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SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.8 V.R. バーチャレーシング -Flat Out- - (2015/04/20 (月) 02:06:39) の編集履歴(バックアップ)


SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.8 V.R. バーチャレーシング -Flat Out-

【せがえいじす 2500しりーず ぼりゅーむ8 ぶいあーる ばーちゃれーしんぐ ふらっとあうと】

ジャンル フルフラットシェーディングレース
対応機種 プレイステーション2
メディア CD-ROM 1枚
発売元 3Dエイジス
開発元 ヴァンテアンシステムズ
発売日 2004年2月26日
定価 2,500円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 賛否両論
ポイント 画質やfpsは原作以上だが、操作性の再現度は微妙
挙動の違いを受け入れられるかどうかが評価の分かれ目
ゲーム単体として見れば及第点の出来
SEGA AGES 2500シリーズリンク?

概要

  • 過去にセガが手掛けたゲームを3DエイジスがPS2向けに発売した『SEGA AGES 2500』シリーズ第8弾。
    • 当時としては最先端の技術であったポリゴンを使用し人気となった、アーケードレースゲーム『バーチャレーシング』のリメイク作品である。
      • 「究極のフラットシェーディング」「光と影のリアリティ」という2つのキーワードをテーマとしており、基本的に原作を再現しようという方向性を持った作品となっている。
      • 本作の基本的なルールはAC版の記事を参照。

特徴

  • 本作にはAC版のシチュエーションを再現した「アーケード」の他、次のモードがある。
    • 「グランプリ」
      • 自機を含めた8台で全6コースを順番に走破し、合計獲得ポイントを競う。
      • 6コースを一通り走ったところで1セットとなり、獲得ポイントの順位によってこれを最大5セット行う。
    • 「フリーモード」
      • 好きな車種で、新規コースも含めた好きなコースで走ることができる。

評価点

  • フレームレート・画質がAC版を凌駕している。
    • AC版が30fpsなのに対し本作は60fpsとなめらかになり、スピード感がアップ。
    • グラフィックも過去の移植作とは比にならないほど綺麗で、AC版と同等かそれ以上のレベルになっている。
  • 初期AGES作品の中では原作の内容が比較的尊重されている。
    • 後述の挙動以外は基本的にAC版そのままor改良がなされている。
      • 他の初期AGES作品である『アウトラン』や『スペースハリアー』は改悪とも取れるポリゴンリメイクがなされておりコレジャナイ感が漂っているが、本作はもともとがポリゴングラフィックのゲームだったことが幸いしたのか、原作レイプレベルのアレンジは無い。
    • BGMの音源もAC版そのままを使用しており、ここは純粋に評価されている部分。
      • 他の移植作品であるMD版と32X版はハードの制約上再現できず、SS版はほとんどのBGMが差し替えられていた。

新規コース・車種や天候変化など様々な追加要素。

  • コースはAC版の3コースに加え、新たに3コースが追加されている。いずれもAC版当時の技術力に即した生ポリゴンで描画されており、従来のコースとほとんど違和感の無い完成度になっている。
    • BIG FOREST(BEGINNER,グランプリ1コース目)
    • ISLAND(BEGINNER,グランプリ2コース目)
      • オーバルを変形したようなコースで、1か所あるシケイン以外特に難しいコーナーは無い。
    • BAY BRIDGE(MEDIUM,グランプリ3コース目)
    • MOUNTAIN(MEDIUM,グランプリ4コース目)
      • コース周りが全体的に茶色がかったコース。中盤のコース幅はかなり狭く、オーバーテイクが難しい。
    • ACROPOLIS(EXPERT,グランプリ5コース目)
    • BELTWAY(EXPERT,グランプリ6コース目)
      • 市街地の道路を使用した異色コース。レイアウトが非常に複雑なうえにブラインドも多く、ACROPOLIS以上に的確な操作が要求される。
  • 車種はAC版のF1マシンの他、さらに4車種が収録されている。グランプリを進めるごとに順次開放され、フリーモードでも使用可能となる。カラーリングはそれぞれ8色から選択が可能。
    • F-1(バランス重視)
      • 最初から選択可能。
    • F-1 70's(加速重視)
      • 昔のF1マシンをモデルとした造形になっている。
    • PROTO TYPE(最高速重視)
      • 「トヨタ GT-one レースカー」と外見が酷似しているスーパーカー。本作の中でも安定した挙動。
    • COUPE(ドリフト重視)
      • GTカーのような丸みを帯びたカーデザイン。デイトナUSA並のドリフト角をアクセル操作無しでつけることができる。
    • CLASSIC(ハンドリング重視)
      • 本作におけるチートカー。曲がりやすさが半端なく他の性能もそれほど劣っていないため、圧倒的なタイムを叩き出すことができる。
  • 天候は晴れと曇り、時間帯は昼間と夕方から選択できる。
    • グランプリモードでは、コースごとにランダムに決定される。
    • 空の様子が違うだけでなく影の角度や画面の暗さも表現されており、一味違った『バーチャレーシング』を味わうことができる。
  • 比較的自由度の高いレース設定。
    • アーケードモードでは難易度が変更できるほか、グランプリ設定(20周)も選択可能。
    • フリーモードはさらに柔軟な設定が可能で、制限時間やCOM車の有無、時間帯や天候も選択できる。
      • 周回設定も1周から50周まで1周刻みで設定可能。
  • ハンドルコントローラー「GT Force」に対応している。
    • 特記するほどでも無いかも知れないが、同時期に発売されたAGES版『アウトラン』はまさかの非対応であった。

