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続 ここにある彼方(7)

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匿名ユーザー

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朝食の後片付けが終わり、3人とも居間へと移動する。
「さぁて、こなた画伯に描いてもらいましょうか」
腕を組みポーズを取るそうじろう。
「いや、まてよ、こっちの方が…いやいや、うーむ…」
そのうちアレコレと、様々なポーズを取り始める。
「ちょっお父さん、普通でいいから、普通で」
「んん~?そ、そうか…せっかくだからこう、なんていうかさ…」
「いいっていいって、そんなの。さっきの普通に腕組みとかでいいよ」
「…そうか?」
少し残念そうに腕組みをする。
「ん~、それでいいじゃん…ではでは、さらさらさらっとふふふのふ♪~っと」
結局、そのままの格好でじっとする事になった。
そうじろうのそばにいたかなたが、こなたの方へと歩いていく。
描いている後ろにまわり、覗き込むように見守るかなたの表情が徐々に崩れていく。
そうじろう的に、いったいどんな絵が描かれているというのか、非常に気になるのだが動く訳にもいかず、
かなたの表情を察するに、なんかすごいことにはなってるんだろうなぁと思いつつもじっとしている。
「…ぷ、ぷーー…っくくくく…」
とうとう、かなたが堪えきれず笑い出す。
こなたが、ニマニマしつつ振り返る。
「ちょーーっとやり過ぎたかねぇ~」
ほっぺの辺りをぽりぽりと指で掻く。
「ん~~いや、いいんじゃないかなぁ~実際、そんな感じのときってあったしね!」
笑顔でこなたにウィンクして見せる。
(かなたのあんな表情を見るのも、実に久しぶりだな…ん~やはりかわいいぞーっと…いやいや、そうじゃないな…
いったいどう描かれているというんだ?気になるなぁ~)
動かずにじっと我慢のそうじろう。
「ふぉぉぉぉ、お母さんの時からそうだったんだ。……今でも、良~くあるよ」
「あらら、今でも変わってないのね。やっぱり」
「ということは、今も昔もダメ人間ってことか」
「…まぁ…だから、ダメ人間って訳じゃないとは思うけど…ダメの部類には入っちゃうのかしらね」
苦笑いに変わる。
(何の話をしてるんだ?もしかして、もう描き終わってるのか?もう、見に行ってもいいのか?
もしかしてもしかして…お父さんのこと忘れ去られちゃってる?ああもう!!放置プレイか?)
それでも、律儀にじっとしているそうじろう。
(む、むぅ~、俺から声をかけるべきなのかなぁ~だよなぁ~絶対、忘れてるよなぁ~、よし!!声がけしよう)
「お、おーーい。お父さんのこと忘れてませんか~?」
そうじろうが情けないような感じで声を掛ける。


おっ!!という表情で二人がそうじろうの方に向く。
「ああぁ~ごめんごめん。忘れてたよ、お父さん」
「……やっぱり?そうじゃないかなぁ~って思ってたんだ…ふたりしてひどいじゃないか……」
最後の方はそっぽを向き消え入りそうな声で訴える。
「お父さんが拗ねてもかわいくないから」
「な!がーーーーん、相変わらず容赦ねー」
スタスタと二人に歩み寄りながら、苦笑いになるそうじろう。
「もう、そう君ってば。…クスクス。でもねこなた、あの程度は拗ねたうちには入りませんよ?もっとすごいんだから」
「へーーーー」
こなたの表情が生暖かくなる。
「いやいやいやいや、こなた、違うんだ。そんなこたないって、そもそもガキのころの…」
「あら?そんな小さな頃'だけ'じゃなくて、こっちに来てからも…」
「ちょ!かなた!な、なに言うかな…」
「まぁ、なんでもいいじゃん。わたしの知らない、お母さんしか知らないお父さんってとこでさ」
「あう~こなた~」
そうじろうの返事にいまいち力がない。
「あ~はいはい、話しを戻そう。で、はい」
スケッチブックを折り畳んでそうじろうが描かれた方を上にして渡す。
受け取ったそうじろうの顔が元のいつもの状態に戻る。
「…あ、あれ?…あ、いやいや…それなりにしっかりお父さんじゃないか。何をさっきからそんなに二人して
笑っていたんだ?なんか顔にでもついてたのか?」
にやにやが止まらない二人とは対象的に、きょとんとしている。
「そう君…うらうら」
「へ?うら?」
スケッチブックをひっくり返すようにして裏返して見る。
「ちょ…うはっ…こ、これは……」
さすがに気恥ずかしいようで、そうじろうの顔が赤くなる。
「お気に入りフィギュアとかその他もろもろのお宝グッズを手に入れた時に、そんくらい鼻の下が伸びて、
目がそんな感じでだれーーんとなってるよ。」
「う、う~ん…そ、そーなのか?」
かなたの方に目を泳がす。なにか、助けを求めるような目線を…
「え?わ、わたし?………もう…バカね…そんな感じってことでしょ。デフォルメされてるけどまんまじゃない」
「デフォルメっつってもな~…むー…ま、しょうがないか。宝物手に入れた瞬間のことなんだし」
「そーそー、宝物入手した瞬間はしょうがないよねー。わたしもそういう状況の時、かがみから目が輝いてるよ!
ってよく言われるし。だから、そこまで気に病む必要もないかと、その絵に関しては。」
「ふふっ、宝物…か…だったら、お母さんの場合、こなたを初めて抱きあげた時にそんな顔になってたのかしら?
そう君が初めてこなたを抱き上げた時が一番この絵に近いから、私もそうだったのかしらね…もうね、かわいくって
かわいくって、食べちゃいたいくらいだったのよね……大きくなった今でも十分かわいいけどね」
こなたを優しく見つめる。


