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セブンスドラゴン2020 - (2015/06/19 (金) 23:52:01) の編集履歴(バックアップ)


セブンスドラゴン2020

【せぶんすどらごん にせんにじゅう】

ジャンル RPG
通常版

リミテッドエディション
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 セガ
開発元 イメージエポック
発売日 2011年11月23日
価格 通常版:6,279円
DL版:5,600円
リミテッドエディション:8,820円
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
判定 良作
ポイント 豪華声優が多数出演
RPGとしての出来も良い
セブンスドラゴンシリーズ - 無印 / 2020 / 2020-II


概要

セブンスドラゴン』の続編。ハードは前作から変更されており、PSPでの発売となった。
明記はされていないが前作の前日譚に位置づけられており、セブンスドラゴンの時間軸のはるか前に起きた、現代世界におけるドラゴンとの戦いが描かれる。

ストーリー

時は現代、2020年。
魔獣「マモノ」を討伐するために結成された特務機関「ムラクモ」に招集を受けた一般人のあなた(プレイヤー)は、そのS級の才能を見出されムラクモの候補生としてマモノ討伐の戦いに参加することになった。
初任務としてある建物内部に巣食うマモノの討伐を命じられ、順調に雑魚マモノを討伐していくムラクモ候補生たち。しかしその最奥に待ち受けていたマモノ----「ドラゴン」に、主人公らムラクモ候補生は敗北してしまう。
それと時を同じくして、地球の全域に彼らを倒したのと同じ「ドラゴン」が舞い降りる。
人類の科学とは桁外れの力を持つドラゴンたちは瞬く間に地球全土を蹂躙し、人類はあっけなく生態系の頂点から転がり落ちた。

プレイヤーら、生き残りのムラクモ候補生が目を覚ました時、すでに人類は絶望的な状況にあった。
日本政府はマモノ討伐のエキスパートであるムラクモ機関に希望を託し、ムラクモ機関は生き残った自衛隊と協力して日本の国土を取り戻していくことを決断。
「ムラクモ13班」として再編成されたプレイヤーらは、人類の生き残りをかけてドラゴンとの戦いに身を投じる事となる。

ゲームシステム

キャラクターメイキング

  • 職業とボイス、外見を選択することでキャラを制作することができる。
    • 前作と違い職業ごとに決められたキャラの外見が用意されているわけではなく、外見・職業を好きなように組み合わせることが可能。
    • パーティ人数が減った影響か、前作の職業がいくつか統合されて一つの職業になっており各職業でできることが多くなっている。
+ 各職業について
  • サムライ
    • 前作におけるファイター+サムライ。典型的な前衛キャラクターで、刀を使って戦う。
    • 前作と同じく構えを切り替えることで様々な技を扱うことができ、全体攻撃能力に優れた「抜刀」、単体攻撃能力と属性攻撃に長ける「居合」の2つのモードが特徴。
    • 前作ではその脆さが弱点だったが、ファイターとの統合の影響か脆さは解消された。
      • 奥義は「乱れ散々桜」。強力な単体攻撃。
  • トリックスター
    • 前作におけるローグ。スピードに長ける他ゲーム中で唯一2つの武器を扱うことができ、ナイフを使うか銃を使うかで使用可能なスキルが変化する。
    • ナイフは毒や麻痺などの状態異常を付与するスキルが多く、銃は直接攻撃力に長ける。火力と機動力に優れる反面装甲は脆い。
      • 奥義は「狂咲きバッドヘヴン」。ダメージこそ伸び悩むが、相手にランダムで多数の状態異常を同時に付与する。
  • デストロイヤー
    • 前作におけるサムライ(無手マスタリー特化型)。拳を使って戦うパワーファイターで、速度に劣るが攻防両面共に強力。
    • 攻撃する度に一定確率で相手に「D深度」という特殊な状態異常を付与することができ、D深度は攻撃を続けることで深まっていく。D深度を付与された相手に対しては、強力な攻撃スキルを発動することが可能。
    • 「迎撃スタンス」を始めとするカウンター系のスキルも特徴。更に、「○○也」系カウンターを使えば相手の特定の攻撃を無効にしつつダメージを与えることも可能。
      • 奥義は「スカイハイメテオ」。全体に特大のダメージを与え、D深度に応じて威力が増減する。
  • サイキック
    • 前作におけるメイジ+ヒーラー。超能力で自然現象を操る属性攻撃のエキスパート。
    • とにかく攻撃魔法の火力が高く、相手の弱点属性を的確に突いていくことでコンスタントに火力を叩き出せる。しかしこの手のゲームのお約束で耐久力は高くない。
    • 回復魔法の他、味方に自動反撃能力を付与する「○○ボディ」系魔法など、サポート能力も高い。
      • 奥義は「黒のインヴェイジョン」。相手単体に大ダメージを与え、全能力を低下させる。
  • ハッカー
    • 前作におけるプリンセス。電子攻撃のスペシャリスト。
    • 強化や弱体を担当する縁の下の力持ちタイプの職業。また敵をハッキングすることで制御下に置くことができ、同士討ちや弱体化をさせることができる。
      • 奥義は「禁断の秘技」。使用ターン中、あらゆる攻撃・状態異常からプレイヤーのパーティを守る。
  • 敵と戦うごとにキャラクターは経験値とは別に「スキルポイント(SP)」を獲得する。スキルポイントを消費することで、職業に応じたスキルを修得・強化することができる。
    • キャラ固有のスキルとは別に「パーティスキル」と呼ばれるパーティ全員で共有するスキルが存在。パーティスキルはフィールド上でしか使えず回数制限があるが、MPを消費せずアイテムのように使うことができる。
    • キャラクターはLvが30以上になった時、職業を変更できる「転身」が可能になる。転身するとレベルは半分になるが、転身前の職業に応じたパラメータボーナスを得ることができる。
      • このパラメータボーナスは蓄積するので、転身を続ければ時間はかかるが特定のパラメータを上げ続ける事ができる。

