レッドアリーマーII

ジャンル アクションRPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 カプコン
発売日 1992年7月17日
定価 5,800円(税別)
配信 バーチャルコンソール
3DS 2014年3月5日/500円
Wii U 2014年5月21日/500円
判定 良作
ポイント 続編にして据え置き機進出作
ゲームバランスの改善
初代からの流れとしては実質最終作
魔界村シリーズ
レッドアリーマーシリーズ
レッドアリーマー / レッドアリーマーII (魔界村外伝) / デモンズ・ブレイゾン


概要

1990年に発売された『レッドアリーマー 魔界村外伝』の続編となる魔界村シリーズのスピンオフ作品。 ハードは前作は携帯機のゲームボーイだったが、続編となる今作は据え置き機のファミコンで発売された。

タイトルに『II』と冠されているが、前作の前日譚を描いた物語となっている。

特徴・前作からの変更点

  • 今作は基本的に前作とシステムは同様なので、ここでは主に変更点について触れる。
  • フィールド移動時の操作系統及びメニュー
    • 前作ではマップ画面でNPCと会話したり壺を調べる際は、一度メニュー画面を経由する必要があったのだが、今作ではAボタン一つでこれらアクションが可能に。いわゆる「便利ボタン」が導入された。
    • 便利ボタンが導入された事に伴い、フィールド移動時のメニュー画面が「つよさ」「どうぐ」「まりょく」の3項目に刷新された。
      • つよさ…前作の同名項目と同様、各種能力のレベルや残機数など、現在のプレイヤーのステータスを確認する事が出来る項目。
      • どうぐ…所持している道具の確認と使用を行う項目。前作のアイテムは対象の目の前で「つかう」の項目を選択するとほぼ自動でアイテムを使用する仕様になっていたのだが、今作では項目選択後にカーソルを使いたいアイテムの所に持ってくる必要がある。
      • まりょく…前作の「つよさ」と同様に取得済みの魔法を確認する事が出来る項目。更に今作ではこの項目を通じて装備中の魔法を切り替えられる。
    • フィールド画面のプレイヤーの移動速度は前作は携帯機で処理が重いという事なのか遅めに設定されていたのだが、今作では前作の倍以上の速度でフィールドを移動出来るようになった。
  • レッドアリーマーの魔法
    • プレイヤーであるレッドアリーマーが使える魔法や能力は前作に準じているが、新たに「トルネイド」の魔法が追加された。
      • トルネイド…今作で新登場したアリーマーの目の前に竜巻を発生させる魔法。発生させた竜巻は足場の代わりとして使用する事が出来、ホバリングでは出来なかった「上方向への移動」が可能になる。魔法自体にも攻撃判定があり、設置型の飛び道具としても攻撃に使用する事が出来る。
    • プレイヤーの魔法は前作では戦闘時にしか変更が行えなかったのだが、上述の通り、今作ではフィールド移動画面で開けるメニュー画面でも切り替えられる様になっている。実質いつでも魔法の切り替えられる形式に変更された。
  • プレイヤーの強化
    • 各ステータスの強化は前作同様に基本的にアイテムを入手時に発生するイベントの際に自動で行われるのだが、今作では新たに「魔界のエキス」を入手しての体力の任意強化が可能になった。
      • 魔界のエキス…今作で初登場したアイテム。特定のダンジョンやフィールドで発生するイベントで入手する事が出来、取得すると体力の最大値が1ポイント増加する。
  • フィールド画面のエンカウント形式
    • 前作のフィールド画面でのエンカウントは移動中に自動的に発生する「ランダムエンカウント」形式が採用されていたのだが、続編となる今作ではそれが廃止され、フィールド上の特定のキャラクターの会話によって戦闘が発生する、シンボルエンカウントに近い形式に変更された。
    • この仕様のため、今作のフィールドでは一般的なRPGの様に「ランダムエンカウントの発生で移動のテンポが阻害されてしまう」という点が存在しない。

