グラディウス (PCE)

【ぐらでぃうす】

ジャンル 横スクロールシューティング
対応機種 PCエンジン
メディア 2MbitHuカード
発売元 コナミ
開発元 コナミ開発2課
発売日 1991年11月15日
価格 6,000円(税別)
プレイ人数 1人~2人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
※バーチャルコンソール版で付与されたレーディングで記載
配信 バーチャルコンソールいずれも現在は配信終了
Wii 2007年8月7日/600Wiiポイント(税5%込)
3DS 2013年12月25日/600円(税5%込)
Wii U 2014年4月14日/617円(税8%込)
ゲームアーカイブス(PSP/PS3/PSV)
共通 2010年5月19日/600円(税5%込)
判定 なし
ポイント キャラグラフィック・敵配置はAC版に忠実
画面が暗く処理落ちも多い
グラディウスIII』風アレンジ
グラディウスシリーズリンク


概要

1985年にゲームセンターで稼働したシューティングゲーム『グラディウス』のPCエンジン移植版。

これまでのX68k以外の据え置き機でリリースされた初代の移植作品はスペックの低いファミコン版やMSXで発売された作品ということもあって、原作を再現していなかったり大きく変更された部分が見られるなど、残念ながら「AC版の完全移植」とはほど遠い内容だった。

その後、容量やグラフィックの質がFC版を上回る次世代のハードであるPCエンジンにて、コナミの同ハード初参入タイトルの一つとして本作が発売された。
同ハードはアーケード作品の移植実績に恵まれていた事もあり、発売前は期待の声が多かったのだが、蓋を開けてみるとこれも変更点が多く、アレンジ移植に近いものだった。


AC版との差異

基本的な装備内容やゲームシステムはAC版と同様なので割愛。ここではAC版との違いを記述する。

  • 操作方法
    • AC版では自機操作+ショット/ミサイル/パワーアップの1レバー3ボタン方式だったが、PCエンジン版はボタン数の関係で十字キーで自機操作+ショット&ミサイル/パワーアップとFC版同様の2ボタン方式に変更されている。
  • 自機の装備
    • AC版で単発だったダブルが2連射に変更された。
    • オプションの装備数はAC版同様に4個だが、FC版や『グラディウスII』と同様の挙動に変更。
      AC版では時折オプションのフォーメーションが固まっていたが、PCエンジン版ではそれが無くなっている。
  • ステージ
    • 本作のステージはAC/FC版で登場した7ステージに加えて、PCエンジンオリジナルの「骨」ステージが追加された事により全8ステージ構成に変更された。
      AC 火山 ストーンヘンジ モアイ 逆火山 - 触手 細胞 要塞
      PCE 火山 ストーンヘンジ モアイ 逆火山 触手 細胞 要塞
    • PCエンジンオリジナルステージ「骨」
      MSX版に存在していた同名ステージを基にしているが、本作で登場する敵の種類やステージ内のギミック等が刷新された事によって、ほぼ別ステージへと様変わりしている。
      砂漠の様な地形にショットを撃つと飛び散るあばら骨が配置されている。飛び散ったあばら骨は攻撃判定がある上、プレイヤーの攻撃で破壊する事が出来ない。
      また、砂の中からは破壊可能な拡散弾を撃ってくる小型の雑魚敵が飛び出してくる事もあり、AC版とは異なるテクニックが求められるステージである。
      中ボスはステージ内の中型機として登場していた頭蓋骨が大群で登場する。
    • また、特定のステージで条件を満たした上で特定のポイントに自機が接触するとエキストラステージに飛ばされる様になった。

