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Dead Space - (2022/06/03 (金) 15:15:13) の編集履歴(バックアップ)


Dead Space

【でっどすぺーす】

ジャンル サバイバルホラー
対応機種 プレイステーション3
Xbox 360
Windows XP/Vista
発売元 エレクトロニック・アーツ
開発元 EA Redwood Shores (現:Visceral Games)
発売日 2008年10月14日
判定 良作


概要

一見タンスの隙間のような間の抜けたタイトルだが、実際はハードコアな三人称視点のサバイバルホラー。
biohazard 4?』の影響を強く受けており、緊迫感のある演出や三人称視点を活かしたシステムが好評を得ている。
宇宙採掘艦「USG Ishimura」で起きた事故を調査しに来た主人公はスーパーソルジャーでも伝説の戦士でもない、ただのエンジニア。
とはいえ、往年のSF作品を思わせる頑強なスーツを身にまとい、電動工具でクリーチャーをミンチにしたり、箱を勢いよく踏みつぶす様は頼もしい。

過激な残虐描写により日本ではWiiの『Dead Space: Extraction』とモバイル版『Dead Space』を除き発売されていない。


ストーリー

西暦2508年。地球上の資源が枯渇し、世界各国は貴重な資源を確保するため太陽系外への進出・開拓へと乗り出していった。CEC(Concordance Extraction Corporation)のエンジニアであるアイザック・クラークは巨大惑星採掘船「USG Ishimura」の上級医師官である恋人のニコル・ブレナンからSOSとも取れる映像を受け取った。だが、その後惑星Aegis VIIにて作業中だったUSG Ishimuraから救難信号が送られて以降一切の通信が途絶えてしまった。
CECは「USG Ishimura」の修復作業と調査のため、アイザック、技術士のケンドラ、上級警備員のザックを民間宇宙船であるUSG Kellionで現地に派遣した。
しかし、そこで待ち受けていたものはおびただしい数の死体で満ち溢れた船内と、異形の化け物だった。逃げ出した先でPlasma Cutterを手にしたアイザックは生命体「ネクロモーフ」との死闘と船内修復を行いながらニコルの搜索を行うが…。


特徴・評価点

画面表示

  • 画面にはスコアや体力などの数値表記が無く、その全てが画面内に自然に表示されており、没入感を高めている。
    • 体力や特殊能力ゲージは主人公のスーツ背面(作中ではRIGと呼ばれる)に示されている。
    • 残弾数は武器のモニター部に表示される。
    • メニューや各種コマンド、通信などは「主人公の前面にホログラム表示されている」という体で表示される。これらは実際に立体オブジェクトで描画されており、カメラを動かすとそれに追従する。
  • サポート機能であるLocator(ロケーター)の利便性が高い。
    • 右スティックを押しこむことで目標地点がへの移動通路が表示される機能。ぶっちゃけ、英語を知らなくてもこれさえあれば行き先が解るので非常に便利な機能。
      • 『2』ではメニューのMAP機能が無くなった代わりに最寄りのセーブステーションやストアの方向も解るようになり、より便利になった。
  • また、ローディング画面もほぼ無く、エレベーターなどの移動中に自然に読み込まれる。

部位切断

  • 本作のメインフィーチャー。本作の敵である「ネクロモーフ」を攻撃する際に腕や足などを部位ごとに狙って切断することができる*1
    • 通常こういったFPSやTPSでは敵の弱点が頭部であり、それを撃つ事で大ダメージを与える事ができるが、本作においては必ずしも頭部が弱点ではない。
      • 例として、本作の代表的な敵「Slasher」は鎌のような両腕が弱点であり、切断すると即死する。この事はゲーム内でも語られる。
    • 出現する敵に合わせて腕や脚、触手などを狙って切断することで、状況を効率よく打開することができる。シューティングとしての「狙い撃つ」楽しさが発揮されている。また、中盤から後半にかけて黒い体色の「Super」或いは「Enhanced」の名が付いた、強化型(通称黒化)も登場するため尚更重要になる。
    • 部位を切断された敵は、なおも残った部位を利用して主人公に攻撃を仕掛けてくる。それぞれ異なったモーションが設定されており、生々しさが増している。
      • 前述の「Slasher」で言えば頭部を切断された場合、周りが見えない状況でありながら両腕を振り回しながら迫ってくる。また、高威力の組み付き攻撃は頭部を破壊することで封じれる。
    • また、本作の敵のAIは主人公を殺害するまで追撃してくるよう設計されており、隣の部屋に逃げ込んだくらいではエアダクトを通じて追いかけてくる。「Slasher」なら脚部を破壊し、歩行不能にしない限り逃げ切れない。
    • 船内の死体への攻撃判定についても、放置した死体が怪物に変質することが良くあり、高難度では前もって変質できないように変質後の弱点である手足を破壊するという戦術が重要になってくるためであり、決して無駄な残虐描写のためではない。本作では確実に黒化に変質するので尚更*2

