ベヨネッタ3

【べよねったすりー】

ジャンル ∞クライマックス・アクション
対応機種 Nintendo Switch
発売元 任天堂
開発元 プラチナゲームズ
発売日 2022年10月28日
定価 パッケージ版7,678円(税込)
ダウンロード版7,600円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:D(17歳以上対象)
ESRB:M
PEGI / USK:18
判定 シリーズファンから不評
ポイント 8年ぶりのベヨネッタ最新作
過去作とは異なるバトル体験
バリエーションが増えた分面倒になった探索要素
これまでのシリーズの魅力を消す過去最低のシナリオ
戦闘に関しての評価は高い
ベヨネッタシリーズ

概要

2014年にWiiUで発売された『ベヨネッタ2』の続編。発売元は前作同様、任天堂が担当している。
2017年に突如としてNintendo Switchにて制作が発表され、その後5年の歳月を経て発売へと至った。
初代のシステムを踏襲し遊びやすさを向上させた前作に対して、多数の新要素によってこれまでとは異なるプレイ体験となっているのが特徴。


新要素

デーモン・マスカレイド

  • 装備している武器に応じた悪魔と一体化し、身体能力の向上や特殊なアクションを可能にする。
    • 主にジャンプアクションや、ダッシュの性能が変化する。

デーモン・スレイブ

  • 魔力消費することで最大3体の魔獣の中から1体を選択して召喚し、ダイナミックかつ高火力の攻撃を繰り出すことができる。動きは鈍重だが、広範囲・高火力な攻撃で圧倒することができる。
  • ただし、発動中ベヨネッタは完全な無防備状態となるため、被弾のリスクが高まる。また、魔獣の体力が尽きるとしばらく召喚不能となる上、一定以上の攻撃を受けると制御不能となって攻撃されてしまう危険性もあるため、運用するタイミングの見極めが重要となる。

ウィンクスレイブ

  • コンボのフィニッシュ時、特定のタイミングでZLボタンを押すと追撃が発生する。

アサルトスレイブ

  • 敵の攻撃を受ける寸前にZLボタンを押すと、魔獣を使役して反撃することができる。強力な分、タイミングはウィッチタイムよりシビア。

デッドリー・シン

  • 特定のボス戦時に使用する大技で、使役している魔獣を更に強化する。
  • 強化された魔獣は、これまでとは異なる操作方法で攻撃する。

ベヨネッタの武器

  • 初期装備の4丁拳銃が『カラーマイワールド』に変更された。
  • 前作から続投しているアルーナと隠し武器意外、手に入る武器は全て一新されている。
  • デーモン・マスカレイドとの兼ね合いか、「両手」と「両足」の区分がなくなり、1セットに装備できる武器が1つのみとなっている。
  • セーブデータ特典として、『1』のデータならスカボロウフェア、『2』のデータならラブイズブルーが解放される。技の性能は原作に準拠している。
    • 現状解放条件はセーブデータのみらしく、DL版のみ販売だったSwitch版『1』のパッケージ版を改めて販売したのもこのためと思われる。

新キャラ『ヴィオラ』

  • 近接攻撃の日本刀『魔舞太刀(まぶだち)』と、遠距離攻撃のダーツ矢『ブルキッス』、そして『チェシャ』を召喚して戦う。
    • 魔舞太刀は過去作の「妖刀 修羅刃」「ラークサシャ」と同様、連続攻撃や溜め斬りを行う。また、Rボタンでガードすることができ、攻撃を受けるギリギリのタイミングで行うとウィッチタイムが発動する。
    • チェシャはベヨネッタのデーモン・スレイブとは異なり、自動的に行動する上にヴィオラも動かすことができる。ただし、刀を使った攻撃やウィッチタイムが使えなくなり、近接攻撃が格闘技に変化する。

サイドチャプター

  • ストーリーの合間に挿入される横スクロールアクションパート。操作感としてはメトロイドシリーズに近い。
  • プレイヤーはジャンヌで固定され、ウィケッドが使えない代わりに独自のアクションを駆使することとなる。
    • 特定のポイントでZLボタンを押すと、部屋に入ったり、ダクト内を通ることができる。敵やレーザーをやり過ごすのに活用できる。
    • 発見されていない状態で敵の背後に立つとステルスキルを発動することが可能で、敵を即死させることができる。
    • 武器は初期状態では4丁拳銃の「オール4ワン」のみだが、道中でショットガンやロケットランチャーといった強力な銃火器が手に入ることがある。
  • 特定のパートではバイクに乗って疾走するスクロールパートとなる。
  • 体力が尽きるか制限時間を過ぎるとゲームオーバー。

