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ウルトラマン Fighting Evolution 3 - (2021/12/09 (木) 01:42:55) の編集履歴(バックアップ)


ウルトラマン Fighting Evolution 3

【うるとらまん ふぁいてぃんぐえぼりゅーしょんすりー】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 プレイステーション2
発売元 バンプレスト
開発元 メトロ
発売日 2004年12月2日
定価 7,140円
レーティング CERO:全年齢対象
廉価版 バンプレストベスト:2007年7月19日/2,940円
判定 良作
ポイント キャラ、BGM等の原作再現度の高さはシリーズ随一
ウルトラシリーズファンから高評価
ウルトラマンゲーム・リンク


概要

特撮番組『ウルトラマン』シリーズのキャラクターが登場する3D格闘ゲームの第3作。
システム的には前作『2』の発展型であり、キャラも全員続投している。
また、平成ウルトラシリーズのキャラも本作から登場しており、「この時点で終了していた実写ウルトラマン(TVシリーズ)11作品」は全て網羅された事になる。


システム

基本的には『2』と同じだが、様々な面で改良されている。

  • 通常攻撃は□ボタンに加え△ボタンの二種類を使うようになった。しかし一般的なパンチとキックに分かれた仕様ではない。あえて言えば、弱攻撃と強攻撃*1だろうか。
    • ボタンの増設に伴い全体的な技数が増加。ボタンとレバーの組み合わせにより、各種連携ができる。
  • 必殺技のためのふっ飛ばし攻撃のバリエーションが追加。通常攻撃同様にダッシュ・空中のふっ飛ばしが出来るようになった。
    • 特に空中ふっ飛ばしは隙の少ないものが多く、実用性が格段に増した。
  • ガードの使い分けがなくなり、上下段、ジャンプ攻撃などの全ての打撃を防ぐ事ができるようになった。ただしふらふらゲージが満タンの場合、ふっとばし攻撃をガードできない。
  • 必殺技の使用は、シリーズ共通のふらふらゲージ*2によるもの。攻撃を当てると相手に溜まっていく。
    • 必殺技は各ボタンに割り当てられるようになり、必殺技選択中に相手が攻撃側と同じボタンを押すと、ダメージを軽減、もしくはバリアなどにより防ぐ事ができる。
    • 各必殺技は威力がS~Eにランク分けされており、ランクが高い技ほど必要なふらふらゲージが多い。さらにふらふらゲージの減少速度は残体力が多いほど早いので、高ランクの技をいきなり撃つことはできない。
  • その他にキャラクターによっては咆哮などの身体強化、低威力の光線や炎などの牽制攻撃を撃つことができる。
  • 平成ウルトラマンの代名詞であるタイプチェンジも実装。戦闘中に任意でチェンジ可能であり、ファイトスタイルや必殺技構成もガラリと変わる。
    • 強化形態に変身するモーションはかなり隙が大きく、実用する場合は通常技との連携を考える必要がある。
  • キャラクターや必殺技は特定条件を満たすことによって増えていく。条件は「特定のミッションをクリアする」「バトルモードで出てきた敵怪獣を原作通りの必殺技で倒す」という分かりやすいものから、「原作で敗北したキャラクターで勝利する」「チュートリアルを複数回受けた上で特定ミッションをクリアする」などの普通に考えたら分かりにくいものまで様々。

登場キャラクター

太字は新規参戦キャラ

  • ウルトラヒーロー
    • 初代マン、ゾフィー、セブン、ジャック(新マン)、エース、タロウ、レオ、アストラ
      ティガダイナガイアアグルコスモスジャスティスレジェンド80
  • 怪獣サイド
    • バルタン星人、レッドキング、ゴモラ、ダダ、ゼットン、キングジョー、グドンツインテール、ベムスター、バキシム、エースキラー、エースロボット、タイラント、マグマ星人、妄想ウルトラセブン
      ゴルザ(強化)イーヴィルティガレイキュバスニセウルトラマンダイナガンQ[コードNo.01]グローカービショップ
  • ウルトラモード専用ウルトラヒーロー
    • グリッターティガ
  • 敵専用キャラ
    • シルバーブルーメガタノゾーアガンQ体内ゾーリム
  • 援護攻撃機体
    • ジェットビートル、小型ビートル、ウルトラホーク1号、マットアロー1号、タックアロー、コンドル1号、マッキー1号、マッキー3号、シルバーガル、
      ガッツウイング2号、ガッツイーグル、XIGファイターSS、XIGファイターSG、テックライガー1号、テックライガー2号、
      バルタン星人、ダダ上司、ゼットン星人の円盤、ペダン星人の宇宙船、ガンQ[コードNo.02]の眼球
  • ウルトラモード専用機体
    • ポインター、マットジープ、ガッツウイングEX-J

