このページでは『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』と、リメイク作『マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~』を紹介します(判定は共に「良作」)。



マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~

【まりーのあとりえ ざーるぶるぐのれんきんじゅつし】

ジャンル 新感覚RPG
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 ガスト
発売日 1997年5月23日
定価 5,800円
判定 良作
アトリエシリーズ

あらすじ

マリーことマルローネは、錬金術士を目指してザールブルグの王立魔法学校(アカデミー)に通う少女。しかし、彼女の成績はアカデミー始まって以来最低最悪。
このままだとマリーは卒業できない! 彼女の師であるイングリド先生はその状況を見るに見かね、留年を回避する為に一つの課題を出した。
それは、「5年間錬金術士のアトリエを維持しながら勉強をし、何か一つ高レベルのアイテムを作ること」
その間の成果がよければ卒業を認めるというものだった。既にこれが留年じゃないかともよく言われる。
かくしてマリーは城下の錬金術のアトリエに移り、卒業目指して奮闘することになったのである。


特徴及び評価点

世界を救うのはもうやめた!

  • これ以前に『ファルカタ』や『メールプラーナ』をリリースするも、未だ無名も同然だったガストが突如として発表した意欲作。
  • 剣と魔法の世界を舞台にしたRPGにもかかわらず、主人公は悪い魔法使いを退治したり、魔王にさらわれたお姫様を救い出す必要はない。この世界の住民の一人となって錬金術を使って生活していくという内容。
    • そのためRPGというよりは錬金術士シミュレーション、といったほうがしっくりくる内容だが、エンカウントによる戦闘やレベルアップによる成長、アイテムや装備などRPGに必要な要素は全て揃っている。
    • 一方でエリア探索は極限まで簡略化されており、街はおろかダンジョンですらマップの概念がない。進む(探索する)か戻るかの2択である。
  • そんなゲームが果たして面白いのか? と疑問を抱くだろうが、これがよくできていた。

錬金術の生活スタイル

  • ボリュームの割には自由度の高い内容なのでプレイヤー次第であるが、基本的には錬金術の工房(アトリエ)でアイテムを作ることを主軸にゲームが進行する。
  • プレイヤーはマリーを操作して、アイテムを作るために必要な知識、素材、設備などを集めてアイテムを作る。
  • 最初は錬金術士としての実力が低く設備も少ないので作れるものは少ないし、レベルも低いので遠出もしづらく素材も集まらない。
    • しかし簡単な調合を繰り返して経験を積み、作ったアイテムを後述の酒場で売り渡すことによりお金を稼ぎ冒険者を雇うことで遠くて危険な場所の素材集めも容易になる。
      • 上述のようにマリーはおちこぼれの女の子であるため最初の頃はかよわい。序盤は遠出の際に冒険者を雇うのは必須である。
  • 書物を買ったり図書室で読んだりすることでアイテムのレシピを集められ、作れるものが増える。
    • 書物やアイテムを作るために必要な設備は高額で、図書室は錬金術士として一定以上の実力がなければ入らせてもらえない。そのため最初から強力なアイテムを作って楽することはできない。
    • 新たなアイテムや情報を得ることでマリーの「知識」パラメータが増えていく。マリーの経験値は知識の値が上限になるので、戦うだけでは強くなれない。
  • 町の酒場には「○○を求めている」という依頼が張り出されており、錬金術で作ったアイテムを酒場のマスターに売り渡すことで銀貨(コール)を得ることができる。
    • モノによっては高額のコールが支払われるため、本の購入や冒険者の雇用のためには酒場で依頼をこなすことがほぼ必須である。
    • 一方で明らかに割に合わない依頼も存在するので、無闇に受けずに見極めることも重要である。受けた依頼を期間内にこなせないと名声が下がってしまう。
  • このように通常のRPGのように敵と戦って経験値を手に入れ、レベルを上げて強くなりお金を稼ぐのとは違い、調合を繰り返して錬金術士としての実力を上げ、作ったものを使ってお金を稼ぐことでマリーは強くなっていく。
    • 戦闘力に関しては調合や依頼だけでなく、普通のRPGのように戦ってレベルを上げることでも強くなるのだが、前述のように知識が経験値の上限となるので戦闘一辺倒では強くなれない。
      • ゲーム内期間が5年に決まっている上にマップを移動するたびに数日消費するため、ある程度効率的なプレイを心がけなければならない。
      • 逆に最低限の知識さえ得れば、5年の間を錬金術そっちのけで戦士としての修行に費やし、敵を倒しまくってレベルを上げマリー無双をすることだってできる。そのようなゲームコンセプトから外れた成長法を取ってもバッドエンドにならないエンディングまである。

