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いっしょにつくろう!

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きっかけは何てことないことだった。
夕食を何にするか、悩みながら近所のスーパーで食材を選んでいた。
天ぷらにでもするか、いや、待て、小麦粉のストックあったっけ?
とふらりと小麦粉類がおいてあるコーナーに向かった。
まだあったかもしれないけど、まあ腐るものでもないし。
と小麦粉の袋をひょいと持ち上げた。
袋の裏側が目に入った。
「うどんの作り方」
うどん?ああ、そうか、小麦粉を練ったらうどんになるなぁ。
何か閃いた。
今度、こなたと一緒にうどんでも作るか。喜んでくれるかなぁ?
それに自分で打ったうどんって結構うまそうだもんな。
よし。今日の今日は無理だけど、これ買って行って今度うどん作ろう。

291 名前:いっしょにつくろう![sage] 投稿日:2007/12/19(水) 22:30:04 ID:T4cgZLGF
そうと決めてから、書店に行き、「おいしい手打ちうどん」なんて本を買い、ホームセンターで麺棒やら捏ね鉢やらを買い準備は万端。
やはり形から入ってしまうのが性分ってやつか・・・と一人苦笑。
夕食の天ぷらを作りながら、幼稚園から帰ってきたこなたに話しかける。
なあ、こなた。今度お父さんと一緒にうどん作ろうか?
「うん。うどん大好きだから、一緒に作るぅ~。いつ作るの?今?すぐ?」
いやいや、今度だよ。今度の土曜日、幼稚園終わってから一緒につくろうか?
「うん。いーよー!どようび、ようちえんおわってからつくる~。うどん~うどん~」
何か、かなり喜んでるし、とりあえず頑張るか。

「ただいま~!おとーさーん!うどんつくろー!」
こなたは帰ってくるや否や幼稚園のかばんも放り出して駆け寄ってくる。
おう!早速作るか!
「おー!」
とこなたと共に台所でうどんを作り始めることにする。
と言ってももう材料やら道具やらはきちんと準備してある。
小麦粉の袋を開けて、正確にグラムを量る。
二人分だから200グラムでいいか。でそれを捏ね鉢に入れると。
そして塩を10グラム、水を90グラム。
塩と水を溶かして、そのうちの92グラムだけ使うのか。
「わたしもやりたい~!」
ああ、ちょっと待っててね。今すぐやらせてあげるから。
捏ね鉢に塩水を少しずついれて粉とあわせると。
「わたしも~。」
いいよ。一緒にまぜまぜしよう。
こなたも捏ね鉢に小さな手を入れて混ぜている。すごく嬉しそうだ。
塩水を徐々に入れていきながら全体に万遍なく水が行き渡るように混ぜると。
しかし、ちっとも水が行き渡っている気がしないが、大丈夫なのか?
ぼそぼそし過ぎのような気がするんだが・・・。
まあ、いいか、細かいことは気にしないことにしよう。
それより、こなたが本当に楽しそうなのが嬉しい。
「おとーさん、たのしーね~!」
こいつにしてみれば、粘土遊びか泥団子か何かみたいなんだろうな。
でも確かにこの作業は大人にしても楽しかったりするな。

うーん。塩水を規定量投入してもまだぼそぼそしてるな。
本当に大丈夫なんだろうか。ちょっと不安だが、まあいいか。
よーし!こなた!今度はこれをビニール袋に入れて踏むぞ!
「ほんとに~?これをふむの?」
そうそう。ビニール袋に入れるから大丈夫だよ。
厚手のビニール袋に入れて、ぼそぼその粉の塊をまとめながら踏む。
「わたしもふむ~!」
よーし、踏んでみろ!
こなたが小さな体で一生懸命踏む。踏んでいるうちに何故かぐるぐる回ってしまうのが可笑しい。
しばらく踏んで広がったら折りたたんでまた踏む。
こなたと交代でずんずんと塊を踏んでいるうちにぼそぼそがしっとりとしてきた。
おお、本当にうどんらしくなってきたなぁ。
「そうだね~。うどんらしくなってきたね~。」
ふたりで顔を見合わせて笑う。

しばらくうどんの塊を寝かせることとマニュアル本には書いてあった。
まあ2時間も寝かせりゃ十分らしい。
その間、ふたりで昼寝をすることにした。
うどんもオレたちも仲良く昼寝して、再びうどんを踏む。
それからテーブルを綺麗に拭いて、麺棒を使って伸ばすらしい。
かなり力が要る作業だ。
「わたしもやる~!」
ちょっと待って、これ力いるし・・・て、そうか。
こなたに塊の一部を少しだけちぎって渡す。麺棒の代わりにスリコギを渡す。
これでこなたも一緒に出来るね。
「うん、わたしこれでうどんつくる~っ。」
大喜びで小さな手でスリコギを使って小さな塊を延ばしている。
こうやって嬉しそうな顔を見ると、一緒にやってよかったなと心から思う。
まだまだ包丁を使わせたり、火を使わせたりするには早いけど、こうやって簡単なものでも作らせてみるのはいいかもな。
こなたもかなたのように料理が得意になってくれると嬉しいな。
「お父さん、ご飯できたよ~。今日のはちょっと自信作だよ~」
なんて将来作ってくれるかな。
って、妄想に耽ってるうちにいい感じに延ばせたな。

