キャプテン翼J 全国制覇への挑戦

【きゃぷてんつばさじぇい ぜんこくせいはへのちょうせん】

ジャンル スポーツ(サッカー)
対応機種 ゲームボーイ
発売元 バンダイ
開発元 ベック
発売日 1995年9月15日
定価 4,200円
プレイ人数 1~2人
判定 クソゲー
ポイント 黒歴史アニメ『J』初のゲームとして期待に恥じない雑ゲー
誰がどこにいるのかわからないサッカー
原作に反してまさかの花輪最強
一枚絵はゲームボーイとしては非常に出来が良い
キャプテン翼シリーズリンク


概要

1995年にバンダイから発売されたゲームボーイソフトのサッカーゲームで『キャプテン翼J』初のゲーム化作品。
前年まで『キャプテン翼』のゲームはテクモから発売されていたが『キャプテン翼』ではなく、あくまでも『キャプテン翼J』のゲームとしてバンダイから発売。
『キャプテン翼J』とは元々原作の新シリーズ『キャプテン翼 ワールドユース編』(『週刊少年ジャンプ』にて1994年4月~1997年8月連載)のために取られていたアニメ枠だが当初はワールドユース編ではなく小学生編のリメイクが放送されており、本作発売時点ではそれが終わったばかりだった(第34話・1995年9月1日放送分)。

本作はその終えたばかりの小学生編をベースに作られている。


内容

試合のシステム

  • 試合前のコマンド
    • 「さくせん」
      • 「こうげき」「ふつう」「まもり」の3通りから選択。
        下記のフォーメーションで前よりの配置になるのが「こうげき」、後ろよりの配置になるのが「まもり」。
    • 「フォーメーション」
      • 「4-3-3」「4-4-2」「4-2-4」の3通りから選択。並びは「DF-MF-FW」。
    • 「かんとくじょげん」(「ストーリーモード」のみ)
      • 監督が相手の特徴を教えてくれる。
  • 試合中はテクモ版と違い、シミュレーションよりも本来のスポーツアクションに近い形のゲーム性になっている。
    • 試合のスタイルは一般的なトップビュースタイルで、ドリブルやパスを駆使して相手ゴールを目指す。
    • パスは大きく表示されている隣に少し小さく二人の顔が縦並び表示されており、上を押しながらBで上に表示されている仲間に、下を押しながらBで下に表示された仲間にパスされる。
      二人の顔の横に「ボール」と「G」のマークが表示されており、相手ゴールに近い方が「G」、相手のマークが少なくパスが通りやすい方が「ボール」。 他に後ろを押しながらBでバックパス、前を押しながらBでロングパスができる。この場合は指定不可。
      • 顔の代わりに「SPECIAL」と表示されているとセンタリングエリア(ペナルティエリア内とその両脇)内ならば、味方を選んでセンタリングを出せる。その外ならテクモ版でいう「必殺ワンツー」が出せる。
    • シュートはゲージ方式で、シュートする選手とディフェンス(キーパーorフィールダー)で画面左右に分かれ、それぞれゲージ上にボール型のカーソルが内側→外側→内側と高速で一往復する。
      • これをAボタンで止めるのだが、外側に近いほど決定力の強いシュートが打てる。止めた後、Aボタン連打で強い方に微補正もできる。
      • この時同時に十字ボタンで「シュート」「ループシュート」「必殺技(一部選手のみ)」が選択できる。センタリング経由なら「ヘディング」や「ボレーシュート」などもできる。
        キーパーも「キャッチング」「パンチング」「必殺技(一部選手のみ)」が選択可能。
  • レベルや経験値という概念はなく最初から最後まで固定のステータス。
  • 体力という概念があり、これが減っていくとシュート時にゲージの外側が狭くなり強いシュートが打てなくなり、ドリブルのスピードも遅くなる。
    • 体力の残り度合いは顔グラで示唆されている。
    • 試合時間が少なくなってきたあたりで2点差以上離されていると励ましが発生し全員の体力が少し回復する。