武器や装備

  • 主人公はただのエンジニア。そのため、銃などではなく主に工具を武器として用いる。プライマリとセカンダリ(工具・武器の付加機能)で発射方法など変わるのでそれも含め述べる。
  • 何故工具か?」と言う理由は、上記の通り本作の敵は四肢が弱点であり、胴体撃ちやヘッドショットもやや効果が薄い。また、兵器も「対人用」のに対し工具は「資材用」となっている。つまり「工具は如何に物を破壊するか・兵器は如何に殺傷するか」という差別化がなされている。主人公が上級エンジニアという都合上、工具の扱いに長けているという背景もある。
  • また、敵であるネクロモーフは「死体に寄生した微生物が本体」或いは「人や死体がある影響を受けて変化したもの」の為、頭部や臓器といった生体器官を必要としない、言わば「死体を操っている人形」様なもの。四肢切断が有効なのは行動手段を失うと寄生している微生物が自壊するという性質から。
  • なお、Plasma Cutter・Stasis・Kinesisを除いた全ての装備はSchematic(回路図)を入手し、船内の至るところにあるストアで購入可能になる。敵がドロップしたり落ちていたりするクレジットでストアでは弾薬を購入し、補充することも可能。また、クレジット換金アイテムのConductor(半導体)やPeng*3も存在する。
    • Plasma Cutter (プラズマカッター)
      • 最初に手に入る工具。元は資材などの切断用に使用されるものだが、本作では武器になる。帯状のプラズマビームを放つ代物で、他作品でいうハンドガンのような使い勝手を持ち、乱戦を除けば殆どの状況に対応可能。弾単価が安く補充が容易なのも魅力。セカンダリで攻撃はできないもののボタンを押すたびに撃つ向きが縦横に変化するので、狙う場所に合わせることが大切。またこの武器を使用したある実績・トロフィーもある*4
      • 入手地点のPlasma Cutterの図面には血文字で「CUT OFF THEIR LIMBS」=「奴らの四肢を切れ」というヒントが記されている*5
      • 設定上では200年前から製造されているポピュラーな器具で、医療用にも使用されている。『2』に登場するPlasma Cutterはフラッシュライトと医療用メスを数秒で組み合わせてIsaacが作った物。『2』の登場人物Ellieやモバイル版のVandal等が使用するのは本作と同モデルで、本作のセーブデータがあれば特典武器として使用可能(性能は変わらないが)。
      • 『2』『3』のイメージイラストでもIsaacが所持しているのはこの正規モデル*6
    • Line Gun (ラインガン)
      • 大型資材を切断する際に使われる工具だが、やはりこれも武器になる。攻撃範囲が横長に広いプラズマカッターが貫通するので、複数の敵を一度に攻撃する事も可能。セカンダリは数秒の後に爆発する機雷を発射する。やや扱いづらいが威力は高く、ネクロモーフを纏めて粉砕可能な他、Guardianの様に弱点が密集した敵を瞬殺することも可能。グレネードランチャーのようだが、あくまで工具である。
    • Pulse Rifle (パルスライフル)
      • 本作では唯一の兵器と呼ばれる武器。エネルギー弾を高速連射する、所謂マシンガンポジション。
        ただネクロモーフ相手には対人のように胴体に撃ち込んで無力化するという手段は効果が薄く、本作ではもっぱら腕や脚に銃撃を一点集中砲火して引きちぎる、という運用になる。 物量攻撃と言う関係上、単発の火力は低いものの大抵ヒットバックをとれ、連射力によって瞬間火力も高い。ただ、点攻撃の為使い勝手が良いとはいえない。セカンダリは銃身を高速回転させて全方位射撃。囲まれた場合の緊急回避手段用としては使える。
      • 『2』のセカンダリはグレネードに変更。消費弾数こそ多いが扱い易い範囲攻撃。ただ、やや威力は低め。
    • Flamethrower (フレイムスロワー)
      • 溶接用の火炎放射器。断続的に炎を浴びせるため、総火力は高い。セカンダリは燃料を10発消費して前方に数発の火炎弾を発射。着弾時点に燃焼し続け、他の武器で動きを止めつつ継続ダメージと合わせれば中々の威力を発揮する。
      • 『2』のセカンダリは燃料タンクそのものを前方に射出し、直撃或いは一定時間置いてから爆破。軌道にクセがあるが高威力かつ更に命中箇所が炎上する。
    • Force Gun (フォースガン)
