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ドラゴンスレイヤー英雄伝説 - (2014/01/03 (金) 15:55:15) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンスレイヤー英雄伝説

【どらごんすれいやーえいゆうでんせつ】

※ここでは、初出となる88版を基準に説明します。

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 PC-8801mkIISR以降
メディア 5インチフロッピーディスク 5枚組
発売・開発元 日本ファルコム
発売日 1989年12月10日
定価 8,700円(税別)
プレイ人数 1人
分類 良作
ドラゴンスレイヤーシリーズリンク

発売リスト

(国内のみ、()内は日本ファルコム以外の発売元)
・PC:PC-8801 mkIISR以降、PC-9801 VM/UV以降、FM TOWNS、MSX2/2+、X68000(SPS)、Windows95*1
・家庭用:PCエンジン スーパーCD-ROM2(ハドソン)、スーパーファミコン(エポック社)、メガドライブ(セガ・ファルコム)、プレイステーション(GMF、I・IIカップリング)、セガサターン(同左)
・他、PC88・PC98・MSX2版はレトロゲーム総合配信サイト「プロジェクトEGG」で、PCE-SCD版及びMD版はバーチャルコンソールにて配信されている。

ストーリー

美しい自然に囲まれた世界、イセルハーサ。その中央に位置するファーレーン王国の首都ルディアが突如モンスターに襲われた。兵士たちはそれをどうにか退けたものの、混乱の最中国王アスエルが殺害されてしまっていた。残された王子はわずか6歳。そしてアクダムという男がアスエルの遺言により、幼き王子が16歳の誕生日を迎えるまで摂政として政治を取り仕切ることとなった。それから10年後…世継ぎのセリオス王子は、王位継承をあと2ヵ月後に迎えていた。そんなある日、彼が養育されているエルアスタの町にモンスターが攻めて来た。セリオスはルディアまで助けを求めに行くが、そこで摂政アクダムになぜか捕らえられてしまう。そしてアクダムは語り始めた。モンスターを放ったのも父を殺害したのも全てアクダムの仕業だということを。アクダムは父の遺言だと偽って摂政になったのだ。
セリオスは牢屋に入れられるが、すぐに助け出される。そして彼を助けた男、リュナンと共に父の仇アクダムを追いかけることになった。

概要

ドラゴンスレイヤーシリーズの6作目。これまでの作品はARPGだが(※ジャンル・ストーリー無関係にファルコム在籍時に木屋善夫が製作した一連のものは『ドラゴンスレイヤーシリーズ』の冠を称する)、本作品はコマンドタイプ(ドラクエ式)のRPGで全6章から成るストーリー重視のゲームである。

特徴

  • システム回りは快適で、RPG初心者でも安心して遊べる要素が多い。
  • ドラゴンクエストに代表されるような、典型的な正統派スタイル。舞台はフィールドとダンジョンに分かれている。主人公は仲間達と共に、人々から情報を集め、あるいは戦い、冒険を進める。
  • 開発スタッフが「RPGのお約束」について見直した結果いろいろな独自の要素が見られる。後述するオートバトルやレベルアップ回復がそれである。また、登場人物の台詞にギャグの要素が見られる。「降伏しろ!」と脅す海賊に「いいえ」を繰り返すとだんだん海賊が弱気になっていったり、悪役が「人質は卑怯だと?いつも4人で来る方が卑怯ではないか!」と逆ギレを見せるなどである。これらの要素は現代では定番となっているが、当時は画期的であった。ほとんどの村に神父がいるが、ドラゴンクエストでできるような治療や経験値確認は全部店やメニューで、またセーブも戦闘中以外常時可能なので、大半に「悩みなら遠慮なくおっしゃってください」と言われるだけ。
  • 戦闘システムも正統派のコマンドタイプ。攻撃方法は武器を用いた攻撃と呪文、呪文の種類も回復、攻撃、味方強化、敵弱体化とオーソドックス。
  • 呪文名の後ろに数字がついている。数字が高いほど強力だがMP消費が高めとわかりやすい。
  • 呪文は各地の賢者に教えてもらう。一人が所持可能な呪文は最大7種類(呪文名の後の数字が違えば別の種類とみなされる)で、別の人が同じ呪文を所持してもよい。進行に応じた書き換え、誰にどの呪文を覚えさせるかなどの戦略性が求められる。
  • シンボルエンカウントを採用している。ただし、フィールド上ではモンスターは「あらわしの鈴(笛)」を使うことで、一定時間だけ見えるようになる。使わないとエンカウントした瞬間に見えるのみ。ダンジョン内では、最初から見えている。戦闘を避けたい場合は「かわすテクニック」が要求される。
  • HPが0になると気絶状態となる。戦闘終了後にHP1で復活する。戦闘中に復帰させたいなら呪文「リーフ」*2またはアイテム「ラム酒」「エリクサー」*3で復活可能。全員のHPが0で全滅なのは普通のRPGと一緒。全滅しても戦闘の直前や最後に訪れた町からやり直しが可能。
  • レベルアップすると、HPもMPも全回復する。
  • レベルアップ時に上昇する能力値を自由に振り分けることができる。極端に振るプレイも可能。自動で振り分けることも可能。自動だとバランスよく振られるが、キャラごとに振り分け方に違いがあり自動振り分けを長く続けると個性が出る。
    • もらえるポイントは5~7の間でランダム。手間はかかるが、ロードを駆使すれば全て7にすることも出来る。
  • 全キャラAIによるオート戦闘を設定できる。しかもその内容は、攻撃だけでなく呪文・アイテムの使用等細かく行動を設定できる。
    • このシステムの便利な使い方が資金集め。モンスターがシンボルエンカウントなため、オートにしておくと勝手に戦闘が行われる。やや弱い敵がいる場所で、放っておくといつのまにかお金が溜まっている。もし全滅してもやり直しの仕様により安心。ただしレベルアップ時の能力値をマニュアルで振るなら、レベルアップ時に入力待ちになるので長時間の自動放置は無意味。
  • ストーリーも王子の仇討ちと王道だが、それだけでは終わらない。
+ ...