5年間を彩る様々な要素

  • ただ単に禁欲的に錬金術士の腕を磨くだけでは現在のような一大シリーズの原点にはなりえなかっただろう。もちろんそういうプレイもできるが、このゲームはサブキャラクターやそれに伴うイベントが豊富なのだ。
  • 様々なミニゲームが発生することも。
    • 突然、8bitゲーム機のような画面でアクションゲームが始まる。初見では当惑するだろうが、このゆるさも魅力の一つ。
  • 親友のシアをはじめ、ライバル的存在の優等生クライス、冒険者宿で出会う冒険者たち、武器屋の主人やアカデミー関係者など多くの人間と関わることになる。
  • 彼らはそれぞれの生活・仕事をしているだけでなく各個にサブイベントが存在し、仲がよくなれば個人的にアイテム製作の依頼を持ちかけてくることもある。
    • 特にシアの病気イベントはサブイベントではあるものの、エンディングのキーアイテムの1つ「賢者の石」を作るのに不可欠なイベントでもある。
  • キャラクター関連だけでなく、のみの市が開かれればレアなアイテムが購入できたり、騎士団が討伐の遠征に出かければモンスターのエンカウント率が低くなり遠出が楽になったりと、ゲーム進行の役に立つイベントが多い。
  • また、ストーリーを進行していくと妖精さんを雇うことができる。妖精さんは雇うことでマリーの代わりに調合したり素材を集めてきてくれる。雇うには高額なお金がかかるがプレイを大幅に楽にしてくれる。
  • また、素材を収集できる場所によってはボスがいることもある。非常に強いが彼らを倒すことで強力な素材を手に入れたり、エンディングのフラグを立てることができる。
    • マルチエンディングであり、プレイスタイルに合わせて変わるエンディングは魅力的。一度クリアしても別の楽しみ方ができる。
      • 一緒に冒険に出て友好度を上げた仲間は人物プロフィールと各種立ち絵を閲覧できるモードに登録されるという要素もある。
  • 上記の要素は起こすも無視するもプレイヤーの自由。これらのおかげで5年という年月のあちこちにアクセントがついている。
    • 逆に5年間何もせずひたすら睡眠というプレイにも、相応のエンディングを用意している。

その他の評価されている点

  • 桜瀬琥姫によるキャラクターデザインはファンタジー色が強く、美麗で人気がある。
    • 前述の妖精さんに加え、ドラクエでいうスライムにあたる雑魚敵「ぷにぷに」はその可愛らしいデザインからシリーズのマスコット的存在になり、後のシリーズではパーティーキャラクターとしてユニークキャラまで登場するに至った。
  • 音楽も良質。のんびりとした安らげる曲が多い一方でボス曲はとてもかっこよかったりする。
    • また作曲者がメールプラーナと同じであるため、メールプラーナのアレンジBGMがおまけとして挿入されている。
  • ロードが皆無、またゲームをリセットしなくてもセーブデータをロードすれば簡単にやり直せたり、睡眠することで一気に期間を飛ばすこともできテンポは快適。
  • 当時としては珍しいフルボイスである。主要キャラはもちろん、無名のモブキャラでさえボイスが当てられている。
    • 前述のようにロードは気にならず、ボタンを押せばスキップできるのでテンポを崩していないのも評価点。

