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ZONE OF THE ENDERS - (2021/02/19 (金) 22:48:20) の編集履歴(バックアップ)
このページでは、PS2で発売された『ZONE OF THE ENDERS』について解説する。
PS3/360のHD移植については『ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』を参照。
ZONE OF THE ENDERS
【ぞーん おぶ えんだーず】※THEは発音しない
ジャンル
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ロボットアニメ・シミュレータ(アクション)
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメントジャパン(EAST)
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発売日
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2001年3月1日
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定価
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通常版:6,040円(税込) プレミアムパッケージ:13,800円(税抜)
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廉価版
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PlayStation2 the Best:2003年2月13日/2,940円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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なし
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備考
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通常版には『メタルギアソリッド2? 初体験版』が同梱
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ZONE OF THE ENDERSシリーズ ZONE OF THE ENDERS / Z.O.E 2173 TESTAMENT / ANUBIS ZONE OF THE ENDERS ZONE OF THE ENDERS HD EDITION / ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS
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概要
2001年のPS2初期ソフトとしては群を抜いたグラフィックと、軽快なアクション性を持って登場した作品。
「オービタルフレーム」と呼ばれる人間搭乗型の巨大な高機動人型ロボットを操って戦うアクションゲームである。
メタルギアシリーズで有名な小島秀夫監督がプロデュースを行い、同シリーズでアートディレクターを務める新川洋司氏がメカニックデザインが手掛けた。
また、平成(90年代)ガンダムシリーズの作画監督でもある西村誠芳氏をキャラデザインに招くなど、ジャンル名の「ロボットアニメ・シミュレータ」の通り日本のロボットアニメ(リアルロボットもの)を強く意識した作風となっている。
暗い神秘的な曲調の物が多く、どこか繊細な雰囲気を作品に与えている。
略称の「Z.O.E.」は「ズィーオーイー」或いは「ゾーイ」とも呼ばれる。
ストーリー
22世紀、テラフォーミングされた火星のバシリア州は、宇宙移民をエンダー(辺境者)として下層階級扱いする地球からの独立を掲げて武装結社バフラムを結成、地球の連合宇宙軍UNSFへの抵抗を強めていく。
バフラム軍は火星の民間企業NUT社と共同で木星の衛星カリストから採掘されるエネルギー資源「メタトロン」を用いた機動兵器「OF(オービタルフレーム)」を開発するが、その試作機「イドロ」のフレームランナー(OFの操縦者)がUNSF火星駐留軍を襲撃して火星の衛星ダイモスを基にした宇宙港ダイモス・ステーションを巻き込む大惨事「ダイモス事件」を引き起こしてしまう。
これにより火星と地球の緊張は高まり、オービタルフレームの存在も公になってしまう。NUT社はOF開発の場を木星の衛星エウロパの軌道上にある政治的に中立な資源採掘支援用のコロニー「アンティリア」に移し、特別な2機のOFを開発した。この動きを察知したUNSFは「アンティリア」を武装占拠してOFを奪取するが、バフラムもまた奪回のため「アンティリア」を襲撃する。
「アンティリア」に住む民間人レオ・ステンバックはバフラムによる基地襲撃の混乱の中で、偶然にも2機のうちの1つであるオービタルフレーム「ジェフティ」に乗り込んでしまう。
評価点
「簡単・高速・かっこいい」アクション
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主人公機・ジェフティは常時浮遊状態&高機動であり、簡単操作で高速且つスタイリッシュな戦いが出来る。
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近接攻撃ではブレードを振り回し、遠距離ではショットやレーザーで攻撃する。
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接近戦における鍔競り合い、効果音、カメラワーク等の演出により、通常攻撃でありながらスピード感と迫力は相当なもの。