      • 粉塵除去用のキネティック砲。前方広範囲に強力な衝撃波を放つ。威力高めかつ連射も比較的効く上に当たれば強制ダウン、そうでなくてもノックバックさせる為攻防ともに優秀。反面、距離が離れすぎると威力が減衰してしまい、位置や距離によっては雀の涙程度のダメージにしかならない。セカンダリは接触型グレネード。Line Gunのセカンダリ同様複数敵を巻き込むことも出来、中々の威力だが跳ね返ったり爆風に巻き込まれると自爆する危険がある。…れっきとした工具である。
      • ちなみに「Force Gun」は通称で、正式名称は「Handheld Graviton Accelerator」である。訳すなら「携帯型重力子加速装置」というところ。現行科学では理論上の存在でしかない重力子を加速させてゴミを飛ばすのに使うという、とってもハイテックな工具である。
      • 『2』ではFlamethrowerやPulse Rifleとの差別化の為か、セカンダリが遠距離用の凝縮型の指向性キネティック砲に変更…工具である。
    • Ripper (リッパー)
      • 前方で一定時間滞空する丸鋸を発射する工具。キャラが動くと丸鋸も一緒についてくる他、滞空している間は連続してヒットする。射程は短いものの挙動に慣れると少ない弾数で敵を倒せるため、非常にコストパフォーマンスがよい。セカンダリは、この丸鋸を滞空させずに飛ばす。威力が高く貫通しやすいので、遠距離の敵にはこちらを使う。
    • Contact Beam (コンタクトビーム)
      • 瓦礫除去用の高出力ビーム砲。性能も殆ど兵器だがちゃんとした工具である。発射に溜めを要するが未強化でも凄まじい威力を発揮する為、ボス戦や大型敵との相手で役立つ。その反面、弾薬が高価なので乱発は出来ない。セカンダリは工具の砲門そのものを地面に密着させて衝撃波を放つ。威力高めの全方位攻撃だが出が遅く、使い所が難しい。
  • 武器以外にもプレイヤーをサポートする装備がいくつか存在する。
    • Stasis (ステイシス)
      • 武器を構えた状態から使用する。当たった対象物の動きを一定時間遅くする弾を飛ばす。敵に当てて進行を遅くする他、高速で開閉するドアに当てて遅くした後に通過するなど、シナリオ上のギミックを攻略する際に使用する事も多い。
      • RIGにステイシス用のゲージがあり、残量分だけ使用可能。残量は至る所にあるチャージャー(ゲージ全回復装置)*7やアイテムのステイシスパックで回復することができる。シナリオの進行上ステイシスを使わないと進めないギミックの近くには必ずチャージャーが設置されているため、ゲージが足りなくなって詰むことはまず無い。
      • ちなみにやや反則気味だが、ノーコストでゲージ全回復のチートコードもある。
    • Kinesis (キネシス)
      • ステイシスと同じく武器を構えた状態から使用する。離れた場所にあるものを引き寄せたり、掴む事ができる。掴んだものは飛ばす事ができ、敵に当てると微弱ながらダメージを与える事ができるが、実際はギミック攻略の際に使用する事がほとんどである。爆発物であるガスタンクやExploderの左腕(爆発器官)を放てば強力な範囲攻撃を狙える。やや難しいが敵の一部の攻撃を掴んで投げ返すことも可能。
      • 変わった使い方としてForce Gunのグレネードを掴んで中空で爆破させたり、Ripperの鋸を手元に引き寄せることも可能。
    • スーツ
      • エンジニア用の防護服だが意外に耐久力が高く、スーツのレベルが上がると防御力の向上に加えてイベントリ(アイテムスロット数)も上昇、見た目も仰々しくなる。性質上真空空間での活動も可能(詳しくは後述)。
  • これらの装備はPowerNode*8をワークベンチで消費し、強化を行うことが可能。武器だけではなくRIGやモジュール(キネシスの射程強化やライフ量・ステイシス使用回数増加等)の強化も施せる。また、特定のロックされた部屋にPowerNodeを消費して侵入することも可能。
    • ただ、回路は装備品ごとに異なり、強化にも特定の箇所にNodeを埋めないと発揮されない仕組み。好きに回路を埋められるわけではなく迷路のようにスタート地点が決まっており、そこから通じるように配置しないといけない。何の効果もない隙間の部分もある。
    • PowerNodeは専用枠でストックされるため、イベントリは切迫されない。希少品だが購入も可能。ただし高価。
  • また、武器に頼らず直接殴りつけたりスタンプも事も可能。弱点部位に当たればちゃんとダメージも増加するため、状況次第では十分役立つ*9