評価点、及び『2』から強化された点

  • ウルトラマンらしさと格闘の両立
    • 通常技は相変わらず大振り。しかし攻撃種類の増加や逆転要素の導入により前作、前々作のように大雑把なゲーム止まりにはなっておらず、打撃と投げ、ガードアタック、必殺技とその防御、ふらふらゲージの管理など、ここにきて本作なりの独特な駆け引きを確立させた。
      • ただウルトラマンらしさを優先させているため、後述するがキャラバランスはあまりよくない。
    • ステージには様々なものがあるが、ゲーム的にも各ステージの特色がよく出ている。街中で相手をビルの狭間に追い込んで戦闘を優位に進めていったり、足元の岩や建物が動きを制限したりと、本作ならではのプレイ感がある。
    • ふらふらゲージは『2』とほぼ同じシステムだが、更に使いやすくなっている。必殺技の派手さと実用性は、今作でも当然両立。
  • 登場キャラの大幅な追加
    • 『1』は12体、『2』は16体だったのに対し、本作は37体(+敵専用キャラ4体)となっている。
    • 前作まではキャラの少なさが批判の的だったが、主なTVシリーズの主役はほぼ網羅。集合ゲーではまず出なかった80まで追加しており、更にアストラアグルなどのサブウルトラマンまで追加されていることは高く評価された。
    • 敵キャラもヒーローと対になるよう各作品から最低1体は収録されている。
  • ファン好みの採用敵キャラのチョイス
    • 怪獣・宇宙人の大半は原作の各ストーリー内でクライマックスとなったストーリーの登場怪獣や、各ウルトラマンを一度は撃破した強敵を中心にチョイスされており、ファン心を大いに盛り上げる。
    • エースロボットやイーヴィルティガなどのニセヒーローキャラ、妄想ウルトラセブンゾーリムなど「そこを突いてくるか」という多彩なキャラが採用され、充実している。
  • ウルトラモードの増加
    • 前作では3本(うち1本はゲームオリジナル)しかなかったシナリオモードも、20本(うち2本がオリジナル)に増えた。但し1本当たりの内容は簡略化されている。
    • 各エピソードのサブタイトル表示のタイトルバックが、各作品のそれとそっくりに造られている。原作では主題歌と同時に出るものもあるので音楽こそ違うものの、映像は本物と一見見分けがつかないほどのクオリティ。
    • ミッション内でもウルトラ兄弟から力を貰ってのスペースQ発動やグリッターティガの登場など、原作の名シーンが悉く再現されている。
    • 原作での行動と同じプレイをすると高評価がもらえるが、一部のミッションでは前述の通り「エースロボットでエースキラーを倒す」「ルナモードのままジャスティスを倒す」といったif展開に持って行くことができ、成功すると問答無用で最高ランクを獲得できる。
      • ただしウルトラマン最終回を再現した「さらばウルトラマン」のみ、原作通りのプレイに成功するとゾフィーがゼットンと戦うif展開に突入する。この展開は原作の初期プロットと同一である。*3
  • ステージ数が大幅に増加され、23ステージから選択可能。
    • 番組中に出てきたものを意識しているステージも多く造り込みも細かいため、眺めているだけでも楽しい。
    • 残念ながら前作から続投したステージは一部が簡略化されているが、背景の美しさを損ねてはいない。
    • グラフィックの関係などでキャラクターによっては選択できないステージ有り(ツインテールで神戸港など)。
  • 必殺技の増加に伴うカスタムモードの追加
    • 前作では各キャラとも必殺技を2~4種類までしか持っていなかったが、本作は「カスタムモード」によって使う必殺技を選択して各コマンドに割り振る事が出来るようになっており、1人当たりの必殺技数が増えた。
    • 原作で技の多かったキャラでは選べる必殺技も多く、例えばエースには必殺技が11種類もある。ファンならばどれを持っていくかだけでしばらく悩めるだろう。
    • バリア技や反撃技といった、防御技も登場した。これにより駆け引きの要素が追加され、バトルの流れを変えることも可能になった。
      • 必殺技を多くカスタムすれば強いというわけではなく、多く必殺技を持つほど技の威力そのものが下がるという設定となっており戦略的にも意味を持っている。
      • 原作で1回しか使われなかったマイナー技も、全てを網羅している訳ではないが使用可能。勿論これらもきちんと再現されている。一例を挙げるとウルトラセブンはエメリウム光線だけで3種類ある、1回しか使ってないがレオの立体物には欠かせないアイテム・レオヌンチャクがばっちり実装、フォトンエッジとクァンタムストリームを使い分けられるガイア、などなど。
      • 再現度も良好。前作ではある程度必殺技時のアングルが固定されていたが、今作は原作の構図を忠実に再現したアングルに改良されている。
