本項目では『マドリカ不動産』と『マドリカ不動産2』(どちらも判定:なし)を共に解説する。



マドリカ不動産

【まどりかふどうさん】

ジャンル 謎解き紙ゲー
対応機種 Nintendo Switch
Windows(Steam)
発売元/開発元 GIFT TEN INDUSTRY K.K.
発売日 【Switch】2018年10月11日
【Steam】2019年2月26日
定価 【Switch】1,500円
【Steam】1,800円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢)
備考 ダウンロード専売
タイトルについては余談参照
判定 なし
ポイント 神ゲーならぬ紙ゲー
アナログの紙を使った謎解きゲーム
ホラーっぽい背景に反してホラー要素は皆無

概要(1)

紙を用いた謎解きゲームの第1弾。
開発の経緯としては、ゲームブックを皆で解いていく雰囲気をテレビゲームで再現したかったという思いから生まれたことが開発者から明かされており、
リアル謎解きゲームを元にしたわけではない(結果的にそのような雰囲気を持つ作品になった)とのことである。

特徴(1)

  • 主人公となるのはタイトルにもある不動産会社の新入社員であり、ゲームタイトルにもある「マドリカ不動産」のある町の不動産はオバケが住み着いているものが多いため、オバケが住み着いていない不動産を貸し出すために不動産に住み着いたオバケを退治して不動産を貸し出しているという背景がある。
    • 主人公は「マドリカ不動産」の社員としてオバケを退治することになる。
  • ゲームは不動産を選び、一定時間内にオバケを退治することができればクリアとなる謎解きゲームである。
  • 主人公は目を閉じて特定のコマンドを入力することで魔法を使うことができる。
    • オバケを退治するためには攻撃魔法である「ハジケール」を命中させる必要があり、他の手段ではお化けを退治することはできない。
    • コマンドを入力して目を開けると魔法が発動する。コマンドが間違っていた場合には何も発動しないだけでなく制限時間が減少するペナルティがある。
    • 視点変更は可能だが、本作では魔法を使わなければ移動そのものは不可。単純に部屋内の立ち位置を変えるためだけの魔法がある場合も。
  • 魔法のコマンドはステージ内を探索して探すことになるが、本作ではゲーム画面内の情報で全ての魔法のコマンドを知ることはできず、不動産の見取り図も併せて解読していくことになる。
    • 見取り図はゲーム内で確認もできるが、印刷媒体として用意されており、印刷した見取り図にメモを書き込んでゲームを進めていくことが想定されている。
      • 本作の最大の特徴がこの点であり、ゲーム内で探索するだけでは絶対にクリアできないようになっている。
      • なお、印刷が必須とされるのは4課題のみであるため、印刷せずにゲーム内の見取り図だけでクリアすることはできなくはないが、上述の通りメモを取ることが推奨されているため基本的には印刷した方がいいだろう。
  • ステージ内には必ずどこかにオバケがいるが、移動することはなく姿が見えないものも存在しない。基本的に発見も難しくないためステージの目的は事実上「ハジケール」のコマンドを見つけることである。
    • なお、この手のゲームにありがちなオバケに襲われるといったことは一切ない。時間切れになってもオバケに襲われてゲームオーバー……なんてことはなくそのままプレイを続行可能。
      • そのため、制限時間といいつつ、目標タイムといった趣が強い。ただ、時間が半分を経過すると音楽が変化して焦らされる仕様にはなっている。

評価点(1)

紙を使うという唯一無二のゲーム性

  • 実際の紙を使ったテレビゲームというのは唯一無二といって良い。
    • ゲームのプレイ人数は1人だが、見取り図を印刷し、謎を一緒に考えて複数人でプレイすることも出来る。

多彩な謎

  • ステージ毎に謎の方向性や種類は様々であり、基本的にステージを跨いでの使い回しはされていない。
    • どのステージもコンセプトとなる謎解きの方法が決まっており、最終的にはその謎解きを応用して答えを導くという流れになっている。
      • 最初はヒントが比較的用意されているが、最終的にはひらめきが要求されるというステージ構成となっているため、理不尽要素は基本的にない。
      • どうしても分からない人向けにゲーム内にヒントが存在し、メーカーウェブサイトで攻略情報(事実上の解答)が公開されている。

販売価格以上のボリューム

  • ステージはチュートリアルを除いて17だが、ボリュームは十分である。
  • 比較対象として類似した謎解きアトラクション「リアル脱出ゲーム*1」の相場が1人1時間約3000円である。本作が1ステージ平均20分程度、すなわちリアル脱出ゲーム6本分程度のボリュームがあり、これら全てを2000円弱で遊ぶことができるのは破格と言える。