よーし、こなた、次はいよいよ、うどんを切るぞ。
「え~、まだもっとごろごろしたい~。」
ふふん。これからがうどんのラストスパートだぞ。これからはもっと楽しいぞ!
「そーなの?」
そーなの!
と、いうわけで延ばした塊を折りたたみ、四センチ幅ぐらいで切った。
うどんはふとめのものがうまいからな。
こなたが延ばしてた塊も切ってあげた。
さあ、茹でるぞ!
鍋にたっぷりの湯を沸かし、切りたてのうどんを投入。
こなたもいすを持ち出し、うどんが茹で上がる様子を興味深そうに眺めている。
「うどん、お鍋の中でぐるぐるしてるね。」
してるね~。

10分も茹でて適当なところでうどんをざるにあげ、よく洗う。
ぴかぴかと綺麗に光っている。
せっかくだから、ざるうどんにして食べようか?
「うん。ざるうどん、だいすき~。」
大きな鉢に洗ったうどんを盛り付けて、めんつゆを用意。
薬味も適当に準備して、さあ!期待のうどんだ!

「いっただきまーす!!!!」

二人してうどんをすする。
?!
なんだ、こりゃ?
なんというか、コシがない。全然ない。
それにしっかり茹で上がっていないところがある。おかしい。
慌てて、マニュアル本を読み返す。
茹で時間を勘違いしていた!!
「12分~13分が標準で太くした場合はもっとかかる。」
いかん。全然駄目だ。せっかく作ったのにこれじゃあ・・・。
もったいないが、捨てるしかないか。

なあ、こなた・・・
「おとーさん!おいしーね~。」
ふっとこなたを見ると、嬉しそうにうどんをすすっている。
「いっしょにつくったうどんは、いつもよりずっとおいしーね~。」
本当に嬉しそうに笑顔で食べている。
そう・・だね。
「そうだよ。いつものよりずっとずっとおいしーよ。」
そう・・だね。おいしー・・・ね。

自分で作った贔屓目を入れても安い白玉うどんの方がよっぽどうまいと思う。
コシがないくせに、少し粉っぽいうどん。
でも娘は、こなたは、こんなに喜んで食べてくれる。
おいしい、おいしいと食べてくれる。

そうか、こうやって一緒に作って、一緒に食べるっておいしいんだね。
「そだよ。」
そう・・・だよね。
「どうしたの?おとーさん。ないてるの?どっかいたいの?」
いや、なんでもない・・・。なんでもない。
「だいじょーぶ?おとーさん?」
大丈夫、大丈夫、ちょっとワサビがツーンときただけだよ。
結局、ふたりで「おいしーうどん」を全部食べきった。

以来、こなたは事あるたびに
「うどん、つくろーよー」
とうどん作りをせがむようになった。
まあ、オレも以来うどん作りの本やらテレビ番組やらを熱心に見て、徐々にコツをつかんでいったし、それなりに上達はしていったと思う。
また二人で一緒にいろいろと料理をつくるようにもなった。
カレーやらハンバーグやらそれこそ簡単なものばかりだが、一緒に作って一緒に食べるってのはやっぱり楽しいし、「おいしー」のだなと思う。

そんなこんなで「おいしーうどん」を初めて作ってから半年もたったころ、季節は冬になっていた。
こなたも幼稚園でクリスマスなんてものを聞いてきて、サンタさんがやってくるのを楽しみにしているようだ。
ウチでもクリスマスパーティなんてものをやるか。
ケーキは買ってくるしかないけど、何か料理を二人で作って楽しくやるか。
しかし何を作ったものかねえ、あんまり凝ったものなんてオレも無理だしな。
うどんも楽しいけど、さすがにクリスマスにはねえ・・・。

そんなとき、オレはホームセンターでいいものを見つけた。
今年のクリスマスは、コレでアレを作ろう。
さすがにケーキやらを作ることは出来ないけど、アレなら比較的簡単にできそうだし。
クリスマスに関係あるような関係ないような料理だけど、でもまあコレはコレで楽しそうだしな。
オレは急いでレジを済ますと家に帰った。

「あ、おとーさん、おかえり~。あ、それなに?かってきたの?おみやげ?」
そう、おみやげ!もうすぐクリスマスだろ。クリスマスの準備のために買ってきたんだよ。
「なになに?みたいみたい!あけていい?あけていい?」
いいよー。開けてごらん。
こなたが買ってきた箱を必死に開ける。
「なにこれ?なにするものなの?」
ふふん!これはね、パスタマシンっていうんだよ。
「パスタマシン?なにそれ?」
スパゲッティを作る機械なんだよ。ここにパスタの塊を入れてグルグルってやるとスパゲッティが出来るんだよ。
「へー!すっごいね~!」
そう、クリスマスにはパスタは欠かせないだろ。
「そうなの?」
そうなの!また一緒に「おいしースパゲッティ」を作ろうね。
「うん。いっしょに「おいしースパゲッティ」つくろうね」

おわり












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  • ↓ちょwww -- 名無しさん (2009-01-13 08:59:11)
  • ↓ざんねん ! 作品が たりない ! -- 名無しさん (2008-11-03 21:04:14)
  • あ~なんかすごくほのぼのしてていいなぁ…
    欲を言えばかなたさんをもう少し絡ませて欲しかったかも…

    >うどんを踏んでるうちになぜか回転
    この描写は幼児らしさとうどん作りの楽しさ、そうじろう(親)の微笑ましさが出ていて激しくGJ!!
    氏の他の作品も読んできますね! -- 名無しさん (2008-04-09 00:29:54)

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