  • 援軍システムの改良
    • 前作にも存在した援軍システム*4が形を変えて続投。任意で発動する特殊行動扱いになり、ここぞという時に使用出来るようになった。さながら原作でのウルトラマンと防衛隊の連携を再現しているようである。
    • こちらも再現度が高い上、レオの援護攻撃で登場するマッキー3号は特攻する*5など芸が細かい。
      • ただし使用は1戦に付き1回だけ、ウルトラヒーローは怪獣にしか使えないなどの制限が存在する。
  • 完成度の高いキャラクター再現
    • 『1』から引き続き円谷プロ監修のもとスーツアクターからモーションキャプチャしたことで、キャラごとのモーションの再現率が非常に高い。
    • 通常攻撃にも所々に劇中の攻撃アクションの再現が見られる。特にウルトラマン系は元ネタが豊富にあるため、どの攻撃がどの戦闘シーンから取り入れられたかを探してみるのも一興。
    • つかみ後に派生できる投げ技は過去作同様に専用デモによる攻撃となっているが、これも各キャラ3種類ずつ用意され、いずれも原作で印象的な投げ技や攻撃技を再現している。一部流用こそあれど、本作で新たに参戦したキャラの多さを考えれば凄まじい作り込みといえる。
      • グラフィックは完成度の高かった『2』のものを更に改良している。動きが更に滑らかになり、ウルトラシリーズ伝統の「重い挙動」がよく再現され、リアルさを増している。
    • 変身シーンや勝利後の退場シーンなどの完成度も高く、特に変身シーンの再現度は素晴らしい。原作動画を流すのではなくゲーム用のポリゴンを用いて再現しており、強いこだわりと努力がうかがえる。
      • ガイアとアグルはV2専用の必殺技をカスタムモードで入れておくとグラフィックや変身シーンもV2に変わる。
    • ウルトラマンや怪獣の声、SEなども劇中と同じものを使用。
    • ジャックとレオは、各ブレスレット入手以前のエピソードを元にしたシナリオでは「ブレスレット無しのグラフィック」に差し替えられている*6
    • レオは劇中における時間制限が3分ではなく「2分40秒*7」なのだが、オプションの時間制限の項目で変更すればきちんとこの時間制限での対戦が可能。ウルトラモードのレオの戦闘においても、この時間制限は再現されている。
      • ウルトラモードのマグマ星人戦では、戦闘前の表示こそレオキックだが、実際に発動すると代わりに必殺技として「きりもみキック*8」を放ち、ギラス兄弟の首を跳ね飛ばす演出が入る。この戦闘は、劇中では必殺技としてのレオキック習得前にあたる時期でもあるため、原作再現の演出も含めて本作らしい細かな拘りが窺える仕様となっている。
    • また細かな点ではあるが、円谷プロとして造形ミスであったと考え意図的に変えたのか、原作と異なる造形表現もある。初代マンの登場デモで胸にカラータイマーが付いていたり*9、『タロウ』『レオ』のシナリオに登場するセブンに耳が付いていたり*10など。
    • さらに細かい部分で言うと、ダイナのソルジェント光線が直撃した時の「光の輪が発生し、収束してダメージが入る」演出もばっちり再現。攻撃部分だけでなく、被弾演出にも拘りが光る。
    • これらの再現度の高さは現在でもシリーズ最高峰との呼び声が高く、ウルトラマンのキャラゲーとしての評価を大きく上げる要因になっている。
  • サウンド面
    • キャラクターにはそれぞれ番組主題歌、挿入歌、劇中BGMのどれかが最低1つは用意されており、対戦中優位に立つと音楽が流れるようになっている。
      • ヒーロー側は主題歌や番組中ヒーローが有利になったときのBGMが流れ、怪獣側は番組中ヒーローが不利になったときのBGMが流れる芸の細かさである。
      • 音楽はゲーム用にアレンジされているが元の雰囲気を崩しておらず、かなり良い再現度。
    • ナレーションの担当は、ウルトラマンティガの声や、『ダイナ』および後の『ウルトラマン列伝』のナレーターとしてシリーズファンになじみ深い真地勇志氏。その他円谷特撮のナレーションも担当したことがあり、ファンには嬉しい起用である。
  • その他
    • 「ビューモード」の追加。任意のキャラクターのグラフィックを好きなステージで見られるモード。グラフィックをタイプチェンジや援護攻撃機体に変えられるほか、曲切り替えをする事もできる。
    • 「チュートリアル」はゾフィーが戦闘方法をタロウに教えるというストーリー仕立てで進行する。この時の専用BGMとして名曲「ウルトラ6兄弟」が使われているなど本当に細かい点までこだわり抜いている。
      • ただの初心者向けのモードかと思いきや、とある必殺技の解放にはこのモードを経由する必要がある。やや回りくどい仕様ではあるが、設定的には違和感のない仕上がりになっている。

