「がんばれゴエモン ~大江戸大回転~」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

がんばれゴエモン ~大江戸大回転~ - (2018/04/02 (月) 12:38:21) のソース

*がんばれゴエモン ~大江戸大回転~
【がんばれごえもん おおえどだいかいてん】
|ジャンル|アクション|&image(http://ec2.images-amazon.com/images/I/616V3WNZNRL.SL160.jpg)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|コナミ|~|
|開発元|コナミコンピュータエンタテインメント東京&br()ナウプロダクション|~|
|発売日|2001年3月29日|~|
|定価|6,279円|~|
|廉価版|コナミ・ザ・ベスト:2001年11月22日/2,940円&br()PS one books:2002年12月12日/1,890円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|文字通りのリサイクル品&br()サントラの使い回し&br()ネタが少なく、とにかく地味&br()PS版の中では良作|~|
|>|>|CENTER:''[[がんばれゴエモンシリーズ・関連作品リンク>がんばれゴエモンシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
プレイステーション版『がんばれゴエモン』シリーズの第3作目。~
アクションアドベンチャーの『[[アコギング>がんばれゴエモン ~宇宙海賊アコギング~]]』、3Dアクションの『[[綾繁一家>がんばれゴエモン ~来るなら恋!綾繁一家の黒い影~]]』から変わって、久々の横スクロールアクションとなった。~
「新世代」に移行する前の最後の作品だが、PS末期の発売であったことや目立った宣伝をしなかったためか、歴代作品の中でも知名度が非常に低い。

ゲーム内容の大部分を''過去作の要素のリサイクル(という名の使いまわし)''で構成するという異色の作りが最大の特徴となっている。

**ストーリー
>空前のリサイクルブームに沸くはぐれ町。~
ゴエモンとエビス丸もブームに乗ってゴミ拾いをしていたところ、~
巨大な空き缶に追いかけられるヤエの姿を目撃する。~
助け出して話を聞くと、大江戸城がゴミの化け物に乗っ取られたと言う。~
そこにお殿様とゆき姫が行方不明になったという知らせを持ってサスケがあらわれる。~
ゴエモンたちは手がかりを追って、巨大空き缶の行方を追うのだった。~

----
**特徴
何といっても、「回転」と「リサイクル」をひっかけたそのタイトルに恥じない、''徹底したリサイクル精神''である。

''ゲーム構成及びシステム''
-グラフィックこそ3Dだが構成上は『[[マッギネス>がんばれゴエモン2 ~奇天烈将軍マッギネス~]]』の仕様・グラフィック性・ステージ構成をそのまま踏襲した2Dアクション(いわゆる2.5D)になっている。
--エリアマップのデザイン、ステージ構成、エリア間のデモムービー、各エリア開始時の演出なども『マッギネス』に準じている他、町ステージでは『[[からくり道中>がんばれゴエモン! からくり道中]]』および『2』に基づき、手形を持っていかないと外に出られないようになっている。
--マッギネス同様、4種類のミニゲームが存在する他、風呂屋や飯屋での回復もそのまま引き継いでいる。
--「体力の初期値及び金の招き猫取得による最大値の増加」「銀の招き猫による武器パワーアップ」の他、伏せ中に十字キーを入れることで足場の下段に降りるなどの操作面も『マッギネス』に準じている。
--2Pプレイも可能だがおんぶアクションは未搭載で、SFC版『3』「きらきら道中」にあったひょうたんシステムが採用されている。

''今回の敵''
-リサイクルの達人ことエコロリ斎。
--といっても、その正体はただの「バテレン好きのオヤジ」で、自らゴミを作り出してリサイクルして回るというゴエモンシリーズらしいどこか勘違いをした人物。
--エコロリ斎と幹部のスチール・ファイブ、ザコ敵「缶忍」のバリエーションが「マッギネス」「マーブル・ファイブ」「カブト」の関係そのまんまと、''設定までリサイクルしている''。

''操作キャラクター''~
操作キャラクターはおなじみの4人。今作では初めからすべての武器・特殊能力を持っており、珍しく序盤から4人全員が揃った状態でスタートする。

そのほかの特徴は以下の通り。

-''ゴエモン''
--チェーンキセルの効果が「卍ブロックに引っかける」ものに戻された。

-''エビス丸''
--武器がハリセンと手裏剣に戻された。また、新しい特殊能力として「ハリセン滑空」(ボタンを押している間空中をゆっくり降下できる)が追加された。

-''サスケ''
--『でろでろ道中』で登場した潜水能力「サスケダイブ」が続投された。また潜水中にヤエと同じくダッシュアタックで攻撃できるようになった。
--声優がアニメ版でサスケを演じた坂本千夏氏に変更となっている。

-''ヤエ''
--忍者装束のデザインが『[[もののけ道中>がんばれゴエモン ~もののけ道中 飛び出せ鍋奉行!~]]』以降の2代目のものになった。~
また、他のキャラクターとの身長差が明確になり、上方へのリーチが長くなった。

