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人様に迷惑とコーヒーはかけちゃいけない

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
柊つかさは素直な子だ。
漫画を読んで感動したら泣くし、困っている人がいたら力になろうとする。
例え宿題が残っていようと眠くなったら眠る。
そして宿題が残っていたら、眠くても最後までやり遂げる。

――――人様に迷惑とコーヒーはかけちゃいけない――――

この暑さは残暑って言えばいいのかな?
太陽はがむしゃらに頑張っているみたいで、私は未だに冷房の効いた部屋から出られずにいた。
階段を駆ける音がしてお姉ちゃんが帰ってきた。
「いやぁ、外暑すぎだよ。つかさぁ、クーラー効いてるでしょ?入るわよ」
お姉ちゃんも暑さには勝てないみたいで、服をパタパタさせながら部屋に入ってきた。
顔が紅潮していて何となく色っぽい。
「あんた朝から勉強するって言って、漫画読んでるじゃないの」

オレは数学の教科書を持ってるって思ったらいつの間にか漫画を持っていた。
何を言ってるか分らねーと思うがオレも何をしているか分らなかった。

こなちゃんならこんな風に言ったかもしれない。とにかく勉強しようとしていたのは確かなのだ。
「えっと、これはね。勉強してたんだよ?でもほら息抜きというか休憩もしなきゃってね・・・」
「ふーん。それでそんなに漫画が積んであるのね?」
「だってこなちゃんが貸してくれた本だから。早く読んでおきたくって」
趣味が合うってことかな?こなちゃんが貸してくれる漫画は全部面白い。
面白いだけじゃなく、心にすっと入ってくる。読む度にこなちゃんを知っていくみたいで。
「マリ見て?それラノベなのよ、私は読んでないけどね」
「こういうのって百合って言うんだよね、お姉ちゃんはこういうのどう?」
「どうって、そういう世界もありなんじゃないの?本人が好きならね。ったく、こなたのせいで・・・」
「こなちゃんがどうかした?」
『こなた』という言葉になぜか反応してしまった。
「いや、なんでもないわ。それより明日、朝早いんだから宿題やっときなよ」
「うん、片付けちゃうね」
夏休みの宿題を手伝ってもらったお礼がしたいと言い出したのはこなちゃんで、
3連休の間の日曜にお泊まり会をすることになった。
こなたから改まってお礼をしたいなんてなんだか気味悪いわね、なんてお姉ちゃんは笑っていたけど
それが照れ隠しだってことはすぐわかった。

「おじゃましまーす」
「お帰りなさいませ、ご主人サマ♪」
「ってうわ、なんて格好してんのアンタ!?暑すぎてついにぶっ壊れたか?」
「ご主人サマ、今日は一日ご奉仕させていただきますわ、ささお手拭きをどうぞ♪」
「ええい、気持ち悪いからやめい!!」
「もー、ノリが悪いなぁかがみは。せっかくバイト先から借りてきたのにさ」
「あんたはただメイドごっこがしたかっただけでしょ、どーせ」
「そんなことないもん。かわいいって言ってくれるって思ったもん。料理だって用意してるもん」
唖然に取られる私をよそに二人で言い合いを始めて、こなちゃんがしょげてしまった。
「な、なによ。いじけることないじゃない」
「だってかがみのために用意したんだもん、店長に無理言ったんだもん」
「ちょっと、そんなに落ち込むことないでしょ。け、けっこう似合ってるじゃ・・・」
「え、何?よく聞こえないよ。かがみん」
こなちゃんがニヤりとしたのは気のせいだ、うん。
「だぁから、似合ってるって言ってるのよ」
「似合ってるだけ?」
「あぁもう!かわいいわよ、こなた」
これでいいんでしょ?と言わんばかりにムキになっているお姉ちゃん。
「やっぱかがみんは優しいなぁ、うん」
こなちゃんもなんだか照れてるみたいで、うつむきながらそう言った。
「さ、二人とも上がって。まだお昼には少し早いけどお菓子もたくさん用意してあるよ」
こなちゃんのメイドさん姿は普段から着慣れているからなのか
小窓から差し込む光に照らされる姿は、イタズラっぽい猫口、思考を読み取れない瞳、
その全てが自然に見えて、怒って口を尖らせる仕草まで初めから決まっていたみたいで切なかった。
「猫耳があれば完璧だったんだけどねぇ」
ご機嫌で準備を始めるこなちゃんを後目に、まんざらでもなさそうにため息をつくお姉ちゃん。
普段通りの私たち。心地いい会話。ゆっくり食べるお昼ごはん。大切な人たちとの、かけがえのない時間。