賛否両論点(1)

制限時間の意味がない

  • 特徴で述べた通り、時間切れになったとしてもゲームオーバーにならず、プレイ続行が可能。
    • その為のペナルティーも一切ないため、制限時間については目標以上の意味はない。
  • クリアタイムも記録されない上、制限時間を超過したかどうかも記録されない。
    • もっとも、本作ではランダム要素がなく、フラグ管理がされているわけでもないため、既にハジケールのコマンドが分かっているならオバケの元に直行してハジケールをぶつければいいだけなのでクリアタイムが記録されないのは寧ろ当然といえる。
  • その為、制限時間そのものの必要意義は極めて疑問である。
  • 制限時間がある以上、それをクリアしたいという動機付けになっている一面は否定できない。
    • 時間切れでゲームオーバーにならないため、出来れば時間内にクリアしたいものの、時間切れになっても考え続けるという遊び方も当然許容される。

隠しステージへの導線が少ない

  • 本作にはメニュー画面の全問題をクリア後、これまで解いたステージの情報を活用して解く「隠しステージ」が存在する。
  • これ自体はリアル脱出ゲームなどの定番であり、最後に爽快感を得られる評価点である。ただ、隠しステージの存在を示すヒントが少なく、なおかつ隠しステージへの行き方・解き方だけは公式HPのヒント集にも書かれていない。

問題点(1)

印刷を必須とするステージが少ない

  • ステージは全部で20(内チュートリアルが3)存在するのだが、見取り図の印刷を必須とするステージは4ステージしかない。
    • 謎に直接関わるため、詳しくは述べないが、その内2ステージは印刷せずとも解くことは出来る。
    • 本作のコンセプトが現実の紙を用いて遊ぶゲーム性であることを考えると、全ステージの1/5しか印刷が必須ではないというのは少し寂しい。
  • ただ、既に述べた通り、余程ひらめき力に優れていない限りメモは必須といって良いバランスであるため全て印刷した方が良いのは間違いない。
    • なお、ほとんどのステージの見取り図は1枚だが、3ステージのみ2枚にわたっているため、全部印刷しようとすると23ページになる。

メモのスペースが少ない

  • 大抵の場合、謎解きをする為にメモをすることになると思われるが、基本的にメモのスペースは不足しがちである。
    • 印刷した紙だけでなく、大抵の場合はメモ用紙も用意することになるだろう。

音量が大きい

  • ボリュームが大きい割に音量オプションは存在しない。

総評(1)

紙を使うという唯一無二のコンセプトによる謎解きであり、一風変わった謎解きを楽しみたい方にオススメである。
メーカーも述べているとおり、複数名で遊べばわいわい盛り上がることが出来るだろう。
それだけに印刷せずともプレイ出来るステージが多いのは気になるところである。
ただ、印刷して遊んだ方が楽しめることは確かであるため、プリンタがないというわけでないなら是非印刷して遊んでいただきたい一作である。


マドリカ不動産2 -新物件の間取り謎-

【まどりかふどうさんつー しんぶっけんのまどりなぞ】

ジャンル 謎解き紙ゲー
対応機種 Nintendo Switch
Windows(Steam)
発売元/開発元 GIFT TEN INDUSTRY K.K.
発売日 【Switch】2022年11月10日
【Steam】2023年2月8日
定価 【Switch】1,980円
【Steam】2,500円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢)
備考 ダウンロード専売
判定 なし
ポイント 紙ゲー再び
印刷を必須とするステージは大幅増加
基本的には前作の別問題集

概要(2)

『マドリカ不動産』の続編。ストーリーとしては前作の続きにあたる。
紙を用いて謎解きをするというコンセプトを掲げた前作と同様であり、ゲームシステムにも大きな変化はない。

特徴(2)

  • 基本的なルールは前作と同様であり、ステージ内の謎を解き明かしてオバケの退治を目指す。
  • あえて前作と異なる点を述べるなら、オバケが移動したり、オバケが見えなかったりするステージもある。もっとも、主人公がオバケに襲われることが無いというのは前作と同様。
  • 新魔法「チョイトウゴケール」により、同じ部屋の別視点に立つことができるようになった。

評価点(2)

印刷が必須となるステージが大幅に増えた

  • 前作では見取り図の印刷が必須とされるステージは20ステージ中の4つだけであったが本作では13と大きく増えているため、ゲームコンセプトの割に紙必須のステージが少なかった前作と比べ作品コンセプトの名目は守ったといえよう。

