ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチ
【がーるずあんどぱんつぁー どりーむたんくまっち】
ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチDX
【がーるずあんどぱんつぁー どりーむたんくまっちでらっくす】
ジャンル
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戦車アクション
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対応機種
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無印:PlayStation 4 DX:Nintendo Switch
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発売元
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バンダイナムコエンターテインメント
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開発元
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ナツメアタリ
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発売日
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無印:2018年2月22日 DX:2019年2月21日
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定価
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7,600円(税抜)
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プレイ人数
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1〜10人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) |
判定
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良作
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ポイント
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戦車道、極めました! あらゆるシステム面が大きく進化 原作視聴済みのファン向き
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ガールズ&パンツァーシリーズ 戦車道、極めます! / ドリームタンクマッチ
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概要
アニメ『ガールズ&パンツァー』のゲーム化作品のひとつで、家庭用機向けとしては『戦車道、極めます!』に続く第2弾となる。
OVA『最終章』の展開を控えたタイミングで発売され、基本的に2015年公開の『劇場版』までの内容をもとにしているが、BC自由学園が登場するなど一部『最終章』の内容も反映している。
無印版が2018年にPS4で発売されたのち、追加要素を収録した『DX』が翌年にSwitchで発売。無印版では有料DLCという形で追加要素が配信された。
ゲームモード
感想戦モード
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『劇場版』の後日談として、感想戦を行うという設定で同作を再現したミッションをプレイしていくモード。
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各ミッションにつき1話が割り当てられており、ミッションの無い回も含めて全21話構成。各話では、フルボイスのプロローグが流れたのち試合に入る。
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ミッションには「相手の殲滅」「特定時間の防衛」などいくつかの種類があり、クリアすると次の話数に進めるようになる。一部を除き、ミッションはその試合を戦った双方の視点から選んでプレイできるが、一つでもクリアすれば次に進める。
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ミッションをクリアすると、試合内容に応じてポイントが手に入り、累計獲得ポイントによりプレイヤーレベルが上がっていく。これは他のモードでも同様。
争奪戦モード
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プレゼントを懸けた雑誌企画の勝ち抜き戦を行うという設定で、5回連続して試合をプレイするモード。最終戦に勝利した際の一枚絵が最終目標となる。
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一度でも負けてしまうとゲームオーバー。
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作中の各校ごとに全9エピソードがあり、クリア状況はそれぞれに記録される。
戦車道祭
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トーナメント戦形式で試合を勝ち進み、優勝を目指すモード。無印版では有料DLC。
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開始前に「操作者」(プレイヤーキャラ)と「仲間」およびそれぞれの戦車を選んで戦う。はじめはこのペアでの戦いとなるが、試合に勝つと相手方から仲間と戦車を1つずつ引き抜くことができ、進めるごとに対決人数が増えていく。
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一度でも負けてしまうとゲームオーバー。
エクストラマッチ
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「感想戦モード」のようなミッションを集めたモード。基本的にストーリーはないが、一部に簡易な掛け合いが挟まれるものもある。
フリーマッチ
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ステージや敵・味方のキャラクター・戦車、ルール等を自由に設定して試合ができるモード。
オンラインマッチ(『DX』では通信プレイ)
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その名の通りオンラインの協力・対戦プレイができるモード。特定のシチュエーションによる試合を楽しめるものや自らルールを設定できるものなど、複数のマッチングタイプが用意されている。
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オンライン対戦での勝率により、プレイヤーレベルとは別に「クラス」が上がっていく。
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『DX』ではローカル通信による対戦も可能となっているが、オンライン対戦とは異なり同時プレイは最大8人まで。
戦車倉庫
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手持ちの戦車の乗員や見た目などを変更できる。また、カスタマイズした戦車を各マップでテストドライブが可能。
各種設定
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BGM・SE・ボイス音量やカメラ操作の設定などができる。
システム
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試合は、最大で5対5の戦車同士の戦いである。必ず赤・青の2チームどちらかに分かれての参加となり、3チーム以上になることはない。