昼ごはんを食べたあと、こなちゃんが片付けをすると言い張るので二人してリビングでゆっくりしていた。
メイド服は着替えてしまったけど「お礼をしたい」という気持ちは思ったより強いみたいだ。
「ねぇお姉ちゃん、さっきのこなちゃん少し変じゃなかった?」
「こなたが変なのはいつものことじゃない」
「そうかもしれないけど、普段よりも女の子っぽかったような」
「どうせメイドごっこの延長でしょ?ま、あいつも少し照れてるってことよ」
ごはんの準備や食べてる時もいつもとは違ったような。
うん、どう違うかって言われると困るんだけどたち振る舞いがいつものこなちゃんじゃなかったような。
同じことをグルグル考えても分らないのでメイドさんごっこだたということにしておいた。
20分くらいゆっくりしているとこなちゃんが片付けを終えたのでみんなで部屋へ向かった。
「すごい部屋ね、相変わらず」
部屋の至るところに人形やポスター、漫画が揃っていて来る度に違った顔を見せる。
それらを眺めるのは嫌いじゃなかった。
二人がゲームを始めたので、それとなく部屋を見回すと机の横にあるものを見つけた。
「こなちゃん、この机にある色紙って何?泉こなた様へって書いてあるけど」
「ふふふ・・・お目が高いですなぁ、つかさ殿は」
四角い色紙を見つめるこなちゃんの目が輝きを帯びている。
「それはね、この前のコンプ祭りで当たったんだよ。なんと作者直筆なのだよ!!」
「へー、この間のやつね・・・。そういうのってちゃんと当たるんだ」
「私も疑ってたけどね、編集の知り合いの人に渡ってるのかなぁ、なんて。でも信じ続ければ通じるのだよ」
「そう、とっても大事なんだね・・・あっ」
横を向いて話を聞いていたら机の角に色紙をぶつけてしまった。
「ちょ、つかさ!!何してるの、それ凄く大事なんだから」
「あう、こなちゃんごめんね」
「初めてサインもらったんだよ、気をつけてよホントに」
あぁ、こなちゃんを怒らせちゃった。いつもは私のドジを笑って許してくれるのに。今回はどうも本気らしい。
いつも怒らない人が怒るとこんなに威圧感があるものなの?こなちゃんはゲームを放り出して色紙を撫でている。
結局お姉ちゃんがなだめてくれてその場は収まった。
小さな石につまずいただけ、この出来事をそんな風に思っていた。
その先にある大きな落とし穴に気づきくはずもなかった。

「かがみ、本当にいいいの?」
一糸纏わぬ姿で身をすくめるお姉ちゃんに、こなちゃんは念を押す。お姉ちゃんも俯きながらこくりと頷く。
「いいも何ももう我慢できないわよ。早くして、こなたぁ」
「じゃあいくね?」
「や、優しくしなさいよ」
サァー、っとシャワーの音がしてお姉ちゃんはやっと目を開ける。人に髪を洗ってもらうって気持ちいいよね。
みんなでお風呂に入ろうと言い出したのは私。この前家で泊まった時にはみんなで入れなかったから。
お姉ちゃんと一緒に入るのも久しぶりで、お泊りに来ているせいか変に胸が高まった。
落ち着かない気分でお風呂に入っていると、こなちゃんが
「洗いっこしよう」
と言い出したので私たちはお互いにシャンプーすることになった。
こなちゃんの髪はふわふわで気持ちよかった。手入れが行き届いたその宝物に触れることが許される人間は、
この世に何人いるのだろう?私にその価値があるのかな?
こなちゃんはお母さんと同じように髪を伸ばすんだと言う。忘れないように、自身の体に刻まれるように守っている
その髪には私が考えている以上の重いものが詰まっているんだろう。
「かがみんや、こっちの方も洗ってあげようか?」
「な、なにするのよ。あっ・・・やめなって、やめなさいよ」
「ちぇ、じゃあ今度私がお湯に浸かるね」
こなちゃんは口を尖らせてお湯に潜ってぶくぶくやっていた。
このごろお姉ちゃんはよく顔を紅くさせるようになった。
「みんなも何か飲むでしょ?私用意しとくね」
そう言って私たちよりも早くお湯から上がったこなちゃんはアイスコーヒーを用意してくれていた。
ミルク多めのアイスコーヒーは、知らん顔して机の上でたたずんでいる。何となく危なげな気配を感じ取ったので
「危ないから別の場所に置いた方がいいんじゃない?」
と言おうとした、でも遅かった。瞬間、こなちゃんの顔が引きつったのが分かった。見えなくても分かる。
お姉ちゃんも、多分私も、その空間にキングクリムゾンが発動して私たちは身動き取れなかった、いや、バイツァダストできれば・・・。
とにかく、お姉ちゃんがコーヒーを色紙にこぼしたという結果だけは確かだった。