評価点

  • AC版に忠実な部分の多さ
    • 当時としてはスペックに恵まれていたPCエンジンで発売された作品で、以下の点で移植度はFC版やMSX版よりは良いとされている。
    • 自機の装備はダブルとオプションの性能が変更されているものの、基本的にAC版と同様と見ても良いだろう。
      中でもFC版ではハードスペックの関係で性能が変更されていたレーザーやバリアがAC版に近い性能になっているのは、FC時代からAC版の忠実移植を望んでいたプレイヤーから歓迎されたと言える。
    • ステージの内容はほぼ原作と同様。ステージ内のギミックや雑魚敵・ボスキャラの能力や配置及びパワーアップカプセルの位置などAC版の物を再現。また、FC及びMSX版ではオミットされていた2、3面の上下無限スクロールや4面中盤の火山噴火も実装され、各ステージの長さもAC版同様の尺になっている。
    • キャラ面ではFC版ではカットされた1面ボス前の砲台、3面中ボスのマザーの大群、4面中ボスのアイアンメイデンのラッシュ、最終面の電磁バリアーを実装。
    • 2周目以降のプレイでは敵を破壊すると打ち返し弾が発生し難易度が上昇する点もAC版と一緒。
    • ステージボスのビッグコア戦も勿論AC版を再現。中ボスを撃破するとAC版同様にそのままボス戦へ移行する。1面・4面の火山の間からにょきっと現れるビッグコアはもちろんのこと、触手面でのビッグコア出現と同時に登場する肉団子の群れも実装されている。
      • FC版のビッグコアはハード性能の都合上キャラが縮小されてしまったが、本作ではAC版同様のビッグサイズでの登場。
    • BGMはアレンジの違いこそあれど、AC版の全曲を収録。加えて、FC版ではカットされたネームエントリーBGMも収録。
  • AC版からの改善点
    • 単発だったダブルが2連装に変化した結果、ダブルの使い勝手が更に向上。特に連射ボタンを併用している場合は上方向への強さも相まって本作最強クラスの装備となる。
    • オプションの挙動が原作から『グラディウスII』以降の物に変更された事によって手軽にフォーメーションを組めるようになり、難易度の低下にも繋がっている。
    • 原作のグラフィックは1985年のゲームにしては美麗だったのだが、PCエンジンに移植されるにあたってキャラ及びステージがより洗練された物に描き換えられた。それにより、本作のグラフィックは『沙羅曼蛇』や『グラディウスII』といった続編群と引けを取らないレベルに。
    • BGMの方もAC版そのままではなく所々にドラムや新規パートが追加されている事から、全体的に『II』や『III』と近い方向性でアレンジされているのが窺える。
      • これらの点は「完全再現では無いから、不評/賛否両論/一部プレイヤーから不評」とは扱われず、好評な評価点として扱われている。
  • その他のオリジナル要素については悪くない。
    • OPはMSX版同様にAC版のポスターの構図を再現した物を採用しているのだが、ビックバイパーやモアイ等に動きが加わったりレーザーのSEが追加された事によりハードの進化を感じる事ができる。
    • 骨面及びエクストラステージといった本作での追加ステージは原作で見られなかったステージギミックや敵キャラで構成されている関係で、原作ステージ以上に骨のある内容。
      • 骨面はステージ内の所々で破壊すると打ち返してくるあばら骨が設置されているため、ただ撃ちまくっているだけでは逆に追い詰められてしまい、独自の戦略を組む必要になる事から非常に骨のあるステージになっている。
    • エクストラステージでは出現するカプセルは続けて回収する事によって最大で10,000点のボーナスが入るため、エキストラステージでのスコアアタックは通常ステージ以上に非常に熱い。
    • 原作から新規のED及びスタッフロールが追加された事によって、あっさりだった結末が変わりクリア時の達成感もひとしおに。
      • スタッフロールの楽曲は『パロディウスだ!』からの流用ではあるのだが、原曲がED向けに作られた楽曲だけあってか違和感が無い。
    • FC版からの裏技はコナミコマンドによる自機強化のみが続投しているが、本作ではFC版から自機の装備が大幅にAC版に近くなった事により、簡単なコマンド入力でより強力なパワーアップを実感出来る様になった。

