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HOSPITAL. 6人の医師 - (2021/02/03 (水) 17:31:11) のソース

*HOSPITAL. 6人の医師
【ほすぴたる ろくにんのいし】
|ジャンル|医療ドラマ|#amazon(B003NCWWCQ)~|
|対応機種|Wii|~|
|発売・開発元|アトラス|~|
|発売日|2010年6月17日|~|
|定価|6,980円|~|
|プレイ人数|1~2人|~|
|レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~|
|配信|【WiiU】2015年8月19日/2,700円(税8%込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[カドゥケウスシリーズリンク>カドゥケウスシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
アトラス初の医療ドラマゲーム。タイトルは異なるが、『[[超執刀カドゥケウス]]』シリーズの5作目の位置づけとなっている。~
今作は手術アクションでは無くストーリーを重点に置いた医療ドラマになっており、これまでのシリーズ作品より一般ユーザー向けの難易度になっている。

ディレクターは『[[カドゥケウス NEW BLOOD]]』(以下、前作)と同様、金田大輔氏。音楽は[[ペルソナシリーズ>女神転生シリーズ#id_c8e64bff]]にも関わった喜多篠敦志氏、目黒将司氏などが担当。

更に今作は『[[カドゥケウスZ 2つの超執刀]]』から2年後の世界を背景としており、同名の地名やキャラクターが登場する。
//--例を挙げると、6人の医師の一人は『カドゥケウスZ』の主人公の一人である。
//--シリーズのメイン主人公であったダクタァツキモゥリも声や後ろ姿で登場し、終盤で重要な役割を果たすことに。

**特徴
-前作の「カドゥケウスシリーズ」から大幅に変化した。
--''主人公ごとにシナリオと担当医が分かれており''、それにより求められる目的や操作も異なるようになる。
--ゲーム内容は大まかに「ストーリーパート」と「手術パート」に分かれているが、前作では基本的に内科手術であった手術パートが、今作では様々な内容に変化している。詳細は「6つのパート」の項にて。
--どのストーリーも最初からできるので(最終ストーリーは除く)好きなストーリーからプレイ出来る。
--全てのシナリオをクリアすると、時系列が同一の共通ルートが解禁される。
--難易度は2段階に設定可能。クリア後は3段階に。
-全てのシナリオはスコアアタック、条件を満たすと取得する「ドクターメダル」などのやり込み要素が存在する。
-難易度は一般向けで、旧作に比べると低い。説明書にもその旨が書かれている。
--しかし最上級モードでのみ取得可能なXSランクの取得条件は「正にアトラス」と言わんばかりの難易度に設定されている。
-前作と同じく日本国外での発売が意識され、その配慮や変更点がなされている。
-前作のように多人数プレイに対応している((外科では、手術器具はあらかじめプレイヤーごとに個別に使える器具を設定する等))。
-何故か旧仮名使いが多い
--「ごめんなさい」→御免なさい、ありがとう→「有難う」、いる→「居る」、なる→「成る」などに変換されている。

