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ゼルダの伝説 ふしぎの木の実 大地の章/時空の章
【ぜるだのでんせつ ふしぎのきのみ だいちのしょう/じくうのしょう】
概要
『夢をみる島（同・DX）』に続くGBゼルダ作品。当時としては初の試みだった任天堂とカプコンの共同開発で制作された。
シリーズで唯一2バージョンが発売された作品だが、一般的なバージョン商法とは異なり、ストーリーのみならずマップやダンジョン，一部アイテムに至るまで、どちらも全く異なる内容になっている。
本作の特徴
A・Bボタンに装備品を割り当てるシステムやジャンプアクションがあるなど根幹部分は前作のものを踏襲しているが、以下のような新要素がある。
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木の実:「木の実ぶくろ」を使うと自分や周りのものに、「パチンコ」(大地の章)や「豆鉄砲」(時空の章)を使うと遠くのものに使える。全部で5種類存在し、「アチチの実」は火をつけることができる、「ピューの実」は遠くに吹き飛ばすことができる…という具合に異なる特性を持つ。木の実を使った謎解きも多数存在する。
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同じ木の実でも、そのまま使うのとパチンコや豆鉄砲で飛ばすのとでは、効果が異なる場合もある。例えば「サッサの実」は自分で使うと一時的に移動速度が上がるが、飛ばして敵に当てると動きが止まるなど。
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ガチャのタネ:各地の「やわらかい土」のあるところに植えられる。一定の条件を満たすと実がなり、指輪やルピー、時にはハートのかけらが手に入る。
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ゆびわ:コレクションアイテム。装備するとライフや攻撃力がパワーアップしたり外見が変わったりするなど、役に立つものから一発ネタのものまで様々。最大5個まで持てるので、いろいろつけ替えてみるだけでも楽しい。指輪は通信交換もできる。
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3匹の仲間:物語を進めると「リッキー」「ウィウィ」「ムッシュ」という3匹の動物に出会う。これ以降、ここまでにリンクが取った行動に応じて1匹だけをアイテムの笛で呼び出せるようになる。3匹にはそれぞれ得意な地形があり、彼らの助けを借りないと攻略できないところも多い。
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リンクシステム:ゲームを一旦クリアすると、物語中のあちこちで「あいことば」を聞くことができるようになる。これをもう片方のソフトの特定の場所で入力すると、新たなキャラクターが登場したり特別なアイテムや指輪を入手したりできる。さらにクリア後に表示される「あいことば」をもう片方のソフトのスタート時に入力するとストーリーの内容がクリア後の物語として一部変化し、その章のラスボスを倒した後に真のラスボスが登場する。
1本目をクリアし2本目として遊んでいる場合、道中にも「あいことば」を教えてくれる人達が現れ、その「あいことば」を1本目の方で入力すると、追加のミニイベントが遊べるようになる。そのミニイベントをクリアしていくと、2本目でもアイテムがパワーアップする等の特典がある。その際に入力する「あいことば」もたったの5文字であるため、さほど手間を感じさせられる事もない。2本のソフトを「リンク」させて遊ぶという、2本同時発売という要素をうまく活かした意欲的な要素とも言えるだろう。
『大地の章』
トライフォースの力でホロドラムという世界に導かれたリンクは、力尽きて倒れたところをディンという踊り子に助けられるが、そこに闇の将軍ゴルゴンがあらわれ、ディンを連れ去ってしまう。ゼルダ姫の乳母インパの話によると、実はディンはホロドラムの四季を司る「大地の巫女」であり、その力を封印しようとするゴルゴンから狙われていた彼女は、旅芸人の一座に扮してゼルダを訪ねる予定だったのである。ディンが封印され、四季が乱れたホロドラムからは大地の恵みが奪われていく。リンクはディンを救出し、ホロドラムに四季を取り戻すために立ち上がる。
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『大地の章』では「四季のロッド」というアイテムで季節を変えることで地形を変化させ、謎解きをしていく。入手時は冬に変えることしかできないが、ストーリーを進めていくと変えられる季節が増えていく。
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春になると吹き上げ花という上に飛ばす花が咲き、夏になると一部の水が干上がり、秋になると落ち葉が積もって穴を塞ぎ、冬になると水面が凍結して足場になるなど、各季節ごとに大きく特徴が変わる。
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入手できるアイテムやダンジョンの仕掛け、ボス戦はダイナミックなアクション性を重視しているのが特徴。
『時空の章』
トライフォースの力でラブレンヌという世界に導かれたリンクは、ゼルダ姫の乳母インパに頼まれ「時の巫女」ネールに会う手助けをする。しかし、ネールに会うやいなやインパに憑りついていた闇の司祭ベランが正体をあらわし、ネールの体を乗っ取ってしまう。ベランはネールの力を利用して過去の人々から「嘆き」の力を集めようとしており、インパはそれを阻止するためにネールをゼルダのもとに連れて行こうとして利用されてしまったのだった。正気に戻ったインパの頼みを聞き、リンクはネールを救出しラブレンヌの時空を元に戻すために立ち上がる。
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『時空の章』では「時のたてごと」というアイテムで現在と過去を移動しながら謎解きをしていく(一つのダンジョンの中で現在と過去を行き来することもある)。初めは一方通行しかできないが、ストーリーが進むと現在と過去を自由に行き来できるようになる。
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過去と現在ではBGMだけでなく地形も大きく変化する他、過去の行動が現在に何らかの影響を及ぼす場所もある。これを利用した謎解きも非常に多い。
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入手できるアイテムやダンジョンの仕掛け、ボス戦はパズル性の高いものが多く、頭を使って攻略することが求められる。
評価点と批判点
