アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション

【あいどるますたー しんでれらがーるず びゅーいんぐ れぼりゅーしょん】

ジャンル VRアイドルライブ
対応機種 プレイステーション4
(PlayStationVR専用
メディア ダウンロード専売
発売元 バンダイナムコエンターテインメント
開発元 Cygames
発売日 2016年10月13日
定価 2,296円(DLC除く)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント VRで体験する臨場感抜群のアイドルライブ
あくまでライブ体験ソフトでありゲーム性はない
DLC商法は相変わらず
基本無料のアプリゲームで十分な感はある
アイドルマスターシリーズ


概要

アイドルマスターシリーズ初のソーシャルゲームとして2011年にスタートし、現在では同シリーズ中でも最大の市場規模を抱えるコンテンツとなっている『アイドルマスター シンデレラガールズ』(デレマス)。
PlayStation VRのローンチタイトルとしてリリースされた本作は、「デレマス」に登場する総勢183名(当時)のアイドルたちのライブを、観客の視点から体験できるシミュレーターである。

特徴

  • 千葉県にある実在のライブ会場、舞浜アンフィシアター*1とタイアップしており、同会場を忠実に再現したステージにアイドルを立たせ、彼女たちのパフォーマンスを鑑賞することが出来る。
  • 初期収録曲はデレマスのアンセムである「お願い!シンデレラ」、2015年に放送されたアニメ版の主題歌「Star!」、そして本作のために書き下ろされた新曲「Yes! Party Time!!」の3曲。DLCにより追加で8曲を選択できる。
    • ステージに立たせられるメンバーは楽曲ごとに固定だが、「お願い!シンデレラ」と「Yes! Party Time!!」には後に無料アップデートによりエディットLIVEが追加され、183人のアイドルから任意にメンバー選択が可能になった。
  • アイドルの3Dモデルは、2015年にスマートフォン向けにリリースされたアプリゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(デレステ)から流用している。衣装は「デレステ」での初期衣装である「スターリースカイ・ブライト」と、本作用に作られた新衣装「パーティータイム・ゴールド」の2種類がある。
  • ライブ鑑賞時の視点は最前列から後列まで、アンフィシアターの各席8か所から選択可能。ライブ中は手にペンライトやリストバンドなどのライブ定番アイテムを装備でき、DLCで種類を増やせる。

評価点

圧巻のリアルライブ再現度

  • PSVRの性能をフルに生かしたライブの臨場感は非常に高い。アンフィシアターのステージと客席の近さも相まって、最前列で鑑賞した際の「アイドルが本当にそこにいて、目の前で歌い踊っている」という実在感は特筆ものである。
  • 自分以外の観客たちの歓声やコール、ペンライトや客席ウェーブなどの演出も楽曲ごとに忠実に再現されているため、最後列に陣取って会場全体の盛り上がりを体験するのもまた一興。音響も席やアイドルの移動によってしっかり変化する。
    • その一方、コールやペンライトをオフにして、静かに落ち着いてライブを鑑賞することもできる。
  • ライブ中に客席内6箇所の視点を自由に移動するという、現実のライブでは絶対できないことも実現可能。いちばん見たい視点からライブを堪能できる。
    • ちょっとした小技を使えば、身長3メートル以上の普通ではあり得ない視点からライブを見ることもできる。
  • ペンライトの色や本数もライブ中に設定可能(最大8本の同時持ちまで対応)。ステージ上のアイドルに合わせてペンライトの色を切り替えるという、現実のライブさながらの動きも疑似体験できる。
  • 通常のコントローラー操作に加え、PlayStation Moveにも対応。ペンライトに見立てて振ると没入感が段違いになるので、Moveの使用がおすすめである。

盛り上がる新曲

  • 本作用の書き下ろし新曲「Yes! Party Time!!」は、お祭り感に溢れたアッパーテンポのダンスチューンで非常に人気が高い。いかにもアイドル曲らしい観客によるコールも多数盛り込まれており、ライブ気分を嫌が応にも盛り上げてくれる。
    • 現在はこの曲も「デレステ」に収録されているのだが、あちらは音ゲーとしてプレイする都合上若干短めに尺調整されており、間奏での観客ウェーブなどを楽しめるのは本作の特権。