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ダメージを受けても随所にあるメタトロンを取得することで簡単に修復が行える。
多彩な大型オービタルフレーム(ボス戦)
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ボス戦の多くは巨大な機動兵器との対決になり、毎回攻略方法が異なるため、多彩なボス戦が楽しめる。
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次回作ではこちらと同サイズのボスがメインとなった事で大型ボス戦はかなり少なくなっており、本作のボス戦を楽しんだプレイヤーからは残念がる声も上がったほど。
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主題歌の『KISS ME SUNLIGHTS』とエンディングテーマ『flowing destiny』は名曲と名高い。
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また、周回プレイでエンディングテーマが『A Light with a name of HOPE』に変化し、これらエンディング2曲のアレンジBGMも効果的な場面で使われている。
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実はエンディング時に特定のボタンを入力し続ける事で選曲が可能。
事実上のヒロイン 人工知能 ADA(エイダ)の機微
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主人公機のジェフティに搭載された人工知能 ADA(CV:芳野美樹)は操作説明から始まり本編に出ずっぱりである。
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ADAは、無機質な女性の声で話し実際に考え方もドライだったが、主人公の行動に触れていくうちに主人公の(非論理的な)考えに一定の理解を示し、最終的には主人公の身を案ずるまでになる。
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当初は「敵にとどめをささないなんて非論理的だ。私には敵を殺すべき17の理由を提示できる」「ミッション遂行が第一。人を助けるなんて非論理的だ。それにあなたの技量ではミッションに深刻な問題を引き起こす」のような内容を話すが、後半にもなると敵にとどめをささないことに口出しをしなくなったり、おとなしく生存者の位置を表示するようになり「人の命を尊重するというあなたの考え方はわかりました。非論理的ですが」のように話すようになる。
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特に終盤、敵に捕らわれて絶体絶命になるシーンやラストミッション前の主人公とのやり取りは必見。そしてADAの変化が主人公にも影響を及ぼし、次回作へと繋がっていく。
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また、ADAがウイルスに感染した時のこれまでのセリフを使った支離滅裂なセリフの演出も良い。
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ウイルスに感染しリカバーする段階で、ADAに変化が生じたとも考えられる。
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ちなみにおまけの声優コメントによると芳野女史のADAのイメージはプログラムと言うよりは「頭はいいけど世間知らずな女の子」らしい。
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作中には、主人公と同年代の少女も出てきて一緒にジェフティに搭乗するが、見せ場はさほどではない。やはりADAが実質的なヒロインと言える。
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ただ、その少女も終盤にはストーリーに大きな影響を与えたり
、被害を出しまくると容赦の無い罵声を浴びせたりと、存在感が無い訳ではない。
賛否両論点
主人公の性格
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主人公のレオはロボット物としてはある種定番の内向的な少年で、「なりゆきで搭乗してしまいロボット兵器の操縦を嫌がる」「しかし他の人たちとは比べ物にならないほど操縦がうまい」というプロットもありふれたもの。
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それは良いのだが、特に前半はジェフティの操縦を頑なに拒否したり、他者を心配する少女に「こんな時に他人なんかどうでもいいだろ」と言い放つなど、後ろ向き且つヘタレな言動が目立ち、境遇的に仕方ないとしてもプレイヤーを苛立たせがち。
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無論、その分消極的ながらも奮戦する姿や大きく成長する様子が描けており、特に終盤には見違えるほどの成長を見せ、次回作では最早別人のように逞しくなっている。
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しかしそれ故に、うじうじと泣き言を言うイベントは長めに作られており、序盤を乗り切ったと思ったら後半でまたそういうシーンが出てくる。スタイリッシュなアクションを楽しんでいる最中に水を差されるようで、好みが分かれる作風になっている。
リアルな被害状況