「へへへ…まさかわたしに話しが飛んでくるとは…そんなこと言われちゃうと…なんか、照れちゃうねぇ…」
「ははは…宝物か…こなた、ま、確かにお前が一番の宝だな」
がしっとこなたの頭をつかみワシャワシャとなでる。
「ぅぉ…お、お父さんってば…お母さんは?お母さんは宝物じゃないの?」
照れ隠しにかなたのことへと話題を振ってみる
「ん~?かなたも確かにそうなんだが、こなた、お前は別格さ。俺は人としては腐ってるんだろうが、父親だからな」
そうじろうを見上げているこなたの頭に手を置いたまま、こなたにウィンクしてみせる。
いつもとはちょっと違う感じに、妙な恥ずかしさを感じてしまう。
「ぉぉぉぉ…なんか、らしくないっていうか…いつも同じような事言ってるけど、なんかいつもと違うよね…」
「ははは、そうか?」
頭をなでるのをやめ、スケッチブックをテーブルに置く。
「お母さんがいるから?」
こなたがふっとかなたのほうを見る。
二人のやり取りを微笑ましく見守ってたかなたがそうじろうを見つめる。
「そうなの?そう君?」
「ではははは、そんなことはないんだがな…」
「んふっ…まぁ、なんにしても、そう君、ちゃんとお父さんしてるね……ちょっと安心したかな?」
「……そんな…心配だったか?」
「そりゃーもう」
「……あははは…スマン、世間的には間違ってる趣味なのかもしれんが、人としては間違えないで育てたつもりだ…
が、やっぱ、心配だったか?だよなぁ…」
がっくりと肩を落とし落ち込む。
「お父さん、なーに落ち込んでるの?」
「そーよ、そう君、今更…それに、こなたは良い子に育ってるじゃない…オタクになっちゃったけど…」
ふぅ~っとちょっと横にうつむくかなた。
「「お”」」
こなたとそうじろうが、かなたの方に向く。
「うふふ、二人とも。なにをそんなに…まったくもう…ふふ」
笑顔で二人に向き直す。
「え!?だって、お母さん、あんな風にされたらさ、やっぱ、気になるじゃん。世間とはズレてるの自覚してるし」
こなたが少し寂しそうに軽く下を向きながらこたえる。
「ふふっ…おーばーかさん!!」
軽く、デコピンをする。
「あぐぅ」
「別にいいのよ、オタクでも。人として道を踏み間違えてなければね」
「…お母さん…」
こなたが、かなたを見つめる。
「…個人的には、足を洗って欲しかったりするけど…」
「…やっぱり?」
まぁ、しょうがないよねぇ~という表情をするこなた。