魔女の血涙の新個体

  • これまでにも登場したカラスに加え、カエルとネコが追加された。ステージ毎に1体ずつ存在し、獲得の有無はステージセレクトで確認できる。
    • カエルはステージの何処かに隠れており、近付くにつれて鳴き声が大きくなる。
    • ネコは一定範囲内を疾走する点がカラスと共通しているが、大抵は入り組んだ構造を動き回っている。一部のステージでは足場を飛び回る個体もいる。

事象の残滓

  • 各チャプターの魔女の血涙3種類を集めると登場する。全体的な難易度は高め。
  • 使用可能なキャラクターは最初はベヨネッタのみだが、チャプター5クリアでヴィオラ、ストーリークリアでジャンヌが開放される。

ナイーブエンジェルモード

  • 過激な描写を別の描写に置き換えるモード。
    • 魔獣召喚時に肌を露出しなくなったり、デッドリー・シンで取り出すものが心臓からトマトに代わる等の変化が起きる。

評価点

バトルシステムの改善点

  • 敵の攻撃をギリギリで回避し、ウィッチタイム中に高火力の技で叩きのめす流れはこれまで通り。
  • 基本的に魔力ゲージはデーモン・スレイブ関連でのみ消費となったため、過去作で魔力を消費する技をノーコストで発動できるようになった。
    • 魔力ゲージを消費していた接近技(アンブランスピア)も気軽に使えるため、敵との位置調整も簡単に行える。

ド迫力な映像演出

  • 倒壊するビルの上を魔獣に乗りながら突き進む、映画ゴジラ張りの圧倒的スケールのバトルを繰り広げる等、派手な演出は本作でも勿論健在。
    • 前作まで指摘されていた紙芝居形式のムービーは続投こそされているものの、過去の回想のみ使用するに留まっており、それ以外はリアルタイムで動くようになっている。
  • バカゲー的な笑わせに来るシーンもあるため、最後まで飽きさせない。

質の高い音楽

  • BGMもこれまで通りの高クオリティー。
  • 戦闘曲は、ベヨネッタがジャズを取り入れたボーカル曲に対して、ヴィオラはパンク系ロックのアップテンポな曲調であり、新鮮な形でバトルを盛り上げてくれる。

個性豊かなキャラクター

  • 余裕の態度で敵を挑発するベヨネッタやジャンヌ、相変わらず無法なスペックを披露するロダン、キザな性格に反してどこか抜けてるルカ、濃いキャラの割に影が薄いエンツォといった、いつものメンバーは健在。
  • 新キャラのヴィオラも、派手な見た目に違わぬ粗野な性格ながら、間抜けなシーンも多々あり、それでも決める時はバッチリ決めるという、憎めないキャラ設定となっている。
  • 相棒のチェシャも不気味な見た目に反してコミカルなキャラで、茶目っ気溢れる動作に癒やされることもしばしば。

豊富なやりこみ要素

  • 魔女の血涙および事象の残滓、武器・パラメーターの全強化、コスチューム収集、クリア後のウィッチトライアルや恒例のロダン戦といったやりこみ要素が用意されており、長く遊べる。

周回プレイの利便性向上

  • 1度クリアしたチャプターは、途中のVerseから遊べるようになった。これにより特定のバトルシーンや、ボス戦も気軽に再挑戦できるようになった。
  • スコアについても、スキップしたVerseは過去にプレイした最高記録のものが常時反映される。最高ランクのために何度もニヴルヘイムをクリアしなくてもよくなったのは地味にありがたい点。

その他改良点

  • ステージセレクト画面が改良され、遊びたいステージを選びやすくなった。
  • QTEの入力回数は、多すぎる『1』と少なすぎる『2』の中間くらい。余程連打が苦手でもない限り、初見でも対処可能なレベル。
  • トーチャーアタックはX+Aボタン同時押しだけで発動するようになった。
  • プラクティスモードでは小型・大型の敵を入れ替えたり、敵をなしにすることも可能。
  • コスチュームもステージ攻略中にいつでも変更可能。

