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テイルズ オブ グレイセス エフ - (2015/06/03 (水) 15:59:50) の編集履歴(バックアップ)



テイルズ オブ グレイセス エフ

【ているず おぶ ぐれいせす えふ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:守る強さを知るRPG)

対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2010年12月2日
定価 8,379円
プレイ人数 1人(戦闘のみ1~4人)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル、暴力、言葉・その他
通信機能 PlayStation Network対応
DLC配信
廉価版 PlayStation3 the Best:2012年8月2日/3,800円
判定 良作
テイルズオブシリーズ関連作品リンク

概要

本作は、Wiiで発売された『テイルズ オブ グレイセス』に後日譚等を追加し、PS3で発売されたものである。
PS3での発売の要望が多かったため、2010年2月に移植することを決定したとインタビューで述べられている。


Wii版から継続している本作の主な特徴

内容面についてはWii版である程度完成しており、本作を評価する際に外すことはできないので、戦闘とストーリー・キャラクターについて簡単に説明する。
詳細やその他の内容についてはWii版の記事を参照していただきたい。

戦闘

  • 評価が高く、3Dテイルズでは最高との声が多い。主な特徴は3D戦闘とCC(チェイン・キャパ)システムの融合。
  • 過去の3D戦闘で猛威を奮っていたフリーランは大幅に弱体化。代わりに導入されたアラウンドステップは前後左右への素早い移動と自由なキャンセルが可能な本作の肝になるシステム。
    • 敵の攻撃に合わせて適切なステップをすることで「対応回避」が発生しダメージが1になりCCや各種ゲージも回復する。
    • 攻撃、位置取り、対応回避と非常に優秀な移動手段だが、フリーランのように自由自在という訳ではなく、ステップのたびにCCも1消費するので逃げ回るのは難しい。
  • CCシステムはCCが続く限りプレイヤーが任意にコンボを組めるのが魅力だが、本作ではただ攻撃一辺倒、強技連発の戦闘にならないように配慮されている。
    • また、防御では時間経過でクリティカルゲージ上昇・鋼体付加・ガードブレイク効果付加の恩恵があるなど防御的な行動をとる意義が大きい。
    • 技ごとに「特性」が設定されており、敵の弱点と一致する技を当てることでコンボ中のダメージが増加し、一定時間回避が発生しなくなる。弱点を複数突けばその分効果も上がるため様々な技を使い分ける必要がある
      • 弱点連携は味方全員で共有するため、弱点を突ける技を持たないキャラ、命中の低いキャラでも仲間と協力することで活躍できる。
      • また、敵は「弱点」は持っていても「耐性」の概念は持っていないため、「術技のモーションは気に入っているが、敵の耐性とかち合って使えない」といったことは起こらず、自由度が高い。
  • 本作では攻撃力依存のアーツ技(A技)、術攻撃力依存のバースト技(B技)と区別されている。
    • A技は左スティックの倒し方により攻撃方法が変化する。それだけ聞くと従来の通常攻撃のように思われるが、性能や派手さは一つ一つが従来の特技に匹敵するものとなっている。B技は自由に連携可能で様々な種類の技や術が使える。
    • 術師キャラでも物理攻撃が豊富にあり、連携する事で詠唱時間も短縮されるため、多彩な攻撃が可能。また、前衛の術攻撃、後衛の物理攻撃の数値が持つ影響力が大きくなり、無意味なステータスが無くなった。

シナリオ・キャラクター

  • アビス』『ヴェスペリア』と据え置きのマザーシップタイトルは尖ったキャラ付けの作品が続いていた。それに対して本作のキャラクターたちの設定は比較的穏やかである。また、キャラ立てはよくできており、多くのプレイヤーから好評を受けていると言える*1。シナリオを通してのキャラ同士の関係の変化は見所である。また、パーティーは家族をイメージしているらしい。
  • 本編は、ある人物に異常が起こっていることは序盤から明らかになっており、事件を通して、その原因・黒幕が徐々に明らかになるという構成になっている。
    • 序盤~中盤にかけては、数々の事件を乗り越えつつ、主人公を取り巻く人間関係に強くスポットが当たる。
    • 中盤から、段々と規模の大きな話に発展していく。
    • シナリオはきちんと完結しており、エンディングは名シーンと好評である。
  • サブイベントの充実具合も評価されている。キャラにまつわる様々な性格のやり取りが見られるというだけではなく、称号・アイテム獲得を通じて戦闘にもリンクする。
  • シェリアについては、他のキャラよりも賛否が分かれている*2

