「ま…真宵ちゃん…見つけた!」
「…なるほどくん…」

真宵ちゃんはそんなに遠くまで進んでおらず、すぐに見つかった。
真宵ちゃんはライブステージの近くに居た。
例のパレードがあるかららだろうか、ステージでは従業員がせわしなく準備をしていた。

「…とにかくさ…此処は人が多いから、違う場所に移動しよう…」
「…あのさ…なるほどくん…」
「何?」
「…あたし…いまいち状況が飲み込めないんだけど…」
「まぁ…それも、後で話すよ…」

ぼくは真宵ちゃんとはぐれないように手を繋いで、人気の少ない場所を探した。
しばらく歩くと、ミラーハウスが見えて来た。
他の場所は美しくライトアップされているが、ミラーハウス周辺の照明は全て切られたままで演出以上の不気味さがあった。
人も極端に少なく、賑やかな声は他のエリアからしか聞こえなかった。

真宵ちゃんもこのミラーハウスの不自然さに気が付いて居るのだろう。
不安そうに辺りを見回し、ぼくの腕に絡み付いて来た。
…真宵ちゃんの柔らかな体…胸が、ぼくの腕に当たり…ごくりと唾を飲み込んだ。

「な…なるほどくん…人が少なすぎるよ…」
「そ、そうだね…けど午前中ミラーハウスに入った時は、特におかしい所なんて無かったのになぁ…」
「見て見て!入り口に黄色いテープが貼ってあるよ!!」
「…本当だ…あれってまさか…」

近づいて確認してみると、黄色いテープには「KEEP OUT」と書かれてあった。
コレが何か考えるまでも無かった。ぼくと真宵ちゃんにとって、よく見慣れたものだったから。

「…じ、事件が起こったんだね…」
「…ミラーハウスに入ったのが遅かったら…なるほどくん、巻き込まれてたかもね…」
「…そんな事ない…て否定できないのが悲しいよ…」

「なるほどくん…とにかくさ…此処は不気味だし…捜査の邪魔になるといけないから、他の場所に行こうよ…」
「え…けど、捜査してるなら入り口に警察の人が居るはずだし…誰も居ないみたいだから、今日の捜査は終わったんじゃないかな?」
「…ま、まぁそうかもしれないけど…なるほどくん…まさか中に入りたいの??」
「ま、まさか!…ぼくは事件現場を散歩する趣味は無いよ…ただ…」
「ただ…?」

「ここだったら…2人っきりだよ…ね?」
「!?…なるほどくん…なんだか嬉しそうだよ?」
「…そんな事…あるさ!………さ、真宵ちゃん…あっちの茂みに行こうか…」
「ふええええ!!!!???…な、ななななんでこうなるの~??」

ぼくは嫌がる真宵ちゃんを引っ張り、ミラーハウスの奥にある茂みの中に入って行った…。
真宵ちゃんはまだ諦めていない様で、逃げ出す機会を伺っているようだった。

「もう…諦めなよ…真宵ちゃん…」
「うう…腕放してよ…」

ぼくは、そっと真宵ちゃんを抱きしめた。
真宵ちゃんは驚いて小さく声を上げ少し抵抗したが、ぼくの腕の中に納まったら大人しくなった…。

「…真宵ちゃんが最近元気ないから心配してるって…春美ちゃんがさっき話してくれたんだ…
それでね…ぼくも、真宵ちゃんの力になりたいって思って…ここだったら2人きりで話が出来るでしょ?」
「…そ…そんな…はみちゃん…あたし、まだまだ全然頑張れるのに…」
「…そういう意味で言ったわけじゃないよ」
「ただ…こうやって、力の抜ける場所が、真宵ちゃんにも必要だって…そう言いたかったんだよ」
「……はみちゃん…」

ぼくは耳元でそっと、真宵ちゃんに囁いた。
ぼくには霊力なんて特殊な力は無いけれど、真宵ちゃんの肩に掛かる全ての負担を取り除く事ができるように、
ゆっくりと屈んで、真宵ちゃんを優しく守るように、ぼくは真宵ちゃんを包み込んだ。

