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ドラッケン - (2023/11/13 (月) 23:38:14) のソース

この項目ではAmiga版の他、SFC版を紹介します。判定はいずれも『スルメゲー』です。
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#contents(fromhere)
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*ドラッケン
【どらっけん】
|ジャンル|RPG|~|
|対応機種|Amiga|~|
|メディア|フロッピーディスク|~|
|発売元|Infogrames|~|
|開発元|Draconian|~|
|発売日|1989年|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|
|ポイント|疑似3Dフィールド&br();全体的に漂う独特な雰囲気&br();壮大な世界観&br();ゲームバランスは良くも悪くも当時の洋PCゲー&br();''Hak!Hak!Drakkhen!''|~|
|>|>|CENTER:''ドラッケンシリーズ''&br;''ドラッケン'' / [[スーパードラッケン]]|
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**概要
フランスのInfogrames(インフォグラム)社から発売された、ロールプレイングゲーム。フィールドでは疑似3Dで移動することになり、ダンジョン(ドラッケンの城)の中では個室を移動する2D形式になるのが特徴。

**ストーリー
ドラゴンが滅びる時、新世界が誕生し人間は滅ぶ。~
ある時、突然魔法がこの世界から消えてしまった。愚かな騎士が、魔力の源となっているドラゴンを殺して絶滅させてしまったからであった。~
その後発見された謎の島、ドラッケン島では人型ドラゴンであるドラッケンと、人間が暮らしている事が明らかになった。~
またドラッケン島は徐々に大きくなっていき、いずれは世界中を食いつぶし、人間を滅亡させてしまうことが明らかになってきていた。~
ドラッケン島は空、水、大地、炎の4つの地域に分けられた。~
それぞれの地域は、2匹のドラッケン王族が支配していた。~
このままでは人間の世界は、ドラッケンによって滅ぼされてしまう。~
かくして、世界の危機を救うため、4人の英雄(プレイヤー達)が志願してこの島に旅立つことになった。~
4人の英雄は、ドラッケン島の調査を続ける内に、ドラッケン王族達の内乱を鎮め、8つの宝石である「8つの涙」を集めなくてはならないことを知る。~

**特徴
-初めにプレイヤーとなる4人をメイキングする。
--職業はファイター(アマゾン)、スカウト、マジシャン、プリースト(プリーステス)の4種ある。各職業の中から一つを選択し、名前や初期能力値を決めていく。職業によってステータスの傾向とレベルが上がった時に習得する魔法が異なってくる。同性で同じ職業のキャラを2人以上作ることはできないが、異性同士であれば作成可能なので同じ職業は2人までパーティに入れることができる。
--ファイターは攻撃力を上げるパワーと回避率を上げるシースルーという全員覚える基本的な魔法しか使えないが、前衛に必要なステータスが突出しており扱いやすい。スカウトは器用さ重視のバランス型のステータスとなっており、前衛としてはファイターより劣るが、基本魔法に加えて解毒魔法やダンジョンから脱出する魔法、後述のアンロックというお役立ち魔法が使える。ファイターとスカウトは重装備が可能。
--マジシャンとプリーストはより強力な魔法を習得する。どちらも回復魔法と攻撃魔法を習得する。他のゲームと比べるとかなり変則的な設定がされており、例として弱い回復魔法であるヒールマイナー(SFC版だとヒール)はマジシャンが先に習得するが、全体回復魔法であるヒールグループはプリーストが先に覚える。敵を状態異常にする補助呪文はマジシャン、蘇生魔法はプリーストのみが習得する。プリーストはファイターとスカウトに次いで装備可能な防具が多く、マジシャンが最も装備品を制限される。なお、この作品のマジシャンとプリーストは普通に剣や弓を持てる(武器に装備制限が無い)。
--仕様が分かっていればマジシャン1人でもクリアできるようなゲームだが、基本的には全職業を揃えるのが無難。
---ファイター2名、プリースト2名という変則的なパーティ構成も可能。しかし……(後述)
--デフォルトで用意されたキャラを使用することもできる。その場合はファイター、スカウト、プリーステス、マジシャンになる(機種によっては性別と名前が異なるが、構成自体は被り無しで同じ)。

-プレイヤーは擬似3Dフィールドを360度自由に移動する事が出来、非常に開放的である。
--またこのゲームには時間の概念があり、現実の時間で約10分経過すると一昼夜となる。夕暮れになると徐々に空が赤く染まり、夜になると空には星が現れ、画面も夜が更けるにつれて暗くなっていく。それから約5分経過で夜が明けるため、約15分で一日が経過する。
--特定の場所にはワープゾーンが置いてあり、そのワープゾーンに設定されている別のワープゾーンへ相互に瞬間移動することが可能。

-フィールドは3Dだが、ダンジョンは1画面分の2D室内を、そこにある幾つかのドアを通って探索する形になっている。
--部屋の中には回収できるアイテムが置いてあることがある他、隠された扉もあり、怪しい壁をくまなく調べないと進めない場所もある。
--ダンジョン内には敵がうろついていたり、室内が水浸しかつその水が襲ってくる部屋や蜘蛛が無限に襲ってくる部屋など罠として敵が登場する仕掛けも富んでいる。

-画面左側にはプレイヤーの状態を表すスペースがあり、プレイヤーが装備している武器や防具の様子が示されており、装備を変えるとちゃんとグラフィックが変わる。装備が強くなると見た目がどんどんゴツくなるので達成感を得られる。

-武器や防具は破損することがある上に、比較的あっさりと壊れる。
--上記の通り装備品がキャラの見た目に反映されるため、防具が破損していく内にどんどんみずぼらしい見た目になっていく。
--ダンジョンにある装備はダンジョンの出入りを繰り返すといくらでも取れるので場所を覚えておくと安心。また、フィールド上のある場所では一軒だけ店が存在するのでそこで購入することもできる。

-フィールド上で敵とエンカウントするとプレイヤー達が下から画面内に現れ、事前に指示した行動に従って(戦闘中も変更可能)オートで敵キャラを攻撃する。ダンジョン内では敵とエンカウントした時点でシームレスに戦闘が始まる。
--ダンジョン内で近くに攻撃可能な対象が居る時に、自動で攻撃を仕掛けに行く機能もある。しかし……(後述)

-ダンジョンの泉から「空きビン」を使用して水を汲むことが可能。汲んだら薬系アイテムとなる。
--「大理石の泉」「人喰い魚が泳いでいる温泉」という比較的まともそうな泉から、「[[嫌な臭いがする黄色い液体で満たされている泉>トイレキッズ]]」「ウジ虫で溢れている泉」と解説されるどう考えてもまずい泉からまでも薬として汲むことが可能。
--回復薬しか無いSFC版とは異なり、薬の効果は魔法と同じ効果を持つものが多くバラエティーに富んでいる。ただし、薬の内容はドラッケン文字(後述)で表記される。

