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想いの強さ 第2話

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hakureikehihi

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「はぁ~」
昼休みだというのに、お弁当も食べずに自分の机に項垂れていた。
今日のお弁当当番はつかさだから美味しいはずなのに、手を付ける気にもならない。
「どした、柊?」
八重歯が特徴の陸上部が私を覗き込んでくる。
「ダイエットか?」
違うわよ。
「柊ちゃん、無理なダイエットは逆効果だよ」
傍に来ていた峰岸が心配そうに話しかけてくる。だから違うって。
「そうだよ柊。ダイエットなんかしなくても体動かせば体重は落ちるんだぜ」
どうして私をダイエットキャラに仕立てようとするかな。
「別にダイエットじゃないわよ」
これ以上、教室で『ダイエット』を連呼されても困るから、適当に否定しておく。
「なら飯食おうぜ」
女の子が『めし』とか言うな。
「今日はB組に行かないの?」
峰岸が当然の質問をしてきたけど、今の私にこの話題はきつい。
今朝、こなたと喧嘩してしまったことが脳内で108回はフラッシュバックしている。
おかげで授業に全く集中できなかったわよ。
「今日は、こっちで食べるわ」
「・・・そう」
峰岸の事だから感づいているかな?
「今日のオカズはミートボールだってヴぁ」
日下部の事だからミートボールしか頭にないんだろうな。
お昼を食べている時も午後の授業も帰りのHRも、ずっとこなたの怒った顔がリピートしていた。
そういえば、こなたがあんなに怒ったの、初めてかな?
時間が経つにつれて冷静になってくる頭と反比例して、自分が言ってしまった事への後悔が津波の如く押し寄せてくる。
「何であんな事、言ってしまったのかしら」

色々と考え、悩み、悔んだ挙句、出た結論は至極当然の判断。
「よし、謝ろう!」
とは言っても、どんな顔して謝ればいいのかしら。
怒った顔? 笑った顔? 泣いた顔? 無表情? 渋い顔で『自分、不器用ですから』。
だから無理にボケに走らなくてもいいわよ。
「はあ~」
今日、何回目か分からない溜息が出た。
「とりあえず、B組に行ってみようかな」
人の気配が疎らなB組の教室に入ると、見慣れた黄色いリボンの妹と、ピンクのロングヘアーの女の子が、何やら話し込んでいた。
「・・・お姉ちゃん」
「つかさ、こなたは?」
「先に帰っちゃった」
「・・・そっか」
残念なような安心したような・・・安心?
ちょっと待って。こなたが居なくて安心するってどういう事よ。
こなたはとても大切な親友なんだから。そのこなたが居なくて安心するなんて・・・
「あの・・・かがみさん」
みゆきが、心配そうに私を呼んでくる。いけない、黙り込んでた。
「なに?」
「つかささんから聞いたのですが、泉さんと喧嘩をなさったと」
当然の話題よね。
「まあ、喧嘩というか。私が一方的に怒ったみたいなものだけど・・・」
俯いた私の気持ちを優しく包むように、みゆきが私の背中に手を廻して支えてくれた。
その姿を見ていると『お母さん』と言ってみたくなるわね。
本人は嫌がるだろうから言わないけど。
「かがみさんは、どうしたいのですか?」
私?わたしは
「謝って、こなたと仲直りしたい。そして、普段通りこなたが馬鹿な事を言って私がツッコんで、
つかさがボケボケぶりを発揮して、みゆきの良い笑顔が見れて」
叶うなら、皆で楽しく誕生日を迎えたい。
「私、ボケボケ?」
あんたはボケボケでしょうが。
『でも、無理かな?』と思ってしまっている私が居る。あんな事を言った私を許してくれるかな?
「かがみさん。どんなに解り合った相手でも言葉にしなければ伝わらない時もあります」
「それでも、伝わらなかったら?」
「大丈夫です。かがみさんの想いでしたら、必ず届きます」
にこりと笑うみゆきを見て『本当に良い笑顔だなぁ』と、ときめいてしまった私は大分毒されていると自覚した。













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