「大丈夫だよ…真宵ちゃん…此処にはぼくと真宵ちゃんしか居ないから、ゆっくり力を抜いてごらん…」
「な、なるほどくん…」

真宵ちゃんの肩の力が徐々に抜けていく。
真宵ちゃんはぼくのスーツを握り、大きく息を吐いた。

「…なるほどくん…はみちゃん…」
「…うん?…」
「あたしは…世界一の幸せ者だよ…あたしの事をこんなに想ってくれている人が居るなんて……
なのに…あたしさっき…我侭言って…なるほどくん…あたしの事を考えて言ってくれてたのに…」
「…もういいよ…」
「あたし…もっと…大人になる…お姉ちゃんみたいな…しっかりした大人になる…」
「………真宵ちゃん…」

真宵ちゃんは顔をあげた。
…互いに視線を外す事なく顔は近づいて行き・・・唇を重ねた。

そしてぼく達はあの時の続きを再開した。

「はん…ん…ふ…なる…ほ…どくん…はぁ…」
「…んん…はふ…はぁ…」

荒い息遣いと共に、段々と濃厚になっていく行為…。
真宵ちゃんの背中に回していた手を動かす。
さらに深く逃がさない様に、真宵ちゃんの頭を両手で掴んだ。
絡み合う舌と…唾液を共有しながら…ぼく達は求め合った。

このまま終わりが無い様に思えた行為だったが、
この行為でぼくの男の部分が刺激されて行く事に気が付き、ぼくは真宵ちゃんの口から舌を抜いた。
真宵ちゃんの顔は、日ごろ見る幼い少女から女の表情に変化しつつあった。

「…はう…」
「…っ…はぁ…ま、真宵ちゃん……続き…して…いい??」
「つ、つづき…?」

真宵ちゃんは、意識が朦朧としている様で、ぼくの言葉をオウム返しした。
ぼくは真宵ちゃんをその場に座らせた。
綺麗に整えられた芝生の上だったが、それでも彼女の装束を汚してしまってはいけないので、
スーツを脱いで真宵ちゃんが横になるであろう場所に敷いた。

「…続き…だよ…」
「な、なるほど…くん??」

ぼくは真宵ちゃんの肩を掴み、ゆっくりと押し倒した。
さすがの真宵ちゃんでも、これからぼくが行おうとしている行為に気が付いたみたいだった。
慌てて体を起そうとするが、ぼくは掴んだ肩に力を入れ、離さなかった。

「…気が付くのが…遅いよ…真宵ちゃん?」
「…ま、ままま、まさか…こ、こんな場所で…!?…そんな事、ないよね…??」
「…するって言ったら?」
「だ、駄目!だめだめだめだめだめだめええええ!!!…ここ…どこか分ってるの!?
…あ、あたし…まだ心の準備とか…そ、そうだよ…準備!…準備出来てない!!」
「…バンドーランドに、ゴム売ってないのかなぁ…先端がタイホ君の頭みたいに三つ又になってるような…」
「…そんなの遊園地に売ってるわけ無いでしょ!!!とにかく…せめて…場所…変えようよ…」
「…真宵ちゃん…」
「な、何?」

ぼくは眼光を鋭くし、真宵ちゃんを捕らえた。
この雰囲気に覚えがあった…。
証言の矛盾を見つけ、犯人を追い詰める様な…まるで法廷に居る気分だ。アップテンポな追求のメロディーが脳内で再生される。
ぼくは真宵ちゃんの証言に矛盾を突きつけ、一気に攻める。

「今、何時だと思う?」
「…ふえ??」
「この音に気が付かない?」
「音…?」

ぼくと真宵ちゃんが黙ると、遠くから軽やかなメロディーと花火の音が聞こえた。

「…ま…まさか…!!も、もう8時なの!?」
「そうみたいだね…」
「…けど、い、今からなら…せめてホテルにでも…」
「異議あり!」
「!?」
「真宵ちゃん…明日の予定は?」
「…あ…あした!?…明日は、倉院で…あぁ!」
「今からホテルを探して、そこからまた改めてしたら…帰りの電車なくなちまうぞ…?」
「ひゃう!…け、けど、またの機会に…」
「…またの機会がいつか分らないって言ってたのは…誰だよ!」
「きゃわっ!!…じゃ…じゃぁ…」
「それに…春美ちゃんを置いて来てるじゃないか…
諦めるんだ…真宵ちゃん…… 
もうぼく達には、此処以外でする場所も時間も無いんだっ!!!!」