ストーリーモード

  • 発売直前の頃まで放送されていた『キャプテン翼J』に倣って小学生編を舞台にしている。
    • 根本的なストーリーは大空翼が南葛小に転校してきて、若林との最初に試合で対戦した「南葛VS修哲」の対抗戦からはじまり、以後「南葛SC」として全国制覇を目指す。
      • 原作通りライバルの日向小次郎率いる「明和FC」とは全国大会1回戦(キーパーはサブ同士)と決勝(正式なキーパーが復帰)で二度戦う。
      • 後述の対戦系のモードではふらの小が登場するが、このモードでは登場しない(原作でも南葛SCとは戦っていないため)。
    • 試合が終わると4文字のパスワードが発行され、それを入れることで再開できる。

対戦モード

  • 南葛SC・志水FC・花輪FC・ふらの小・武蔵FC・明和FCから自由にチームを選んでフリー対戦できるモード。
    • このモードでは南葛SCは若林、明和FCは若島津の正GKで固定となる。

トーナメントモード

  • 上記「対戦モード」で使用可能な6チームでトーナメントを行う。
    • 6チームなので、そのうちの2チームはシードでのっけから準決勝に出ることになる。
      • プレイヤーが選んだチームはシードになることはない。

PKモード

  • 上記6チームから使うチーム選択し、5人制のPKを行う。
    • 5人で決着がつかなかったら以降サドンデスとなる。
  • チームを選択したら、11人の中からキックする順番を決める。
    • そのメンバーの中にはキーパーも含まれており、若林や若島津といったキーパーもキッカーの中に入ることができる。
    • 当然だが6人目以降はサドンデスにならないと出てこない。
  • キッカーはAボタンでゲージが動き始め、ボールと重なった時十字ボタンで左右を選ぶ(押さないと真ん中)。
    • そのタイミングでキーパーも左右に飛ぶ。

練習モード

  • 翼と若林でシュートのシチュエーションのみを練習するモード。
    • 体力は常に全快状態。

コンフィグ

  • 試合時間やCPUの強さを設定。
    • 試合時間は5分・10分・15分・20分から選択できる。
      • ただし表示上の試合時間は常に20分で消化の速さで上記の時間になる(例えば5分なら4秒ずつ減算される)。
    • CPUの強さはイージー・ノーマル・ハードの3段階。

