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ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章/時空の章 - (2021/02/06 (土) 16:58:59) の編集履歴(バックアップ)


ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章/時空の章

【ぜるだのでんせつ ふしぎのきのみ だいちのしょう/じくうのしょう】

ジャンル アクションアドベンチャー
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対応機種 ゲームボーイカラー(専用)
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 カプコン
発売日 2001年2月27日
定価 各3,800円
配信 バーチャルコンソール
【3DS】2013年2月27日/各600円
レーティング CERO:A (全年齢対象)
判定 良作
ポイント 異なる二つのバージョンとそれらを繋げるリンクシステム
時間または季節を変化させながら進行
収集要素も豊富
斬新さはあるがゼルダらしい安定の出来
ゼルダの伝説シリーズ関連リンク


概要

夢をみる島(同・DX)』に続くGBゼルダ作品。当時としては初の試みだった任天堂とカプコンの共同開発で制作された。
シリーズで唯一2バージョンが発売された作品だが、一般的なバージョン商法とは異なり、ストーリーのみならずマップやダンジョン,一部アイテムに至るまで、全く異なる内容になっている。

本作の特徴

A・Bボタンに装備品を割り当てるシステムやジャンプアクションがあるなど根幹部分は前作のものを踏襲しているが、以下のような新要素がある。

  • 木の実
    • 「木の実ぶくろ」を使うと自分や周りの物に、「パチンコ」(大地の章)や「豆鉄砲」(時空の章)を使うと遠くの物に使える。火をつけることができる「アチチの実」、遠くに吹き飛ばすことができる「ピューの実」のほか全部で5種類の木の実が存在する。木の実を使った謎解きも多数存在する。
    • 同じ木の実でも、そのまま使うのとパチンコや豆鉄砲で飛ばすのとでは、効果が異なる場合もある。例えば「サッサの実」は自分で使うと一時的に移動速度が上がるが、飛ばして敵に当てると動きが止まる。
  • ガチャのタネ
    • 各地の「やわらかい土」のあるところに植えられる。一定の条件を満たすと実がなり、指輪やルピー、時にはハートのかけらが手に入る。
  • ゆびわ
    • コレクションアイテム。装備するとライフや攻撃力がパワーアップしたり外見が変わったりするなど、役に立つものから一発ネタのものまで様々。最大5個まで持てるので、いろいろつけ替えてみるだけでも楽しい。指輪は通信交換もできる。
  • 3匹の仲間
    • 物語を進めると「リッキー」「ウィウィ」「ムッシュ」という3匹の動物に出会う。これ以降、ここまでにリンクが取った行動に応じて1匹だけをアイテムの笛で呼び出せるようになる。3匹にはそれぞれ得意な地形があり、彼らの助けを借りないと攻略できないところも多い。
    • また仲間に応じてある一定区間の地形も変化する。リッキーなら崖が、ウィウィなら(水流のある)水辺が多い地形となる。
  • リンクシステム
    • ゲームを一旦クリアすると、物語中のあちこちで「あいことば」を聞くことができるようになる。これをもう片方のソフトの特定の場所で入力すると、新たなキャラクターが登場したり特別なアイテムや指輪を入手したりできる。さらにクリア後に表示される「あいことば」をもう片方のソフトのスタート時に入力するとストーリーの内容がクリア後の物語として一部変化し、その章のラスボスを倒した後に真のラスボスが登場する
    • 1本目をクリアし2本目として遊んでいる場合、道中にも「あいことば」を教えてくれる人達が現れ、その「あいことば」を1本目の方で入力すると、追加のミニイベントが遊べるようになる。そのミニイベントをクリアしていくと、2本目でもアイテムがパワーアップする等の特典がある。その際に入力する「あいことば」もたったの5文字であるため、さほど手間を感じさせられる事もない。2本のソフトを「リンク」させて遊ぶという、2本同時発売という要素をうまく活かした意欲的な要素とも言えるだろう。