賛否両論点

主人公の強さが極端

  • 「錬金術士は戦うのが仕事ではない」為、ゲーム開始時点では町のすぐそばにある森の雑魚モンスターにも苦戦する。 本作はそれを補う為に金を払って傭兵等を雇わねばならない。
    • これ自体はマリーの目的が練金であり戦闘ではないのでいいのだが、マリーの錬金技能レベルと冒険者レベルが連動している為、外へ出なくても強くなっていき、さらに戦闘用アイテムを作成したりイベントで強力な武器を手に入れることで、一部ボスを除けばマリー無双状態となってしまう。
      • 後作では錬金術士としてのレベルと冒険者レベルが別個に設定された他、戦闘難易度も調整され、近場なら無理に長期間滞在しなければ数度の戦闘を自然とこなせるくらいにもなりえる。

序盤から強力な敵の出る場所へ行けてしまう

  • 序盤から行ける材料採取地の一つ「ヴィラント山」は序盤から行ける割には道中含め強敵が出没し、序盤では用意をした上で向かってもあっさり全滅してしまう程。
    • ただし情報を聞いた時点で「危険なモンスターが出る」と忠告されるので、話を聞かない方に問題があるのだが。
    • また、年に2回騎士団がモンスター討伐を行ってくれる月の間は一切モンスターが出なくなるので、そのときが安全に採取を行うチャンスとなる。
    • ヴィラント山で採取できるアイテムで序盤に欲しいアイテムは、一度ヴィラント山に行く事で情報を入手できる別の場所で比較的安全に採取が出来るほか、一度行ってしまえば妖精さんに採取を頼む事も可能になる。
      • まぁ、妖精さんを雇うまでに少し手間がかかるが…。

素材アイテムが99個以上の状態で該当アイテムが採取出来る場所で採取を選ぶとアイテムの回収数が大幅に減る

  • メッセージ表示がないが仕様で99個以上でも採取したという判定になる上なおかつ他のアイテムの入手確率が上がるわけでもないのでかごがいっぱいになるまで採取する効率優先スタイルのプレイヤーには悩まされることになる。

ミニゲームの難易度

  • ミニゲームは基本的にアクションゲームとなっており、本作にRPGやシミュレーションを期待していた場合は面食らう要素である。
    • 特に「目指せ!リンゴゲーム」は、かなりの連打と反射神経を必要とする。幸い、クリアできなくても該当アイテムは入手可能なのだが。
    • 失敗するとアイテムを失ってしまうタイプのミニゲームの難易度は抑えられている。

問題点

シナリオ面

  • サブイベントやボリュームが少なく薄味な感がある。
    • サブイベント自体はそれなりにあってもフラグをきちんと立ててないと途中でイベントがなくなってきてシナリオ面で飽きがくる。
      • その頃には大抵合成にのめりこんでいるので、余計なイベントが発生しないので合成に集中できるという意見もあるにはある。
  • とあるサブイベント関連
    + ネタバレ防止のために収納
  • 名声とレベルを高めるとイングリド先生から暗証カードを入手出来、図書館に入れる様になり錬金レシピやアイテム等の知識を入手できる。
    • さらに名声を高めると謎の老人とぶつかりその老人が図書館へ入っていくと言うイベントが発生する。
      • その老人を追って図書館に入ると何故かその老人がどこにもおらず、本棚を調べると隠し図書館を発見してそこの本も読めるようになると言うイベントがある(そして謎の老人がアカデミーの校長である事が判明する)。
    • このイベントの問題として謎の老人が出現したら隠し図書館発見まで進めないと以降隠し図書館を発見出来なくなるという事である。
      • 隠し図書館を発見できない場合、いくつかのアイテムは絶対錬金できなくなる上に知識(経験値上限)も頭打ちになってしまい殆どのエンディングが見れなくなってしまう。