無重力空間・宇宙空間

  • 宇宙を舞台としているので、無重力空間や宇宙空間に出ることがある。
    • この場合、プカプカと浮遊するわけでは無く、靴の裏に磁石がついているイメージ*10。勢い良くジャンプすると壁にぶつかるまで跳び続ける。壁が無い宇宙空間だとそのまま死んでしまう。ちなみにモバイル版もこの形式の操作になっている。
      • 続編の『2』『3』ではスーツにスラスターが内蔵されており、無重力空間を自由に移動する事ができるようになっている。
    • 宇宙空間では主人公の声と歩行音以外が伝わらないため、いつの間にか背後に敵がいたりして非常に心臓に悪い。
      • また、無酸素空間のみ、残りの酸素量がスーツに表示される。時間経過で減り、0になると勿論ゲームオーバー。長丁場になる場面では、酸素が補給できるポイントや回復アイテムがあるため大抵は心配する事はない。

臨場感

  • 先であげた画面表示についてもそうだが、本作は臨場感に非常に拘って制作されている。
    • 場面場面で、ホラー映画のように的確に恐怖を煽る演出が秀逸。人の気配のしない宇宙船の中ということで、閉所恐怖症ならなおさらだろう。かろうじて発見した生存者を救うことすら出来ず死なせてしまうのもザラ。
    • 意味不明な文字やダイイングメッセージが描かれている場所があるが、これは本シリーズに登場する宗教団体「The Church of Unitology*11」内で使用されている言語。不気味さを駆り立てているだけでなく、ちゃんとそれらにも意味がある。
    • 音響も凝っていて、緊張感を高める音楽だけでなく、頭上の配管を何かが這いずる音、艦内のどこかで物が落ちる音、不気味なヒソヒソ声なども嫌になるくらい作り込まれている。ぜひサラウンドヘッドホンで遊びたい。

賛否両論点

  • 残虐描写
    • 本作の特徴でもあるが、敵の造形が非常に生々しく生理的に嫌悪感が出るレベル。また、登場人物や主人公の死に様も多彩で手が込んでいるが、当然容赦なくグロい。苦手な人にはとことん駄目。
    • そもそもOPムービーから無数の死体や主人公の死亡集を見せられる。
      • 主人公の死に様がやたら豊富なのは「ゲームオーバーになるのが嫌ならとことんグロくしよう」という発想から。文字通り木端微塵になるのも日常茶飯事で豆腐呼ばわりされることもしばしば。
    • 敵の一つ「Lurker」は新生児(臓器交換用のクローン)が基という設定から、日本での発禁の原因の一つとも言われている*12
      • 『2』では同様に新生児型の「Crawler」や、幼児型の「The Pack」といった敵が新たに登場。発禁要素が減るどころか寧ろ増加した*13
  • 受動的な主人公
    • 「主人公アイザック=プレイヤー」ということを意識したためか、キャラクターの性格付けや台詞は用意されておらず、良くも悪くも受動的で無口。しがないリーマンと言う都合もあるが、基本的に指示待ち人間と言うポジション。感情的なリアクションを取るのも終盤のあるシーンのみ。
    • ただ、この方が感情移入しやすい側面もあるため、一概に難点とは言い切れない。
      • 逆に『2』からは(立場が変わったことも大きいが)能動的に行動するキャラに変化。良く喋り良く愚痴る性格に変わっている。ただ相変わらずネクロモーフと付き合わされる為か、結構口汚い。

