クイズ☆正解は一年後 presents あつしの名探偵

【くいずせいかいはいちねんごぷれぜんつ あつしのめいたんてい】

ジャンル 探偵アドベンチャー
対応機種 Nintendo Switch
発売元 Phoenixx
開発元 ハッピーミール
発売日 2023年12月31日
定価 1,000円(税込)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
プレイ人数 1人
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント TBSの年末の特番の企画によって生まれたゲーム
自重のない極悪な高さの難度
番組の再現度やファンサービスは良好
TBSテレビ関連作品リンク


概要

TBSテレビで年末に放送される番組『クイズ☆正解は一年後』の企画によって生まれたゲームソフト。
番組は「『年内に起こりそうなこと』の回答をその年の1月に収録し、約1年後の12月の生放送で答え合わせを行う」という内容のクイズ番組である。
番組終盤には100万円チャンスクイズとして、1年間を掛けた企画が用意されるのが恒例となっており、本ソフトはその企画で制作されたもの。
その企画というのは「ファミリーコンピュータで動作するオリジナルゲームのROMカセットを中古ショップに密かに流通させて、クリアを報告する人*1が何人いるか予想する」というもの。
ROMカセットの流通は2023年の夏ごろに行われた*2が、2023年12月30日放送でネタバラシした後の2023年12月31日にNintendo SwitchのDL専用ソフトとして配信された。
タイトルなどからわかるように、昔のFCタレントゲーム『さんまの名探偵』のパロディゲームである。
開発は『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』などのFC風アドベンチャーゲームを手掛けたこともあるハッピーミールが担当。


特徴

  • コマンド選択式のアドベンチャーゲーム。
    • いどうする・はなす・しらべるといったコマンドを選択することによって、物語を進めて攻略していく。
      • その中には「いじる」「スマホ」というちょっと変わったコマンドも存在する。「いじる」は文字通り登場人物をイジることができ、「スマホ」からはセーブすることができる。
    • 基本は上記の通りだが、物語の途中にミニゲームが挟まることもある。

評価点

  • 番組ファンであれば楽しめるネタの数々
    • 2023年度の『正解は一年後』だけではなく、過去の放送回で行われた企画のネタも組み込まれており、「亮の財布を埋めた竹やぶ(2014年)」や「怪しいQRコードが描かれたシールの貼ってある沖縄料理屋(2018年)」「九官鳥の『豚ホルモン』(2015年)」など、過去の企画を元ネタにしたエリアやキャラも登場する。
    • 出演者の一人、野性爆弾のくっきー!のボケ回答が元ネタのキャラクター「エゾシカ人間」「リトル宮川グレイ」も最終盤に出てくる。
    • さらに『正解は一年後』だけではなく、スタッフや出演者が共通している『クイズ☆タレント名鑑』などのネタも組み込まれている。
    • その他、出演者たちの要望で子役の寺田心の名前を捩ったボケ回答「寺田魂」「寺寺心」「心ジョージ」の名を冠した子役がとある場所で登場する、2017年に予想した『ドラゴンクエストXI』の新呪文が裏技として採用されている、といったように番組ファンであれば楽しめるネタが非常に多い。
  • 往年の名作のパロディ
    • 番組だけでなく、往年の名作達のパロディも多く、当時の雰囲気を再現されている。
    • 令和の時代に昭和ゲームの雰囲気を出せていると言える
  • 登場人物たちの再現度の高さ
    • 出演者たちのグラフィックはFC風のドット絵でありながら全体的に再現度は高め。特に顔がデカいことでお馴染みのFUJIWARAの藤本は他の登場人物の4倍近い大きさの顔となっており、インパクト抜群。
      • もちろんギャグの一種で、終盤からは他の人物と同程度の大きさになる(それでも大きめだが)。
    • おぎやはぎや有吉弘行の喋り方や、鬼越トマホークの喧嘩ネタが収録されていたりと、人物像の再現度はかなり良好。
      • ちなみにゲーム内に登場する鬼越トマホークの喧嘩ネタは本作用に鬼越トマホークにコンビで考えてもらったものである。
    • ただし、ウエストランドの河本だけは何故か「寡黙な男・無口な人」という人物像にされており、話しかけてもイジっても不気味なほど喋らない。

