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ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記 - (2022/02/17 (木) 19:18:26) の編集履歴(バックアップ)


ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記

【てぃありんぐさーが ゆとなえいゆうせんき】

ジャンル シミュレーションRPG

対応機種 プレイステーション
発売元 エンターブレイン
開発元 ティルナノーグ
ビッツラボラトリー
発売日 2001年5月24日
定価 6,800円
判定 良作
ポイント 『ファイアーエムブレム』生みの親によるSRPG
2部隊制による編成の自由度の高さ
群像劇的なストーリーやキャラ描写も魅力
著作権侵害を巡る裁判沙汰に発展
ティアリングサーガシリーズ
ユトナ英雄戦記 / ベルウィックサーガ


概要

『ファイアーエムブレム(FE)』シリーズの初代ディレクターである加賀昭三氏が、インテリジェントシステムズ退社後にエンターブレインの協力を得て製作したSRPG。略称は『TS』。
様々な部分でFEとの共通点が多く、キャラクターデザインも『FE 聖戦の系譜 TREASURE』と『FE トラキア776』も手掛けた広田麻由美が担当している。
しかしFEとの類似要素の多さ、FEの関連作であるかのような宣伝方法などが問題視され、最終的に任天堂とエンターブレインの裁判沙汰にまで発展するなど、発表から発売後まで多くの物議を醸した作品でもある。