追加要素とその評価

さらに評価を高めた戦闘

  • 最も特徴的なのが、各キャラにそれぞれ異なった効果を得られる「アクセルモード」の追加。その効果は、もともと存在したキャラの個性をさらに伸長させるものとなっている。また、アクセルモード時の秘奥義も追加された。これによって、自分の好きなキャラで思い通りの戦闘がやりやすくなった。
    • アクセルの性能は全員同程度と言うわけではなく、アスベルやマリクのアクセルモードは性能が控えめで癖が強いが、ヒューバートやパスカルやシェリアのアクセルモードは一目でわかるほどに強力かつ使いやすい物である。
      • ただし、前者は通常の戦闘スタイルがオーソドックス、後者は通常の戦闘スタイルに癖があるので、総合的なキャラ格差はむしろ小さくなっている。
    • 効果の一例を挙げると、パーティーを立て直すのが役割のシェリアは敵全体を一定時間停止させる、強力な攻撃術と味方の補助ができるパスカルは陣内の味方に鋼体や攻撃必中効果を与えるといった内容。
    • 秘奥義の追加で、パーティー共通のエレスライズ時とは異なり、NPCの影響を受けず任意のタイミングで発動できるようになった。
    • ただし、アクセルモードは本編をクリアした後の追加シナリオで解禁されることには注意が必要*3
  • 味方キャラに新しいA技、B技が追加された。
    • 敵キャラの技や秘奥義も増えており、Wii版で没になっていた中級、上級術も多数追加され、死にステータスに近かった「術防御」の存在意義が大幅に上がった。
  • リチャードには新たに加入機会が与えられた事で使用機会が格段に増え、技の数が大幅に増量(暴星特性の技も追加)し、秘奥義の数もアスベル達と同じ数になったり大きく改善されている。
    • しかし隠しダンジョンには本編でしか行けないため*4、最終的なやり込みは本編がメイン。正規加入というよりは系譜編でのスポット参戦に近く、隠しダンジョンでも使いたかったという声は多い。
    • リチャードは本編と系譜編で戦闘ボイスがほぼ全て差し替えられており、威圧的な印象を受ける本編と違い、穏やかな印象を受ける台詞に変わっている。
      • それに伴って戦闘後の掛け合いも追加されている。中でもソフィとリチャードの掛け合いは感慨深いものになっている。
  • 既存の部分についても、敵味方ともに技の性能や、能力値、スキルや装備の性能など多くの点がより磨き上げられ、キャラ性能のバランスはシリーズでも評価が高い。
  • 敵の性能も術技の追加だけでなく能力値や技性能が強化されており、難易度はWii版より大幅に高くなっている。
    • 原作では難易度最高の「カオス」でも「これでもまだ余裕」「シリーズ最低難易度のカオス」などといった意見が多かったためである。
  • 詠唱術→詠唱術の連携が可能になったため、術系キャラの戦力が大幅に底上げされ、戦闘がさらにド派手になった。
  • リメDにもあった「なりきり」が称号として追加された。コスチュームチェンジと同じく、ステータス画面で身につける。戦闘シーンのみキャラになりきり、イベントシーンや移動中は反映されない。これにより本編でも(擬似的にだが)リチャードを使えるようになった。称号取得に必要なアイテムは未来への系譜編でのみ入手可能。
  • フリーランの操作が改善され、暴発することが無くなった。

その他の評価点

  • Wii版はバグが多かったので、メーカーにより修正ソフトとの無償交換が行われた*5。それに加え、細かいバグが本作では解消されている。
    • 当然のことではあるが、Wii版を「バグさえなければ…」と惜しむ意見はかなり多いため、重要な改善点である。
  • 衣装やボイスが追加されていたり、コスチュームの仕様の変更*6、イベントスキップ搭載などのインターフェイス面が改良されていたりする。
    • wii版で称号の装備効果とされていたコスチュームに関しては、PS3版では装備効果ではなくなり、独立して運用できるようになったため、改善された。
  • 音楽も後日談用に新曲が追加されているが、そのどれも桜庭氏の本気が伺えるような高評価を得ている曲ばかり。特に際立つのが新ボス用の戦闘曲「夢幻乱舞」、ラストダンジョンの戦闘曲「全てを賭して」であり、どちらも名曲と評判である。
    • 通常戦闘BGMと呼ぶべきものは新たに2曲追加され合計8曲となった。wii版の頃はテイルズオブデスティニー2と並びシリーズ最多であったが、この追加で単独首位となった。
    • ちなみに今作は数曲だが作曲者の桜庭氏が自らピアノを担当するなどといったシリーズ初の生演奏を使用した楽曲が存在する。
  • 魔法カルタが追加され、作品の偏りがなくなった。
  • Wii版では次の周に引き継げない、使用回数が非常に多いなど不満の声も多かった称号の習得条件が見直され、入手しやすくなっている。