**評価点
-擬似3Dフィールドの演出は当時としてはかなりのもの。
--当時としては迫力のある演出であり、ユーザーから他機種への移植が渇望されたほど。

-敵のデザインのセンスはともかく、アニメーション自体は非常に滑らかに動く。特にフィールド中の墓場に接触した時に現れるマッド・ドッグの動きは必見。
--敵とエンカウントした時は敵が滑らかかつ高速でスライドしてくる。しかも慣性が付いているという謎のこだわり。

-世界観は非常に作り込まれている。
--特に英語版の取説はゲームそのものの説明より前日譚の方が遥かに長い。ドラッケンの(人間視点で見れば)異様な文化に加え、ドラッケン島に突入して大破した軍船の詳しいスペックをわざわざ書き込んでいるほど。

-ゲーム中でも人型ドラゴンであるドラッケンの王族の人間関係の描写がしっかりかつ複雑に描写されている。
--ドラッケン王族は四大要素の内のいずれか一つを司っており、それぞれの領地を持っている。一国のトップなのに「王」「女王」ではなく「王子」「王女」と呼ばれるのは、ドラッケン達の始祖である4体のドラゴンを「王(ひいては神)」としているからだとエンディングから推測される。
--ドラッケン島ではドラッケン王族が炎と死の王子ハズルケンが率いる人間滅亡を目的とした過激派「炎の連合」と水の王女アーカが率いる人間との共存を望む穏健派「第九の涙の連合」に分かれて抗争を続けている。
#region(8人のドラッケン王族達(軽微なネタバレ有));

-&bold(){大地の王子ホドケン}
--プレイヤーが最も初めに会うことになるドラッケン王族。初対面から非常に高圧的にプレイヤーに命令してくる。非常に短気で、不用意に話しかけると怒りだしてプレイヤーキャラを攻撃して殺害してくる((SFC版では何度話しかけても怒らない。))。
--大地の王子ホドケンは8人のドラッケン王族の中で唯一どちらにも属しておらず、炎の連合に入りたがっているのだが、炎の連合に属しているナクトカ王女に蛇蝎の如く嫌われているため入れてもらえない。更にホドケンは自分の土地の民衆にさえ「嫌な野郎」と嫌われており、更にホドケンの部下からすら「ドラゴン王子の中で最も力が弱い」とさえ言われてまるで良いところがない。
--ただし妹のホドカとはお互いを大切に思い合っていることを作中の行動と言動から察することが可能で、身内同士で当たり前のように殺し合っているドラッケン王族の中でこの2人だけは仲がそれほど悪化していない。
--嫌われ過ぎていて8人中最も作中のキャラ描写が濃いという恵まれているのかどうなのか分からないキャラ。日本人的な感覚からすると苗字と名前をもじった渾名のような名前も印象に残る。
-&bold(){大地の王女ホドカ}
--プレイヤーがホドケンの次に会うことになるドラッケン王族((SFC版はナクトケンが先に出てくるので三番目))。ホドケンの妹。第九の涙の連合のメンバーでもあり、プレイヤー達に八つの涙の真実を伝える役割も持つ。
--ゲーム開始早々アーケン王子の軍隊にさらわれてしまう。兄とは違い領民からの評判は上々で、「ホドカ姫はお優しい」「炎の連合に狙われている人間を自分の城に匿っている」「ホドケンを心配して話がしたいと手紙を送っている」と道中で様々な話を聞ける。
--プレイヤー達は中盤までホドカ王女を助ける為に右往左往することになる、まさにRPGの定番である囚われの姫君の役割である。しかしいざ実物に会うと&bold(){巨乳かつビキニアーマーを着た露出度高めのホドケン}という容姿で度肝を抜いてくる。よく見ると胸元に浮き出るように&color(#F54738){いかがわしい1ドット}まで書き込まれている。これはSFC版でも修正されていない。
-&bold(){空の王子ナクトケン}
--雪に覆われた空の国の片側半分を治める。ホドケンを上回る実力を持ち、第九の涙の連合の軍を率いて炎の連合と対決する。
--姉のナクトカから命を狙われており、ナクトケン自身も姉を許せないとしながらも肉親に対して何処か諦めきれない複雑な心境を抱く。
--言葉の端々にも勇ましさを持つ彼だが、後述のSFC版では改変が入っており、PC版とは印象がかなり変わると思われる。
-&bold(){空の王女ナクトカ}
--炎の連合の紅一点にして幹部を務める。ハズルケン王子の婚約者でもある。自分の弟や婚約者の妹すら平気で手にかけようとするその性格は極めて残忍。自分の領地に異世界の怪物((後述のジャイアントなど))を召喚してばらまいている。
--その一方でハズルケンに対して戦況報告ついでにかなり情熱的な恋文をしたためた手紙を送っていたり、自分の城に温泉やマッサージスパを入れていたり、所々に女性らしさを見せる。敵には容赦が無いが。
--炎の連合に所属しているドラッケン王族は全員そうだが、領民からは恐れられている。人間(プレイヤー)に対してスパイまがいのことを行う領民まで現れる始末。
-&bold(){水の王子アーケン}
--湿地帯の水の国の王子。炎の連合でも随一の凶暴さと残虐性を持っており、自分の領地の街に反逆者が紛れ込んだ時は街ごと完全に廃墟にするほど破壊し尽くしたことがある。趣味は人間狩りとゾンビ作り。
--本人の登場は終盤だが、それまでに彼を評する人物が多く登場するため妙にインパクトがある。自分自身も大概なホドケンからもアーケンは凶暴な男だから注意しろとプレイヤーキャラが念を押されるほど。ただし姉のアーカには一言も触れられていない。
--そもそも話が通じないのではないのかと疑われる人格面に反して、ナクトカやハズルケンなどの味方に送る手紙の文面は非常にまとも。
-&bold(){水の王女アーカ}
--第九の涙の連合の盟主。落ち着いた物腰で、人間に対しても敬意を払う気品に溢れた人物。そのカリスマ性を慕う兵士は多く、更に敵陣にスパイを送り込んでいたり権謀術策にも長けている。
--しかし「アーカ姫は変わったものが大好き」と従者に言われる通り、&bold(){うっかり戦闘を挑んだキャラが一瞬で死体にされるようなモンスター}を城内地下に多く飼っている。出来た人物ではあるが、弟共々やはり何処かしらぶっ飛んでいる部分がある。
--競泳水着のようなよく分からない服を着ているが、巨乳であることだけははっきりと分かる。
-''炎と&color(#F54738){死}の王子ハズルケン''
--炎の連合の盟主。何故かハズルケンのみ炎と別の物も同時に司っている。アーカ王女ほどではないがハズルケンを慕う者が多く、これが第九の涙の連合を手こずらせている原因となっている。
--ナクトカ王女同様人間を虫けらとしてしか見ておらず、非常に冷酷かつ残虐。積極的に軍を動かしており、強力な幻覚の魔物((恐らく後述のイリュージョン))や影の巨人や死の巨人((恐らく砂漠地帯に出現するドラゴン))を召喚して敵にけしかける。ナクトカ王女から慕われているが、ハズルケン本人は命令以外では全くナクトカのことには言及しておらず、他人のことなど顧みない唯我独尊ぶりを思わせる。
--ハズルケンとの戦闘中に話しかけるとかなり喋る。SFC版でも少し短くなっているが喋る。
-&bold(){炎の王女ハズルカ}
--ハズルケンの妹。第九の涙の連合に属しており、兄の婚約者であるナクトカ王女を危険視している。領民には英知の結晶であるとされるハズルカ城の方をハズルカ本人よりも心配されている節がある。
--四大要素を司るドラッケン王族に何かが起こると司っているもの(この場合、炎)が暴走する、というのを教えてくれる。
--座っている椅子で身体が隠れてしまっており、女性ドラッケンの中で唯一どのような服装なのか分からない。
#endregion();