「うん…それはね…けど、いいのよ、それでもいいの。上手く言えないけど。いいの。オタクだとかそんなことは」
その台詞に不思議そうな顔をする。
「なーに不思議そうな顔してるのよ、ふふ」
再び、デコピン。
「はぅ…だって言ってること矛盾してない?」
軽くおでこを押さえながら、やはり不思議そうな顔をしている。
こなたに近づき、抱き寄せる。
「だから、上手く言えないって言ってるじゃない。こなたがこうしてちゃんと育ってるってだけで十分なのよ。
後の事は、ささいなおまけにすぎないの。娘が元気に暮らしてる…これ以上なにを望むというの?十分よ」
安心したように目をつむり、かなたの肩にあごをのせ、頭をあずける。
「お母さん…うん…わたしは、誰にも負けないくらい元気ではあるよ!!」
抱きあう二人を見つめるそうじろう。
(うーーーん、いい景色なんだが…完璧に蚊帳の外つーか、再び忘れ去られてる臭いな…あぁでも、いい。これはイイ)
存在が空気化してしまったことに切なさを覚えつつ、目の前の光景に見とれる。
このマターリとした空気を切り裂くようにかなたが一言
「でも、えっちなのは良くないと思うわ…」
瞬間、刻が凍る。
「ぉぅ………気をつけます…」
忘れ去られたと思われていたそうじろうにも鋭い視線が飛ぶ。
「そ う く ん も ね ! 」
その視線の冷たさに背筋が凍る。抱きしめてるこなたには見えない凍てつく視線を…
「はい!!努力はいたしますです。はい!!」
最敬礼をする。
「確かにそう君がそういうのやるの今に始まったことじゃないけど…せめて娘の前ではやめてね」
先程の視線に少しあきらめの色も混ざる。
「sir,yes,sir!!」
再び最敬礼。
「はぁ…わかってるのかしら…ね?」
目を下に伏せつつも、最後の『ね?』の部分でそうじろうに鋭い視線を再び飛ばす。
(こ、こえーーーーー。マジで怒ってるな。こなた、かなたの前でエロゲーでもやったのか?)
恐怖で身体が固まる。
そんな空気を読んでか読まないでか、こなたが声をかける。
「お母さん…もう少し、こうしてていい?」
かなたの表情が一変して天使の笑顔となる。
「こなたが飽きるまでいいわよ」
「へへへ…じゃ、しばらく…こうしてる…」
こなたがきゅーっと腕に力を入れる。
「…うん…お母さんも…」
かなたも腕に力を入れる。
(う、うーーーん、なんだこの変わり様は…あぁ~でも、なんだ、二人ともホント良い顔してるなぁ~)

しばらくして
「そうそう、お父さんがね、エイプリルフールだからってね、再婚するんだって嘘をついたんだよ」
かなたに抱きついたままのこなたが、唐突に切り出す。
「あら、まぁ~」
「再婚するだなんて…見え見えだから騙されないってのにね。騙すんならもちっとリアリティがないとね」
ニヤリとするこなた。
「でも…そう君、本当に再婚すればよかったのに…別に私はもう居ないんだし…寂しくなかったの?」
寂しそうな、悲しそうな、切なそうな…そんな目でそうじろうに顔を向ける。
「いやー、お父さんじゃ…無理でしょ…お母さんみたいに寛容な人はそうはいないって」
かなたの表情を伺い知る事のできないこなたがトドメを刺すかのように言い放つ。
「うーわ、きっついなぁ~」
たまらず、そうじろうが返答する。
「ほんとにね、クスッ」
こなたがかなたから離れ、かなたと腕を組むようにして横に並ぶ。
「そもそも、ロリコンなお父さんに合うようなお母さんやわたしみたいな人はそうはいないだろうし」
自分のあたまに腕を組み直し、そっぽを向きながらボソリと言う。
「こらこら、ロリコンじゃないぞー。ロリコンでもあるだ!!」
「…どう違うと?」
こなたが、そうじろうの方に向き直し、突っ込みを入れる。
「普通の、おっきい女の人もちゃんと見えてるぞーってな。目の保養にはしてるぞ?」
「ふーん……」
かなたが目線をそらし、棘のある感じでこたえる。
「あっいや…その…」
「そう君、やっぱりわたしみたいなお子様体型より、出るとこでた普通の大人の女性の方がいいわよね…」
ふぅっと少しかげを見せつつ下を向く。
「ちょっっっ!!!か、かなた!?お、おま!ち、ちがうぞ!!それは断じて違う!!」
「…どう違うと?」
ジト目でこなたと同じ言葉を飛ばす。
「全然ちがうだろ!!そらー、おっぱい大きな人とか、きれいな人やかわいい人には目がいくさ。男なんだから…
でもな、違うんだ!!わかってくれ。おれは、おれは……おれが…」
いまにも泣きそうな表情で弁明する。
「…ばか…」
かなたがそうじろうに近寄り、背伸びをしてデコピンをする。
「あうっ…おれが愛しているのは、かなただけさ」
デコピンに中断されたものの、最後まで言い切りかなたを抱きしめる。
(あ~あ~本当にバカップルだねぇ~)
置いてけぼりを喰らったこなたが、なんだかなぁーという表情で軽く赤面しながら見守る。