「こ、こなた・・・?」
頬を震わせながら、お姉ちゃんがこなちゃんの顔を覗き込む。こなちゃんは何が起きたか分らないみたいで。
そして、沈黙がその場を支配した。数十秒がやけに長く感じられた。
こなちゃんの方へ目を向け、続いてお姉ちゃんの様子をうかがう。沈黙を破ったのは、こなちゃんだった。
「はは、せっかく、せっかく当たったのに」
上の空で聞いていた私と、泣き出しそうなお姉ちゃん。もう目には溢れ出しそうなくらいに涙がたまっている。
「うぅっ、こなたぁ・・・ごめ、ごめんね。うぅっ」
「はは・・・泉こなた様って書いてんのに、見えないよ。ふふっ」
ダメ。こなちゃんが向うの世界の住人になっちゃう、私が連れ戻さないと!!
「こなちゃん、しっかりして!!」
戻ってくるように、願いを込めて呼びかけた。だめ、そっちに行っちゃやだよ。帰ってきて、こなちゃん。
「う・・・つ、つかさ?あれ、世紀末覇者とファルネーゼ様についての論文は?」
大丈夫、ぎりぎりだけど、大丈夫だ。ちょっと逝きかけているけど私が分かるみたい。
「あ、色紙は、私の大事な色紙はどこ?」
「こっ、こなたぁ。ごめ、うっ・・・ごめんなさい」
こんなに取り乱したお姉ちゃんを見たことがない。
いつも余裕があって、私のフォローをしてくれるお姉ちゃんが、今は罪悪感に押しつぶされそうになってる。
「か、かがみ?いや、その本当に大事なものなんだけど、そんなに泣かなくて大丈夫だよ。ほら」
抱き寄せられて安心したのかな、お姉ちゃんはこなちゃの小さな腕の中で涙した。
「で、でもぉ。こなたが一生懸命手に入れたのに、私どうしたらいいの?」
「も、済んだことは仕方ないって。そりゃショックだけどさ、かがみに泣かれる方が辛いよ」
「だって、こな―」
「もういいでしょ、かがみ。いつまでも言うと私怒るよ、私が大丈夫って言ってるんだから」
何だろうこの違和感は?何かが納得できない。この変なもやもやは、どこから来たの?
二人の仲が収まったんだから良かったはずなのに、心の中ですごく嫌なものが沸いてきているのを確かに感じた。
「じゃあさお姉ちゃん。こなちゃんのお願いをひとつ聞いてあげたら?」
そう、これは二人のために言ったんじゃない。私のもやもやが言わせたんだ。