-酒場でのBGMは&bold(){作中唯一まとも}に仕上がっており、陽気な雰囲気が伝わってくる。

-流血表現がある。敵を殴っていく内に床に血が飛び散っていく。後発のSFC版と比べれば敵にダメージを与えている実感は得られる。

**変な点
-シュールな戦闘光景
--戦闘時のBGMは大抵が''無音。''剣をぶつける「カンカン」、何かを殴る「ボスッ」、ダメージ音の「バシィッ」、後は敵の叫びらしい「ウェア!ウェア!」(このバリエーションはいくつかある)、という効果音だけ。
--一応、BGMらしきものが用意されている敵もいるが、それらもシュールなものばかり。
--&bold(){敵を倒すと画面いっぱいにパーツが爆散する。}
---ボスのドラッケン王族のみ特殊な消滅エフェクトになるが、機種によってはこちらも&bold(){爆散}する。
---後発のSFC版では全キャラ共通の煙と&bold(){肉塊が爆散}するように変更されたが、それでも無駄に派手でシュール。

-敵のデザイン、及び挙動が異質
--その場から動かずに反時計回りにゆっくり剣を振り回す全身ワイヤーフレームのような人型の敵「サムライ」、「ゴーファー!ゴーファー!」と叫びながら、高速に左右で動きつつ魔法攻撃を連発してくる「ケンタウロス」、雪原地帯で「ドンドドドン ドドドドドン」というBGMと共に地中から出現する、射撃場に出てくるマンターゲットの全身版のような敵「ジャイアント」、砂漠地帯で「&color(#F54738){''I love you''}」を連呼してくる上半身だけの赤いシルエット「イリュージョン」、MAP上の墓にぶつかってしまうと出現する巨大な犬の頭の魔物「マッド・ドッグ」など。
---ただし、存在そのものが明らかに異常な敵に関しては「敵勢のボスが召喚している魔物や強力な幻覚」「墓に人間と敵対していた反逆者が埋められている」など理由付けされている。
--とあるダンジョンでは暖炉の中の「燃えカス」が襲いかかってくる。一応敵扱いではあるが、その場から動く事はなく、「グギョギョグギョギョ」という奇妙なBGMが流れるだけで、一切こちらはダメージを受けないし、倒しても何も無い。
--ドラッケン王族は全員腕をスナップさせまくる奇妙な挙動になっている。椅子に座っているタイプはそれだけだが、立っているタイプだと全身の向きをせわしなく変えるので&bold(){変な踊りを踊っているようにしか見えない。}

-エンディングも異質
--エンディングのテキストを載せながらBGMのテンポや音階がどんどん上がっていき、人によっては恐怖心も煽られるような仕上がりになっている。
--プレイヤーキャラの一人(恐らく八つの涙を所持していることになっているキャラ)に向かって四体のドラゴンが目から光線を放ち続けるという奇妙な光景も印象に残る。

-魔法の調整も異質
--普通のダメージ攻撃魔法は最初に覚える「ライトニング(SFC版だとファイアーボール)」で&bold(){打ち止め。}
---魔法を使った攻撃手段は飛び道具であるライトニングと敵を麻痺させるパラライズ、下記のディスペルとアンチ・マター以外に存在しない。
--「ディスペル」という魔法があるが、&bold(){相手を問わない即死攻撃魔法}でその名前から効果を想像するのは難しい。しかも取説でもこの魔法だけは「使えば分かる」という大雑把な説明になっていて詳しい効果は書かれていない。
---[[D&D>ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ]]や[[Wiz>Wizardry]]的な価値観からは「ターンアンデッド」「呪いを解く(Dispell)」を連想するが、このゲームには不死・悪魔特効の攻撃魔法の「アンチ・マター(SFC版ではアンデッド)」が別に存在する。
--ちなみにAmiga版の取説だと全ての魔法の説明で竜に祈って魔法を発動していることを強調されており、設定そのものはやはりしっかりしている。

-&bold(){ドラッケン島が正四角形。}
--機種によっては取説に掲載している地図を斜めにしたりちょっと形をいじったりして微妙に誤魔化しているが、それでも四角形で不自然に綺麗な形をしている雰囲気は拭えない。

-&bold(){Hak! Hak! Drakkhen!}
--一部のドラッケンが突然叫びだす謎の台詞。後発のSFC版だと「&bold(){ハック!!ハック!!ドラッケン!!}」になり、よりシュールさが増す。
--前日譚において「敬礼」の意味合いであることが説明されているが、ゲーム中での説明が無いのでSFC版ではただの意味不明な叫びと化している。