こなたのじとーっとした視線に気づいたそうじろうが
「んあ…もちろん、こなたの事も愛してるぞ!!どうだ?…こっちに…一緒に…な?」
問いかける。
「…いやぁ~遠慮しとくよ、邪魔しちゃ悪いし、わたしは部屋に戻ってるよ」
こなたが足早に部屋に戻ろうとするのを引き止めるかのように
「こなた…こっちにいらっしゃい」
かなたが声をかける。
ぴくりと反応し、足が止まる。
「お母さん…いいってば、そんなにわたしに気を使わなくてもさ」
「こなたこそ、そんな…ね?」
ちょいちょいっと手招きをする。
「…ぉぉぅ…」
かなたにはどうにも抗う気になれない。
それに、やはり母のそばに居たいという思いもある。
だがしかし、二人っきりにしてあげた方がいいのでは?という思いも多分にある。
「こ~な~た~」
再びかなたが、優しく呼ぶ。
「あん…もう~お母さんずるいよー、そんな風に呼ばれたら我慢できないじゃん」
とてててっとかなたのところまで小走りで行き、はしっと抱きつく。
かなたとこなた、二人を抱きかかえる様に抱きしめるそうじろう。
「昨日も言ったがな、そもそも、再婚なんて考えたことは全く無いんだ。ちょっとこなたを驚かそうと思っただけ……
なんだが、見事に見抜かれてたしな。まぁ…なんだ、寂しくないと言えば嘘になるが、その代わりにこなたが居るしな。
全然問題なしだ」
「ん?お父さん、つーことは今でも寂しい時あるの?」
ふと、こなたが問いかける。
「おぅ?まぁ…こなた達が学校行ってたり、お泊まり会で居ない時とかで一人っきりで家にいると、何とも言えない
寂しさがあるな、ホームアローンはちと堪えるな」
そうじろうが何気にカミングアウトする。
「ごめんね、そう君…そばに居てあげられなくて…」
申し訳なさそうに見上げる。
「別に、かなたが悪いわけじゃないさ、気にすんなって。それに、お前は、俺の心の中で永遠に生き続けてるからさ」
「うん…」
そうじろうの胸に顔を埋め、きゅっと手を握る。
「と言う訳で、寂しい時もあるんだ。まだまだ、一緒に遊んでくれよな。こなた!!」
こなたの方に目線を向ける。
「あん、もう、上手い事言うねぇ~。大丈夫だよ。まだどこにも行く気はないし、しばらくは今のペースでいくよ」


こなたがかなたに抱きつき、その二人を包み込むように抱き寄せるそうじろう。
「むふふ…へへ…」
ときたま、もぞもぞと動くこなた。にょろっと伸びたアホ毛がそうじろうのあごの辺りをさわさわと動いてこそばゆい。
(このまんま、時間が止まって欲しいものだな…)
時計のカチカチと時を刻む音が静かに流れていく。

「ん~、さてさて、いつまでもこうしてたいけど…これから何する?」
時間を忘れかけた頃、こなたがボソっと切り出す。
「ん~そうねぇ…外でも、お散歩してみない?まだ、気温も上がりきってないから大丈夫でしょ?」
かなたが答える。
「おっ、親子3人で散歩かぁ~それもいいなぁ。よし適当にプラプラしにいくか」
そうじろうが2人から手を離し、顎に手をあてて、うーむと考える仕草をする。
「でもさ、お母さん、外に出ても大丈夫なのかなぁ、一応幽霊なんだし」
最後の幽霊と言う言葉にかなたがクスリと笑う。
「幽霊って…クスっ、確かにそうね。じゃぁ、試しに窓でひなたぼっこでもしてみますか」
日差しが差し込んでいる窓のところまで、とことこと歩いていく。
窓を開け、身を乗り出す。
「んーいい気持ち!お日様の光をこうして浴びるのもひさしぶりね」
振り返り
「ねぇ、大丈夫そうよ?」
2人に問いかける。
窓辺に立ち2人に向き直したその姿は、差し込んでくる日差しと合わさり、まるで天使のようにも見える。
「おおー日の光でキラキラと輝いて…ってわーーーーお母さん、透けてるよ身体!!もどってもどって!!」
こなたが慌てて大声をあげる、と同時に、
「かなた!!」
そうじろうが叫び走り出す。
「え!?」
そうじろうがスーパーダッシュを見せ、かなたが状態を理解するよりも前に一瞬でお姫様抱っこすると
即座にUターンして素早く戻ってくる。
「お父さん、早っっ!!」
こなたの所まで戻り、かなたを降ろすと
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
肩で息をし出す。
かなたの上半身やら腕やらをぽんぽん叩きながら
「はぁはぁはぁ…だ、大丈夫みたいだな…」
こなたの方を向きながらニヤリとする。
目が合ったこなたは今にも泣き出しそうな顔をしていて、すぐさま、かなたの方を見つめた。