「そ、そうね。私も何もできないんじゃ気持ちが落ち着かないし。宿題でも何でもお願いひとつ聞く。それでいい?」
責任感の強いお姉ちゃんのことだから、私の提案はすんなり受け入れられた。
こなちゃんはもう色紙のことはそっちのけでニマニマしている。
「そうだなぁ、じゃあかがみの体を触らせてもらおうかな?」
「え、なにそれ?」
「だってさっきお風呂じゃ触らせてくれなかったし、こんな機会めったにないじゃん」
「そんな機会は絶対ないと思うが」
「なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ。ねぇ、かがみ?」
「う。それは・・・い、一回だけだからね」
さっきのことで気がまいってるのか、お姉ちゃんにいつもの判断力がないことは明らかだった。
それはこなちゃんにも言えることで、目が血走っている。もう、また二人だけの空間が・・・。
「さぁ、かがみ。こっちにおいで。ほらほら」
手つきがちょっといやらしい。いや、そんなことをしようとしているんだから当然なんだけど。
こなちゃんは一体どこまで本気なのか、たまに分らなくなるよ。
「分かったわよ、もう」
お姉ちゃんも覚悟を決めたみたいで、ゆっくりとこなちゃんに近づいていく。
二人の距離が限りなくゼロに近づいたその時、私は目を背けてしまい、何が起きているのか分からなかった。
「ふふ、すごい柔らかいよ。それに凄く気持ちいい」
「な、形が変わっちゃうじゃない。そんなに強く揉まないでよ」
「そんなこと言ってかがみも嬉しそうだよ、こんなに紅くしちゃって」
「やだ、引っ張らないでよ」
何してるの、でもそんなことしちゃだめだよ。
「二人ともやりすぎだよ!!」
そう叫んで前を見てみる。そこには少しほっぺを腫らしたしたお姉ちゃんと、首を傾げるこなちゃんがいた。
「何ってほっぺをプニプニしてるだけだよ、つかさ」
いやぁ、前からかがみのほっぺは十年に一度の逸材だと思ってたのだよ。なんて指を立てて笑うこなちゃん。
「それよりさぁ、つかさ。顔真っ赤だけどどしたの?何か変ななことでも考えちゃったのかな?」
「変なことなんて、私はただお姉ちゃんを」
「ん?その割には声が上ずってないかなぁ?」
急に核心を突かれてその場を切り抜けられるほど私は器用じゃない。こなちゃんはそれを分かってるはずなのに。

「そっか、つかさも触って欲しいんだね」
「え、え・・・そんなこと――」
私の返事を待つまでもなく、こなちゃんは手を伸ばしてきた。
お姉ちゃんは疲れたのだろうか、横でぐったりとしていて、助けを求められそうにもない。
こなちゃんに変なスイッチが入っちゃったのかな?
「ほら、つかさこっち向いて」
「ん・・・」
拒否しようとすれば、簡単にできる。こなちゃんは笑って手を放してくれる。
でも、スイッチの入ったこなちゃんと向き合わなくちゃいけない。そんな直感がした。
「かがみのとちょっと違うね。でもつかさのも気持ちいい」
「こ、こなちゃん。もうちょっと優しく触って」
こなちゃんの指が私の肌に吸いつく。最初は軽くつつかれ、手全体でゆっくりと撫でまわされる。
「ちょ、舐めないで・・・くすぐったいよぉ」
ほっぺを舌で舐められて頭がクラっとしてきた。考えることができないよ、何も。
しばらくこなちゃんに身を任せて、時間の感覚がなくなっちゃったみたいだった。
気づくと天井を見ていた。隣ではお姉ちゃんがこなちゃんに何か文句を言っている。
反省しなさい、とか何とか言っているみたい。でも私嫌じゃなかったよ?
そう言うと、お姉ちゃんはさらにこなちゃんを責め始めた。
「おい、こなた。つかさまで変な子になっちゃったらどうすんのよ」
「ありゃ、ちょっとやりすぎちゃったかな。だって凄くよかったんだよ、つかさ」
「それが心配なのよ、あんたつかさを襲ったりしないだろうなぁ」
「それは大丈夫だって、たぶん。かがみが構ってくれれば」
「何言ってるのよ、もう」
嫌じゃなかった、とういよりも良かった。
でもいけないことをした気もしてきたので、それは黙っておくことにした。
「こなちゃん、ありがとう」
代わりにそれだけ言うことにした。

