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【てぃありんぐさーが ゆとなえいゆうせんき】
ジャンル | シミュレーションRPG | ||
対応機種 | プレイステーション | ||
メディア | CD-ROM 1枚 | ||
発売元 | エンターブレイン | ||
開発元 |
ティルナノーグ ビッツラボラトリー |
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発売日 | 2001年5月24日 | ||
定価 | 6,800円 | ||
プレイ人数 | 1人~2人 | ||
判定 | 良作 | ||
ポイント |
『ファイアーエムブレム』生みの親によるSRPG 2部隊制による編成の自由度の高さ 群像劇的なストーリーやキャラ描写も魅力 著作権侵害を巡る裁判沙汰に発展 |
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ティアリングサーガシリーズ ユトナ英雄戦記 / ベルウィックサーガ |
『ファイアーエムブレム』(FE)シリーズの初代ディレクターである加賀昭三氏が、インテリジェントシステムズ退社後にエンターブレインの協力を得て製作したSRPG。略称は『TS』。
様々な部分でFEとの共通点が多く、キャラクターデザインも『トラキア776』を手掛けた広田麻由美氏が担当している。
しかしFEとの類似要素の多さ、FEの関連作であるかのような宣伝方法などが問題視され、最終的に任天堂とエンターブレインの裁判沙汰にまで発展するなど、発表から発売後まで多くの物議を醸した作品でもある。
邪神ガーゼルを打ち滅ぼした英雄カーリュオンと聖女ユトナとその4人の娘によって、リーベリア大陸にリーヴェ、カナン、レダ、サリアの4王国が建国された。
それから時が流れ、邪神ガーゼルを崇拝するガーゼル教国がカナン王国へ侵攻。カナンはリーヴェ王国に援軍を要請するがリーヴェはこれに応じず、カナンはガーゼルと手を組んでリーヴェ王国へと攻め込み、かつてカーリュオンの時代に存在した古のゾーア帝国の再興に加担してしまう。
リーヴェに与するラゼリア公国のグラムド大公によりこのカナンの侵攻は途中で阻止され、グラムドとカナンの王子アーレスの働きによりリーヴェとカナンの間に和平が合意されようとしたが、
そこへ伝説上の存在だったリーヴェの聖竜ミュースが突如襲撃。グラムドとアーレスはミュースの炎の息により焼き尽くされ、一握りの灰にされてしまう。
カナンはこれをリーヴェの策略だと断定し、ついにリーヴェはカナンの軍隊によって滅ぼされる。
グラムドの息子であるラゼリアの公子リュナンは、グラムドの親友だったグラナダ海賊頭領ヴァルスと残されたラゼリア兵達の助けを借りてカナン軍とゾーア軍に応戦するも、ついに港町グラナダの地も陥落。
そしてヴァルスとラゼリアの老騎士オイゲンが身を挺し、リュナンをヴァルスの息子のホームズと共に船で脱出させた。
ヴァルスはグラナダに残り、リュナンと共にグラナダを脱出したオイゲンは重傷を負って二度と武器を握れなくなり、リュナンとホームズに残されたのはラゼリアの新兵や古参の海賊といった僅かな手勢だけだった。
リュナンは父の友人が統治するウエルト王国へ援軍を要請するために、ホームズはここぞとばかりに長らくの夢だったリーベリア各地の冒険のために、それぞれの道を歩むことになる。
そして、物語はリュナンがウエルト王国に降り立ったところから始まる…
+ | ユニットの詳細 |
+ | ユニットの差の詳細 |
『ファイアーエムブレム』生みの親の一人である加賀昭三氏が手がけたSRPGということで、同シリーズとの共通点が多い作品。
隠し要素なども多く、やり応えのある一作として仕上がっており、特にさまざまな勢力のキャラクターの心情が掘り下げられた群像劇的なストーリーは高く評価されている。
後述するように裁判沙汰で注目されてしまったのも事実だが、一本のゲームとしてみれば良い出来であることは間違いない。
以上のようなFEシリーズとの類似性から、任天堂側に不正競争防止法違反と著作権侵害を訴えられ、裁判に至る。
その結果、1審では「著作権を侵害しているとまでは言えない」としてエンターブレインが全面勝訴となった(*75)が、任天堂は判決を不服として控訴。
控訴審ではFEシリーズの関連作と宣伝したことについて不正競争防止法違反を一部認められ、エンターブレインは7600万円の賠償命令を下される。
ただし任天堂が主張した著作権の侵害は一審と同じ理由で認められなかった。そのため任天堂はなおも判決を不服として上告したが上告申請は却下された。今回のケースは
無敵と知られる任天堂法務部が完全勝訴できなかった
非常に珍しいものである。
上記の裁判の影響により複雑な権利関係の問題が発生しているからなのか、望まれている声が多いものの本作のリメイクやゲームアーカイブスでの配信は絶望視されている。
しかしながら、今回の判例は、「ゼノギアス」と「ゼノサーガ」や「タクティクスオウガ」と「ファイナルファンタジータクティクス」、「悪魔城ドラキュラ」と「Bloodstained: Ritual of the Night」など、スタッフが共通していれば、ある程度作風が似通っても問題ないという前例になっており、そういう意味では意義のある裁判だったと言える。
また、著作権法違反で訴えられたことから、ネット上では「パクリゲー」と揶揄する意見も見受けられた。しかし上記の通り著作権法違反の主張は退けられているため、この意見は適当ではない。
さらに、本作のもう一人の主人公であるホームズは、今までのFEにはない破天荒な面が人気を博しており、FEシリーズでものちにヘクトル、アイクといった、ホームズに似た気質の主人公が登場しているなど、ある意味では互いにいい部分を補い合っているという声もある。