問題点

  • グラフィックはHD画質になったが、Wii版の流用も存在し、サウンドはPCM 2chのみ。5.1chサラウンドなどの音響設定が全部無くなった事は不満点として挙げられている。
    • PS3のゲームはほぼ全てのソフトがドルビーサラウンドなどに対応しており、前作のヴェスペリアでもPS3版では多くの音響設定に対応していた。
    • また、追加された新曲は、前述通り高評価だが2012年現在も音源化されておらず、それを惜しむ声もある。本編クリア後であれば、サウンドテストで自由に聴くことは可能。
  • DLCはDLC専用だけでヴェスペリア以上の金額となっており、全て買えば14000円以上になる。
    • 「全て買えば」という留保はつくが、本編で入手不可能な衣装称号やアタッチメントが多い(さらに言えば衣装称号は高い)ことの結果としてこの数字がよく示される。
    • ちなみに、DLCなしでの衣装の追加は少なく*7、新要素として紹介されたアタッチメントは本編中で3種類しか手に入らない。
      • 前作とは違い、アタッチメントは引き継ぎができないため、本編中で入手するものはストーリーを進めて再び入手しないと装備できず、DLCで購入したものは周回時に再使用する必要がある。
    • 1着当たりの値段もヴェスペリアに比べて高くなっているが、一部のコスチュームは戦闘曲や戦闘後の掛け合いが変わる効果がある。中には歴代シリーズのアレンジやオリジナル曲などもある。
      • なお、戦闘曲は変えずにキャラの衣装だけを変えたいという要望も多く、仕様として痒いところに手が届いていない。
      • 『エクシリア』及び『2』でもこの仕様が継承され、戦闘曲の切り替えは『ゼスティリア』まで待つ事となる。
    • また、「称号でキャラクターを強化する」というシステム上、DLC称号を買うことで、その分、僅かながら能力値を上昇させることが可能。
  • 原作で大きく批判されたアニメムービーの質については、オープニングのタイトル文字にfの文字が追加されただけであり肝心の作画の方については修正なし。
  • リチャードの性能が若干劣っている。一周目はそれほど問題ないのだが、二周目以降は称号の少なさ、隠しダンジョンでの最強武器が入手不可などの理由でステータスやスキル面で差がついてしまう。ただし上記のとおり、隠しダンジョンに行けないことにより結局なりきりで運用する人が多いので、本人を隠しダンジョンに連れていけるようにして欲しいという声はあれど、ステータス差に関してはほとんど取り沙汰されることはない。
  • ショートカットにセットした技のキャンセル受付時間が非常に短い。
    • 元々は味方に指示を出すためのシステムなのだが、操作キャラの技登録数を増やすために使うプレイヤーが多いため不満点として挙げられやすい。
  • 修正されたはずの「高HPの敵を一撃で倒せるバグ」が厳密には修正できていない。
    • 正確には「Wii版の方法は使えなくなったものの、新たに搭載されたアクセルモードを用いて同じことが再現できる」といったもの。 これは”受けたダメージを攻撃に上乗せ”という称号の装備効果を利用したもので、意図して使えばバランスブレイカーとなる。