「き、きゃわあああああああああああ!!!!!」


…真宵ちゃんの証言は、あっけなく崩れた。
ぼくはそのまま勢いに乗って、真宵ちゃんの耳元に顔を近づけ、囁いた。
…吐息が掛かるように。

「続き…しても…いい?」
「はうう…だ…だめ…」
「大丈夫…中には出さないから…」
「そ…そういう…問題じゃ…はうう…」

ぼくは真宵ちゃんの耳に舌を這わせる。
ぼくを押しのけようとする手を掴み、真宵ちゃんの身体に覆いかぶさる。
がっちりと真宵ちゃんの身体を固定し、ぼくの昂った身体の一部を、真宵ちゃんに確認させるようにこすり付ける。

「…!!…な、なるほどく…ひゃう…」
「分るでしょ…真宵ちゃん?…ん…もう…限界なんだ…」
「で…でも…はうう…や…はああん…」

ぴちゃぴちゃといやらしい音をわざと立てながら、真宵ちゃんの耳を執拗に嘗め回した。
真宵ちゃんの反応は、想像以上にいやらしく、面白いぐらい過敏に答えた。
びくびくと震える真宵ちゃんを見ると、それだけで更に自身が張りつめて行くのが分った。

「は…はう…はぁ…はぁ…」
「真宵ちゃん…可愛いよ…」
「…な…なるほ…はうう…も…もう…だめ…」

そろそろ落ちる頃か…そう思った時、真宵ちゃんの身体の力が抜けて行くのが分った。
ぼくは耳から顔を離し、正面から真宵ちゃんを見た。
真宵ちゃんの目は先ほどのキスの後と同様に、女の顔になっていた。

「…なるほど…くん…」
「何?」

「…好きって…言って?」
「…真宵ちゃん…」
「私、なるほどくんの事大好きだよ…だから…言って?そしたら、いいよ…」
「…………ぼくも好きだよ…真宵ちゃん…」

言葉にして想いを伝えたのはこれが初めてだった。
一緒に笑い合い、互いに助け合いながら困難を乗り越えて行く事で、ぼく達の距離は自然と縮まっていった。
あまりにも近くなり過ぎて今更の様な気がしていたけれど、言葉として伝え合う事で、曖昧だったぼく達の関係が明確になった。

ぼくはそっと真宵ちゃんの頭を撫でて、ちょんまげに結わえてある髪飾りを外した。
手の中を滑るようにさらさらと流れていく、黒く艶のある長い髪。
その感触を楽しんだ後、手に残る髪にそっと口付けをした。
ささやかなお香の香りが、鼻腔に広がった。

段々と高まっていく意識のせいで、ぼくは呼吸が荒くなり息苦しくなって来た。
荒っぽくネクタイを緩めて、シャツのボタンを上から2つだけ外した。
「ほう」っと熱い息が、ぼくの口から零れた。

ぼくは再び真宵ちゃんに触れる。
装束の裾から手を入れて、下着を下ろす…。
すると急に真宵ちゃんが慌ててぼくの手の動きを止めようとした。

「ま!まままま!!!待って!!」
「ど、どうしたの!?…恥ずかしい??」
「う・・・そ、それも…あるんだけど…その…」
「?」
「…まん…の…」
「え!!??」

さっきまでの官能的な雰囲気を、木っ端微塵にぶち壊す単語が聞こえ、ぼくは耳を疑った。
あの聞きなれてしまった嫌に明るいテーマ曲が聞こえる気がした…。

「きょ…今日、と…とのさまんOTTOの…パンツなの…」
「な、なんだってええええ!!!???」

ぼくは素っ頓狂な声を出した。
ここまで互いに息を殺しながら求め合っていた努力が無駄になる程の大声だった…。
ど、どうして…ぼく達は、こんな時にまで…。
真宵ちゃんは今までとは違う事情で恥じらい、顔を真っ赤にした…。