特徴・評価点

  • 基本システムはオーソドックスなターン制SRPG
    • 反撃・追撃・特攻といった戦闘システムや、ペガサスに乗った飛行兵など『ファイアーエムブレム』シリーズとの共通点はかなり多く、FEシリーズを経験済ならまったく違和感なくプレイすることができる。
  • 2人の主人公を交互に操作するシステム
    • ゲームが始まると、まず帝国に祖国を追われたラゼリア公国の公子リュナンを主人公とした物語が展開される。しかしある程度進行すると、リュナンの親友であるグラナダ海賊の頭領ホームズももう一人の主人公として操作できるようになる。
      • リュナン編は過去のFEシリーズと同じく、順番にマップを攻略していく一本道の構成。闘技場を除き自由に経験値稼ぎは出来ず、アイテム購入のタイミングも限られている。ストーリー的にも敵の正規軍と戦うため、敵は強く難しいマップが多め。
      • 一方でホームズ編は大陸中を自由に移動して冒険することができる。メインのストーリー以外にも「遭遇戦」としてザコ敵と何度も戦うことができるため、経験値・アイテム・軍資金などを好きなだけ稼ぐことも可能。敵はゾンビやゴーレムなどのモンスターが多く、いわゆる『外伝』風のパートになっている。
    • リュナン軍とホームズ軍のメンバーは、物語の節目で数回行える「部隊編成」によって自由に振り分けることができる。一部の主要キャラは部隊が固定だが、それ以外のほとんどのキャラは自由に編成が可能。
      • そのため、レベルが低いユニットはホームズ隊の遭遇戦で鍛え上げ、育ったらリュナン軍に送って戦力として活躍してもらう……と言った戦略が可能。逆に難易度を上げたいのであれば遭遇戦の経験値稼ぎ無しでもクリアできるバランスなので、様々なプレイスタイルが可能になっている。
  • 武器が豊富にあり、パラメーターのバランス調整も十分工夫されており、個性的なものも多い。
    • 命中率に劣る斧であっても、守備力を増強する斧等の興味深い性能を持つ武器がある。
    • 弓は特にバリエーションが多く、射程が通常よりも伸びた武器*1や命中率が高いがその分重量のあるボウガン系武器、遠距離用の投射機もある。
    • 雑魚モンスターを召喚できる杖や、ステータスを一時アップする杖、複数のマスにいる敵を同時に攻撃できる魔法、使用者は一人しかいないうえ、性能の低い物が多いが、専用魔法やレアな魔法の代用として使える暗黒魔法も目を引く。
  • 40章に及ぶボリュームと、多彩な内容のステージ。
    • 軍が3つに分けられた状態からの進攻、強力な竜が暴れる中の防衛戦、船の上での戦い、レアアイテムを持ちながら逃亡する敵将の追撃、中立区での小競り合い、大半の地形が沼、といったようにステージ内容はとてもバラエティ豊か。
  • 60人以上の多彩な味方キャラ
    • スキルシステムを採用しており、キャラの運用方法に個性がある。スキルはアイテムや施設の利用以外にレベルアップでも増えるので、弱いと思っていたキャラが便利なスキルを覚えてエースになる、なんてことも。
      下級職か上級職かで、特定レベルで覚えるスキルが二者択一というキャラも。
    • 他にも、倒した敵の所持品を確実に奪えるが周囲の味方に甚大な悪影響*2を及ぼす「強盗」スキルを持つキャラ、人間を殺すことができない弓兵*3、他のキャラのユニットに変身できるキャラ、後述の出撃するだけで全員が支援効果を得られるキャラなど、特殊な性能のキャラが多い。
    • 能力的に恵まれていなくともシナリオやイベント面で恵まれているキャラも多く、膨大なキャラがいる割には完全な空気キャラは少ない。リュナンとホームズ、どちらの軍勢に加えるかで発生するイベントが変わるキャラもいて、両編の一軍の編成を変えて何度も周回プレイをしたり、ホームズ編でお気に入りのキャラをとことんまで強化するなど、やり込むプレイヤーは少なくない。
      • 更に、持っているだけで成長率が上がるアイテムが存在するし、ドーピングアイテムもフリーマップをあさっていると多数入手できるため、普通は育てても弱いキャラでもプレイヤーの努力次第で強くできるのでキャラ強化は難しくない。
      • 全体的にHP以外の成長率は控えめ*4だが、これはMHPとLUK以外の上限の低さ*5に合わせていると思われる。
      • 斧使いの歩兵ユニットであるサムソンが相当に強く、かなりの強ユニット*6。加入マップは無視して進めるのも可能なので、寄り道に見合うように意図的に強くしたと思われる。
    • ホームズは主人公なのに間接攻撃専用の弓しか使えない*7という画期的なユニットだったりする。そして、「弓使いは俺一人で十分だ」と劇中でのたまうのも納得できる優秀なユニットでもある。