追加シナリオに関して

  • 設定自体は本編を上手く活かした内容となっている。別々の出発点を持つ2つの問題が絡み、1つの結末を迎えることになる。
    + 追加シナリオにおける主要テーマや評価について ※ネタバレを含む 主なテーマは「ヒューマノイドであるソフィと人間であるアスベル達との差異」というかなりシリアスなテーマである
  • ソフィについてはそもそも問題が解決したか否かで見解が分かれ、大きく以下の2つの意見に分類される。
    • シナリオ中でソフィ自身が納得できる解決策を見出しているので問題ない。
    • ソフィの投げかけた問題の大きさに対して解決策は部分的で、根本的な部分は未解決のままである。
  • + キャラクターの恋愛について ※ネタバレを含む
    • アスベルとシェリアの恋愛模様については流れが不自然と言われることがある。
      • シェリアと結ばれること自体は不思議ではないが、告白するのが恋愛に鈍感とされていたアスベルの側であることがその理由として挙げられやすい。
        • ただ、アスベルに関しては、俗に言う男女のデリカシーに欠けるだけであって(チャットでもリボンを変えたのに気づかない、などがよくネタにされる)、シェリアに対しては仲直りのシーンを筆頭に元々かなり好意的である。そして本編の最終決戦前夜に至っては、その時点で、アスベルからシェリアに対し、既に一種の告白とも取れる言動が見られる。そのため、追加シナリオの冒頭でシェリアを相手にした時の態度も、それほど不自然ではないという意見もある。
        • 追加シナリオでアスベルがシェリアに再会した時にやたら気恥ずかしそうにしていたのは、婚姻話がひっきりなしに来ており、アスベルとしては内心の第一候補であるシェリアに告白したいと考えていたからである。例え慣れた相手であっても、いざ人間関係に大きな変化が起こることを告白しようとすると、緊張してしまうということはよくあること。…という意見もある。
        • シェリア自身がアスベルの様子を見て「何か変よ」と明確に指摘していることを踏まえると、脚本側もアスベルの様子が普段とは違うという認識はあるということである。そのため、ユーザ側は「性格が変わった」ではなく「婚姻話のせいで普段よりも意識を強くしている」と解釈するのが自然であると思われる。
        • なお、本編のEDアニメが一種のネタバレになっているため、最終的にシェリアとくっつくこと自体は予想していた人は多い。
        • ちなみに、ツインブレイヴの特典CD「未来への約束」にて、本編クリア後にシェリアが救護団として再出発するまでの二人の仲が描かれている。その中での描写として、アスベルは、シェリアに関しては特に気を使わずとも子供の頃のように勝手に後をついてきてくれると思い込んでいた…とのこと。
      • これに関連し本編では二人を多少くっ付けようと動いていた仲間たちが「くっつかないほうがおかしい」と言わんばかりに動いている点は批判される。
      • また、Wii版発売時は恋愛要素が少ないことを売りの1つにしており、本編で売りにしていたことを追加シナリオでわざわざひっくり返すべきではないという意見も存在する。
    • 主にアスベルのキャラクターに関して、恋愛面で、解釈によっては別人のように感じる可能性がある。(あるシーンのリアクションが大きすぎるのが主原因)
      • 「アスベルが恋愛に興味を持つようになったことはアスベル役の声優である櫻井氏でさえもインタビューで困惑している様子がうかがえる」という意見も出ているが、結果として演技に支障が出ていなさそうであれば、一個人の解釈などあえて取り上げるようなことではない。
    • 主要テーマ以外にも意見の分かれる点がある。
    • 追加シナリオは本編の3分の1程度の長さであり、深々・長々と話が掘り下げられることはない。

総評

  • 「バグさえなければ…」という声を実現するのみならず、元々高かった戦闘の評価をさらに高めることに成功した作品。シナリオやキャラクターは意見が分かれるとはいえ近時の作品の中ではその幅は比較的小さい部類に入る良作である。
  • Wiiは持っていないがグレイセスに興味はあるという方が購入しても決して損をしたとは感じないだろう。
  • 一方、Wii版をプレイ済みで追加シナリオのみが目当ての場合は、上記の追加シナリオに関する記述を考慮して決めれば良い。

余談

  • 日本での初週売上本数は21万本となり、初週でWii版の累計を超える好調な売上となった。累計は海外版と合わせ90万本近くに達している。(2014年時点)
  • 海外大手ゲーム情報サイトGameTrailersの、JRPGの優れた戦闘システム TOP5を選出した特集“Top 5 JRPG Battle Systems”にて3位を取得。(2014年)
  • 「アニメワン」におけるアンケート「全てのテイルズオブシリーズで一番好きな作品は?(総票数4475票)」にて1位を取得。(2012年)
  • DLC売上はトップクラスに高い。さらにソフト売上との比も考慮に入れた場合、同時期の作品中では飛び抜けた高さを持つ。
  • 機種変更に伴う「大人の事情」によって一部内容に変更がある。
    • DSとの連動がなくなったため、『かめにんマーチャント』は削除されている。
      • 雑誌『電撃ゲームス Vol.13』掲載のインタビューによると、PSPとの連動要素として存続が検討されていたが一から作り直す必要があったため実現しなかった。
    • マリオやサムスやオプーナネタも別の名称になったりテキストが変更されている。
    • Wii版の頃からポケモンが元ネタと思われるネタが存在していたが表現が間接的なためかこちらは特に変更されてない。むしろ増えている。
    • リチャードの「ともだち……ィィィイイ」の一連のシーンはwii版の時点でも評価が高かった(同時にネタにもされていた)が、PS3版はより凄惨さを感じさせる演技にパワーアップしている。