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2バージョンで発売された作品だが、前述の通りストーリーは全く異なり、指輪などの収集要素も多いため、単体でも十分に楽しむことができる。また、2つのストーリー(どちらから攻略しても問題ない)をパスワードでリンクさせることで真のエンディングが見られるという構成も両方をプレイしてみたいという気持ちをうまくかき立てている。
しかし、それは「2本のソフトをプレイしないと完全クリアができない」ということでもあり、リンクシステム自体も「2本のソフトを使った2周目プレイ」と見ることもできる。もっとも、単なるバージョン商法のゲームとは違ってそれに見合うだけの価値はあり、両方購入して遊んでも損はないだろう。
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「ハートのかけら」の入手条件に運の要素が強いものがある。
一つは先に紹介した「ガチャの実」から入手するもの、もう一つはマップ上に時々あらわれる女の子「メイプル」とのアイテム争奪戦で入手するもので、どちらも一定の条件を満たせば出現するようになるのだが、必ずハートのかけらが出てくるとは限らない。また、この2つについてはゲーム中に一切ヒントがないため、気づかないと最後までハートのかけらが集まらないこともある。
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一応リンクシステムを使った引継ぎ・２周目はボーナスとしてハートが４個で始まるため、かけらを全て集めなくてもハートを限界まで増やせるようにはなっている。
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ゲームを進めると大地ではムッシュが、時空ではウィウィが役立たずになってしまう。何故ならそれらの章で入手するアイテムが仲間の能力をそのまま使えるためである。
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前作からの難易度調整が激しい。
前作から比べると敵からのダメージが軽減されており、前作ではハート1つ分の攻撃力だった敵の多くはハート半分の攻撃力に弱体化した。その代わりにダメージ時の無敵時間が大幅に少なくなり連続でダメージを受けやすくなっており、雑魚キャラ相手でも囲まれて一気に削られてしまうことも。
またボスも前作より攻撃力は低めの物が多く、弱点を狙ったりアイテムを使い分けて攻略するという点に重きを置いた傾向がある。
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前作はHPの少ない序盤から強いキャラが多く（特にボス）、最初から挫折するプレイヤーも多くいたと思われるので適度な調整と言えるかもしれない。
余談
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本作はもともと初代『ゼルダの伝説』のリメイク版として開発される予定で、トライフォースにちなんだ「力の章」「勇気の章」「知恵の章」の3バージョンで構成されていた(当時の紹介ページ)が、最終的に「力の章」が『大地の章』、「知恵の章」が『時空の章』となった。
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本作にはその名残がいくつかあり、「大地の章」ではフィールド画面やボスの大半が初代『ゼルダの伝説』から流用されている。また、「勇気の章」に登場する予定だった巫女フロルは「あいことば」を入力する場所で「あいことばの巫女」として登場している。
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最終的に2バージョンになったのは、3バージョンだと入力する「あいことば」が長くなってしまうなどの難点があったからだという。
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本作のガノンは魔獣ガノンとしての姿しか登場していないが、実はガノンドロフとしての幻のデザイン案が存在している。
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デザインは時のオカリナのガノンドロフに近い。優れたデザインだったので使われることが一切なかったのが惜しいところ。
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本作は長年ゼルダシリーズ全体の流れでどの時系列での話なのかはっきりしておらず、本作のリンク自身の経緯も一切作中で語られていなかった。
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ただし当時のゲーム雑誌での紹介や、リンクの描写から「もしかして神々のトライフォースと関係があるのでは？」というファンの考察はあった。そしてハイラル・ヒストリアで公式の時系列が判明した。
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公式の時系列は、神々のトライフォース→ふしぎの木の実→夢をみる島という流れ。そのためデザインはやや異なるが、本作のリンクと神々のトライフォースのリンクは同一人物である。
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指輪の中に「あくまのゆびわ」というものがある。
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装備すると剣の攻撃力半減&被ダメージ2倍という完全なデメリットだけが発動する。これだけ見るとネタであり誰得アイテムのようにも見えるが、裏を返せば指輪一つでプレイヤーが意図的にゲームの難易度を変えられるという事でもある。
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元々「ハートの器orかけら」の入手有無で事実上の難易度選択が行えた本シリーズだが、公式側から更にこのような形で提示されるケースは珍しい。
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『夢をみる島』と同じく他作品からのゲスト出演があり、大地の章には『時のオカリナ』から、時空の章には『ムジュラの仮面』からキャラクターが登場している。また、『夢をみる島』のキャラクターも多数ゲスト出演している。
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本作を開発したカプコンは以前にSFCで『グーフィーとマックス 海賊島の大冒険』という、見た目も操作もゼルダそっくりなアクションゲームを開発したことがある。