問題点

  • シナリオ描写
    • 膨大な背景設定が用意されている一方、作中で余り語られないので全体像が見えづらい。孤独感に一役買っている一面はあるのだが…。
      • これらはログ類でフォローされているのだが、直接はあまり触れられない*14
  • 武器の強弱
    • 武器の格差が激しく、圧倒的な性能を誇る武器や単純に弱すぎる武器がある。
    • Pulse Rifleは最序盤で購入できるが、点照準であるこの武器は前述通り部位破壊が重要なシステム上あまり使い勝手が良くない。セカンダリはとんでもない弾薬を消費するため窮地を脱する前に弾切れとなる事も多く、打点が高いため小型敵に当たりにくい。こういった性質から、範囲攻撃の出来る他の武器を併用しなければ厳しい。上述の通り本作唯一の兵器であり、乗組員のログで「銃が効かない」と残してるように、本作における兵器の効力を再現してるとも言える*15
      • 弱武器というよりは、最序盤で購入できる割に扱い辛いという武器。同時期に購入できるLine Gunが扱い易く、そちらを購入した方が圧倒的に安定する。ただし、Pulse Rifleは弾薬効率が非常に高く、強化する事で超大容量かつ雑魚の手足を2,3発で千切る威力になる。連射で敵を足止めしやすいという強みもあり、状況を選び的確に弱点を射抜ける上級者向け。
      • 『2』で性能が見直され、セカンダリではグレネードを射出するようになった。消費は重いが、この武器の性質上弾薬は余りやすい*16ので、ラッシュ対策として強力な攻撃方法を得た。
    • Flamethrowerに至っては断続ダメージの性質から瞬間火力が低く、ヒットストップも無いに等しい。燃費が劣悪な上に真空空間では使用不能、オマケに短射程の五重苦。同じく射程の短いRipperと比べても難点ばかりが目立つ。セカンダリはまだ使える部類だが、どうしても総合性能で他の工具に劣ってしまう。
      • 尚、Flamethrowerの燃料(弾)はヒドラジン。実際の宇宙探査機や人工衛星の姿勢制御用推進剤として使用されている燃料…なのに何故か真空空間で使用不能。
      • こちらも『2』で性能が見直され、火力と足止め効果が大幅に上昇。扱いには慣れが必要だが、上手く焼けばRipper並みの効率で敵を処理でき、大量の敵が迫って来ても延焼効果で足止めが可能と、十分実戦に耐えうる武器に調整された。真空空間での火炎放射も可能。
    • この為、使い勝手の良いPlasma Cutterをはじめとして、迎撃力の高いForce Gun・性質上LurkerやGuardianに有効なLine Gun、弾薬・四肢切断の効率が良いRipperで大体安定してしまう。また、武器は同時に4つまで所持可能、瞬時に持ち替えも可能。この為Plasma Cutter・Force Gun+アルファor持たない*17という装備でほぼ全状況に対応可能。
    • 『2』では新しく武器が追加され、その内のSeeker Rifleは数少ない純粋な兵器である。威力が非常に高く、無改造でもネクロモーフの手足を1発で粉砕、部位破壊を狙わずとも胴撃ち2発で射殺。バランスを崩すほどの武器ではないが、「銃が効かない」とさんざん言われているネクロモーフが通常兵器で簡単に死ぬのは設定と矛盾していないだろうか…。
    • 『2』では新武器も含め武器のバランスが取られたのだが、『3』では一転システムそのものが変更され武器毎の格差も大きく広がってしまった。
      • バランスブレーカーは「Electrocution Module」が筆頭。『2』のJavelin Gunのセカンダリと同じもので相変わらず威力が非常に高く、なんと今回は自分にダメージがない上に装弾数はPlasma Cutterと同等。更に強化パーツで攻撃範囲を広げる事も可能。ラッシュだろうが足元に撃って電撃をばら撒いているだけで勝手に敵が倒れていき、部位破壊が必須な敵以外はこれ一本で殲滅可能である。