システム面

  • 戦闘のバランスが悪い。
    • 本作の戦闘では素早さが最重要視されており、素早さのちょっとの差でも高い方が先に攻撃できるようになっているので、序盤の低レベルキャラはリンチを喰らいやすく、レベル上昇と共に素早さが成長した後半になると、相手に攻撃の機会さえ与えないこともある。
    • 戦闘で貰える経験値がSRPGのようなキャラ個別での入手方式である為、前述の通り素早さが低いキャラや打たれ弱く前線に出し辛いキャラは、かなり育ちにくい。

総評

この時点ではディレクターが述べた通り「シミュレーションを土台にRPG的テイストを入れた」作品である。 そのゲーム性と当時先進的であった桜瀬琥姫氏のキャラデザで話題となり、一定のファンを獲得することに成功した。
ガストという中小企業の認知度を上げ、後に続く『アトリエ』シリーズの礎となる作品になった。
この作品自体の移植やリメイクも何度かなされている。


移植

SS版『マリーのアトリエ』

  • 1997年12月11日発売。イベントなどが追加された。版権イラストを収録した「画廊」も追加されている。
    • 雑誌企画に存在した「初期レベル0である親友キャラのシアを最大のレベル50にまで育てる」というネタを拾い、マリーとシアのレベルを50にした時専用のエンディングも追加された。

PS版『マリーのアトリエPlus』

  • 1998年6月4日発売。SS版の逆移植。画廊に加えて「音声劇場」が追加された。
    • 2007年12月26日にこの『Plus』版がゲームアーカイブスにおいて600円で配信されている。

Win版『マリーのアトリエPlus』

  • 2000年4月28日発売。『エリー』と同時のPC移植。
    • デスクトップアクセサリ類も入っているが、ゲームと連動して順次解放されていく方式。また定期的に品揃えが変わるショップが新設された(要ネット環境)。

DC版『マリー&エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士1・2~』

  • 2001年11月15日発売。1作目マリーと2作目エリーをセットにしたカップリング移植なのだが…。
    • おまけディスクを含めコンピュータウイルス「W32/Kriz」に感染しており、PCのBIOSが破壊される等の問題が発生し、即座に販売が中止されるほどの大問題となった。
      • 厳密には本編ディスク、おまけディスク共に感染しているが、問題が発生するのはおまけディスク内のスクリーンセーバーをPCにインストールした際。
      • あくまでPCへのおまけインストールでのみ問題が発生していたので、DCでゲームを遊ぶ分には何の問題もなく遊べた。