『夢をみる島』との違い

  • ジャンプ斬りに攻撃判定がなくなった。そのため飛んでいる敵に攻撃が当たらない。
  • ツボを押せるようになった。
    • ノーヒントで平然とダンジョンの仕掛けに組み込まれているため、人によっては詰まりやすい。
      • ブレスレット取得前だと「ウッ!こいつは重いぞッ!」というだけで押せないのもいやらしい。
      • 一応ブレスレット取得時に説明はされている。説明を読み飛ばしてしまったり、過去作のゼルダをプレイして「まさかツボを押せるなんて」と「ゼルダのアタリマエ」が染みついた人ほど盲点となる仕掛けとなっている。
        + ブレスレット取得時の説明文
        夢をみる島 パワーブレスレットを みつけた!
        これで、ツボやいわをが かつげるぞ!
        ふしぎの木の実 パワーブレスレットを手に入れた!
        ボタンを押しながら十ボタンで
        おもいモノを もちあげたり
        おしたりできるぞ!
  • 被ダメージ時のリンクの無敵時間が短くなった。
    • 突進してくる敵に密着していると3~4HIT食らったり、敵を無視して進んでいるといつの間にか瀕死になっている、なんてことも。
  • 爆弾を担ぎ上げている状態でも爆発する。特定の指輪で爆発しないようにはできる。
  • ダンジョンの1部屋が1画面に収まる範囲より広くなった。そのため画面外から敵の攻撃が飛んでくることも。
  • セーブの仕様が変わった。
    • スタートボタンとセレクトボタンの同時押しでセーブ画面を開くようになった。
    • 『夢をみる島』では上記に加えAボタンとBボタンも同時押しする必要があったが、本作では4つのボタンを同時押しするとリセットしてタイトル画面に戻る。
    • 『夢をみる島』を遊んでいたプレイヤーにとっては紛らわしいが、「4つのボタン同時押しでリセット」という仕様は他のゲームボーイ作品にも多く採用されていたため、むしろ『夢をみる島』の方が特殊といえる。

『大地の章』

あらすじ

トライフォースの力でホロドラムという世界に導かれたリンクは、力尽きて倒れたところをディンという踊り子に助けられるが、そこに闇の将軍ゴルゴンがあらわれ、ディンを連れ去ってしまう。
ゼルダ姫の乳母インパの話によると、実はディンはホロドラムの四季を司る「大地の巫女」であり、その力を封印しようとするゴルゴンから狙われていた彼女は、旅芸人の一座に扮してゼルダを訪ねる予定だったのである。
ディンが封印され、四季が乱れたホロドラムからは大地の恵みが奪われていく。リンクはディンを救出し、ホロドラムに四季を取り戻すために立ち上がる。

概要
『大地の章』では「四季のロッド」というアイテムで季節を変えることで地形を変化させ、謎解きをしていく。入手時は冬に変えることしかできないが、ストーリーを進めていくと変えられる季節が増えていく。

  • 春になると吹き上げ花という上に飛ばす花が咲き、夏になると一部の水が干上がり、秋になると落ち葉が積もって穴を塞ぎ、冬になると水面が凍結して足場になるなど、各季節ごとに大きく特徴が変わる。
  • 入手できるアイテムやダンジョンの仕掛け、ボス戦はダイナミックなアクション性を重視しているのが特徴。

『時空の章』

あらすじ

トライフォースの力でラブレンヌという世界に導かれたリンクは、ゼルダ姫の乳母インパに頼まれ「時の巫女」ネールに会う手助けをする。
しかし、ネールに会うやいなやインパに憑りついていた闇の司祭ベランが正体をあらわし、ネールの体を乗っ取ってしまう。
ベランはネールの力を利用して過去の人々から「嘆き」の力を集めようとしており、インパはそれを阻止するためにネールをゼルダのもとに連れて行こうとした結果、ベランに利用されてしまったのだった。
正気に戻ったインパの頼みを聞き、リンクはネールを救出しラブレンヌの時空を元に戻すために立ち上がる。

概要
『時空の章』では「時のたてごと」というアイテムで現在と過去を移動しながら謎解きをしていく(1つのダンジョンの中で現在と過去を行き来することもある)。初めは一方通行しかできないが、ストーリーが進むと現在と過去を自由に行き来できるようになる。

  • 過去と現在ではBGMだけでなく地形も大きく変化する他、過去の行動が現在に何らかの影響を及ぼす場所もある。これを利用した謎解きも非常に多い。
    • 入手できるアイテムやダンジョンの仕掛け、ボス戦はパズル性の高いものが多く、頭を使って攻略することが求められる。