問題点

  • 「コスモス」のみかなり扱いにくい仕様なうえ、原作再現の面でも粗が多い。
    • モードチェンジの順番が「ルナ→エクリプス→フューチャー」と、主要形態「コロナモード」が割愛され、代わりに劇場版3作目限定の「フューチャーモード」が採用されている。
      • 「コロナモード」はTV本編・劇場版とも大いに活躍した戦闘特化形態であり、後述の怪獣保護特化の形態「ルナモード」と双璧を成す主要フォルムだったが、本作ではまさかの割愛となった。
      • そして「力のコロナ(太陽を取り囲む光熱)に優しさのルナ(月)を重ねて現れるのが勇気のエクリプス(日食)」という設定で、エクリプスモードはあくまでコロナモードからの派生形態だった。映像作品はこれを一貫して厳守しており、「コロナモードを飛ばすことができない」という点が、「エクリプスになるためだけに一度コロナを経る」という行動の描写で明確に表現されていた*11
      • 本作では、あろうことか原作での戦闘時に最も活躍したコロナモードがカットされ、そればかりか原作で意図して避けられていた「コロナを完全に無視したエクリプスへのチェンジ」をも堂々と採用しており、コスモスファンに大きな違和感を与えた。
    • そして初期状態の「ルナモード」も非常に扱いにくい。
      • ルナモードは原作同様「優しさにより敵を浄化する」のが役割のモードだが、本作では通常攻撃が一切できず、敵の攻撃を「いなす」(相手の攻撃の直前に、相手と同じボタンを押す)という特殊操作で捌くことを繰り返してふらふらゲージを溜め、これが最大まで溜まると自動で発動するふっとばし攻撃に続けて強制フィニッシュ技「フルムーンレクト」を放てる、というきわめて特殊な仕様。
      • 「いなす」行動は「相手が入力したキーと同じキーを押す」という高度な操作が必要だが、敵のモーション開始を見てから入力完遂までに与えられた猶予はわずか10フレームであり、これを何度も成功させるのは非常に難易度が高い。
      • 「ルナモード」は原作でも確かに捌きがメインのファイトスタイルではあったが、攻撃を全く行わないということはなく、原作再現としてもさすがに極端すぎる。
      • 能動的に敵を怯ませることができないため、モードチェンジも一苦労である。ただし、必殺技フルムーンレクトが決まれば、基本的には即勝利となるため、決まった際の爽快感は随一*12
      • 評価点で触れた通り、ウルトラモードの『コスモスVSジャスティス』をルナモードで勝利するとクリア評価が最高ランク確定となる仕様で、開発陣もルナモードの操作難易度を把握はしていたようだ。
    • TV本編での最強形態だった「エクリプスモード」は攻撃力がフューチャーモードより高いが、「徐々にふらふらゲージが増加する」という、謎の仕様を持っている。
      • 「変身すると活動時間1分になる」点の原作再現かもしれないが、原作に同様の時間制限設定があるガイアのスプリーム・ヴァージョンは本作でそのような仕様を持たず、こちらだけ妙に不遇である。
    • 最終形態である「フューチャーモード」までチェンジしてようやく特殊な制約がなくなり、他のウルトラマンと能力が対等になるが、先述の通りこのモードは劇場版限定モードであり、これにならないとまともに闘えないというのはむしろ扱いが悪いと言え、コスモスファンには不満である。
    • また、必殺技も各モード1種類、フューチャーモードも合体技含めて2種類と少ない。コスモスは本来、技の豊富さで有名なエースと互角以上に多彩な技を持っているため、せめて原作でも見せ場の多かったエクリプスブレードぐらいは出せなかったのだろうか。
      • これらの批判もあってか、次回作ではコスモスの操作性は改善され、また扱いも非常に良くなっている。
  • 「80」関連の仕様
    • 80の必殺技は4つと少なめで、ゾフィー、アストラ、アグル、ジャスティスといったサブウルトラマンにも用意されているSクラスの必殺技が、80のみ設定されていない
      • 最強技のサクシウム光線ですらAクラス止まり。
      • ただし、ゲーム内で希少な反撃光線技を持つという個性はある。
      • また最弱技がバックルビームとなっているが、原作でのバックルビームはサクシウム光線が効かない相手に浴びせることが多かった、格上の必殺技のはずである。
    • 挙動も劇中のイメージより遅めで、攻撃用モーションの選択もややおかしい。
      • また必殺技発動への布石となる「ふっ飛ばし攻撃」も、地上では相撲の四股踏み、ダッシュ・投げ・ジャンプ下ではダイナマイトボールと、本編で一部の敵*13にしか使っていない、あまりにマニアックでファンにとっても謎な選定になっている。