PS2版『マリー&エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士1・2~』

  • 2005年10月27日発売。上記カップリング移植と内容は同じ。当然ながらウイルスの問題はない。

余談

  • 本作でそれなりに知名度を上げた後、1997年9月にガストが発表したのが、よりによって知る人ぞ知る駄作『火竜娘 柳判官編/高悠環編』だった。
  • 上のコンピューターウィルスの件にもあるように、ゲームの評価とは関係ないところでトラブルを残してしまった作品でもある。
    • 中でも有名なのが、イラストレーターの桜瀬琥姫氏とガストとの間で起きた金銭トラブルである。このため、キャラクターデザインの評価は高かったにもかかわらず、次作『エリーのアトリエ』では別のイラストレーターを起用せざるを得なくなってしまった*1
      • しかもこれで終わりではなく、次作『エリーのアトリエ』及び3作目『リリーのアトリエ』のイラストレーターである山形伊佐衛門氏とも同じような問題を起こしてしまっている。
      • これらの作品をリメイクする際(携帯機など)に、ガスト側は別の絵師のイラストに差し替えていることを見ても、これは相当に根深いと思われる。
      • 品のある2人のイラストを好んでいたファンも決して少なく無く、当時のガストという企業が抱える問題の一端を垣間見ることができる。こんなトラブルは担当者がきちんとしていれば防げた話であると思うので、なんとも勿体ない。
      • 以降、桜瀬氏・山形氏は共に長らくアトリエシリーズに携わっていなかったが、2017年のシリーズ20周年企画の際には、お祝いイラストやサイン色紙などを寄せている。 また、2023年の「マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~」発売に際しては、キャラクターデザインこそ変更となったが、ガストショップでの購入特典に桜瀬氏の新規イラストが使用されているなど、完全に縁が切れたというわけではない模様。
  • 本シリーズで錬金術を扱う者は「錬金術」ではなく「錬金術」である。わざわざこの違いに作中で言及しているものもあるので、スタッフ的には譲れない所なのだろう*2*3
    • 意味としては別にどちらでも間違いではないのだが、錬金術を扱う他の漫画やアニメは漏れなく前者の方を採用しているので、本シリーズをよく知らない人には高確率で間違えられてしまう。
  • どう見てもイガグリなのを『うに』と呼んでいるのは、プランナーがうにが好きでふざけて入れたのがそのまま仕様となったため。
    • 以後も『うに』はシリーズの定番要素のひとつとして定着した。

その後の展開

  • PS版無印の翌年に続編『エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士2~』が発売され、正式にシリーズ化された。
    • 本作と『エリー』や、3作目の『リリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金士3~』など、ザールブルグを舞台とした作品群は「ザールブルグシリーズ」と呼ばれている。
      • また、ここから、以降のまとまった作品群を「(舞台の名前)シリーズ」としていくようになった。

マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグの錬金術士~

【まりーのあとりえ りめいく ざーるぶるぐのれんきんじゅつし】

ジャンル RPG


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam)
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエーテクモゲームス(ガストブランド)
発売日 2023年7月13日
定価 6,380円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 原作に忠実なリメイク
全体的に親切さが増加
追加要素は少なめ
アトリエシリーズ

概要(Remake)

シリーズ25周年記念作品で、『マリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士~』のリメイク作品。
2023年2月9日の「Nintendo Direct」で発表された。
本作はストーリーやゲーム性を大きく変えてしまうようなアレンジは施されておらず、極力オリジナル版を尊重した作りになっているのが特徴。


