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WILLOW - (2016/07/19 (火) 08:19:29) のソース

*WILLOW
【うぃろー】

|ジャンル|アクションロールプレイング|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/91GGWF0yhBL._SL500_AA300_.jpg,height=200,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HL6)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売・開発元|カプコン|~|
|発売日|1989年7月18日|~|
|定価|5,900円(税別)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|ハイレベルな演出、バランスの良いゲーム&br()&bold(){不親切なセーブ}、原作の影の薄さ|~|
#contents(fromhere)
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**概要
1987年の同名のファンタジー映画を元に作られた2Dアクションアーケードゲームを、さらにファミコンにリメイクして移植したゲーム。~
ただし移植とはいうがゲームのジャンルは大きく変わっており、ゲーム名やキャラ設定が一部共通するだけの別物である。~
大元の映画のタイトルが『WILLOW』である事や、その他殆どのウェブサイトにおいて同表記が用いられているためこの記事もそれに倣っているが、FC版パッケージには「W・I・L・L・O・W」と中黒点が1文字ごとに入れられている。「ウィロー」とカタカナのサブタイトルが付属しているのは同じ(パッケージには無いがソフトにカタカナはついている)。

『[[リンクの冒険]]』などをイメージしてもらうと想像しやすい、トップビューのアクションRPG。~
お金の概念が無いため武器防具その他のアイテムは全てイベントでの入手だがその数は多く、剣と盾と魔法アイテムを1個ずつ装備し、使い分けて敵を倒し、ダンジョンの謎を解いていく。

**あらすじ
問題点の部分を分かりやすくするため、原作のあらすじも併記する。

-原作のあらすじ~
小人族の農夫兼魔法使いのウィローは、ある時人間の赤ん坊を拾う。~
ウィローはこの人間の赤ん坊を人間の世界に送り返す役目を任されて赤ん坊と共に旅に出る。~
途中で仲間を加えながら旅を続けるウィローは、やがてこの人間の赤ん坊の正体と、それを巡る強大な悪の魔法使いとの戦いに巻き込まれていく。

-FC版のあらすじ~
天空と大地の使者の魔法によって護られた世界。~
長く続いていた平和は、ある時天空からの使者バブモーダが自らを「全ての人の長」と名乗り出したことで終わる。バブモーダは大地からの使者フィンラジールを醜いネズミに変えてしまい、世界征服へと乗り出した。~
これを倒し止められるのは、選ばれた勇者である「ウィロー」ただ一人。

**評価点
-アクションRPGとしての出来はかなり良い。
--基本は剣を手に入れて装備し、剣を振る事での攻撃だが、単にボタンを押すだけに留まらず、前(向いている方向)に十字キーを押しながら攻撃すると剣を「振る」のではなく「突く」アクションになり攻撃の質が変わるので使い分けられる。
--その剣を振るアクション1つ取っても、レベルが低いうちに上位の剣を急いで手に入れて装備しても「使いこなせない」ために剣を振るスピードが遅くなるので、場合によっては下位の剣を使い続けた方が良い場面もある。
--敵も一直線に向かってくるもの、ランダムに動き回るだけのもの、地形を無視して飛行してくるものなどバリエーションに富む。
--同じマップでも敵との戦闘中か否かでBGMが切り替わる仕様もついている。また、戦闘中は背景の草むらなどが激しくざわめくなどの演出も存在する。
-NPCの作りこみもしっかりしている。
--出番を削除されてもおかしくなかったマドマーティガンの友人であるエアク・ソーベアはおろか、ネルウィン村一番の剣士ボンカーまで登場する。
--容量の問題からか、この時代のゲームは特定の重要キャラ以外は全て同じ顔で特定の汎用セリフを喋るのみ、というケースも珍しくないが、このゲームにおいては会話可能なNPCには全て顔グラフィックが与えられており、セリフもバリエーションがかなり多い。使いまわしは無い訳では無いが、時代を考えればかなり少ないほうと言える。
--登場する敵も原作にかなり忠実。
---オリジナルの敵も多い一方で、死の犬、トロル、エボルシスク((双頭の竜。ちなみに映画と原作で名前が違う))、ケイル将軍などもちゃんと出る。
-魔法も割と原作通り
--敵を石化させるドングリ、変身、子豚など原作を知ってるとニヤリとできる物も。