    • 特徴的な風切り音「フォッ!」が無く、ボイスも原作でそこまで連発しなかった「シュワ!」に統一されていて違和感がある。
    • サブウルトラマンであるユリアンは、ウルトラモード内で名前が出るのみで参戦していない。ただし、登場回数が極めて少ない上に固有の必殺技も無いので仕方がないとの声も多いが。
    • 80自体がほぼ隠しキャラ扱いであったので、この詰めの甘さになったのではないかと推測されている。
  • 昭和ウルトラマン勢(セブン、ゾフィー、80以外)の登場時に挿入される「空から降ってきて土煙を立てて着地する」というデモ。
    • この演出は原作では平成シリーズ『ダイナ』の途中で登場し、『ガイア』で確立されたもの。当時のファンにとってこの演出は「ガイアの個性」という認識が一般的で、この時点での昭和勢の演出としてはかなり違和感があった*14
  • キャラクターの色の設定が一部原作と食い違っている。
    • ティガの目が真っ黄色(原作では乳白色)であったり、ニセダイナの光線の色がなぜかイーヴィルティガ同様黒になっている(原作では黒ではなく紫色で、本物と同じ明るい色合い)など。
  • バルタン星人の防御技である「分身の術」はバリア技と表記されているが、実際は吸収技であるため「吸収無効」の必殺技*15を防ぐことができない。
    • ゴルザやガンQなど、回復系の吸収技を持っている他のキャラは必殺技の威力が低めに設定されているが、バルタン星人はそうではない。また、分身で攻撃を無効化するのは分かるのだが「吸収」しているかと言われれば怪しいところである。もしかすると単なる設定ミスだろうか?
    • また、上記の技に限らずカスタムモード上では「バリア技」と「吸収技」の表記上の区別がなされておらず、判別しづらい。*16
  • カスタムモード時の必殺技のダメージ表記が実際のダメージ量と食い違っているものがある。
    • ゴモラの「尻尾攻撃連打」、グドンの「残酷ムチラッシュ」、レッドキングの「岩石ラッシュ攻撃」など。それぞれダメージ表記はAだが、実際の威力はダメージSの必殺技並。
    • 特にゴモラの必殺技はエースの「スペースQ」とほぼ同等のダメージ量に設定されている。確かに強敵だったが、いくらなんでもこれは高威力すぎるのでは…
  • バトルモードは、ランダムで出現する敵と5連戦する…と説明書にはあるが、実際は敵の登場順はランダムではない。
    • 基本的にヒーローと怪獣が互い違いに出現する。また5戦目の相手はプレイヤーキャラと因縁のあるキャラと決まっている(初代マンならバルタン星人、キングジョーならセブンなど)。
      • しかもキャラによっては隠し要素の入手条件と連動して敵が出現することもあり、ますます「ランダム」という触れ込みに偽りが付いてしまう。
    • また同モードでは、レジェンド、コスモス、ツインテールは絶対に敵として出現しない。
      • レジェンドはゲームバランスを度外視して制作されており、明らかに強すぎるという問題がある。だがツインテールとコスモスは理由が不明。ツインテールは神戸港を登場ステージにしなければ問題ないし、コスモスはVSモードでは普通にCOMとして選択できるのだが。
  • CPUが使う技は最初から固定のため、絶対に使ってこない技というのも存在する。
    • これに関連して、CPU操作のガイアV2(及びスプリーム・ヴァージョン)・アグルV2とは戦う事ができない。
    • グリッターティガもウルトラモードのシナリオ限定の出演になっている。
      • 特別な姿であるグリッターティガはともかく、ガイアV2・アグルV2は原作後半の基本形態であるため、何かしらの形で戦えるようにしてほしかったところである。
  • 敵CPUが必殺技の防御に成功するかどうかは、実は難易度によって決まっている。故に対CPU戦では、必殺技を複数装備する事の意味は薄い。
  • 主題歌の採否に作品ごとの偏りがある。
    • 『ガイア』のみ主題歌がなぜか未収録*17
      • 次作では収録されたので、制作終了までに曲の使用許可が下りなかったのかもしれない。
    • 『レオ』は前期・後期OP2曲とも収録されているが、『80』は前期のみ。
    • また『ガイア』のピンチのBGMはなぜか唯一ビューモードで選曲することができない。
  • ウルトラモードの一部のミッションが不親切な仕様。
    • ガイアの『決着の日』(ゾーリム戦)が原作と異なりシューティングになっているが(後述)、ガイアV2に変身するムービーが流れた後にいきなり何の説明もなく始まる*18上に、ゾーリムの最初の攻撃がかなり早いため回避しにくい。
      • また、シューティング面で負けるとアグル戦からやり直しになり、ゾーリムが登場する一連のムービーはスキップできずテンポが悪い。

