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マリオカートアドバンス - (2022/02/27 (日) 13:13:19) の編集履歴(バックアップ)


マリオカートアドバンス

【まりおかーとあどばんす】

ジャンル レースゲーム

対応機種 ゲームボーイアドバンス
発売元 任天堂
開発元 インテリジェントシステムズ
発売日 2001年7月21日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 【GBA】1~4人
【3DS/WiiU】1人
セーブデータ 1個(フラッシュメモリ)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版より付加
周辺機器 GBA専用通信ケーブル,モバイルアダプタGB対応
配信 【3DS】アンバサダー・プログラム
【WiiU】バーチャルコンソール
2015年7月25日/702円(税8%込)
判定 良作
ポイント 携帯機初のマリオカート
SFC版を基にしたゲーム内容
一人用「VS」の初導入作
マリオカートなのにマリオ(とワリオ)が冷遇
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

マリオカートシリーズの3作目にして、携帯機において初のシリーズ作品。
ハードの性能的にポリゴンを用いた立体的な描写が難しいため、登場キャラクターは『マリオカート64』を、ゲーム内容は一作目である『スーパーマリオカート』(以下SFC版)を基にした構成になっている。

また、現在は終了しているが、モバイルアダプタGBを使って通信プレイができた。


特徴・評価点

  • 初めてグランプリにランク評価を搭載
    • 本作はグランプリで得たポイントやミスの回数からランクが算出され、高い順に☆☆☆、☆☆、☆、A~Eの8段階でランク付けされる。
      • それまで全コース1位ぐらいしかやりこみ要素がなかったグランプリに新たなやりこみ要素が追加されたことで、一人プレイの指標となった。
      • この評価制システムは後の『マリオカートDS』以降にも導入されている。
  • SFC版も収録した大ボリュームのコース
    • 既存のキノコ・フラワー・スター・スペシャルカップに加えて、新たに「サンダーカップ」が追加されて合計20コースとなった。
      • 今作に限り「サンダーカップ」は通常カップ扱いだが、後の作品では「レトロカップ」の最上位のカップとして現存するようになった。
    • 本作新規の20コースに加え、隠し要素としてSFC版の20コースが収録されており、合計40コースで遊べる。コース数はマリオカート8(DLC込み)に抜かれるまで長きにわたりシリーズ最多を誇った。
      • 後の作品における「レトロカップ」のプロトタイプとも言える。
      • ただし、SFCコースは登場するアイテムやキャラクターの性能が原作と違うため、コース内のギミックなどがGBA向けにアレンジされている。
      • ちなみにGBAコースは3周制、SFCコースは5周制になっている。フリーランでは3周と5周のどちらかを自由に選択できる。
    • このおまけコースは各グランプリをコインを100枚以上取り完走することで出現する。
      • 最終順位や評価は一切関係なく、たとえ最終順位が2位以下だったり評価がEであってもコインを100枚以上集めてさえいればちゃんと出現する安心仕様なので、評価制とは別にコイン集めのみに専念するプレイをして楽しむことができる。
  • 最大4人で通信対戦
    • 携帯機になったことにより、画面を分割せず快適に対戦が出来るようになった。
      • これにより、他人がどのアイテムを持っているかなどがわからなくなり、よりスリルを味わえるようになった。
    • また、今作はマルチカートリッジプレイだけでなく1カートリッジプレイにも対応しているため、対戦する誰かが一本でもソフトを持っていればすぐに対戦が楽しめる。
      • ただし、1カートリッジプレイではバトルモードが遊べない他、キャラクターはヨッシー固定・BGMが変わる・ボイスが流れなくなる・選べるコースはSFC版の4コースのみなどの制約がつく。
  • ミニターボの仕様
    • SFC版と似た仕様ではあるが、エンジン音がやや高くなるだけだったSFC版と異なり、『64』のようにカート後部にエフェクトが出るので発動したことがわかりやすくなった。
    • ドリフト中にカートの向きが固定されず、逆向きにハンドルを入れるとミニターボ発動に必要な「溜め」が中断される。あくまでミニターボはヘアピンカーブを曲がった後の「おまけ」であるという本来の目的を見失わずに実現できている。
  • ショートカットの多さ
    • 今作に収録されているコースは非常にショートカットルートが多い。
      • 「レインボーロード」の外壁がジャンプ台でできていることを利用したショートカットは特に有名。
      • SFCと同様に本作でもダッシュパネルやキノコによる加速を残したままジャンプ台に乗ると大ジャンプする仕様であるため、加速→ジャンプ台に乗る→飛んだ先のジャンプ台に乗る→…といったルートが発見されており、極めれば1分以内に3周可能なほど。一方で「クッパキャッスル」や「クッパ城」ではこの現象は起こらず通常通りジャンプをするのでこの方法は使用不可能。
      • ちなみに、ショートカットの多くは悪路を走行するものが多いので、タイムアタックでは初期加速に特化したキノピオが有利なコースが多い。
  • その他
    • キャラクターごとの性能に個性が付いた。
      • 最も遅いがダート走行とコーナリングに優れたヨッシー、重量級ながらドリフトの性能が高いドンキー、最速で最も重いが非常に曲がりづらい両極端な性能を持つクッパなど。ただし、明らかに優遇・冷遇されているキャラもいる(後述)。
    • コーナー、S字、Y字路などの案内が表示されるようになった。
      • コース表示部分よりも上側に表示されるため邪魔にはならない。
    • 今作からCOMがこうら系のアイテムを使用するようになった。
      • ただし前2作と同じく、アイテムボックスからは入手せず、ランダムで使用する形になっており、使用頻度も低め。
    • この作品のみ、赤甲羅とトゲゾー甲羅をバナナと同じくプレイヤーの後ろに設置することができる。
      • 赤甲羅は近くに通ったライバルを追いかけ、トゲゾー甲羅は1位のライバルが通るまで動かず(他のプレイヤーに当たっても消えない)1位のプレイヤーが通ると追いかける仕様となっている。
    • 本作から「フリーラン」が登場。ひとりで好みのコースをレースできるモードが追加された。
      • 本作では「ccの設定」「周回数」「アイテムやコインの有無」の設定しか出来なかったがそれを差し引いても高い評価を得ている。なお、「周回数」の設定ができるのは本作と『マリオカート ダブルダッシュ!!』(以下DD)のみ。
      • 好評だったためか、本作以降の作品にも『DD』『7』を除いて一人VSモードが標準収録されるようになった。