**問題点
-原作を持つゲームとしては見過ごせない程に改変が行われている。
--主人公のウィローは原作及びAC版では魔法使いであり、肉弾戦は殆どしない。するのは仲間の剣士・マッドマーディガンなどの役目であるが、FC版では魔法も剣もウィローが全部使う。
---マッドマーディガンはウィローと会う度に誰かに捕まっているという役どころであり、もはやネタキャラ化している。
--バブモルダのライバルで対になる善の魔法使いフィン・ラジエルは出るには出るが、もうちょっとこう、手助けというか、出番というか……。
--パッケージに書かれているバブモルダの娘であるサーシャ姫。唐突に出たかと思えばマッドマーディガンに口説かれて即鞍替えし、ノックマール城への道を教えるというフットワークの軽さを見せている。 ちなみに出番はそれだけ。
//マッドマーディガンはそもそも出てこない。
//↑マッドマーディガンはNPCとして申し訳程度に出る。
--旅立ちの理由である赤ん坊がいない。いや、登場はするが序盤は出てこない。これによりウィローは旅立つ動機そのものを消失し、「悪い魔法使いがいるからやっつけてこい!」という魔法使いの命だけで旅立つ。一応、敵を倒し得る力を持つのは選ばれた戦士であるウィローだけだ、というような事は言われるが。((原作のウィローは戦士ではなく、魔法使いへの弟子入りを志望する農夫である。))
---赤ん坊こと「エローラ・ダナン」は原作で冒頭で殺された乳母が保護していて、ゲーム中盤に登場する。ただ、既にウィローはバブモルダと戦うことを決意してるわけで、ストーリー的にもちょっと変な感じがする。
--一方で脇役だったはずのエアク・ソーベアはウィローに伝説の剣を渡し、道を指し示し、格好いい台詞でウィローを激励するなどなぜかの大抜擢。
--ファミコンというハードの制約上、魔法と剣とで役割を分担して複数キャラを出すとか、主人公以外をキーパーソンに置いたストーリー展開をするとかは長くなるのでできなかった可能性もあるにはある。~
ちなみにパッケージイラスト一番手前の人物が、ウィーウィック・デイビス演じるウィロー・ウフグッドである。
-''パスワードの仕様が極めて不親切''。
--本作はアクションRPGであり、1時間や2時間で終わるようなボリュームではないため、途中の中断が必須である。このゲームではパスワードによる再開という形で中断が可能なのだが、これがなんと''死んでゲームオーバーになった時しかパスワードが表示されない''。~
つまり任意でゲームを中断する事ができず、中断するには無意味に敵に突っ込んで自殺をしなければならない。
--しかも、こんな仕様ながらデスペナルティが存在する(死ぬとそのレベルに上がってから溜めた経験値が全て消失する)ため、''ゲームを中断するという、人間がゲームをプレイする上で絶対必要な行為に対してペナルティがついている''も同然という理不尽な仕様。
---見方を変えれば、ペナルティと言うよりは単にパスワードを短くするために[[端数を無視している>星をみるひと]]だけかもしれない((要はパスワードに入っているのはレベルだけで経験値は入っていないと言うこと。))。

**総評
-発売前の雑誌広告などでも「ジョージ・ルーカスの映画がゲームになった!」などという宣伝文句が使われていたため、原作映画のファンの人が忠実なゲーム化を期待してプレイすると「何これ」感に襲われるであろう改変ストーリー。おおよその流れや世界観は沿っていると言えなくも無いが、主要人物が何人も削られてしまっているので違和感は否めない。~
しかしそれを除けばゲームとしてはかなり綺麗にまとまって出来上がっているので、十分楽しめる。削られたストーリーも、これ単体で見ればそこまで破綻している設定でもなく、前知識全く無しの人ならさして抵抗無く受け入れられる範疇であろう。~
それだけに、「死なないとセーブできない」というただ1つの点が惜しまれる。

**余談
-特定条件下で「あらゆる地形を素通りして好き勝手に歩いて進めるようになる」という(おそらく)[[デバッグ用の裏技>クルーズ チェイサー ブラスティー]]がある。
--ゲーム攻略でこんなものを使うとバランスも何もあったものではないが、特定のパスワードを使用して開始した状態で尚且つ2コンを併用しないとできない裏技なので、普通にプレイする分には全く影響は無い。
--パッケージ裏に載っているプレイ画面サンプルが「スタート地点でレベル1なのに経験値9万を持っている」と言う裏技を使っているようにしか見えないもの。尤も当時はデバック用の画像をそのまま使っているのか、パッケージ画像の数値が滅茶苦茶な物は本作以外にも多かったが。
-サクセスのシューティングゲーム『コットン』(1991年)において主人公コットンの好物「WILLOW」は菓子の「ういろう」と本作(の原作映画)を掛けたパロディと思われる。シリーズ化した事や2003年にはパチスロにもなったため、2000年代の日本ではパロディの方が有名と言う事態に。
-作中には原作に出ていないワシ族といった亜人が出るが、じつは設定ではちゃんと存在する種族だったりする。
--全三部作の一大ファンタジーになるはずだった続編小説にちょっとだけ出てたりする。