**問題点
-&color(red){''初見殺し要素多数。''}
--&bold(){ゲームが始まるといきなり草原地帯のど真ん中に突っ込まれる((SFC版と違い正面に進めばホドケン城があるという説明がゲーム中に無い。))。}少し歩くと敵とエンカウントし、初期状態ではパーティは何も装備していない状態なのでまず倒すことができず、気付いたら全滅。
---実は開始時点で初期装備品は持っているのだが、何故かそれを装備していない。ゲーム開始直後に自分で装備させる必要がある。
--すぐ隣に見える湖に近づくとパーティキャラが勝手に画面の中で動き出し、&bold(){そのまま湖の中に入水して沈んでいき全員溺死。}
---こうなるとキャラクターを画面外に引っ込めて後退→またキャラクターが勝手に画面に現れる→もう一度キャラクターを引っ込めて後退を繰り返して地上に這い上がらないといけなくなる。
--やっと最初の目的地であるホドケン城へたどり着くと&bold(){今度は堀にサメのヒレが動いているのが見える。}タイミングよく橋を渡って中に入らないといけないのだが、渡るタイミングがかなりシビアで大抵の場合&bold(){最初に渡ろうとしたキャラは突然飛び出てきたサメに食われて即死。}
--ホドケン城の城主のホドケンに対して会話後うっかり戦闘を挑むことも可能。当然この時点では勝ち目がなく、&bold(){ホドケンがライトニングの魔法を連射してパーティキャラを瞬殺する。}
---というか&bold(){自動で敵を攻撃する機能をオンにしているとパーティキャラがホドケンに対して勝手に攻撃を仕掛けてしまう。}これはシナリオ上敵対していないドラッケン王族全員に言えることで、速攻でオフにしないとキャラクターが育っていない内は返り討ちにされる。自動的に攻撃を仕掛ける機能は基本的にはオフのままにしていた方が良い。
--ホドケン城より更に奥の場所は島の中央(センターオブアイランド)となっており、エンディング以外でうっかり足を踏み入れると&bold(){巨大なドラゴンが登場してパーティキャラを瞬殺する((空中から飛ぶように登場した時の演出の接地にすら攻撃判定があり、運悪く踏み潰されたキャラは即死する。その後、残りのメンバーが炎で焼かれる。))。}
---センターオブアイランドでは光る三角形(水判定だが、作中では炎の石と呼ばれている)が地面に大量に敷かれているので、初見ではどうしても気になって侵入してしまう。なお、ホドケン城の次の目的地であるホドカ城へはセンターオブアイランドから外れるマップ端を渡るか、草原の世界の端っこにあるワープゾーンを使うか、湿地帯の世界か砂漠地帯の世界を経由する必要があるがそのヒントは無い。
--イベントの進行度によりその時点では関係の無いダンジョンに入れなかったりはするが、フィールドの移動そのものには制限が無いため、ゲームが進まない内に草原地帯の世界の隣の砂漠地帯の世界(&bold(){ラストダンジョンがある})に入ると&bold(){終盤の敵が登場してパーティキャラを瞬殺する。}
--夜になっている時にフィールド上で特定の方角を向いていると、突然夜空の星座が動き出して空中から敵が急襲。&bold(){そのまま空中を飛びながらレーザーを乱射してきてパーティキャラを瞬殺する。}
---''こちらも序盤だとまず勝てない''ので、夜間は、常に安全な場所である「建物前」で待機したほうがいい。
--その他、中盤のダンジョンを探索していたらいきなりセンターオブアイランドで出てくるようなドラゴンが出現する、ホドケン城や下記のアーケン城の城の入り口のトラップを乗り越えて終盤に差し掛かった辺りのハズルカ城で&bold(){謎解きをしくじると城に食われる即死トラップが再び登場する}など常に油断ができない。
--この通り、不条理な死因がドラッケン島では常に襲いかかってくる。慣れない内は何度もゲームオーバー画面を見ることになるだろう。
---なお、各地に建っている寺院で死亡したキャラの復活が可能だが各PC版では非常に高額な蘇生費が必要になる。死者が出たらセーブデータをロードした方が早い。
--いわゆる死に覚えゲーの一面があり、本作品の良さが感じられる段階までゲームを進行させるには&color(#F54738){''何度もデカデカと表示されるゲームオーバー時の赤ウインドウ''}に耐えられるかどうかにかかっている。

-パーティの構成によっては詰みポイントがある。
--ゲームが進行すると、水の王子アーケンの城に行くことになる。アーケン城もホドケン城と同様に入り口に罠が仕掛けられており、普通に橋を渡って入ろうとすると&bold(){橋が突然閉じて城に入ろうしたキャラが即死する((バツンッと勢い良く閉じて血しぶきも出るため、まるで城に食われたような表現になっている。))。}
--これを突破するにはアンロックという魔法が必要になる。アンロックを習得するのはスカウトとマジシャンのみ。つまり&color(#F54738){''ファイターとプリーストしか居ないパーティはこの時点で詰む。''}

-戦闘がオートであり、しかも戦闘バランスは大味。
--敵、味方とも攻撃が命中するかどうかはステータスにもよるがランダムであり、ダメージ量も非常にバラツキがある。
---特に開始直後は初期装備を身に着けても勝てる時はあっさり勝てる、死ぬ時はあっという間に1人死ぬ、という事も起こりがちである。
---ちなみに後発のSFC版とは違い、戦力差が著しい場合は常に一桁台のダメージしか入らない。
--画面外のキャラ(現在操作中のキャラとは別の部屋に居るキャラ)と同じ部屋に敵が居ると、そのキャラと敵が勝手に戦闘を行う。放っておくと敵の増援が駆けつけていて囲まれて殴られていることも……

-基本的にBGMは無く、音が出ても鳥のさえずりやカエルの鳴き声などを意識した環境音&bold(){だと思われる}奇妙な鳴き声や風の音が延々と流れ続ける。
--ドラッケン王族が登場した時のみ、珍妙なリズムの変なBGMが流れ出す。しかも謎のボーカル(のようなもの)付き。
---更に戦う際には「ゴンガンゴンガンゴンガンゴンガンゴンゴンゴン!」という奇妙なフレーズのBGMが何度も繰り返される。
--上述の通り酒場では明るいBGMが流れる。教会でも一応BGMらしいBGMが流れるが、低音の陰惨な曲。

-グラフィックはフィールドは美しいが、反面ダンジョン内はかなり粗く、何がどこにあるのか非常に分かりづらい。
--ダンジョンではリーダーキャラ(切り替え可能)を操作して隣接する部屋のドアへと移動するのだが、この動きもかなりカクカクしている。

-フィールドの地図を表示する機能はあるのだが、現在位置は表示されない上に水辺等の地形があまりにも細かく表示されすぎて逆に分かりづらい。縮小しても拡大しても下手したらバグっているようにすら見える。