「まぁでも、そんなに気持ちいいなら私も触ってみたいわね」
「え、お姉ちゃん?」
「ねぇ、つかさ。ちょっとだけ・・・」
「ひゃっ」
「かがみん、あれほど私を叱っておいてそれは理不尽なのでは?」
それとこれとは別。ってお姉ちゃん、何が別なの?
なんて聞き返すことはしなかった。私はもっと触って欲しくなっちゃったから。
「すごく・・・気持ちいいです・・・」
「何言ってるのこなた。いや、でもこれは思ったより気持ちいいわね」
「でしょでしょ、舐めたくなる気持ち分かるでしょ」
「悔しいけど少し分かるかも。いや、やっぱりだめよ。こんなこと」
お姉ちゃんに触ってもらうのは気持ちよかった。だけどそれはマッサージされるような気持ちよさで、
こなちゃんの時みたいに頭がクラクラしちゃうような感じが全然しない。私はそれが欲しいのに。
「お姉ちゃん、舐めていいよ」
「も、もう終わりにしましょ」
ぷいっと振り返って切り上げたお姉ちゃんは、自分に何かを言い聞かせていた。
「つかさがえっちな子になっちゃったのかもね」
「えっち?私が?」
こなちゃんは感慨深そうに頷くだけで、答えてはくれなかった。私ってえっちな子なのかな?
いけないことなの?もしそうだとしても、もうそれに目を背けることはできないことは分かった。
それは仕方のないことだってことも、私自身が傷つくかもしれないことも、なぜか理解できた。
理解したというよりも、初めから知っていたのかもしれない。時が来ればみんな気づくんだ。
そして、それを教えてくれたのはこなちゃんなんだ。


「こなちゃん、ありがとう」
「どったの、色紙のこと?」
「う~ん、今日のこと全部。こなちゃんありがとう」
「つかさはいい子だねぇ、ホントに」
「こなちゃんは私に色々教えてくれたよ、私のこと」
「つかさのこと?」
「うん、私の知らなかった私のことを教えてくれたんだよ」
「そっか、でも宿題は教えられないよ。そこはかがみに聞いてね」
「そのお姉ちゃんも、こなちゃんから色々教えてもらってると思うよ」
「かがみもあれで鈍感なとこあるからねぇ。人のことはすぐに心配するのに」
「そうかもね、もっと素直になればいいのになぁ」
「だめだめ、そんなことしたら世界の法則が乱れるって!!」
「あはは、確かにそうかもね」
「私も素直になれたらな――」
「え?」
「ううん、なんでもない。あの、こなちゃん]
「なに?」
「私こなちゃんじゃないと、頭がクラってしないんだ。お姉ちゃんにされてもそういうの感じなかった」
「やっちゃったか・・・。それはつかさがかがみに安心してるからだよ」
「そうなのかな?でもそれだけじゃなくて、私は―」
「私は?」
「ごめん、こなちゃん。お休みなさい」

私は―。私はなんて言おうとしたのかな?昨日から変だよ、私。
こなちゃんはもう寝ちゃったみたいで、かすかに寝息を立てている。
優しい瞳は閉じられていて、その無防備な表情はやっぱり何を考えているか分からないけど、
髪は月明かりに映えていつもより稟としていて。私はその髪に触れたいと思った。
髪を撫でながら手を握りたくなった。その瞬間、急に世界が広がった気がして私は目を閉じた。
そうか、そうみたいだ。私は気づかなかった。傍にいるのが当たり前で、しかも大の親友だったから。
自分が理解できない範囲のことだったから、またしてもこなちゃんに知らされたみたいだ。
思わず髪を撫でていた手に力が入っってしまった。
「ん・・・かがみぃ―」
その人の呼ぶ名前は、私じゃない。私を見つめてくれないかもしれない。それでも―。
「私は、こなちゃんが好きだよ」


つづきます)











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  • 吉井和也w -- cactus (2011-02-19 21:29:32)
  • つかさが健気すぎて泣いた -- 名無しさん (2009-03-18 08:34:40)
  • こなたの「〜だもん」っていうのが可愛いすぎます(T-T)…反則じゃないっすか。 -- 無垢無垢 (2008-12-01 20:11:34)
  • ヤンデレフラグ来た!? -- 名無しさん (2008-05-04 23:26:30)
  • つ、つかさがえっちな子に!!

    このお話は続くのでしょうか?気になります -- トルストイ (2008-01-16 13:41:11)

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