        一方で『2』Rivet Gunのセカンダリに近いExplosive Moduleは、威力・燃費・攻撃範囲・持続時間でElectrocution Moduleに劣り、更に自爆の危険もありと、部位破壊が出来ること以外は下位互換となってしまっている*18
      • 逆に不遇な武器の代表は近接武器であるHydraulic Engine系。近接武器とはいえ弾数制(空振りでも弾薬は消費)であり、燃費が非常に悪くPlasma Cutterの半分以下で、その割に威力は高くはない。そもそも敵に接近する事が危険なので非常に扱いにくく、無理して扱うメリットもない武器である。
  • Kinesis関連
    • Kinesisを強化すると射程が伸びるが、最大到達点かオブジェクトに届くまで発動し続ける上、その間は射撃も出来ない為動きが鈍く隙が大きくなってしまう。元々射程が長いので未強化でも進行に影響はないが、うっかり強化してしまうと我慢して使い続けるしか無くなる。*19射出したものが当たっても爆発物を除けば微弱なダメージなので戦闘にはあまり役に立たない。
    • ただ、前述のForce GunセカンダリやRipperと言ったトリッキーな扱い方もあるのでまるっきり役に立たないわけではない。
      • 『2』では射程強化不能になったが十分長く、発動速度も一瞬の為隙が少なくなっている。射出する物によっては多大なダメージを与えることが可能になり、優秀な攻撃手段の一つに変化している。また、『3』では射程強化が復活したが『2』同様隙は少ないためデメリットにならない。
  • チャプター4の隕石破壊
    • 本来自動操縦の迎撃砲を手動で動かすことになるが、これがコツを掴むまでかなり難しく、本作の鬼門とされる。
      コントローラ操作では特に苦戦するうえ、Easy~Impossibleに難易度の差がない模様。
      • 一定時間凌げば良いのだが、結構な物量の上に大型の隕石は着弾すると分散してしまうため、これらも撃ち落とさなくてはならない。砲台もあまり耐久力が高くなく、連続で隕石が当たってガッツリ耐久力が減るなんてことも珍しくない。しかも銃身のオーバーヒートもしやすい*20。更に家庭用版では実績・トロフィーも絡んでいる*21ので、こちらを狙う場合かなり面倒に…。
      • 後半、同様の砲撃戦があるがチャプター4に比べれば物量攻撃は少なく、オーバーヒートも何故かし難いので比較的楽。
      • ちなみにこんなことをさせられる羽目になった理由は『Extraction』で描かれている。
  • クリア特典の少なさ
    • 物語の背景ログを入手、軍用スーツが追加販売、最高難易度「Impossible」が解禁…それ以外に目立ったものはない。
    • 装備・クレジットなどの引き継ぎは可能だが、難易度の変更は不可。初プレイで一周目をクリアした後、上記の「Impossible」に挑むにはニューゲームからやり直しとなる。
    • 軍用スーツの性能は一段階下のスーツに比べ、防御力が5%高いだけ。また、デザインがガラッと変わるうえ元に戻せない。
    • 隠し武器や無限弾といった類の要素がなく、順調にプレイすれば2~3周目で全装備のフル改造を達成し、やる事がなくなってしまう。
  • PC版独自の問題「SecuROM」
    • 本作に限らず、エレクトロニック・アーツ発売のPC版はソニー製不正コピー対策ソフト「SecuROM」がインストールされるが、これが原因となってPCそのものへの不具合が多数報告されている。タチの悪いことにOSのクリーンインストールを行なっても消去不能。北米ではEAがこの問題で3回も集団訴訟沙汰になった程。『2』でも同様の問題を抱えている。
    • EA製品に限らず、「SecuROM」が原因となったトラブルは後を絶たず、実際多くのメーカーが対応に追われている(PC版『Grand Theft Auto IV』もその一つ)。