総勢183名のCGモデルを収録

  • 発売時点では、ステージに立てるアイドルは初期収録15名+DLC購入分という常識の範囲内の人数だったが、2017年8月配信の第9弾DLC(無料)をもって、当時「シンデレラガールズ」というコンテンツに存在していたアイドルほぼ全員が収録された。その数、実に総勢183名*2
  • その大半は歌声やセリフが収録されておらず、先述した通り「お願い!シンデレラ」「Yes! Party Time!!」の2曲において、ステージ上に配置して姿やダンスを鑑賞できるだけという扱いである。そもそもCGモデル自体も「デレステ」からの流用であり、だからこそ実現した仕様である。
    だがそれでも、全てのアイドルを夢のステージに立たせることを実現したことは快挙であり、『アイドルマスター』の理念・理想の結実であると言えるだろう。
    • これにより、デレステ内に「担当アイドル」を持つすべてのPは本作を無視できない状況に立たされてしまい、ハードウェアごと本作を購入せざるを得なくなったという声も多く聞かれた。

賛否両論点

  • スコアアタックや、アイドルと触れ合うようなゲーム的な要素はなく、やれることはライブ鑑賞のみ。
    • これについてはそもそも「ライブ鑑賞シミュレーター」と銘打って発売しているものであるため、文句を言うのも筋違いではある。
    • この点について、「観客やステージのバリエーションがもっと欲しかった」「コールなどを練習するモードが欲しかった」という意見もある。
  • 前述のように「デレステ」のモデリングを流用しているため、「PS4ならではの美麗なグラフィック」とは言い難い。
    • とはいえ、そもそも「デレステ」のグラフィック自体がスマホゲームとしては規格外の高品質を誇るため、粗が目立つわけではないが。

問題点

プロデューサー視点がないこと

  • ライブを鑑賞できるのは観客席だけであり、つまり「観客・ファンの視点」でしか見ることが出来ない。アイドルマスターはプロデューサーとしてアイドルを育てていくゲームであり、舞台袖や舞台裏のモニターなど「プロデューサーの視点」でアイドルを見られる機能も欲しかったという意見は多い。

アイマス伝統の高額DLC商法

  • 初期楽曲は3曲しかなく、追加楽曲は1曲1200円とかなりの高額。8曲を買いそろえるとそれだけで税込みで1万円を超える。後述の「デレステで十分では」感をかなり際立たせる要素である。
  • ライブ用のペンライトとリストバンドは各300円。どちらも実装曲に参加しているアイドル全員分があるため、全員分揃えようと思うとかなりの高額になる。
    • 「買うことで攻略を有利にしたり、アイドルに着せたりできる」普段のコンシューマー版アイマスのDLCと違い、本作で買ったアイテムを着るのはプロデューサー自身である。そこまでお金をかける価値が見いだせるかは厳しいものがある。
  • 楽曲も含めた全DLのお得なオールインワンセットもあるが、それでも12600円とかなりのお値段。

キャラクター間の扱いの差

  • 本作というよりも「デレマス」というコンテンツ根本の問題点*3ではあるが、登場アイドルの扱いには結構な差がある。
    • 楽曲歌唱に参加しているアイドルは初期状態15人、DLC込みで30人。ボイス未実装のアイドルはもちろん、当時ボイス実装済みのアイドルでも楽曲に採用されなかった子が多い。本作は楽曲ごとに踊らせるアイドルが固定のため、持ち歌のない153人は「お願い!シンデレラ」と「Yes! Party Time」のエディットモードでしか踊らせることが出来ない。リリース当初は15人以外のアイドルは影も形もなかった。
    • 初期実装15人は、アニメ版のメインキャラクターである「シンデレラプロジェクト」のメンバーを中心に選ばれているが、何故かその中でも屈指の人気キャラクターである諸星きらりと双葉杏は不在であり、DLCに回されていた。