      • 自分勝手にふるまっているようでいて、実は仲間思いで、戦いを好まないが親友や恋人のために戦っているという、後の「ツンデレ」的な性格もあり、キャラクター面でも評価の高い人物である。
    • クラスの数も充実している。例えば、騎士系クラスの下級職こそ「ルークナイト」固定だが、ルークナイトからCCできるキャラだけでも、軽装のため上限値の低い代わりに下馬しても移動力以外のステータスが落ちない「コマンドナイト」、スタンダードな性能の「パラディン」、パラディンの耐久性を上げたうえで突撃も使える特攻兵「ブラックナイト」、最強クラスのステータスと強力な兵種スキルを兼ね備えた「ゴールドナイト」と、様々な種類の上級騎士が存在する*8
      • 上記例に挙げたとおり、各クラスで微妙に特性が違うので完全下位互換のクラスはほぼ無い。別クラスの下位互換気味のクラスに就いているキャラ*9でも、パラメーター的に上のクラスが持っていないスキルを所持している、クラスによりユニットの成長率がはっきり違っているなど、没個性とならないように細かい配慮や工夫がなされている。
    • キャラクターの通り名がゲームの進行により変わる。
      • 基本的にCCをすると新しい通り名がつくが、特定のスキルを覚えるなどの条件で変わることもある。新しい通り名がついたときは達成感とともに、キャラクターがさらに強くなったという実感が湧く。
    • レベル上限は上級、下級職両方とも最大40まで。より詳しく言うと、下級職はレベル20でいったん成長がストップするが、CCすることでレベル上限が+20される。上級職はデフォルトでレベル30まで育成できるが、レベル上限を10上げるアイテムを使うことでレベル40まで成長できる。
      • 初期職が下級クラスであるか、上級クラスであるかでレベル格差がほぼ存在しないのが強みだと言える。
      • 主人公たちは下級職時代からレベル上限が30である。これはCCが後半のイベントでのみ可能なため。そのため中盤までにレベルが最大になって、使うのが惜しくなるということはまず無い。
    • レベルアップヒストリー機能により、ユニットの成長を振り返ることができる。ユニットの強さや成長率の高さ(もしくは低さ)を実感できるとともに、初期値さえ分かればドーピング回数を逆算するということもできる。
  • セーブ関連の問題を除きさえすれば、プレイ自体はなかなか快適。
    • セレクトボタンを押せば、各ボタンの機能が確認できる。
    • ソフトリセットは当然完備されているが、タイトル画面に戻るだけではなく、戦闘開始時点に戻ることも可能。いちいちセーブファイルを選ぶ手間が無くやり直せるのは嬉しい*10
    • キャラクターごとにカラーパレットが独自に設定されている。キャラの個性を演出するとともに、マップでもちゃんと色違いのため、間違えて同クラスの別ユニットを選択するというようなSRPGでよくある凡ミスは起こり辛くなっている。
      • そのため、味方ユニットと敵ユニットはキャラクターの向きで区別している。
    • 敵味方の移動・攻撃範囲表示設定をいじることが可能。
      • SRPG初心者は敵の攻撃範囲を出してプレイしたり、このゲームの熟練者なら味方の攻撃範囲はおろか、敵の移動範囲を出さずに経験と知識を踏まえてプレイすると言ったように、ちょっとした難易度調整が可能。
      • パラメーター画面が充実しており、武器性能はもちろん、移動コストまで細かく確認できるので、移動範囲の推測は出来なくも無い。かといって、人間の推測は完璧ではないので、攻撃範囲を見誤ることもあり、これがまた緊張感を生む。
    • マップ上にマーカーを最大4つまで置くことが可能。敵の攻撃範囲を可視化したり、再移動後の停止場所の目印にしたりすることができるので利便性は非常に高い。
  • シナリオは群像劇的な展開が魅力。
    • 王子と海賊、二人の主人公を交互に行動させることで、世界の変化を複数の視点から楽しむことができる。また、たとえ引き離されたり死んでしまったとしても絆は永遠に消えない、という友情の大切さや、戦争に絶対的な正義は存在しないという不文律を軸にして展開されるシナリオは現在まで高い評価を得ている。
    • 前述の通りサブキャラクターにもイベントが多く、世界観の奥深さを演出している。
  • 音楽の評価も高い。勇壮だがどこか哀愁漂う旋律が決戦を彩る「ラゼリアの騎士」や英雄的なオープニングテーマ「ユトナの戦士」などが名曲としてあげられる。
    • エンディングテーマ(Never Ending Dream)は、CDメディアであることを生かし、生音源*11である。非常に長時間のプレイが要求されるこのゲームを締めくくるにふさわしい、しっとりしたバラードで、どういうわけか英語曲。ゲーム中にも、後半の非常に重要なシーンでアレンジ版が流れる。後に発売されたサウンドトラックでは日本語バージョンも収録された。