評価点

  • 2バージョンで発売されたが前述の通りストーリーは異なっており、指輪などの収集要素も多いため、単体でも十分に楽しむことができる。また、2つのストーリー(どちらから攻略しても問題ない)をパスワードでリンクさせることで真のエンディングが見られるという構成も、両方をプレイしてみたいという気持ちをうまくかき立てている。
    • 2バージョン構成でありつつ、双方の内容にしっかりとした違いを打ち出して異なる遊び方を掲示し単体でも十分遊べる構成に仕上げており、ただのバージョン違いに終わらせていないことは評価に値する。
  • また2本目は1本目で登場したキャラクターが道中で登場し、更に最後のダンジョンよりも難易度の高いダンジョンが追加される。正しくストーリーが続いているのだということが再認識出来る。
  • 季節または時間を変えながら物語を進めていくというのは今までのゼルダシリーズになかったものである。季節または時間を変化させると、当然画面も変わり、視覚的にも楽しめる。
  • 基本的な部分はいつものゼルダといったところで、やり応えのあるダンジョンが待ち受けている。かといって本作での新要素によりマンネリ感もあまり感じられなくなっている。
  • 実益とやり込みを兼ねた収集要素「ゆびわ」システム
    • 剣で与えるダメージを2倍にする「あかいゆびわ」、数歩あるくごとにハートが回復する「ハートのゆびわ」といった実益のあるものから、リンクの見た目が初代に変わる「しょだいのゆびわ」のような遊び要素のものに至るまで、実に多種多様。特に、モンスターを一定数倒すと手に入る「まものキラーのゆびわ」といった記念系のゆびわは、いわゆる実績やトロフィーを先取りした要素であり、開発したカプコンの先見性の高さが窺えるやり込み要素となっている。

賛否両論点

  • 前作では多くの敵の攻撃力がハート1つ分だったが、今作ではハート半分に弱体化している。その代わりにダメージ時の無敵時間が少なくなっており、連続でダメージを受けやすい。ボスも前作より攻撃力は低めの物が多く、弱点を狙ったりアイテムを使い分けて攻略するという点に重きを置いた傾向がある。
    • 前作はHPの少ない序盤から強いキャラが多く(特にボス)、最初から挫折するプレイヤーも多くいたと思われるので適度な調整と言えるかもしれない。

批判点

  • 上記の評価点の裏返しとなるが、結局のところ、2本を遊んで初めて真のボスが登場するということはすなわち「2本のソフトをプレイしないと完全クリアができない」ということでもあり、リンクシステム自体も「2本のソフトを使った2周目プレイ」と見ることもできる。バージョン商法に対して否定的なスタンスを持つユーザーにとってはやはり抵抗感は否めないだろう。
    • ただ、上述のように単なるバージョン商法の作品と違ってしっかりと2本のソフトそれぞれで内容も差別化されており、両方購入して遊んでも損を感じさせないほどにしっかりと作られている。少なくともソフト2本分に見合うだけの価値はある。
      • 片方のソフトだけクリアすると「あいつは敗れたが計画は進んでいる」と真のボスがいることをにおわせる形で終わる。
  • 「ハートのかけら」の入手条件に運の要素が強いものがある。
    • 一つは先に紹介した「ガチャの実」から入手するもの、もう一つはマップ上に時々あらわれる女の子「メイプル」とのアイテム争奪戦で入手するもので、どちらも一定の条件を満たせば出現するようになるのだが、必ずハートのかけらが出てくるとは限らない。
    • また、この2つについてはゲーム中に一切ヒントがないため、気づかないと最後まですべてのハートのかけらが集まらないこともある。
  • ゲームを進めると『大地の章』ではムッシュの能力、『時空の章』ではウィウィの能力と同じアイテムが手に入るため、2匹が役立たずになってしまう(リッキーはどちらの章でも有用)。
    • ただし上記「3匹の仲間」でも触れたが、一定区域を仲間を呼ばずに通り抜けられるというメリットも生まれる。もっとも突破した後はピューの実で越えられるのでこれも些細なことであるが。
  • 大地の章からの引き継ぎでないと時空の章のマップを全て埋めることが出来ない。
    • そのエリアには洞窟があり、中にはここでしか入手できないゆびわがある。
  • 指輪の小箱バグ。
    • 「指輪の小箱」が合言葉でレベルアップしない場合がある。
    • L-1からL-2にする分には問題ないが、すでにL-2の状態だとL-3にならない。
    • コンプリートを目指す場合、発生してしまったが最後、モヤモヤと虚無感だけが残る。