ぶっちゃけ大半の機能がデレステで間に合う

  • 本Wikiでは対象外のため詳しくは触れないが、前述の「デレステ」はガチャやキャラ格差などの問題はあれども「 スマホゲームに革命を起こした 」と言われるほど高いクオリティを誇る作品であり、本作のリリース後も度重なる更新により膨大なボリュームアップを行なっている。
    • 本作の収録曲と衣装は、一部例外*4を除いてすべてデレステにも実装済みであり、あちらではメンバー・衣装ともに無料入手分だけでも選び放題、変え放題。全体の楽曲数やガシャなどによる有料衣装、音ゲーやコミュなどの要素も含めれば、ゲームとしてのボリュームや選択肢は比べ物にならないほど上回っている。
    • 一番の売りであるVRの臨場感も、現在は連携アプリ『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトスポット』とスマホ用のVRゴーグルを使うことで、簡易的なものではあるがデレステでもVRライブが体験可能になっている。
      もちろん、本格的VR機器であるPSVRとスマホ用VRゴーグルでは体験の質に大きな差がある。そこをどれだけ重視するかによって、各人次第で評価は変わってくるだろう。
    • シンデレラガールズは2019年におよそ4年ぶりの新キャラクター追加を行ない、現在は総勢190名の陣容になっている。本作の更新は既に終了しているため、2019年に追加された7人の新アイドルを本作で見ることはできない。
    • デレステにはミュージックビデオ風や演劇風のPVが付けられた楽曲もあるのだが、それらは本作には一切反映されていない。あくまでライブ会場でのステージアクトに限定されており、その点でもデレステの下位互換品という印象は拭えない。

総評

ゲームではなくあくまでライブ体験ソフト。
アイドルゲームとしての楽しさであれば「デレステ」には及ぶべくもないが、VRによるリアリティと臨場感たっぷりのライブ鑑賞は一度体験する価値はある。
DLCを除くゲーム本体のみなら安価で購入できるので、PSVRの性能を気軽に実感できるソフトとして手を出してみるのもいいだろう。

余談

  • 公式サイトでは最大のアピールポイントである「総勢183人・ほぼすべてのアイドルが出演する」という事実が「DLC」→「EDIT LIVE 無料DLC」という所に記載されているだけである。そしてそれよりも目立つ所に「※本製品にはライブ中に登場するアイドルや衣装を切り替える機能はございません」という、もはや正しくない文言が削除も修正もされずに残り続けている。
    • このせいで本作に対して未だに「15人+αのアイドルしか出演しない」という誤解を抱き続けている人もいるようだ。
  • 第49回(2017年)星雲賞の日本短編部門受賞作を収録した『南雲省スー族におけるVR技術の使用例』(柴田勝家著・電子書籍)には表題作に加えて、本作のプレイ体験ルポ『星の光の向こう側』が収録されている。

参考動画

+ 公式トレーラー

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最終更新:2023年12月04日 21:40

*1 東京ディズニーランドの園内にある多目的ホール。「シンデレラガールズ」1stライブの会場でもある。

*2 ただし以下のキャラは収録されていない。○「デレマス」には居るが「デレステ」には出演していないアイドル(天海春香など765プロ所属アイドル、日高愛など876プロ所属アイドルや関係者、リュ・ヘナなど韓国版デレマス限定アイドル)○2019年以降に新登場した7名のアイドル(夢見りあむ、黒崎ちとせなど)○アイドルではないキャラクター(千川ちひろ、トレーナー姉妹など)

*3 同作は200人近くという膨大なアイドル数を抱えるため、人気アイドルとそうでないアイドルには天と地ほどの公式展開の差があり、楽曲展開を行うアイドルゲームでありながらそもそもボイスが未実装のキャラも数多い。毎年行われる人気投票などによりボイス実装が決まり、この「ユーザーが競い合うことでアイドルの展開を増やす」というある意味リアルなプロデュース感がデレマスを巨大コンテンツに押し上げた要因の一つであるが、それゆえのファン同士の軋轢も絶えない。

*4 DLC曲「GOIN'!」だけは、オリジナル版とは違う本作の独自メンバーで歌唱されており、これを聞けるのは本作だけ。楽曲自体はオリジナル版でデレステに実装されている。