「えっ?!えっ?!」
いまいち理解できてないかなた。
こなたがかなたの手を握る。
握った手をじーっと見つめる。
「ふー、戻ってる。よかった…消えちゃわなくて…」
ふーっと安堵の息を吐きながら顔を上げ、半泣きの目をかなたに向ける。
「…消えちゃわなくてって…お母さん、消えそうだったの?」
どうやら、理解したらしいかなたがこなたに答える。
「うん…日の光に当たってから、こう…なんてーのかな?お母さんのからだが透け始めてきてさ…」
先程の状況を説明し出す。
「あららら…お母さん的には何も感じなかったんだけど…それだと外出はダメみたいね…ごめんね心配かけて」
ぽんぽんっとかなたがこなたのあたまに手をのせる。
「ううん…別にお母さんが悪い訳でもないし…それに、キラキラと輝いてて、なんか天使みたいだったし…」
「おぅ、上手い事言うな。まさしく天使だな。きれいではあったが状況が状況だ。のんびり見てる訳にもいくめぇ~」
呼吸が落ち着いてきたそうじろうが相づちを打つ。
「いや~ねぇ~2人して、もう…」
なんだかよくわからぬまま、照れるかなた。
「ん~~でも、ま、これで、屋内限定って事になった訳だね…ゲームでもする?」
それじゃぁっといった感じこなたが案を出す。
「ゲームって昨日みたいなの?今時のは操作が複雑すぎて、少し練習が必要かな?」
かなたが昨日、こなた達とやったゲーム達を思い出して感想を述べる。
「そ、そうかな?割と簡単な部類なんだけど…」
こなたがうーーむと考え込む。
「あ~ま~言われてみれば、複雑だな。当時と比べると。なんつっても当時は十字キーとボタン2つだからな」
当時を振り返り語る、そうじろう。
「そうね…メガドライブの3つボタンが限界かもね」
これまた当時を振り返り、うーむと唸るかなた。
「う、うーん、そっか……ん?お父さん、そういや昔のゲーム機ってどこかにあったよね?」
こなたが目を輝かせながらそうじろうに聞いてみる。
「かなたが居た頃のゲームか…そういやあるな…引っ張り出してみるか」
そうじろうが、「んじゃ持ってくるわ」と言い、出て行く。
そうじろうが戻ってくるまでの間、2人で当時のゲームについて話しが盛り上がる。
こなたもストックのソフトを一通りプレイ済みだったため、話しが弾む。
そこへ、両手に様々なハードとソフトを抱えてそうじろうが戻ってきた。
「おっ?盛り上がってるな?一応、対戦向きなゲームを選んでもってきたぞ?」
テレビの前に置き、ごそごそ、接続し出す。
「3人で対戦となると、やっぱコイツだよなぁ」
白くて小さな本体をひょいっと持ち上げる。

「PCエンジン!!…古!!」
こなたが叫ぶ。
「古っ!!っておいおい…そりゃーまーそうだわな。こなたよりコイツらの方が年上だしな、はは」
PCエンジンの他にはメガドラそしてファミコン。
「えーと、みんな私より年上な訳か…そう言われりゃそうだね。お母さんも遊んでたマシン達だもんね。
昔、私が遊んでたときは、そんなこと気がつきもしなかったよ。」
テレビの前に陣取り感慨深げに見入る。
「これは懐かしいわね…特にファミコン。大学の2年だか3年の時じゃなかった?ファミコンが出たのって」
かなたはかなたでファミコンの前に座り、まじまじと見つめる。
「そう君がもってたパソコンのよくわからないゲームに比べると、格段に面白かったわね。操作もしやすくて。
買った当初は夏休みだったこともあって、2人で良く嵌まってたわね。徹夜とか当たり前だったわ」
何気に目を輝かせつつ当時を語る。
「へぇ~~お母さんがゲームにそこまで嵌まってたなんて意外だね」
かなたの意外な一面を発見したこなたが、少し嬉しそうな表情をする。
「そーそー、特にマリオが出てからは2人同時プレイが出来るようになってなぁ~今で言う廃プレイヤー状態
に2人ともなってたな。大学の後期が始まった当初はいろんな意味でキツかったなぁ~」
そうじろうが、目を瞑り当時を懐かしむように、うんうんと頷きながら2人の横に座る。
「ほえぇぇ~お母さんが…そこまで…恐るべし、イタリアン髭親父兄弟!!つーかお母さんもゲーマーだったんだ!」
両手を握り目を輝かせつつ、かなたに熱い視線を投げる。
こなたからの熱い視線に若干戸惑いつつ
「ゲーマーだなんて…うーーん、そうなのかしら?でも、上手くはなかったのよね…
いっつもそう君に助けてもらってばかりで、一人だとあまり先には進めなかったのよ?ねぇ、そう君?」
かなたがそうじろうの方を向く。
「まぁな、でも、やり込んだおかげで普通レベルではあったと思うけどな」
そうじろうがフォローするかのように、かなたの頭にぽむっと手をのせる。
「そうだったのかな?よくは、わからないけど…」
視線を下にそらしたかなただったが、床に散らばるいくつかのHuカードが目についた。
「あら?」
いくつかの目についたHuカードを拾う。
「へぇ~ボンバーマンに桃鉄…これらもPCエンジンで出たのね。ファミコンのは良くやったわね」
「桃鉄も良くやったなぁ~ゆきとゆいちゃんとの4人対戦とか熱かったなぁ」
「え?ゆきおばさんとゆい姉さんともファミコンしてたの?」
こなたが驚きの表情で質問する。
「ん?桃鉄が出た時はかなたのおなかの中にこなたが居た頃でな、冬休みだったし、様子を見に、ゆきのヤツが
ゆいちゃん連れて家にちょくちょく来てくれてたのさ」
「そうそう、5ヶ月から6ヶ月の頃よね」
「へぇ~……なんか不思議な感じだね…そっか…そうだよね…私、お母さんの中に居たんだよね…
すごいね、お母さん。すごいよ。うんうん…」
一人、なにかを納得したかのように頷き、かなたに羨望のまなざしを向ける。
「へ?なになに?どうしたのよいきなり」
突然そのような話を振られ、よくわからないが照れ笑いしてしまうかなた。
「んもう、照れるじゃない…」
ピンっとこなたのおでこをつつく。
「へへへ、なんかね…わたしがそこに居たんだと思うと、素直にすっごいなっと思う訳ですよ。
……私も、いつか、お母さんになるのかなぁ…その前に結婚できるのか?いやー想像もつかないや」
こなたが、困った困った、といった顔で頭をぽりぽりと掻く。
「大丈夫よ。お母さんがお母さんになれたんですもの、こなたにもきっと素敵な人が見つかってお母さんになれますよ」
かなたがこなたの手を取り、笑顔で返す。
「なんか、お母さんにそう言われると、そんな気がしてくるから不思議だね」
かなたの手のぬくもりを感じながら、こなたも笑顔で返す。

