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二人よりも、三人よりも

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 終業式も終わり、あまり嬉しくもないクリスマスプレゼントをもらって些か凹み気味だったこなたはいつものようにかがみ達と帰路を共にしていた。
 4人でお喋りをしながらバス停で待っていると、ふと思い出したようにつかさが口を開いた。
「そう言えばこなちゃん。去年の冬休み明けの話なんだけど、パスタとかピザとかおうちで作るんだよね?」
「そーだよ。今年もそろそろ引っ張り出して洗わないとなー。んでも、それがどうかしたの?」
「あのね。よかったら見せてもらいたいな~、なんて。ダメかな?」
「全然おっけーだよ。いつ来る?あ、でも年内は忙しいかな?」
「うーん、どうだろ。うちの手伝いもあるし……」
「ま、ご近所への挨拶とか神社関係の連絡なんかはお父さん達がやるだろうけどね。でもうちの神社の年末年始の手伝いはしなきゃいけないからいつでもって訳にはいかないんじゃない?」
「って言うか、私も年末は忙しいんだけどね。大掃除とかお祭りもあるし。」
「それなら先に言いなさいよ!」
「まぁまぁ。じゃあ年明けの方がいいね。そうだ、みゆきさんもどう?」
「私は構いませんよ。私もどういう風に作るのか興味ありますし。」
「で、かがみは……一緒に作ってみる?それとも食べる専門かなー?」
「あ、いいね。お姉ちゃんも一緒にやろうよ。みんなでやったらきっと楽しいよ?」
「つ、つかさがそう言うならやってもいいけど……って、二人とも少しは受験生の自覚はあるのか?この時期はそんな事やってる余裕はあまりないでしょうに。」
「ふ~ん。じゃあかがみは来ないんだ?せっかく思い出作りになると思ったのに……そうだよね、受験勉強があるんじゃ仕方ないよ。無理言ってゴメン。」
「だ、誰も行かないなんて言ってないでしょ!たまには息抜きも必要だし。ただ自覚を持ちなさいって言ってるだけよ!私も行くわよ。す、少しは興味もあるし……」
「相変わらずのツンデレだねぇ、かがみんや?まぁ私はともかくつかさの場合は勉強の一環だと思うけど?調理師目指すなら、色々見たいだろうしね。」
「わ、わかってるわよ、そんなの!それとツンデレゆーな!」
「お、お姉ちゃん。周りのみんなが見てるってば。」
「ふふっ。泉さんはこう言ってますが、皆で集まるのが楽しみなんですよ。ね?」
「はぅ?あ、いや、それは、その……」
「こなちゃんもお姉ちゃんには素直じゃないよね。最初から一緒にやろうって言えばいいのにね。」
「つ、つかさまで!そんなんじゃないってばー!」
「なんだぁ?私にあれこれ言う割に、自分も人の事言えないじゃない。」
「むぅ、だからそんなんじゃないって言ってるじゃん!」
 そんな風にいつものように騒ぎながら、結局4人とも新学期の始まる前の土曜に集まる事で話はまとまった。日曜ではないのは、こなたが宿題の大掃除……写すとも言う、をしたいと言い出したからだ。ここでまた一騒ぎあったのは言うまでもない事で……

