kairakunoza @ ウィキ

バイト先の彼女

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匿名ユーザー

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突然だが俺は恋をしている。
俺が誰かだと?そんなことは些細なこと。今深く語る必要はない。

…まぁ強いて言えば、ごく一般的な高校生だ。コスプレ喫茶でバイトしていることを除けばの話だが。
コスプレ喫茶と言っても究極的には喫茶店であり、男の俺が働いていても問題はない。別にコスプレするわけじゃなし。

本題に戻ろう。俺は同じバイト先に勤めている「彼女」に、恋をしてしまったわけで。

「コナタ、これはドコのテーブルですカ?」
「あぁ、それは3番。手が空いたら6番にオーダー取りに行って~」
「OK、了解デース!」

栗色のショートヘア、透き通るような青色の瞳、天真爛漫な性格。

俺は彼女、パトリシア・マーティンに、恋をしてしまった。

「オゥ、それは本当デスか!?」
「ごめんよパティ~。明日はかがみたちと遊ぶ約束があるんだったよ~」

仕事が終わり、つかの間のくつろぎを享受している俺の耳には、そのような会話が流れ込んできていた。

「それじゃあ明日ワタシはどうすればイイのデスか!」
「ほんとにごめん!別の日じゃダメ?」
「ダメデス!一流のオタクである以上、発売日に店頭でモノを買うのは至極当然なのデス!特典ゲットデス!」

異様に流暢な日本語を聞きながら、オタクに一流も二流もあるのかね、とか考えた。

「んむぅ~…。ならば別の人を誘って行ったら?ひよりんとか?あ、ゆーちゃんは?」
「ヒヨリは原稿がヤバイと言ってマシたし、ユタカは、休日くらいちゃんと休ませてあげたいデス。」
「そか…一人で行くってのは?」
「オンリーガールでショッピングはベリー寂しいデス!!」

ああ、そういう話か。

「うぐぅ…ならばどうしたものやら。…お?」

いかん、泉先輩がこっちを見ている。めっちゃ見てる。いや待て落ち着け、本当に俺を見ているのか?俺の後ろの誰かを見ているのでは?
って俺の後ろ壁だぜおい。そして近づいてきたよ泉先輩。すげーニヤニヤしてる、嫌な予感しかしねぇ。

「そういうわけさ。」

どういうわけだ。聞いてたのバレバレってことですか?

「パティの買い物、付き合ってあげてくれない?」

なんと驚き、過程を吹っ飛ばしていきなりデートのチャンスが舞い込んできたではないか。

「どうせ暇なんでしょ~、モテない学生君♪」

本当のことだがモテないとは失礼な。自分だって浮いた話無いくせに、と思ったが、さすがに黙っておいた。

「いや、まぁ、暇ですけど、そこはほら、本人に聞いてみないと。」
「本人が良ければいいんだね?」
「…はぁ、まあ、別に構いませんが。」

願っても無いチャンスですから!なんて言えない。

「決まり!パティ!一緒に行ってくれるってさ!」
「本人が首を縦に振らない限り決まってませんって。」

ここでその本人に嫌な顔でもされたら、俺のハートは粉々に砕け散り、この恋は瞬時に風化してしまっていただろうが、

「オーゥ、ホントデスか!?一緒に行ってくれるんデスか!?」

彼女は嫌な素振り一つせず、むしろ欲しいものが手に入った子供のように目をキラキラ輝かせていた。

「えっ、ホントにいいの?俺なんかで。」
「オフコース!いつもお世話になっているお礼がデキマスね!オタクのいろはを叩き込んでさしあげマスヨ!」

半分嬉しく、半分迷惑。

「デハ、予定を送りたいノデ、一応メールアドレスを教えてくれマスカ?」

メルアドまでゲットしちゃったよおい。横で泉先輩がニヤニヤしてるけど、そんなこと最早どうでもいい。
心臓の鼓動が加速していくのを感じつつ、さくっとアドレス交換をした。

