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ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー - (2021/01/14 (木) 00:23:02) のソース

*ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー
【どらごんくえすともんすたーず じょーかー】
|ジャンル|ロールプレイング|&amazon(B000BQYJO6)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|メディア|1024MbitDSカード|~|
|発売元|スクウェア・エニックス|~|
|開発元|トーセ|~|
|発売日|2006年12月28日|~|
|定価|4,800円|~|
|廉価版|アルティメットヒッツ&br()2008年10月23日/2,940円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|DQ8ベースのDQM&br''モンスターに能力上限あり''&br移動や経験値稼ぎが面倒|~|
|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズ]]''|

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#contents(fromhere)
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**概要
ポケモン、デジモンなどの育成ゲームビックタイトルと同時期に発売され人気を博した、ドラクエモンスターズ(DQM)シリーズの第4作。~
スピンオフであることを強く意識しており、タイトルロゴは通常のドラクエからはかけ離れており、タイトルBGMもお馴染みの『序曲』ではなく、『オープニング・マーチ』なる全く別の曲が使われているがエンディング曲が『序曲』となっている。~
七つの島からなるグランプール諸島を舞台に、モンスターマスターとして「バトルGP」と呼ばれる大会に参加することになった主人公の活躍を描く。~
前作『[[キャラバンハート>ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート]]』までとは違い、グラフィックがフル3D化されている。

**特徴・前作からの変更点
-エンカウント方式の変更。
--これまでのモンスターズシリーズではランダムエンカウント方式だったが、本作よりフィールド上に見えているモンスターに触れると戦闘が開始するシンボルエンカウントに変更。DQシリーズ全体で見てもシンボルエンカウント式を本格的に採用した初の作品となっている。
-モンスターを連れて行ける数の増加。
--戦闘は従来通り3匹のモンスターで行うが、本作より控えの3匹も連れて行ける様になった。
--なお、控えのモンスターはドラクエ本編の馬車と同様、移動時に入れ替える事が出来る。
-スカウトシステム。
--前作までは回復アイテムや肉を使ってモンスターを仲間にしていた。本作では主人公が持つ「スカウトリング」を使う。
--スカウトリングの力を仲間モンスターに宿して「スカウトアタック」を使用する事でモンスターを仲間にする。スカウトアタックを仕掛けるモンスターの物理攻撃力が高いほど、仲間にできる確率は高くなる。
-配合の復活。
--本作では前々作までの配合が復活。また、本作から「4体配合」「配合結果の選択」といった新要素も登場。
---前者は特定の祖父母のモンスターの組み合わせからモンスターを生み出す配合で、例えば二代前まで遡った血統が4匹ともスライムだとキングスライムを生み出せる等、強力なモンスターを作ることが出来る。
---後者は、これまで配合では1つの組み合わせにつき1種類のモンスターを生み出していたところ、本作より最大3種類から選択できる様になったというもの。
-''モンスターの能力値に限界値が設定された''。詳細は後述の「問題点」にて。
-モンスターは直近のナンバリングである『[[DQVIII>ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君]]』から多く((デンデンりゅう、リンリン、いばらドラゴン、じんめんガエル、オセアーノン、キャプテン・クロウなど。))出演。
-Wi-Fi通信対戦である『ジョーカーズGP』というランキングに参加できる。

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**評価点
-3D化によって仲間の行動モーションが見られるようになった。戦闘中はHPとMPのステータスしか映されなかった前作まで(いわゆるドラクエ従来の戦闘形式)より戦闘での迫力が向上した。
--モーションのカットは不可能なため、経験値かせぎの時などは少しテンポが良くない。
-モンスターに新キャラが多く、ドラゴンやゴーレムなどの人気モンスターも健在。
-ルーラ、リレミト(拠点帰還、ダンジョン脱出の魔法)などがコスト無しで無限に使える。これらは主人公の能力として習得でき、しかも序盤で入手可能。
-配合時の強制セーブ撤廃。今までは配合時に強制的にセーブが行われたため、モンスターの名前のつけ間違い、親モンスターの選択ミス、などの取り返しがつかなかった。これによって気軽に配合が行えるようになり、試しに配合して産まれたモンスターのステータスが気に入らなかったら、今は配合を見送るといったこともできる。