評価点

  • 改善されたゲームバランス
    • 前作では非常にシビアなゲームバランス(特に序盤戦(ステージ2まで)辺り)が問題視されていたのだが、続編である今作では調整され、結果的にアクションゲームとして妥当なバランスになった。
      • 前作のステージ1は独特な操作方法に慣れるポジションのステージにもかかわらずデフォルトの残機数は2という事から非常に厳しい条件で挑まなければならなかったのだが、今作ではデフォルトの残機が3に増加した事によって許容されるミスの数が増加し、単純な行動を繰り返すステージボスの弱さも相まって、結果的に開幕に相応しいステージになった。
      • 今作はスタート時の初期ライフ数が2個から3個に増加している上、ゲームが始まってから早い段階でライフの上限を増やす事が出来る事から、序盤戦から体力に余裕を持たせやすくなった。
      • これらの要素により序盤が見直された反面、中~後半は順当に難易度が上昇していく形式になっている事から、結果的に良質なゲームバランスへと改善されたと言っても良いだろう。
    • 前作ではフィールドでのエンカウントがランダム形式だった事もあり、攻撃力の高いモンスターと遭遇すると、攻撃に触れた途端に即死してしまう危険があったのだが、今作のフィールドでは特定のシンボルと会話するのみで戦闘が行われる形式だったので、前作の様にモンスターとの出合い頭に即死させられる事が無くなった。
  • フィールド移動画面も改善点多数
    • 前作のフィールドマップは基本的に一本道進行という事もあってか、そこまで自由度は高くなかったのだが、今作では2番目のショートダンジョンを超えた辺りから2番目のダンジョンの攻略が可能になるのは勿論のこと、そこから3番目のダンジョンの手前という少し先まで行ける様になったりと行動範囲が広くなる。
    • また、前作では携帯機故の処理の関係なのか、フィールド移動速度が遅かったのだが、今作では移動速度が大幅に上昇していて、エンカウント方式が変更された点も相まって、かなり快適にフィールドを移動する事ができるようになった。
  • よりバリエーションが豊かになったアリーマーの魔法
    • 今作のプレイヤーの基本性能自体は前作を踏襲しているのだが、空中に足場を設置できるトルネイドの魔法が導入されたことによって、魔法のバリエーションが増えるのと同時に、より戦略的な戦い方が出来る様になったり、より縦横無尽に空中を移動できるようになった。
    • 魔法の切り替えは前作では戦闘画面、すなわち一度エンカウントを通してでしか切り替える事が出来なかったのだが、今作ではフィールド移動の際にも変更が可能になり、ややこしい手順を踏まずに済むようになった。
  • 更に豊富になったダンジョンの仕掛け
    • 今作は携帯機から据え置き機へハードが移行した事によって、ダンジョン内の仕掛けもより凝った物が待ち受けている。
    • 例を挙げるのなら、前作同様のファイアーリバーのショートダンジョン。2番目に登場する事になるファイアーリバーでは「ガン・ロック」という名前の移動する足場を渡りながら移動する事になる。
    • その次に訪れる2番目のダンジョン「ヒンノムの森」の中盤では上昇気流が発生していて、ホバリング行う事により縦方向へ移動する事が可能になる。
    • 3番目のダンジョン「シッテム砂漠の遺跡」では砂漠にあるダンジョンらしく、流れ落ちる砂のトラップが印象的。
      • ゲームボーイで発売された前作でも砂のギミックが存在していたが、当時のソフト容量の関係なのか見た目では全く動いておらず静止画にしか見えなかった。だが、次回作が据え置きハードで開発が行われた事により、砂が流れるモーションを実現させる事が出来たと思われる。
  • 再訪可能なダンジョンの登場
    • 前作の各メインダンジョンは最深部のボスを倒すとダンジョンが消滅してしまい、そのプレイでは二度とクリアしたダンジョンに入る事が出来なくなってしまう。実質ショートダンジョンのみ再訪出来る仕様だったが、今作では中盤までのメインダンジョンの多くが一度クリアした後でも再び入れる仕様に変更された。ダンジョン奥のボスも復活する。
    • これにより、ダンジョン攻略時よりもステータスが強化されていたり魔法を取得した状態でクリア後のダンジョンに挑戦する事が出来、同時に復活ボスにも強化されたステータスで腕試しを行う事も可能になった。
  • 便利ボタンの採用
    • 前作のNPCとの会話や調べる際にはメニュー画面を通してから行わなければならず、少々ややこしい仕様になっていた。
    • だが、今作でAボタンに便利ボタンが割り振られた事により、直接NPCと会話が出来たり目の前のオブジェを調べられる様になった。