-シナリオそのものは一本道かつほぼ完全にお使いゲー
--キャラ設定そのものには光るものはあるのだが、ゲームのシナリオ自体は最初から最後の一歩手前まで「主人公たちが誰かに頼まれて動く」という展開になる。
--しかしラスボス撃破後の最後の最後にとんでもない謎解きが仕掛けられており、プレイヤーは突如として突き放される。それまでの各ダンジョンに置いてあった特定のメッセージの閲覧((ラスボス撃破後に見る必要があり、ラスボス撃破前に見ていてもダメ。))が必要になるため、チェックしていなかったプレイヤーは各ダンジョンを駆けずり回る羽目になる。

-一部のイベント演出が雑。
--とあるキャラに会いに行ったところそのキャラが殺されている、という場面があるのだが、&bold(){その死んでいるはずのとあるキャラがアニメーションして動いてしまっている。}&color(#F54738){''しかもプレイヤーが戦闘を仕掛けて撃破可能。''}
--その後、別のキャラがそのキャラの仇を討つことを誓うという流れになるのだが、上記の有様なのでなんとも興ざめなことになっている。
--上述の通り、&bold(){設定次第ではこの二人にもパーティキャラが自動で攻撃してしまう。}そしてこの頃にはキャラクターが育っているので撃破できてしまう。撃破したからと言ってイベントの流れが変わるわけではないが、非常に不自然な光景になることは確か。

-ドラッケン文字
--このゲームではドラッケン文字という架空の文字が使われている部分がある。アルファベットを記号に置き換えたもので、謎解きに関わることもあるが、「&bold(){プレイヤーが使用する魔法の名前が全てドラッケン文字で表示される}」という点でプレイヤーを大いに苦しめる。
--呪文は左下の剣のマーク(この状態のままだと剣攻撃をする)をマウスでクリックすることにより呪文名に切り替えて使用するのだが、ドラッケン文字なのでかなり分かりづらく面倒。更に一部のアイテムの詳細もドラッケン文字で表されている始末。
--取説にドラッケン文字の変換図解が載っているので一種のマニュアルプロテクトとも思われるが、ドラッケン文字を覚えないとまともに魔法を使うことすらままならない。
--移動中の魔法に関してはショートカットキーで使用することも可能なのが救いか。また、ドラッケン文字を翻訳する魔法もあるのだが、まずその呪文を唱える為にドラッケン文字で調べなければならないというなんとも本末転倒なことになっている。
--なおドラッケン文字が読めないからと無理矢理魔法を使おうとすると、その魔法を使用できない職業のキャラの場合、「お前のクラスでは使えない」と返される。

-ラスボス弱すぎ
--どんなカス当たりでも4や5はダメージを与えられるゲームでHPがわずか15前後しか無い。マジシャンが最強の剣で数発殴っただけで倒せる。全員で囲んで戦えばまさに秒殺。明らかに直前のボス二体の方がラスボスより硬い上に、ラスボスは設定上はかなり高位の魔術師なのだが魔法を使ってくることもない。最初に戦うことになるボスであるホドケンですらライトニングを唱えてくるのに……

**総評
「すぐに死ぬから」「何をしたらいいか分からないから」という理由で現在の価値観ではクソゲー扱いされがちな本作ではあるが、最初のダンジョンで装備を調え、寺院付近でレベルを上げればすぐに死ぬ事も無くなる。

ストーリーは「ドラゴン王家を巡る愛憎劇」であり、他に類を見ないという点では独特ではあるが、内実は良くも悪くも「お使いゲー」。「~したから~に行ってくれ」というものばかりである。一部多少分かりづらい謎解きや、非常に難易度の高い最後の最後の謎解きがあるが、行く先々の話を聞いてダンジョン中のメッセージをしっかり回収しておけば詰まるような事はない。

フィールドを自由に歩く感覚、刻々と切り替わる空の様子など、じっくりプレイすると独特の世界観に浸れる「味」のあるゲームである。多くの機種に移植されたことからも、それが窺える。

**移植
-''Atari ST版''・''IBM-PC版''
--いずれも1989年発売で、Amiga版に忠実な移植。日本版は未発売。

-''FM TOWNS版''
--1990年11月1日発売。日本国内でのみ発売。基本はAmiga版と同じだが、松井菜桜子、水谷優子、富山敬、古川登志夫、麦人などの豪華声優陣が声を担当している。
--特にAmiga版だと女性なのにえらい低い声で喋っている(ように聞こえていた)、ホドカ王女(水谷優子氏)、アーカ王女(松井菜桜子氏)が女性らしい美声で語りかけてくれる。

-''PC-9801版''
--1991年3月15日発売。発売はEPIC SONYからでパレットを高速で切り替えることによるハードの限界を超えた画面色数表示と多言語対応がウリ。また独自のBGMも設定されている、
--SFC版ほどではないが、難易度調整が入っていて敵の強さが弱体化している。

-''X68000版''
--1991年9月6日発売。発売はEPIC SONYからでハード制限以外の概要はPC-9801版と同一。
--PC-9801版より画質と音質が向上している。

-''Windows版''
--2018年2月9日よりPiko InteractiveからSteamにて配信。IBM-PC版の復刻。


**余談
-実はドラッケンの前身となる作品が存在する。
--Infogramesからコモドール64で発売されているファンタジーRPG「Mandragore」とSFRPG「Omega:Invisible Planet」という作品がそれで、4つの職業(omegaは異種族含む)から4人パーティを作成し、部屋で小分けされたダンジョンを攻略していくというのをドラッケンは踏襲している。
---この2作品の時点ではまだ3Dフィールドは採用されておらず、まだ当時の[[Ultimaシリーズ]]に近いフィールド移動形式で、ダンジョン内も1部屋1歩で移動するスタイルのものだった。

-Amiga版のみ、体防具を装備していない女性スカウトが胸を完全に露出させており、こういった表現に大らかな時代であったことを感じることができる。
--以降の移植版では下着を付けている。なお、スカウト以外の女性キャラの素体グラフィックは全機種で固定。

-上述の通り、女性ドラッケンは全員水着のような露出度の高い衣装を着ている。更に爬虫類?にも拘わらず胸もある。
--Amiga版の英語版取説の前日譚において人間が女性ドラッケンの村人の見た目に対して嫌悪感を覚える場面があり、ゲーム中の女性ドラッケンのデザインもわざと&bold(){セクシーなトカゲ}にしてプレイヤーのドン引きを狙ったような節があるが、価値観が多様化し別作品やカードゲーム等でドラッケンのデザインに近い女性のドラゴンキャラがそれなりに登場した現代から見ると逆に&color(#F54738){''時代を先取りしすぎた非常に尖ったデザイン''}となった。