問題点

  • 必殺ワンツーは一気にゴール真正面にワープという大味仕様。
    • テクモの頃からおなじみの「南葛ゴールデンコンビ」「明和ゴールデンコンビ」「修哲トリオ」など必殺ワンツーの技は本作では全チームある。
      • だが、それを使うとなんとどんな場所からでも相手ゴール前まで一気にワープするというとんでもなく大味なものになっている。当然ながらオフサイドなんてくそくらえ
      • もちろん至近距離の真正面からのシュートでも後述のキーパーが誰であろうが強いせいで決まらないのでそこまでバランスに影響を及ぼすようなものではないが。
      • また、このためか三杉の武蔵が得意としたオフサイドトラップも組み込めないので、その個性を殺している。
  • やたらと枠外に外れまくるシュート。
    • ゲージのタイミングで最強のタイミングで狙っているとやたらと枠外に外れてゴールキックになる。
    • 『キャプテン翼』は『J』も含め、まるで狙っているかのようにやたらとゴールポストを直撃する一方、枠外に外れるシュートは意外と少ない傾向にある。
    • 特に翼、日向などエース以外の選手が強いシュートを打つと起こりやすい。
  • ゲームの仕様のせいで本作最強は花輪FC(後述の通り本来は「花輪SS」)というナゾな力関係。
    • なんとゴール直前からシュートを打てば必殺技「トライアングルシュート」が必ず発動してゲージ止めに移行することなく問答無用で決まるという超大味仕様。そして前述の通りいきなりゴール前にワープする必殺ワンツーが使える。
    • CPUもスコアレスやビハインド状態では必殺ワンツーを使いまくってゴール前に押し寄せて必殺の「トライアングルシュート」を打ってくるので当然森崎では手も足も出ず。対戦モードでは若林や若島津で戦うこともできるのだが上記の通りトライアングルシュートを打たれると原作とはまるで別人のようにあっさりゴールを許す。
    • その穴埋めと言うべきか花輪のキーパーが弱めにはなっているのだがその程度では足りたものではなく、体力を消耗して弱体化したような選手のシュートを止めるぐらいは難なくできる。
      • CPUはリードしていれば多少遠慮して「必殺ワンツー」→「トライアングルシュート」のコンボをそこまで連発はしてこないがそれ自体のアドバンテージが強すぎて対花輪戦は勝つにせよ負けるにせよ両軍合わせて10点を超える乱打戦必至になる。
      • 基本的にはこの鉄板コンボが事実上使い放題なので当然対人戦をするとなれば花輪を禁止にでもしなければまず成り立たず花輪を取ったもん勝ちになる。
  • キーパーの能力差がほとんど無いも同然。
    • 原作では大きく能力に差がある天才GKの若林、ザルGKの森崎のどちらも、タイミングさえ合えば大抵のシュートは止めてしまう。
      • 彼等と明和の若島津の3人には特別なグラが用意されており、他のキーパーはすべて共通グラだが、そんな共通グラのモブキーパーとも大した差を感じない。
    • 反対に必殺シュートにはほとんど手も足もでないことが多く、大体は成すすべなくゴールを奪われる(特に前述の「トライアングルシュート」に)。
    • 地味な所でキャッチングとパンチングの差もグラフィックの違いだけでないも同然だったりする。そのため、味方を選んで渡せないパンチングの意味があまりない。またパンチングは弾くだけとはいえ、そのボールは必ず味方に行く。
  • 選手の位置関係がよくわからない。
    • それもそのはずで、ついさっき相手ゴール前でシュートした翼が、まるでワープでもしたかのように自軍ゴール前に戻ってシュートブロックしたりタックルしたりと、常識的に考えると不自然な事態が起きる。
    • いくらなんでもありえないと思えるが、実は小学生編の頃はこのようなプレイは日常茶飯事だったので、ある意味原作には即している。*1*2 とは言え、こんなところを本当に再現してしまうのはどうなのか。
    • このような体たらくだから試合前に選手を指定したポジションチェンジができないのも無理はない話だし、仮にできたとしても意味がない。
  • ストーリーはほとんどナレーションだけのような展開で、キャラクターの台詞は一切ない。
    • 後述の通り一枚絵などは非常によくできているが、これではその良さを引き出せない。
    • 優勝した時の翼と日向の握手などは雰囲気が出ているが、やっぱり台詞がないのでどこか味気ない。
      • ゲームボーイだから無理かと思えば3年半も前の『キャプテン翼VS』(1992年3月発売)では、そういった台詞回りの部分もしっかり組まれていた。グラこそチープだが当然台詞がある方がドラマ性も高い。
      • 後のスーパーファミコン版のようにボイスがないのはゲームボーイならハードの性能上仕方ないし、そもそも『J』での声優キャスティングが似合っていないと非常に不評*3だったのでそれほど気にならない。
  • 一部で原作の把握ができていない。
    • 例えば上記の「トライアングルシュート」は和夫が飛んでヘッドで落とし、それを政夫がシュートするというものだが一枚絵では二人とも飛んでいる。
      • 二人が同時にポストを蹴って飛ぶシュートもあるにはあるが、これを「トライアングルシュート」とは言わない(テクモ版『VS』では「ダブルシュート」という呼称になっている)。
    • またストーリーパートで呼ばれる「花輪FC」も本当は「花輪SS(サッカー少年団)」である。これはアニメリメイクに合わせて変えられたわけではなく『J』でもちゃんと「花輪SS」という表記がある。
  • 対戦はスーパーゲームボーイ経由必須で通信ケーブルでできない。
    • 後述の通りPK戦はそこそこ手軽に楽しめるなど、このようなゲームなので裏を返せば「携帯機で持ち運んで手軽に楽しむもの」と取れば多少の出来の悪さは「このゲームはミニゲーム集みたいなものと考えればいい」と強引に妥協できる一面もあるのでゲームボーイによる「どこでもできる」を活かすのも一つの突破口なのに、よりにもよって対戦はスーパーゲームボーイを経由してスーパーファミコンで行わなければならない。
      • 確かにスーパーゲームボーイは発売して1年と新鮮さがあるのだが、これではムダに据置機に縛るだけになってしまっている。スーパーファミコンでのキャプテン翼対戦なら当然出来の良いテクモ作品を選ぶだろう。
  • ロスタイムがやたら長く、まるでハーフタイム分ぐらいの時間が取られている。
    • 実際作中のロスタイムもやたら長いのでそこだけなら特におかしな部分ではないし、名作として名高いテクモ版『II』『III』でもヘンに長いことがあり、ヘタすればロスタイムで2.3点入ることもあったぐらいだがある意味ゲームならではの面白い展開に昇華できている一面もあった。
    • その点本作は、やたらキーパーが強いバランスでロスタイムを迎える頃には選手の体力が残っていないので有力なシュートが打てず、ただ冗長化するだけでしかない。