ゲーム進行

  • 本作はチャプター式のRPGとなっており、基本的には一本道。各チャプターの目的を達成することでマップ上に新たなダンジョンが出現し、話が進む。
    • このストーリー進行の脇で行えるサブイベントとして「都庁改修」「クエスト」「デートイベント」が存在する。
  • 「都庁改修」
    • ストーリー序盤でドラゴンの手から取り戻され、生き残った人類の拠点となる都庁。都庁はドラゴンを倒して手に入る資材「Dz」を消費して改修し、様々な機能を持たせることができる。
    • 都庁改修は取得スキルやショップの品揃えに関わる他、改修することで都庁の各階の住人からお礼としてアイテム・スキルをゲット出来る。
  • 「クエスト」
    • RPGのお約束とも言えるサブイベント。生き残った市民などの訴えを聞き、それを解決することで様々な報酬が手に入る。
  • 「デートイベント」
    • ゲーム中で特定NPCの好感度を上げアドレスを手に入れることで、NPCやパーティメンバーと都庁でデートを行うことができる。

戦闘

  • 戦闘は前作と殆ど変わらないRPGとしては一般的なもの。攻撃・防御・スキル・アイテムが使用できる。
    • パーティ人数が減少したため、前衛・後衛の概念は消滅した。
    • 前作ではストック式だった1ターンのみのパワーアップコマンド「エグゾースト」は相手にダメージを与えることでゲージを稼ぎ、満タンにすることで使用可能になる『ファイナルファンタジーVII』のリミットゲージに似た扱いになった。
    • エグゾーストを使用すると素早さに関係なくエグゾーストの使用キャラがターン最初に行動でき、攻撃力・防御力などのスペックがアップする。
      • また、前作同様にエグゾースト中しか使用できない「奥義」が存在する。使用条件こそ厳しいものの、どの奥義も戦況をひっくり返しうる強力な効果を持つ。

ダンジョン

  • 前作で多くのプレイヤーから批判されたフロワロは演出・設定のみの存在となり、フロワロシード*1は低確率でエンカウントするレアエネミー的な存在になった。
    • ダンジョンでは通常はランダムエンカウントだが、フロアに徘徊する中ボス「ドラゴン」のみシンボルエンカウントという前作の形式を引き継いでいる。
    • ダンジョンには逃げ遅れた一般人が配置されており、救出して都庁の住民に加えることが可能。一定数を救出すると、都庁でアイテムを獲得できる。

ドラゴン

  • 前作から引き続き登場する、このゲームの特徴的な存在。
    • 前述のとおりドラゴンのみシンボルエンカウントの形式をとっており、他の敵と違い回避することが可能。『世界樹の迷宮』における『FOE』と似たようなシステムになっている。
    • どのドラゴンも基本的に強敵であり、全編にわたってプレイヤーを苦しめる。
    • 例に挙げたFOE同様、戦闘中に近くにいるとドラゴンは戦いに割り込んで乱入してくる。乱入はドラゴン戦でも起こり、場所によってはドラゴン数体を相手にせねばならないことも…。
      • 全てのドラゴンが1ターンに2回行動でき、破壊力・防御力も絶大。そのため現在のパーティのレベルに応じて「無視するか、戦いを挑むか」の判断が求められる。
      • しかし、シンボルエンカウント形式なので、後ろを取ればプレイヤーの意思で奇襲を仕掛けられる。