**6つのパート
-''外科は懲役250年の囚人番号CR-S01(cv:櫻井考宏)が担当医。''
--前作とほぼ同じシステムとなっているが、以前の月森のような超執刀が発動できない。
--縫合の位置が出るようになり、電気ショックの速度が低下した。
--メス中のバイタル低下と時間制限が無くなった代わりにミスに制限はある。
--囚人且つ記憶喪失という奇妙極まりない設定だが、彼が記憶を取り戻した時、物語は大きく動き出す。
---敬語になったり、タメ口になったり口調がよくずれる。
-''救急救命は現場のヒーローを目指すマリア・トレス(cv:生天目仁美)が担当医。''
--基本的な操作は外科手術に似ているが、術式は一定の順序を踏み一つずつこなしていく形式で、特定のガイドに沿って・合わせて操作する。
--同時に3~5人を相手にして早急に応急処置(大体外科と同じ)するのだが、応急処置が目的なので使える道具は少なめ。各患者の容体はリアルタイムで悪化していくので、適宜患者を切り替えて処置しなければならない。
--現在処置中の患者以外のバイタルゲージはトリアージタグで表示され、どの患者がどれくらい危険な状態かが一目で分かる。バイタルがゼロになった患者は死亡してしまう。時間制限は無いが、リミットとして設定された人数以上の患者が死亡するとゲームーオーバー。
--前作にあった事故や道具制限を独立化させた様なものである。
-''整形外科は元軍人で平和と正義を愛するハンク・フリーバード(cv:菅原正志)が担当医。''
--スピードと判断力が求められる外科・救急救命に対し、冷静と正確さを求められるイライラ棒のような手術である。
--処置に失敗するとミスリミットが減っていき、計10回ミスでゲームオーバーになる。よって、速さよりも正確さを重視した手術を要求される。
--なお、処置を中断せずにかつ正確に行うことで、評価点の一つであるチェインが加算されていく。チェインが一定量に達するごとにBGMが変化する。
--手術の精密さとは裏腹に、ムービー中ではとにかくパワフル。&bold(){病院内では静かに!}
-''内視鏡は、いつでも優雅でワビサビ礼儀を忘れない大和撫子の様なトモエ・タチバナ(cv:伊藤静)が担当医。''
--人体の中に入って治療する、『[[真・女神転生]]』や『[[世界樹の迷宮]]』のような3Dダンジョン形式のパート。
--出血、ポリープなどの患部を適切な道具を使って処置する。これは他のパートと同様だが、器具の狙いを定めるなどの主観視点ならではの操作性が楽しめる。
--人体内にぶつかると患者がダメージを受ける。3Dダンジョンだからといって無闇に壁にぶつかってはいけない。慎重且つスピードも求められる。
--日本人キャラだが、設定や演出周りに(わざとやっているのだろうが)カンチガイニッポン臭が漂う。
-''診断は咥えタバコが印象的なガブリエル・カニンガム(cv:藤原啓治)が担当医。''
--患者の話を聞く問診、聴診器を使った聴診、外見上の異常を確認する視診、これらの診断から得た情報などで病名を突き止めるなど最も医師らしいストーリーである。このパートはセーブが可能。
--医学用語が大量に登場するが、基本的に間違い探しの要領なので専門的な知識は必要無い。
--ミスリミットが設定されており、症例判断や診断を誤ると減少し、5回ミスするとゲームオーバーになる(間違いではないが、正解でも無い判断選択肢も存在する)。
--聴診時の音声はWiiリモコンからも出力可能。
--診断補助端末「RONI」との漫才のような掛け合いが笑いが誘う。
--尚、患者には女性もいるので''診察で下着が見れる。''((現実の診察時には女性は服の中に聴診器を入れるだけである。))
-''検視は『カドゥケウスZ』にも登場した余命半年のミラ・キミシマ(cv:渡辺明乃)が担当医。''
--ミラ・キミシマは死者の最後の声が聞こえるという能力を持っており、遺体の検分や遺留品、現場検証、証言者の話などを総合し、事件の真相を推理、解明していく。このパートもセーブ可能。
--集めた情報はヒントカードとしてまとめ上げられ、捜査官に分析を依頼したり、2つのヒントカードから1つのヒントカードにまとめあげ、最終的に証拠カードにする。すべて集めたら証拠カードを用いて最後に犯人の証明を行う。
--ミスリミットが設定されており、選択クイズ形式の推理や犯人証明で判断を間違えると減っていく。10回ミスするとゲームオーバーになる。
--ちなみに、明らかに場違いな、いわゆるボケ選択肢が含まれていることがある。
--カドゥケウスZに登場した、彼女の相棒のリトルボーイとのやり取りも笑いを誘う。

**評価点
-''6人の主人公のストーリー''
--「リザルガム・ファーストケア」という病院を舞台に、六人の医師をそれぞれ主人公に据えており、一見何も関係なさそうな6人の医者が病院を中心に様々に絡み合う。具体的にはマリア・トレスが応急処置した患者をCR-S01が手術する、ハンクの手術をカニンガムがサポートする、など。
--前に進めた主人公が別のシナリオでは脇役という、『[[街]]』『[[428>428 ~封鎖された渋谷で~]]』のような複数主人公性ならではの様々な主観、主点で見れるようになった。
--6人の様々なキャラ、シナリオ、ゲーム性は飽きが来ず、ぐいぐい没頭するプレイヤーが多数。
--そのキャラ達を演じる声優陣にも、上述したように櫻井孝宏氏や生天目仁美女史等相当な有名どころが多数起用されており物語への没入感を深めてくれる。
--また手術パートにもストーリーが食い込んでおり、手術パート中に涙する人もちらほらいるとか。
--今回は旧作のギルスやスティグマのような化け物じみた病原体は基本的に登場せず、純粋に病や怪我の治療に専念することになる。それ故に、医療ドラマとしての完成度はより高まっている。
--そして終盤は6人が一丸となって最凶の病魔に立ち向かっていく怒涛の展開が繰り広げられる。