問題点

元々「先着でクリアできる人を予想する」という番組の企画の都合上作られたゲームであるため、本作は非常に不親切かつ高難度なゲームデザインとして意図的に製作されている。
実際、ニンテンドーeショップのストアページや公式サイトにも以下のような注意文が掲載されている。

本ゲームは演出の都合上、高難度・不親切な作品となっております。
理不尽かつ悪意のあるクリア条件などが多分に含まれますので、予めご理解の上、お楽しみください。
(ご購入後のクレームには応じかねますのでご注意ください)

難易度の高いミニゲーム

  • 最初の難関「だるま落とし」
    • 内容は赤・白・黄色の三色に分かれたブロックと同じ色のメモリに合わせてボタンを押してだるま落としを成功させていき、スコアを100以上稼ぐというもの。
    • 得点を稼いでいく度に段々とメモリを左右するカーソルの動きが速くなり、メモリの色も散らばってくる上、ボタンを押したタイミングと数メモリ程度ズレが発生するため難易度が高め。
    • さらに一度でもミスすると最初からやり直しとなる。とはいえ、ここはゲームが得意な人であれば、何とかクリアできる範疇。
  • ジョンソンくんとの競争
    • 物語の中盤、ジョンソンくん(ベン・ジョンソン)と競争して勝たなくてはならないミニゲームがあるのだが、これが中々厄介な代物。
      + 詳細(攻略上のネタバレ注意)
      • このミニゲームではボタン連打で走ることができるのだが、普通にやってもドーピングしているジョンソンくんには、絶対に勝つことができない。
      • ではどうやって勝つのかというと、スタート直前の状態で放置して、ジョンソンくんにフライングさせるまで待つ必要がある。
      • 正攻法では勝てないことに気づければよいのだが、真面目に攻略しようとするとバカを見るクリア方法である。

全体的に不親切なフラグ更新ポイント

  • ゲームを進行するには、特定の人物と会話する・特定の箇所を調べるといったことをしなくてはならないのだが、具体的なフラグの更新ポイントがわかりづらく、往年のレトロゲームよろしくコマンドの総当たりをしないと、中々物語が進まない。
    • 例えば、中盤の竹やぶの中から地面を掘る場面ではどこにお目当てのものが埋まっているかは完全にノーヒント、しらみつぶしに探さなくてはならない。
    • チラシのQRコードを承認する場面では、ゲームオーバー・タイトル画面に戻されるというトラップ付きであるため、非常に攻略が面倒臭い。
    • この辺りはFC風に作成していることも含めて「昔の不親切なゲームを再現した」とも受け取れなくもないが、どうしてもストレスが溜まりやすいポイント。

最終ステージ・ラスボス戦

  • 最終ステージでは、これまでと打って変わって横スクロールアクションゲームになるのだが、これがまたかなり高難度な代物。ちなみに何故か左スクロール
    攻撃手段も、とある裏技を使用しない場合は射程の非常に短いパンチ攻撃のみ。特に上下に揺れながら向かってくる鳥の敵キャラは位置取りが悪いと、パンチしていても被弾してしまう。
    • 最終ステージは、一発でも被弾するとゲームオーバーとなり、ステージの最初からやり直しとなってしまう。
      • 実は中間ポイントから再開できる裏技もあるが、あくまでも裏技なので初見ではまず気づけない。
    • なお、タイトル表示や全体的な雰囲気は『魔界村』のパロディだが、通常の攻撃手段がパンチのみ・初見殺し多めの高難度と言う点は『たけしの挑戦状』にも近い。
  • ラスボス戦でも一回被弾するとゲームオーバーな上、プレイヤーの攻撃射程が短いわりにラスボスの動きや攻撃スピードは素早いため、苦戦しやすい。
    • 幸い、ここでゲームオーバーになっても、ラスボス戦から再開できるため、頑張れば何とか勝利はできる。