2人の横でその会話に微妙に不満そうなそうじろうが一人ため息をつく。
「はぁ~~、そうだよな…いつかは誰かの嫁になっちまうんだよな…ぬぅおおおお~お父さんはそんなの認めましぇん」
切なげにでも、大きな声で叫ぶ。
「あぁ~んもう、お父さんってば、この手の話題だとすぐそうなるんだから」
こなたがまたですかといった感じで返す。
「そう君ってば…そんなことばかり言ってて、こなたが売れ残っちゃったらどうするのよ?」
困ったちゃんねぇとかなたも突っ込む。
「こなたぁ~、お父さん的には売れ残っても全然構わないんだぞー、いや、むしろ…」
そうじろうの言葉を最後まで聞く前にこなたが
「売れ残るなんて、そんなの断る!!」
握りこぶしを突き出し力強く否定する。
「そうよ、そう君。そんな縁起でもない」
かなたもさすがに怒りの表情を露にする。
「あうあうあうあう、2人とも、そんな、そんな…物の例えと言うかーそのー…」
そうじろうが、いじいじと指先をグルグルしたりして歯切れ悪く言い訳を並べ始める。
「あーはいはい、お父さんなんて放っぽいといてマリオでもやろ!」
遮断するかのようにそうじろうに背を向けファミコンをセットし始める。
「そうね。娘の不幸を願う人なんて、放っといてゲームでもしましょう」
こなたに同調するようにかなたもそうじろうに背を向け、娘の隣りへ移動する。
「あ、あうーーーーーーーー」
相手にすらされず、そうじろうが白く枯れていく。
「お母さん、いいの?お父さん白く燃え尽きてるよ?」
ボソっと小声でかなたに話しかける。
「いい薬です。しばらくは放っときましょう。冗談じゃありません」
同じくひそひそ声だが、目が力強く怒りの色をしている。
ぷくっと膨れっ面なのだが、それはそれで実は微妙に可愛かったりもするなぁと思うのだが、さすがに、
今ここでそれを発言するのは危険すぎなので、そっと心にしまって置くこなた。
「そーそー、こなた。結婚式にはお母さんも呼んで欲しいな」
かなたが、膨れっ面から一転して、えへっといった笑顔で突然そんな話を、やはりこそこそ声で切り出す。
「ちょっ、と、唐突だね…そ、そりゃーもちろんっと言いたいけど、どうやって?私、霊感ないよ?」
こなたもかなたの耳元でささやく。
「大丈夫、きっと想いは通じるから…ね?」
「うん、わかったよ。そんときには、きっと…お母さんの事を呼ぶよ。だから、絶対来てね。約束だよ?」
「ええ、約束ね」
ひたすら、ひそひそと小声で話しが進んでいく。
後ろにいるそうじろうには、さっぱり聞こえないという、生殺しな状況である。
「おーーーい、もしもーーし。こなたーーー、かなたさーーーーーーーん」
負けじと声をかけるのだが、2人は全く相手をする気配を見せず、2人だけでなにやら話しを咲かせている模様。
だが、それでもくじけずに声を掛け続けるそうじろう…
だが、2人は無情にもファミコンをしだすのであった。