***ストーリーについて
-今作は神獣と呼ばれる特別なモンスターが主人公の相棒となる。いくつかの形態があり、狼、鳥、猿、龍の4種類に派生。その神獣の導きによって、主人公はモンスターマスター大会の優勝(神獣に必要な宝具が賞品)を目指すことになる。
--従来シリーズではモンスター自体に大きな意味は無く、主人公の目的を達成するための手段にすぎなかった。(1作目:姉に会うため大会優勝を目指す。2作目:国を救うアイテムを探す冒険に出る。→モンスターの力が必要)。
--今作では逆に主人公が目的を持たず(神獣に出会う前から大会には参加していたが、なぜ参加していたのかは語られない)、相棒のモンスターが物語の核心に深く関わってくるストーリーである。

-この相棒は非常にステータスが高く、ステータス限界値でいえばSSランク(魔王などの最強クラスのモンスター)に匹敵する。複雑な配合システムが苦手なプレイヤーでも、とりあえず相棒を強化していけばどうにかなるため、一種の救済処置にもなっている。

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**問題点
-登場モンスター関連
--本作に登場するモンスターの数は210匹。初代モンスターズの215匹よりも減ってしまった。色違いモンスターも過去作と比較すると多い。
--オリジナルのモンスターも数が少ない上に、大半が既存モンスターの色違いか細部を変えただけのコンパチ。完全に新規グラフィックと言えるのは神獣とラスボスぐらい。
-モンスターのランク毎のステータス格差が激しい。
--限界値の弱いモンスターはどれだけ鍛えても限界値の高いモンスターに勝てない。それどころかランクの低いモンスターはストーリーですら最後まで連れ歩くのはやや厳しい。このためモンスターを育てる自由度が激減し、ジョーカーズGPでのモンスターの面子の固定にも繋がった。
--後の作品ではモンスター間の格差が緩和されており、元々のランクが低いモンスターでも配合を繰り返せば強くできるように改善されている。
-この系統のゲームにつきものの経験値稼ぎが非常に面倒臭い。
--通常の敵からもらえる経験値が著しく低く、晩成型のモンスターを序盤に作ってしまうとえらいことになる。
--メタルスライムはレガリス島(南部)とモルボンバ島、はぐれメタルはヨッドムア島(ラストダンジョン)にしか出てこない上、出現率も低い。
--デオドラン島で「マダムン・ガーデン」というミニゲームに挑戦し制限時間内に一定数以上のスライムを倒すとメタル系のみが登場するフロアに招待してもらえるが、このフロアにいられる時間が非常に短い。しかもミニゲームに登場するスライムがアストロンを使うなどするために面倒臭い代物と化している。また倒すスライムの数は挑戦するごとにだんだん増えていく。
-移動速度が遅い上、そのほかの移動手段も非常に面倒。
--ルーラが不便になった。最後に入ったGピット((買い物、モンスターの回復、配合、パーティ編成などが行える施設。))にしかワープできないのでかなり面倒臭い。
--モーターボートでの移動も時間がかかる。一定確率で「名も無き島」を見つけることがあり、ここでしか捕まえられないモンスターがいるので最初はラッキーと思うが、それらのモンスターは特殊配合の親となることはほぼ無い上に、名も無き島を見つけると強制上陸させられるので、さらにテンポが悪くなる。
-ジョーカーズGP大会の順位付けが怪しい。
--順位はモンスターの能力値と習得しているスキルによって決定されている。
--前述の通りモンスターごとに限界能力値が決まっているため、能力の高いモンスターで固めれば高順位が取れる。
--スキルも生成が大変なものほど高いポイントになるため、生成が簡単で実用性の高いスキルを付けていると順位が下がる。
--これらの方法でランキング上位に位置するモンスターは弱くはないのだが、実際は下位のチームのほうが戦うと強いことがしばしばある。
-期間限定でしか入手できないモンスターがいる。
--全国に設置されている『DSステーション』で期間限定で『レオパルド』、『レティス』、『トロデ』が配信されたのだが、これらのモンスターを入手し損ねた人への救済措置がない。
--特にトロデはゲームの発売から8ヶ月も経過してから配信されたため(レオパルドとレティスは2、3ヶ月で配信された)、入手出来ない人も多かった。
--このうちレティスとトロデは専用のスキルが、レオパルドとレティスにはこれらを利用してしか作れないモンスターがいるため、必然的にコンプできなくなってしまう。
--後にアルティメットヒッツ版を発売し、ゲーム中でデータごとに1体しか手に入らないキャプテン・クロウのようにGPの景品として救済措置も取れるのに行わなかった。