''敵キャラクター''
-ザコ敵は主に『マッギネス』『きらきら道中』『でろでろ道中』の敵のリサイクル。一応、本作オリジナルの敵もいる。

-各エリアのボスはシリーズ常連のカブキをはじめ、『[[ネオ桃山幕府>がんばれゴエモン ~ネオ桃山幕府のおどり~]]』のダンシン(春風弾神)、『きらきら道中』のハラキリセップク丸、『マッギネス』のマッギネスと過去の名ボスがオファーされている。~
「ゴエモン史上もっとも危ないキャラ」ことミスタープラズマもなぜか''ボスとして登場''。

-インパクト戦のボスも過去作からのリサイクル。同じく常連のタイサンバのほか、ゴエモン・インパクト最初の対戦相手であった千秋楽もホバー仕様で復活した。

''BGM''
-旧作同様ステージごとに違う曲が用意されているが、''新曲はない''。
--『ネオ桃山幕府』『でろでろ道中』『もののけ双六』からの流用となっており、前者2つは''サントラの曲をそのまま使用(リサイクル)している''(そのおかげで音質はかなり良い)。

''ヒロイン''
-『[[ゆき姫救出絵巻>がんばれゴエモン ~ゆき姫救出絵巻~]]』以来、十数年ぶりにゆき姫がヒロインに復帰した。
--初めてゆき姫にボイスがついたN64版ではおっとりした性格であったが、本作では気の強いキャラクターになっている。

----
**評価点
-グラフィックは新規に描き起こされている
--賛否両論はあるが、3Dグラフィックとしてはよく出来ている。また、リサイクル自体は著しいが、マップや背景の使い回しは一切ない。

-ステージの完成度が高い
-ジャンプ力の低さもあって難しいが、何回もプレイすれば突破できるレベルである。また、過去作を彷彿とさせるステージもいくつか登場する。

-インパクト戦で『おれはインパクト』が流れる
--ボーカル曲が戦闘BGMになるのは本作が最初で最後で、なおかつフルコーラスで聞くことができる。特にゲーム中で2・3番が聞けるのは本作だけ。

-OP、ED、幕間のデモシーン含め全てフルボイス
--またデモシーンはマッギネス同様の紙芝居風演出だが全くの静止画ではなく、それなりにグラフィックがアニメーションするようになっている。

-城ステージ・インパクト戦に再挑戦できるようになった。
--これまでは1度倒したボスとは戦えなかったため大きな改善点となっており、このおかげで旧作同様ステージのボリュームは控えめながら物足りなさは感じ難くなっている。

-横スクロールアクションで初めて戦える過去ボス。
--ミニゲームでバトルという変則的なルールだったセップク丸や、巨大メカ戦でしか戦えなかった春風弾神と生身で戦えるのは本作が最初で最後。
---セップク丸はスポーツマンらしく、スポーツ用具を放り投げてきたり画面奥に停泊しているスポーツマンシップ号からラグビーボールを蹴り飛ばしてきたりと、キャラの個性を活かしている。
---弾神はなぜか脈絡なく水中ステージでの戦いになる上、水中での戦闘というシチュエーションに合わせてデザインが大幅に変わっているため面影があまりなくなってたりするが、横移動する際にカメラ目線で手を振ったり、片手を高々と掲げくるくると回りながら攻撃を繰り出したり、敗北の際には爆発に巻き込まれてホゲホゲな姿になった後スターらしく一礼すると同時にステージの緞帳が降りてきてボス戦が終了するなど、一応はミュージカルスターという原作の設定をそれらしく(?)取り入れてはいる。

----
**不評点
''中途半端なリサイクル(使いまわし)が目立つ作風''~

過去作の要素を使いまわすことそれ自体は本作の最大の特徴なのだが、同時に最大の批判点でもある。~
内容さえ面白ければ好意的に受け止められただろうが、どの要素もみな中途半端に終始していたたため、否定的な意見の方が目立つ結果となってしまったのである。

-特定作品からのリサイクルが目立つ
--リサイクル先は『マッギネス』『[[獅子重禄兵衛>がんばれゴエモン3 ~獅子重禄兵衛のからくり卍固め~]]』『きらきら道中』『ネオ桃山幕府』『でろでろ道中』『[[もののけ双六>ゴエモン もののけ双六]]』の5つだが、基本システムと敵の大半が『マッギネス』から、BGMの大半が『でろでろ道中』から取られているため、この2作の要素ばかりが目立ってしまっている。
//でじま遊園地のBGMはもののけ双六の隠しマップのBGM