「えいっえいっ、あーーーーもうーーーーーーーまた、赤カメになったーーーーーーーこのーーーー!!」
「ちょっっっっ、お、お母さん、落ちつてよ、う"ぁあああああ、だ、だめだって、あああああーーーーーー」
かなたマリオがひっくり返したカメを、蹴落とそうと近づいたこなたルイージに、上に昇ろうとしたかなたマリオが
間違えてカメを叩いてしまいルイージ憤死、振り返って降りてきたカメにマリオ噛まれて憤死…で終了となった。
「いやー、まさか、単なるマリオブラザーズでここまで熱くなれるとはね…」
こなたが、ふぅ~と額の汗を拭う。
「ああん、もう。動きが速くなってくると、途端に難しくなってくるのよね、くやしいわ」
かなたが素直に悔しがる。
時おり、画面の黒い部分で後ろのそうじろうの様子が伺える。
最初の頃は、やかましいくらい声がかかってきていたが、今や、その声すらない。
魂が抜けたかのようにたたずんでいるのが見受けられる。
小声でかなたにささやく。
「ねーねー、お父さんさ、完全に沈黙しちゃったよ?いいの?」
「あら、そうね…そろそろいいかしらね。沈黙するまで冷却しなきゃいけないのよ、そう君は」
すこし、意地悪げな笑顔を浮かべるかなた。
「おっ!」
お母さんもそんな顔するんだ!という新たな発見もしたこなたが、後ろに振り返るかなたと一緒に振り返る。
「そう君?」
もの静かに、けど棘に無い優しい声でそうじろうに声を掛ける。
「………」
あいかわらず、魂が抜けたかのようにずーーーーんと下を向いたままのそうじろう。
「そう君!!」
先程とは異なり、若干強めに、少し怖いような、そんなニュアンスで問いかける。
そうじろうがピクリと反応する。
「…こっちへ…いらっしゃい」
うって変わって、まさしく天使の笑顔で、この世の物とは思えない甘い音色の言葉を投げかける。
真横に居た、こなたが真っ先に反応してしまう。
「お…お母さん…」
床に置いているかなたの手をきゅっと握り、そのまま腕に絡み付き、寄り添う様に隣りに来る。
「ん?どうしたの?」
「ん~ん、なんでも…お母さん、天使みたい……今のお母さんにはもうね…絶対に逆らえないよ」
「あらあら、こなたったら…ふふ、かわいいんだから…」
「それは、お母さんもだよ。その可愛さはずるいよ」
かなたにべったり寄り添い目を閉じるこなた。
顔を上げたそうじろうに、寄り添う様に微笑んで床に座っているそんな2人が目に入る。
天使が2人、そうじろうに微笑んでいるかのように…
おもわず四つん這いでかなたとこなたの前に移動するそうじろう。
「か、かなた…」
名前を呼ぶのが精一杯であった。
「はぁーい?」
はち切れんばかりの笑顔で返す。
「あ、あ、あの…」
言葉に詰まるそうじろう。


「こなたの事をね、とっても愛してて、手放したくないのはね、とても判るの。きっと目の中に入れても痛くないって
こういう事を言うと思うの。でもね、そう君。それじゃ、ダメなのよ。多分、判ってると思うんだけどね。でもね…」
かなたの目を泣きそうな顔でじーっと見たままのそうじろう。
「はい…」
いつになく神妙な面持ちで答える。
「でもね、そう君。こなた自身の幸せも考えてあげるのが、私たち親の役目じゃないのかしら?ずーーーっと
私たちといて、こなたは本当に幸せなの?結婚して、子供を産んで、お母さんになって…そんな、私たちと同じ幸せ
をこなたにもさせてあげるのが、私たちの役目じゃないの?わたしが、こなたを身籠ったと知った時のそう君のあの
顔、わたしは、決して忘れないわ。そう君、あのときどんな気持ちだった?わたしはね、世界一幸せだった、
あぁ、この人の子供を身籠ったんだ、こんなにも喜んでくれているこの人の、そしてわたしが愛している人の子供を…
わたしはね、あの幸せな気持ちをね、こなたにも知って貰いたいの」
優しい笑顔のまま、諭すようにそうじろうに語る。
かなたから目線を逸らさずじっと聞き入るそうじろうと、かなたに寄り添いつつ、恥ずかしそうに下を向くこなた。
「………ごめんなさい……」
そのまま静かに土下座をするそうじろう。
「こなたの幸せか…そうだな…俺はそれを一番に願ってたはずなのにな…こなたが…俺の子供が…いや、俺たちの
子供がお前のお腹に居る…それが判ったあの瞬間…俺だって絶対忘れない。俺は宇宙一幸せな男だ」
そうじろうが頭をあげる。
「まったくもう…調子がいいんだから…」
「ははは…」
正座をしたまま、頭をぽりぽりする。
「まぁ、わたしもね、この子を産むためなら自分の命と引き換えでも構わないと、本気で思ってたのよ……結果的には、
引き換えになっちゃったけど…それは結果論にすぎないことだしね」
そのセリフにこなたがピクリと反応する。
「あ、あの…お母さん…、も、もし、私を産まなければ、今も生きてるんだよね?」
「え?」
かなたが自分に寄り添うこなたに顔を向ける。
「私が、産まれてなければ、お母さん、死んでなかったんだよね?」
ぱっとかなたを見上げたこなたの顔は涙が今にも流れ落ちそうな目をしている。
かなたが困ったような笑顔を向け、デコピンを一撃。
「あぐぅ…」
「お馬鹿さん…まったく、誰に似たのやら…こなたが産まれてなければ今の時間はないでしょ?」
「でもでも…」
こなたの目からは耐えきれなくなった涙があふれ出ている。
「でも、なに?」
かなたが敢えて聞き返してみる。
「でも、あの時死ななければ、あの後いくらでも子供を造れるチャンスはあったんじゃない?」
流れる涙を拭おうともせずに、かなたの目を直視する。
「確かにそうね、あの時、こなたを産む事を断念していれば、そうかもしれないわね。でも、受胎したのはこなたが
最後だった可能性もあるのよ?わたしが生きながらえたとして、病気や事故で二度と子供を造れない身体になる事も
考えられたのよ?だからわたしは、産む事を選んだの。せっかくの神様からの贈り物だから……さっき命と引き換えでも
って言ったけど、まさか本当にそうなるとはわたしも思ってはいなかったわよ?究極の選択でわたしとこなたとどちらを
選ぶ?と言われればそれはもちろん、こなただったけど…わたしだって、こなたと一緒にいたいに決まってるじゃない、
別に、死ぬつもりでこなたを産んだ訳じゃないのよ。ただ、事前の説明で、危険な可能性がありますって言われただけ
まさか、こんなことになるとは、実際には思ってなかったわ」