賛否両論点

  • SFC版準拠であること
    • 『64』や『DD』以降と比べ操作感や視界が異なるため、そちらに慣れていると非常にやりづらい。逆にSFC版に親しんでいる場合はこちらでもとっつきやすい。
      • 特にドリフトが顕著で、「ミニターボをやろうとして逆向きにハンドルを入れてしまい、悪路に突っ込む」ということも少なくない。
    • コインの復活
      • 『64』で廃止されたコインが復活した。SFC版と同様、グランプリでコインがステージ上に落ちており、これを拾うと枚数に応じて加速する。
      • しかし、枚数が少ないとスピードが出ず不利になり、コインが0枚のまま他のカートに接触するとクラッシュする。このことから良く言えばスリリングな、悪く言えばコイン集め・キープにストレスがたまるレース展開になっている。

問題点

  • 全体的にコース全長が短く、1レースの時間が短い。
    • 特にキノコカップのステージなどは、3周するのに1分かからないステージもある。
  • キャラ表示の割に全体的にコースの幅が狭く、コース外の壁や路肩等に突っ込みやすい。
    • 壁や路肩のないビーチ系のコースを除き、今作はキャラクターの表示が大きめの割にコース幅がやや狭めなため、どうしてもコース外の壁や路肩等に突っ込みやすくなっている。
      • 隠し要素であるSFC版のコースで特に顕著。全体がほぼ壁で囲まれているうえにコース幅自体も狭い「クッパキャッスル」等のコースを壁に一切接触せずに走り切ることはこのゲームを相当やり込んでいるプレイヤーでなければ厳しい。
  • キャラクター間の性能差
    • 軽量級は前述のヨッシー・キノピオと後期加速に優れたピーチで三者三様の個性が与えられている。
    • 中量級ではルイージが明らかにマリオの上位互換。速度に関する性能はマリオと同じだが、旋回に関する性能が全キャラ中トップクラスとなっており、よりにもよってマリオの存在意義がほぼ無くなってしまうことに……。
    • また、重量級ではワリオが圧倒的に冷遇されており、コーナリング性能が全キャラ中最低で、ほぼドンキーの下位互換となっている。雪道に強いという長所があるが、それも有用とは言い難い。
  • COMの扱い
    • 1VS1&6の対戦になりやすい。プレイヤーが1位を独走すると2位だけが速くなり、どうしても1VS1になってしまう。
      • なぜこのようになってしまうかというと、今作のCOMは上位一人以外全員最高速度よりも低いスピードを維持するため、プレイヤーが最高速度を維持して走るだけどんどん差が開くからである。VSモードではラップ数を5周にすることにより1周差つけることも可能である。ただしおまけコースの場合、ノコノコビーチのような壁の全くないコースを除きプレイヤーが最高速度を維持して走るのはほぼ不可能であるためこのようなことは起こりにくい。
    • また、ゲームプレイ上では問題ないのだが、COMがプレイヤーにタイムを合わせようとする仕様になっている。
      • 例えば、1周30秒かかるコースで8位のCOMに2周差で勝利しても、8位とは20秒しか離れていないということもよくある。
    • SFC版と同じく各キャラごとにライバルとなるCOMキャラが決まっている。また、その際のキャラごとの扱いの差も大きい。
      • 特に優遇されているのがヨッシー。ライバルキャラの対象になるのはドンキーのみだが、それ以外の全キャラでは必ず3位か4位でスタートするという優遇っぷり。
      • 逆にワリオはルイージのライバルキャラにこそなっているものの、キノピオ・ヨッシー使用時は5位、それ以外の4人の場合は全て7位スタートと、ここでも圧倒的に冷遇されている。
      • ヨッシー使用時とキノピオ使用時に至っては、初期順位が3位を除き全く同じである。
      • SFC版では全てのキャラがそれぞれ特定の1キャラのライバルに設定されていたが、本作ではなぜかピーチとドンキーが2人分のライバルキャラに選ばれており、マリオとキノピオが誰のライバルにも選ばれていない。キノピオの場合はルイージ使用時に初期順位が2位である為表彰式に出る可能性が高いものの、マリオに至っては最高順位がクッパ使用時の3位スタート止まりである。前述の性能面も併せ、マリオのゲームとしてこれはどうなのか。
  • 難易度が他のマリオカートシリーズに比べて非常に高い。
    • 特にグランプリは初めて評価システムを導入しただけあってそれが際立った。普通に優勝するのはそれほど難しくないが、評価システムで☆3つを狙うのは非常に難しい。