問題点

  • 敵キャラも魅力的な人物が多い今作だが、取説に名前を残すゲーム開始時の敵のボス「カナン王バハヌーク」とその息子「カナン第2皇子バルカ」の出番があまりない。
    • どちらも劇中で目立った活躍は無く、後半で死亡してしまう。特にバハヌークが登場するのは一度きりしかない。
      • バハヌークは後述の公式ガイドブックの人物事典にも「愚帝」と書かれる始末。
      • 一方、シナリオでは影の薄いバルカだが、異国の地をほぼ問題無く*12治めるなど、事務方面に長けているらしいことが窺える。
        また、彼の部下たちも揃いに揃って傑物*13である。おそらくバルカ自身が尊敬に値する人物で、それゆえ部下に好かれていたのだろう。
  • また、上記の二人に比べてシナリオでの存在感は高いが、セネトやティーエといった重要キャラの出番が少ない。
    • セネトはリュナンの父グラムドの親友であるアーレス*14の息子であり、カナン王国の継承権第1位の王子。主人公に匹敵する重要人物。
    • ティーエはレダ王家の末裔であり、作中世界に4人しかいない竜に変身できる能力(ラスボスに強く関わる設定)を持つ。
    • といった重要な設定があるにも拘らずゲーム的には出番が少なく、操作できるのは最終マップのみ。その為、本作の続編かリメイク版で、この2人の物語を望む人も多い。
  • 戦闘アニメの出来が今ひとつ。全体的に地味で動きがぎこちない。
    • 特に騎馬系の戦闘アニメでそれが最も出てしまっている。また攻撃の一動作ごとに基本ポーズに戻る仕様がそれに拍車をかけている。ただし何とか誤魔化そうとする工夫は見受けられるため、手抜きではないようだ。
    • もっとも、そもそもの問題として動かし方にセンスがないという点は擁護しきれない。『紋章』と比較してみると一目瞭然。
    • これは容量不足で起こったコマ数不足が主な原因であり、必殺時のアニメーションが武器が光るだけというものであるのも同じ原因といわれている。
      • 戦闘アニメの悪評を広げる一因として、ボスキャラ級や寝返り要員のユニットとの戦いにおいて、戦闘アニメーションをOFFにできない点があげられる。つまり、1つのマップに付きほぼ必ず、1回は出来の悪いアニメを見なければならないのだ。
  • とある隠しキャラクターの出現方法が複雑すぎて攻略本や攻略サイトが必須。
    • 加入まででも複雑極まりないというのに、仲間に加入した後もかなり前の選択肢で特定のキャラを仲間にしていないとすぐに強制離脱。さらに離脱時の選択次第ではもう一人も強制離脱、という初見では理不尽極まりないイベントとなる。しかもその選択肢が「特定キャラがいた場合に離脱を回避できる選択肢」なのもさらにタチが悪い。
    • しかも離脱を防ぐ為に必要なキャラが、全ての近接系武器*15を使えるという利点を有しているものの、能力的には突出した物が何も無い*16ので、戦力重視ならば彼を仲間にする事はまず無いというのも、初見殺しに拍車をかけてしまっている。
    • この点に関しては仲間にしてすぐ殺すことで離脱イベントを回避し、あとで蘇生アイテム*17を使い、とある砦の道具屋に派遣するという荒業がよく使われる。
      というのも、とある砦に派遣すると一時的な離脱状態となり、後戻りできないところまでストーリーを進めた時にホームズ隊に戻ってくる。そして 離脱イベントはその後戻りできない状況になる『前』に起こるもの ので、結果的に離脱イベントそのものを回避できるわけである
      加入後にリュナン軍のほうで使えなくなってしまう期間が存在する弊害はあるが、ホームズ隊で育成は可能なので、やり込み的にはそれほど問題ない。
      • もっとも、隠しキャラを仲間にするかは完全にプレイヤーの任意である。ユニークな能力を持っているが攻略上重要というわけでなく、また仲間にしなかった時のみ加入する実質的な代替キャラクターもおり、そのキャラも十分一線を張れる性能を持っている。
  • 味方を裏切って敵に回るキャラがいる。
    • ステータス・スキル・成長率どれをとっても穴がない*18キャラなので、頼りにしていると手痛いしっぺ返しを受けることになる。
    • またこのキャラ関連のイベントを進めていくと、このキャラに好意を持ったキャラが終盤で一時離脱してしまう。最終マップ手前でNPCとして登場するが、特定のキャラで話しかけないと味方に復帰しない。