視点変更により1ステージあたりのボリュームが増えた

  • 『1』では1つの部屋で1視点という情報量での謎解きであったが、今作では新魔法「チョイトウゴケール」により1つの部屋で複数視点を切り替えることができ、見える謎・干渉できるギミックが視点の数だけ増加したため1ステージあたりの実質的なボリュームが増加している。

メモのスペースが用意されている

  • 『1』は見取り図に余白が少なく、多くの謎で別のメモを用意する必要があった。本作は用紙を2枚使用するステージが増えるなど余白が十分にあり、用意した紙とペンだけで解きやすくなっている。*2

隠しステージの難易度強化および導線強化

  • 本作も『1』と同様に通常ステージで解いた謎を再活用した「隠しステージ」が存在する。
  • 今回は前作よりも大幅に難易度が強化されており、「隠しステージにたどり着くための謎解き」「隠しステージにたどり着いた後の謎解き」の両方ともが難易度・ボリューム共に強化されている。
  • ストーリー中やスタッフロールの様々な場所で隠しステージの存在を匂わせており、難解でこそあるもののプレイヤーが気づける導線が強化されている。

賛否両論点(2)

1と変わり映えしない内容

  • 謎についてはもちろん1と重複していないが、追加のシステムがあるわけでもないため変わり映えが無い。
    • 紙を使って楽しむというコンセプトは守られており、評価点記載のとおり印刷必須のステージも増えているがやることは変わりないので、新作というよりは追加問題集といった趣きである。
  • 作品が別々なので、難易度についても序盤は易しく後半は難しいといった流れになっているのも同じ。

ボリュームアップしたかどうか賛否が分かれる

  • 公式ページには「ボリュームアップ」と記載しており、販売ページでも同様の文言がある。
  • 魔法(=解いて入力するコマンド)の数を比較すると『1』が93個、『2』が144個*3のコマンドを要することから、実際の謎解きに要する工程数や時間は前作から約1.5倍のボリュームアップをしている。*4
  • しかしステージ数は前作と同じ20ステージであり、チュートリアルが3面あるため実質17ステージなのも前作と同じ。ステージ数でみると増えていないとも考えられる。
  • ステージ数が増えていないのにコマンド数が増えている理由は、前述の「チョイトウゴケール」による視点移動で部屋1つ当たりのボリュームが増えていることに由来している。
  • 謎に掛かる時間をどのように考えるかはプレイヤー次第であり、「問題数は増えたが、ステージ数は据置き」という実状にたいしてボリュームアップという文言が似つかわしいかどうかについては賛否が分かれる。

問題点(2)

隠しステージが難しすぎる

  • 隠しステージが前作に比べて非常に難しく、なおかつ公式サイトでの攻略記事が無い。
    • 発売から1年が経過した2023年12月現在でも、「マドリカ不動産2 隠しステージ」でGoogle検索しても一般ゲーム実況者のクリア動画が1件ヒットするのみであり、これ以外に攻略法が示されたサイトは無い。
  • 「難しすぎる」こと自体はともかく、公式からのヒントが皆無であることは不親切である。「隠しステージに気づく」までのヒントは豊富にあるだけに、余計に残念な点になっている。

音量が大きいのは相変わらず

  • 変更ができないのも相変わらずである。

総評(2)

良くも悪くも『マドリカ不動産』の続編であり、追加問題集といった趣が強い。
紙を用いた新感覚のゲームであることは変わりないが、『2』ならではの要素というのも特段存在しない。
『1』ならびに『紙謎』のノウハウからUIや演出の改善もみられ、最終版の難易度こそ向上しているものの、あくまで前作と同じ感覚で遊べる問題が20問別に用意された、と考えるのがいいだろうか。


余談

  • 『1』については公式のタイトルは『マドリカ不動産 -Madorica Real Estate-』である。
    • ただ、Switch版ではダウンロードページにて『マドリカ不動産』で販売されており、Steam版では『Madorica Real Estate』で販売されており、公式のタイトルで販売されているハードはない。
  • 『1』のコンセプトを継承した次作が『紙謎』である。発売順は『1』⇒『紙謎』⇒『2』。基本的なプレイスタイルはどれも同じであるが、新しい作品ほど操作性の向上や達成感を増す演出など、ブラッシュアップされた要素も見うけられる。
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最終更新:2023年12月18日 12:56

*1 精神的続編である「紙謎」でコラボするなど、製作側も類似点に言及している

*2 前作の余白不足に対する反省なのか、それとも後述の「隠しステージ」のために必要な措置だったのかは不明

*3 とあるステージのギミック上、正確には「144個+1021個」だが割愛する

*4 いずれも隠しステージを除いた数で計算