-過去作にまつわるネタ要素が皆無
--「過去作のリサイクル」を売りにしているのに''過去作関連のネタがまったく登場しない''。そのせいで過去作のボスが単に出てきただけの印象の薄い存在になってしまっており、ストーリーそのものの薄さにも繋がっている。
--ゴエモンシリーズは小ネタとして過去作や他シリーズの作品の登場人物をゲスト出演させることが多い((前者の例は小竜太やおびす丸、後者の例はドラキュラや詩織、パステルなど。))が、本作ではボスとザコ敵以外、過去作のキャラクターは一切登場しない。
--しかもリサイクルされたボスたちとのやり取りがまったくないため、彼らがなぜ日本にいるのか、どういういきさつでリサイクルされたのかは一切不明。カブキやマッギネスはまだしも、宇宙に飛ばされたはずのダンシンや、''そもそも地球に来たことがない''セップク丸については何らかの説明が欲しかったところである。

-BGMの使い方が微妙。
--ステージの雰囲気とは合っているのだが、元の作品で使われていたシーンの内容とずれている(森を舞台としたステージに竹やぶエリアで流れていた「いにしえバンブー」を当てるなど)ものもあり違和感を覚えてしまう。「りゅうぐう城」に「亀上的竜宮生活」を当てた((ただし、サントラからそのまま流用しているせいで''地上用と水中用の曲が実際のステージと関係なく切り替わってしまう''という別の問題があるのだが…))ように、原作を思い出させるような使い方をもっとしておけば効果が上がったのではないだろうか。

''ゲーム面・システム面の粗が目立つ''
-ロードが多くテンポが悪い。
--ステージに入るときや町ステージ・城ステージで画面が切り替わったときに数秒のロード(民家に入るときも短いロードが入る)が入る上に、読み込みのたびにBGMが始めから再生される。
--さらに、''キャラクター変更をするだけでもロードが入り)、BGMが始めから再生される''。このため、画面の切り替わりが多く何度もキャラクターを変える必要がある後半のステージではBGMがぶつ切りになってしまう。

-ワンボタンでのキャラチェンジが行えない
--本作ではスタートボタンを押してポーズ画面でキャラ選択することでチェンジする。
---専用の施設経由でないとチェンジができなかった『でろでろ道中』よりは利便性の面ではまだいいが、上記のロードの頻度と合わせてテンポ悪化の原因となってしまっている。~
逆を言えば、ロードのせいでシームレスに画面上でチェンジできないのでこうなったとも考えられるが……。

-サスケとヤエの特殊能力が被っている。
--「サスケダイブ」にダッシュアタックが追加されたため、性能差がほぼなくなっており、使い分けの意味があまりなくなってしまった。

-一部ステージの難易度が高い
--『きらきら道中』『でろでろ道中』ほどではないが本作もジャンプ力が低く,ギリギリのジャンプで足場を渡る場面が多い。~
『きらきら道中』でプレイヤーの壁となった「チェーンキセルで卍ブロックを連続で渡る」ステージも増加している。
--特にえりあ3の「でじま遊園地」は本作最高の難易度を誇る。こちらに向かってくるメリーゴーラウンドを渡っていく前半と、シューティングになる後半に別れるステージなのだが、後半は飛行機の当たり判定が大きく上下にしか動かせないうえに動きが遅いので、敵弾や障害物を避けるのが非常に難しい。必須ステージではないのがせめてもの救い。
--敵の配置も嫌らしい。苦労して渡った先にちょうど敵があらわれたり,卍ブロック地帯を抜けたところで撃ち落とされたり…。
--また、基本的に動きが遅いので敵の行動の先読みが重要になり、反射神経に任せた軽快なプレイができないのでストレスが溜まり易い。

-難のある操作性
--実は本作では、''ジャンプの高さの調整ができない''。他のシリーズ作品では調整が効くのがデフォルト仕様だけに、難しいというよりも嫌らしさや自由度の低さを強く感じてしまう。

-インパクト戦
--チェーンキセルの復活により、『ネオ桃山幕府』で批判されていた「チェーンキセル→百烈パンチ」のコンボも復活してしまった。

-N64時のシステムをそのまま踏襲しているため、N64版2作とのレスポンスの差が如実に感じられ易く、以前の作品をプレイ済だとストレスを覚えやすい。

----
**総評
「敵はリサイクルの達人」という設定で過去作の要素の使い回しを正当化するのはゴエモンらしい上手い工夫であるといえ、設定そのものもユニークで面白い。~
動きの鈍さやジャンプ力の低さに目をつぶればアクションゲームとしての出来も極端に悪いわけではない。

しかし、過去作のボスが再登場することにあまり意味がないことや特定作品からのリサイクルが目立つことが原因で、悪い意味での手抜き・使い回し感の否めない中途半端な内容になっており、名作『でろでろ道中』の後に出たこともあって、非常に地味で物足りない印象になってしまい、ファンからの評価も芳しくなかった。~
過去作のネタをもっと充実させて弾けた作風に昇華できれば名作となり得たかもしれないだけに、非常に惜しいところである。

----