賛否両論点

デーモン・スレイブによるバトルの変化

  • デーモン・スレイブで使用できる魔獣は、広範囲・高火力の技が揃っており、複数のザコ敵をまとめて蹴散らしたり、大型の敵をも圧倒していく爽快感がある一方、ベヨネッタと比較して動きは鈍重であるため、バトルのスピード感が落ちてしまっている。
    • 無論、使わずとも敵を倒すことはできるが、小型の敵はともかく、大型の敵は体力が過去作のボス並に高く、デーモン・スレイブの使用を前提とした調整となっているため、ピュアプラチナなどの高スコアを狙う際、使わない事自体縛りプレイとなってしまう。
      また、一部の敵は「ガード中は一切の攻撃が無効」「バリアでベヨネッタが近づけない」などの能力を持っており、デーモン・スレイブを一切使用せずに倒すことは実質不可能となっている。
  • 「デーモン・スレイブ使用中、ベヨネッタの操作は不可」という仕様も、「敵の攻撃を回避してウイッチタイムを発動」という従来からのアクションの方向性と噛み合っておらず、チグハグ感のある戦闘となってしまいがち。
    • ウィッチタイム中は魔獣の動きが速くなる仕様があるため、回避してウィッチタイムを発動後デーモン・スレイブで攻撃するプレイを想定していると思われる。
  • 「デーモン・スレイブのコンボ中にベヨネッタで攻撃」「ベヨネッタのコンボの合間にデーモン・スレイブの一撃を挟み込む」といったテクニックは存在し、これらを駆使すればある程度スピード感を維持したままベヨネッタと魔獣の波状攻撃で敵をせん滅する「ベヨネッタらしい」戦闘は可能。
    • ただ、本編ではそれらのテクニックの使い方は殆ど説明されないため、説明不足という問題点は付きまとう。
    • また、どこまで行ってもデーモン・スレイブの使用は前提となってしまうため、ベヨネッタのみを使用する前作の延長線上にあるプレイをしたいファンの期待には応えられていない。

ウィケッドの弱体化

  • これまでは敵の近くで自動的に発生していたウィケッドだが、本作では敵と距離が離れると空振るようになった。
  • デーモン・スレイブとのバランス調整なのだろうが、遠方の敵を遠ざけたり怯ませにくくなったため使い勝手が悪くなった。
    • 今作のウィケッドは魔獣と一体化しての攻撃であるため、ベヨネッタの周辺で攻撃するよう調整した可能性もある。

ステージ構成の変化

  • デーモン・スレイブを活用するためか、ステージは前作よりかなり広くなった。 寄り道できる場所も多く、行き着く先には大抵アイテムが拾えたりするため、探索しがいもある。
    • ただし、クリア後にウィッチハートのかけらなどのアイテムを探索する場合は話が別である。フィールドが広くなった結果アイテムを探索する時間が延び、面倒臭さが上がってしまっている。
    • 前作にもあったキューブのかけら集めも広大なフィールドを動き回る場合もあるため、難易度が上がっている。
  • 1ステージあたりのボリュームも大幅に増え、バラエティーに富んだシチュエーションを楽しめる。
    • ただし、ニヴルヘイムや隠しVerseといったスコア・評価に関わるものも挑戦まで手間のかかることが多い。

コラボコスチュームの削除

  • 前作までは『WiiU』『Switch』限定で、任天堂キャラクターのコスチュームを得ることができたが、本作では未登場となった。*1

タッグクライマックスモードの廃止

  • 『2』にあった協力プレイモードは本作では遊べなくなっている。金策手段が減ったという点では地味に痛い。
  • もっとも、前作時点であまり評価は高くなく(獲得ヘイロウが山分けではなく評価の高いプレイヤーが多く貰える等)、WiiU、Switch共にすぐ過疎っていたため、やむ無しといったところか。

問題点

グラフィック及びフレームレート

  • グラフィックはジャギが目立つ等、少々貧弱で前時代的に感じやすい。
  • フレームレートは可変60fpsだが、Switch本体性能を限界まで引き出しているためか、最適化不足なのか、ムービーでは建物が倒壊するシーンでカクつきやすい。