かなたの目を直視ししていたこなた。
流れ出る涙はとどまる事を知らず、こなたのほほを濡らす。
「でもでも…お母さん、死んじゃったじゃん…わたしが、わたしが…」
諭すように話していたかなたもさすがに辛くなってくる。
2人のやり取りを正座して聞いていたそうじろうが、すっくと立ち上がりこなたの目の前に立つ。
「歯を食いしばれ」
「へ?」
泣きべそをかいていたこなたが声の方を見上げる。
「歯を食いしばれと言っている」
いつもとはあまりに違う空気をまとったそうじろうがそこに居た。
「ふぎっ」
訳も判らず言われるまま歯を食いしばるこなた。

ゴスッ!!
鈍い音とともに、こなたの頭にげんこつが炸裂する。
「うがっ!!」
その衝撃にそのまま、床に叩き付けられそうになる。
「ちょっと、そう君!!」
あまりの出来事にかなたが、止めに入る。
「どけ!!!!」
かなたを払いのける。
床に伸びているこなたをひょいっと持ち上げ、立たせる。
強制的に立たされたこなたはすでに戦意を喪失しており、ただ泣きじゃくるだけの子供と化していた。
目線をこなたと同じにするそうじろう。
「いいか、こなた。確かに、お前が産まれてその替わりに入れ替わるようにかなたが逝ってしまった。これは
まぎれも無い事実だ、覆し様の無い事実だ!!」
あぐっあぐっとただ、しゃくるしか出来ないこなた。
そのそばで事の成り行きを見守る事しかできないかなた。
「だけど、お前が産まれてこなければ良かったなんて思ったことは、一度だってない!!」
泣きじゃくりながらもそうじろうを見つめる。いつのまにやら、そうじろうの目にも涙が滲んでいた。
「お前が産まれたときに、どんだけ喜んだ事か…」
言葉が涙で詰まる。
「だから、産まれなければ良かったなんて、そんな悲しいこと言わないでくれ。二度とだ。二度と言わないと
約束してくれ。できるか?」
「ん…」
大きく首縦に振るこなた。
「よぉし!!いい子だ」
しゃがんでいたそうじろうが立ち上がり、こなたを抱きしめる。
「…ごめんなさい…お父さん……」
18歳の少女ではなく、ただの泣きじゃくる女の子と化してしまったこなたであった。
「ああ…判ってくれればいい…お前は、俺たちの宝であり希望なんだ…」
そうじろうが優しく包み込む。
「こなた、そう君」
成り行きを見守っていたかなたが2人の隣りに立つ。
こなたが、かなたの方に振り向く。
「あぐっあぐっ…ごめんなさい…お母さん…」
そうじろうの腕の中から離れ、かなたにしがみつく。
「ううん…いいのよ…こなた。こなたは優しいから、そうやって自分を責めちゃうのよね…大丈夫、こなたは
なぁーんにも悪くはないから…そう、だれも悪くはないの…だれのせいでもないのよ…」
半分は抱きしめたこなたに、半分は自分に言い聞かせるように、優しく声を掛ける。




















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  • 感動しました、作者さんの才能に! -- チャムチロ (2012-10-03 15:13:21)

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