賛否両論点

  • お世辞にも「AC版の完全移植」とは言い難い内容
    • 本作が発売された頃のPCエンジンは『R-TYPE』を筆頭に「アーケードゲームの忠実移植に定評のある機種」というイメージがあった。
    • このことから、本作が発売された当時は「ようやくX68k以外の機種でAC版に忠実な内容の移植が出来る」と思ったプレイヤーも多かったのだが、本作はACからの変更点や評価点の項目にある通り、これまでの家庭用移植作品と同様に家庭用オリジナル要素が多く盛り込まれていたことから、発売後は一転してファンからの批判に晒される事になってしまった。
  • 追加ステージについて
    • 本作の追加ステージである「骨」の存在はやはり賛否が分かれている。
    • 本作のステージは比較的AC版に忠実な内容なのだが、骨ステージはPCエンジン独自に作られたステージという事もあって、非常に浮いて見られがち。
    • エクストラステージは条件を満たすと進めるのだが、その一方で骨ステージはAC版のステージの狭間に位置付けられていて、どうあがいても無視して先に進む事が出来ない事から、骨ステージは原作プレイヤーから存在意義を問われている。
      • この作品の他にも、この時代に制作されたグラディウスシリーズの移植作品は「原作に忠実な内容のステージ+家庭用オリジナルステージ」という構成の作品が多く、本作と同様に通常ステージの合間で登場している事からAC版のファンから存在意義を問われていた。
  • BGMのアレンジ
    • ドラムパートが追加されたBGMは個々の楽曲の質自体は悪くない出来なのだが、金属的な音が特徴的だったAC版とはイメージが大幅に異なり、原曲を聴きたかったプレイヤーから批判されてしまった。
    • PCエンジン本体の音源はAC版グラディウスのバブルシステム基板と同じ波形メモリ音源であり、ハードウェア的にはAC版のサウンドの忠実な再現も可能ではないか?と言われていた。このことも本作が「ACに忠実ではない」という評価を定着させてしまったとみられる。
  • 操作系統の簡略化
    • これはFC版でも挙げられている点なのだが、自機の攻撃ボタンが1つに統合された事によってAC版よりも簡単な操作方法で自機を操れるようになった反面、攻撃ボタンの統合によりショットとミサイルを個別に発射出来ず、結果的にAC版で可能だった「スクランブルハッチとの戦いでハッチから放出される雑魚のみを破壊してスコアを稼ぐ」というテクニックが出来なくなった。
  • 2面・3面以外のステージでの上下スクロール
    • 本作はPCエンジンで発売された横スクロールシューティングゲームの例によって画面が大きく上下するように仕様が変更されている。
    • AC版は2面と3面で画面が上下に大きくスクロールしていたが、該当面以外のステージでスクロール方式が変更されたのなら違和感を覚えざるを得ない。
      特に1面と4面で天井と床が同時に見えないのは怖い。出現している敵がスクロールアウトで見えなくなる事は無かったが……。

問題点

  • 画面が暗い
    • 恐らく、本作を遊んだプレイヤーが真っ先に指摘する点ではないだろうか。ゲーム全体のカラーはAC版では非常に鮮やかな物が使用されていたが、明度が抑えられた物に塗り直されてしまい、画面が暗くなってしまっている。
    • 特に、白色の多くがグレーに変更されてしまった点は批判されている。
    • ビッグコアは緑掛ったカラーに変更されてしまった事から「カビコア」というあだ名が付けられている様子。
  • チラツキ及び処理落ちの多さ
    • 流石にFC版『パロディウスだ!』ほど発生頻度は多くないのだが、それでもスプライト欠けや処理落ちが多く、気になるプレイヤーにとっては気になる点ではある。
    • 中でもレーザーを装備している状態で処理落ちが強くかかると非常に敵を倒し辛くなってしまう。