問題点

  • 挙動がAC版と違う。AC版時代のファンから指摘されている最大の問題点。
    • 本作はやたらとドリフトし、スキール音がやたらと鳴り響く。
      • そのためドライバー視点でプレイすると、タイヤがつるつる滑りすこぶる運転しにくい。
    • 最高速もAC版より若干遅い。逆に加速力は尋常では無く、停止状態から2~3秒であっという間に最高速に達する。
    • COM車とちょっと接触するだけで簡単にスピンする。AC版は激しく接触しない限りスピンしない仕様であったが・・・。
      • 反対に、無茶な操作をしても芝に突っ込んでも単独では全くスピンしない。さすがに壁に激突するとクラッシュするのは再現されているが。
    • AC版の挙動に最も近いのは、本作で言えば「PROTO TYPE」が該当する。
      • 最高速はAC版とほぼ同じ、挙動はグリップ寄り、加速は適度に鈍いと、AC版のF1に似た設計となっている。
  • 演出が一部カットされている。
    • 完走時「GOAL」というロゴまでは出るが、順位が表示されずそのままネーム入力画面になる。
      • 一方でタイムアップした場合はちゃんと順位まで表示される。なぜ完走時に限って表示しなかったのか・・・。
      • ネーム入力完了した際の「Get Goal」のBGMも流れない。
    • エンディングもアーケードモードでは流れず、グランプリモードで5セット走り終え合計ポイントが1位になると流れる。
      • 簡単に見せたくなかったのかもしれないが、エンディングまで一通り収録してこそのアーケードモードではないのだろうか。
  • ゲームバランスが大味気味。
    • アーケードモードで難易度HARDに設定した場合、「BIG FOREST」と「ACROPOLIS」は制限時間が非常にきつくなる。
      • ところが「BAY BRIDGE」だけは制限時間に余裕がある反面、COM車がかなり早回しになる。
    • グランプリモードも、選択する車種によって難易度が極端に変わってしまう。
      • 基本的には簡単に1位でゴールできてしまうが、車種に「F-1 70's」を選ぶとCOM車が結構速くなる。
      • さらに「COUPE」を選ぶとCOM車はえらい手強くなり、自機よりも性能が高い。そのため序盤でオーバーテイクに手こずると1位を獲るのはほぼ不可能になる。

総評

画面上のクオリティはAC版をも上回る出来であるが、肝心の挙動の移植度に関してはMD版や32X版に劣る。この点で本作を駄作~凡作レベルと見るファンも少なくない。
しかし挙動以外に関してはAC版を高いレベルで再現していると言ってよく、ボリュームも2,500円という値段としては及第点の内容である。
『バーチャレーシング』を初めて体験してみたいという方や「挙動の違いは気にしないよ!」という方には、ハードの普及度も鑑みるとこのPS2版が一番おススメ。
裏を返すと挙動さえ忠実に再現されていれば、往来のファンからもかなり高い評価を得られたことは容易に予測できたのであり、その点では非常に惜しい作品ともいえる。