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どのルールでも、砲撃を相手戦車に当ててHPを0にし、撃破することが主目的となる。撃破された戦車は行動不能となり、プレイヤーが撃破された場合は通信プレイ時を除いてその時点でゲームオーバーとなる。
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ルールには、相手の戦車を全て撃破すれば勝利となる「殲滅戦」と、1台のフラッグ車を撃破すれば勝利となる「フラッグ戦」がある。
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戦車のステータスは、各車両のデフォルト値のほかに「乗員」が持つ効果によって決まる。
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乗員は3〜6人(戦車ごと異なる)を選択でき、うち1人は試合中に3Dモデルで登場する「車長」となる。作中で関係を持つ他の乗員と同乗させると「コンビネーション」が発生し、ステータスの上昇値が上がる。
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また、ステータスには影響を与えないが、偽装工作や戦車の機能強化などの効果が得られる「支援カード」を乗員とは別に設定でき、試合中に任意のタイミングでカードスキルを使用できる。
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コンビネーションが発生する組み合わせは原作での同じチームや姉妹、親友等の分かりやすいものから、ドラマCDやイラストストーリー等の公式媒体での絡みから採用されたりと、膨大な数に登る。
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このほかプレイに直接関係ない要素として戦車のカラーとデカール(装飾)も選択できる。乗員・支援カード・デカールは、いずれも感想戦モードやエクストラマッチのミッションクリアで追加されていくほか、一部DLCとして入手できる。
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試合では後方視点と主観視点を切り替えながら移動と照準合わせを行い、砲撃を当てていく。砲撃後の再装填(リロード)は自動で行われるが、指定のタイミングで砲撃ボタンを押すことで大幅に早くリロードすることもできる(クイックリロード)。
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試合開始時点では敵の場所は分からないため、マップを回って敵を探す。敵を発見するとその場所がマップに表示され、照準のロックオンが可能となるが、一定時間視界から離れると再度発見するまでマップからは消える。
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砲撃によるダメージは命中した場所によって異なり、戦車ごとに設定されている「装甲の薄い箇所」に当てるとダメージ量が上がるが、逆に装甲の厚い箇所に当てた場合や、戦車に対して水平方向に角度がある状態で攻撃した場合は大きく下がる。また、履帯に攻撃すると修復までの間相手を足止めできる。
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こちらが履帯に攻撃を受けた場合、一応自動で復旧はするが非常に遅いため、基本はボタン連打で早く修復させることになる。
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味方戦車に対しては偵察、防衛、砲撃といった作戦指示を出すことができ、少人数ながらチーム戦として戦略を練りながら戦うことになる。
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移動や砲撃を繰り返すごとに「アクティブゲージ」が溜まっていき、満タンになると「車長スキル」と「パンツァーハイ」を使用可能になる(使用した後はまた0から溜まる)。
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車長スキルは車長ごと異なる戦闘支援効果をもつ。パンツァーハイでは一定時間自機が無敵になるほか、敵車輌の弱点表示に加え、クイックリロードが自動化される。
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ガルパンらしい戦車の挙動の再現として、一定以上の速度を保っている状態だとドリフトすることが可能。
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頑張れば超重戦車マウスでもドリフトすることが出来る。戦車道って凄い!
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また、ドリフト中は攻撃力が上がるようにもなっていて、ドリフト中の攻撃で倒すと「ドリフト撃破」になり、貰えるポイントも大きくなる。ロックオンした相手をドリフト射撃で倒していくのが基本的な動きの一つになる。
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更に一部の戦車は劇中でCV33やクルセイダーが行った180度ターン(ナポリターン)も行える。
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一般的な戦車ゲームだと、停止した戦車が動き出してから最高速に到達するまでは時間が掛かってしまうが、本作では停止した状態からロケットスタートすることが可能な為、一瞬で最高速に到達して走り出すことが出来る。
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その為、本作の戦車は重戦車も含めて非常にスピーディーに動かせる。「戦車のゲーム」ではなく
「戦車道のゲーム」
なのだ。
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一部の戦車の特徴的な部分もL2ボタンにその行動を割り当てる形で再現。
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M3リーやルノーB1等、主砲に加え副砲も持つ戦車はもう片方の砲を撃つことが出来る。
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ポルシェティーガーは劇場版から度々使用しているEPSによる超高速ダッシュを使用可能。一度のリスポンに付き一回のみ使える為、切り札のような存在。
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BT-42とT28は履帯を切り離すことが出来る。加速性能や耐久性が落ちる代わりに最高速度が上昇する上、切り離した瞬間に履帯損傷が回復するという特徴がある。ただしBT-42は操作が難しくなる上、こちらも一度のリスポンに付き一回しか使えない為、使い所を見極めたい。
評価点
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あらゆる箇所で再現度が高い
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戦車の操作性はもちろんのこと、命中箇所によるダメージ量の差異や装備の破壊まできちんと実装されており、作中の試合にあったような演出をゲームでも楽しめる。
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攻略本にしか記載されていないが、各戦車のステータスには非常に多岐に渡る項目のマスクデータが設定されているのも作り込みの一端を伺わせる。
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原作に登場する非現実的なシチュエーションや作戦も支援カードで再現できるなど、原作リスペクトの要素は非常に充実している。どのモードも、会話は全てフルボイスになっているのも高評価。
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搭乗しているキャラクターは戦車の動きに合わせて慣性が働く様子まで表現。砲撃を受けるとすぐに体を引っ込める。
かわいい。
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劇場版の大学選抜戦に参加したキャラクターの内、