ヴィオラの戦闘スタイル

  • ウィッチタイムの発動方法が回避(ZRボタン)ではなくガード(Rボタン)のため、単純に操作ミスしやすい。
    • 回避の無敵時間がベヨネッタより短めなのも地味に痛い点(ただし連続回避によるペナルティーはない)。
  • ヴィオラ単体の火力はあまり高くなく、ため攻撃も小型の敵だと大きくふっ飛ばしてしまうため、コンボに組み込みにくい。大型の敵もガードタイミングの測りにくさも相俟ってベヨネッタ以上に苦戦しやすい。
  • 武器もベヨネッタに比べて圧倒的に少なく、戦法がワンパターンになりやすい。
  • そしてヴィオラならではの長所もほぼ無く、せいぜい「特定の行動をとればベヨネッタよりも高い瞬間火力を出せる」ぐらい。折角の新プレイアブルキャラなのに、使いづらい上に爽快感も薄いキャラで終わってしまっている。
    • 後のアップデートにより、ウィッチタイムの判定緩和や、溜め攻撃をヒットさせやすくなる等の調整で使い勝手が上がったものの、それ以外の欠点は相変わらず。
    • チェシャが強力なので、慣れないうちは適宜召喚しておけば多少はどうにかなるのが救いか。
      • なお、コンボポイント計算の仕様上、下手にヴィオラを操作するよりもチェシャ任せにした方がコンボポイントが安定するという問題点も存在する。

ストーリーの問題点

  • 昨今流行りの「平行世界(マルチバース)」に関する設定がふんだんに盛り込まれており、その手の要素に精通しているかどうかでストーリーへの理解にも関わってくる。
  • また、本作のストーリーは単純な出来も悪い。更にベヨネッタに思い入れがある人ほど評価が低い傾向にある。
+ ネタバレ注意
  • 基本的に薄い。
    • ラスボス戦まで「並行世界へ赴く→その世界でシンギュラリティと戦うベヨネッタと会う→奮闘も空しくシンギュラリティに殺されて終わり」がただ4回繰り返されるだけ。大した代わり映えが無く、非常に退屈なシナリオと言える。
      • 一応その世界ごとにベヨネッタの立ち位置は異なるものの、いかんせん大筋がほとんど同じなせいで、展開に変化を付ける要素としてはほぼ機能していない。
      • 並行世界の消滅を避けるのが本作の目的であるのだが、行く先々で無駄足に終わるため徒労感も強い。もちろん後味が悪く爽快感もない。
    • また各世界のベヨネッタが殺される流れも「ベヨネッタが突然油断し始めた隙にシンギュラリティの攻撃を受ける」「そんな伏線も無かったのに急に力尽きて殺される」といった不可解な物。悪しきご都合主義が目に付く造り。
      • 非常に格好悪いベヨネッタのミスで何度もしてやられるため、スタイリッシュからもかけ離れている。これまで積み重ねた彼女のイメージも台無しである。
    • さらに並行世界の救済に失敗する原因がベヨネッタのミスばかりであるせいで、シンギュラリティの強大さも全く描写できていない。
      • もちろん、世界を滅ぼす存在であるためラスボスとしては適格だろう。しかし、『1』も『2』もラスボスが「世界に君臨する神」だった本シリーズである。そんな神々を打ち下してきたベヨネッタにとって、世界を滅ぼす程度の存在が怖いかどうかは微妙なところ。
    • シナリオを通して引っ張るテーマも極めて薄い。
      • 「シンギュラリティとは何者か・ヴィオラは何者か」といった謎は、よほど察しが悪いプレイヤーでもなければ序盤ですぐバレる。ほとんど答えに近い部分までヴィオラが漏らすからである。にもかかわらず最後の最後までこの謎だけで引っ張ろうとしているせいで、道中ひたすら薄味。
    • 「シンギュラリティの計画が完遂されれば天界も魔界もヤバい」という設定も設定倒れ。天界も魔界もほとんど関わって来ず、脇道で時々天使や悪魔と戦える程度。
      • シンギュラリティの目的が達成されていないうちは天界も魔界も健在のはずなので、本当にシンギュラリティが彼らの脅威となり得るのならば干渉してくるはずなのだが…この事からも、シンギュラリティの強大さがいまいち伝わってこない。
         