賛否両論点

  • 格闘ゲームとしての完成度は高まったが、ヒーローと怪獣でかなりの性能差がある(当然ながら、ヒーロー・怪獣の中にもキャラ別に性能差がある)。
    • また、高性能な必殺技やバリア(敵の技カスタムにより1/1から1/4の確率で必殺技防御、基本的に格闘系には無効)、援護攻撃機体を持っているキャラクターの方が有利だったりするなど、対戦バランスにやや難がある。
    • この問題は本作のキャラクター再現度の高さ(行動速度、劇中の技の威力、効果など)故に発生していると言え、一概に悪いとは言えない。
  • 前作・前々作から引き続いて原作のアクションを明らかに無視した動きをする怪獣が居る。新規キャラが大量参戦したため目立つキャラが増えた。
    • 特に酷いのは『80』の妄想ウルトラセブン。原作では80の光線をジャンプして回避するなど本物のセブン同様に機敏に動いていたのだが、本作ではまるでゾンビのように両手を伸ばして歩くなど、ゆっくりした動きになっている。
    • ダイナのタイプチェンジは原作では1つの戦闘で1回しか使えず、その選択における緊張感があったが、本作では3形態を自由に行き来できる。
      • もっとも、この制限を再現すると単純にキャラ性能の低下に繋がってしまうためやむを得ないことは理解できるし、カスタムモードで擬似的に再現することもできるため、批判は少ない。
  • ジャックの大技「流星キック」が、前作同様に通常技にとどまっている。
    • 原作では様々な光線技が通用しないバリアを突破するために編み出した必殺技で、『ヒーロー戦記』や『ウルトラマン (PS2)』など他のゲームでも必殺技として扱われている。
    • もっとも、バリアを破っただけでとどめを刺した技ではないので、この扱いでいいという声もある。
    • なお、もう一つのキック技であるウルトラスピンキックは使用できない。こちらは怪獣にとどめを刺したこともある技で使用回数も流星キックよりも多いので、こちらも再現してほしかったという意見も多い。
  • ほとんどの怪獣は基本性能が控えめになっており、ウルトラモードでは個別に強化されることで原作での強さを表現しているが、これに伴う一部の怪獣の扱いがおかしくなっている。
    • ゴモラ*19や、レイキュバス*20はウルトラモードでも強化されない。この2体には前後編に登場したという共通点があることを考えると、本作では後編しか再現されていないからこの扱いになっていると思われる。特にゴモラは前後編両方のイベントが一回の戦いで行われる仕様もあり、高評価狙いでも時間ギリギリの戦いになる。
  • 原作を再現したウルトラモードだが、ゲームとしての都合からか細かい描写が違っている場合がある。
    + 該当例。長いので収納。
    • 『ウルトラ警備隊西へ』でキングジョーにライトンR30爆弾を食らわせた後の展開が違う。
      • 原作では、ウルトラ警備隊がライトンR30爆弾でキングジョーを破壊し、そこから脱出するペダン星人の円盤をセブンがワイドショットで撃墜するという展開だった。
      • 一方、本作では弱体化したキングジョーをセブンで倒して終了となっている。
      • キングジョーの特徴的な倒れ方(気をつけの姿勢から後方に倒れる)は本編でライトンR30爆弾を食らったときと同じに再現されているので、展開自体が違うことに違和感がある*21
    • 『影を継ぐもの』に、原作に登場しないゲオザークが登場する。
      • 原作ではゲオザークはこのエピソードの1話前に倒されている。また「ゲオザー」と名前が間違っている。
      • その代わり、原作でこの話に登場し話を熱く盛り上げた重要な味方の怪獣・ガーディーは登場しない。
    • 『暗黒の支配者』でティガがガタノゾーアに敗北した時、原作では石化した後海底に沈められているが、本作では石像がそのまま残っている。
    • 『移動要塞浮上せず!』は、ただレイキュバスと戦うだけになっている。
      • TV本編はレイキュバスを操る侵略者スヒュームとの戦いが話の中心だったが、スヒュームは触手がデモムービーに登場するのみで対峙せず、原作を知っている人には拍子抜けの内容。
      • ダイナが一度倒されるというクライマックスもあるが、どちらかと言えば盛り上がったのは防衛隊(スーパーGUTS)とスヒュームの駆け引きを巡る人間ドラマだったため、本作では再現しづらかったのかもしれない。
    • 『あざ笑う眼』及びガンQ。
      • ガンQは見た目と名前の強烈さから『ガイア』で最も知名度が高い怪獣の一つであるのは確かで、採用されたのも理解はできる。
        しかし原作でのガンQは「戦国時代の呪いの具現化で、その科学的な不条理さから頭脳派の主人公を知的に苦しめた存在」というかなりニッチな役回りで、戦闘が得意な方ではない。もっと強くて格ゲー栄えする怪獣はいくらでもいるうえ、そもそも『ガイア』ファンに取り立てて人気な方ではない。キャラゲーとはいえ、格ゲーによこす代表としては他作品に比べ疑問の残るチョイスとなっている。
      • 決着のつき方についても、原作では「ガンQに吸い込まれたガイアが、すぐに中からぶち破って撃破する」という流れだが、本作では「条件を満たすとガンQに吸い込まれ、体内にいる本体と対決する」という、原作にはない展開となる。ただ、これに関してはゲーム的な補完アレンジとすれば納得できる範囲で、勝利時にはしっかり原作を再現した演出が挿入されている。