 年が明けて当日。
 朝から泉家に集まった4人は、つかさが作ったというお菓子を食べながら年末年始をどう過ごしたか楽しく報告し合った。
 ちなみに今日ゆたかはみなみ達1年組で新年会兼勉強会である。
「さて。一息ついたところでメインイベントを始めるとしますか。」
「まってました~。今日はよろしくお願いします、こなちゃん先生!」
「な、なんか『先生』なんて呼ばれると変な感じがするね……責任重大な気がしてきたよ。」
 4人で台所に向かうと、そうじろうがパスタマシンや材料を準備して待っていた。
「おじさん、今日はよろしくお願いします。」
 つかさ達が声を掛けるとにこやかに笑いながら、
「いやいや、こういうのは皆でやった方が楽しいからね。いつでも来ていいんだよ。」
「まったく……女の子がいっぱいだからって鼻の下伸ばさないの。」
「なにおぅ。俺は本当にそう思ったから言っただけだぞ?そうやって変な見方をするのはよくないぞ、こなた。」
「はいはい、そういう事にしておいてあげるから。でも、今日は頼りにしてるよ?力仕事もあるしね。」
「どーんと大船に乗ったつもりで任せろ!」
 そんなやり取りの後、4+1人は作業に取り掛かる。
「じゃあまずはお昼用のピザからだよ。まぁ生地を寝かせる時間とかあるから、一緒にパスタ生地も作っちゃうけどね。」
「へー、発酵時間ってそんなに違うんだ?つかさは知ってた?」
「うん、少しは調べてきたから。ピザが1時間くらいだよね、こなちゃん?」
「そーだよ。ピザはそのくらいでいいけど、パスタは3時間くらい掛かるんだ。」
「随分時間が掛かるんですね。私も初めて知りました。」
「1日やそこらでダメにはならないから、ある程度作り置きしておくのもアリだよ。その辺りはまぁ臨機応変に、って感じで。」
「材料は小麦粉とイースト、オリーブオイルでいいんだよね?」
「うん、あとは生地のタイプで分量が変わるけどね。どうせだから薄いのと厚めの両方やっちゃおう。」
「ですが、あまり作りすぎても食べ切れるでしょうか?」
「だーいじょーぶ。お父さんとかがみがいるからモーマンタイだよ。」
「ちょっと待て、それはどういう意味だ?」
「言葉通りデスヨ、かがみ様?って、暴力はんたーい!」
 そう言ってつかさの陰に隠れるこなたをかがみが追いかけ……狭い台所ではあっという間に捕まりほっぺをうにょ~んと引っ張られる。
「うぅ……ひどい目にあったよ。みゆきさん、かがみがいじめるー。」
「ま、まぁまぁお二人ともそのくらいにして。怪我でもしたら大変ですよ?」
「みゆきに泣きつくな。怪我したら自業自得よ。それより何をすればいいのか教えなさいって。」
「材料を混ぜ合わせて捏ねればいいんだよ、お姉ちゃん。ね?」
「そそ。ボウルに入れて少しずつ混ぜ合わせていくだけ。簡単でしょ?」
「その後が大変なんでしょ。まぁいいわ。早速やっちゃいましょう。」

 ……数分後。
「こなちゃん。これ、けっこう、疲れるね……」
「こうやって捏ねると多少は楽だよ。」
「そ、そういうのは先に言いなさいよ……みゆき、パス。」
「はい、かがみさん。ん……確かに、大変ですね。でも泉さんのやり方だと、幾らか楽なようです。」
「どれ、つかさちゃん。おじさんが代わるよ。」
「はい、お願い、します~。」
「やれやれ、二人とも気合が足りないねぇ。私なんかまだまだ行けるよ?」
「初心者なんだから、仕方ないでしょ……」

 さらに数分。つかさとかがみはすでにグッタリとしている……
「ほい、お疲れ様。これを湯せんとかコタツで寝かせれば生地は完成だよ。」
「……明日は筋肉痛になるかも。ねぇこなた。もしかして知ってて今日にした?」
「さすがかがみ様。いい勘してるねぇ。って叩く気力もないとは。よほど疲れたんだね。」
「こなちゃん、お茶でも飲もうよ。このままパスタ生地作りは無理~……」
「ほい、お待たせ。とりあえずコーヒーでいいかな?」
「そう思ってお父さんに頼んでおいて正解だったね。ありがと。」
「あ、おじ様。ありがとうございます。言って下されば手伝いましたのに。」
「はっはっは、お客様にそこまでさせられないって。」
「みゆきは、随分余裕そうね……」
「こなた……ちゃんと教えておいてあげないとかわいそうだろう。自分だって初めての時は大変だっての身を持って知ってるんだから。パスタの方はピザを食べてからの方がいいかな。」
「まーね。ちょっと意地悪しちゃった分、パスタでは私も腕を振るうよ。楽しみにしてていいよ~。」

 ちょっとしたティータイムの後。
「じゃあ生地を小分けにして、薄く延ばしてトッピング。私とみゆきさんで薄いのやるから、つかさとかがみは厚めのお願い。おとーさんはつかさ達を手伝ってあげて?」
「ほいきた。」
「では泉さん、よろしくお願いします。」
「つかさ、おじさん。指示はよろしくお願いします。」
「うーん、なんかいつもと逆だね。お姉ちゃんとゆきちゃんに教えるなんてね。」

「お、お姉ちゃん!ピーマンは乗せないで~~!」
「ねぇねぇ。こっちはシーフードで貝でも乗せようか、みゆきさん?」
「ちょ、おまっ!こなた、知っててやってるな?!」
「オーブンで焼きますからお魚が乗っても大丈夫ですし私は構いませんよ?」
「みゆきまで?!」
「じゃあ俺はパイナップルでも使ってみるかな?」