大洗の各チームの車長以外の子と、プラウダのニーナとアリーナ以外は全員を車長に設定することが可能。
追加要素を加えるとBC自由学園の三名やお銀、そして
まさかの蝶野亜美も車長に出来る。
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また各種行動や被弾の際には編成したキャラ達のボイスが逐一入る。原作と同じ組み合わせだと車長のボイスに掛け合いをする形で乗員が更に喋る為、劇中のように非常に賑やかになる。
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マップもかなりこだわって作られている。さすがに現実から一部を省略してはいるが、アニメに登場しない部分まで実際の街並みを再現した「大洗市街」の作り込みはなかなかのもの。テストドライブで隅々まで走ってみたくなることだろう。
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カジュアルな戦車ゲームとしても成立している
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味方がCOMの場合を含め、作戦マップによる具体的な行動指示や移動目標の設定、メッセージによるコミュニケーションなどが可能。きちんとチームとして戦うことができる。
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前作では接近砲撃が大正義であることや照準操作の煩雑さなどお世辞にも快適とは言えないプレイ環境が問題視されていたが、本作ではこうした問題点は一掃されたと言ってよい。
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オンライン対戦では勝敗が決まるまでは何度撃破されても再出撃が可能(ただし殲滅戦はコストが無くなるまで、フラッグ戦ではフラッグ車になった人が撃破されると即座に敗北)な点が、対戦の気軽さを後押ししている。
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各戦車や車長の性能に多少の格差こそあれど、個々の戦車に得意不得意が分かれることもあって味方との連携や相手チームとの読み合いと言った戦略性が高いゲーム性になっており、今なお熱中している人々を生み出している。
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既存作品の新しい解釈を知れる感想戦モード
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テレビアニメや『劇場版』は主人公の在籍する県立大洗女子学園を主軸に描いていたが、感想戦モードでは相手側からの後日談やうんちくなどを聞ける。『ガルパン』ファンなら聞いておきたい。
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追加要素では、現役の戦車である陸上自衛隊の10式戦車も使用可能になる。
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現代の戦車だけあって作中の戦車との性能は比べ物にならず、あらゆる点でチートの一言。重戦車より攻撃力も防御力も高い一方で軽戦車よりも速く走り、自動装填装置が搭載されている為クイックリロードも発生しない。特にPVでも話題になった砲塔の旋回速度は驚愕の一言。
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尚、
戦車道のレギュレーション違反
である為オンライン対戦では使用できないのでご安心を。
問題点
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ストーリー成分がやや不足
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しっかりと背景のストーリーまで作られているのは感想戦モードだけで、他は取ってつけたような前振りしかない。
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その感想戦モードも大半は『劇場版』の振り返りなので、『ガルパン』の完全オリジナルストーリーを求める人には物足りなく感じられるかもしれない。
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また前作と違い、アニメでのあらすじの概説が非常に簡素であるため、原作を全く知らない人がプレイすると世界観に混乱する可能性がある。
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難易度の高いミッション
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「山道」というステージでのミッションの難易度が特に高く、苦手な人はここで詰まってしまう可能性もある。
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このステージはチェックポイントを通過しながら制限時間内に目標地点到達を目指すという専用ルールとなっている。進むにつれ道が細く険しくなって非常に通行しづらいだけでなく、バランスを崩すとあっさり崖から滑落してしまう。落ちてしまうとその時点でゲームオーバーのため、かなりシビア。
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感想戦モードでは「高地頂上からの撤退戦」で登場。原作でカール自走砲からの砲撃から撤退するカチューシャの視点を描いたミッションであり、予告はあるがカールの砲撃が定期的に発生。途中からは敵車輌の追撃も発生する。
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エクストラマッチでは大量の敵戦車をかわしていくミッションと、敵車両こそいないが極端にコントロールが難しいローズヒップのクルセイダーによる走破を目指すミッションの2種類が存在。感想戦モードと違い制限時間も厳しいものとなっており、エクストラにふさわしい難易度となっている。
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後にアップデートで修正されたが、ミッション開始前の会話がスキップできないためリトライが非常に億劫な仕様ともなっていた。
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収集要素が作業的
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どのモードも、一通りのプレイを終えてしまえば難易度変化や別モードなどはない。各モードのボリューム自体は一定の水準に達しているが、デカールや乗員といった収集要素の数がミッション数より大幅に多いため、コンプリートを目指す場合は同じシチュエーションを何度もこなさなければならない。
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無印版の扱い
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リリースから1年しか経過していないにもかかわらずSwitchで完全版が発売され、無印版で追加要素を反映するには3,500円の有料DLCが必要になるという顛末はPS4ユーザーから非難の声が大きかった。
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「戦車道祭」は「争奪戦モード」の発展型で、他の追加要素はキャラクターモデル等の追加がほとんどのため、DLCの有無で全体のボリュームに大きな差が生じるわけではない。ただ、キャラの個性が重視される作品であるゆえ、プレイヤーキャラが20以上も未実装となると無印版ユーザーから反発が起こるのは必然であったと言える。
総評
前作から数年の時を経て、キャラゲー部分でもゲーム部分でも大きく進化。戦略性のある戦車ゲームとしてもそれなりに楽しめる作品となっており、マルチタイトル化に至るなど高く評価された。
PS4版が発売から6年以上経過した2024年4月現在でも、夜間であればほぼ毎日10人でのオンライン対戦が成立しているのもその証だろう。
先発のPS4版は販売条件の面でやや不遇ではあるが、『劇場版』と『最終章』の幕間の出来事を扱った本作はファンにも十分お勧めできる。
最終更新:2024年04月23日 21:48