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戦闘で破壊された街はステージを切り替えても復活せず、被害が広がる度にADAから「戦闘による周辺への被害増大」と告げられる。リアルではあるが、これもバトルの最中に水を差される要素である。
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基本的にサブイベントの民間人救出ミッション以外では実害は無いのだが、あるイベントまでに街を破壊し過ぎるとバッドエンドになってしまう。
問題点
お使いの連続と物語のぶつ切り、短いプレイ時間
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再三、ゲーム中で「目標は火星に到達すること。当面の目標はコロニー・アンティリアから脱出と貨物船への搭乗、貨物船での火星への到達」と言われるが、実際は、コロニーであっちこっちへと飛び回ってお使いゲーを繰り返し、やっとコロニーから出られたと思ったらゲームが終わる。
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エンディングで「火星に到達できない理由」が説明されるが、ならどうするかが一切語られない。
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続編で一応説明はされたが主人公がかわり時間も進んでおりあっさりしている。一応、その間の出来事は続編の公式サイトで航海記録という形で描かれてはいる。
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これについては監督・脚本の岡村憲明氏も「思いっきり中途半端」「大ブーイングだった」と認めている。
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コロニー・アンティリアをあちこち飛び回るのはテンポが悪く、プレイ時間も短くストーリーもあまり進んでいない。
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掴みの操作感がイマイチ、全体的に使い難すぎるサブウェポン
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戦闘エリアが狭く敵から離れようとするとほぼ毎回「この先は戦闘エリア外です」とアナウンスが入り、ぶつからないと見えない壁に阻まれる。
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ラスボスは「今はまだ敵わない」とされ、ダメージを与えられないので一定時間逃げ回るしか無い。そのため、直前のボスが実質的なラスボスにあたる。
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ラスボスとの決着は次回作に持ち越しとなるので仕方なくもあるのだが、最後にカタルシスが得られない事への不満の意見は多い。これも上述のぶつ切りエンドの弊害である。
総評
基本的な動作方法は既にこの作品で確立されており、アクションやグラフィック、BGMの評価こそ高いものの冗長で短いストーリーで評価を落としてしまった。また、システム面もまだ改善の余地がある。
一部のユーザーからは「MGS2体験版のおまけ」あるいは「Z.O.E. 有料体験版」と揶揄され、続編の売り上げにも悪影響を出してしまった。次回作の作風が、本作とほとんど真逆になっている要因ともとれる。
しかし本作の反省を生かして開発された次回作『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』は「名作」と呼ばれるほどの高い評価受け、本作の評価も見直される流れも生まれた。
「近接戦時のチャンバラ」「多彩な大型オービタルフレーム」「プリレンダムービーのストーリーパート」等、『ANUBIS』に受け継がれなかった本作のみの要素も多く、
戦闘のスピード感や作風を『ANUBIS』以上に評価するファンもいる。
興味を持った人はぜひ『ANUBIS』とセットでプレイし、レオとADAの戦いの軌跡を追ってみてほしい。
余談
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ゲームと同時に前日譚であるダイモス事件を描くOVA『Z.O.E 2167 IDORO』が発売され、プレミアムパッケージ版に同梱されている。
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2001年4月からテレビアニメ『Z.O.E Dolores, i』が放送された。こちらは本作と同時代の話。
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2001年9月には本作と『ANUBIS』の間を描く『Z.O.E 2173 TESTAMENT』がゲームボーイアドバンスで発売された。
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岡村氏は本作の後で小島組を離れ、次回作『ANUBIS』には関わっていない。それついてはブログで語られていた(アーカイブ)。
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『ANUBIS』はストーリーも本作から直接繋がってはいるが、主人公の交代が行われ、作風も大きく変化している。しかし当初の予定ではレオが主人公に続投した『Z.O.E.2』が考案されており、岡村氏のブログで大凡のプロットが公開されていた(アーカイブ)。本作の路線を引き継いでいる為か、ヒロイックな展開でラストも大団円だった『ANUBIS』に比べてかなり重い話且つ切ない結末だったようだ。
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ただ、氏が語る通りこれは没ネタであって、「本来のストーリー」ではない点に注意。