「さて、じゃあ一枚ずつ焼いていこうかね。まずはつかさ&かがみペアから。」
「うぅ、なんか緊張するね……」
「別にそこまで心配しなくても平気でしょ。むしろオーブンの調節するこなたの方が責任重大なんだしね?」
「うぉ、そーきましたか。さっきの仕返しかな?まぁそんなひどい失敗はしないから安心したまへ~。」

「トッピングから言ったら次は私たちですね。」
「本当にシーフードだよ……貝なんて入れてないわよね?」
「私は入れませんでしたよ。」
「『私は』って何?!みゆき?」
「それじゃーオーブンにれっつごー♪」

「トリは俺のか。一応皆の嫌いなものは使ってないよ。」
「あ、パインが入ってるー。」
「デザートっぽくしてみたよ。お味は出来てからのお楽しみってことで。」

 結局5人もいては3枚では足りず、余った生地で追加2枚を焼いて昼食は終了。
「何だかんだ言って、皆食べたわねぇ。」
「だって皆で作ったんだって思ったら、いつも食べるのより美味しくてついつい、ね?」
「そうですね。それにこうして楽しくお喋りしながらですと、食も進んでしまいますし。」
「いやぁ、食べた食べた。ごちそーさまでした~。んでつかさ、どうだった?」
「え?あ、うん。楽しかったし勉強になったよ。捏ねるのが大変だったけど、思ってたより簡単なんだね。」
「でしょ。あと慣れちゃえば捏ねるのも楽になるしね。何よりトッピング次第だけど経済的なんだよ、手作りピザって。」
「ああ、今日の分でもキッチリ計算したら1000円で余裕でお釣りが出るな。」
「えっ!そんなに安いの?!じゃあ下手したら宅配ピザの1/5以下じゃない!」
「ま、あっちは人件費その他諸々込みの値段だからね。そもそも冷凍ピザだって安いっしょ?」
「言われてみればそうですよね。最近はガソリン代も馬鹿にならないようですし、これだけ美味しく出来るなら注文するのも躊躇ってしまいますね。」
「うん、今度うちでもやってみるね。こなちゃんありがとう!」
「夜のパスタも楽しみにしててね。うちはパスタマシン使うけど、なくても全然問題ないくらい簡単に出来るから。」
「そう言えば、先程の話ですと生地作りは3時過ぎから始めればいいんでしょうか?」
「そだねー。」
「じゃあそれまで何する?折角だしおじさんも一緒に出来る事ってないかしら?」
「なんと!おじさんも混じっていいのかい?」
「そうだね。いっつもお世話になってるし、こんな機会でないとお話しすることもあまりないしね。」
「よかったねぇ、お父さん。こんな機会はもうないんじゃないの?」
「嗚呼、俺はなんて勝ち組なんだ~~!!ちょっと物置行ってくる!」
「あらあら、あっという間に行ってしまわれました……でも泉さんはお幸せですね。あんないいお父様がいらっしゃるんですから。」
「ん、まぁね。お母さんはいないけど、お父さん一人で二人分以上賑やかだし、ね。普段はあんなだけど、いざって時は頼りになるし。」
「あ、すみません。失言でしたね……」
「いいってば、そんな顔しないでよ。お父さんだけじゃなくて皆もいるんだし、こんな幸せな日々を過ごせて最っ高に幸せなんだからさ……って、かがみにつかさ、何ニヤついてるのさ!もうっ!あ、あと今のはお父さんには内緒だからね?!」
「みんなー、色々ゲーム持って来たぞ~~~!」
「まぁ黙っておいてあげるわよ。その代わり夜ご飯は期待してるからね!」
「私も言わないよ~。でも、いつかおじさんに言ってあげたら?きっと喜ぶよ。」
「そうですね。おじ様の事ですから嬉しくて泣き出しそうですよね。」
「う~~、いつか、ね!今行くよー!ほら、みんなも行こっ!」

 夜にはゆたかも交えてパスタ作りとなるのだがそれはまた別のお話ということで。
 こなた達に幸あらん事を!





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コメント:
  • お腹空いてきた(^^; -- 名無しさん (2008-08-18 00:03:26)
  • 幸あらんことを!!! -- 名無しさん (2008-08-17 20:23:20)
  • 幸あらんことを!!
    -- 九重龍太 (2008-03-16 15:42:25)
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