総評

二つのバージョンによって発売されるという大胆な試みがゼルダシリーズにおいてなされた。
バージョン分けには賛否あるが、内容は全く違うといってもいいレベルであり、両方買っても割高感は感じられない。
根本的なところはいつものゼルダであり、任天堂作らしい万人向けの高水準なゲームである。
かといってマンネリはなく、時間や季節を変えながら進むというのは斬新である。ゼルダファンならばプレイしておくべき一(二)作であろう。


余談

  • 本作はもともと初代『ゼルダの伝説』のリメイク版として開発される予定で、トライフォースにちなんだ「力の章」「勇気の章」「知恵の章」*1の3バージョンで構成されていた(当時の紹介ページ)が、最終的に「力の章」が『大地の章』、「知恵の章」が『時空の章』となった。最終的に2バージョンになったのは、3バージョンだと入力する「あいことば」が長くなってしまうなどの難点があったからだという。
    • 本作にはいくつかその名残があり、『大地の章』のフィールド画面やボスの大半が初代『ゼルダの伝説』から流用されている。また、「勇気の章」に登場する予定だった巫女フロルが「あいことば」を入力する場所で「あいことばの巫女」として登場している。ちなみに、本作に登場した巫女たちは後に『ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』にゲスト出演している。
  • 本作のガノンは魔獣ガノンとしての姿しか登場しないが、実はガノンドロフとしての幻のデザイン案が存在する。『時のオカリナ』のガノンドロフに近いデザインで、使われることが一切なかったのが惜しいところ。
  • 本作はゼルダシリーズの時系列のどこに位置するのかがはっきりしておらず、本作の「リンク」の経歴も作中では一切語られなかった。ただし当時のゲーム雑誌での紹介やリンクの描写から「『神々のトライフォース』と関係があるのでは?」という考察はあった。
    • その後、2011年に発売されたファンブック『ハイラル・ヒストリア』で公式の時系列が判明した。それによると、
      『神々のトライフォース』→『ふしぎの木の実』→『夢をみる島*2
      という流れ。つまりデザインはやや異なるが、本作のリンクと『神々のトライフォース』のリンクは同一人物である。
      …とされてきたが、2017年に発売された『ハイラル百科』にて『神々のトライフォース』→『夢をみる島』→『ふしぎの木の実』
      と神々のトライフォースとは別の時代が舞台であり、リンクも別人という設定に変更された。
      • 本作のゼルダはリンクと初対面のため、その矛盾を解消するための変更と思われる。
  • 「あくまのゆびわ」という指輪を装備すると、「剣の攻撃力半減・被ダメージ2倍」という完全なデメリットだけが発動する。これだけを見ると誰得アイテムのようだが、よくよく考えてみると「指輪1つでプレイヤーが意図的にゲームの難易度を変えられる」という事である。ゼルダシリーズでは「ハートの器(かけら)」の有無で事実上の難易度選択が行えるのがおなじみだが、公式側から更にこのような形で提示されるケースは珍しい。
  • 『夢をみる島』と同じく本作にも他作品からのゲスト出演があり、大地の章には『時のオカリナ』から、時空の章には『ムジュラの仮面』からキャラクターが登場している。また、『夢をみる島』のキャラクターも多数ゲスト出演している。
  • バーチャルコンソールはGBCで動かしていることになっている為、GBAでプレイしている時にのみ入手出来る指輪を入手することが出来ない。
    • どうしても手に入れたい場合はあらかじめ実機で入手したデータを用意し、あいことばで引き継ぎプレイを行うか、ネットで公表されているあいことばを利用するしかない。
  • 「ゼルダ」という任天堂看板ソフトがカプコン開発なのは、「スタッフのゼルダ好きが高じて「うちでゼルダの伝説を作らせてくれ! 駄目だというならゼノレダ(ぜのれだ)の伝説っていうソフト作る!」と押しかけたから」だという。
    • ちなみにカプコンは以前にSFCで『グーフィーとマックス 海賊島の大冒険』という、見た目も操作もゼルダそっくりなアクションゲームを開発したことがある。
    • なお、本作と『ふしぎのぼうし』のディレクターは後に任天堂に移籍し、『スカイウォードソード』や『ブレス オブ ザ ワイルド』などの2010年代主要作品のディレクターを務めている。