賛否両論点

  • PK戦はそれなりに楽しめる作りだが枠外に外れないのは不自然。
    • 走ってきて蹴るタイミングで方向を決め、キーパーもそのタイミングで跳ぶというゲーム性はしっかり成り立っている。ミニゲームとしてはそれなりに楽しめる構成。
    • ただ、キーパーと方向が合っていればキャッチされ、合っていなければ必ず入るといった具合にキャラ要素はまったく皆無同然で、ポストやバー、枠外に外れることがないので微妙ではある。
      • 実際のPKは狙いすぎてポストやバーにはじかれたり枠外に外れるコントロールミスなど珍しくないので不自然だし、後述の通り試合中のシュートはやたら枠外に外れる。
  • 翼の南葛SCと日向の明和FCは原作通り予選1回戦と決勝で二度戦う。
    • これは原作通りで初戦ではお互いサブキーパー同士で、決勝では本来のGK若林と若島津で戦うことになる。
      • だが、キーパーに上記の通り大した違いが感じられないのではムダに二度試合しているだけに感じられるかも。
    • またメガドライブ版同様に「1回戦の明和に勝った(原作では負けた)後の展開」が用意されているのは良いが、その後の花輪戦は結局勝たなければならない。
  • アウトオブプレーがゴールキック以外皆無。
    • ドリブルでサイドラインやタッチラインを割ることはなく、クリアーするという概念がないためだいだい誰かがボールを持っている。
      • これは初代の『キャプテン翼』や『VS』と同じようなものだが、後のスーパーファミコン版のように、すぐラインを割ってしまうのは流れが悪くなるのでゲームそのものテンポとしては本作の方が良い。
  • エース編重なバランス。
    • 本作の特徴として、とにかくエースの選手がやたらとワープしまくって大活躍する。プレイヤー操作でもBボタンで「エースを呼ぶ」というコマンドがあるので、ついさっきまで相手ゴール前で攻めていたと思ったら、いつの間にか自軍ゴール前に戻っていたり、その逆も然り。
    • シュートも前述の通りエース以外の選手が打つと枠外に外れやすい。
  • 原作通りではあるものの技が少なくテクモ版後期に見られた派手な必殺技の応酬が見られない。技そのものも地味なものばかり。
    • あくまで小学生時代ベースで原作でも後年のような技はあまり見られなかったので技の乏しさはゲームそのもののせいではない。
    • 実際メガドライブ版『キャプテン翼』やゲームボーイ版『キャプテン翼VS』ではそんな小学生時代に無理矢理適当なものを当て込んでいたがユーザー受けは微妙だった。
    • ただゲームとしては盛り上がりに欠けるには違いない。
  • BGMがまるで環境音楽的で全然盛り上がらない。
    • テクモ版で最も出来が悪かったと言われる『IV』にすら遠く及ばないほど。