賛否両論点

  • パスワード仕様の変更
    • 今作は「悪魔の数字」と称して数字制パスワードコンティニューが採用されたが、これに関しては前作を好んでいたファンからは賛否が分かれている。
    • というのも、前作におけるパスワードは8文字の言葉という事で別にメモを取らなくても暗記するのが簡単だったのだが、今作の数字制パスワードはケタ数が15と多い事から暗記が難しく、結果的にプレイ再開に関してはメモ帳が必須になってしまったのは否めない。
  • エンカウント仕様の刷新
    • 今作は前作からエンカウントの仕様がガラッと変わった事によって、エンカウントによって移動のテンポが阻害されてしまう事や高攻撃力の雑魚に即死させられる無くフィールドを移動出来る様になったのは良い。
    • 一方で、エンカウントが任意という事は、フィールドでの戦闘回数が極端に減少するという事なので、フィールド戦闘のみでは魂が溜まりづらくなってしまった。
    • また、前作ではフィールドでエンカウント出来るモンスターの種類は豊富だったのだが、今作はエンカウント可能なオブジェの数が少ない上、それに伴いフィールド戦闘で出現するモンスターの種類も大幅に減少してしまっている。
  • 後半戦について
    • 今作は後半戦に差し掛かった際に挑戦する5番目のダンジョンをクリアすると、これまで訪れる事が出来たダンジョンや町・村などの施設が利用できなくなってしまう。
    • もっとも、そこから次のダンジョンまでの間のエリアでは以前同様に一度訪れたエリアへと戻る事が出来る上、今作における悪魔のエキスの入手方法は「固定エンカウント及びショートダンジョン攻略で入手できるアイテムを所持して特定の人物と会話する」という記憶に残りやすい方法になっている事から、前作ほど問題になっていない。

問題点

  • セーブポイントの減少
    • 前作は世界の要所でパスワードを聞けるポイントが存在していたのだが、今作では規模の大きめな町でしかパスワードを聞けない。
    • もっとも、前作は携帯機で発売することに伴いセーブポイントも多めに設置した事に対して、今作は発売ハードの兼ね合いでバランスを取った結果と思われるのだが。
    • 特に顕著になるのがゲーム序盤から中盤戦にかけてのタイミング。
      • ゲーム序盤のシドンの村から3番目のダンジョン「シッテム砂漠の遺跡」をクリアするまではギベアの町の北のファイアーリバーを渡った先のエリアで冒険をするのだが、シドンの村にはセーブポイントが無いため、ゲームを中断したい場合はエトルリアの町でパスワードを聞かなければならずファイアーリバーを再び渡り直さなければならない。
      • また、ゲームオーバー時の再開地点もエトルリアの町からとなっている事から、ゲームオーバーからこれらエリアに存在するダンジョンに再挑戦する場合も再びファイアリバーを渡り直す必要がある事から面倒になりがち。
        中でも、「シッテム砂漠の遺跡」はファイアリバーに加えてフィールドダンジョンやもう一つのショートダンジョンを隔てた場所に存在している事から、只でさえも面倒な移動が更に面倒になってしまっている。
  • アリーマーの魔法について
    • 今作における魔法のうち「クロー」は前作から取得するタイミングが非常に遅くなっている。
    • しかも、入手してからは特有の高攻撃力が有効な敵が少ない上、あまり間を置かずに最後の魔法である「ダークファイアー」を取得する事が出来ることから、結果的に前作から扱いが悪くなってしまったのは否めない。
  • 改善点がほとんど無い町・村
    • 町・村は情報の量が増えている上、発生するイベントも多くなり会話パターンも豊富にはなっているのだが、相変わらず利用可能な施設は少ない。やはり基本的に魂の交換とパスワードを聞く事が出来るだけ。
      • その結果か、次回作では町・村は1ヶ所に統合される事になった。

総評

生まれて間もないゲームボーイから当時円熟を迎えていたファミリーコンピュータへハードを移した今作は、 前作で確立させた独特の操作方法やダークな世界観・キャラクターはそのままに、ゲームバランスの調整が行われた事によって、より完成度の高い作品へと変貌を遂げた。

その後の展開

  • 今作はその後、シリーズの初出機種であるゲームボーイにて『魔界村外伝 THE DEMON DARKNESS』に改題された上で移植された。
    • 基本的な内容は移植元に準じているが、2種の新規ダンジョンと、新魔力「ホーミング・ファイアー」そして新能力「幽体離脱」が追加されている。
    • なお、レッドアリーマーシリーズの多くはバーチャルコンソール等で配信されているのだが、同作のみは発売後はニンテンドウパワーのソフト書き換えタイトルとして配信されていた程度。
      つまりゲームボーイでの初出以降は移植されておらず、他の作品と比較するとプレイ環境が限られてしまっているのが難。
  • 更にその後は、スーパーファミコンにてシリーズの最終作に当たる『デモンズ・ブレイゾン 魔界村 紋章編』が発売された。
    • 今作までのシリーズ作品は派生元の魔界村よろしく低頭身のコミカル寄りなグラフィックを使用していたのだが、よりダークな作風に合わせてか同作のキャラは頭身が高くリアル寄りなグラフィックに変更されている。
    • 惜しむらくは、作風やシステムを大幅に変更した事によって、初代からの流れがわずか2作で断ち切られてしまったことか。
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最終更新:2024年01月26日 08:41