総評

好みが分かれるであろう残虐描写を除けば、欠点らしい欠点も無く、丁寧な作りでハイレベルにまとまったサバイバルホラーと言える。
日本語版が無いのが難点だが、親切なナビゲーション機能も用意されているおり、翻訳Wikiと言ったサイトを参照すればストーリーも楽しめる。
また、Win版なら「SecuROM」というリスクはあるが、非公式MOD適用による日本語化も可能な為、本作の深いシナリオにより没入しやすくなる。
現在はAmazonやEAのPC用オンライン配信プラットフォームであるOrigin(国内アカウントでも購入可能)などでも安価で購入することが出来る。
サバイバルホラーやアクション、SFものが好きなのであればプレイしてみることをオススメする。


余談

  • 本作のデベロッパーであるVisceral Games*22はカリフォルニア州のレッドウッドにオフィスがあるEA傘下のデベロッパー。
    • 1998年に発売された『Future Cop L.A.P.D.*23』がデビュー作であり、本作で使われているゲームエンジンは、同社が手がけた『The Godfather:The Game』のエンジンを改造したものが使われている。
    • 『Dead Space』シリーズ3部作の完結後は『Army of TWO: The Devil's Cartel』(PS3/360)や『Battlefield: Hardline』(PS4/One/PS3/360/Win)と言った作品を手掛けたが、2017年10月18日にEAの組織改編によりスタジオが閉鎖され、カナダのEAバンクーバーに統合される形で消滅した。
  • エンディングは『2』の発売まで海外では不評だった。元々3部作構想だった為にあのエンディングに落ち着くことになったとか。
    • 逆に『2』から始めてしまうとダイジェストで語られる為、本作のネタバレの大部分が明らかになってしまう。
  • また、全チャプターの頭文字を繋げると…。この言葉遊びは後継作にも引き継がれている。
  • 本作の「USG Ishimura」は欠陥箇所が多数あるが、これは近年の建築関係の事故に対する警鐘・皮肉とのこと。『2』の舞台「Sprawl」も同様のフィーチャーが仕組まれている。
  • 「Twinkle, Twinkle, Little Star*24」が外伝作品を含め必ずといってもいい程シリーズ通して使用されている*25。この為「世界最恐のキラキラ星」と国内ファンの一部から言われる一方、何らかのテーマ・暗喩があるとも見られている。
  • 主人公であるアイザック・クラークの名はSF三大巨匠の内二人、アイザック・アシモフとアーサー・C・クラークに由来。宇宙での未知との戦いというコンセプトは同じくSF三大巨匠のロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」からか*26
    • ちなみにアイザックの両親の名は同じくSF作家のポール・アンダーソン及びオクタヴィア・E・バトラーに由来していると思われる。
    • なお、「USG Ishimura」は作中「ヴェルズ級採掘船」と設定されているが、「宇宙戦争」の著者H・G・ウェルズからの引用の可能性もある。
    • 『2』では「クトゥルフ神話」でお馴染みのハワード・フィリップス・ラヴクラフトから引用したと思われる人物も居る。死体だが。
  • 本作から『2』の間に様々なメディアミックス展開もされているのだが、やはりほとんどが日本未発売。
    • コミック版ではIsaacが嘗て「USG Ishimura」で作業に一時従事していたことから内情を知っており、Nicoleの「Ishimura」配属に猛反発していたが、『2』では逆にNicoleを推薦していたという矛盾が生じている。
    • 2008年に本作の前日談を描いたアニメ作品『Dead Space:Downfall』が北米で公開されている。時系列ではUSG KellionがUSG Ishimuraへドッキングする前の話*27で、イシムラで起きた人類とネクロモーフの戦いを描いている。
    • なお、現在は有料VODでの配信もされており、日本からもSteamを通じての視聴が可能。ただし、当然のことながらローカライズはされていないので注意。また、ゲーム同様に残虐表現もふんだんに登場するので見たい人はそれなりの心構えを忘れずに。
    • 2011年には2作目のアニメ『Dead Space:Aftermath』も公開された。こちらは本作と『2』の間の時系列でゲーム本編では描かれなかった部分の補完と『2』の冒頭直前に繋がる話を描いている。海外ではソフト化もされ、各種VODでも配信されたが日本からの閲覧が可能かは不明。
  • 2014年3月、EAの運営しているPC用オンライン配信プラットフォームのOriginにてゲーム本編の無料配信企画「Originからのプレゼント」第1弾として本作のWin版が提供された。
    • 期間限定のため現在は無料ダウンロード出来ないが、一度DLしておけば期限なしでプレイ可能という太っ腹企画として話題となった。この後も『プラントvs.ゾンビ』『Battlefield 3』本編が無償提供されている。
  • 死体損壊表現についてはクオリティを上げるため、緊急治療室に勤めている開発スタッフの親族にアドバイザーとして参加してもらったり、自動車事故の現場写真資料を使ったことをディレクターが述べている。

