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注意:このページは、Win版『水滸伝 天導一〇八星』(判定なし)と、同SS版・PS版(劣化ゲー)を紹介する。 #contents() ---- *水滸伝 天導一〇八星 【すいこでん てんどうひゃくはっせい】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|&amazon(B007W9BM36)|&amazon(B003OV0LZG)| |対応機種|Windows 95/98/Me|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~| |発売日|1997年|~|~| |定価|9,800円(※初版)|~|~| //|定価|1980円(コーエー定番シリーズ)|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|前作の雰囲気と目的はそのまま&br()リアルタイム式要塞経営シミュレーション|~|~| |>|>|>|CENTER:''水滸伝シリーズ''&br()[[天命の誓い>水滸伝 天命の誓い]] / ''天導一〇八星'' | **概要 光栄(現・コーエーテクモゲームス)が製作・発売した歴史シミュレーションゲームで、『[[水滸伝 天命の誓い]]』の続編である。~ ゲームの目的も前作と同様に、自勢力を強化して大宋国に巣食う奸臣・高キュウ(ニンベンに求)を打倒することである。 ---- **特徴・評価点 -前作は光栄が得意としてきた地域制圧シミュレーションであったが、今作は要塞を経営しつつ力を蓄えるというものに転換した。 --「国」ではなく原作に登場した町・要塞などが登場する。 --はじめからある施設をもとにして山林を切り開き、荒地に施設を建設していき、町や要塞を強化していく。 --キャラクターは必ず1~2の職業や属性を持っている。これによって、前作以上にキャラクターの役割分担などが非常に重要となり、個性も出ている。 --今作でも全勢力の打倒や勢力圏の拡大は重要ではない。主人公の治める要塞以外はきわめて大雑把な指示しかできないので、要塞数のむやみな拡大はむしろ自分の首を絞めることになる。 -原作のアナーキーさがよく再現されている。 --拠点となる要塞が気に入らなければ、さっさと放棄して好きなだけ放浪できる(もちろん、タイムリミットも考慮する必要があるが)。そして、気に入った空き要塞で旗揚げできる。 ---放浪中は金や兵糧等がランダムで手に入る。そのため、物資が心もとない場合は無理に旗揚げせずに放浪していたほうが良いことも。 --自分のいる地域の中に敵対勢力がいなければ、高キュウのいる首都・東京(とうけい)開封府以外なら時間はかかるがいつでもどこでも攻め込める。極端な話、最北の要塞からいきなり最南端の要塞に攻め込むことも可能。 --戦闘目的を「略奪」「占領」から選べる。「略奪」なら敵軍を殲滅してもあまり人気が上がらない反面、退却や時間切れになっても敗北扱いにならず、人気が下がらない。「占領」は逆に勝利すると人気が多くあがるが、退却でも時間切れでも敗北となり、人気が下がる。そのため、「略奪」で敵要塞に攻め込んだら、敵部隊への攻撃は最小限にして施設の破壊に専念するという嫌がらせや、牽制部隊は「略奪」として消耗させて間髪入れず主力部隊による「占領」で敵要塞を陥落させるという柔軟な作戦も可能。 ---しかも施設の破壊を行うと戦利品も手に入る。物資だけのこともあるが有益なアイテムが手に入ることもあるので、余裕があれば施設は積極的に破壊したいところ。 ---制圧した敵要塞は占領して自勢力に取り込んでもよいし、破棄してもよい。破棄したほうがメリットも多く、原作の雰囲気も出る。 --配下は必ずしもプレイヤーの指示に従うわけではない。特に戦闘が有利になると勝手に休憩したり、宴会を始めてしまうこともある。当然、そのユニットはそれが終わるまで行動不能になる。これは敵軍でも同じなので、「油断した敵に逆襲する」というのがとてもよく再現できている。 --「痺れ酒」などの原作にあった計略も登場する。このため、原作では活躍したのに前作では役立たずだった盗賊系キャラ(時遷など)の活躍の場が増えた。 -官軍は今作でも強い。 --前作の特徴は、標的である高キュウ率いる官軍が強大であるため、地域制圧シミュレーションにありがちな中だるみが起こりにくいという特徴があった。今作でも官軍の人材・物資は多いため、特に序盤は官軍との正面対決を避けつつ要塞の強化を図ることがポイントとなる。 ---ただし、前作のチート的な強さではないので、良くも悪くもバランスは取れている。 ---また、わざわざ東京から他勢力の要塞に出兵することもある。そうなると守備部隊がほとんどいなくなり、東京攻略は非常に易しくなってしまう。このあたりはアルゴリズムが改善されていない。 ---ただし、前作でもわざと官軍との隣接地を隙だらけ(物資、兵力共にわずか)にして攻め込ませて官軍の領地をスキだらけにして攻め込む(別名:領地の取り替え)という方法は取れた。今作ではリアルタイムの為攻め込むのにタイムラグが生じ、防備を整えられやすくスキが比較的少ない面もあり、一長一短。 ---- **賛否両論点 -前作に比べて易化し大幅に大味化。 --前作でもアンゴルモアの大王よろしく1127年になると自動的に金の太宗が攻めてきてゲームオーバーということがあったが、今作ではタイムリミットは人気によって左右され、人気が低いとタイムリミットが伸びるようになった。基本的に前作よりもプレイ可能年数は多め。 ---また、リミットが近づくとわざわざ3回も警告((宋国の富に興味→兵力の動員→軍を国境に配備、とこちらに対して攻め込む意思表示もしており緊張感が高まってくる。))してくれる、序盤ではやけに偉そうな謎の異民族として登場してゲームの進め方まで教えてくれる等、ものすごく親切になっている。 --職業(というか属性)に「小娘(美女)」「色男」が加わったため、人材集めが非常に楽になった。 ---人材はやはり圧倒的に男性が多い(女性も前作と比べると増えたがほんの少しだけ)ため、「小娘(美女)」技能のほうが使える。かなり人気を高めないと仲間になりにくいが、自身の能力値も高い上、小娘レベルも高い「扈三娘」は非常に強力。 --高キュウ討伐に必要な人気は前作の250から1000に大幅上昇したが、要塞を発展させて敵勢力をつぶせばわりとあっさり人気は上がる。 --CPU勢力同士のつぶしあいは頻繁だが、プレイヤー側にはあまり攻め込まないので、緊張感が少ない。特に前作にあった官軍による脅迫(賄賂の要求。これを拒否すると高い確率で攻め込んでくる。)がなくなったため、「苦渋の選択」を迫られることも無くなった。 ---このため、前作のようにハードな中に絶妙なバランスを求めた人にとっては肩透かしを食らった形になった。 ---- **問題点 -当時はまだ一般的でなかったリアルタイム式シミュレーションだった。これに慣れていない人も少なくなかったため((そもそも光栄の看板タイトル『信長の野望』でリアルタイムが導入されたのが2005年の『革新』(12作目)、『三國志』にいたっては2002年に発売された『三國志Battlefield』のみである。))、光栄の古参プレイヤーの中にはリアルタイム型そのものに拒否反応を起こすこともあった。 --実際にはリアルタイム型は内政=要塞運営時のみで、戦争時はターン式。この中途半端さも叩かれる一因に。 ---当然戦争時に内政指示なんて出来ないのでその間の要塞運営はCPU任せ、その為に要塞内の施設が滅茶苦茶にされる危険もある。 ---CPUはとにかく全ての人物に均等に小物を持たせようと''市場や農場を潰して兵舎を建てようとする''。今作は意外と食料や金の確保が難しいので要塞が頭打ち、人物が多い要塞だと戦闘後に再び立て直しを余儀なくされる。 -場所によっては要塞経営が比較的あっさり終わる。 -職業によって建設できる施設が限られている。 --これは配下の個性を生かすという点ですぐれているのだが、序盤で必要な金銭と食糧の増産が場合によっては困難になる場合がある。 --学士のようにほとんど役に立たない職業もある。 -演出が地味で、イベントも少ない。 --コンシューマ移植版はイベントが非常に充実しているのだが……。 --戦闘中にユニットが「高揚」(この状態になると体力が回復し、攻撃力は1.5倍になる上、行動済みだったユニットは再行動できるという、味方にとってはうれしい状態である)することがある。