総評

発売前の時点ではハードの実績に対して期待の声が多く、コナミのハード初参入タイトルという事もあって鳴り物入りで発売されたのは良いが、実際のゲーム内容はAC版との違いが大きく完全移植を望んでいたファンの期待を裏切ってしまった。

とはいえ、本作はAC版からの改善・追加点が多い作品でもある。
作品の初出が1985年という古さも考慮して、本作はAC版の完全移植というよりも「90年代流にアップデートされた初代グラディウス」として捉えられるべきではないか。


その後の展開など

  • 本作の発売から約2か月前の1991年7月19日にSFCで発売された『がんばれゴエモン ~ゆき姫救出絵巻~』ではミニゲームの一つとしてグラディウスがプレイ可能。
    • こちら側ではオプションの装備数が2個までに減らされているのだが、画面の色合いがAC版に近い鮮やかさであることや、ダブルが単発、上下スクロールが存在しないなど、1面のみプレイ可能とはいえPCエンジン版以上にAC版に近い移植内容という事が評価されている。
    • このため、『ゆき姫救出絵巻』の少し後に発売された本作は「ゲーム内ゲームと比較されてしまったタイトル」という妙な立ち位置の作品にもなってしまった。
  • 本作から3ヶ月後の1991年12月6日には続編の『沙羅曼蛇』が同じくPCエンジンに移植された。
    • 本作は全体的にAC版に寄せた要素が多かったのだが、それに対して『沙羅曼蛇』の方はその場復活から戻り復活への変更をはじめとしてアイテムの配置や仕掛けのパターンといった独自の要素が多く、ほぼPCエンジンオリジナルタイトルと化している。
    • 更にその後は『パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~』『グラディウスII』もPCエンジンに移植。同ハードでは計4作ものグラディウスシリーズが発売される事になった。
  • PCエンジン版グラディウスシリーズの最終作である『グラディウスII』から約4年後に、次世代ハードであったプレイステーションとセガサターンにて『グラディウス DELUXE PACK』が発売。
    • 同作は『初代』と『II』をAC版に忠実に移植していて、結果的に同作が家庭用ハードにおける初代及びIIの移植版の集大成と位置づけられる事になった。
  • 後にWiiウェアにて発売された『グラディウス リバース』の4面は本作の5面を彷彿とさせる砂漠と骨の組み合わせの面になっており、破壊不可能なあばらのギミックも同ステージから引用されている。
  • バーチャルコンソールでは最初にWiiで配信されたが、2019年1月31日をもって終了。ニンテンドー3DSやWiiUでも配信されたが、こちらも2023年3月28日をもって終了した。
    • PSP・PS3(後にPSVitaでも)のPS storeで展開しているゲームアーカイブス内でのPCエンジンアーカイブスにて本作が配信され、こちらは2023年現在でも購入可能。ただしPSP内からの購入は2016年3月をもって終了したため、購入するにはPS3かPSVitaが必須である。
  • 2020年3月26日に発売された『PCエンジン mini』には本作が収録されているのだが、シークレットタイトルとしてゲームシステムやBGM、画面のカラーなどをAC版グラディウスの内容に大きく寄せたバージョンである「near Arcade」版が新規収録された。
    • 同タイトルは長年の願いが叶った作品だけあって「ようやくAC版に忠実な内容の移植がPCエンジンで楽しめるようになった」とファンから賞賛される事になった。
    • 上記の通りPCエンジンはハードウェア的にはAC版のサウンドを忠実再現することも可能な仕様となっていたが、本作の発売にてそれがついに実現することとなった。実際の再現度は非常に高い。
  • 後のシリーズ作品への影響
    • 後に稼働した『極上パロディウス』ではビックバイパー/ロードブリティッシュやペン太郎/お花ちゃんの装備であるダブルが本作同様に2連射に変更されている。

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最終更新:2023年09月14日 07:37