-入手難易度の高いモンスターが多い
--モンスターズシリーズでは、入手難易度の高いモンスターがいるのは当たり前であるが、今作ではその割合が異様に高い。難易度が高い理由は主に3つ。
--ストーリーが進むと出現モンスターが変わるジェイルのアジトや、ヨッドムア島の存在、確率出現の名も無き島、配信限定など入手機会の限られているモンスターが多い。
それに加え、スカウト率が上がりにくい。
--ただでさえレアモンスターの入手が難しいのに、
めぐりあいの扉や卵のシステムがないので、入手難易度に拍車をかけている。
--配合可能レベルが10なのは他の作品でも同じものの、レベル上げがしにくいので、必然的に配合するのが大変になってしまった。

-クリア後の隠しダンジョンなどが存在しない。
--一応スラム街の開かずの扉から入れる秘密の研究所でエスタークと戦えるがそれだけである。

-ライバルの少女モンスターマスター「アロマ」についての問題点
#region(ネタバレ注意)
-彼女はモンスターを「モノ」として扱い、主人公の相棒を終始「自分が先に見つけたのだから、自分のモンスターだ」と主張。さらに、大会決勝では主人公のモンスターを蹴り飛ばすなどの酷い扱いを見せる。その行為により「マスターが攻撃に加わった」として失格処分を下されるものの、彼女のモンスターに対する扱い自体を咎める人物は一切おらず、そもそも問題のある行動として扱われていない。他のドラクエシリーズと同じく今作にも人の言葉を喋るモンスターは存在し、自我をもった存在である。この手の育成ゲームで「モンスター=『人間の友』」として描かれることが定番であることを踏まえると、アロマの行動は悪役に近い。
-悪い意味で存在感のあるキャラだが、本編中に戦う(こらしめる)ことはできない。クリア後に特定の条件を満たすことで戦える隠しキャラ扱い。
--ストーリー内で定期的に登場しては主人公に「負け犬」「早くそのモンスターを渡せ」などの嫌なセリフを投げつけてくるが、肝心の本筋には全く関係ないキャラ。
--前述のとおり、バトルすることもできないので、そもそもライバルキャラとして機能しているかも怪しい。
#endregion

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**総評
モンスターを育てる事そのものが目的と言っても過言ではないDQMシリーズ作品だが、本作は育成における快適性の面でかなり難がある。またパラメータ上限が設定されたため、お気に入りのモンスターをずっと連れ歩き大会でいい成績を取らせるような遊び方も難しい。~
普通のRPGとして見た場合も、ストーリー攻略は難なく進み隠しダンジョンも無く、育成のモチベーションを支える要素が通信対戦頼みという欠点がある。~
シンプルなポリゴンながらそれぞれ個性豊かに動くモンスターたちのグラフィックは、携帯機ながら見栄えのする出来で評判が良く、デザイン人気の高いDQモンスターをメインに据えた育成ものRPGとして、気軽に楽しめる作品ではある。しかし、遊び方の幅があまり広くないため、「長く遊べる設計のゲーム」にしては比較的早く飽きが来てしまうだろう。~
前作の『キャラバンハート』よりも売れはしたが、いまひとつ評価は振るわない結果となっている。

一方、本作から一新されたシステム群は続編やリメイク作にも採用されており、DQMシリーズにおけるターニングポイントとなった作品と言えるだろう。

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**その後
2010年4月28日に続編である『[[ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2]]』が発売。~
Wi-Fi通信に新要素追加、仕様の見直し、モンスター数の増強などが見られる。

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**余談
ジョーカーズGPは続編のプロフェッショナル版の発売日と同時に終了しており、現在参加しようとすると、「長らくのご利用ありがとうございました」というメッセージと共にエラー音として&bold(){DQシリーズの呪いの装備の音が流れる}というドッキリが待っている
//[[ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド]]の主人公は[[DQ6>ドラゴンクエストVI 幻の大地]]のテリー、[[ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート]]の主人公は[[DQ7>ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち]]のキーファとイケメンが立て続けに主人公になってるため、今作の主人公は[[DQ8>ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君]]のククールではないか?(しかも丁度銀髪!)と勘違いした人も多いとか。~
//(ただし異説を唱えた人も多い((テリー・キーファは共にシステム的に不遇な扱いを受けたという共通点があり、DQ8で(強いて言えば)同じように不遇だったキャラはククールではなくヤンガスだったと言われる。そして実際に「少年ヤンガスと不思議のダンジョン」が発売されている。)))。
//↑ゲームの余談ではなく、ただの編者のつぶやき。噂などは控え、ソースのある情報を優先してください。