではターボ車で約400Kgも軽く仕上げられた)
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元から軽い車に至ってはあまり効果がなかったりする。
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エンジンパワーもターボ車をフルチューンしても400ps前後しかパワーアップしない車種も少なくない。
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一例として70スープラは3L、2.5L共にそれぞれ425ps、450psまでしか上昇しなくなった。(前作ではどちらも最終的に600ps以上のパワーを得られた。実用性は別として)
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そうした事からフルチューンしてモディファイを施しても今作のGT300(このカテゴリーの車両も今作では上記の通り数値ミスが見られるのだが)に対して分が悪い車にしか仕上がらない車種も多い。
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代わりに前作にも収録されていた外車勢は劇的な軽量化が出来なくなった代わりにそれらを相殺するかの様にエンジンパワーがより伸びる様になった。
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セッティング内容も一部不便になった所がある。
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前作のターボ車はターボチューンをLv1以上施すとブースト調整が出来た。
これ自体の本来の目的はターボラグの調整ではあるが、前作ではそれ以上に半ばエアリストリクターじみた調整が出来た。(ブースト圧を下げる事でパワーを落とせた)
何を意味するかと言うと今作で馬力制限のレースに出場する際にブースト調整が削除された関係でタービンのLvを下げざるを得ず、尚且つアバウトな調整しか出来なくなってしまった。
そうした事からブースト調整なら許容範囲ギリギリまで調整出来たものがパーツのLvを下げる事で必要以上にパワーダウンを強いられる事態も起きた。
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ギアレシオの調整もきめ細かい設定が困難になった。
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今作ではオートセットが搭載された事で初心者でもギア比の調整わかりやすくはなった。
だがギア比のグラフ削除された事でそれ以上にきめ細かく、かつパワーバンドを有効に使う調整が難しくなってしまった。どの回転域を使うかは実際に走らせてみないと分かりにくい。
総評
今作ならではの問題点も幾つか見られるものの前作から大幅なボリュームアップと更に細かな作り込みを施され、順当進化を遂げた続編。
シルエットフォーミュラや豊富なレーシングモディファイ対応車両など、本作ならではの魅力があり、今プレイしても面白い作品。
DL配信されてないため中古ソフト屋で入手するしかないのが難点とはいえ、シリーズを語る上で欠かせない作品として、是非手に取ってもらいたい名作である。
余談
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プレス用に配布された開発中の写真には「メルセデス・ベンツ CLK-GTR」の姿が確認できたが、その後削除され製品版では登場しない。
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理由については1999年ル・マン24時間耐久レースにて発生した「メルセデス・ベンツ CLR」による大事故を配慮したものと思われる。事故の詳細については各自調べていただきたい。
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その後、問題が収束したと判断されたのか2004年の『GT4』にて無事収録を果たした。
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前作に登場した「ニスモ・GT-R LM」は日本版には収録されておらず、海外版にロードカーが収録されている。(データ自体は日本版にも入っている) ちなみにレーシングモディファイを施すと前作でスペシャルモデルとして販売されていたルマン仕様のカラーリングになる。