初音ミク2020

  • あるクエストで初音ミクを都庁の住民に加えることができ、ミクを救った報酬として劇中の音楽を「DIVAモード」に変更することができる。
    • DIVAモードでは、劇中の楽曲すべてがミクの歌うアレンジバージョンに変化する。一部の曲にはボーカルがつくことも。
    • PVやオープニングムービーでの扱いは大きく発売前もその存在を大きくピックアップされていたが、扱い的には他のモブと同程度のものであり、ストーリーに大きく関連することはない。

評価点

親切さ

  • 前作では徹底したレトロゲーライクな不親切さが一部のプレイヤーの不満を生んだが、今作はそれを意識してか親切設計が目立つ。
    • 序盤に配されたチュートリアルステージ(チャプター0)を始め、触れるだけで体力の回復するセーブポイント、フロワロの廃止、画面上に表示されるランダムエンカウントの危険を示すレーダー、確認可能なクエストの進行状況・ヒントなど、UIがかなり改善されており制作側の心配りが嬉しい。
    • パーティスキルも好評で、いちいちメニューを開かずにスキルメニューを開くだけでエンカウントを防止したり、体力を回復したりすることができる。
      • 特に好評だったのが、強制的に敵とその場でエンカウントできる「キラーズアトラクト」。これをダンジョンで連発するだけで敵と何度でも*2、エンカウントのインターバルを待たずに戦うことができ、後述するオートスキルと相まってレベル上げの負担がかなり軽減された。

練られた職業のバランス

  • 前作から引き継がれる、職業間の見事なバランスは健在。どの職にもその職にしかない特徴があり、パーティ編成の自由度は高い。
    • 5種類しか存在しない反面、個々の汎用性が高く、職業によっては同職種3人という極端な編成でも十分クリアできるようになっている*3
    • 前作のように、フロワロを避けられる職をわざわざ選ぶ必要もなくなった。

戦闘

  • 戦闘も前作からのUI改善と、各職のオートスキルの登場でより爽快感が増している。
    • オートスキルは一定確率で戦闘中に発動するスキルなのだが、サムライの「修羅の貫付け」やデストロイヤーの「先制デストロイ」など先手を打てるオートスキルが非常に便利。発動すると開幕から戦いは有利に進められ、レベルによっては雑魚は即死することもある。このために経験値稼ぎが非常に楽になった。
      • 戦闘に突入する前に雑魚敵がまとめて撃破される様はスカッとする。
  • 前作に引き続き登場する、特定の条件下でプレイヤーだけの追加ターンが行える各職のリアクトスキルも好評。職業によっては「ずっと俺のターン!」を現実のものにすることも可能。さすがにリアクト回数にも限度があるので本当に「ずっと」とは行かないが。
    • 他、相手の弱点属性を突くと「GOOD!」と表示され、弱点を覚えやすい。
  • ドラゴンの存在があるため戦いには適度な緊張感がある。前作から引き続きドラゴンの乱入システムも健在なので、特に装備の整わない序盤においては前作同様、ドラゴンの存在は大きな恐怖となる。
    • 装備が整ってくると経験値・資金稼ぎの狩りの対象となってしまうのも前作や「世界樹」と同様。それでも強力な一撃はこちらをヒヤヒヤさせてくれる。
  • ボリュームにも不足はなく、クリア後は雑魚敵からボスまでドラゴン尽くしの裏ダンジョン「幻影首都」が登場。プレイヤーにドラゴンの恐怖を再度刻んでくれる。
    • 特に最深部に待ち構えるラスボスは強い。手応えは十分すぎるほどある。

豪華声優陣

  • 近年の作品としては異様に出演声優の顔ぶれが豪華。ベテランから若手まで実力派が揃っており、キャラメイクの面白さを引き立たせている。台詞も職業別に存在する。
    • 同じ作品で共演した声優も多く、その気になれば「ガンダムパーティ」「テイルズパーティ?」「ギアスパーティ」「とあるパーティ」「けいおんパーティ」などを作ることも可能。そのキャラになりきって遊ぶのも一興か。
      • この手の作品のお約束として声優ネタもきっちり完備。随所に隠されたネタを探すのも面白い。
      • ただし、各声優の演技傾向(女王様、アホの子、無口、元気っ子など)はどの職業でも同じであり、バリエーションは意外に少なかったりする。
  • 他、前作とのつながりを示すシナリオや楽曲も総じて好評である。
    • 音楽は、前作から引き続き古代祐三が担当。ドラゴンとの戦闘時の音楽は前作プレイヤーならお馴染みの、前作におけるドラゴンとの戦闘曲をアレンジしたものになっており、ニヤリとできることうけ合いである。