      • 内容に若干の差異はあるが、このイベントはリュナン編、ホームズ編のどちらでも発生する。つまり2人を別々の部隊に配置してしまったら、離脱したキャラは二度と復帰しない*19
      • 編成によっては、その「裏切りキャラに好意をもったキャラ」が復帰したステージで裏切りキャラと戦わせる事ができるが、この時、裏切りキャラは決してその好意をもったキャラを殺さない。また、好意をもったキャラで裏切りキャラを倒すと、それまでのイメージを覆す、嘘偽りのない本心を聞く事が出来る。
    • もっとも「リュナンがそのキャラを疑っている描写がある」「これだけ強力なのに序盤で簡単に仲間になる」「倒されると敵の黒幕が現れ、そのキャラを連れて退却していく」等怪しいフラグはいくつもある。
      • しかも、やはりというべきか、対戦モードでは一切使用することができない。なかなか個性的なクラスのユニットだけに残念である。
    • もう一人、やむを得ない事情で一時的に自軍に刃を向けるキャラがいるが、こちらは分岐によって回避可能。敵になった場合、彼は普通の敵兵の1人として紛れ込んでいる*20うえ、間違って彼を殺してしまっても何も起こらない。それどころか、そのままシナリオを終わらせても深い言及がなされずに進行してしまうという問題がある*21
  • ホームズ編では、ヒロインが離脱した後、ホームズの親友にあたるユニットがヒロインの代わりに強制出撃*22になる。しかも、それ以降は彼の出撃位置をずらすことができなくなり、彼が倒されるとゲームオーバーになってしまう*23。遅くとも、マップの難度が上がるうえに、進行が一本道になってしまう第3回編成までに彼を育成しておく必要が出てくる。第3回編成の時点で全く育てていないと彼の死亡リスクが高くなるので、攻略に不安が出てくる。
    • ホームズ編なので自由に育成ができ、彼自身も成長率、スキルともに良質で、後述のデュラハンという専用武器もあり、あるボスキャラとも因縁*24があるなどストーリーでの出番も多く、非常に恵まれたキャラのため、育成し甲斐があるのが救い。
  • 血縁等の人間関係が異様に複雑で、一度プレイしただけで理解するのは困難。完全に把握しているプレイヤーはごく僅かだろう。
    • 知らないとストーリー自体を理解しかねる、ということはない。
  • 全体で見れば少数ではあるが、中盤~後半で仲間になるキャラクターの一部は明らかに加入時期につり合わない取得スキルや能力で登場する。
    • 成長率は悪くないが、加入レベルが低い上にレベルアップしても碌なスキルを自力で覚えない「シロウ」や、所持武器は強いがスキルが対モンスターに特化している「ヴェーヌ」などが最たる例か。
  • 一部キャラクターが持つ専用武器が全体的に凶悪な性能。
    • 装備できるキャラが最序盤で加入する上、装備中は被ダメージを全て2分の1にする「シュラム」、武器としては弱いが所有者が死んでも武器耐久1消費で蘇生する「デュラハン」*25、射程が1~3と長い上に装備中に防御力を+10する「サンフレイム」、基本性能が極めて高いのに2回攻撃まで出来る「ブレンサンダ」*26、5の倍数ターンにしか使えないがマップ上の全ての敵を一度に攻撃できる「オーラレイン」等。特にオーラレインは再行動させれば制限を掻い潜って連発もでき、その気になれば容易に殆どの敵を一掃できる。
    • しかし、修理手段が有限であり、対戦モードの存在もあるので「勿体無いので使わない」というプレイヤーも多いと思われる。
  • 専用でない武器も強力すぎるものがある。汎用武器ながらかなりの威力を持つうえ、相手の防御力を無視してダメージを与えることができる「ルナの剣」、入手は最後半で、直後にマップが屋内に移るため使い手が激減するが、2回攻撃が出来て耐久や攻撃力も高い投げ槍「サリアの槍」、非常に重たいが怒涛の4連射を誇る*27「ガトリングボウ」、攻撃さえ当たれば反撃されない魔法の「シルフィード」「プレリュード」「トゥマハーン」などが代表的。
  • ラスボスは特定の手順を踏んで倒さなければ何度でも復活してしまうのだが、その攻略法がノーヒント。
    • 状況から想像できる範疇の条件ではあるのだが、なにせ間違ってもヒントが出ないので気付けないとどうにもならない。
    • しかも最終面には20ターンという時間制限まで設けられているので、余計性質が悪い。
  • 蘇生アイテムを使い切るとホームズの所持しているアイテムが1つ消滅する事があるバグが存在する。