  • 特に批判されているのはラスボス撃破後。やっとの思いでラスボスを倒したものの、主人公が力尽き死亡してしまうという展開は後味が悪く、シリーズファンから猛烈な批判を受ける要因となってしまった。
    • せめて彼女が力尽きる伏線でもあればまだ納得も得られただろうが、例によって伏線はなく、ただご都合的に急に倒れるだけ。これではファンに「理由もなくあのベヨネッタを雑に殺した」と受け取られるのもやむなしだろう。
      • 一応、「そこまで力を使い果たさなければならないほどにシンギュラリティは恐ろしい敵だった」という解釈は出来るものの、まずシンギュラリティの描写に失敗しているのは先述した通り。やはり納得は得られづらい展開と言える。
      • エピローグにて、ロダンがルカと魔界で接触している旨を話しているため、魔界で生存している可能性もあるが、結局ベヨネッタの消息は不明となっている。
    • そもそもラスボス戦の流れ自体も単調で爽快感が無い。
      • 「いかにも逆転のきっかけが発生したかと思いきや、シンギュラリティにあっさり潰される」という展開が何度も繰り返されるだけ。燃える展開も悉く潰され、ただだらだらと続く泥仕合ばかりを見せられる。
      • ここでもやはりシンギュラリティの描写失敗が響いており、これも「シンギュラリティの強さゆえに逆転できない」ではなく「シナリオの都合で逆転に失敗しているだけ」に見えやすい。
      • このストレスの溜まる展開を乗り越えた先に待っているのが主人公の不可解な死亡では、ファンの不満は言わずもがなだろう。これまでのシリーズ作品のような「スケールのデカい敵を雑にぶっ飛ばして大団円」という解放感も当然ない。
         
  • それどころか「ベヨネッタのライバル兼親友であり、従来のシリーズでは見せ場がきちんと用意されていた」魔女・ジャンヌも、操作キャラになるのは別ゲームパートであるサイドチャプターのみなうえ、ベヨネッタ以上に雑に殺されるという扱いなため、彼女のファンであったプレイヤーは更に不満を重ねることになる。
     
  • ベヨネッタとルカの娘・せっかくの準主人公格となり得たヴィオラも見せ場が無い。
    • 終始「半人前だがガムシャラに努力するキャラ」で終わってしまっており、行う言動はと言えば半人前ゆえのドジばかり。半人前ながら敵に対して何か効果的な一撃を加える…といったような場面すら、誇張抜きで「全く」無い。
      • 一応、裏方としては地味に重要な働きをしているので居なくていいキャラでもないし、半人前でも前向きなキャラクター性は好感も持てる。とても新主人公とは思えないような扱いではあるが…。
    • エピローグにてベヨネッタの眼鏡とルカのマフラーを受け継いでいること、『To be continued in a new generation…』という記載から次回作はヴィオラが主人公となる可能性が高いが、この有様でベヨネッタの後を継げるかには大いに疑問が残る。もしこのシナリオで主人公の交代を行ったつもりであれば、大失敗と言わざるを得ないだろう。
      • 彼女の活躍は今後に期待といったところか。

各武器の開放要素

  • 例えばヒールスライドを使いたい場合、これまではコストが高い代わりに1回購入すれば他の武器でも使用できるようになっていた。
  • 本作は武器毎にイチイチ開放していく必要があるため、後半になるにつれ新武器を使うのを躊躇いがちになる。
    • 一応基礎的なスキルについてはコストが低いため、普通にプレイする分には問題にならない。
      強力なマスカレイドスキルなどはその分コストが高くなるが、ある程度プレイすれば良く使用する武器複数個くらいならば揃えられる。