不満・賛否両論点

自由度・ボリュームの低下

  • 前作は広大なフィールドに複数のダンジョンが点在しており、中盤以降に自分の好きな順番で攻略することができた。隠しアイテムやクエストなども豊富で自由度の高い作りになっていた。
    • それに対して今作はチャプタークリア式のいわゆる一本道RPGとなり、隠しアイテムやイベント・クエストの総数も減少してしまっている。クリア後の楽しみも「幻影首都」だけであり、広大なフィールドを冒険しクエスト・イベントをクリアしていく楽しみのあった前作と比べるとボリュームで負けていることは否めない。
    • 特に各職業の最強武器は、前作では豊富なサブイベント・クエストの報酬であったり隠れた場所に配置されていたのに対し、今作ではただ幻影首都の各階層のボスを撃破することで入手できる撃破報酬的な扱いになっている。味気なくなった事を惜しむ声は少なくなかった。

シナリオ

  • 超展開が少なくなり、オーソドックスに。ただし鬱展開が多くなった。
    • 「全てのドラゴンを狩り尽くす」というのが(従来と同じく)今作の主なテーマだが、同時として「人間が心の奥底に隠し持つエゴや汚い側面」を繊密に描写している。*4このドロドロさを「それがいい」と評価する人もいれば、「ここまでの描写はいらない」と頑に拒む人もいれば様々。
    • 前述したとおり、前作とのつながりを示す展開はファンには好評だった。

キャラクターグラフィックの不足

  • 前作と比べてキャラの容姿が全職共通となったぶん、選べる姿のパターンが大幅に減少している(28→10種類)。
    • 色違いでもいいからもう少し増やして欲しかったという声は多く、次回作では3色のカラーを選択できるようになった。

戦闘

  • 戦闘アニメが3D化したことでややテンポが悪くなっている。また各種スキルの演出はカットできず、特に奥義の発動時はイライラすることも。
    • 魅力ある声優のボイスも使い回しこそ少ないが、各職業のスキルに合わせて1パターンで固定されているため、さすがに何回も聴いていると飽きる。UMDの容量を考えるとある程度の妥協は仕方ないことではあるのだが…。
  • 前衛・後衛の概念消滅やパーティ数が減ったことで、メンバーが死亡して欠けた時の立て直しが難しくなっている。
    • 特に後半になるほどドラゴンの攻撃力が急激に上昇していくため、他のRPGでもありがちなことだが「仲間が死んだ!>蘇生アイテムで回復>蘇生した仲間or別の仲間が死んだ!>蘇生アイテムで回復>また別の仲間が~」という悪循環に陥ってそのままズルズルと敗北してしまうことも…。
  • トリックスターの奥義「狂咲きバッドヘヴン」が壊れ性能。
    • 多重状態異常がラスボスだろうが隠しボスだろうが効いてしまう*5。狂咲きバッドヘヴンの状態異常には麻痺や睡眠といった行動を抑制するものも含まれるので、エグゾーストゲージの増加量を増やすアクセサリを装備したトリックスターがアサシンズリアクト*6とラッシュショット*7を組み合わせると状態異常で相手の動きを止めつつエグゾーストゲージを貯めることが可能になってしまい、奥義を乱発できるようになってしまう。
      • もちろんトリックスターが一人では安定感に欠けるため確実なハメ技にはならないが、トリックスターが二人いるとこれが安定してしまい、「ずっと俺のターン!」が現実のものになってしまう。
      • スタッフも、いくらなんでもやりすぎと反省したようで、次回作では付着状態異常が4つに減らされている*8

マップ

  • カーソルを合わせるとそのダンジョンに何体ドラゴンが残っているか表示されるが、サブクエストでしか戦えないドラゴンも数に入っている。その時点でのサブクエストを全てクリアしても残っている場合があるため、ドラゴンを探して延々とダンジョンをさまよい続けるプレイヤーも結構いた。

総評

不親切さがいろいろと目立った前作に近年のイメージエポックの悪評や、「声ゲーに良ゲーなし」という前評判から不安視されていたものの、蓋を開けてみれば小粒だが堅実にまとまっていた良作。
ド派手なアピールポイントや新システムこそ無いものの、堅実にまとまっておりバグも少ないため安定して遊ぶことができる。RPG好きならやって損はない一本。

余談