原作からの変更点

  • 2Dドットだった原作から3Dグラフィックになった。
    • 人物はリアル体型ではなく、2.5頭身~3頭身程度にデフォルメされている。
    • ザールブルグの街や採取場所で移動が出来るようになった。
      • これにより素材ごとの採取場所が設定され、特定の素材だけ集めるということも可能。
        なお、従来の形式による素材の採取は「簡易採取」という形で採用されている。
      • シンボルエンカウントを採用し、敵モンスターも採取場所内ではシンボルとして登場する。杖を振って先制攻撃を行うことも可能。
        戦闘を行った場合、素材は「簡易採取」の形式で入手した扱いとなる。
  • メニュー周りのUIも刷新されている。
    • イベントの発生状況や条件を確認できる「思い出」や、各種行事・妖精さんの仕事状況を確認できる「予定表」が追加されている。
  • 時間制限の無い無期限モードが追加された。
    • ただし、発生期間が設けられている一部のイベントが発生しなくなる。
    • この場合、エンディングは5年目以降は任意で見ることができる。
    • リメイク前の5年の期限がある方は通常モードという形で採用されている。
  • イングリド先生の課題の追加。
    • 期限内に達成すると銀貨を貰えるが、課題を達成出来なかった場合、名声が下がる。
    • 序盤の銀貨不足が緩和されている他、初めてプレイする人向けの導線にもなっている。
  • 戦闘システムは原作をベースに調整。
    • オート&倍速機能の追加。
    • キャラクターごとに必殺技は1つしかなかったが、リメイク版では1キャラごとに2つに増えた。
      また、必殺技使用時にMPを消費するようになった。
    • 戦闘は行動順や技の威力が表示されるようになった。
    • 敵にとどめを刺さないと経験値が貰えない仕様が変更され、戦闘を終えると全員経験値をもらえるように。
  • アカデミー卒業のために要求されるアイテムランクが4から6に上がった。
  • 特定のイベントを進めると、飛翔亭の看板娘フレアがお店を開くようになった。
    • 5の倍数の日にお店を出しており、調合でしか手に入らないようなアイテムが購入可能。
      また、後述の「内装」アイテムもこちらで購入できるようになっている。
  • 工房の内装を変更できるようになった。
    • 上記のフレアのお店で「内装:~」アイテムを購入後、工房の日記メニューから「模様替え」を選ぶことで、壁・床・ベッド・テーブルセット・収納の見た目を変更できる。
      内装には「敵からのアイテムドロップ率上昇」「依頼達成時の銀貨が多くもらえる」といった追加効果も備わっている。
  • BGMが変更できるようになった。
    • 工房の日記メニューから「BGM変更」を選ぶことで、街や工房、戦闘時等のBGMを変更できる。
    • 無料で配布されているDLCの『「アトリエ」シリーズ歴代BGMパック』を適用すれば、本作のBGMのみならず、エリーライザ1までに登場した約1,000曲から選べるようになっている。
    • BGMはランダム設定が可能。
      例えば、通常戦闘のBGMに「マリー」「エリー」「ライザ」の各戦闘BGMを設定すると、戦闘の度に設定したBGMがランダムで流れるようになる。
  • ゲームクリア後、クリア後のデータをロードして最初からプレーできるようになった。(いわゆる「強くてニューゲームに相当」)
    • 図鑑の一部内容や、装備中の武器・防具等を引継いだ状態となる。
    • モードはクリアデータのロード時に改めて変更できる。通常モードのクリアデータをロードし、次回を無制限モードでプレーすることも可能。
  • 「Digital Deluxe」か、パッケージ版にも適応できるDLC「Digital Deluxe Upgrade」を購入すると1998年に発売された『マリーのアトリエPlus ~ザールブルグの錬金術士~』のリマスター版がプレイできる。

評価点(Remake)

このリメイクは全体的に、オリジナル版の魅力やプレイ体験を可能な限りそのまま残している。
単なる仕様の緩和ではなく、当時のゲーム性を維持しつつ、追加された情報を活用して楽しむリメイクになっている。

  • 画面に表示する注意書きが増えている。ヘルプでの補足も。
    • 工房に出入りする際に1日経過するという注意書きが出る。
    • 調合に失敗しそうなときはマリーの呟きが見られる。
    • 依頼を受けると常に画面に残り日数が表示されるように。
    • イベントを進めるための発生条件を確認できる。
  • 立ち絵やイベントスチルは、オリジナル版の構図を踏襲しつつ描き直されている。
  • 追加されたキャライベントは数は多くないが、キャラの交流や掘り下げに重きが置かれており、どんなキャラなのかがより伝わりやすくなっている。
  • BGMアレンジは谷岡久美氏と八木遼太郎氏が担当。原曲の雰囲気をそのままに音源などが洗練された正統派アレンジに仕上げられている。
    • 工房で原曲に切り替えることも可能。
  • 快適にプレイできる要素は揃っている。
    • セーブ・ロードはスペック的に不利なSwitch版でも早く、マップの画面の切り替わりも暗転を挟むことなく切り替わる。
    • イベントも早送り、自動文字送り、バックログもある。
    • 調合の演出や採取場所に向かう際も早送りが可能になっている。
    • ザールブルグの街や採取場所での移動はダッシュが可能で、ボタンを押し続けるタイプとワンボタンで切り替えるタイプのどちらかを設定可能。

賛否両論点(Remake)