    • 『決着の日』は、『ガイア』本編最大のクライマックスの1つである原作と全く異なる内容。
      • 原作は「首から上だけでガイアの数百倍はあろうかという巨体に航空射撃も新形態ガイアV2の必殺技も一切通用しない中、防衛隊全軍による懸命の支援を受けたガイアがゾーリム体内への侵入に成功し、アグルの光を受け継いだ最強形態スプリーム・ヴァージョンの新必殺技フォトンストリームでようやく撃破する」という展開で、一貫して壮大なスケール感が強調されていた。
      • 一方、本作では「上空のワームホールから顔を出しているゾーリムを、地上で攻撃をよけながら光線技ガイアスラッシュで反撃する」という単調なシューティングゲームが始まり、敵の体力を0にするとその場でスプリーム・ヴァージョンに変身しフォトンストリームでトドメを刺す演出が入る、という、原作のプロットとはかけ離れた内容になっている。ゾーリムの圧倒的な脅威も、そこへ人類・ガイア・アグルの総力を懸けて立ち向かう熱さも全く感じられないもので、違和感が大きい。
    • 『コスモスVSジャスティス』の初戦はコスモス・ルナモードで負けるか、エクリプスモードで勝たないと話が続かない。原作ではエクリプスモードで敗北しているが、本作で再現するとミッション失敗で終わる。
      • その代わり、エクリプスモードで勝利するとその後の戦闘をジャスティスではなくコスモスが行うif展開となる。立場が入れ替わっただけで、進行そのものに大きな違いはないが。
  • 敵専用も含めて登場する怪獣の中に4足歩行のものが1体もいない。
    • 格闘ゲームに向かないため、仕方ない部分もあるのかもしれないが、プレイヤーが操作できるものは手足のある2足歩行のものばかりである(唯一の例外ツインテールも縦長の造形)。
      • 後の『Rebirth』ではやや変化球であるものの4足歩行する改造タイラントが登場した。
  • 必殺技のランク付けに疑問がある。
    • 例えばエースの場合、強力な必殺技であるスペースQ*22がS、通常必殺技のメタリウム光線がA、牽制技のスター光線がE、というところは妥当だが、エースの代名詞とも言えるギロチン技5つは、ウルトラギロチンとギロチンショット*23のみ高ランクで、残り3つ*24はなぜか低ランクに分類されている。
    • ダイナの原作での最強技は一般にミラクルタイプの「レボリウムウェーブ*25」と認識され、原作ではレイキュバスをはじめとした強敵相手に使用していたのだが、本作ではこれがAである一方で、使用頻度の低かったストロングタイプの「ガルネイトボンバー」のみがSになっている。
      • ただし、上記のエースや80の例もそうだが、原作での戦果や実績だけで威力を設定すると必殺技のほとんどが高ランクなもので占められてしまうため、各キャラや技ごとの差別化やゲームバランスを考慮すると仕方ない点ではある。
  • 一部の演出について
    • タロウのストリウム光線は概ね忠実に再現されている。ただし、途中のタロウが七色のシルエットになる部分はゲームでは七色のエフェクトを中途半端にかけた形で再現されており、そこだけは少々見栄えが悪い。
    • ティガ・パワータイプのデラシウム光流も概ね忠実に再現されてはいるが、光球を胸の前に構えた時のSEが何故か抜けている。
    • 同じくティガ・スカイタイプのランバルト光弾は、本作ではレギュラン星人戦などで見られた光線タイプが採用されている。原作再現として間違ってはいないのだが、光線タイプは使用頻度が少なかったこともあり、ここは名前通りの光弾タイプを再現して欲しかったところ。
      • なお、これらの演出や上記問題点の一部は、次回作以降で変更・改善されたものもある。
    • ダイナの変身シーンは、原作の変身演出と登場BGMを組み合わせて忠実に再現しているのだが、変身演出に対してBGMの尺が余りすぎている。登場BGMをきっちり収録した結果ではあるが、登場してからしばらく片腕を上げて棒立ちになるダイナが映るのは中々シュール。
  • タッグモードの仕様
    • パッケージでウリの1つであるかのように書かれているタッグモードだが、実質的におまけに近い要素であった。
    • プレイヤーが2人でないとプレイできず、選択できるキャラはヒーローのみ。コスモスについては最初からエクリプスモードとなる。
    • 敵として出てくるのは怪獣キャラのみ。ラスボスはガタノゾーアで固定なのだが、こいつに対してはレオキックなどの肉弾技を発動させることができない。
      • そのため技のカスタマイズを「バリア・吸収無効」と表記されている必殺技や、タロウのウルトラダイナマイトといった敵と接触する肉弾技のみで構成すると、ラスボスのガタノゾーアを倒せずに詰む
    • レオとアストラのタッグでプレイし、どちらかが倒された場合、ゲーム上単体必殺技であるはずのウルトラダブルフラッシャーが使えなくなる。原作設定を意識したのかもしれないが、ゲームの仕様的にはおかしな制限である。
      • なお、似たようなコスモス・フューチャーモードとジャスティス・クラッシャーモードの合体光線技であるクロスパーフェクションは、このタッグモード専用技である*26が、これなら単体必殺技として使えても良かったのではないだろうか。
    • しかし専用のアクションや合体必殺技を見られるのはこのモードだけであり、気の合うプレイヤーがいるのならば一見の価値はある。