パスワードシステムの欠陥

  • 本作はゲームを進めるごとにパスワードが表示され、タイトルからパスワードを入力することで再開できるようになっているのだが、このパスワードに致命的な欠陥がある。
    • 一見、意味のない文字列でフラグ等を管理しているように見えるこのパスワードだが、実はとある箇所の1文字以外が全て同じ文字列で構成されている。
    • もちろんこれだけならゲームプレイに全く支障はでない(というか本作は通常のセーブに対応しているため、中断・再開するならそちらを使えばいい)のだが、問題なのがその1文字。
      + 詳細(ゲームの攻略難易度が著しく変わってしまうため閲覧注意)
      • 本作は物語を進めるごとに主人公が変わり、最初は「あつしの名探偵」だったものが、「ありよしの名探偵」、「やはぎの名探偵」……と言った具合にタイトルが変わっていく。
      • そして、上述の1文字が主人公の頭文字になっている。つまり「ありよしの名探偵」なら「あ」、「やはぎの名探偵」なら「や」といった具合に表示される。
      • これの何が問題なのかというと、まだクリアしていないパートを登場人物の名前から推測してスキップすることが可能ということ。
      • パスワードが初めて表示されるのは有吉パート、次に表示されるのは矢作パートなので、最速で矢作パート突入時にパスワードの秘密に気づくことができる。
      • 前述したように本作は最速クリアを競う企画もあった上に、上記の通り非常に極悪な難度でもあるため、途中で挫折したプレイヤーが、この裏技を使って最終パートまでスキップしたというケースも一定数存在した。

賛否両論点

番組知識が求められる謎解き

  • ジャンルに「探偵アドベンチャー」とある通り、本作にはプレイヤーが推理することを求められる謎解きがあるのだが、番組ファンでないと解けない、あるいは解きづらい謎解きが少なからず存在する。
    • 前述の通り、高難度・理不尽であることを商品ページで強調している作品ではあるが、下記2つの謎解きに関しては過去の『正解は一年後』を視聴していないと正解まで辿り着きにくく、番組ファン以外のプレイヤーにとっては理不尽な謎解きに感じてしまう。
    • また、番組ファンだとしても、普通の推理アドベンチャーゲームとは異なったイレギュラーな謎解きでもあり、番組ファンからも賛否両論である。

中盤の謎解き「ひみつのことば」

  • 恐らく多くのプレイヤーが詰まるであろう謎解き、それはゲーム中盤に登場する「ひみつのことば」である。
    + 詳細(軽いネタバレ注意)
    • ゲーム中盤、亮の居場所をくっきー!から教えてもらうために「ひみつのことば」を入力する必要があるのだが、ゲーム内で回答を知る方法は存在しない。
    • では、この「ひみつのことば」をどこで知るのかというと、過去の番組の企画に利用された、実在の花屋の壁に書かれている「ひみつのことば」を、”リアル”に行って知る必要がある、というとんでもない解法。すなわちARG(=代替現実ゲーム)要素となっている。
      • この花屋自体は東京都に存在しており、人口の多い東京都に住んでいる人なら比較的行きやすい……とはいえ、たとえ東京都に住んでいるとしても行くのが億劫なことに変わりはないし、地方住まいのプレイヤーにとっては、正攻法の攻略を断念せざるを得ない。
      • ARG自体は2010年ごろから流行しはじめたジャンルであり、「Trials Evolution*3」「Inscryption*4」など世界を股にかけた謎解きも存在するため日本国内で完結する本謎解きは比較的難易度が易しい方であるが、本作のターゲットの一つである番組ファン向けであるとは言い難い。