このときに、''他の音声は無い''のになぜかこのときの笑い声''だけ''が入っている。しかもこの声がはっきり言って、発狂したような壊れた笑い声で聞いていて気分のいいものではない。 ---- **総評 本作単品としてみれば決して駄作ではなく、良作の範疇に入れられる。特に原作のアナーキーぶりをよく再現できている点は前作以上である。しかし、前作と比して難易度は明らかに下がっていること、地域制圧型から要塞経営シミュレーションへの転換、リアルタイムシステムの導入といった点が賛否両論の点となってしまった。 ---- **余談 -現在のプレイ環境について --前作がソースネクスト版、ダウンロード版などで販売されていて非常に手に入れやすく、またOSに合わせているためWindows7でも(一応)動くのに対して、本作は2002年に廉価版が出されたきりとなった上、いわゆるWindows9x版の動作を前提としたままパッチも修正版もでておらず、XP以降のPCでの動作は保証されていないという冷遇ぶりもファンを嘆かせている。せめてXP以降へ正式対応されれば再評価の機会もあるのだろうが…。 ---XPのSP3はBGMが出ないが動作する模様。BGMまで聞き快適にプレイするには多少の工夫が必要。 ---- *水滸伝 天導一〇八星 (SS/PS) 【すいこでん てんどうひゃくはっせい】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|&amazon(B000069U9N)|&amazon(B000069U9T)| |対応機種|セガサターン&br()プレイステーション|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~| |発売日|【SS】1997年12月18日&br()【PS】1998年4月2日|~|~| |定価|7,800円|~|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~|~| |ポイント|マップが狭すぎ&br()自由度喪失|~|~| **概要(移植版) PCで発売された『水滸伝 天導一〇八星』のコンシューマ移植版だったのだが…… ---- **問題点(移植版) -要塞のマップが一気に狭くなる。 --PC版のように広大な土地を切り開いて優れた要塞を築き上げるというコンセプトが台無し。あっさり内政=要塞設営は終了する。あとは物資がたまるのを見るだけ。 --また、PC版のようなマップ内の高低差がなくなったのでどれもこれも似たような地形になってしまった。違いは結局、水辺と道の多寡だけという有様。しかもこれによって水門とそれを使った水計攻撃が削除されてしまった。 ---PC版では大まかに分けると「平地が多く施設建設が容易だが、防衛が困難」な町系と「山や水辺が多いため、防衛は容易だが施設建設が制限されやすい」山塞系に地形が分かれていた。しかし、マップの高低差がなくなった結果、これらの差がまったくなくなり、要塞への愛着がもてなくなった。 -要塞と要塞の間に街道のようなものが敷かれており、これを伝って移動・軍事行動をおこなう。 --このため、PC版のような自由な行動は一切取れなくなり、結局他の地域制圧型シミュレーションと大差ないものになってしまった。 --自勢力の要塞数の増加は必ずしもプラスではないというコンセプトも台無し。と、いうのも最終目標である東京(とうけい)開封府に隣接するために要塞数をある程度増やす必要があるため。 -41個あった要塞が、移植版ではたったの15個に激減している。 --しかも要塞の多くがすでに官軍や独立勢力に支配されているのでプレイヤーが新規に旗揚げできる場所は限られている。また、上記の理由もあって自由な放浪もできなくなっている。 -前作の頃から使いにくかったとはいえ、一騎討ちが削除されてしまった。 -以上の点により、コンシューマ版はPC版とはまったく別の何かになってしまった。 ---- **評価点(移植版) -新キャラの追加。 --追加されたのは『金瓶梅』に登場する女性たち。当然、能力が高いわけでもなく、人数が多いわけでもないので微妙((ただし、小娘属性持ちかつ仲間になりやすいため、特に序盤の人材登用には一役買う。))