総評

ゲーム性もさることながら、ウルトラマン原作を重視したキャラゲーとしてシリーズ最高傑作と呼ばれている。
映像素材としても優れており、動画サイトでも映像を編集することで「一大バトル絵巻」とでも呼ぶべき優れたMADを作ってしまう人々が続出した程である。

前作から引き継いだ独自のシステムの数々は改良されて継承され、ウルトラマンらしさを重視しつつも、前作までで足りなかった駆け引き要素も独自システムによりしっかりと押さえて昇華させている。ウルトラマンごっこで終わらないのが本作だ。

大幅なボリュームアップも、本作の大きな魅力。
派生作品界で冷遇されていた80を隠しキャラながら登場させた点も大きな話題となった*27

「問題点」として挙がっている内容は、「ゲーム」としては些細な点である。
しかし、こういった細かい粗が気になってしまう人が多いということは、それだけ本作が全体的な再現度のきわめて高い、ディープなファンをも満足させる良質なウルトラマンのキャラゲーであることを如実に表していると言えるだろう。

このように非常に充実した内容であり、ウルトラファンからの評価は極めて高く、ベスト版が発売されるまではプレミア化していたほどであった。

その後

この評価の高さから次回作にも期待が寄せられたのだが、スタッフは「原作再現は本作で行きつくところへ行き着いてしまった」と考え、違った方向を追求し始めた。
その結果、『4』ではなく「転生」と銘打たれた作品『ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth』が生み出され、本作とは一線を画する存在としてファンに投げかけられた。
詳しくは該当項目を参照。