評価点

  • 一枚絵をはじめとしてキャラのビジュアルは非常に描き込まれている。
    • 必殺シュートやストーリーパートをはじめ、他にも必殺ワンツーや翼、日向、岬、三杉といったメインキャラのシュートを打つ時の表情などは、細かい部分までしっかり描き込まれており、スーパーゲームボーイ使用でカラーで見れば本当にアニメの雰囲気がそのままなレベル。
    • また画面下のパスウィンドウでのキャラの表情もバッチリアニメそのままの表情になっており、こういった部分では本当に抜け目がないレベル。体力に応じて表情がリアルタイムで変化するという要素もテクモ版にはなかった。
    • これは同じゲームボーイ作品の『キャプテン翼VS』(1992年)と比べると段違いで、翼と三杉は同じ必殺技オーバーヘッドキックでも違うグラフィックが要され、ともにその躍動感がよく出ている。
      • それだけにパクリと批判されても、テクモ版のゲーム性を用いていればこのような長所をグンと活かせただろう。不評の「Jボイス」も使っていない(使えない)ので悪名高い『J』である印象もうまい具合に薄らいでくれたかもしれない。
      • もっとも『J』の大不評だった要因としてリニューアルされた絵質も槍玉に挙げられているので、こんなところばかり拘ってもらってもテクモ版も含めた『キャプテン翼』のファンとしては嬉しくないかもしれない。
  • ゲームモードは多彩に用意されている。
    • ストーリーと対戦だけでなくPK専用のモードだったり、シュート練習のモードも完備されている。
    • しかも、それぞれにロベルトの簡単な解説も入る。
  • 必殺技こそ乏しいものの花輪を除く5チーム間での力関係のバランスは良い。
    • 「キャプテン翼であることを過度に意識しない」こと「どこに誰がいるのかわからない」を除けばシュートのみゲージ制の普通のサッカーゲームに近い感覚でプレイできる。
  • 「体力」の影響はそのものはなかなかリアル。また、負けていると終盤で回復という点も原作再現の面で役に立っている。
    • シュートを打つほど落ちていって弱いシュートしか打てなくなったり、それは相手も同じなので終盤で負けていると回復する要素は原作でも多かった「終盤での逆転」を生み出しやすくしている。
  • パスワードは4文字と少なく、紙を使うまでもなく頭で覚えられるほどなので扱いやすい。
    • しかも使われている文字はA~Pのみ。
  • 修哲戦での石崎負傷から岬への交代、花輪戦でトライアングルシュートの着地でスパイクされた西尾に代わって石崎といった原作エピソードが再現されている。
    • テキストのみで淡白なものだが、他の作品では石崎→岬はともかく、西尾の負傷は大抵カットされのっけから石崎が出ているので、このエピソードを原作再現している希少な例。
      • しかもトライアングルシュートを打たれる(強制失点)と発生するという点も、原作に徹している。
  • 志水FCが登場する。
    • 小学生編で強敵として登場したGK川上を擁し、若林が負傷して全国大会の決勝戦まで欠場するという重要な試合であったのだが、それ以降対戦の機会は無かった。
      • 川上は(マイナーキャラ好きの)ファンの間では知られた存在であったのだが、彼が登場し、しかも対戦で実際に操作できるゲームは恐らくこれ一作である。(テクモ版の小学生編「キャプテン翼VS」には志水FCとの試合は無い) そのまま二度と出てこない不遇のキャラかと思われたが、後年、漫画の続編『キャプテン翼 ライジングサン』で森崎が日本ゴールを守るという絶体絶命の事態で、これまで戦ってきた歴代のGK達が一斉に応援の声を上げるシーンで描かれた。小学生時代から高校卒業以後までの年月が流れており、テレビで観戦する姿だけでは彼が今は何をしているのか、まだサッカーを続けていたのかも分からない。
    • なおテクモシリーズでは志水FCも川上もメガCD版にのみ登場していたが川上の顔グラが全然違うものになっていたのに対して本作ではちゃんとアニメでの川上の顔になっている。
    • ただ、そんな川上もセービング時には特別なグラはなく(キャッチなら他のキーパー同様顔面でキャッチする描写)モブキーパー同様の扱いでしかないのはちょっと残念。