-エンディングの最後に続編を示唆する一枚絵が表示される。
--当時の海外のゲーム雑誌で「Drakkhen2」の記事とプレイ画像の写真が掲載されていたが、発売されることは無かった。
この時雑誌に掲載されていた「ケザー島」などの設定の一部が[[スーパードラッケン]]にて使われることになる。

//-2018年2月9日に海外メーカーのPiko InteractiveからWindows版がSteamにて配信された。
//--起動時にDOSBoxを介していることから、IBM-PC版を復刻したものとなっている。
//適当に書いているようだがAmiga版じゃなくてIBM-PC版だぞ。

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//FM-TOWNS版の項は複数の項目の欠落があり、内容がほぼAmiga版と同一であることからそれらを補完することが不可能であるためCOして移植の項目にFM-TOWNS版をまとめています。
#co(){
*ドラッケン(FM-TOWNS版)
【どらっけん】
|ジャンル|RPG|~|
|対応機種|FM-TOWNS|~|
|メディア|CD-ROM|~|
|発売元|富士通|~|
|開発元|インフォグラム|~|
|発売日|1990年11月|~|
|定価|8,500円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|
|ポイント|''豪華声優陣''&br();''ハックハック ドラッケン!''|~|
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**Amiga版との相違点(FM-TOWNS版)
-基本はAmiga版と同じだが、松井菜桜子、水谷優子、富山敬、古川登志夫、麦人などの豪華声優陣が声を担当している。
--特に、Amiga版だと女性なのにえらい低い声で喋っている(ように聞こえていた)ホドカ王女、アーカ王女が女性らしい美声で語りかけてくれる。
-武器・防具は壊れない。

**余談(FM-TOWNS版)
-説明書の表紙はリアル調のパッケージとは異なりアニメ調の絵だが、そのためいっそう女性の服装が刺激的である((女性マジシャンの素体の服装に酷似。))。

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}
*ドラッケン(SFC版)
【どらっけん】
|ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B000068H0J)[[高解像度で見る>https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/71Y2p1%2B52qL.jpg]]|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|8MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|ケムコ(コトブキシステム)|~|
|開発元|Infogrames|~|
|発売日|1991年5月24日|~|
|定価|8,500円(税別)|~|
|セーブデータ|2個(バッテリーバックアップ)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~|
|ポイント|ノスタルジックなBGM&br();(これでも)改善されているゲームバランス&br();''ハックハック ドラッケン!''|~|

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**Amiga版との相違点(SFC版)
-キャラクターメイキングでは各職業1人ずつしか就けなくなった。
--このため、パーティ構成は必ずファイター(アマゾン)、スカウト、マジシャン、プリースト(プリーステス)になる。アーケン城での詰み防止対策と思われる。

-オープニングが微妙に変更されており、Amiga版には存在しなかった神がドラッケン島を作り、人間に最後のチャンスとしてドラッケン島に向かってドラゴンのために神が流した8つの涙という宝石を探すように神が伝えるという下りになっている。

-ゲーム中ヘルプ、及び解説メッセージの追加。
--上記のオープニングが追加され、更に最初にホドケン城へ行くようにプレイヤーに説明するようになった。更にゲーム中で操作方法のヘルプをいつでも開くことができる。

-店の廃止。その代わり、フィールド上で「さすらいの商人」とエンカウントするようになっており、そこでアイテムの購入と売却が可能。ストーリーが進むと品揃えも変わっていく。
--とある場所に元々存在していた「酒場」では必ず商人に会えるようになったため、これが従来の店の代わりの要素になっている。

-フィールドの地図が地形が分からない大雑把な表示になった代わりに現在位置と方角が表示されるようになった。
--一応、城と寺院と民家とセンターオブアイランドの位置は表示される。ただし酒場の位置は表示されない。

-最強の補助魔法「ドラゴンパワー((全ステータスが1レベル分上がった状態になる。ステータスが下がるレベルドレインとレベルドレイン状態を回復するリストアの魔法が削除されたのでその代わりの追加である。))」が追加され、マジシャンがレベル9、プリーストがレベル12で習得するようになった。その代わり、ヒールの習得レベルがプリーストと入れ替わっておりプリーストが先にヒールを覚えるようになった。
--上記の通りプリーストもドラゴンパワーを習得できるが、SFC版で想定されていると思われる平均クリアレベルは8前後のため((レベル9はプレイヤーが操作し続けたキャラがラスボス戦前までになんとか到達できるが、レベル10に到達するための必要経験値が意図的に稼がなければならないほど莫大))、プリーストは習得する前にゲームクリアになっている可能性が高い。
---ちなみにPC版のクリアレベルは18前後であったが、そもそもPC版とSFC版ではステータスの数値の基準が全く違うので根本的に調整が入っている模様。

**評価点(SFC版)
-理不尽な要素のほとんどが廃止されている。
--序盤の内にホドケンと戦えなくなっている、ホドケン城の鮫はホドカ城を訪問するまで登場しない、ホドカ城訪問後にホドケンに会うまでは草原の世界から別の世界に行けない、センターオプアイランドに入っても追い出されるだけ、アーケン城入口とハズルカ城入口の即死ギミックの廃止など初見殺しポイントがかなり減らされている。
--一方で星座の敵はそのまま続投している。相変わらず取説でも星座の敵の存在には触れていない。
--最後の謎解きも廃止されており、ラスボスを撃破すれば後はすんなりエンディングへ行ける。

-厳しいゲームバランスの緩和。
--初見殺しポイントの廃止もさることながら、ゲーム中でヘルプを参照することも可能になり、Amiga版に比べれば全体的に分かりやすくなりゲームの進行がスムーズになるようになっている。その他、敵が弱体化していて序盤でもそれなりに勝ちやすくなっている。
--寺院での治療費・蘇生費が無料になった。
--ドラッケン文字も廃止されている。そのため、翻訳呪文も没呪文となっている。
--アーカ王女と会話した時に最強の武具であるドラゴンソードとドラゴンクィラスを貰えるというイベントがAmiga版の頃からあるが、これが「アーカ王女と初対面の時にドラゴンソードとドラゴンクィラスを未所持のキャラが話しかけた時」に貰えるようになっているため、全員で話しかけることで人数分調達できるようになっている。
--ダンジョン内に居る時に、メニューコマンドから一瞬で外で脱出できるようになっている。
---Amiga版は基本的に自力で脱出しなければならない他、テレポートの魔法が使えないと詰んでしまう罠の部屋もあった。
--SFCの他のゲームと比較されてSFC版のドラッケンが難ゲーとして扱われることもあるが、&bold(){これでも元に比べればかなり優しくなっているのである。}