      • ☆3つを取る例を挙げてみると、毎レースロケットスタートを決め、ミニターボを多く使用し、コインをたくさんとり、アイテムを使わず持ったままアイテムボックスを通過し、最高速のより速い重量級のキャラを使い、常に1位を取り続けるというものである。
      • 逆に減点される要素は、リトライをする、アカこうらを使用、スピンする、路肩を走行、コース外へ転落、障害物や壁に衝突といったものから、ブレーキ、エンジンブレーキ(アクセルを離しての減速)を使用など、妙に多彩。今作は先述の通り全体的にコース幅がやや狭めなため、どうしてもコース外の壁や路肩等に突っ込みやすく減点されやすい。
      • 特におまけコースが非常に難しく、沼地で滑りやすく障害物の多い「チョコレーとう」や壁に囲まれているうえにコース幅も狭い「クッパキャッスル」等はプレイヤーを苦しめた。
    • もっとも、☆3つをコンプリートして出るおまけ要素は、タイトル画面が夜に変化し、タイトル画面表示前のジングルもそれに合わせて変わるだけなので、評価を気にしなければ何の問題も無く楽しめる。
      • また、コンプリートが必要なのは通常コースのみでありおまけコースを☆3でクリアする必要はない。
  • SFC版の「リトライが有限」というルールが復活。
    • 『64』では4位以内でゴールできないと失格なもののリトライ回数が無限になっていたのだが、本作ではSFC版と同様にリトライが3回までしかできなくなくなり、下手な人には厳しい仕様になってしまった。
    • さらにこのゲームに慣れた上級者の場合は4位以内でゴールするのは余裕であり、評価を気にしてプレイする人の場合も「リトライ=低評価確定」のためリトライせずに初めからやり直す方が良いと、どちらの場合もそもそもリトライ機能自体が必要なくなっている。
    • 結果としてこの「リトライが有限」というルールは、ただこのゲームが下手な人にのみ厳しいだけの不親切なシステムになってしまっている。
      • 次回作『DD』以降は「5位以下だと失格」というルール自体が廃止され、たとえ最下位だろうと次のコースへ進めるようになり改善されている。
  • 多くのコースで「トゲゾーこうら」が機能しない
    • 多数設置されているジャンプ台を飛び越える事が出来ず壁に激突したり、落下してすぐに壊れてしまう。
      • また一部のおまけコースでは急なカーブに対応できず壁に激突する。
  • 『64』にあった「おまけ」(左右反転モード)が削除された。
    • 隠し要素としてSFC版の20コースが収録されている影響なのか、今作では左右反転モードがなくなっている。
      • 次回作『DD』以降は「ミラー」として復活している。
  • 隠し要素のSFC版のコースの一部が原作と比べて味気ない。
    • 原作と異なり、一部コースにあったドッスン等の動く障害物が削除されており、どのコースもサーキット系コースと同様の何の仕掛けもないものになっているため、全体的に単調な内容となってしまっている。あくまでおまけ要素と割り切って楽しむのが良いか。
      • 『DS』以降は過去作のコースであっても原作と同様にギミックが用意されるようになり改善されている。
  • マリオカートはレース中からタイトルに戻った場合選んだカーソル位置を記憶していてくれるのだが、今作は何故かGBAコースかおまけコースかだけは記憶してくれないのでおまけコースからタイトルに戻る場合はおまけコースを選び直す必要がある。

総評

シリーズの良いところを残しつつ、携帯機ならではのアレンジを加えた今作はまさにGBAのレースゲーム史上の名作と言える。
販売本数もミリオン目前の約94万本を記録。

GBA初期作品ならではの難点などもあり今作に対して不満を持つ人もいるが、高い完成度を誇りつつ気軽に楽しめる作品として現在でもファンが多い。
2D作品として地味な印象も持ち合わせている分、『DS』などの後のマリオカートシリーズに影響を与えたところも大きい。


余談

  • セーブデータを初期化する方法が説明書に一切載っていない
    • 「電源を入れてGBモバイルのロゴが表示されるまでB+L+R+STARTボタンを押し続ける」というものであるのだが、この初期化コマンドがなぜか説明書に一切載っていない。
      • そもそも初期化自体が不可能でないだけ全然マシではあるものの、たとえ説明書まで大事に保管していてもこのコマンドの存在を知らなければセーブの初期化が絶対にできないため地味に不便である。