「…どうして…はいて来たの?」
「ううう…」
「…ま、まぁ…その時は…まさか真宵ちゃんのパンツを見る事になるとは思わなかったしな…」
「うう…だ…だって…」

真宵ちゃんはおずおずと口を開いた。
顔を恥じらいで赤らめ、瞳を潤ませこちらを見る姿は、さながら初々しく自分の想いを告白している様だった。
告白内容が、とのさまんパンツを選んだ理由についてなのが…非常に残念だと、ぼくは心底思った。

「…なるほどくんに会えるから…」
「!?」
「・・・な・・・なるほどくんに久しぶりに会えるから・・・気合入れて・・・お気に入りのを…はいて来たの…」

…とのさまんパンツでなければ!…とのさまんでなければっ…!!…ぼくは心底思った。

「うう…あたし・・・・・・」
「……………とのさまんでも構わないよ…いやほんと・・・」
「ううう…」
「真宵ちゃんは真宵ちゃんのままでいいよ…」

ぼくは、真宵ちゃんの全てを受け入れる事にした。…投げやりと言うのかもしれないが。

仕切りなおしと、このふざけた雰囲気を切り替える為にぼくは咳払いをした。
そしてぼくは改めて真宵ちゃんのお気に入りらしい下着を脱がした…。真宵ちゃんは諦めたようだった。

ぼくと真宵ちゃんは微笑み合い、再び唇を重ねる…。
まるでこれから始める行為を確認し合うかの様だった。

ぼくは真宵ちゃんの首筋に齧り付きながら、装束の帯を解いた。
真宵ちゃんの呼吸が徐々に荒く、熱っぽいものに変わっていく…。
おくみを開いて、装束の中に両手を滑り込ませた。
ぼくの手のひらに、やわらかい胸の感触が直に伝わった。下着は着けていないようだ。

「はううう…だめ…あんまり触らないで…」
「どうして…?」
「…そんなに大きく…寧ろ小さ…い…から…」

やはり真宵ちゃんの身体付きはスレンダーなものだった。
真宵ちゃんは大雑把な性格だが、やはり年相応の女の子らしいコンプレックスは抱いているようだった。
ぼくは身体を起し、真宵ちゃんの肌蹴た装束から覗く身体に視線を移した。

暗闇で浮き上がる様に白くきめ細かな肌、ぼくの手によって変形してしまった控えめな乳房、
さっきまで掴んでいた肩幅はとても狭く、ぼくの肩幅の半分程しかなかった。
あんなに食べてるのにそれが肉付きには繋がっていない様で、少しだが皮膚越しに肋骨が浮いて見えた。
くびれのしなやかな曲線は、細い彼女の身体を強調する様でとても扇情的だ。
腰骨も小さく、太股の内側からぼくの青いスーツが見えた。

真宵ちゃんの身体は、華奢という言葉をそのまま表した様だった。
身体つきに幼さが見え隠れするのは、元の小柄さによるものだろう。

「…真宵ちゃん…小さいね…」
「!?」
「…あ…いや…胸じゃなくって……その…全部…」
「ぜ…全部!?」
「あ…いやいや…その…なんて言うか…」

真宵ちゃんのこの華奢な体に、ぼくの太く張りつめた性器を挿入出来るのか…正直なところ心配になった。
激しく出し入れして、奥まで突き上げて…壊れやしないだろうか…。
真宵ちゃんは小柄な方だと思っていたが…ぼくは自分の都合ばかりで真宵ちゃんの身体の事をちゃんと考えて居なかった…。

…しかし…真宵ちゃんの身体を見て、先ほどとは180度違う別の感情が湧き上がる。
それはさっきまでの事情によって昂った身体から来るものだと分った。

「真宵ちゃん…ごめん…」
「ふえ…ひゃ!?…はうっ…ん…」

ぼくは真宵ちゃんの胸にしゃぶり付いた。
ぼくの身体の奥底から黒い感情が沸き起こる…。

幼さの残る細い身体を無茶苦茶に犯し…壊していまえ…男を知らない無垢な体を汚してしまえ…。

それは男が個々にして抱く、征服欲だった。

最終更新:2020年06月09日 17:55