-''ゲーム性''
--以前よりカドゥケウスシリーズはWiiに適したゲーム性で評価されているが、今回も好評。
--新しく追加されたWiiリモコンとヌンチャクを使った手術(診断、検視)は、実際に処置を行っている様な錯覚をもたらして没頭感が高い。
--前作のカドゥケウスシリーズでは患部をどう処置すればいいかわかりにくい~
(説明があったが前のことなので忘れたり)ということもあったが~
今回は患部には適切な器具のアイコンが表示されたり、ピンセットを使う場合はどの方向に持ち上げるのか矢印が出るなど視覚的にわかりやすくなった。

-''BGM''
--今作は音楽も良くED曲の「Gonna be here」は公式サイトでも流れており、サウンドトラックにも勿論収録されている。
--サウンドトラックには、「Gonna be here」をFC音源のようにしたボーナストラック「ごなび~ひあ」も収録されている。

-''アニメーション型のコミック形式が採用''
--シナリオの表示形式は前作までは対話形式であったが、今作ではアニメーション型の綺麗なグラフィックのコミック形式が採用されている。斬新なムービーはそれ単体でも楽しめる。
--『[[エクストルーパーズ]]』や『喧嘩番長6』のようにコマの中で実際にムービーが流れるのではなく、キャラの立ち絵や一枚絵を動かしてアニメーションのように見せている。
---しかしその演出が巧みでストーリーの没入感は高く、バスが突っ込んでくるシーンやハンクのタフさなど迫力のあるシーンもしっかり表現している。
--中には瞬間移動や人間離れした怪力など、コミック風だからと開き直ったようなぶっ飛んだ演出もある。