せっかくの爽快感ある戦闘を阻害する相変わらずの要素

  • 別ジャンルのゲーム性の強要
    • プラチナゲームズ作品恒例ではあるが、相変わらずアクションゲームとして別ゲーになる場面を強要される。
      • その別ジャンル的なミニゲームも大して出来は良くない。プレイヤーができる行動はせいぜい数種だけで、敵の攻撃に合わせてそれらを繰り出すだけの単調な後出しジャンケンや、自由度の低い強制スクロールなどがほぼ全て。
      • デッドリー・シンを使ったバトルは演出が派手な分、動きがモッサリしたものが大半を占めており、人によって苦手意識を抱きやすい。
      • 特定のチャプターで強制的にプレイさせられる音ゲーは、操作方法の説明が無い、視覚的に見づらい、判定も分かりづらい等、単調さ以外の問題点も多い。
    • ジャンヌを操作するサイドチャプターは派手なアクションがあまり無く、やはり自由度が低い。またステルスが苦手な人には窮屈な思いをしやすい。
  • 探索要素だけなら先述したように賛否両論と言えるだろうが、そのための構成に関しては賛否ではなく難ありと言える。
    • 探索させるためか過去作よりもフィールドは広く作られているが、その割に探索要素がまばら、あるいは冗長。延々とマップをうろつく時間が長くなりがちで、せっかくの楽しいバトルもあまりさせてもらえない。
    • 「一定時間内に特定のオブジェクトを回収しきる事で開けられるようになる宝箱」が多く用意されており、一度のミスで回収しきれなくなるなどなかなかシビア。
      • それだけなら良いのだが、途中でリタイアするコマンドが無い。なので一度ミスしたが最後、再挑戦したくば制限時間いっぱいまでひたすら待機するしかなく、非常に冗長で退屈。
      • また、挑戦するたびに「回収すべきオブジェクトがどこにあるか」というムービーがいちいち繰り返されるため、数回目以降はテンポを阻害する要素にしかなっていない。
      • これらの問題はアップデートにより「難易度の緩和」「冒頭ムービーが早送り可能に」といった改善が入ったものの、根本的な問題の解消には至っていない。
    • 一部集めにくい魔女の血涙
      • 決まったルートを滑走するカラス、見つけにくい場所に隠れてるカエルはともかく、一定範囲内を猛スピードで逃げるネコはとにかくストレスが溜まりやすい。
      • 先回りしようにも器用にUターンする上、足場から足場を跳んで逃げる個体もいるため、捕まえるのがとんでもなく難易度が高い。
      • 1度捕まえれば済むとはいえ、もう少しどうにかならなかったものか。
      • 気づきにくいという問題こそあるものの、障害物で塞いだり壊したりして猫のルートを変える謎解き要素があり、それに気づけるかどうか、アンブランスピアで急接近できることに気づけるかどうかで難易度が変わる。また、時間をかければゴリ押しも可能ではある。

武器・魔獣変更の手間

  • 本作は武器・魔獣毎に攻撃手段だけでなく、移動や謎解きに関わるアクションもある。
  • 1度にセットできる武器は2つ、魔獣は3体のみで、謎解きの際は特に武器を交換する頻度が上がりやすい。
    • 武器・魔獣のセット変更はメニュー画面からしか行えず、手間がかかる。
    • 魔獣はステージ攻略に必要な魔獣と契約した後、十字キー上がその魔獣に強制的に置き換えられる。いちいちセットする手間はないものの、他の魔獣が2つしか自由に使えなくなるため自由度の面ではマイナスである。

武器の仕様の変更

  • 従来では「両手」と「両足」に別の武器を割り振る事が出来、コンボ構築にあたって武器の組み合わせを考える楽しみがあったが、本作では武器の装備部位が分かれていないため、その楽しみが無くなっている。
    • また、それに伴ってか「視界を遮るほどに巨大な武器」というものも登場しており、戦闘中では振り回しているので気にならないものの、移動パートでは鬱陶しく感じることもしばしば。
    • 対処法として武器セットのどれかを小ぶりな武器にするというのがあるが、「視界を確保するための武器」というのも本末転倒感が甚だしい。
  • 過去作では武器の比重は両手専用が多く、両足は大体銃器か爪か短剣であったため、攻撃のレパートリー自体は増えている。
    ただし、過去作では「両手」専用カテゴリになるような武器で無理やりパンチとキックで振り分けた結果、同じような攻撃を繰り返すコンボが多くなってしまっている。
    • また、パンチとキックの攻撃の違いを出すためか、パンチとキックで攻撃の範囲が大きく異なる武器が複数存在し、コンボを組み立て難い要因となっている。