総評

一枚絵を描き切るだけで燃え尽きてしまったような出来。選手の位置すら把握できない上に、必殺ワンツーでいきなり相手ゴール前に来たり、エースはどこでも神出鬼没に出てくるなど肝心なゲーム部分はかなり雑で大味な構成。
中身の薄さはハードのせいと言い訳しようにも同じゲームボーイでもテクモ版の『VS』は3年も前ながら、充分ファミコン既存作品程度のボリュームはあったことを思うとゲーム部分は手抜きに近いようなレベル。
ただしこれは「元々黒歴史の『キャプテン翼J』のゲーム」なので、テクモが築き上げた輝かしい歴史に泥を塗らないで済むのが不幸中の幸いと言えるかもしれない。


その後の展開

  • バンダイは2ヶ月後の11月17日にスーパーファミコンで同じく『キャプテン翼J』のゲーム作品『キャプテン翼J THE WAY TO WORLD YOUTH』を発売している。
    • 本作のパスワードを入れることで、パワーアップしたステータスでプレイできるなど本作とつながりもある。
    • こちらはタイトルの通りアニメでは9月から切り替わったワールドユース編をベースにしており、詳細に関しては当該記事を参照のこと。

余談

  • 本作も上記スーパーファミコン版共々『キャプテン翼シリーズ』屈指のクソゲーだが、あまり知られていない。
    • それというのも当時スーパーファミコンは次世代のプレイステーションやセガサターンが軌道に乗る前でゲーム市場の主役だったことに対して、ゲームボーイはハードそのものが当時最も衰退期*4だったためノーマークになりがちだったことでハード的観点で最も注目度が低かった影響が大きい。
  • アニメ『キャプテン翼J』は当初の予定ではジュニアユース大会まで含めた旧シリーズをフルにリメイクする予定だったが、リメイクにあたり一新された絵質や新しい主題歌、声優キャスティングなどすべてにわたってすこぶる不評で、初回こそ前評判の高さから視聴率14.1%と及第点だったもののすぐ急落し、間もなくフジテレビ全国ネットのゴールデンタイムに見合わない5%前後の低視聴率に陥り「改善の見込みなし」と見限られ打ち切りとなった*5
    • リメイクであるため原作の進み具合で足踏みを余儀なくされるオリジナルより話の展開が速いのは通例とはいえ、全国大会1回戦の明和戦が終了した4月以降は更なる駆け足展開となり不自然なほどに急いでいる感があった。
      • 本作は開発時期を考えても既に打ち切りが決まっていた時期と思われるので、それに間に合わそうとしてゲームシステムを充分練り切れないまま発売に至った可能性が高い。
+ タグ編集
  • タグ:
  • GB
  • SPG
  • サッカー
  • 1995年
  • バンダイ
  • キャプテン翼

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月13日 14:25

*1 相手が翼を避けようとパスを出す→別の選手がパスを受け取ろうと構えていたら、ボールより先に翼が走って来てボールを取られるという場面がある。

*2 後の話だが、ワールドユース編でも葵新伍が全日本初出場したタイ戦で似たようなことをやっている。こちらは葵の運動量が他の選手よりもズバ抜けているという理由付けがきちんとされている。

*3 死去などで欠員が出ていたり旧作の放送期との乖離が長いなどならやむを得ないと割り切れても、当時は旧作の終了から8年、旧作を受け継いだジュニアユース編のOVA『新キャプテン翼』からはわずか4年しか経過していないこともあって旧作通りの再起用も難しくなかった(実際旧作の声優陣はほぼ全員が他作品で現役出演していた)のでファンにはより批判的に受け取られた。

*4 ゲームボーイは発売から1年半ですぐスーパーファミコンが発売してその後苦しい時代が続いたが、1996年2月に『ポケットモンスター』が大ブームとなり一気に息を吹き返し、その後はいくつかの後継ハードが生まれるまでに成長した。

*5 予定前倒しで移行したワールドユース編は平日夕方のローカル枠に降格して放送されたがまったく挽回できなかったため、これも12月までの3ヶ月少々で事実上の打ち切りに終わった。