総評

『ファイアーエムブレム』生みの親の加賀昭三氏が手がけたSRPGということで、同シリーズとの共通点が多い作品。
内容もしっかり作り込まれており、様々な魅力的なキャラの心情が掘り下げられた群像劇的なストーリーは特に評価が高い。
隠し要素なども多く、やり応えのある一作として仕上がっており、PS全盛期ということもあって30万本以上のセールスを記録、多くのファンを獲得した。
後述するように裁判沙汰で注目されてしまったのも事実だが、一本のゲームとしてみれば良い出来であることは間違いない。

FEシリーズとの類似と、FE・TS裁判

  • 発表当初の名称は『エムブレムサーガ*28』。また、事前情報はいずれもFEシリーズとの明確な繋がりを連想させるものだった。
    • FE 暗黒竜と光の剣』と『FE 紋章の謎』に登場するチェイニーが本作にも出る、などのインタビュー。
    • ただし初期時点ではクォータービューを採用するなど、ゲーム性の面ではむしろFEとは相違点が多かった。詳細はWikipedia『エムブレムサーガ』を参照。
    • 体験版時点ではリュナンの髪色が青かった(参考)。当時FEシリーズはスピンオフである一作を除いて皆主人公の髪が青く*29、ファンの間でもFE主人公=青髪というイメージが定着していた。
      • キャラクター関係では他にも、『暗黒竜』のヒロイン・シーダに似たキャラ*30、名前がFEの似たようなクラスのキャラと同じ斧使い*31、ペガサス三姉妹などのFEシリーズおなじみのポジションのキャラ、竜に変身するキャラ(マムクート)、前述のチェイニーと同じ特技*32を持つキャラなどが存在する。
    • (特にホームズ編が)『FE外伝』とシステムが酷似している。
      • 主に全体マップ移動、二つの軍を交互に操作する、敵にモンスターが存在するといった点がよく類似点として上げられる。
  • FEシリーズにあるものと名前も特徴も全く同じ武器が複数存在する。主人公のみが扱えて騎兵・重騎士に特効を持つレイピア、重騎士に特効を持つアーマーキラー・ハンマー 等*33
    • 一部には特徴は同じでも敢て名前を変えているものもある。キルソード→キルブレード、リブロー→とおいやしの杖 等。
      変わったところでは「クリティカル率の高い弓」の名前で、FEでよく使われるキラーボウではなく「スピニングボウ」だが、クリティカル率は普通と変わらない弓に「ボウガン」がある*34
    • 地名はFEと被った地名はほとんどない*35が、あるFEシリーズの舞台を連想させるような名前の大陸も昔話に登場する。それも、名前を出す必然性が無いような場所で。
  • こういった内容の作品を、当時の任天堂の主力機であったNintendo64や、発売を目前に控えていたゲームキューブではなく、任天堂の競合ハードであり同社からシェアを奪ったプレイステーションで発売した事が任天堂の怒りを買った、とも言われている。

以上のようなFEシリーズとの類似性から、任天堂側に不正競争防止法違反と著作権侵害を訴えられ、裁判に至る。
その結果、1審では「著作権を侵害しているとまでは言えない」としてエンターブレインが全面勝訴となった*36が、任天堂は判決を不服として控訴。
控訴審ではFEシリーズの関連作と宣伝したことについて不正競争防止法違反を一部認められ、エンターブレインは7600万円の賠償命令を下される。
ただし任天堂が主張した著作権の侵害は一審と同じ理由で認められなかった。そのため任天堂はなおも判決を不服として上告したが上告申請は却下された。

上記の裁判の影響により複雑な権利関係の問題が発生しているからなのか、本作のゲームアーカイブスでの配信は絶望視されている。
しかしながら、今回の判例は、「ゼノギアス」と「ゼノサーガ」や「タクティクスオウガ」と「ファイナルファンタジータクティクス」、「悪魔城ドラキュラ」と「Bloodstained: Ritual of the Night」など、スタッフが共通していれば、ある程度作風が似通っても問題ないという前例になっており、そういう意味では意義のある裁判だったと言える。

余談

  • 2016年に、シリーズの生みの親である加賀氏がフリーゲームとして「ヴェスタリアサーガ」を発表。ヒロインの職業など、本作を知っているとニヤリとさせられる要素があちこちにちりばめられている。
  • それまでのFEシリーズのお約束で「序盤で登場する風魔法使いは強い」という法則が存在していたが、本作で最初に登場する魔法使いのマルジュは、専用武器である風魔法「ヴンダーガスト」の微妙さ、成長率の低さ、習得するスキルレベルが一癖あるなどの様々な理由から、発売直後から長い間、某大手の匿名掲示板で散々ネタにされまくっていた。
  • 発売元が同じということもあり、ファミ通からオフィシャルガイドが発売されている。
    • 唯一の公式本と言うこともあり人物図鑑などの資料は充実しているが、肝心のゲームの攻略内容は自社ソフトであるにも関わらず誤植や間違いだらけであり、全くアテにならない。
      正誤表はこちらを参照。スクロールバーを見ればわかる通り、間違いが膨大にある。
      • 特に有名なものが、死生の技*37を発動させたメリエルで前述のオーラレインを使うと全ての敵に必殺ダメージを与えられるというものだが、全体攻撃にスキルの効果は反映されない。