-その他
--今回は外科以外も増えた関係でより生々しい表現になるかと思いきや、前作よりも綺麗になり且つデフォルメ化されて生々しさも逆にほぼ無くなった。

**不評点
-''各パートのバランスが悪い''
--平均プレイ時間は30時間弱程度と、旧作よりかなりボリュームアップしているように思えるが、その多くは診断と検視パートで占められる。
---手術パートは素早さと正確さが求められるアクションゲーム。診断、検視パートはじっくり謎を解くアドベンチャーゲームである為、必然的にプレイ時間には大きな差が生まれてしまう。
---各主人公のステージ数は最終章を含めても全員ほぼ平等だが、1ステージに掛ける時間が全然違う分、パートのバランスの方は逆に不平等になってしまっている。
---診断は他より少なめだが、検視は他とほぼ同数。
--また、ストーリーを重点としているため仕方のないことだが、ムービーが多め。パートの偏りもあって手術パートに掛ける時間は従来より少ない。
-シナリオ選択次第でネタバレや話の理解に支障が出る
--今作の前半は6人の医師の物語を自由に選べるのだが選び方によっては時系列が前後したり他の医師のネタバレになってしまう。
---特に割りを食うのが診断医で、彼のシナリオは患者の病名を解明して適切な担当医に治療を依頼して終了という流れなのだが、先にそちらの医師のシナリオを見ると''患者名と病名が最初に示される''。
---逆転裁判シリーズで例えるなら裁判に挑む前に真犯人の名前だけ明かされるようなもので、謎を解く過程の楽しみは残っているが興が削がれることには変わりない。
--他にも作中の重要人物が重病や大怪我で治療するシナリオをその人物の初登場シナリオより先に遊ぶことも可能で、それを防ぐような仕組みはない。
--シナリオ選択画面はちゃんと各医師たちが作中の時系列中で何をしているのかわかる構成なので、プレイヤーが時系列順になるように意識してシナリオを選べば問題ないのだが、ゲーム中はそのように示唆するわけでもなくむしろ自由に選ばせようとしているため中心人物らしい外科を先に一通り遊んで次にほかの医師を…と選ぶと診断パートで割りを食う。
--とはいえ実際どの順番で遊んでも診断のネタバレや話の流れがややこしくなるだけで本当に物語が理解できなくなるほどではない。
-''立ち絵が不十分''
--服装の差分がほぼ皆無で、普段着のまま手術室に入ったりプライベートで白衣を着るなどの不自然なシーンが多々。
---前作ではその辺りの配慮がなされていたが、今作はそれが無い。シャワーシーンでもタバコを咥えてることだけはネタ的に言い訳していたが。
---『[[救急救命 カドゥケウス2]]』でもプライベートではちゃんと私服姿だったのだが。
-診断パート
--''専門用語が多い''
---診断でかなりの専門用語が使用されるが、それについての説明が無い。
---従来作にもそういった用語辞典的な物は無いが、手術アクションメインであった為あまり必要はなかった。
---だが今回の診断の操作は、知識が無いと何をしているか理解できないため説明が欲しかったという意見がある。
---一応、病気の説明はある。また、詳しく理解しなくともクリアできる作りにはなっている。((わかりにくい上に実際見なくてもクリアできるのだが、分析検査の各項目をチェックするとその項目の説明が出る。医学的なうんちくに加えてこの項目の数値が悪いとどの臓器が異常なのかのヒントにもなっている。))
--現実の医学に関する知識などはクリアには必要なく、あっても作中で解説されるのだがクリア後のオマケ収集要素では''検死に関するガチ知識が必要なクイズが出題され、これについての情報は作中にはない。''どういう考えで設定したのかは不明だが人間の検死について詳しい人間は限られると思うので素直にネット検索を活用して解くことを勧める。
--''画像診断検査''
---CTスキャン、X線などを使って患者の体内の異常を発見するのだが、序盤はまだしも後半は些細な変化を見つけなければならない。
---正常時の写真と見比べる事は勿論可能だが、それでも見分けが付きにくく、素人のプレイヤーには少々難易度が高い。
-''内視鏡パート''
--内視鏡は【突く】という動作で進めるのだが、''Wiiリモコンが【突く】という動作を苦手としているため動かしづらい。''前進はリモコンをつきだすのに対し、後退は十字キーで操作できるため前進も十字キー対応にして欲しかったという意見がある。
--また内壁に当たらないよう動かす必要があるのだが、曲がる事が難しいのでカーブしている箇所はよほど慎重に操作しても当たってしまう。
--加えて内視鏡はかなり腕を使うため、''腕が疲れて長時間プレイできなくなる。''
-''一部明かされない伏線がある''
--ガブリエルと息子、ガブリエルとミラの関係、ミラの能力、などいまいち解明されていない所がチラホラ。
--終盤は大いに盛り上がるのだが、エンディングの方はかなりあっさりで物足りなさが否めない。
--一応公式サイトに容量が足りなくなったというアナウンスがあり、その影響の可能性もある。

#region(''ラスボスがあっけない ※ネタバレ注意'')
-『1』のサヴァト、『NB』のカルディア、『2』のアレティアと、旧作のラスボスはいずれも様々な形態があり、長期戦を強いられる上に初見殺しのオンパレードと手強い相手ばかりだが、今回のラスボス「ロザリア変異種」はそれらと比べ物にならないほど弱い。
-本体との対峙前にはそこそこの関門が立ち塞がるのだが(それでも旧作より遥かに楽)、本体との直接対決では指示通りにやればあっと言う間に決着が付いてしまう。
-このラスボスに対し、主人公達は常識ではとてもあり得ないような術式で挑んでいる。これが成功すれば奇跡だ。…という雰囲気は伝わってくるのだが、肝心のゲームとして拍子抜けな形になってしまっている。
#endregion


-クリアの後のおまけがいまいち
--笑顔の練習をするCR-S01や女の子らしい服を着るマリアなどのボイスドラマが出るだけ、一枚絵ぐらい欲しい物である。

**総評
まだまだ快適性などに問題はあるが、カドゥケウスシリーズが正統進化した作品であり、6人の医師を重点に置いたストーリーはアトラスの中でも屈指の出来。~
Wiiというハードの機能を存分に使い切った作品と言っても良いほどの作品である。