「OKセンキュー!それじゃ明日、ヨロシクお願いしマスネ!デハ!」
「あ、うん、お疲れ様。」
「うふふふふふふ…またに~。」

何を笑っているんだこの先輩は?ぴこぴこ動くアホ毛が微妙にうっとうしく感じてきた。

「いや~よかったじゃん。デートの約束できて、メルアドまでわかっちゃって…。」
「ででででデートって、別にそういうアレではないでしょう!」
「いやいや、もう完全にそういうアレだよ、フラグだよ、個別ルート突入だよ。」
「意味がわかりません。」

この人の友達はいちいちツッコむのに色々大変なんだろうな。

「しかしよかったね、念願叶って。」
「…念願って、どういうことですか。」
「ん?好きなんじゃないの?パティのこと?」

今、この人、なんて言った?
なるほど、要するに、バレてたのね?
…って、マジですか!!俺の心の内はこの人にはお見通しだったってことですか!?

「なななななんの話でショウカ?」
「ええい隠すな若人よ。私には隠し事なぞ無駄であろうぞ。」

なんでこんなふざけた人にバレたのか、過去の自分を責めざるを得ない。

「そ、それで、だったら何なんですか。」
「ん?別に。ただ応援してあげよっかなって。」
「応援て。」
「だってさ、パティの事どれくらいわかってる?好きなアニメは?漫画は?食べ物は?スリーサイズは?気になるでしょ?」

確かに何も知らない。気になる。特に最後。

「私はぜ~んぶ知ってるんだよ~。教えてあげてもいいんだケド~」
「けど、何ですか?」
「経過報告。それだけでいいよ。」
「それだけでいいんですね?」
「イエス、マイロード。」
「…わかりました。じゃあ、何卒よろしくお願いします。」

なんか不安だが、背に腹は変えられん。

「ふっふっふ、任せておきたまへ~。とりあえず明日の作戦の要綱を伝えるから、メルアド。」

先程と変わって、この人とのアドレス交換は微妙に不安だ。

「よし、んじゃ夜まで待っててね。」
「…はぁ。」

とりあえず、さっさと帰って服選んだりしなきゃ、と思い、俺はバイト先を後にした。

その夜、風呂から出るとメールが二通届いていた。

一通目はパティから。
『明日は、10時に糟日部駅に集合!よろしく!』
10時ね。8時には起きて支度しないとだな。
とりあえず『了解、よろしくお願いします』と返信しておいた。

二通目は…うわっ、泉先輩か。
『オペレーション・メテオ 作戦要綱』
題名からして絶対楽しんでるなコレ。
以下、パティの目的の品、向かう予定の店についての情報が綴られていた。

その後は、服を選んだり、件のゲームの中身について予習したり。
…なるほど、案外普通のアクションゲームのようだ。男同士がイチャつくような内容だったら大変だったろう。
色々考えていたら携帯が鳴った。って、また泉先輩か!
『一応コンドーム持って行ったら?』
「…ねーよ。」
準備があらかた整ったので、『寝ます』、とだけ返信し、部屋の電気を消した。
緊張して、案の定眠れなかったけども。













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  • 面白いですね! -- チャムチロ (2012-08-26 22:22:09)
  • こなた自重w -- 名無しさん (2009-03-28 21:27:40)
  • 続きを早く! -- 名無しさん (2008-10-24 16:53:04)
  • 続きは実はちょっとだけ書いてるのですが、
    投下するにはあまりにもお粗末な内容に出来上がってしまったため
    現状続きはないのです…サーセンorz -- 19-256 (2007-11-27 22:48:17)
  • ぜひ続きが読みたいな。かなり気になる。 -- 名無しさん (2007-10-28 17:42:44)
  • 無茶なくオリキャラが入っているし内容もGJ
    続きがあればぜひ読みたい -- 名無しさん (2007-10-09 01:56:45)

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