その後の展開

  • 2021年7月に本作のリメイク版が発表された。開発を担当するのは『Star Wars: Squadrons』を手掛けたMotive Studioで、『Battlefield』シリーズに採用されているFrostbiteエンジン*28で開発されている。
    • 対応機種はPS5/XSX/Winで、2023年1月27日の発売が予定されている。なお、このリメイク版は日本でも発売される可能性が示唆されている。
      • ちなみに、このリメイク版発売の2ヶ月後には『biohazard 4』リメイクの発売も控えている。
+ オリジナル版とリメイク版の比較動画


続編・派生作品

  • Dead Space: Extraction』(Wii 2009年10月1日発売)
    • シリーズのスピンオフ。CS機作品としてはシリーズで唯一正式な国内版が発売されている。ストーリーは本作の前日譚*29となっている。詳細は作品ページを参照。
    • 後にPS3でHDリメイクされ、DL専用ソフトとして販売された(こちらは日本未発売)。また、『2』のPS3版「Collector's Edition」と「Limited Edition(初回限定版)」にも特典として収録されている*30
  • 『Dead Space: Ignition』(PS3/360 2010年10月12日発売)
    • 日本未発売。シリーズのスピンオフ。『2』の前日譚となるアクションパズル。ストーリーはアメコミ調の静止画とボイスで進められていき、間にパズルが挟まれるスタイルとなっている。
  • 『Dead Space』(iOS/And 2011年1月25日発売)
    • シリーズのスピンオフ。タイトルは本作と同じだが、ストーリーは本作と下記の『2』の間の出来事を描いている。本作や他のシリーズ作品と違い日本語が収録されているが、ローカライズされているのはAndroid版のみ。現在は配信終了しておりプレイ不可。
  • 『Dead Space 2』(PS3/360/Win 2011年1月25日発売)
    • 日本未発売。シリーズナンバリング第2作。ストーリーは本作から3年後、土星の衛星タイタンに位置する巨大宇宙ステーション「Sprawl」を舞台に悪夢が繰り広げられる。
    • ゲーム内容は本作から正統進化したと言えるものとなっており、本作と同様に『2』もユーザーから高い評価を受け全世界で400万本の売り上げを達成したのだが、実は商業的には失敗作だったことがVisceral Games閉鎖時に行われた元スタッフへのインタビューで明らかとなった。
  • 『Dead Space 3』(PS3/360/Win 2013年2月5日発売)
    • 日本未発売。シリーズナンバリング第3作であり、『Dead Space』シリーズ完結編。ストーリーは『2』から3年後、シリーズの主人公であるIsaacが地球政府軍の士官であるRobertと共に、行方不明となった元恋人のEllieを探す為に惑星「Tau Volantis」へ旅に出る*31
    • 『3』ではゲームの雰囲気が大きく変わり、本作が影響を受けた『biohazard 4』と同じカプコンから発売されているTPS『ロスト プラネット』に近い、吹雪が吹き荒れ雪に覆われた極寒の惑星が舞台となっている。
    • また、『BIOHAZARD 5?』のような2人協力プレイが搭載され、過去作と比べるとホラー感が薄れてしまっている。その為、ファンからは「今の『BIOHAZARD』の悪いところまで影響されてどうする*32」と言われてしまった。
      • 本作の発売から約4年後の2017年に開発元のVisceral Gamesが閉鎖され『Dead Space』シリーズは途絶えてしまった為、『3』は名実共にシリーズ最終作となっている*33