真犯人

  • ゲーム終盤のクライマックスのシーンにおいて、真犯人の名前を入力する必要があるのだが、これも番組ファン向けの真相。
    + 詳細(ネタバレ注意)
    • 物語を進めることで、犯人は「角刈り」で「相撲経験者」、そして「最後の弟子」などの情報がわかるのだが、実は真犯人は今までゲームに一切出てこない人物という、とんでもない真相。
    + 真犯人と真犯人判明後の展開(重大なネタバレ注意)
    • 真犯人はなんと、「おおえゆたか(大江裕)」。それまでに大江がゲーム内で登場することは一切なく、上記の「相撲経験者」「最後の弟子」「角刈り」などの情報から、メタ推理しなくてはならない。
      そして、大江が登場した後は、大江が放つ黒目ビームを食らって登場人物の殆どが死亡するという、不条理ギャグ漫画のようなメチャクチャな展開に。スタッフは大江裕をなんだと思っているのか……。
      • 余談だが、『正解は一年後』と番組スタッフが共通している『水曜日のダウンタウン』においても、大江裕はヤバいやつを演じるドッキリの仕掛け人として出演している。意外と心の広い人なのかもしれない。
    • 悪魔の様な姿と化した大江を倒した際の演出も、これまた不条理ギャグ漫画などを意識したのか、大江が典型的なやられ文句を言った後、プレイヤーキャラが「事件、解決っ!」と言うカットインだけでクレジットに。
      • 全編に渡ってシリアスなんだかギャグなんだか測りかねる雰囲気で進んでいっただけに、事件の後始末や後日談も一切無く終わるのは良くも悪くもテキトー、もしくはシュール極まりないとも言えるだろう。

総評

令和の時代にあるまじき、非常に極悪かつ不親切な高難度アドベンチャーゲーム。
悪意のこもった攻略方法や、不親切なシステムや進行条件、高難度のミニゲームの数々によって、外部での攻略情報なしではクリア不可能と言っても過言ではないほどの極悪な難度となっている。
ただし、番組・登場人物の再現度は高く、番組ファンに対するファンサービスも非常に良好であるため、決して評価の低い作品ではないことだけは付け加えておく。
そういった性質上、元となった番組を知らない人にはとてもおすすめできないが、『正解は一年後』のファンであれば、(極悪な難度も含めて)楽しむことができるだろう。


余談

  • 概要に書いた通り、本作はFCソフトとして中古ショップに密かに流通させて、何人がクリアできるか予想するという企画だったのだが、2023年末時点でクリアを報告した人は一人もいなかった
    • まず今更FCソフトを中古ショップで買うという人間がゲーマー全体から見ても極一部な事に加え、今現在の購買層はコレクターも多いため、そういう人は買ってもプレイせずに出来るだけ綺麗な状態で保管しておく事を考える。そういった事情を考えると、購入された10本の内、何本がプレイされたのか…。
      • 電ファミニコゲーマーのインタビューで結構いいところまで進んでいる人や購入先に「このゲームをクリアするのは勤め人には無理だ」と報告した人がいると語られているため、全くプレイされていないわけではないようだ。
    • 加えて、前述した難度の高さ、FC版はセーブに未対応(パスワード対応のみ)という面倒さもあり、結果としてクリア報告は0件になってしまったようである。
  • 2024年1月11日にはパッケージ版が発売。
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最終更新:2024年04月15日 01:13

*1 ゲームクリア後にQRコードが表示されるので、そこから投稿フォームを通じて報告する仕組み。

*2 流通本数はわずか10本。のちの調査により中古ショップからは10本全て売却されていることが確認済み。

*3 作中の暗号を解くと複数の都市名が表示され、そこに次の暗号が設置されている

*4 作中で示唆された複数の座標に次の暗号が埋まっている