カメラワークの問題

  • 過去作同様カメラワークに問題があり、ベヨネッタを動かしているうちに敵を見失ってしまうことがしばしばある。
    それだけではいつもの話なのだが、今作は巨大な敵が多いため今まで以上に敵の位置の把握が困難となっている。デーモン・スレイブによる魔獣の召喚により拍車をかけている。
    • 接近していた場合、敵の巨体で画面を覆われてしまうため、その敵自体の攻撃も把握しづらくなってしまっている。
    • カメラ設定からいつも以上に引き気味のカメラに変更することは可能。それでも敵や魔獣のサイズにかみ合っているとはいえず、焼け石に水程度ではある。

総評

8年ぶりの新作ということで期待度の高かった作品であるが、それに応えるかのように数々の新要素を盛り込み、これまで以上にダイナミックなバトルを楽しむことができる。
ベヨネッタを操るバトルに関してはプラチナゲームズらしい完成度の高い出来栄えであるため、その辺りを重視するプレイヤーなら楽しめる作品ではある。
しかし、それらの新要素によるバトル体験の変化や、これまでのシリーズの魅力を台無しにするシナリオといった原因により、ファンからの評価は不評気味となっている。
またシナリオに関しては本作単体として見ても非常に出来が悪く、ゲーム性においても、面倒になった探索要素などの難点も散見され、手放しに良作とも言い難い。
ベヨネッタシリーズとしては微妙な出来であると言わざるを得ないだろう。


余談

ベヨネッタの海外版声優変更

  • 英語版でベヨネッタを演じたヘレナ・テイラー氏が、ギャラの少なさを理由に役を降板。本作の購入のボイコットをファンに呼びかけたことが話題となった。
    • ただテイラー氏の主張した金額よりも多い金額が開発元から提示されていたことが判明し炎上沙汰に。
      • 要約すると、まず開発側が1回ごとに3000〜4000ドルの報酬の収録を4回、合計で約15000ドルのオファーをする。これは業界ではかなり良い待遇だった。
      • しかしテイラー氏はその数倍の報酬とゲーム売上の内いくつかの割合を継続的に払うことを要求、結果交渉決裂となり降板。
      • 次に開発側は短いセリフのカメオ出演で4000ドルのオファーをするがそれもテイラー氏は拒否。
      • そしてゲーム発売直前に「たったの4000ドルだけで出演させられそうになった。このゲームを買わないで!」と投稿し、開発側が炎上した。
      • その後、実際は15000ドルのオファーだったことが発覚し、4000ドルは短いカメオ出演の報酬だったと判明する。嘘、というより意図的に事実を歪めて搾取被害を偽装したことがバレたテイラー氏は炎上した。
    • なお日本語版はこれまで通り田中敦子氏が担当している。

パッケージ裏の表記

  • パッケージ裏には震災被害者に配慮してか「本ソフトには水害の表現が一部含まれております。」との注意文が書かれている。
    • ただしかなり小さく書いてあるため、気づく人は少なそうだが。

2017年に発表されたトレーラーについて

  • 2017年12月に突如発表されたトレーラーだが、その中に本作のネタがすでに散りばめられていた。
    トレーラーの内容では、正体不明の敵を前になす術もなくやられるベヨネッタという衝撃の映像が流されたが、実はそのベヨネッタはベヨネッタ本人ではなく、本作のオープニングでやられた平行世界のベヨネッタ「ベヨネッタβ0」になっている。
    • ホクロの位置がベヨネッタと異なるなどの差異部分に対し、公開して初期の段階で発覚し「ムービーのベヨネッタはベヨネッタ本人ではないのではないか?」などの考察は挙げられていた。

スタッフの途中参加

  • ファミ通のインタビューで本作のプロデューサーとディレクターは当初からではなく開発途中からの変更参加になった。
    • 参加経緯は言及されてない為不明だが2019年に前作までの橋本氏を始めとするプラチナゲームズのスタッフの大勢が退社する事が以前から報告されてた。
    • 2017年の初報から音沙汰が無くなったのはこれが原因ではないかと言われてる。
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最終更新:2024年04月17日 01:06

*1 一応、ヴィオラのコスチュームにSwitchのロゴ入りTシャツはあるが…