又、この作品は王道的ファンタジーでありながらSF的要素も散見される。水晶の塔(5章のダンジョン)や光のつるぎ(最強武器)作成イベント等がそうで、もっともOP ナレの冒頭の「遙か昔、いやもしかしたら遠い未来のことかもしれない。」の一文に伏線があったりするのだが、これらは続編(II)でより深く掘り下げられる事になる。 ストーリーもまさに王道的。大筋は父の仇を追い、討ち、新たな敵をも倒し、最後は許婚と結婚…といった勧善懲悪物語である。でありながら、ラスボスの破壊神アグニージャとの戦闘直前、そして倒した直後のエンディングで語られる、彼が世界を滅ぼした真意とは……イセルハーサの自然を守るのが使命であり、自然の恩恵を忘れて文明に溺れ、環境を破壊した為に人間を滅ぼした、という。このIは魔法やモンスターのある中世風の世界であり、文明により毒を撒き散らし…とボスに言われたあたりがピンとこないかもしれないが、IIではよくわかるようになっている。

問題点

  • 良くも悪くもオーソドックスである。それぞれに特徴を持ったドラゴンスレイヤーシリーズの中ではどうしてもインパクトが薄い。
    • 上記と矛盾するがオーソドックスなシステムに見えて独特部分があり、パラメーターの扱い方に気が付かないと苦戦を強いられるかもしれない。一般的に重要視されない「すばやさ」「運の良さ」がキャラクタ強化の重要なウエイトを占めており、逆に攻撃力の重要な要素と思われている「強さ」「かしこさ」はダメージ面においてはさほど重要ではない。とはいえ最大HP/MPの上昇値に直接関わるので低レベルのうちに上げておくといい。逆に上げないと上昇に大きな差が出る*4
  • シンボルエンカウントなのに、専用アイテムを使わない限りフィールド上のモンスターが見えないこと。特にゲームとしてのメリットもなかったようで次回作では初めから見えるようになった。
  • 通常は負けるボス戦があるが*5、方法によっては勝つことができる。そうするとしばらくの間進行が変になる(移植版は勝てないようになっている)。 ネタバレ含む問題点
    + ... 上記は2章のアクダム戦。勝つとローが二人になったりする。

    主人公の許婚はOPムービーにイラストがあって主人公と伝書鳩で手紙のやりとりをする仲だったり、ストーリー中敵にさらわれたりとヒロインらしきところを見せるが、ゲーム中では台詞がほとんどない。仲間にもならない。 しかもPC88版などの場合、主人公ではなく主人公の仲間の男リュナン*6に感謝の言葉を述べてしまう。EDでは主人公と結婚するがこの行動はヒロインとしてどうだろう。移植ではちゃんと主人公に言うようになったが。

    余談

    2章の雑魚敵「アジン」は、こちらを毒・眠り状態にする呪文を使い、更に回復呪文も持つ為、レベルの低いうちはかなりの難敵である。

    • それというのも、バッドステータスの仕様が特殊で、毒状態は受けてから数ターン後に気絶し(戦闘中に治療するか、戦闘終了又は逃げれば回復する)。眠り状態の時に攻撃を受けると必ず会心/痛恨の一撃になる。逆の立場になればチャンスといえるが。

    総評

    日本ファルコムの転換点。ARPGを重視していた作風を大幅に変えた。一方でイースなどの初心者にも入り込みやすいARPGも作っていただけの事はあり、正統派RPGは初めてでありながら、細かな点までの気遣いが見られる。
    さらにストーリーも練られており、初心者だけではなく中級者にも楽しめるものになっている。
    本作はその遊びやすさから定番となり、本作の主人公・セリオスの息子アトラスが主人公となる『ドラゴンスレイヤー英雄伝説II』、その後『新・英雄伝説III「白き魔女」』が発売さる。また、カリスマ・プログラマーだった木屋善夫の退社もあって、白き魔女を境に『ドラゴンスレイヤー』の冠が外され、『英雄伝説シリーズ』として作数を重ねていくことになる。