  • デフォルメされたグラフィックは「原作からして探索時や戦闘時はちびキャラなので許容範囲内」「リアルな3Dグラフィックが良かった」と賛否が分かれている。
    • モデル自体は頭が大きめに描かれているが表情は豊かで装飾なども細かく描かれているのでそれなりに良質。また、原作が2D見下ろし作品のリメイクだと珍しくない表現ではある。
    • アトリエシリーズでは『トトリ』以降キャラクターのグラフィックに力を入れており、その前作にあたる『ロロナ』もリメイクの際に3Dデフォルメから頭身の上がったモデルに変更された過去を持っている。また、『ネルケ』でリアル頭身のマリーが見れたということもある。
    • 一応、『ライザ』のような3Dを望む意見が出ているのは開発側も想定済みであり、『ライザ』と同じようなゲーム体験を想像してほしくないために区別する意図があったという(参照)。
  • ボイスは原作の完全な流用。
    • ファンの間では25年も前の声を出すのは難しいという予測がされていたこともあり、流用を好意的に受け止める人もいる。
    • 原作から25年も経過している上に、引退している声優が何人かいるので、仕方が無い部分ではある。声優陣の総入れ替えという手も『ラングリッサーI&II (Switch/PS4)』『月姫 -A piece of blue glass moon-』のように賛否を招いているケースもあるため、ベターな判断が難しいところではある。
      • インタビューでは当時らしさ重視で流用していることが語られている。
    • 当然、新録は行われていないので、追加部分は音声なしとなっている。
    • 新規ファン目線だと、兼ね役の多さが目に付いてしまう意見も挙がっている。
  • 原作に忠実なリメイクゆえに古風な仕様がある。
    • 日数経過は早く、1回採取するだけでも1日消費する。
    • 戦闘も原作よりはやれることは増えたものの単調さは否めない。
    • 調合は初期作だけあってかなりシンプル。後の作品のような品質もスキルも特性もない。
    • 作成できるアイテムが初代ということもあって少ない。
    • 参考書も図書館で読める本も数が少ない。
    • いずれも当時のファンにはお馴染みの仕様なのだが、2023年リリースのリメイク作としては古臭く感じる要素も多く、これらを不満点として挙げるプレイヤーレビューも散見される。
    • 開発者が「シリーズの原点はこういうゲームだったことを近年のファンに伝える」とインタビューで答えており、上記の良くも悪くも古風な作りは意図されたものである。

問題点(Remake)

  • シナリオ面は原作から増えているものの、サブイベントやボリュームは少なく薄味で、原作から毛が生えた程度。
  • EDに優先順位があるので狙ったEDを観るのは困難。
    • やり尽くしてからエンディングを見たいという場合特定のEDしか見れないという場合も起こり得る(特に無期限モード)。
    • アーシャ』以降の新作ではEDを選択できるようになり、『ロロナ』でもリメイクの際にも導入されていたが、本作には採用されていない。

総評(Remake)

原作の楽しみを損なわないまま遊びやすさが向上したリメイク作品として仕上げられており、親切な作りにもなっているのでシリーズ入門作としてもオススメ。
リッチな作品を好む層からは物足りなさも感じられるかもしれないが、『マリーのアトリエ』に興味を持ったならばこちらを手に取るしてみるのもいいだろう。

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最終更新:2023年12月16日 18:26
添付ファイル

*1 実は、次回作でも前作のキャラクターの多くが出て来るにもかかわらず…である。

*2 日本語としての意味は「師:先生、師匠などの高度な知識技術を持つ人へ付ける敬称」「士:侍、役人、公的な要素のある仕事をする人(弁護士など)」であり、看護婦を男性も行うことになって改称する際に「看護士」になりかけたが「看護師」の方が適切となった。

*3 本シリーズの錬金術士は街中に事務所を構えて経営を行うのが主な活動であるため、士業のようなニュアンスを表現しているのだと思われる。