。しかも一体どこの派生作品を参考にしたのか、人物列伝が原作と乖離している。 ---参考までに言うと『金瓶梅』は『水滸伝』の主役の一人、武松が登場するifストーリーである。内容はかなりエッチなのでお子様は興味を持たないように。 -イベントの追加。 --親子・兄弟などが自分の要塞に来るとイベントが発生して仲間になったり、女性キャラとの結婚イベントが起きたりした。放浪中も原作でおなじみの博打や痺れ酒酒場などのさまざまなイベントが起きた。 ---オープニングで各キャラが放浪するいきさつも挿入されるのだが、これもシステムなどと矛盾を起こしている面もある。例えば林冲をプレイヤーとして選ぶと、彼が放浪するきっかけとなった友人・陸謙の殺害までのシーンが演じられるのだが、ゲーム上では陸謙は死なずに人材として登場する。そのため、こうしたシーンのないPC版の方がまだ矛盾が無いという問題も生じた。 -グラフィックの改定。 --ドット絵のようなグラフィックから後に『大航海時代IV』のキャラデザを担当する絵師によるグラフィックへと変更。また、オープニングやエンディングなどには正子公也氏の『絵巻水滸伝』の作品が挿入されて非常に華やかなものになっている。特に良曲と共に一〇八星の一部が次々と登場するエンディングムービーは、コーエー歴史ゲーム史上最高のムービーともいわれる素晴らしい出来である。 ---- **総評(移植版) 現在のPC→据え置き機のようにほぼ完全な移植ができなかった当時としてはやむをえないところもあり(実際、この頃に移植されたコーエーの箱庭内政型ゲームは軒並み規模縮小を強いられている)、本作にはそれを補うための追加内容などもあるのだが、それも微妙なものであったため、移植元以上の魅力を示すことができずむしろ劣化した部分ばかりが目に付く内容となってしまった。~ あまりにこの移植がひどかったからか、コンシューマ版で評価されたイベントの追加やグラフィックの改良などの新要素をPC版にパワーアップキットとして追加することもなかった。~ 移植版のあおりを食らってWin版もより一層評判を下げることになってしまった。 ----
注意:このページは、Win版『水滸伝 天導一〇八星』(判定なし)と、同SS版・PS版(劣化ゲー)を紹介する。 #contents() ---- *水滸伝 天導一〇八星 【すいこでん てんどうひゃくはっせい】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|&amazon(B007W9BM36)|&amazon(B003OV0LZG)| |対応機種|Windows 95/98/Me|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~| |発売日|1997年|~|~| |定価|9,800円(※初版)|~|~| //|定価|1980円(コーエー定番シリーズ)|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|前作の雰囲気と目的はそのまま&br()リアルタイム式要塞経営シミュレーション|~|~| |>|>|>|CENTER:''水滸伝シリーズ''&br()[[天命の誓い>水滸伝 天命の誓い]] / ''天導一〇八星'' | |>|>|CENTER:[[''コーエー歴史SLG作品''>コーエー歴史SLG作品]]| **概要 光栄(現・コーエーテクモゲームス)が製作・発売した歴史シミュレーションゲームで、『[[水滸伝 天命の誓い]]』の続編である。~ ゲームの目的も前作と同様に、自勢力を強化して大宋国に巣食う奸臣・高キュウ(ニンベンに求)を打倒することである。 ---- **特徴・評価点 -前作は光栄が得意としてきた地域制圧シミュレーションであったが、今作は要塞を経営しつつ力を蓄えるというものに転換した。 --「国」ではなく原作に登場した町・要塞などが登場する。 --はじめからある施設をもとにして山林を切り開き、荒地に施設を建設していき、町や要塞を強化していく。 --キャラクターは必ず1~2の職業や属性を持っている。これによって、前作以上にキャラクターの役割分担などが非常に重要となり、個性も出ている。 --今作でも全勢力の打倒や勢力圏の拡大は重要ではない。主人公の治める要塞以外はきわめて大雑把な指示しかできないので、要塞数のむやみな拡大はむしろ自分の首を絞めることになる。 -原作のアナーキーさがよく再現されている。 --拠点となる要塞が気に入らなければ、さっさと放棄して好きなだけ放浪できる(もちろん、タイムリミットも考慮する必要があるが)。そして、気に入った空き要塞で旗揚げできる。 ---放浪中は金や兵糧等がランダムで手に入る。そのため、物資が心もとない場合は無理に旗揚げせずに放浪していたほうが良いことも。 --自分のいる地域の中に敵対勢力がいなければ、高キュウのいる首都・東京(とうけい)開封府以外なら時間はかかるがいつでもどこでも攻め込める。極端な話、最北の要塞からいきなり最南端の要塞に攻め込むことも可能。 --戦闘目的を「略奪」「占領」から選べる。「略奪」なら敵軍を殲滅してもあまり人気が上がらない反面、退却や時間切れになっても敗北扱いにならず、人気が下がらない。「占領」は逆に勝利すると人気が多くあがるが、退却でも時間切れでも敗北となり、人気が下がる。そのため、「略奪」で敵要塞に攻め込んだら、敵部隊への攻撃は最小限にして施設の破壊に専念するという嫌がらせや、牽制部隊は「略奪」として消耗させて間髪入れず主力部隊による「占領」で敵要塞を陥落させるという柔軟な作戦も可能。 ---しかも施設の破壊を行うと戦利品も手に入る。物資だけのこともあるが有益なアイテムが手に入ることもあるので、余裕があれば施設は積極的に破壊したいところ。 ---制圧した敵要塞は占領して自勢力に取り込んでもよいし、破棄してもよい。破棄したほうがメリットも多く、原作の雰囲気も出る。 --配下は必ずしもプレイヤーの指示に従うわけではない。特に戦闘が有利になると勝手に休憩したり、宴会を始めてしまうこともある。当然、そのユニットはそれが終わるまで行動不能になる。これは敵軍でも同じなので、「油断した敵に逆襲する」というのがとてもよく再現できている。 --「痺れ酒」などの原作にあった計略も登場する。このため、原作では活躍したのに前作では役立たずだった盗賊系キャラ(時遷など)の活躍の場が増えた。 -官軍は今作でも強い。 --前作の特徴は、標的である高キュウ率いる官軍が強大であるため、地域制圧シミュレーションにありがちな中だるみが起こりにくいという特徴があった。今作でも官軍の人材・物資は多いため、特に序盤は官軍との正面対決を避けつつ要塞の強化を図ることがポイントとなる。 ---ただし、前作のチート的な強さではないので、良くも悪くもバランスは取れている。 ---また、わざわざ東京から他勢力の要塞に出兵することもある。そうなると守備部隊がほとんどいなくなり、東京攻略は非常に易しくなってしまう。このあたりはアルゴリズムが改善されていない。 ---ただし、前作でもわざと官軍との隣接地を隙だらけ(物資、兵力共にわずか)にして攻め込ませて官軍の領地をスキだらけにして攻め込む(別名:領地の取り替え)という方法は取れた。今作ではリアルタイムの為攻め込むのにタイムラグが生じ、防備を整えられやすくスキが比較的少ない面もあり、一長一短。 ---- **賛否両論点 -前作に比べて易化し大幅に大味化。 --前作でもアンゴルモアの大王よろしく1127年になると自動的に金の太宗が攻めてきてゲームオーバーということがあったが、今作ではタイムリミットは人気によって左右され、人気が低いとタイムリミットが伸びるようになった。基本的に前作よりもプレイ可能年数は多め。 ---また、リミットが近づくとわざわざ3回も警告((宋国の富に興味→兵力の動員→軍を国境に配備、とこちらに対して攻め込む意思表示もしており緊張感が高まってくる。))してくれる、序盤ではやけに偉そうな謎の異民族として登場してゲームの進め方まで教えてくれる等、ものすごく親切になっている。 --職業(というか属性)に「小娘(美女)」「色男」が加わったため、人材集めが非常に楽になった。 ---人材はやはり圧倒的に男性が多い(女性も前作と比べると増えたがほんの少しだけ)ため、「小娘(美女)」技能のほうが使える。かなり人気を高めないと仲間になりにくいが、自身の能力値も高い上、小娘レベルも高い「扈三娘」は非常に強力。 --高キュウ討伐に必要な人気は前作の250から1000に大幅上昇したが、要塞を発展させて敵勢力をつぶせばわりとあっさり人気は上がる。 --CPU勢力同士のつぶしあいは頻繁だが、プレイヤー側にはあまり攻め込まないので、緊張感が少ない。特に前作にあった官軍による脅迫(賄賂の要求。これを拒否すると高い確率で攻め込んでくる。)がなくなったため、「苦渋の選択」を迫られることも無くなった。 ---このため、前作のようにハードな中に絶妙なバランスを求めた人にとっては肩透かしを食らった形になった。 ---- **問題点 -当時はまだ一般的でなかったリアルタイム式シミュレーションだった。これに慣れていない人も少なくなかったため((そもそも光栄の看板タイトル『信長の野望』でリアルタイムが導入されたのが2005年の『革新』(12作目)、『三國志』にいたっては2002年に発売された『三國志Battlefield』のみである。))、光栄の古参プレイヤーの中にはリアルタイム型そのものに拒否反応を起こすこともあった。 --実際にはリアルタイム型は内政=要塞運営時のみで、戦争時はターン式。この中途半端さも叩かれる一因に。 ---当然戦争時に内政指示なんて出来ないのでその間の要塞運営はCPU任せ、その為に要塞内の施設が滅茶苦茶にされる危険もある。 ---CPUはとにかく全ての人物に均等に小物を持たせようと''市場や農場を潰して兵舎を建てようとする''。今作は意外と食料や金の確保が難しいので要塞が頭打ち、人物が多い要塞だと戦闘後に再び立て直しを余儀なくされる。 -場所によっては要塞経営が比較的あっさり終わる。 -職業によって建設できる施設が限られている。 --これは配下の個性を生かすという点ですぐれているのだが、序盤で必要な金銭と食糧の増産が場合によっては困難になる場合がある。 --学士のようにほとんど役に立たない職業もある。 -演出が地味で、イベントも少ない。 --コンシューマ移植版はイベントが非常に充実しているのだが……。 --戦闘中にユニットが「高揚」(この状態になると体力が回復し、攻撃力は1.5倍になる上、行動済みだったユニットは再行動できるという、味方にとってはうれしい状態である)することがある。このときに、''他の音声は無い''のになぜかこのときの笑い声''だけ''が入っている。しかもこの声がはっきり言って、発狂したような壊れた笑い声で聞いていて気分のいいものではない。 ---- **総評 本作単品としてみれば決して駄作ではなく、良作の範疇に入れられる。特に原作のアナーキーぶりをよく再現できている点は前作以上である。しかし、前作と比して難易度は明らかに下がっていること、地域制圧型から要塞経営シミュレーションへの転換、リアルタイムシステムの導入といった点が賛否両論の点となってしまった。 ---- **余談 -現在のプレイ環境について --前作がソースネクスト版、ダウンロード版などで販売されていて非常に手に入れやすく、またOSに合わせているためWindows7でも(一応)動くのに対して、本作は2002年に廉価版が出されたきりとなった上、いわゆるWindows9x版の動作を前提としたままパッチも修正版もでておらず、XP以降のPCでの動作は保証されていないという冷遇ぶりもファンを嘆かせている。せめてXP以降へ正式対応されれば再評価の機会もあるのだろうが…。 ---XPのSP3はBGMが出ないが動作する模様。BGMまで聞き快適にプレイするには多少の工夫が必要。 ---- *水滸伝 天導一〇八星 (SS/PS) 【すいこでん てんどうひゃくはっせい】 |ジャンル|歴史シミュレーションゲーム|&amazon(B000069U9N)|&amazon(B000069U9T)| |対応機種|セガサターン&br()プレイステーション|~|~| |発売・開発元|光栄|~|~| |発売日|【SS】1997年12月18日&br()【PS】1998年4月2日|~|~| |定価|7,800円|~|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~|~| |ポイント|マップが狭すぎ&br()自由度喪失|~|~| **概要(移植版) PCで発売された『水滸伝 天導一〇八星』のコンシューマ移植版だったのだが…… ---- **問題点(移植版) -要塞のマップが一気に狭くなる。 --PC版のように広大な土地を切り開いて優れた要塞を築き上げるというコンセプトが台無し。あっさり内政=要塞設営は終了する。あとは物資がたまるのを見るだけ。 --また、PC版のようなマップ内の高低差がなくなったのでどれもこれも似たような地形になってしまった。違いは結局、水辺と道の多寡だけという有様。しかもこれによって水門とそれを使った水計攻撃が削除されてしまった。 ---PC版では大まかに分けると「平地が多く施設建設が容易だが、防衛が困難」な町系と「山や水辺が多いため、防衛は容易だが施設建設が制限されやすい」山塞系に地形が分かれていた。しかし、マップの高低差がなくなった結果、これらの差がまったくなくなり、要塞への愛着がもてなくなった。 -要塞と要塞の間に街道のようなものが敷かれており、これを伝って移動・軍事行動をおこなう。 --このため、PC版のような自由な行動は一切取れなくなり、結局他の地域制圧型シミュレーションと大差ないものになってしまった。 --自勢力の要塞数の増加は必ずしもプラスではないというコンセプトも台無し。と、いうのも最終目標である東京(とうけい)開封府に隣接するために要塞数をある程度増やす必要があるため。 -41個あった要塞が、移植版ではたったの15個に激減している。 --しかも要塞の多くがすでに官軍や独立勢力に支配されているのでプレイヤーが新規に旗揚げできる場所は限られている。また、上記の理由もあって自由な放浪もできなくなっている。 -前作の頃から使いにくかったとはいえ、一騎討ちが削除されてしまった。 -以上の点により、コンシューマ版はPC版とはまったく別の何かになってしまった。 ---- **評価点(移植版) -新キャラの追加。 --追加されたのは『金瓶梅』に登場する女性たち。当然、能力が高いわけでもなく、人数が多いわけでもないので微妙((ただし、小娘属性持ちかつ仲間になりやすいため、特に序盤の人材登用には一役買う。))。しかも一体どこの派生作品を参考にしたのか、人物列伝が原作と乖離している。 ---参考までに言うと『金瓶梅』は『水滸伝』の主役の一人、武松が登場するifストーリーである。内容はかなりエッチなのでお子様は興味を持たないように。 -イベントの追加。 --親子・兄弟などが自分の要塞に来るとイベントが発生して仲間になったり、女性キャラとの結婚イベントが起きたりした。放浪中も原作でおなじみの博打や痺れ酒酒場などのさまざまなイベントが起きた。 ---オープニングで各キャラが放浪するいきさつも挿入されるのだが、これもシステムなどと矛盾を起こしている面もある。例えば林冲をプレイヤーとして選ぶと、彼が放浪するきっかけとなった友人・陸謙の殺害までのシーンが演じられるのだが、ゲーム上では陸謙は死なずに人材として登場する。そのため、こうしたシーンのないPC版の方がまだ矛盾が無いという問題も生じた。 -グラフィックの改定。 --ドット絵のようなグラフィックから後に『大航海時代IV』のキャラデザを担当する絵師によるグラフィックへと変更。また、オープニングやエンディングなどには正子公也氏の『絵巻水滸伝』の作品が挿入されて非常に華やかなものになっている。特に良曲と共に一〇八星の一部が次々と登場するエンディングムービーは、コーエー歴史ゲーム史上最高のムービーともいわれる素晴らしい出来である。 ---- **総評(移植版) 現在のPC→据え置き機のようにほぼ完全な移植ができなかった当時としてはやむをえないところもあり(実際、この頃に移植されたコーエーの箱庭内政型ゲームは軒並み規模縮小を強いられている)、本作にはそれを補うための追加内容などもあるのだが、それも微妙なものであったため、移植元以上の魅力を示すことができずむしろ劣化した部分ばかりが目に付く内容となってしまった。~ あまりにこの移植がひどかったからか、コンシューマ版で評価されたイベントの追加やグラフィックの改良などの新要素をPC版にパワーアップキットとして追加することもなかった。~ 移植版のあおりを食らってWin版もより一層評判を下げることになってしまった。 ----

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