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【てぃありんぐさーが ゆとなえいゆうせんき】
ジャンル | シミュレーションRPG | ||
対応機種 | プレイステーション | ||
発売元 | エンターブレイン | ||
開発元 |
ティルナノーグ ビッツラボラトリー |
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発売日 | 2001年5月24日 | ||
定価 | 6,800円 | ||
判定 | 良作 | ||
ポイント |
『ファイアーエムブレム』生みの親によるSRPG 2部隊制による編成の自由度の高さ 群像劇的なストーリーやキャラ描写も魅力 著作権侵害を巡る裁判沙汰に発展 |
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ティアリングサーガシリーズ ユトナ英雄戦記 / ベルウィックサーガ |
『ファイアーエムブレム(FE)』シリーズの初代ディレクターである加賀昭三氏が、インテリジェントシステムズ退社後にエンターブレインの協力を得て製作したSRPG。略称は『TS』。
様々な部分でFEとの共通点が多く、キャラクターデザインも『FE 聖戦の系譜 TREASURE』と『FE トラキア776』も手掛けた広田麻由美が担当している。
しかしFEとの類似要素の多さ、FEの関連作であるかのような宣伝方法などが問題視され、最終的に任天堂とエンターブレインの裁判沙汰にまで発展するなど、発表から発売後まで多くの物議を醸した作品でもある。
『ファイアーエムブレム』生みの親の加賀昭三氏が手がけたSRPGということで、同シリーズとの共通点が多い作品。
内容もしっかり作り込まれており、様々な魅力的なキャラの心情が掘り下げられた群像劇的なストーリーは特に評価が高い。
隠し要素なども多く、やり応えのある一作として仕上がっており、PS全盛期ということもあって30万本以上のセールスを記録、多くのファンを獲得した。
後述するように裁判沙汰で注目されてしまったのも事実だが、一本のゲームとしてみれば良い出来であることは間違いない。
以上のようなFEシリーズとの類似性から、任天堂側に不正競争防止法違反と著作権侵害を訴えられ、裁判に至る。
その結果、1審では「著作権を侵害しているとまでは言えない」としてエンターブレインが全面勝訴となった(*38)が、任天堂は判決を不服として控訴。
控訴審ではFEシリーズの関連作と宣伝したことについて不正競争防止法違反を一部認められ、エンターブレインは7600万円の賠償命令を下される。
ただし任天堂が主張した著作権の侵害は一審と同じ理由で認められなかった。そのため任天堂はなおも判決を不服として上告したが上告申請は却下された。今回のケースは、無敵と知られる任天堂法務部が完全勝訴できなかった非常に珍しいものである。
上記の裁判の影響により複雑な権利関係の問題が発生しているからなのか、本作のゲームアーカイブスでの配信は絶望視されている。
しかしながら、今回の判例は、「ゼノギアス」と「ゼノサーガ」や「タクティクスオウガ」と「ファイナルファンタジータクティクス」、「悪魔城ドラキュラ」と「Bloodstained: Ritual of the Night」など、スタッフが共通していれば、ある程度作風が似通っても問題ないという前例になっており、そういう意味では意義のある裁判だったと言える。
なお、ネット上では「パクリ問題で裁判した」という部分のみが広まってしまっている感じがあり、未だに「パクリゲー」と揶揄するコメントも見受けられる。しかし上記の通り生みの親とされるメインスタッフが造ったものであり、裁判上でもパクリとしては認められていない。そのため完全なる間違いである。