-BGMの大量追加。
--作曲は[[シャドウゲイト]]や[[ボンバザル]]を担当してきた増野宏之氏。BGMの曲数は25曲程度とかなり多い。曲のレパートリーも重々しいオープニング曲からSFCのケムコゲー特有のベース音を利かせたノリノリのキャラメイキング曲、旅情・旅愁をかきたてる各種の昼夜フィールドなど多岐にわたっている。
--フィールドは草原、湿地、雪原、砂漠の4種類あるが、それぞれにつき昼のBGM、夜のBGM、民家のBGMが専用に用意されている。
--プレイヤーが立ち入る事の出来るダンジョン(城)は6つあるが、これもそれぞれ異なるBGMが用意されている。
---この内、夜の草原の世界、夜の砂漠の世界、砂漠の世界の民家、アーケン城は特に必聴の価値あり。他のBGMも良質なものが揃っている。
--&bold(){よりによってAmiga版のドラッケン王族の戦闘BGMをほぼ完全再現している。}というか、変なBGMはだいたいAmiga版の再現。例外は&bold(){変な鼻歌のようなBGM}のメッセンジャーのBGMくらいか。
---酒場のBGMもAmiga版の再現アレンジとなっている。
--エンディングの曲はSFC版オリジナルで、冒険の終わりに相応しいしんみりとした曲になっている。

-イベントで殺害されたキャラが動かなくなりプレイヤーがトドメを刺すことも出来なくなるように修正されている。
--この時に流れる固有のBGMも切なげなものになっており、更にそれを引き継ぐ形でそのキャラの仇を討つことを誓うキャラの登場時にも同じBGMが流れるようになるため、演出面では大幅に強化されたと言える。

**賛否両論点(SFC版)
-敵が一度に一体までしか出てこなくなった。
--Amiga版では敵が二体まで同時に登場していた。
---この変更により当然難易度は下がるのだが、とあるキャラとの戦闘時にそのキャラが衛兵を呼んでいるのに衛兵が来ない((Amiga版では衛兵が増援として登場していた。))など作中の台詞と矛盾する場面も出た。

-ヒールメジャー(ヒールグループ)の効果変更。
--Amiga版のヒールグループはパーティ全員のHPを少し回復する効果だったが、SFC版ではヒールグループの代わりにヒールメジャーという魔法になっており、効果も一人のHPを完全回復になっている。戦闘時に弓以外の武器を持っている味方全員のHPが常に削られていくゲームなのでAmiga版の効果の方がHP管理を行いやすい一面もある。

**問題点(SFC版)
-難易度は相変わらず高い。
--難易度そのものはAmiga版に比べれば相当に易しくなっているのだが、それでも当時のJRPGに慣れたSFCユーザーにとってはゲームの進行が難しい。
--「ダンジョンで装備を集めて寺院の前で経験値稼ぎすれば良い」という進め方が分かれば何ということはないのだが、理解するまで何度も死ぬことになるのでそこまでモチベーションが保つか若干怪しい。当時は後述のケムコの事情もあってクソゲー扱いされることも珍しくなく、移植にあたり調整が入ってもスルメゲーとされる内容であることは変わらない。

-ダメージ表示が分かりにくい。
--流血表示が廃止された上に他機種では存在したメッセージウィンドウが存在せず、敵にダメージを与えた時はキャラのHP表示に「矢印付きの数字」、逆に敵からダメージを受けた時は「矢印無しの数字」が表示される。慣れない内は非常に分かりづらく、直感的とは言えない。

-弓矢強過ぎ
--SFC版では「ゆみ・や」という飛び道具である武器が異様に強力で、これさえあれば他の武器(接近戦用)は全くと言っていいほど必要が無くなる。
---なおAmiga版だと「ゆみ・や」は途中からカスダメージしか入らなくなるのでほとんど役に立っていなかった。恐らくバランス調整で敵の防御力を下げた結果「ゆみ・や」ゲーになってしまったものと思われる。

-一部のボスは強化されている((上記の衛兵を呼んで戦わせていたボスが衛兵を出せなくなったので、Amiga版では使わなかったパラライズの魔法で麻痺させてくるようになった。))が、ラスボスは相変わらず弱いまま。

-グラフィック面はやや劣化した。
--グラフィックそのものはAmiga版のものをそのまま使ったり手直しして使用していたりするのだが、流石に滑らかなアニメーションの完全再現が出来ず、敵の動きが若干カクカクするようになった。
--ダンジョン内のオブジェクトの種類が減っており、例としてAmiga版では小さなベッドが置いてあった部屋がただの部屋になっていたり、どのような部屋なのかより分かりづらくなっている。また、ハズルカ城がハズルケン城と同じ内装になっており状況が把握しにくくなっている。
--やや気付きにくいが、ホドカ王女のグラフィックの翼が若干バグっている。

-砂漠の敵のイリュージョンが生音声を入れられなかったのか「&color(#F54738){アアーン アアーン}」と吠えるだけになった。それでもインパクトの強さはあるが。

-一部の敵の削除。
--Amiga版ではダンジョンの扉を潜ろうとすると突然現れるトラップドアという敵が居たが、SFC版のゲーム中には登場しない。ただし没データにはグラフィックが残っている。

-要素の撤廃・簡略化により無意味になっていたり分かりづらくなっているものが多い。
--ダンジョンからはメニュー画面から脱出できるようになっているため、スカウトが習得するテレポート(ダンジョンから脱出する魔法)の存在意義が分からなくなっている。
--「あきビン」というアイテムこそあるが、Amiga版と違ってダンジョン内の泉の水を汲むことはできないので、売って金にするだけの存在になっている。
--「ナクトカ城はグレート・アイス・バリアー(崖のように切り立った山)の上にある」という情報があるが、地図が簡略化されているせいでグレート・アイス・バリアーが何のことなのか全く分からなくなっている。
---Amiga版の地図であれば北西に不自然に何もない空間があるのが分かり、その中央にナクトカ城があることが分かるようになっていた。
--最後の謎解きは廃止されているが、関係するメッセージは削除されていないので、PC版を知らないと意味不明なメッセージにしか見えない。

