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WILLOW - (2016/07/09 (土) 13:33:02) の編集履歴(バックアップ)


WILLOW

【うぃろー】

ジャンル アクションロールプレイング
対応機種 ファミコン
発売・開発元 カプコン
発売日 1989年7月18日
定価 5,900円(税抜)
判定 なし
ポイント ハイレベルな演出、バランスの良いゲーム
不親切なセーブ 、原作の影の薄さ

概要

1987年の同名のファンタジー映画を元に作られた2Dアクションアーケードゲームを、さらにファミコンにリメイクして移植したゲーム。
ただし移植とはいうがゲームのジャンルは大きく変わっており、ゲーム名やキャラ設定が一部共通するだけの別物である。
大元の映画のタイトルが「WILLOW」である事や、その他殆どのウェブサイトにおいて同表記が用いられているためこの記事もそれに倣っているが、ファミコンソフトのパッケージには「W・I・L・L・O・W」と中点が1文字ごとに入れられている。「ウィロー」とカタカナのサブタイトルが付属しているのは同じ(ファミコン版パッケージには無いがカセット本体にカタカナはついている)。

リンクの冒険」などをイメージして貰うと想像しやすい、トップビューのアクションRPG。
お金の概念が無いため武器防具その他のアイテムは全てイベントでの入手だがその数は多く、剣と盾と魔法アイテムを1個ずつ装備し、使い分けて敵を倒し、ダンジョンの謎を解いていく。

あらすじ

問題点の部分を分かりやすくするため、原作のあらすじも併記する。

  • 原作のあらすじ
    小人族の農夫兼魔法使いのウィローは、ある時人間の赤ん坊を拾う。
    ウィローはこの人間の赤ん坊を人間の世界に送り返す役目を任されて赤ん坊と共に旅に出る。
    途中で仲間を加えながら旅を続けるウィローは、やがてこの人間の赤ん坊の正体と、それを巡る強大な悪の魔法使いとの戦いに巻き込まれていく。
  • ファミコン版のあらすじ
    天空と大地の使者の魔法によって護られた世界。
    長く続いていた平和は、ある時天空からの使者バブモーダが自らを「全ての人の長」と名乗り出したことで終わる。バブモーダは大地からの使者フィンラジールを醜いネズミに変えてしまい、世界征服へと乗り出した。
    これを倒し止められるのは、選ばれた勇者である「ウィロー」ただ一人。

評価点

  • アクションRPGとしての出来はかなり良い。
    • 基本は剣を手に入れて装備し、剣を振る事での攻撃だが、単にボタンを押すだけに留まらず、前(向いている方向)に十字キーを押しながら攻撃すると剣を「振る」のではなく「突く」アクションになり攻撃の質が変わるので使い分けられる。
    • その剣を振るアクション1つ取っても、レベルが低いうちに上位の剣を急いで手に入れて装備しても「使いこなせない」ために剣を振るスピードが遅くなるので、場合によっては下位の剣を使い続けた方が良い場面もある。
    • 敵も一直線に向かってくるもの、ランダムに動き回るだけのもの、地形を無視して飛行してくるものなどバリエーションに富む。
    • 同じマップでも敵との戦闘中か否かでBGMが切り替わる仕様もついている。また、戦闘中は背景の草むらなどが激しくざわめくなどの演出も存在する。
  • NPCの作りこみもしっかりしている。
    • 容量の問題からか、この時代のゲームは特定の重要キャラ以外は全て同じ顔で特定の汎用セリフを喋るのみ、というケースも珍しくないが、このゲームにおいては会話可能なNPCには全て顔グラフィックが与えられており、セリフもバリエーションがかなり多い。使いまわしは無い訳では無いが、時代を考えればかなり少ないほうと言える。

問題点

  • 原作を持つゲームとしては見過ごせない程に改変が行われている。
    • 主人公のウィローは原作およびアケ版では魔法使いであり、肉弾戦は殆どしない。するのは仲間の剣士・マッドマーディガンなどの役目であるが、ファミコン版では魔法も剣もウィローが全部使う。マッドマーディガンはそもそも出てこない。
    • 人間の赤ん坊が出てこない。これによりウィローは旅立つ動機そのものを消失し、「悪い魔法使いがいるからやっつけてこい!」という長老の命だけで旅立つ。一応、敵を倒し得る力を持つのは選ばれた戦士であるウィローだけだ、というような事は言われるが。
    • ファミコンというハードの制約上、魔法と剣とで役割を分担して複数キャラを出すとか、主人公以外をキーパーソンに置いたストーリー展開をするとかは長くなるのでできなかった可能性もあるにはあるが、記事冒頭の ファミコン版パッケージにはマッドマーディガンも赤ん坊も描かれている 。ゲーム内にだけ出てこない。
      ちなみにパッケージイラスト一番手前の小人がウィローである。
  • パスワードの仕様が極めて不親切
    • 本作はアクションRPGであり、1時間や2時間で終わるようなボリュームではないため、途中の中断が必須である。このゲームではパスワードによる再開という形で中断が可能なのだが、これがなんと 死んでゲームオーバーになった時しかパスワードが発行されない
      つまり任意でゲームを中断する事ができず、中断するには無意味に敵に突っ込んで自殺をしなければならない。
    • しかも、こんな仕様のくせにデスペナルティが存在する(死ぬとそのレベルに上がってから溜めた経験値が全て消失する)ため、 ゲームを中断するという、人間がゲームをプレイする上で絶対必要な行為に対してペナルティがついている も同然という理不尽な仕様。

総評

  • 発売前の雑誌広告などでも「ジョージ・ルーカスの映画がゲームになった!」などという宣伝文句が使われていたため、原作映画のファンの人が忠実なゲーム化を期待してプレイすると「何これ」感に襲われるであろう改変ストーリー。おおよその流れや世界観は沿っていると言えなくも無いが、主要人物が何人も削られてしまっているので違和感は否めない。
    しかしそれを除けばゲームとしてはかなり綺麗にまとまって出来上がっているので、十分楽しめる。削られたストーリーも、これ単体で見ればそこまで破綻している設定でもなく、前知識全く無しの人ならさして抵抗無く受け入れられる範疇であろう。
    それだけに、「死なないとセーブできない」というただ1つの点が惜しまれる。

余談

  • 特定条件下で「あらゆる地形を素通りして好き勝手に歩いて進めるようになる」というとんでもないバグがある。
    • ゲーム攻略でこんなものを使うとバランスも何もあったものではないが、特定のパスワードを使用して開始した状態で尚且つ2コンを併用しないとできない裏技なので、普通にプレイする分には全く影響は無い。
    • ・・・なのだが、よりにもよってパッケージ裏に載っているプレイ画面サンプルがこの裏技パスワードを使っている(レベル1で経験値9万を持って最初からゲームスタート)。いいのかそれで。