-翻訳をミスしていたり、変な改変を入れていてよく分からないことになっているメッセージがある。
--草原の世界の寺院の僧侶・ドレッケン((寺院の僧侶はPC版だと名無しでSFC版のものはオリジナル。PC版で説明されていたエンディングの4体の神(ドラゴン)の名前から取られている。))は最初は敬語で迎え入れてくれるが、会話を行うと唐突に尊大な口調に変わる。
---「さあこちらへどうぞ皆さん!! あなたが誰であろうと私は傷を癒して差し上げることが喜びと感じます。治療を望む方は前へどうぞ!! それとも私とお話をなさりに来たのですか?」→「&bold(){よく来たな!!わしはこの寺院の司祭ドレッケンだ。お前たちがここに来ることはずっと以前から分かっていたよ}」
---エンディングにもドレッケンは登場するがここでも上から目線で高圧的。…ちなみにドレッケン以外の寺院の司祭は全員敬語である。
--空の世界の寺院の司祭・ウィッケンは会話で蘇生時に所持金を要求するような口ぶりだが実際は他の寺院同様にタダで蘇生してくれる。PC版の原文を翻訳したまま書き換えられていないようだ。
--ナクトケン城に訪問した時に出迎えてくれるのがナクトケン王子の従者ではなくナクトケン王子本人になっている。この影響でナクトケン王子が従者の代わりにプレイヤーに「来るのが遅すぎる」という嫌味を飛ばしてくる人物になっている。
---ナクトカ城に入れるようになる説明が「従者からナクトカ城の城門を通過できる魔法のリングを貰う」ではなく「ナクトケン王子本人がナクトカ城の警備兵を始末する」と展開が全く変わっているため、翻訳ミスではなく意図的なものである模様。しかし一枚絵で表示されているのがナクトケン本人ではなくホドカ城の従者と共用の小人のまま。
--アーケン王子、ナクトケン王子の口調が一定していない。
---アーケン王子はドレッケン同様に最初はプレイヤーに対して慇懃無礼な敬語で話し、途中でいきなりキレ始めるパターンだが、元々人間に対して敬語で話すような性格ではない凶暴かつ残忍な人物であるという情報が事前に聞けるのでこちらはそういったキャラクターだと受け入れることはできる。ただしPC版本来のアーケン王子は最初から高圧的に啖呵を切ってくる人物である。
---ナクトケン王子は最初はプレイヤーに対して敬語であるが((前述の通りSFC版におけるナクトケン城でのナクトケンとの初対面は本来ナクトケンが居ない場面であるため、ここはSFC版で追加された部分である。))、某イベントで不自然に激昂した口調でプレイヤーに命令し、イベントを進めると再び敬語に戻るという有様なので違和感が強い。PC版本来のナクトケン王子の口調は人間に対して勇ましいもので、某イベントで激昂している時のものが正解である。
---なお、PC版の日本語移植版ではこれらのキャラクターの口調はSFC版のドレッケンのような尊大な口調で統一されている。

-メッセージを端折りすぎていてSFC版では判明しないことが多い。
--特にアーカ王女のフルネーム((アナク・ドラック・アーカ。前日譚冒頭の最後のドラゴンの断末魔の呪いの言葉であるANHAK DRAKKHEN AGHNAHIR HURTHD(偉大なるドラッケンの時代よ、新生せよ)から来ている。ちなみにアナーク・ドラッケンと叫ぶNPCはSFC版にも居るが、やはりハックハックドラッケンと同様に説明は無い。))や、ドラッケン王族が兄弟以外も全員いとこ同士((つまりハズルケン王子とナクトカ王女は近親婚になる))であるということ、マッド・ドッグが出てくる墓にはかつてアーカ王女の軍と戦った反逆者が葬られている((つまりPC版では墓にぶつかると敵が出てくることに理由付けされているのだが、SFC版ではそれが無い。))という設定などはSFC版では知る由も無い。知らなくても物語の大筋には関係無いが、PC版の壮大な世界観を狭めている一因にはなっている。

-SFC版の取説には前日譚が全く書かれておらず、SFC版の各攻略本でも世界観に対してそれほど深い内容に突っ込んでいないため、PC版のハンドブック等を読まないと設定の全貌を知ることができない。
--Amiga版での記述通り、「&bold(){ハック ハック ドラッケン!!}」が意味不明な叫びになっているのもこれが原因。
--そもそもオープニングからして変更されているのでPC版の前日譚をそのまま使えない事情もあるが…

-アーカ城のBGMが敵側のドラッケンの城よりも何故かおどろおどろしい上に緊迫感を煽るような曲調でミスマッチ。人間に友好的なドラッケンの本拠地で、別に衝撃的な事実が明らかになるような場所でもないのだが…


**総評(SFC版)
元々独特な個性を持っていたゲームに情緒のあるBGMが追加されたことで、ドラッケンが持つ世界観の神秘的な雰囲気が更に増幅された。

相変わらずゲームバランスが尖っていて人を選ぶものの、移植に伴い調整されたことでAmiga版に比べればずっと簡単かつ簡潔になっている。

夜の草原の世界や夜の砂漠の世界の夜空を眺めながら((メニューを開いてメッセージを出している最中ならエンカウントしない。))美しいBGMを堪能するということもできるため、興味があれば手に取ってみるのもいかがだろうか?

**余談(SFC版)
-[[ボンバザル]]同様、当時のケムコはクソゲーメーカーとして悪い意味で名を馳せていたことで、本作品もまた抱き合わせ販売やワゴン販売の常連だった。
--もっともパズルゲームとしての体裁は保っていたボンバザルと違い、こちらは元からプレイヤーを選ぶ内容なのは否定できない。

-エンディングの最後に続編を示唆するメッセージが表示される。
--その後、1994年8月26日に続編にあたる[[スーパードラッケン]]が発売された。

-エンディングを迎えた時に死亡しているパーティメンバーの数によって、スタッフロール中の1シーンに出てくるギターの数が変わるというイースターエッグがある。
--更にこの場面でパンク頭のロッカーの顔という特殊なグラフィックが表示されることがある。パーティキャラがゲーム開始から一度も死亡していない状態であれば登場するという情報もあったが、解析によるとこの部分の判定はゲーム中の数値をかなりでたらめに参照しているため、どのような条件で登場するのか全く不明となっている。

-没メッセージが多い。
--「バキッボコッ!!」「〇〇のダメージをあたえた」と、開発途中ではメッセージウインドウが存在していたことを窺わせるものがある。「お前のクラスでは使えない」「もう知らんぞ。しね!虫けらどもめ!((PC版で序盤のホドケンに不用意なタイミングで話しかけて怒らせた時の台詞))」というものまで。
--「ホドカが保護していた人間が捕らえていたアーケン城から脱走したので、それを捕らえるようにアーケンへ指示するハズルケンの手紙」「ナクトケンが自分の城から逃亡した旨をナクトカへ伝えるナクトカの部下の手紙」「星座について解説してくれる、ハズルカ付きの天文学者」といういかにも重要そうなメッセージもROM内にあるが、PC版にもSFC版にもこれらのメッセージが表記される場所は無い。

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